2017年第4回定例会代表質問―さがらとしこ
2017年11月21日 | さがらとしこ
日本共産党北区議員団を代表し、選挙制度について、道路計画から歴史と文化を守ること、区民事務所問題、障がい者雇用、都営住宅の課題、重層長屋問題、大きく6つの質問をします。
1、参政権を保障し、民意をくみつくす選挙制度とするために
はじめに、参政権を保障し、民意をくみつくす選挙制度とすることについて伺います。
今年は夏の東京都議会選挙につづいて、慌ただしく総選挙が行われました。森友・加計学園問題に国民的な批判が巻き起こる中、安倍首相は野党4党が憲法にもとづいて要求した臨時国会召集を3ヵ月以上も棚上げし、9月25日にようやく招集した臨時国会の冒頭で解散を表明。国民、有権者にとっても、選挙実務に携わった職員、関係者のみなさんにとっても、緊張の連続ではなかったでしょうか。
昨年の第3定例会のわが党代表質問に応え、改善がされています。さらに参政権を保障し、投票率を引き上げてゆくため、以下4点質問します。
(1)周知方法や選挙公報の改善について
1点目は、周知方法や選挙公報の改善についてです。総選挙の場合、国会解散、そして告示から投票日までの期間が短いことから、今回も臨時の「北区ニュース」の発行、選挙公報、インターネットによる選挙公報活用などが行われましたが、投票率向上に向け、さらなる改善方策を求めるものです。
【区の答弁】
今回の衆議院議員選挙にあたっては、選挙直前に全戸配布する「選挙だより」をはじめ、ホームページ、フェイスブック、ツイッター等を活用し、選挙制度の仕組みや投票の順序など具体的な内容の周知に努めました。
投票率の向上に向けた取り組みは、選挙時のみならず、日頃からの選挙啓発が重要と考えますので、学校における出前講座や模擬投票の実施、明るい選挙推進委員による話しあい活動など、常時啓発活動の充実に努めてまいります。
区ホームページにおける、選挙公報の掲載についても、できるだけ早く、多くの方にご覧いただけるよう工夫してまいります。
(2)郵便等による不在者投票の改善について
2点目は、郵便等による不在者投票の拡充と改善を国に働きかけることです。
現在、その対象者は、要介護5に認定された方や重度の障がいを持つ方に限られていますが、要介護4、3まで広げることや障害要件の緩和も求めるものです。
また、郵便投票にあたっての手続きについても、「本人確認のためには障害者手帳等の原本による確認」となっていますが、 該当する方に負担をかけることなく、「原本」確認できる体制の整備、改善を求めるものです。
さらに、「70代の方の投票率は7割以上と各年代を通じて最も高い。ところが、80代では50%台と投票率が2割も減少している」との指摘があります。国に対して、こうした実態を調査し、投票率向上に向けた対策を求めてください。
【区の答弁】
郵便等による不在者投票は、投票所におもむくことが困難な方の選挙権行使の機会確保を図るため、重要な役割を担っているものと考えております。
対象者の拡大については、区の選挙管理委員会も加入している全国市区選挙管理委員会連合会から、衆議院の所管委員会に対して、要望事項を提出しております。
本年6月には、総務省設置の「投票環境の向上方策等に関する研究会」が、要介護3まで対象に含めるよう提言をおこないましたので、今後の国会における審議を見守ってまいります。
また、郵便等による不在者投票の証明書交付申請に必要な身体障害者手帳や介護保険被保険者証の原本提示の手続きは、代理申請または簡易書留等による送付申請も可能な旨、周知を図ってまいります。
80代有権者の危険理由については、本年3月に東京都選挙管理委員会がまとめた世論調査の結果、80歳以上の8割を超える方が病気や体調の不具合を理由としています。
病院等の指定施設における不在者投票や郵便等による不在者投票の制度を円滑に活用できるよう、十分な周知に努めてまいります。
(3)期日前投票所の増設など、投票率向上について
3点目は定着してきた期日前投票についてです。今回は、台風や大雨の予報がつづき、期日前投票を活用された方が多かったわけですが、各投票所の実績と課題について伺います。
また、この制度の活用によって、投票率向上を図るために、もっと利用しやすい場所に増設することを求めるものです。
【区の答弁】
今回の衆議院議員選挙の区内における期日前投票所利用者数は、前回の衆議院選挙と比較し、合計で2万1008人の増、約1.63倍となりました。
特に、投票日前日の土曜日は、区内6ヵ所に設置する期日前投票所のいずれも、かつてない多くの有権者が来場し、お待たせする状況となりました。
大幅増加の主な要因は、有権者に期日前投票制度が浸透したことに加え、主に台風接近の影響によるものと考えています。
期日前投票所の当たらな開設にあたっては、施設および従事者のさらなる確保や、万全な執行に向けた管理体制の構築などの課題もあることから、今後の利用状況を見極めつつ、引き続き検討すべき課題と考えています。
(4)投票所のバリアフリー対策、さらなる改善を求めて
4点目はバリアフリー対策の一層の推進です。今回、旧西浮間小学校を投票所としましたが、車いすでは通りにくかった。校庭側の照明がなくて、真っ暗だった等、課題が指摘されています。昨年改善を求めた神谷小学校の投票所では、安定感のあるスロープが設置され、好評でした。今後も、教育委員会の協力も得ながら、改善をすすめることを求めます。
選挙制度について以上4点、お答えください。
【区の答弁】
高齢者や障がい者が、円滑に投票できる環境を整備することは、区に求められた責務であると認識しています。
本年執行の東京都議会議員選挙において、導入した手すり付化にスロープの設置台数を増やすなど、順次、必要な措置を講じてまいります。
また、学校等の指揮内における通行経路や照明等の確保につきましては、施設を管理する学校等と十分な調整を行ってまいります。
2、道路計画を撤回し、指定文化財や商店街の歴史と文化、崖線の景観、緑の保全など区民の共有財産を守れ
大きく2つ目の質問は、都市計画道路の事業中止、計画廃止によって、指定文化財や商店街の歴史と文化、崖線の景観、緑の保全など、区民の共有財産を守ることについてです。
国はこの間、未着手の都市計画道路については、計画の廃止を含めて見直す方針を出し、今年もさらなる見直し促進方針を示しました。この中で、住民団体の質問に対して国交省は、事業中の路線であっても見直し対象とする旨を回答しました。大事なことです。
これまで党議員団が繰り返し紹介してきたように、兵庫県や大阪府などの道府県、名古屋市などの政令指定都市は計画の見直し、廃止をすすめ、すでに計画のうち2~3割を廃止したところもあります。
たとえば、名古屋市は、2006年(平成18)年に、「未着手都市計画道路の整備方針」を、翌年には「整備プログラム」を定めて、15路線の6㎞の計画を廃止。今年3月、さらに見直しをすすめて、新たに30路線15㎞を廃止。10年間で合わせて45路線、21㎞を廃止の対象としました。
ところが、東京都だけは、2001年(平成16)年の見直しでわずか2路線、1.8㎞を廃止し、昨年3月の2度目の見直しでも、区部においては、廃止候補の3路線約3.6㎞などと合わせ9路線5.8㎞しか廃止する意向を示していません。廃止率は、計画全体のおよそ2~3%程度です。
国の方針にもとづく見直し作業なのに、どうしてこんなに大きな違いが出るのでしょうか。
名古屋市の場合を見ると、まず大事なことは、それぞれの計画道路がかかえている課題を8つの視点から明らかにしていることです。たとえば、沿道に文化財がある場合、道路の拡幅をすれば商店街への影響が心配される、公園や緑地を分断する道路計画になっている、また、高低差とか複雑な交差となる、道路構造に問題がある場合どうするか。
このように、路線ごとに重なり合う課題を明らかにしながら、道路整備の効果を検証する。さらに広域的、地区的な視点からの検討も加えて、市としての「路線別の整備方針」をつくり、たたき台として住民に示して、合意形成をはかるという仕組みをつくっていることです。
この仕組みを活用して検討すると、例えば、現況幅員7mを2車線15mにする拡幅計画の「笠寺緑線」という路線の場合には、文化財と商店街、木造密集地という3つの課題が明らかになりました。検討を進める中で、延焼遮断帯としての幅員は満たしていないが、道路整備によって、商店街の存続に影響がでる可能性があり、配慮が必要である。さらに、旧東海道の一里塚と笠覆寺(りゅうふくじ)の西門に支障を及ぼすため、線形や構造の工夫が必要。そのため道路線形などを見直す必要がある」としました。つまり、道路を拡幅せずに、道路の線形や構造を工夫することによって、文化財も守るし、商店街も守るため、現況幅員での整備計画に変更したのです。
路線ごとに丁寧な検討を重ね、財政的な支出も抑えながら、住民の理解と合意にもとづいて、廃止すべきは廃止するという努力を重ねている各地の自治体のとりくみが広がっています。
その一方で、いまだに終戦直後の70年も前の道路計画に固執し、住民の意見を聞くこともなく事業化を決めてゆく東京都のやり方。住民に向き合う姿勢、その違いがきわだっています。
だからこそ、「このまま黙っていたら、まちの歴史や文化が壊され、住民は追い出されてしまう」と、住民は今、やむにやまれぬ思いで、事業を認可した国を提訴し、東京都に計画の撤回を迫る、裁判に訴えているのです。すでに区内だけでも73号線と86号線の2つの都市計画道路について、志茂の地域、十条の地域、赤羽西の地域と、3つの地域の住民がそれぞれ100名規模で原告団を組織し、それぞれ提訴にふみきったのです。この住民の決意を、どう受け止めますか。
国の見直し方針に従えば、住民が提訴している路線はまさに計画を見直すべき路線ではありませんか。
そこで改めて、まちの歴史や文化の視点から、以下5つの質問をいたします。
(1)都と北区の指定文化財である稲付城址と静勝寺について
はじめに、都と北区の指定文化財である稲付城址と静勝寺についてです。
太田道灌ゆかりの寺として知られる静勝寺一帯は、赤羽西口から歩いて3分ほどの高台にあります。道灌山として親しまれ、稲付城の跡地は1961年、東京都指定旧跡とされています。
静勝寺は360年前に道灌の菩提寺としての体制が整えられ、木造の太田道灌座像が現存する唯一のお寺です。この道灌山が、86号道路によって削り取られようとしているのです、
現住職と先代のご住職らによって多くの古文書が、空襲から守られ、今も保存されています。中には330年前の江戸幕府の手による検地結果が示された「静勝寺除地検地絵図」も存在し、これによって、中世の時代の稲付城の遺構や、江戸時代における静勝寺の領域が一致していることも確認されています。このように、静勝寺一帯は江戸城を造った太田道灌にまつわる歴史と文化を知ることのできる大事な崖地と緑地なのです。
「北区文化財保護条例」では、「文化財保護制度は、国や都が指定した文化財のみを保護対象とするに留めず、地域の特色、個性を示す文化財を守っていこうとする点に意義を認め、保護対象を郷土の歴史や文化の理解に欠くことのできない資料全般に拡大することを目的としています」と規定しています。
そこでまず、1点目、教育長にうかがいます。稲付城趾が東京都の旧跡と指定され、北区が有形文化財指定している、木造太田道灌座像と静勝寺保有の古文書群や「検地絵図」。さらに稲付遺跡の一部で行われた試掘調査で確認された空堀など、北区の歴史と文化を語る上で、これらの文化財の持つ意義について、教育委員会としての見解をお示しください。
2点目は、これらの文化財や稲付城址遺跡、島下遺跡などの埋蔵文化財は、都市計画道路86号線によって、どのような影響を受けると予測されますか。文化財を保護するために、どのような手立てをとることが必要ですか。
3点目に、道灌山、静勝寺の一帯は、海抜23m程の崖線沿線地区の中にあって景観資源としても重要であることから、景観形成重点地区とするなど、景観の保護もすべきではないですか。
以上3点について、お答えください。
【区の答弁】
はじめに、景観の保護のご質問にお答えします。
静勝寺一帯を含む北区の崖線は、北区景観づくり計画の中で積極的な景観づくりを図りながら、「景観形成重点地区」への移行をめざす「景観形成方針地区」として位置づけている6地区のうちの一つです。
計画では、「崖線沿線地区」として、崖線の緑地を守り、つくることや、良好な眺望を活かした景観づくりを図ることを目標にしています。
区としましては、今後もこの目標の実現のため、取り組みを進めていきます。
次に、稲付城跡と静勝寺についてお答えします。
太田道灌ゆかりの稲付城は、城北地域における中世後半の歴史を考えるうえで、貴重な城跡であることから、昭和36年東京都の旧跡に指定されました。
これまでの周辺工事の際に行った調査において、稲付城のお堀跡などの遺構が発掘され、北区では、文化財保護法に基づき記録保存しています。
また、静勝寺が所有する木造太田道灌坐像附厨子や、ゆかりの古文書などは北区の歴史や文化に関係が深く、学術的にも価値が高いことから、北区の指定文化財として保護に努めています。
次に、都市計画道路事業による当該文化財への影響についてです。
工事手法等は検討中とのことであるため、現時点で明確にお答えすることはできませんが、旧跡となっている稲付城跡につきましては、基本的には文化財指定をしている東京都教育委員会において必要に応じて適切に対応されるものと考えております。
また、包蔵地内における埋蔵文化財につきましては、東京都教育委員会の指示に基づき、指導をしてまいります。
木造太田道灌坐像附厨子や古文書につきましても、引き続き、適切な保護に努めてまいります。
(2)伝統家屋である、築 120 年の「田の字の家」について
歴史と文化の2つ目は、伝統家屋である、「田の字の家」についてです。
「田の字の家」と呼ばれる伝統的な農家は、田んぼの田と表現されるように4つの部屋で構成される間取りや、母屋の屋根が「寄せ棟」であるのが特徴です。区立郷土資料館は昭和61年、1986年から5年以上の年月をかけて57軒の詳細な調査を行い、「田の字の家考」という調査報告書を発行しています。この報告書では、「環境や木造住宅の持つ良さも改めて見直されて良いものがある。」また、「そこに住んでいる人々の歴史や古いものに対する意識、自分の家に対する愛着、誇り、自信等いろいろなものが入り混じって現在まで維持されてきたということ」と、その歴史的な意義を記録しています。
今もこの「田の字の家」で暮らしている、十条仲原の女性は、「北区文化財調査員が直接我が家にきて、時間をかけて調査していかれた」とお話しされ、「120年近くの歴史がある古い我が家を守りたい。古い民家は壊され、現代的な建築物にとって代わる世の中ですが、私は私の大好きなこの家をむざむざ壊したくありません。しかし、73号道路ができれば、自宅の敷地の半分近くを失い、田の字の家も取り壊さねばなりません」と語っています。
伝統家屋である「田の字の家」はいま、区内に何軒残っているのでしょうか。「田の字の家」は保存すべき、北区の財産ではないのですか。お答え下さい。
【区の答弁】
田の字の家につきましては、江戸期から明治期にかけ、広く東日本の農家に見られた建築様式です。
平成4年に区内の57軒について、教育委員会が調査を行い、調査結果の詳細が報告されており、その後の実態把握はしていません。
ご紹介いただいた十条仲原の家屋は、平成4年における調査の対象となった1軒で、建物を保存する予定はありませんが、追加調査の必要性について、他の家屋も含め、検討させていただきます。
なお、教育委員会では、浮間に建てられていた「旧松澤家住宅」を平成11年に北区の有形文化財に指定し、その後、平成17年に現在の場所に移築・復元し、保存に努めるとともに、「ふるさと農家体験館」として活用を図っています。
この建物も、江戸末期に建てられた田の字の家です。
時代と風土を物語る建築の様式として、広く多くの方々にご覧いただけるよう、今後とも保存・活用に努めてまいります。
(3)戦前から 80 年以上つづく十条商店街の歴史と文化について
歴史と文化の3点目は、戦前から80年以上つづく、十条の商店街についてです。
さて、みなさん。JR各駅にスタンプが設置されているのはご存知ですか。赤羽駅は旧岩淵水門、王子駅は音無親水公園。上中里駅は旧古川庭園と、誰でも知っている地域資源がスタンプになっています。十条駅は十条銀座のアーケード、東十条駅はお富士さんです。
補助73号線が建設されれば、十条銀座商店街と富士見銀座商店街が分断されることになりますが、地域を特徴づける地域資源が開発によって一部でも失われるというようなことになれば、そこに住む地域の方は誰もいい気持ちはしないと思います。十条地域に住む住民の方々は、そういう思いでこの道路事業に向き合っているということを、ぜひ受け止めていただきたいと思います。
「安くて物がいい。十条価格。路地から路地へ、子どもからお年寄りまで安心して買い物できるタテヨコ5つの商店街。これこそが、このまちの地域資源」。誰に聞いても、共通する声です。
戦前の商店街の歴史を見てみると、当時各地域に進出してきた百貨店から商店街を守るために、当時の東京市が補助金を出して商店街組合の結成を促してきたという経緯もあります。戦後は都の道路の上に、都の補助金で仮設店舗を建設し、事業者に貸し出すことで復興を支えてきた。これが十条銀座商店街の歴史です。このように東京都が主導してつくり、守られてきた商店街を、今度は逆に東京都が壊す事業を進める。こんなことは絶対にあってはなりません。
加えて、補助85号線拡幅事業でも沿道で元気に営業されているいちょう通り商店街の大半に立ち退きをせまる計画も事業認可がおこなわれることになりますが、「地域資源は大事だ」と言いながら、これでいいのですか。商店街への重大な影響を考えれば、現道幅員のままの整備でいいではありませんか。そこで2点質問します。
1つ目は、今進められている十条のまちづくり計画では、この貴重な十条の商店街という地域資源が失われることになりますが、このことについて北区の考えをお示しください。
2つ目に、この地域資源を生かすこと。「庶民のまち十条」という貴重な地域資源をこそ、内外にアピールできる商店街振興策を区が支援すべきと考えます。いかがですか、お答えください。
【区の答弁】
はじめに、商店街という地域資源に対する区の考えについてです。
区では、補助73号線整備で、十条富士見銀座商店街および十条銀座商店街の一部に、補助85号線整備では、いちょう通り十条駅西口商店会に大きく影響があり、店舗などの用地を提供していただく必要があると考えております。
地域に根ざした商店街は、区民の身近な買い物の場に加え、コミュニティの核を形成する場や、賑わいを形成する場として重要な役割を担う貴重な地域資源であると認識しております。
都市計画マスタープランでは、十条銀座商店街は、「にぎわいの拠点」の一翼を担う区域として、その活性化に努めることとし、補助85号線沿道などの区域では、商業施設などと住宅との立体的共存を誘導することとしております。
今後とも、補助73号線および補助85号線の事業者である東京都と連携を図り、道路整備により影響を受ける商店街や町会等の皆さまと意見交換を行い、沿道のにぎわいのまちづくりについて、検討してまいります。
次に、「庶民のまち十条」をさらにアピールできる商店街振興策の実施についてです。
この度の都市計画道路整備などのまちづくりは、新たな住民の流入や人の流れの変化など、町をより良い姿に変えていくうえで、さらなる活性化を図る大きなチャンスであると考えています。
商店街や商店主の皆さまが、まちづくりを契機とした新たな挑戦に取り組んでいただけるかどうかは、一義的には個々の判断によるものと考えていますが、区といたしましては、今後とも、防災性の向上を図るまちづくり事業の重要性を踏まえつつ、商店街の皆さまとの意見交換を重ね、商店街のさらなる活性化や、まちの魅力の向上をめざして、既存商店街のにぎわい創出や個店の魅力発信、連携強化など、できる限りの支援に取り組んでまいります。
(4)区民共有財産の赤羽自然観察公園と赤羽スポーツの森公園について
歴史と文化の4つ目は、赤羽自然観察公園と赤羽スポーツの森公園についてです。
開園から18年が経過した区立赤羽自然観察公園も、軍事基地の開放を求める区民運動の中で、公園へと生まれ変わった平和都市北区を象徴する公園であり、区民の財産です。
赤羽自然観察公園のなりたちを特徴づけるもう一つ、忘れてならないことは、この土地活用にあたり、湧水を生かした公園づくりを基本とし、その計画策定から公園整備、開園後の維持管理にわたるすべての段階で、区民参画と区民ボランティアの活動によって現在の公園が成り立っているということです。もちろん、樹木医や公園管理についての専門家、担当課の皆さんの努力とも相まって、区民が伸び伸びと自然を楽しむことができる公園として、すっかり定着しているということです。
公園内の炊事場では親子デイキャンプ、古民家と田んぼでは田植えから稲刈り、脱穀、餅つきまでの体験学習。ある時は、防災拠点であるこの場所で、児童館が共催しての親子で防災訓練。楽しいゲームも取り入れながら、災害時の深井戸からの給水訓練や消防車と綱引きしたり。こうしてこどもから高齢者まで、四季の変化、カワセミに代表される野鳥の飛来など、区民の憩いの場として高い人気を誇る赤羽自然観察公園は、区民のかけがえのない財産だということです。
また、隣接するスポーツの森公園も開設から7年余となり、利用者も増えづけています。12日の日曜日には、毎年恒例の北区少年少女サッカー大会、51回目の開会式がこの競技場で行われました。サッカー愛好者は北区サッカー協会への登録者だけでも6000人以上と伺っていますが、多くはこの競技場の利用者です。利用者の声も聞かずに、強行すべきではありません。
この2つの公園にかかわり、以下3点の質問をします。
1点目、赤羽自然観察公園と赤羽スポーツの森公園の利用実績について、それぞれお答えください。
2点目、道路計画は構造的な危険とともに、環境破壊をもたらす計画ではありませんか。環境アセスメントはいつ実施するのですか。交通量の増加によって、2つの公園を移動する際の煩雑さと安全確保の問題、公害の発生に伴う子どもたちや自然環境への影響。駐車場利用者、公園利用者並びにバス利用者の安全確保。都道85号線への接続は、構造上の危険性。カワセミがやってくるジャブジャブ池の上部にある崖線を削って、弁天通りとつながる道路構造。高低差のある地形上の課題が山積しています。
北区は公園管理者として、これらの課題をどのように把握していますか。また、東京都はどのように課題を把握し、調査や検討をすすめているのですか。以上、お答えください。
3点目、都市計画道路86号線の建設をすすめれば、現実の問題として、これまでのように草っぱらで虫取りをしたり、2つの公園を自由に行き来することはできなくなります。2つの公園は、北区の歴史の中で育まれた区民共有の財産です。東京都と北区は、区民と利用者への説明責任をどのように果たされますか。
以上3点、お答えください。
【区の答弁】
はじめに、赤羽自然観察公園と赤羽スポーツの森公園の利用実績についてです。
赤羽自然観察公園の平成28年度の利用者数は、おおよそ11万9000人です。
また、赤羽スポーツの森公園の公園全体としての利用者数は把握しておりませんが、公園内にある競技場においては、平成28年度、おおよそ9万6000人の方が利用されております。
次に、環境アセスメントはいつ実施するのかとのご質問にお答えいたします。
東京都環境影響評価条例に基づく環境アセスメントは、4車線以上の道路事業が対象です。
赤羽西地区の補助86号線は、2車線で計画されており、環境アセスメントの対象外となっております。
次に、道路整備に伴う様々な課題について、どのように把握しているかとのご質問にお答えします。
赤羽自然観察公園および赤羽スポーツの森公園は、設計段階から、都市計画道路の整備を考慮して公園整備を進めてきております。
現在、東京都では、道路整備に向け、地質調査や交通管理者等関係機関との協議とともに、高低差のある地形の処理方法の検討などを進めていると聞いております。
区といたしましては、今後、道路構造の具体的な設計内容が定まり次第、当該箇所における各課題については、個別の調整をしてまいります。
次に、2つの公園の往来を道路が分断することの説明責任をどのように果たすのか、とのご質問にお答えいたします。
東京都と区は、ともに連携し、2つの公園の安全な往来等について、地域や利用者の皆さまへの丁寧な説明に努めてまいります。
(5)住民訴訟となっている道路計画はいずれも、国土交通省の「見直し方針」の対象となる道路ではないか
それぞれの地域における歴史と文化にふれながら、都市計画道路の問題について、区の姿勢を質してきました。
最後の質問は、現在、住民訴訟となっている都市計画道路はいずれも、国の「見直し方針」の対象となる道路計画ではないのかということです。
国土交通省は、未着手路線だけでなく、すべての都市計画道路を、早急に見直し対象とするよう繰り返し指摘しています。先ほど紹介した名古屋市では、45路線21㎞廃止するだけでなく、8割方事業が進捗していた弥冨相生山路線の事業を中断し、見直し・廃止の検討を提案しています。私が現地調査をしたところ、相生山では道路工事が山の中ほどで止まっていました。この山で梅の剪定作業をしていた男性は、「道路をつくるにしても止めるにしても、どれだけの金がかかることか、全部税金だ。考えてほしい」とおっしゃっていました。
東京都では、反対の意見の多い路線をごり押ししていますが、用地買収が進まず、28年度の特定整備路線の予算を140億円も削減する事態になっています。
いま、北区の3つの地域で住民訴訟が起きていますが、いずれも国の「見直し方針」の対象となる道路計画ではないのですか。お答えください。
【区の答弁】
国は、技術的助言である「都市計画運用指針」の中で、地方公共団体において都市計画道路の必要性について検証を行い、その結果を踏まえて、廃止や幅員変更など適切な見直しを行うことを助言しています。
また、東京都と特別区等では、この指針に基づき、必要性の検証等を行い、おおむね10年間で優先的に整備すべき路線を定めた都市計画道路の整備方針、事業化計画を策定してきました。
区といたしましては、訴訟が提起されている事業中の都市計画道路につきましては、必要性の検証等がなされていることから、見直し対象路線とは考えておりません。
3、王子区民事務所混雑緩和の抜本的対策と7分室廃止方針の撤回について
大きく3つ目の質問は、王子区民事務所の混雑緩和の抜本的対策と7分室の廃止方針の撤回を求めるものです。
今定例会に、7つの分室を全廃する条例改正案が提出されていますが、年間約9万5000件もの処理を扱う分室を一挙に全部なくしてしまうことは、あまりに乱暴であり、認められません。
区は住民票などのコンビニ交付が始まったからといいますが、サービスを受けるにはマイナンバーカードが必要です。現在、マイナンバーカードを取得している区民は約1割強にすぎず、分室の代わりにはなりません。区民に身近な窓口をなくしてしまえば、多くの利用者に不便を強いるサービス切り下げとなることは明らかです。
同時に、これだけ重要な条例改正を、利用者、区民の意見も聞かず、区議会への報告だけで済ませようというのは、「区民とともに」という区の基本姿勢にも反するものです。区は、町会・自治会連合会や地元の町会・自治会には「周知についての協力」を求めたといいますが、利用者に対しては、分室がなくなることも、その是非についても事前に意見を聞いていません。また、職員団体とも協議は継続中と聞いています。
しかも、分室を廃止して、人員や端末を区民事務所に集約するとのことですが、毎年繁忙期には数時間待ちという状況になる王子区民事務所の抜本的な混雑緩和策は明確に示されていません。
そこで、3点伺います。
1つ目、分室を廃止する前に、まずは王子区民事務所の混雑を抜本的に緩和する方策について、区が責任をもった方針を明らかにすべきです。
2つ目、王子区民事務所の混雑緩和のために職員の増員が必要となる場合は、分室からの集約ではなく、新規の職員を増やすことで対応することです。
3つ目、分室を全廃する方針を見直し、区民、利用者への丁寧な説明をおこなって意見を聞く機会を設けるとともに、職員団体とも時間をかけた協議をおこなうよう求めるものです。
区長の誠意あるご答弁を求めます。
【区の答弁】
まず、王子区民事務所の混雑を抜本的に緩和する方策についてです。
区民事務所の繁忙期対策には、異動系の事務処理体制の強化、特に端末、人員、スペースが欠かせません。
そのため、平成29年の繁忙期において、端末については、分室をはじめ区民部内の課から一時的に端末の融通を行い、区民事務所で稼働する端末を増設しました。
また、人員については、区民事務所以外の職員にも兼務発令を行い、従事職員数を補強しました。
なお、スペースについては、庁舎の物理的な制約があるため、転出専用窓口を設けるなど、手続きごとの動線で工夫したところです。
こうした従前にない対策を講じたことにより、前年と比較して、最大待ち時間を1時間半程度短縮することができました。
しかし、ここ数年の人口増加傾向に加え、来年度からは大規模マンション建設が相次いで予定されており、繁忙期のさらなる混雑が確実視されています。
このため、これまで以上の抜本的な対策が必要となっており、そうしたことから分室からの端末と人員の集約が不可欠と考えています。
次に、王子区民事務所の混雑緩和のための増員対策についてです。
3月、4月期の繁忙期という一時期のため、区民事務所に職員を増員した場合、年間を通してみると過大な配置となってしまうため、適正な職員配置とはいえません。
そのため、区民事務所の繁忙期のような一時的な事務量増加に対しては、この春に行った兼務職員を活用した配置など柔軟な応援体制の構築で対応することが適切であると考えています。
次に、分室全廃の方針見直しと利用者への説明、職員団体との協議についてです。
分室廃止の周知については、北区ニュースやホームページなどを活用して行うほか、地域生活に密着した町会・自治会の回覧板や掲示板などでのご案内も実施することにしています。
また、分室利用者の皆さまは、手続きが必要な都度、来書されるため、分室にお見えになったタイミングをとらえて、直接ご説明させていただくことが効果的と考えています。
いずれにいたしましても、議決後、条例の施行期日までの間を活用し、丁寧なご案内に努めてまいります。
なお、職員団体との協議につきましては、区民事務所・分室の見直しの提案部分については、ほぼ合意形成に至っており、詳細について、今後協議を進める予定となっています。
このようなことから、分室廃止の方針の見直しについては考えていません。
4、障がい者の雇用確保と高齢者支援について
大きく4つ目の質問は、障がい者の雇用確保と高齢者支援についてです。
障がい者が働きながら一般企業などへの就労に必要な知識や能力を身につける、就労継続支援A型事業所が、経営悪化を理由に閉鎖し、大勢の障がい者が解雇されるケースが全国で相次いでいるとの新聞報道に接し、さらに、予算懇談の折にもこのようなお話を伺いました。
厚生労働省の資料によると、2010年には707しかなかった事業所は、2015年には3158と4.5倍に急増。中でも営利法人の割合が25%から50%以上と増加。こうした問題の背景には、営利企業が社会福祉事業に参入できるようにした規制緩和政策があるとの指摘があります。区内での影響はないのでしょうか。
(1)国に、障がい者雇用の実態調査と営利企業による社会福祉事業参入の見直しを求めよ
障がい者雇用について、1つ目の質問は、国に対して、障がい者の就労継続支援A型事業所閉鎖に伴う障がい者の解雇の実態調査と、営利企業の社会福祉事業参入の見直しを求めることが必要と考えますが、お答えください。
【区の答弁】
現在区内で運営されている3ヵ所の就労継続支援A型事業所については、これまでに実地検査と聞き取り調査を実施しましたが、障がい者雇用の事実はありませんでした。
区といたしましては、今後も実地検査等を行い、引き続き、事業所の運営を注視していく予定であるため、国に対し、障がい者雇用の実態調査の実施と民間企業による社会福祉事業参入の見直しを求めることは考えておりません。
(2)就労相談支援事業の報酬単価引き上げを
2つ目の質問は、就労相談事業の報酬単価引き上げについてです。
区内では、障がい者の就労支援事業には関係者の粘り強い取り組みが重ねられていますが、その人材確保の上からも区としても一定の対応が行われてきましたが、さらに、抜本的な支援を強める必要があるのではないでしょうか。お答えください。
【区の答弁】
障がい者の就労支援は、就労支援センター北で実施しており、企業への障がい者雇用の働きかけとともに、就職後の就労定着支援と生活支援のニーズが多様化し、業務量は年々増加しています。
このような状況に対応するため、今年度は、補正予算の対応により、わくわくかんに常勤職員を1名、ドリームヴイに臨時職員1名をそれぞれ増員し、就労支援センター北の執行体制の強化を図りました。
今後も安定した就労支援事業が実施されるよう努めてまいります。
(3)障がい者雇用の創出と高齢者支援について
3つ目に、障がい者雇用の創出と高齢者支援について伺います。
都営桐ヶ丘団地では、空き店舗を活用したレストランや、気軽に友達とお茶のみができる居場所を高齢者に提供したり、配食サービスなどの訪問による安否確認などを、障がい者の就労の場として定着させる中で、高齢者や地域との交流がひろがっています。
そこで、障がい者の新たな雇用の場として、シルバーピア赤羽北との連携はできないものでしょうか。80歳を過ぎてからの、新しいシルバーピアへの転居。住宅はきれいで、使いがってもよくなってうれしい。ところが、これまでのように、気軽に買い物ができないし、坂があって、外に出る機会が少なくなったという悩みが寄せられています。そこで、地域にある様々な力の連携によって、高齢者が「転居してきてよかった」と思えるような、新たな取り組みがあることを伺っています。その中で、障がい者の雇用創出につなげてゆくことはできないでしょうか。前向きなご答弁を求めます。
【区の答弁】
来年度、社会福祉法人さざんかの会が法人の地域貢献事業の一環として、就労継続支援B型事業所が作製するお弁当等の移動販売を予定していると聞いています。
一人暮らし高齢者等が支えられ、障がい者の就労が拡大する事業展開は、共生社会の実現に向けた新たな取り組みで大変有意義であると考えています。
区といたしましても、高齢者あんしんセンター等との連携を含め、必要な支援について検討してまいります。
5、都営・区営住宅への若年層の入居促進について
大きく5つ目の質問は、都営住宅や区営住宅への若年ファミリー層の入居促進についてです。
石原都政時代からすでに20数年にわたり、都営住宅の新規建設がストップされたまま現在にいたっています。さらにその後、都営住宅の使用承継を厳しくしたり、収入基準を引き下げたことから、都営住宅での高齢化が一気にすすんでいます。区営住宅も同様です。
日本共産党北区議員団は、毎年の予算要望や議会質問を通じて、若年ファミリー層の入居促進を求めつづけてきました。
都は今後の若年ファミリー世帯向けの募集については新たな方策を検討されているとのことです。都の今後の方策について伺います。北区にとっても、若年ファミリー層の入居を促進させてゆくことは課題だと考えますが、今後の取り組みについてもお答えください。
【区の答弁】
はじめに、都営住宅については、若年ファミリー層向け空き家募集と多子世帯向けおよび若年ファミリー層向け定期使用住宅の募集など、それぞれ年2回行っております。
東京都は、都営住宅への若年層の入居促進を図るため、平成30年1月以降、毎月、若年夫婦・子育て世帯向けに募集をすると伺っております。
また、区営住宅については、年1回、若年ファミリー層も含めた家族向けの空き家募集に加え、空き家とならないよう補欠登録を行っております。
今後も、限られた区営住宅の効率的な管理・運営に努めてまいります。
6、急増する重層長屋の対策を求めて
大きく6つ目の質問は、区内でも急増している重層長屋に対する対策についてです。
「重層長屋」とは、共用の廊下や階段、エレベーターがなく、すべての住戸が1階にあり、縦に連なる長屋のことです。その敷地の特徴は、路地の間口が狭く、通路のように長い路地上の敷地の奥に建物のスペースがあること。それを上空から見ると、ちょうど旗竿のように見えることから、「旗竿敷地」ともいわれています。すでに、都内では世田谷区や足立区などで多く建設され、大問題になっています。共同住宅は、「東京都建築安全条例」で規制されていますが、「重層長屋が大火事になったら、周辺が火の海になりかねない」と、都条例の改正を求める動きが強まっていると伺っています。
そこで、以下2点質問します。
(1)区内の実態調査について
1点目、北区での実態はどのように把握されているのでしょうか。実態調査の方法とその結果、課題について、お答えください。
【区の答弁】
はじめに、区内の実態調査についてです。
区では、平成21年度から、のべ床面積が300平方メートル以上の大規模な重層長屋について、建築確認済証の交付件数により、その実態を把握しております。
その結果、平成28年度末において、大規模重層長屋が約60棟あり、うち路地状敷地に該当するものが18棟ありました。
この路地状式での大規模重層長屋は、奥まった敷地に多くの住戸があり、火災等における居住者の避難や、消火および救助活動がしにくいことが、課題として挙げられます。
(2)東京都建築安全条例の改正を求めよ
2点目、都に「東京都建築安全条例」の改正を求めるべきではありませんか。お答えください。
以上で、日本共産党の代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
長屋は、居住者が各住戸から直接または専用の階段によって、地上に避難できる構造となっていることから、建築基準法では、避難規定上、戸建住宅と同様の扱いになっているところです。
そのため国は、関係する地方公共団体で構成する検討会を設置し、火災時等における大規模重層長屋の危険性とその対応について一定の方向性を示しております。
この国の方向性を踏まえ、東京都および特別区は、大規模重層長屋がもたらす危険性に対し、条例の改正も視野に入れた、対応策の検討を行っているところです。