2019年第3回定例会個人質問―さがらとしこ
2019年9月10日 | さがらとしこ
私は、ヒロシマ、ナガサキの被爆75年となる2020年までに、一刻も早く核兵器禁止の国際条約発効をめざす取り組みや、学校施設跡地への北区児童相談所施設整備など、大きく5点の質問をおこないます。
1、被爆75年となる2020年、核兵器のない世界の実現にむけた平和首長会議加盟自治体としての取り組みについて
はじめに、核兵器のない世界の実現にむけた、平和首長会議加盟自治体としてのとりくみについてです。
「ノーモア・ヒロシマ」「ノーモア・ナガサキ」「ふたたび被爆者をつくるな」と、自らの被爆の実相を語り、世界に核兵器の非人道性を訴えつづけてこられた被爆者。「原爆は人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しません。核兵器はもともと、絶滅だけを目的とした狂気の兵器です。人間として認めることの出来ない絶対悪の兵器です。」これは、1984年に発表された「原爆被害者の基本要求」の中に記されている被爆者の声です。核兵器の非人道性を告発した被爆者のこの叫びが、世界の人々の心を揺り動かしてきました。
すでに、被爆者の平均年齢は82歳を超え、「命のあるうちに」の願いは切実です。
一方、広島と長崎の両市長が世界各国の自治体によびかけて発足した「平和首長会議」の加盟自治体は、9月1日現在、実に163ヵ国、7789自治体となり、国際的な組織として重要な役割を果たしています。
わたくしは、2010年のNPT再検討会議が開催されたニューヨークでの市民集会に参加しましたが、被爆者のみなさんと平和首長会議を呼びかけた広島、長崎の両市長を先頭に、世界各国から参加した市民が、メッセージを書いた色とりどりのプラスターやタペストリーを手に、「核兵器は禁止」「核兵器は廃絶しかない」と、国連本部までパレードした時の情景を忘れることは出来ません。
永年にわたる粘り強い、被爆者を先頭にした「核兵器なくせ」の平和運動のとりくみこそが、2年前の2017年7月7日、122ヵ国が賛同する「核兵器禁止条約」の採択へと実を結んだのではないでしょうか。この「禁止条約」の中で、「核兵器使用の被害者である、被爆者と核実験の影響を被った被災者の受け入れがたい苦難と被害に留意し、…すべての国のいかなる時においても、国際人道法及び国際人権法を含む適用可能な国際法を順守する必要があることを再認識し…」と書かれているように、一刻も早い国際条約としての発効が求められています。すでに25ヵ国が議会などを通じて条約を正式に承認する、批准を行い、70ヵ国が署名・調印すすめているなど、被爆から75年となる2020年をめざして、各国の動きが急速に広がっています。いままさに、唯一の被爆国である日本政府の姿勢が、国際的に問われています。
平和首長会議はこの間、「2020年までの核兵器廃絶を私たちの手で」と、「平和首長会議行動計画」に基づく行動を各国の加盟自治体によびかけています。そこには、次世代の平和活動を担う青少年の育成、幅広い層の市民の平和意識の啓発、加盟都市におけるヒロシマ・ナガサキのメッセージの発信・継承、多様な主体との連携の推進などが提案されていますが、以下3点について質問します。
(1)平和首長会議行動計画を北区としてどう取り組んでいるのか
1点目は、平和首長会議行動計画のよびかけに応え、北区としてこれまでどのように取り組んできたのか。そして、被爆75年、2020年にむけた北区の行動計画についてお答えください。
北区では、平成23年2月1日に平和首長会議に加盟して以来、行動計画が掲げる「核兵器のない平和な世界の実現」と「安全で活力ある都市の実現」に向け、加盟都市との情報共有や連携を図ってまいりました。
2020年は被爆75周年であるとともに、北区が平和祈念週間事業を開始してから30回目という節目の年でもあります。
こうした機会をとらえ、区では幅広い世代の方々の一層の平和意識の醸成を図るため、平和首長会議行動計画をふまえながら、平和にかかる様々な取り組みを検討してまいります。
(2)平和首長会議の署名とともに、ヒバクシャ国際署名の推進について
2点目は、平和首長会議は「幅広い層の市民の平和意識の啓発」を目的として、「ヒバクシャ国際署名」と連携した『核兵器禁止条約』の早期締結を求める署名活動」に取り組み、集められた署名を共に国連関係者に提出していくとしていますが、北区の署名推進の取り組みについて、お答えください。
ヒバクシャ国際署名の取り組みについては、区としても承知しております。
ヒバクシャ国際署名の推進につきましては、他自治体の動向などに引き続き注視してまいります。
(3)核兵器禁止条約の署名と批准を政府に求めること
3点目は、平和首長会議に加盟する区長として、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求めてください。
以上、積極的な答弁を求めます。
核兵器禁止条約の早期批准・締結を政府に求めることについては、昨年11月、平和首長会議国内加盟都市会議として、内閣総理大臣あてに、核兵器禁止条約の早期実現に向けた取り組みの推進について、要請文を提出しています。
区では、「北区平和都市宣言」に基づき、区民とともに、平和で自由な共同社会の実現に向け、努力してまいります。
2、北区初、スターハウスなどの「登録有形文化財」について
大きく2つ目の質問は、北区初となる、スターハウスなどの「登録有形文化財」についてです。
7月19日、国の文化財審議会は区内の2ヵ所にある建物を、「登録有形文化財・建造物」として登録という答申を文部科学大臣にだしました。区内には、国指定の文化財、東京都または北区の指定する有形文化財や無形文化財などがありますが、「登録有形文化財」になる建物というのは北区では初めてのことと伺いました。文化庁の発表では、1ヵ所は、滝野川の銭湯稲荷湯さん。もう1ヵ所は、私も保存活用を求めてきたUR都市機構住宅、赤羽台団地のスターハウスと呼ばれる「ポイント型」の建物3棟と、板状階段室型住棟1棟です。
スターハウスが文化財になるというのはとてもうれしいことでしたが、そもそも文化財の指定と、「登録」との違いはなんなのか。また、公的な集合住宅は全国にたくさんあるものの、この赤羽台団地が全国ではじめて「登録文化財」としての答申を受けたということには、どんな意味があるのか。
まずはその違いや意味を知らなければと、図書館や博物館をたずねました。
その中で、文化財には「指定」と「登録」の2種類があって、この2つは厳然と区別されていること。「指定文化財」というのは、お上が、つまり国などが主導し、建物の所有者に「この建物は価値があるので文化財にしますよ」と宣言するもの。「登録有形文化財」というのはその逆で、築50年以上の建物の所有者が自ら登録したいと申請を出して、文化庁の答申を経て登録される仕組みとなっていること。つまり、「登録」はボトムアップ方式です。また、建物の活用のしかたにも違いがあるようです。
そこで1点目の質問は、区内2ヵ所で「登録有形文化財・建造物」の答申が出されましたが、あらためて、「登録文化財」としての特徴や意義ついて伺います。さらにこの2ヵ所が登録されることの意義について、それぞれお答えください。
登録有形文化財は、国や自治体が「指定」する文化財になると、軽微な修理も自由にできないなど、所有者に様々な制限がかかり、指定されるのを敬遠する事例もあったことから、保護だけでなく、ある程度所有者が自由に改変し、活用もできる新たな文化財のあり方をめざして平成8年に創設された制度です。
そのうちの登録有形文化財・建造物の登録基準は、建設後50年を経過し、かつ「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、「造形の規範となっているもの」、「再現することが容易でないもの」の3つの条件のうち、いずれかに該当するものとされています。
登録を希望する場合は、所有者が教育委員会との連絡調整を経て、専門家による調査を行った上で文化庁に申請することとなります。
すでに1万件を超える建造物が登録されており、届出制という緩やかな規制を通じて保存が図られ、活用が促されています。
今回、登録有形文化財への登録を答申された稲荷湯とスターハウス等の4棟についても、登録以後は、保存・活用に必要な修理等の設計管理費の補助や固定資産税の減免等の優遇措置が適用されますので、所有者として末永く残すことが可能となります。
2点目の質問は、この「登録有形文化財」という新たなできごとを、これからのまちづくりや地域文化の発展に、どう生かてゆくことができるのかについてです。
「登録有形文化財建造物制度」にもとづいて、全国にはすでに1万件を超える建物が登録され、新たに毎年数百件も登録されているとのことですが、私はこの間、そのうちの数カ所を訪ねることができました。
台東区や文京区の古い町並みを保存して生かすまちの中で、「登録有形文化財」の緑色のプレートを見つけることができました。
また、全国的な注目を集めている茨木県桜川市真壁地区では、陣屋、現在は真壁伝承館という施設を中心にすでに109件が登録されていて、宿場町や城下町の住宅や商家などをまとめて保存するため、「重要伝統的建造物群保存地区」と位置づけ、住民参加型の時間をかけたまちづくりをすすめていました。
さらに、静岡市清水区蒲原地区の旧五十嵐歯科医院邸という「登録文化財」は、旧蒲原市が町の財産と位置づけ、その活用については、住民と行政の協働で行うという新しい発想による活動の様子を見聞することができました。
旧五十嵐歯科医院について、少し長くなりますがご紹介します。歌川広重が描く東海道53次「蒲原夜之雪」で知られる蒲原宿の中心地に建物があり、町屋の建物をを洋風に改築した外観でした。2階には古い診察室と待合所が残っていましたが、そのほかの1階から2階の各部屋は、明治、大正、昭和に増改築を重ねた和風建築となっていて、欄間やふすまの室内装飾はすばらしいものでした。現在は、静岡市がNPO法人に委託し、管理運営しています。
NPO代表者の方のお話では、登録文化財とはどんなことなのか、関心を持たれた住民の方々が「旧五十嵐邸を考える会」をつくり、学習や調査をしたり、行政への要請や協議を重ねて、登録が実現したのは2000年(平成12年)で、住民自らNPO法人を立ち上げ、耐震工事の時には、工事現場で歴史を学ぶ機会をつくるなど、さまざまな企画で住民の参加を広げながら20年近くの活動になるとのことです。
そこで2点目の質問です。
スターハウスなどが「登録有形文化財」に登録となれば、北区でのまちづくりや地域文化の発展にどのように生かせるのか。また住民はどのような関わりを持つことができるのでしょうか。私は、住民参加による活用の道を切り開いていただきたいと考えますが、現状での認識と今後の課題について伺います。お答えください。
文化財保護法に基づく取り扱いは異なるものの、登録有形文化財は、指定有形文化財と同様に、その土地に由来する歴史的・文化的価値を十分に有する貴重な資源と言えます。
区としましては、歴史的文化の継承と活用は、区民の郷土意識を高め、まちづくりや地域文化の発展に寄与すると考えますので、引き続き、文化財の保護と活用を推進してまいります。
また、住民参加については、登録文化財の現状により、異なると考えています。
今回登録された文化財の一つである稲荷湯については、まずは公衆浴場としての営業が最優先されるものと考えています。
一方で赤羽台団地のスターハウス等については、UR都市機構がその保存活用策として、情報発信施設として整備する方針を公表しています。
区としましても、高度経済成長期に団地造成とともに発展した北区の象徴的団地でもあることから、その保存活用については、北区の新しい魅力となるようUR都市機構と十分に協議調整を進めるとともに、地域住民に親しまれる施設となるよう住民参加については伝えてまいります。
3、区立赤羽台西小学校改築の課題と用地確保について
大きく3つ目の質問は、区立赤羽台西小学校改築の課題と用地確保についてです。
わたくしは、この地域の小学校適正配置計画という学校廃合問題について、議会質問などを通じ、公的住宅の建替え事業と新たな住宅建設などによって、この周辺地域の将来人口は増加傾向にあると繰り返し指摘し、学校統合はやめること。またUR赤羽台団地内にある赤羽台西小学校改築にあたっては、児童数の増加に対応できる学校施設規模とすること。さらに、改築工事中の児童の負担軽減をはかること。そのためには、土地の所有者であり、新たな住宅建設を計画しているUR都市機構と、北区並びに教育委員会が、小学校改築用地の確保について協議する必要があると提案してきました。
議会複数会派からの提案もあり、区長は今年3月、UR都市機構に「赤羽台団地建替事業用地の一部譲渡について」という要望書を提出されました。
そこで、以下2点質問します。
(1)区長がUR都市機構に要請した「建替事業用地の一部譲渡」の規模について
1点目は、区長がURに要請した、「建替事業用地の一部譲渡」の規模についてです。区長は要望として、「学校を改築して人口増加に対応するためには、用地の拡張が必要となっています。当該改築計画の事業化は、貴職が推進する建替整備事業等に伴い転入する居住者の教育環境にも寄与するものであり、事業用地の一部譲渡にあたり、特段のご配慮をお願いいたします」と述べられたと伺っておりますが、その対象用地の場所とその規模について、お答えください。また、規模について、その根拠となる人口増加はどのように見込まれているのか。また改築工事中の児童への負担軽減への配慮についての考え方についてお答えください。
今後、UR都市機構が実施するF街区とG街区の整備事業によって、どの程度の児童生徒が増加するかについては、想定の根拠となる住宅整備の詳細が明らかになる時期まで、いましばらく時間を要すると考えています。
しかしながら、いずれにしても、一定の増加は見込まれる状況にあるとの認識から、学校敷地に隣接する事業用地について、区長部局を通じて、UR都市機構に対して学校敷地拡張の意向をお伝えしたところです。
学校施設の規模については、改築計画を具体化する段階で検討する予定ですが、当該用地の確保によって、児童の動線や敷地内の施設配置など、設計の自由度が広がるとともに、施工方法や工期などにもプラスに影響することから、結果として、児童への負担軽減につながるものと考えているところです。
(2)UR都市機構との協議経過と今後の用地取得について
2点目は、UR都市機構との協議経過と今後の用地取得について、その決意についてお答えください。
区が提出した要望書に対して、これまでにUR都市機構からは、今後、UR賃貸住宅の建設を進める予定のF街区の整備計画を作成する中で、区の要望を考慮に入れ検討を進めると、回答を頂いています。
区としましては、UR賃貸住宅をはじめ、団地周辺の共同住宅等の開発計画に対応し、引き続き良好な教育環境を確保できるよう努めてまいります。
4、旧赤羽台東小学校跡地への北区児童相談所等整備計画について
大きく4つ目の質問は、旧赤羽台東小学校跡地への北区児童相談所等整備計画についてです。虐待によって、幼い命が失われるという事件がまたも起きてしましました。子どもの虐待をなくすとりくみはますます大きな社会的課題となっており、昨日、わが会派は代表質問でもとりあげました。
児童虐待防止対策強化を図る児童福祉法の一部改正で大事な事柄は、(1)親権者による体罰の禁止が明確になったこと。(2)民法822条の「懲戒権」のあり方については、2年以内に検討するとしたこと。(3)児童相談所の設置基準を新たにするため、本年度中にその内容をかため、2023年に法を施行し、政令改正を行うとしたことです。
さらに8月2日から「児童虐待防止対策にかかる体制強化の在り方に関する協議の場」で、国と自治体との協議がすすめられ、児童相談所における児童福祉司の配置基準を定め、過剰負担を見直すこと。さらに、児童相談所の機能分化、弁護士と医師・保健師の配置。また、児童福祉司とスーパーバイザーの人用要件の見直しで、児童福祉司の配置基準の法定化をはかること。
児童相談所と関係機関との連携を強化し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。そのために、現行法による関係機関の連携に加え、弁護士その他との連携強化。さらなる機能強化を図るため、都道府県警察、婦人相談所、教育委員会、配偶者暴力相談支援センターも位置づけるとしています。
昨日の代表質問に対して、「児童福祉司については、現在のところ人口3万人に一人の配置として12名、さらに虐待対応件数による加配を想定しています」との答弁をいただきました。
一方、特別区長会はこの7月、「令和2年度都の施策及び予算に関する要望書」を東京都に提出し、その中で、児童相談所設置の促進にあたり、(1)児童相談所開設時の立ち上げ支援として、特別区職員の派遣研修の受け入れや都事業の広域的な区の利用、(2)
児童相談所の移管に係る財政措置、(3)児童相談所の移管にかかる都有地の活用を求めています。
こうした国、東京都と23区の最新の動向をふまえ、以下3点質問します。
(1)先行3区における取り組みの現状と課題について
1点目、先行3区におけるとりくみの現状と課題について、お答えください。
世田谷区および江戸川区については、令和2年4月に児童相談所設置市に指定する政令が本年8月22日に閣議決定され、荒川区については、令和2年7月に児童相談所設置市に指定する政令が8月27日に閣議決定されました。
今回の閣議決定は、特別区が長年にわたって積み重ねてきた取り組みの成果と、これらの取り組みにかかわった特別区職員の思いが結実したのもであり、特別区の歴史に大きな画期をなすものです。
また、先行3区における来年度の児童相談所の設置に向けては、個別ケースの引き継ぎや、「児童相談所設置市の事務」の引き継ぎ等が課題であると聞いております。
北区においては、同じ北児童相談所の管轄である荒川区の引き継ぎ状況を注視し、北区の児童相談所の設置計画の参考としてまいります。
(2)学校跡地活用による施設内容と規模、また職員配置について
2点目は、赤羽台東小学校跡地の活用による施設内容と規模、職員配置についです。住民にとって、より利便性が高く、身近な存在になる児童相談所として、子ども家庭支援センターや教育相談などの施設整備によって、総合的な施策の推進とするよう求めます。先行区を参考に、北区としては施設内容とその規模について、それぞれどのように検討されていますか。
とりわけ、児童福祉司をはじめとする職員配置とその確保のためには緊急かつ抜本的な対策が求められますが、あらためてお答えください。
はじめに、施設内容については、子ども家庭支援センター、さくらんぼ園、児童相談所・一時保護所、教育総合相談センター等、子ども・教育にかんする施設・昨日の複合化を行い、子どもに関わる総合的な相談拠点としての施設整備を予定しています。
次に、施設規模については、相談室や会議室の共有化など、複合化による効率的な施設整備の検討とあわせて、一時保護所の個室化等の検討を行い、子どもの人権に配慮するとともに、必要な機能を確実に整備することができる施設の適正規模についても検討いたします。
また、職員配置については、児童相談所等の経験者採用や任期付き職員の採用等による専門職の確保と児童相談所への職員派遣の拡充等により、区職員の専門性の強化を図るなど、様々な手法により、必要となる専門職の確保と育成に努めてまいります。
(3)「北区子どもの権利条例」をつくり、子どもの権利擁護や意見表明権などの保障を
3点目は、「北区子どもの権利条例」制定についてです。
「子どもの権利条約」の国連での採択から、ことしは30周年となりました。日本が条約を批准したのは、国連での採択から5年後のことでした。
条約は、子どもを権利の主体にすることを求めています。ひとりひとりの固有の生存と発達を大切にしなければならないこと。それゆえに大人は、子どもが発するさまざまな信号を感じ取り、子どもと真剣に関わり続けなければならないこと。子どもを権利の主体として、その地位を社会的に保障することを各国に求めたのです。しかし、いま、国内では、いじめ、自殺、指導死、虐待、性暴力、貧困など、子どもの人権侵害にかかわる深刻な事案が連日のように報道されているのが実態です。
世田谷区は、今年7月に発表した「児童相談所設置・運営計画~最終更新計画~」の第13章で、子どもの権利擁護と苦情・不服申し立てへの対応を明確にし、当事者である子どもの権利擁護の取り組みとして、意見聴取・アドボカシーを位置付けています。北区児童相談所を開設するにあたり、「北区子どもの権利条例」の制定はどうしても必要ではないでしょうか。
そこで、「北区子どもの権利条例」をつくり、子どもの権利擁護や意見表明権などを保障することを求めるものです。積極的にご答弁ください。
児童の権利に関する条例は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、区では、この条約もふまえ、「北区子ども・子育て支援計画2015」の基本的視点において、子どもの人権を尊重し、「子どもの最善の利益」の実現をめざすとしています。
そして、この基本的視点に基づき、すべての子ども・子育て施策を推進しているところです。
児童相談所開設にあたっても、引き続き、子どもの人権を尊重し、子どもの最善の利益の実現をめざし施策を推進していくことが重要と考えており、今年度策定中の「子ども・子育て支援計画」2020においても、同様の趣旨を盛り込むことを検討しています。
ご提案の条例制定が必要とは考えておりませんが、先行3区をはじめ、他自治体の実態の把握に努め、今後の研究課題とさせていただきます。
5、臨時窓口利用件数が1500件以上となった赤羽区民事務所旧桐ヶ丘分室の次年度からの対策について
大きく5点目の質問は、昨年廃止された赤羽区民センター桐ヶ丘分室についてです。
旧桐ヶ丘分室では、都営住宅などの収入申告時期にあたる6月3日から28日までの20日間、赤羽区民事務所「桐ヶ丘臨時窓口」が開設されました。
取扱事務としては、収入申告に必要な住民票、印鑑証明、税証明に限定されたものでしたが、利用件数は昨年同時期に匹敵する1500件を超える規模となりました。
昨年9月末をもって区民事務所7分室を全廃する北区の方針に対して、日本共産党北区議員団は、「区民にとって身近な窓口」を廃止することは住民サービスの低下であり、区民に大きな負担を強いる「分室の全廃は撤回せよ」と繰り返し北区の姿勢を追及し、分室の存続を求め続けてきました。
そこで以下、2点質問します。
1点目の質問は、今年度の旧桐ヶ丘分室臨時窓口での利用件数、地域別来所者数と、利用された区民の声についてお答えください。
期間中の利用件数は1546件で、前年同期の比較では、270件の減となっています。利用者の居住地は、桐ヶ丘地区の方が910人、赤羽北地区が413人、赤羽西地区が120人で、3地区合計で、1443人となります。
臨時窓口を利用された方の主な声としては、限られた期間でも、開設された良かったといった趣旨の意見が大半でした。
2点目は、臨時窓口利用が20日間で1500件を超した旧桐ヶ丘分室の次年度からの対策についてです。
利用実績からみても、また6割に達する超高齢化した地域、75歳以上の後期高齢者、80代、90代の単身高齢者の方々もたくさんおられる地域ですから、住民は身近な行政窓口を切望しています。行政のあり方として、人道的な配慮をもった行政対応が切実に求められているのではありませんか。それは、分室が廃止された7つの地域にとって共通する課題ではありませんか。
旧桐ヶ丘分室の次年度からの対策について、桐ヶ丘分室廃止は撤回し、来年度からは通常の窓口開設をふくめた、抜本的な改善策を示されるよう求めるものです。お答えください。区長の心ある答弁を求め、私の質問を終わります。
ご静聴ありがとうございました。
分室の廃止は、経営改革プランに基づき、効率的な組織、執行体制の構築を目的として実施しました。
その際、人材・資源を有効に活用し、区民事務所の機能強化を図ることで、繁忙期における区民事務所の待ち時間を大幅に縮減するなど、効果を上げることができたと考えています。
分室廃止の撤回の考えはありませんが、分室廃止について、その趣旨をご理解いただけるよう、今後も丁寧な説明に努めてまいります。