2020年第1回定例会個人質問―さがらとしこ
2020年2月26日 | さがらとしこ
私は、羽田新ルートの撤回を求めることや、補聴器現物支給の支援制度など、大きく5点質問します。
1、世界一危険な都心低空飛行、 「羽田新ルート」の撤回を国に求めること
はじめに、世界一危険な飛行ルートと言われる、「羽田新ルート」についての質問です。
港区白金台にある保育園の上を大型旅客機がごう音を響かせて通過したとき、「1歳9ヵ月の園児が『鬼の音がする』といって泣き出し、おとなの私たちも、恐怖を覚えた」と保育園の先生は証言してます。突然のごう音が”鬼の音”に聴こえた、幼い子どもたち。先生にしがみつき、悲鳴を上げ、その恐怖に怯えていた。その情景が、胸に迫ってきます。
都心上空を旅客機が低空飛行する、羽田新ルートは、3月29日の本格運用を前に、民間旅客機を使った「実機飛行確認」が1月30日から2月12日まで実施され、合わせて1267便が飛行。北区の上空を含む南風・C滑走路着陸は、2月2日から12日のうち7日間、合わせて520便が飛行したと、国交省は報告しています。実機飛行確認とは、乗客をのせての試験飛行です。
「2分に1機どころか、すぐあとから次の飛行機が待っていた」。「飛行機の腹がはっきり見える低空飛行だった」。「これから毎日のように、飛ぶのですか」、「落下物を目撃した人がいるって言ってましたね。学校や保育園が心配」と、空を見上げながら、住民の不安が広がっています。
(1)羽田新ルート下、及び付近にある区立学校や病院などは何施設あるのか
そこで、1点目の質問です。
羽田新ルートの下、またその周辺を合わせると、小中学校や保育園、病院など2000を超える施設が存在すると言われますが、騒音測定局が設置された袋小学校をはじめ、区内ではどのような施設がその影響下にありますか。具体的にお答えください。
羽田新ルートのうち、南風時において着陸機が北区上空を飛行する経路は、おおむね浮間1丁目から赤羽北2丁目、赤羽北3丁目を経て、桐ヶ丘1丁目付近を通過するルートとなっています。
ルート付近には、袋小学校のほか、浮間さくら草保育園、東京北医療センター、北赤羽せせらぎ保育園、袋幼稚園、赤羽北のぞみ保育園、袋保育園、桐ヶ丘中学校、都立桐ヶ丘高等学校などがあります。
(2)急角度での着陸と急旋回、さらに長距離国際線を首都圏に再移転する危険性について、北区の認識を問う
2点目の質問は、「羽田新ルート」の騒音、落下物などの危険が指摘され、住民や自治体の意見にも、パイロットや管制官の意見にも耳を貸さずにつくられた飛行ルートを、3月末から運行するという国のやり方に対する、北区の認識、姿勢についてです。
2月10日、新ルートの撤回を要求する住民の会がよびかけた「緊急学習会」には、試験飛行の危険性を身近に体験した住民が、会場いっぱいにかけつけました。
学習会で講演された杉江弘さんは、日本航空の機長として40年の実績を持ち、航空機の安全で安定的な進入の指針、「スタビライズド・アプローチ」を考案した方です。「飛行機事故は決して起こしてはならない」という決意が込められたこの指針は、「日本のエアパイロットにとって憲法のようなものだ」とお話されました。
杉江弘さんは、羽田新ルートについて、大きく3つの問題点と事故につながりかねない危険性を具体的に指摘しました。
大きな問題の1つは、世界の大空港では例を見ない、ジェットコースターのような急角度、3.5度の角度で滑走路に侵入しなければならないこと。
2つには、羽田空港への着陸ルートの西側にある米軍横田空域への侵入を避けるため、東側から2ヵ所の地点で急旋回しなければならないという、世界でも例のない飛行方式を採用しなければならないこと。
3つに、香港の啓徳(カィタク)空港のように、長距離国際線の空港は都心から郊外に移すというのが世界の常識となっているにもかかわらず、逆に、密集する都心へ移転させる、世界一危険なルートになること。
そのことによって、●人口密集地で、落下物による人的、物的被害が発生する危険。●低空飛行による騒音被害。●急角度の滑走路への侵入によって、機体の尻もち事故などの着陸事故が多発する危険。●ルート図をみると、2機が並行して飛んでいて、どちらも急旋回して着陸体制に入るという、世界でも初めての侵入方式のため、高度差があるとはいえ、1000フィート、300m程度では、ニアミスが起こる危険性。●品川区のように、住民や議会が反対しているにもかかわらず、その意思を無視した行政手法の悪しき例になること。さらに、実際に操縦するパイロットや管制官の意見を聞かず、飛行方法がトップダウンで決められたことなどの問題を指摘。
杉江さんは航空専門家として、いのちを軽視したこの羽田新ルートは、撤回させるしかありませんと力をこめ、参加者に訴えました。
質問します。専門家が撤回しかないと指摘し、住民が反対している「新ルート」にもかかわらず、3月29日から強引に運行開始する国の姿勢を、北区は黙って許すのですか。
区長の明快な答弁を求めます。
国は、首都圏の国際競争力強化や訪日外国人旅行者の受け入れなどのため、学識経験者や航空専門家なども交えた国政の場での議論、国会での審議をはじめ、関係自治体や区民の皆様からのご意見なども踏まえつつ、国の航空政策として、国の判断と責任において新飛行経路の運用開始を決定したと認識をしています。
区は、運用開始を決定するにあたっては、国に対し、区民の皆さまの安全が確保されていることを最低条件とし、区民の皆さまの不安や疑問に答える丁寧かつきめ細かな説明、十分な情報提供、そして、安全対策や環境対策の充実と強化を求めてきました。
今後も国に対しては、運用開始決定後においても様々なご意見があることをふまえ、安全対策や環境対策等に関する調査や検証を行うとともに、各対策のさらなる充実と強化に積極的に取り組むよう要請してまいります。
(3)都心低空飛行の羽田新ルートの撤回を国に求めよ
3点目の質問は、都心低空飛行の羽田新ルートは撤回するよう国に求めてください。
区長、区民の命を守る決意をお示しください。以上、答弁を求めます。
羽田新飛行経路の運用につきましては、国の航空政策として、国の判断と責任において、進めるべきものと認識をしております。
このため、区は、新飛行経路の撤回を国に求めることは考えておりませんが、引き続き、区民の皆さまの不安や疑問に答える丁寧かつきめ細やかな説明や十分な情報提供を行うとともに、さらなる安全対策や環境対策の充実と強化に積極的に取り組むよう要請してまいります。
2、「北区基本計画2020案」と桐ヶ丘再生事業について
大きく2つめの質問は、「北区基本計画2020案」と、桐ヶ丘団地再生事業について、4点質問します。
(1)お風呂のある(仮称)桐ケ丘区民センターの早期実現を求めて
1点目は お風呂のある(仮称)桐ヶ丘区民センターの早期実現についてです。
北区は、区民からのパブリックコメントに対して、「2020年度(令和2年度)を初年度とする桐ヶ丘団地6期計画の中で、団地南側に整備する計画をすすめてゆく。整備にあたっては、予定している区域の事業環境が整のうのを待って、北区としても早期に整備できるよう、東京都と調整してゆく」との考え方・対応を説明されています。
ご承知のように、区内で最も高齢化率の高い地域です。現在、住民のコミュニティ活動の拠点となっているのは桐ヶ丘地域振興室です。しかし、20段の階段を登らなければ中に入ることもできない地域振興室のバリア解消は一向にすすんでいません。区民センター整備について、2つ質問します。
(1)地元自治会やシニア連合会、住民から区長に繰り返し提出されている要請を、どう認識していますか。
(2)「お風呂のある区民センターにしてほしい」という切実な願いや、ドリームウィの就労支援と生きがいの場としての役割を生かすことや、新たな商店街づくりなど、地域コミュニティの核をなす施設にしてゆくことが求められます。そのために、住民要求を大切にした住民参画による整備を求めます。東京都と力を合わせ、1日も早い実現に向けて、北区の決意をお示しください。
(仮称)桐ヶ丘区民センターの整備については、北区基本計画2020(案)において令和2年度から6年度に計画化するとともに、都営桐ヶ丘団地第6期建替え計画では、団地南側に位置する創出用地Aに整備することとしています。
また、区民センターの早期実現について、桐ヶ丘地区の自治会連合会やシニアクラブ等からも、すでにご要望頂いていますが、実現するためには、建設予定箇所となる創出用地Aの事業環境などが整う必要があります。
区としましては、地域の方々の期待に応えるために、円滑な事業実施に向け、引き続き、東京都と協議を行ってまいります。
なお、導入する機能につきましては、既存の区民センターや、周辺の公共施設の状況などを考慮しながら、地域コミュニティ活動の拠点施設となるよう検討してまいります。
(2)新たに建設される1000戸の都営住宅について
2点目は、創出用地に新たに建設される1000戸の都営住宅について、3点質問します。
(1)高齢化率60%に迫る地域の人口バランスを考慮し、子育てファミリーが入居できるよう、都営住宅入居条件である収入基準の見直しや使用承継制度の改善をすすめ、多世代がともに暮らすことのできる都営住宅にすること。
(2)新設の都営住宅はバリアフリー対応住宅とはいえ、車いす生活の方にはスライド式の玄関ドアや移動可能な室内スペース、台所や浴室など、障がいに応じた住宅整備とすること。
(3)創出された土地を活用し、人口増や住宅困窮世帯への対応とともに、特養ホームなどの福祉施設整備ににも力をつくしていただくことを求めます。
以上、お答えください。
初めに、多世代がともに暮らすことができる都営住宅を、のご質問についてです。
「北区住宅マスタープラン2020案」では、基本目標達成のための重点的な取り組みの一つとして、区内の公的団地居住者の高齢化による地域の活力低下が懸念されることから、新たに「大規模住宅団地の建替えと団地再生の取り組みの推進」を挙げています。
桐ヶ丘団地建替え事業については、区はこれまでも東京都に対し、良好な地域コミュニティの継続・再生のため、ミックスト・コミュニティに配慮した団地構成を要望しているところであり、引き続き求めてまいります。
なお、入居条件の改善については、先の東京都住宅政策審議会答申でも「都営住宅における管理制度等の在り方」として子育て世帯への支援をはじめとした多世代共生の推進がまとめられているところですので、今後の東京都の動向を注視してまいります。
次に、障がい者にとって住みやすい住宅整備について、です。
従前居住者向けの建替え事業が終盤を迎える中で、未だ建替えが済んでいない既存の車いす住宅の早期事業化を含め、区は東京都に、今後の建替え計画の中でも、車いすに配慮した住戸の設置や、バリアフリーの取り組みを求めているところです。
次に、創出用地の活用についてです。
東京都の第6期建替え事業計画では、団地北東側に「創出用地B」が位置づけられ、区と連携して、福祉施設などの公益施設の導入を検討することとしていますので、具体的な整備方策等について、東京都と協議調整を進めてまいります。
(3)新設区道は樹木を保存し、環境に配慮した計画に見直すこと
3点目は、北区が桐ヶ丘団地内にはじめてつくる道路計画についてです。
団地内を南北に貫く区道計画は、環7の姥ヶ橋からナショナルトレセン通り、桐ヶ丘郷小学校正門前を通過し、桐ヶ丘中央公園の真ん中を貫いて、団地北側へと抜けるほぼ直線となります。
桐ヶ丘中央公園は、50年余の歴史を持つ都市計画公園で、その面積は5.1ヘクタールと赤羽自然観察公園に次いで、区内4番目の大きさ。道路計画地には、ケヤキやクスノキなどの高木が100本ほどあります。地球温暖化が深刻さを増し、その対策強化が叫ばれているとき、道路計画のために多くの樹木を伐採することは、時代に逆行するのではありませんか。貴重な樹木を生かし、環境にも、子どもや高齢者、障がい者にとってもやさしい計画に見直すことを求めます。お答えください。
都質問の新設区道については、桐ヶ丘団地の再生事業にともなって、団地居住者を中心に、幹線道路に繋がる日常生活の主軸となるとともに、災害時の避難や救援活動のネットワークを担う大変重要な道路として、整備を図るものです。
区といたしましては、計画当初から整備主体の東京都に対し、既存の樹木を極力保全するなど、誰もが安全で快適に利用できる道路整備を要望しておりますが、今後の事業化に向けた設計協議の中でも引き続き求めてまいります。
(4)統合時の約束を守り、桐ヶ丘郷小学校の改築用地確保について、東京都と協議すること
4点目は、桐ヶ丘郷小学校の改築用地確保についてです。
「学校適正配置計画」で桐小と桐北小が統合され、桐ヶ丘郷小となってから18年。統合協議の時、団地の建て替えが進む一方で小学校はどうするのかが大きな問題でした。東京都から、現在地の近くに用地が確保できる案がしめされたことで、統合への合意がすすめられた経緯があります。
私は、桐ヶ丘団地の建て替え・再生事業の進捗に合わせて時期を逸することなく、桐ヶ丘郷小学校改築用地の確保について、東京都との協議が必要なことを繰り返し指摘してきました。
教育委員会は新年度、「北区立小・中学校長寿命化計画」を策定し、改築改修事業を推進するとしていますが、長寿命化を行ったとしても、昭和41(1966)年に建設された学校の改築の時期はやってきます。子どもたちに負担をかけないためには、学校統合時の約束を守り、建て替え用地を確保しておくことが必要です。この問題について、この間、東京都とどのような協議を行ってきたのか、お答えください。
この度、取りまとめた北区立小・中学校の長寿命化計画(案)では、学校施設の目標使用年数を80年以上とし、昭和40年以降に建設され、かつ、リフレッシュ改修を実施していない学校は、原則として、まずはリノベーションの対象とするとの考え方を整理しました。
ご質問のあった桐ヶ丘郷小学校についても、周辺まちづくり事業の動向を見極めながら、いずれかの時点で、リノベーション改修を実施することになります。
また、計画上のシミュレーションでは、同校の改築時期は、令和20年以降になると想定しており、教育委員会として、現時点において、桐ヶ丘団地再生事業の中で、具体的な用地確保の協議を行うことは困難であると考えています。
なお、改築時における教育環境の確保、児童の負担軽減については、改築時期が近づいた段階において、選択しうる最善の方策を検討してまいります。
3、補聴器の早期使用で、認知症予防を
大きく3つ目の質問は、認知症予防にも効果がある、補聴器の早期使用についてです。
私は、昨年の代表質問で、補聴器購購入ための支援制度の実現求めました。
また昨年11月、日本共産党都議団主催で、「高齢期の聴こえを考える」講演会が開かれ、慶應義塾大学耳鼻咽喉科の小川郁(かおる)教授がお話されました。
先生は、難聴になるとコミュニケーションが不自由になり、笑ってごまかすようになることから「ほほ笑みの障がい」と紹介。そして、高齢化が進む中、2025年には1400万人の方が難聴によって補聴器が必要になること。さらに、難聴は高齢者の認知機能の低下に影響を与え、正常の聴力から25デシベル聴力低下、つまり概ね中程度難聴に相当するような聴力低下を放置すると、7歳上の年齢と同じ認知機能にまで低下するという、アメリカの研究結果を紹介するとともに、難聴が社会的孤立を招き、要介護や死亡のリスクを高めているというデータも示されました。
同時に小川教授は、補聴器を使用することによって、うつや認知障害を抑制する効果が示されている調査結果も紹介し、認知機能を保つためには、補聴器をつけて、新聞や雑誌を音読するトレーニングや、人とのコミュニケーションが取れる環境をつくることが重要だと強調されました。ところが日本では、補聴器を必要としている人のうち、14%の利用にとどまっていること。
その要因のひとつは、公的補助がほとんどないこと。補聴器への支援を東京都全体に広げてゆきたいと力を込めてお話されました。
江東区では、平成2年から65歳以上の方に、補聴器を無料で支給しています。「テレビの音がきこえにくくなったら、思い切って補聴器を使いましょう!」区のこうした呼びかけで、利用者が急増し、補正予算を組むとともにとともに、新年度はさらに予算規模を拡大すると発表しています。
また、毎週金曜の午前中、区から支給された補聴器の調整や相談が続けられているとお聞きして、私は先日、その様子を見せて頂きました。
すると、「ぴーぴー音がなって困っている、直してほしい」」とか、「電池を何度も替えたが聞こえない。補聴器が壊れたのかしら」と、高齢者が次つぎ相談にやってきます。すると、相談員の補聴器調整士の方が、相談者の前でゆっくり、「電池を交換するときは、新しい電池のラベルをはがし、少し時間を置くんです。1分半ほど空気にふれさせて、それから入れてください」とアドバイス。その通りに電池交換してみると、「あらあ、よ~く聞こえるようになったわ。補聴器が悪いんじゃなかったんだ」と、弾んだ声。聞こえることの喜びがあふれています。
江東区の補聴器現物支給は、65歳以上の方に1つの補聴器、つまり片方だけです。そして、1回限りの支給です。その理由は、所得の少ない方にも、まずは補聴器を実際に使っていただき、何度も調整しながら、その人の聴こえを取り戻してもらうことが大事だという立場に立ってのもと伺いました。また、補聴器支給の財源は、東京都の2分の1の補助制度、包括補助事業費を活用しています。調査をすすめる中で私は、補聴器の現物支給支援は、所得の少ない方にとっても、また認知症予防にとっても、大きな力になると考えるようになりました。
23区ではすでに、豊島区、墨田区などの7区では2万円から3万5000円などの補聴器購入費補助を実施。新年度からは、文京区と足立区も補助制度を開始と発表していますから、すでに現物支給をしている江東区と新宿区を合わせると11区が補聴器補助にふみだしています。
そこで以下、3点質問します。
(1)補聴器の現物支給などの支援制度を早くつくること
補聴器の早期使用で認知症を予防するためにも、補聴器の現物支給などの支援制度を早くつくることを求めます。
(2)補聴器の調整や相談の窓口をつくること
補聴器の使用にあたっては、正確な検査データとともに、補聴器の定期的な調整が必要です。そのために、補聴器の相談ができる窓口をつくることを求めます。
加齢に伴う生活のしづらさを解消するため、補聴器を的確に利用し、共生社会を実現していくことは、重要なことだと認識しています。
補聴器の利用を進めるためには、購入時だけではなく補聴器を使い続けて頂くことの普及啓発も必要だと考えており、他自治体の取り組み状況把握に努めるとともに、北区医師会のご意見もお聞きしながら、調査・研究してまいります。
(3)議場や北とぴあなどに、ヒヤリングループを整備すること
川崎市は市議会議場に導入されていますが、北とぴあなどの施設にヒヤリングループを整備し、補聴器利用の方の聞こえをさらにサポートできるよう求めます。
以上、 補聴器の購入補助とともに、現物支給など、補聴器支援について、お答えください。
ヒアリングループは、床等に埋設したループ状の電線に音の電流を流すことにより、補聴器利用者の方々が、その範囲内で正確に音を聞き取ることができる設備と伺っています。
ご提案のヒアリングループの整備については、実績のある他自治体の事例など、今後、研究してまいります。
4、台風19号の教訓を生かした、減災・防災対策を
大きく4つ目の質問は、昨年の台風19号の教訓を生かした、減災と防災対策についてです。
私は先日、大震災から25年を経過した神戸市の「阪神・淡路大震災記念・人と防災未来センター」を見学した際、被災現場の指揮にあたられた方から、「阪神大地震では、火災ではなくまず地震。揺れだったんです。首都直下の大地震対策として、家具の転倒防止や耐震化はとても大事です」と、貴重な教訓を聞かせていただきました。
その後の議員研修会では、災害発生のメカニズムを学び、被害を最小限に抑えるための対策と事例紹介。なによりも住民の意思を大切にする自治体の役割について、学び考える機会となりました。その中で、岡山県総社市の特別報告にはびっくりしました。一昨年7月の水害の時、市長のSNSによるボランティア募集の呼びかけに、県内各地から1000人の高校生が駆け付け、大きな力を発揮したという報告。さらに、過去の災害を教訓に、市民が自ら自主防災組織づくりをすすめ、災害への備えに努力し、住民と自治体の信頼関係を深めてこられた体験でした。
(1)減災と防災を重視した「中学生の防災学校」へ
1点目の質問は、毎年、中学2年生を対象に行われている「中学生の防災学校」についてです。2月1日、地元中学校での「防災学校」には、地域からも大勢参加し、約20分にわたる講義のあと、中学生と地域の大人が一緒に、AEDの扱い方、マンホールトイレの設置、ケガの応急手当や起震車の体験もおこないました。
昨年の台風19号では、中学校が自主避難施設となったことからその教訓を生かそうと、周辺地域との新たな連携、防災用備蓄倉庫の扉を開けてみんなで確認しあうなど、大変有意義な学びの場となりました。
そこで、こうした災害発生時の対応に加え、いかに被害を最小限に食い止めることができるかの備え、たとえば家具転倒防止の取り付け方法や、その効果を科学的に学ぶことなどをテーマに加え、さらに実践的な学びの場にしていただくことを提案し、質問します。
中学生の防災学校については、区立中学校に通う主に2年生を対象に、将来、防災リーダーになって頂くことを期待し、防災講和と各種実動訓練を行っています。
今後、カリキュラムについては、学校側の要望や訓練時間の確保などに配慮しながら、ご提案がありました家具の転倒防止器具の取り付け方法を含め、災害時の応急対策や事前の備えに役立つよう内容の充実に努めてまいります。
(2)UR赤羽台団地での防災訓練について
2点目の質問は、3月末に、UR都市機構と赤羽台団地自治会との共催で行われる防災訓練についてです。北区と東洋大学も協力し、これまでの防災訓練とは異なった訓練内容が検討されていると伺いました。同団地では、すでに2000戸に及ぶ建て替えが完了し、オートロック仕様で気密性の高い、大規模集合住宅となっていますが、今後新たに、650戸の集合住宅建設が予定されています。災害に備える取り組みの上でも、世代間の交流をすすめ、新たなコミュニティをつくり、それが地域の連携につながってゆくことは大きな意味を持つものと期待します。どのような内容が検討されているのでしょうか。おたずねします。お答えください。
ご案内のイベントは、UR都市機構が赤羽台団地自治会と共催し、区や東京大学等の協力のもと開催する「赤羽台ぼうさいフェスタ2020」です。
一般に供用が開始された時期が古い公的団地については、居住者の高齢化等により、地域コミュニティの希薄化等が懸念される中で、UR都市機構がいわゆる団地再生の取り組みの一つとして開催するものです。
居住者の関心が高い防災をメインに、子どもや若い世代の参画も促し、地域交流を推進することを目的に赤羽台団地においては、今年度初めて開催するイベントとなっています。
イベントの特徴としましては、「食べて遊んで学ぼう」をテーマに、従来の防災訓練の実施内容にとらわれず、参加者みんなで楽しむことをコンセプトに、多世代が集まる体験型のプログラムを実施する点です。
隣接する東洋大学の参画をはじめ、団地内外の多数の事業者の賛同・協力を得て、団地区域を越えた、周辺の地域ぐるみの取り組みとなっています。
区としましては、ハード面での団地建替え事業に合わせたソフト面での地域活性化についての取り組みを要請してきたことから、協力をしてまいります。
5、ハンセン病への差別と偏見をなくす、北区の取り組みについて
大きく5つ目の質問は、ハンセン病への差別と偏見をなくす、北区のとりくみについてです。
2月5日付の「朝日新聞」に、国立ハンセン病資料館の館長、医師でもある成田稔さんの「戦後も続いた隔離 声あげるまで時間 老いて愚かさ知る」というインタビュー記事が掲載されていました。
今もなお、私たちの中にあるハンセン病への恐れと根強い差別、その根底には何があるのか。
成田医師は、「90年近く続いた隔離政策がある」と。なぜなら、国際らい会議で予防が最善策だといわれたとき、「隔離」は選択肢の一つだった。「でも日本は、すべての患者を療養所に入れようとする『絶対隔離』にしてしまった。ハンセン病の権威といわれた光田健輔医師の責任が大きいと思うよ。本当はそんなことないのに、『怖いぞ、うつるぞ』と教えて療養所にどんどん入ることを期待した。戦後の医者もそれを引きずっていた」と。「今の日本では発症することはほぼない。…仮に発症しても、薬を飲めば治るものなんだ」。しかし、「日本では、治療薬が開発された戦後になってもなお、患者の人権や人格も、家庭も無視し、強制的に療養所に閉じ込めるという、患者の絶滅政策が続けられ、それを遂行するために、『無らい県運動』という官民一体の運動が全国的に組織されて、徹底的な恐怖宣伝と患者狩りがおこなわれてきた」と、成田医師は隔離政策の歴史を語っておられます。
病を克服した元患者の方たちが、自由と尊厳、人間回復を求めて熊本で裁判に訴え、勝訴を勝ち取ったには1998年でした。
それから20年後の昨年夏、今度は、ハンセン病家族訴訟判決が確定し、国と国会は「隔離政策」の誤りを認め、11月15日、国会では全会一致で家族補償法と名誉回復のための改正ハンセン病問題基本法が成立しました。家族補償法はその前文で、国による患者の隔離政策で家族も偏見と差別を受け、多大な苦痛を強いられてきたことを明らかにし、その上で、「国会、政府はその悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびする」と国は初めて正式に謝罪を表明したのでした。
そこで質問します。現在、補償法に基づく手続き行われていますが、北区としても新年度、ハンセン病への差別と偏見を取り除くための事業を位置づけていただくことを求めます。お答えください。
以上で、私の質問を終ります。ご静聴ありがとうございました。
ハンセン病元患者等への差別や偏見を含めた、様々な人権問題の解決のためには、家庭、職場、地域社会などのすべての領域で人権尊重の理念が実現されることが大変重要であり、北区基本構想においても、区の施策を貫く理念として掲げているところです。
区といたしましては、区民の人権意識の向上を図り、様々な人権問題があることをお伝えするため、北区ニュースやホームページでの周知やリーフレットなどにより、普及啓発に努めてまいります。
あわせて、国や東京都が実施するハンセン病に対する偏見や差別を解消するための普及啓発行事を周知してまいります。