北区まち・ひと・しごと創生総合戦略(案)についての会派意見
2016年2月15日 | 政策・提言
日本共産党北区議員団幹事長 八巻直人
はじめに
非正規やパート、アルバイト、派遣労働など、不安定雇用の拡大により、国民・区民所得が減少し、経済的にも社会の安定を支えてきた中間層が減少していること、その中でも、若者や子育て世代の経済的困難が拡がっていることは、次世代の自立、結婚、出産、子育てに大きな影を落としている。
したがって、北区の将来人口を確保し、区民のくらしや地域社会を支え、活性化をはかるためには、子ども、若者、女性、高齢者が直面している貧困の解決に、自治体として全力をあげることが責務であり、喫緊の課題である。
今、多くの区民は、年金や実質賃金の低下、物価高、増税や社会保障の後退で、生活が苦しく、政府の言う「景気の回復」など、全く実感が持てないのが実態である。
一方で、北区の財政状況は、財政調整交付金の追加交付、区民税、地方消費税などの増額、財調基金とりくずしの大幅減額等により、主要5基金残高は過去最高を更新する530億円余となった。
そうした基金も活用して、何よりも区民のくらしを応援し、貧困の解決と格差の是正を、北区版総合戦略の柱、具体的施策とすべきである。以下、基本目標にそって意見を述べる。
基本目標1、「子育てするなら北区が一番」をより実感できるようにするについて
・望まぬ妊娠、虐待や性被害などの人権侵害、貧困の負の連鎖を防止するためにも、妊娠期から子育てまでの切れ目のない支援として、妊婦・産婦の全数面接、相談事業は大変、重要である。産後シェアハウスの調査研究も是非、すすめてほしい。安心できる(仮称)産前産後の母子ホームの設置を求める。
妊娠の見届け、妊婦健診未受診、飛び込み出産を防ぐためにも、医療機関等と連携し、24時間の妊娠SOS電話相談などの体制も検討すべきである。
・子どもの貧困対策をすすめるために、子どもの貧困実態調査を実施し、これまでの行政データとあわせて分析を行い、実態把握にもとづく全庁あげての計画策定、施策の実施を求める。とりわけ、ハイリスクとなっているひとり親家庭への支援、子ども・若者への学習支援や食の提供、居場所づくり、給付型奨学金を求める。
・児童館の子どもセンター・ティーンズセンターへの移行にあたっては、小学生の活動に対する柔軟な対応を、また児童館数の大幅な削減計画については利用者のニーズをふまえ抜本的な再検討を求める。
・保育園の待機児解消は認可保育園を基本に、引き続き、最重点で取り組み、民間誘致の他、区立保育園増設も計画に組み込むよう求める。
・住居費の負担軽減は、くらしの安定に直結するため、若者・ひとり親・ファミリー世帯への公的住宅支援、家賃補助の実施を求める。
基本目標2、女性・若者・高齢者の活躍を応援するについて
・北区がこれまで取り組んできた区内中小企業の人材確保とタイアップした正規雇用支援は先進的な取り組みである。保育・介護・建設・商店街など、人材確保が切実に求められている区内産業・商業の活性化とも結んで、更に充実をすすめるべきである。あわせて、人材確保にむけ、住宅施策との連携を検討するよう求める。
・困難をかかえている、また、ひきこもりがちな若者、高校中退者、障がい者、高齢者など、地域や社会の中で、生き甲斐や役割をもって働けるような中間就労や学びなおしのしくみや場を求める。
・多世代交流や地域で支え合うしくみづくりが推進されるよう、場の提供や資金補助も実施すべきである。
基本目標3、創造へのチャレンジによって、地域産業の活性化をはかるについて
・具体的な施策に挙げられている内容に加えて、住宅リフォームや商店街・企業リフォーム事業などを柱に、中小企業振興の事業充実を求める。あわせて、中小企業振興条例を制定するよう求める。
・地域の高齢化等による買い物難民改善のため、配送サービスなどの商店街支援の実施を求める。
基本目標4、まちづくりの一層の推進を図り、北区の個性や魅力を発信するについて
・北区が現在とりくんでいる十条駅周辺再開発事業や立体交差化事業、東京都が施行する特定整備路線などの事業は、住民からの十分な理解を得られているとは到底言えない状況であり、「区民の声をもっと聞いてほしい」「住民の合意にもとづかない事業は撤回せよ」と迫られているものである。北区は住民の立場にたって、住民の意見・要望に真摯に耳をかたむけ、住民の声が生きるまちづくりをすすめるべきである。
・木密地域不燃化10年プロジェクトについては、都市計画道路整備と木密不燃化事業を切り離し、法的瑕疵の疑いがあり住民の合意も得られない特定整備路線については、事業の認可取消し・計画撤回を国と都に迫ることを求める。
・駅周辺をはじめとしたバリアフリーのまちづくり、集中豪雨や風水害・土砂対策のハード面整備は、区として積極的に取り組むことを求める。
・王子駅など国家戦略特区を活用してのまちづくりは、国主導の規制緩和により、自治体や住民の意見、立場が十分尊重されるとは言い難い。国家戦略特区の導入はやめるべきである。
以上