2016年第3回定例会代表質問ー宇都宮章
2016年9月8日 | 宇都宮章
質問に先立ち、台風10号などによる東北、北海道での豪雨で亡くなられた方、被害を受けられた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。日本共産党国会議員団は8月31日、「2016年8月台風災害対策本部」を設置し災害復旧に全力を尽くすものです。
質問に入ります。私は日本共産党北区議員団を代表して大きく6点の質問を行います。
今年も71年目の鎮魂の夏を迎えました。終戦まで戦意をあおり続けた新聞各紙は、それぞれ特集記事を組みました。北区アンバサダーで北区名誉区民でもあるドナルド・キーン氏がある新聞でこう語っています。
「せっかくの夏休み、かばんを持って出かけよう。私が愛する平和憲法が揺らいでいるご時世だ。太平洋戦争末期に原爆が落とされた広島や長崎、激しい地上戦があった沖縄もいい。遠出しなくても身近なところに戦跡は残っている」
私はドナルド・キーン氏の「私が愛する平和憲法が揺らいでいるご時世」という時代感を、同じ区民として重く受け止めたいと思います。
安倍首相は参院選直後、自民党改憲案をベースに議論し、改憲へと進む姿勢を表明しました。そして、安保法制=戦争法が本格運用に動き出し、陸上自衛隊が海外で武力行使するための訓練開始が決定されました。また、過去3回にわたり廃案となった共謀罪、話し合うだけで罪に問える悪法がテロ対策を口実に臨時国会に提出されようとしています。
また、安倍首相は「成長の果実を子育て支援や介護の充実に使っていく」との発言を繰り返しました。しかし、選挙が終わったとたん、社会保障制度の各分野でのいっせい改悪の検討が始まりました。厚生労働省の社会保障審議会は関係部会で次々と制度改悪の具体化に乗り出しています。
1、医療・介護・生活保護など社会保障のいっせい改悪を許さない区政を
最初の大きな質問の第1は、医療・介護・生活保護などの社会保障のいっせい改悪を許さない区政についてです。
具体的に、まず、医療では75歳以上の窓口負担を、現在の1割から原則2割に倍増へ、市販 類似薬品の保険給付外し、後期高齢者医療の保険料の特例軽減の廃止などの法案提出が検討されています。
安倍政権は社会保障費の自然増分を削減し続け、受診抑制を深刻化させてきました。かつて「医療崩壊」を招いた小泉政権を上回る自然増削減をすすめていく方針です。
生活保護では、保護の基準がこの3年間連続削減されてきましたが、今度は、復活した母子加算を切り捨てようとしています。
さらに介護では、昨年、年金収入280万円以上の方への1割から2割への負担増、特養ホーム入所を原則要介護3以上に、低所得の施設入所者への食費・部屋代の補助要件に資産要件を加えて貯金通帳を提示させるなど、負担増、利用制限したばかりですが、さらに制度改悪を計画しています。
すでに要支援1、2の人の訪問介護とデイサービスの保険給付外しが実施されましたが、今度はこれを要介護1、2にまで広げる計画です。これが強行されると北区では介護認定者の66.5%、1万1000人を超える方たちのサービスが保険外しの対象となります。
さらに、福祉用具のレンタル料や住宅改修費の自己負担増も検討されています。
そこで質問します。こうした社会保障制度のいっせい改悪に区長がきっぱりと反対し、区民のくらし・福祉を守る立場で国に対し働きかけることを求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
現在、厚生労働省の社会保障審議会では、今後ますます進展する少子高齢化をみすえて、医療・介護・生活保護など、社会保障分野における各制度の持続可能性を高めるため、さまざまな議論がおこなわれております。
区といたしましては、これらの議論を注視するとともに、必要な意見については、全国市長会や特別区長会を通じて国へ要請してまいります。
2、子どもの貧困対策・支援の具体化について
大きな2つ目の質問は、子どもの貧困対策・支援の具体化についてです。
(1)区の認識と取組み、スケジュールについて
2008年は「子どもの貧困元年」といわれ、「子どもの貧困率」が年々増え、2012年には16.3%、6人に1人、子どもの実数換算で328万人、40人学級なら6~7人が貧困状態に置かれていることになります。国はこれに対し、2013年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を成立させ、翌2014年8月には「子供の貧困対策に関する大綱」を発表しましたが、貧困と格差の拡大はいっそう深刻化しています。
北区では今年度、担当副参事を配置し、「貧困対策の強化~子ども未来応援」事業に着手し、対象となる方の実態把握調査、支援ニーズの調査・分析などを行い、整備計画を策定するとしています。
そこで質問の第1は、この課題に対する区の認識、実態把握の取組み状況、貧困の解決に向けた数値目標、今後のスケジュールについてです。お答え下さい。
【区の答弁】
区では、北区の未来を担う子どもたちの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、子どもの学び舎育ちを支えるとともに、貧困の世代間連鎖を解消することを目的として、今年度中に子どもの貧困対策に関する支援計画を策定する予定です。
7月からは、計画策定のための検討会における検討を開始しています。
あわせて、子どものいる世帯、児童育成手当受給世帯、小学校5年生の保護者と児童を対象としたニーズ調査を実施しており、現在、回答結果の分析に着手しています。
また、数値目標の設定ですが、国の大綱同様、計画における施策の実施状況や効果を検証・評価するための指標の設定について検討してまいります。
なお、調査結果の概要や計画の素案については、第4回定例会の所管委員会への報告をめざし、検討をすすめてまいります。
次に、質問の第2から第5は、喫緊の課題として昨年度と今年度予算でのわが会派の「組み替え提案」や、この間、繰り返し求め続けてきた子どもの貧困対策・支援の具体化についてです。
(2)学習支援活動について
まず質問の第2ですが、今年度から実施される生活困窮者自立支援法にもとづく子どもの学習支援活動についてです。1ヵ所の先行実施、2ヵ所目の立ち上げをめざすとしていますが、先行実施の進捗状況および今後の活動方向についてお答え下さい。
【区の答弁】
学習支援事業の大きな目的は、貧困の連鎖を断ち切ることであり、子どもの希望する進路を実現するために、個々の状況に応じた支援に取り組んでまいります。
今年度から実施する子どもの学習支援事業は、北区社会福祉協議会に事業を委託しており、まず1ヵ所目として、東十条・神谷地区で小中学校を対象にし、年内に学習支援事業を実施いたします。
また、年度内にはもう1ヵ所実施場所を確保し、2ヵ所目の立ち上げをめざしてまいります。
(3)ひとり親家庭支援について
質問の第3は、経済的な支援として、育ち愛ほっと館で行っている育児支援のひとつであるファミリー・サポート・センター事業についてです。この事業は保育園への送迎や一時的な保育などをおこなうものですが、児童1人、1時間当たり800~900円の利用料(謝礼金)の負担があります。低所得家庭には思い切った利用料の軽減策を求めます。お答え下さい。
(4)子ども食堂など子どもの居場所作りの設置および支援について
質問の第4は、「こども食堂」など、子どもの居場所づくりを進め、併せて支援を行うことです。本年5月5日付け東京新聞は、東京23区内の10区、23ヵ所で「こども食堂」の実施例を紹介しています。
区内でも複数の「こども食堂」の取り組みが始められ、私は先日、区内のある教会で開催された「こども食堂」に参加してまいりました。みんなで焼きそばをつくり、冷たいスイカを食べながら、うたを歌い、楽しい雰囲気で夏休みの宿題にとりくむというものでした。
また、豊島5丁目のココキタの厨房を活用した「こども食堂」には複数の同僚議員が参加しました。ここは、月2回のペースで、大人も子どもも一緒に晩ご飯を食べ、参加費は高校生まで無料、大人300円。同じ地域の人とおしゃべりをしたり宿題をしたり、楽しい食事と団らんの2時間を過ごしていることを聞きました。
自宅で食事がとれない子どもたちが低料金や無料でごはんが食べられる「こども食堂」には食生活の貧困対策のみならず、地域の温かいつながりが生まれる子どもの居場所として着目すべきではないでしょうか。
そこで質問します。この「こども食堂」の区内での現況、すでに実施しているところへの相談、情報提供、これから立ち上げようとしているところへの応援など、区の温かい支援を求めます。
次に、北区が子どもの居場所作りの事業のひとつとして位置付け、例えば、厨房設備の整っている志茂子ども交流館など北区の区有施設の活用を提案します、がいかがでしょうか。
以上お答え下さい。
【区の答弁】
ひとり親家庭などへの支援については、現在、ニーズ調査を実施しており、実態の把握に努めています。
また、子ども食堂の現況ですが、定期的に活動しているものとしては、現在3団体を確認しています。これらの団体へは、ニーズ調査の一環としてヒアリングを実施し、活動の状況や課題などの把握に努めています。
今後の子どもの貧困対策支援の具体的なとりくみにつきましては、ニーズ調査の分析結果をふまえつつ、検討してまいります。
(5)小学校・中学校の就学援助入学支度金の前倒し支給および貸付金制度の実施を求める
この質問の最後、第5は、繰り返し求めている、小学校・中学校の就学援助入学支度金の前倒し支給および貸付金制度の創設についてです。すでに、板橋区の例を紹介していますが、今年度、世田谷区でも同様の中学校入学での前倒し支給が始まりました。
八王子市では来年度、小学校入学前に就学援助制度とは別の「新入学準備金」制度を発足し、3月1日に小学生2万470円、中学生2万3550円の支給をすることになりました。今度こそ北区でも、この早期実施を求めます。「子育てするなら北区が一番」を踏まえて、お答え下さい。
【区の答弁】
小学校・中学校の入学支度金として醜悪援助の新入学学用品等購入費の前倒し支給や貸付金制度の創設については、支給の判定にかかわる所得の考え方や支給後の転出等で支給要件から外れるときの取り扱い、および転出先自治体での重複支給など課題がいくつかありますので、今後、子どもの貧困対策を検討する中で調査・研究してまいります。
3、障害者差別解消法施行にともなう施策のさらなる充実を求める
大きな質問の第3は、障害者差別解消法施行にともなう施策のさらなる充実についてです。
(1)公共交通のホームドア設置などバリアフリー化、安全対策の促進を国・都に求めよ
8月15日、港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅で盲導犬と歩いていた男性がホームから転落し死亡しました。この事故を受けて日本共産党東京都議団は8月29日、再発防止とホームドアの設置促進を求めて小池百合子都知事あてに申入れを行いました。また、同日、国会では超党派の会合が行われ、視覚障害者が再発防止策を提言しています。
日本盲人会連合が実施したアンケート調査では、視覚障害者の約4割が駅ホームから転落した経験がある一方、ホームドアの設置状況は都内706駅中32%にとどまっています。
今年3月に発行された「北区バリアフリー基本構想」には「すべての駅へのホームドアまたは可動式ホーム柵の設置を目指す」と明記されています。
そこで質問の第1は、JRの駅の多い北区として、ホームドア設置などバリアフリー化、安全対策の促進を国・都およびJRに働きかけることを求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
区内JR駅のホームドアにつきましては、山手線田端駅、駒込駅に引き続き、現在、京浜東北線赤羽駅、王子駅への整備が進められているところです。
区では昨年度、国・東京都、JRの関係部署も参画している北区バリアフリー基本構想策定協議会を設置し、全体構想をまとめ、今年度、地区別構想の策定にとりくんでおります。
引き続き、協議会等での意見交換等をおこない、国・東京都とともにバリアフリー化の推進に努めてまいります。
(2)区民世論の啓発、幅広い理解と合意をめざす施策について
次に、区民世論の啓発、幅広い理解と合意めざす施策についてです。
ご承知のように、本年7月神奈川県相模原市の障害者施設で、19人の入所者の命が奪われ、職員を含む27人が、重軽傷を負った痛ましい事件が起きました。ある障害者団体の役員で、自身も障害がある女性は、時間がたっても、心の整理がつかないままだと言います。「恐怖や不安が消えない。障害があることに対する社会の見方を変えなければいけないと強く感じる」と語っています。人の命に価値をつける優性思想。それは独裁国家により政策となり、人種の優劣、兵隊や労働力として役に立たない者の大量虐殺につながった歴史があります。人類の進歩とともに、徐々に克服されてきたとはいえ、格差や差別を助長する土壌の中で頭をもたげてきます。存在に値しない命などありません。障害のある人もない人も、相互に人格と個性、多様な生き方を認めて支え合い、学びあう社会の実現こそが、現代社会を形成する土台であることは明らかです。
障害者をはじめ誰もが大切にされる社会をつくるため、一切の差別や偏見を許さないことが大切になっています。
北区では、昨年11月、障害者差別解消法の施行を前にして、シンポジウムを北とぴあ・つつじホールで開催しました。
第1部では「不当な差別的取り扱いの禁止」「合理的配慮の提供」などをテーマにした講演が行われました。「合理的配慮」とは耳慣れない言葉でしたが、例えば「目的地までの案内のさいに障害者の歩く速さに合わせて歩く」「障害者から申し出があった際に、ゆっくり丁寧に繰り返し説明をし、内容を理解したことを確認して対応する」などの実例が示されており、決して難しいものではありません。
講演につづき、当事者、関係者、区職員、社協職員のみなさんによるパネルディスカッションが行われ、フロアからの発言も相次ぎました。終了後のアンケートには参加者の多くが協力し、さまざまな意見・感想が寄せられたとのことです。私は、パネルディスカッションでの聴覚障害の方の堂々とした発言、フロアからは「私たちをもっと良く理解してほしい」という精神障害の方の発言、体調のすぐれないなか、やっと会場にたどり着いたという難病の方の発言など、このつどいの画期的な内容に強い印象を受けた一人です。
そこで、質問の第2は、今後、幅広い区民と共催するシンポジウム、講演会、イベントの開催を求めますがいかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
障害を理由とした差別を禁止し、合理的配慮を提供するとりくみを推進するためには、区民一人ひとりの障害者に対する理解を促進していくことが大変重要です。
昨年11月に開催した障害者差別解消法シンポジウムでは、障害当事者の方の参加に加え、会場からもご意見をいただくなど積極的な公開討論がおこなわれました。
終了後のアンケートでは、さまざまなご意見が数多く寄せられ、大変有意義であったと考えています。
今後も障害者差別解消法の目的や趣旨を広く国民に周知し、これまで以上に区民全体の障害理解促進を図っていく観点から、シンポジウム等の開催につきましては、開催方法も含め積極的に検討してまいります。
次に、障害者差別解消法施行後の区の推進体制についてです。北区は新しく「東京都北区障害者差別解消法・職員ハンドブック」というパンフレットを作成しました。
(3)職員課相談窓口の区民周知、利用状況について
質問の第3は、このパンフレットにも記載されている職員課の相談窓口の役割、区民周知の状況、利用状況についてです。お答え下さい。
(4)職員の教育・研修実施の状況について
質問の第4は、このパンフレットを活用した職員の教育・研修実施の状況についてです。教育・研修の対象、内容などお答え下さい。
【区の答弁】
地方公共団体は、障害を理由とする差別にかんする相談に的確に応じ、紛争の防止または解決を図るための相談窓口を設置することになっています。
区では、法の施行に合わせ、区職員による障害者差別の相談窓口を職員課に設置し、それ以外の相談を受ける窓口を障害福祉課の王子、赤羽の各障害相談係、滝野川地域障害者相談支援センター、障害者地域活動支援センターきらきらと障害者地域自立生活支援室の5ヵ所に設置しています。
これまで職員課における相談実績はなく、障害福祉課関連では7件となっています。
これらの相談窓口の周知方法といたしましては、北区ニュースやホームページをはじめ、誰もが分かりやすいリーフレットを作成し、広く区民や関係機関に周知しています。
次に職員ハンドブックを活用した職員研修の実施についてです。
障害者差別解消法の趣旨を全職員が理解するため、本年5月より研修を実施しています。
これまで校園長、保育園長や児童館長を含む係長職以上の管理監督者を対象として、約500人の研修が終了しています。
今後も、新任職員、係長承認試験合格者や、必要に応じ区民サービスを担う指定管理者等を対象とした研修を適宜実施してまいります。
4、各種選挙(投票)に関する現状と改善について
大きく第4の質問は、各種選挙(投票)に関する現状と改善についてです。
(1)期日前投票の導入経過と意義および拡充策について
この6年間をみても区長選2回、区議選2回、都議選1回、都知事選4回、衆議院選2回、参議院選2回の合計13回の選挙が執行されました。夏の猛暑や大雪の中の選挙もあり、有権者のみなさんはもちろん、選挙管理委員会はじめ関係者や職員のみなさんにとっても大仕事の連続だったのではないでしょうか。
この間、期日前投票が定着し、投票率向上に貢献してきました。そうした中、50歳代の男性は「金曜日、土曜日、日曜日は仕事なので田端文士村の投票日数、現在の3日間を増やしてほしい」と話しています。
質問の第1は、期日前投票の普及状況、および拡充策について、お答え下さい。
【区の答弁】
平成15年の法改正により導入された期日前投票制度の発足後、初めて執行した平成16年の参議院議員選挙、東京都選出における全投票者数に占める期日前投票の割合は、9.05%でした。
その後、期日前投票者数は堅調に推移しており、本年7月10日執行の参議院議員選挙、東京都選出では21.38%、7月31日執行の東京都知事選挙では21.81%を占め、有権者の間における制度定着とともに、期日前投票の果たす役割は、より一層重要になっていると考えております。
こうした状況を踏まえ、今後の選挙に向けて、現在、各選挙において5ヵ所設置している期日前投票所を増設するため、具体的な検討を進めてまいります。
(2)選挙公報配布と当日投票(主に体育館)の改善について
次に期日前投票が定着するにともない「選挙公報を出来るだけ早くみて参考にしたい」という方もいます。
また、ある80歳代の女性は「参議院選挙は神谷小学校体育館に行ったが、スロープが不安定で怖い思いをした。都知事選の投票は、バリアの少ない赤羽会館の1階ロビーの期日前投票に行った」とのことでした。
さらに、車椅子の方からは「体育館での当日投票では入口にスロープが設置されているもののひとりでは登れなかった」との声も寄せられています。
そこで、質問の第2は、選挙公報の可能な限りの早期配布、あわせて体育館などでのスロープや入退場のアクセスの改善等のさらなる投票所の安全対策を求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
選挙公報につきましては、公示日または告示日後に、申請書および掲載文を受理後、すみやかに掲載原稿の確認、掲載順序のくじ、印刷業者への発注をおこなっていますが、印刷を経て各戸配付に至るまでには数日間を必要とします。
そのため配付までの作業期間の短縮は難しい面がありますが、できるだけ早期の配布に努めるとともに、区ホームページにおける選挙公報の掲載についても、より多くの方にご覧いただけるよう周知を図ってまいります。
次に、投票所の安全対策についてです。
高齢者や障害者が投票所において支障を生じることなく、円滑に投票できる環境を整備することは、区に求められた責務であると認識しています。
区内の投票所における主要な動線は、簡易スロープの設置により段差解消を図っておりますが、高齢者や障害者の視点に立って、あらためてスロープの勾配や安定度を点検し、順次、必要な措置を講じてまいります。
また、学校等の敷地内における通行経路の設定につきましては、投票所に来場するみなさまの安全性および利便性を十分考慮してまいります。
(3)郵便等による不在者投票の拡充を国に求めよ
質問の第3は、郵便等による不在者投票の拡充を国に働きかけることです。
高齢化や障害等の身体的条件から、投票に行きたくても行けない人が増えています。現在、郵便等による不在者投票の対象は要介護5に認定された人や、重度の障害を持つ人に限られています。より多くの国民の投票権を保障するために要介護度では5から4まで広げるとともに、障害要件もより緩和することが必要ではないでしょうか。
高齢化率23区でトップの北区長が国に対して力強く、積極的にはたらきかけることをもとめます。ご答弁ください。
【区の答弁】
身体上の理由により、投票所におもむいて投票できない方を対象とする郵便等による不在者投票制度は、選挙権行使の機会確保を図るため重要な役割を担っているものと考えております。
現在、衆議院の特別委員会において公職選挙法の改正について審議されております。
郵便等による不在者投票の対象者拡大については、区の選挙管理委員会も加入している全国市区選挙管理委員会連合会から特別委員会に対して要望事項を提出しておりますので、実現に向けた審議を見守ってまいります。
5、区民事務所・分室の見直し方針について
大きく質問の第5は区民事務所・分室の見直し方針についてです。
(1)区民事務所・分室の利用状況、機能拡充について
現在の3区民事務所・7分室の体制は2001年、それまでの19ヵ所の出張所を再編して発足しました。これにより約70人もの職員定数が削減された経過があります。
こうした中、北区経営改革プラン2015では「区民事務所・分室の見直し」という方針が出されていますが、住民サービスの低下、更なる職員削減を行ってはならないことを強く指摘して質問に入ります。
質問の第1は、区民事務所の利用状況の推移、および機能拡充についてです。
ここ数年、北区の人口が増え、利用件数がふえていることが予測されます。特に王子、赤羽区民事務所の暦年と比べての27年度の利用状況、繁忙期における待ち時間など詳細についてお答え下さい。
【区の答弁】
ここ数年の人口の推移を見てみますと、平成24年の4月1日の33万2758人から、平成27年7月に34万人を超えて、平成28年4月には34万2732人と、4年間で9974人増加しており、年平均で約2500人ずつ増えています。
これに伴い、区民事務所で処理する転入・転出件数は、平成27年度で4万5800件に達しています。
さらに、転入手続きが複雑な外国人の異動が多くなっていることによって、繁忙期における業務量が過大になっています。
こうした状況を反映し、王子区民事務所では昨年、最大で4時間待ちが1日だったのに対し、今年は最大5時間待ちの日が3日発生するなど、一段と深刻になっています。
また、赤羽区民事務所でも、昨年は2時間待ちが1日だったのに対し、今年は3時間待ちの日が5日という状況で、こちらも大幅に待ち時間が延びています。
次に、今議会で突然示された赤羽区民事務所の移転についてです。
この唐突感は何も区議会内だけの問題ではありません。当然ですが、赤羽駅東口にある現在の赤羽区民事務所の利用者も、南口の赤羽エコー広場館の利用者も、全く事前の周知がされていません。
地元区議の区議会レポートをみて多数の区民や利用者から質問や心配の声が上がっていますので紹介します。
「突然でびっくりした」「エコー広場館の利用者は交通が便利になるが、これまで区民事務所を利用していた人は、南口からの導線が長く、わかりにくい」「エコー広場館は大分狭くなるが、今までの活動への支障はないのか」「学習会や講座の開催、古着などのストックヤード、厨房設備などは大丈夫か」等が寄せられています。
そこで以下、質問します。
質問の1点目、移転による機能拡充、強化とは何か具体的にお示し下さい。
2点目、区民事務所の最大の課題は王子区民事務所の繁忙期対策などとの説明がなされましたが、この抜本的な解決策となるのでしょうか。
3点目、東口に移転する赤羽エコー広場館利用者の意見・要望にしっかり応えていただくこと。
4点目、移転に際しては、交通アクセスの周知に最大限の努力をすべきではないでしょうか。
以上、4点、お答え下さい。
【区の答弁】
まず、移転による機能拡充、強化についてお答えします。
現在の赤羽区民事務所は、二階建てという構造上の制約のため、利用者増に対応する余裕のある待合スペースと広いカウンターを用意することができず、現状のままで事務効率を上げることは困難です。
このため、機能強化を図るためには、別に適地を選定して移転するほか選択肢はないと判断いたしました。
そこで、赤羽区民事務所同様にJRの高架下にあり、ワンフロアで面積の広い赤羽エコー広場館と赤羽区民事務と機能を入れ替えられないかと考え、調整が整いましたので、来年の繁忙期に備え、赤羽区民事務所の機能強化を図りたいと考えています。
また、この移転によって王子区民事務所の抜本的な繁忙期対策になるかという点につきましては、王子区民事務所での混雑緩和を図るための方策として、学校単位でまとめて転入手続きに来所する傾向の強い語学学校を対象に、現在、他自治体で実施している「留学生の転入手続き団体予約」受付方式を赤羽区民事務所で導入することを検討しています。複雑で時間を要する外国人の手続きの部分を赤羽区民事務所が担うことによって、王子区民事務所の混雑緩和につながると考えています。
次に、赤羽エコー広場館利用者の意見要望につきましては、指定管理者であるNPO法人北区リサイクラー活動機構を通じて要望を聞いており、移転先の赤羽区民事務所の改修工事につきましても可能な限りご要望を反映したものとなっています。
また、赤羽エコー広場館では、赤羽しごとコーナーやシルバー人材センターが業務をおこなっており、環境大学や高齢者ふれあい食事会等の事業もおこなわれているため、既存の事業への影響を最小限にとどめるよう配慮してまいります。
場所を交換することに伴う交通アクセスにつきましては、初めての方にも場所の検討がつきやすいように名称の表記について工夫するとともに、駅周辺の案内表示の修正なども含めてJR赤羽駅とも相談させていただきます。
また、周知期間も限られているため、近隣商店街や北区自治会連合会等に情報提供をおこなうとともに、北区ニュースやホームページ等で十分な周知に努めてまいります。
(2)分室の存続・拡充を求める
この項の質問の第2は、7分室体制の存続・拡充についてです。
7ヵ所の分室はこの15年間、それぞれの地域に定着してきました。分室では住民票、印鑑証明、戸籍謄本、母子手帳などの交付および区民税、国保料・介護保険料などの収納、課税証明書の発行などの窓口になっており、「北区公共施設白書」によると平成26度では年間、7分室合計では10万件を超えています。
そこで質問です。わが会派は地域に定着した区民サービスに貢献している現在の分室を経営改革プランにもとづく職員定数の削減を目的にして見直す方針には反対です。繁忙期対策が最大課題であるなか、分室の存続・拡充こそ必要です。明確にご答弁下さい
【区の答弁】
現在、分室でおこなっている事務のうち、住民税や国民健康保険料の収納などについては、ほとんどがコンビニでの納付が可能な状況となっています。
また、証明書発行については、今後はマイナンバーカードを取得した区民がコンビニ交付サービスを利用可能となりますので、分室がおこなう業務は減少していくと見込まれます。
一方、区民事務所の業務量は確実に増加しているため、区民のニーズに的確に応え、効率的な業務執行の観点から、経営改革プラン2015に基づき、区民事務所・分室のあり方を検討していくことが必要であると考えています。
(3)コンビニ交付サービスの導入について
この項の第3の質問は、コンビニ交付サービスの導入についてです。
経営改革プラン2015の方針の下「区民本位の行政サービス向上」のひとつとして、来年からマイナンバーカードを取得した人に全国のコンビニで住民票、印鑑証明、課税証明の交付サービスを実施するとしています。しかし、経営改革プラン2015では、この実施状況の動向を見たうえで、区民事務所・分室体制を見直す、としています。
住民サービスの向上と言いながら、住民のもっとも身近な分室が「存続・拡充」ではなく「廃止・縮小」の方向になるならば、本末転倒も甚だしいことを重ねて指摘し、以下、3点質問します。
1点目は、マイナンバーカードの現行の申請・交付状況(出来れば世代別の状況)あわせてコンビニでの端末器の利用予測についてお答え下さい。
2点目は、3区民事務所・7分室合計で、平成26年度の利用件数は54万件もあります。コンビニサービスが実施されることにより、区民事務所や分室の現況にどのような影響があるのかお答え下さい。
3点目は、コンビニでの端末操作の混乱、個人情報の漏洩の危険はないのか。
以上3点、お答え下さい。
【区の答弁】
まず、マイナンバーカードの申請・交付状況です。
8月末現在、申請状況は4万430件、交付状況は1万6384件です。年度当初の滞留も、8月末時点で解消しています。
年齢階層別では、7月末の状況になりますが、0歳から14歳が2.4%、15歳から64歳が57.9%、65歳以上が39.6%という割合です。
コンビニ交付利用の予測につきましては、現在、マイナンバーカード交付割合は人口の約4.7%でとどまっている状況ですが、情報連携が拡大し、毎ナンバカードを取得するメリットが認識されてくるに従って普及の速度が上がってくるものと期待しています。
平成28年度中に北区もコンビニ交付サービスを開始しますので、今後の利用状況を注視してまいります。
次にコンビニでの端末操作や個人情報漏えいの危険についてです。
まず、キオスス端末については画面も比較的大きく表示も見やすくなっています。操作につきましても、郵便局や銀行での現金預払機を使用したことがある方であれば、戸惑うことはないと想定しています。
また、個人情報漏えいの対策について総務省のホームページでは、「申請から証明書の受領までのすべての手続きをコンビニ等の店舗のキオスク端末でおこなうので、周りの人の目に触れず安心して証明書を取得することができることをはじめ、マイナンバーカードや証明書の取り忘れ防止のため、画面や音声、アラーム等の取り忘れ防止対策を実施しています」とし、「さらに、専用の通信ネットワークを利用しているほか、SSL通信による通信内容の暗号化により、個人情報漏えいの防止対策を講じている」としています。
6、王子五丁目における民間・公共建設ラッシュについての安全対策などを求める
大きく質問の第6、最後の質問は王子5丁目における民間および公共による建設ラッシュについての安全対策などについてです。
(1)日本製紙跡地における民間3事業の現状把握と区の指導を求める
王子5丁目では平成27年から35年にかけて民間3事業、公共4事業のあわせて7事業の建設計画があり、特に今年から平成30年にかけては文字通りの建設ラッシュになります。
まず、王子5丁目団地の西側、4万3000㎡の広大な日本製紙王子倉庫跡地には現在、認可保育園を含む864戸の民間分譲マンション建設、民間賃貸マンションと有料老人ホーム建設、認可保育園を含む大手スーパー建設の建設工事がすでに開始され同時進行しています。工事が重なる最盛期には大型の10トントラックなどの工事車両が往来することになり、これによる騒音・振動の影響、通学・通園などの交通安全が心配されます。
そこで質問の第1は、この日本製紙跡地における民間3事業4業者による工事の現状を区が把握し、周辺住民への影響を最小限にするための連絡・調整の指導を求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
区では、民間3事業の工事時期が重なることから、すでに各事業者に対し、事業者間での連絡体制等を整備し、車両の運行調整や交通安全対策等に万全を期すよう要請しております。
今後、順次、躯体工事等がおこなわれると聞いておりますが、引き続き、事業者間における調整状況の把握に努め、必要に応じ、安全対策等を求めてまいります。
(2)王子給水所、学校改築ステーション、桜田つぼみ保育園の建設、王子第一小学校の改築について
次に、王子五丁目団地の南側では、以下3件、旧桜田中学校跡地での東京都水道局の仮称「王子給水所」の建設、旧桜田小学校跡地での学校改築ステーションの新設、旧郷土資料館跡地での桜田つぼみ保育園の新設、そして(警視庁の)「交通事故多発・取締強化路線」の立て看板がある北本通りを挟んで王子第一小学校の改築工事、以上、東京都・北区の公共4事業についてです。王子給水所は昨年、すでに着工されています。
質問の第2は、現時点での建築計画について、特に、前述の民間3事業も含め重複する工事期間を明らかにすることです。
【区の答弁】
公共4事業の建築計画は、現在着工している王子給水所が平成35年度末まで、学校改築ステーションが平成29年夏からへ生30年夏まで、桜田つぼみ保育園が平成28年8月から平成29年3月まで、王子第一小学校が平成30年秋から平成33年春までを予定しています。
民間3事業の重複工事期間は、平成28年6月から約1年間を予定していると聞いておりますので、最も工事が重複する期間は、平成28年8月から平成29年3月までの約8ヵ月間で、事業数は公民あわせて5事業の予定です。
ひとつの丁目で行われるこの建設ラッシュは、まさに前代未聞ではないでしょうか。
(3)隣接する7事業の連絡・調整、特に周辺住民への周知、安全確保について
そして最後の質問は、周辺住民のみなさんへの影響を最小限にするため、この隣接する7事業全体の連絡・調整、必要に応じた周知・説明、安全確保のための万全の対策をとることを求めます。お答え下さい。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
分譲マンション事業に近接して実施されている給水所工事につきましては、すでに事業者間で車両台数、工事予定等について連絡調整をおこなっていると聞いております。
今後、実施される区の事業につきましても、すでに実施されている事業との連絡を密にし、周辺住民のみなさまへ必要に応じて周知を図るとともに、安全対策について万全を期してまいります。