2020年第4回定例会個人質問―さがらとしこ
2020年11月25日 | さがらとしこ
日本共産党のさがらとしこです。私は、大きく2点、桐ヶ丘区民センターと、まちの環境を大きく変えてしまう86号線道路計画について質問します。
1、コミュニティと福祉のまちづくり
はじめに、都営桐ヶ丘団地を中心とする、コミュニティと福祉のまちづくりについてです。
桐ヶ丘団地は、都内最大の5000戸、高齢化率が6割という超高齢化の団地です。25年余にわたる建替えが続き、現在の総戸数は現在約4000戸となっていますが、これからいよいよ団地再生に向けて、1000戸の都営住宅増設や区民センター整備など、事業の最終段階に入ります。
桐ヶ丘団地では20年前、三宅島雄山の大噴火による全島避難の際、100世帯をこえる住民を受け入れ、5年半という避難生活を支えた力は、都営住宅という公的住まいと地域コミュニティの力があったからこそと、私は確信しています。
いま、首都直下大地震や荒川氾濫の際には高台への避難場所確保が課題ですが、桐ヶ丘連合自治会では、高台にある大規模な団地の役割はなお一層重要だという意識を共有しあい、地域の力に応じた防災活動にがんばっておられます。さて、建替え事業から、再生事業に向かう桐ヶ地域の課題について、大きく3点質問します。
(1)桐ヶ丘団地再生へ1000戸の住宅増設について
1つ目は、桐ヶ丘団地再生をめざす、1000戸の都営住宅増設についてです。
新型コロナによって生活苦や失業などの厳しい経済状況がつづき、隣接するUR赤羽台団地にお住まいの方から、「UR団地の家賃が高く、支払いがつづけられるか心配。都営住宅に入居したい」というご相談がよせられるなど、都営住宅への入居希望者が増えています。また、公共住宅建設は、地元企業の仕事確保という公的な役割も担ってきました。
そこで、北区の積極的な関わりを求めて、以下2点質問します。
1、団地再生事業における、1000戸の住宅の早期実現めざし、建替え5期事業と連続的にすすめられるよう、都に求めてください。また、その建設予定地と戸数。さらに、現在までの建替え戸数と入居戸数。空き室も目立ちますが、その現況についてもお答えください。
2、桐ヶ丘2丁目、現在のN2自治会には、「ふれあい広場」があって、防災訓練はもちろんのこと、夏の盆踊り大会には子どもたちが新しい家族を伴って里帰りし、家族や友人の集まる大切な場所でした。身近な広場や公園、厨房のある集会室など、コミュニティ形成にとって大切な施設整備をひきつづき都に求めて下さい。
まず、桐ヶ丘団地再生へ1000戸の住宅増設についてです。
新たな住宅建設については、東京都からは、現在の第5期事業を引き続き計画的に進めるとともに、第6期事業についても、計画区域の居住者の移転を来年4月以降に行い、その後新たな住宅建設に着手するなど、第5期と第6期を並行し、早期の住宅整備に向けた取り組みを進めると説明を受けています。
次に、現在までの建替戸数と空き室についてです。
一部工事中を含め3524戸です。
また、入居戸数は明らかにされていませんが、空き室については、団地内での建替事業を円滑に進めるための移転用として確保していると聞いています。
次に、今後の建設予定地と戸数についてです。
第6期の建設予定地は、桐ヶ丘中央公園北東側の街区や、都立桐ヶ丘高校西側の街区を中心に、建替事業着手前の5020戸を確保するため、第5期事業の整備戸数を見計らいながら、残り約1000戸を整備する計画と説明を受けています。
次に、コミュニティ形成のための施設整備についてお答えします。
東京都は都営住宅整備における独自の基準で広場や集会室等の整備を行うこととしており、事業の進捗に合わせ、今後、明らかになるものと考えています。
地区計画で定めた広場の整備や、「集合住宅の建築及び管理に関する条例」に基づき、集会室の整備を東京都に求めていくとともに、区立桐ヶ丘中央公園の再整備などにより、東京都と協力して、地区内住民の憩いの場の整備を図ってまいります。
(2)お風呂のある(仮称)桐ヶ丘区民センターなど、住民要求にこたえた施策の推進について
桐ヶ丘地域の2つ目の質問は、お風呂のある区民センターの早期実現など、住民要求にこたえる創出用地活用についてです。
「お風呂のある区民センターをつくってほしい」の願いは、毎年、連合自治会やシニア連合会からの区長要請が、また高齢者の食事会活動を続けるグループからは、たくさんの署名を区長に提出してきました。
私のことし第1回本会議質問への答弁では、「区民センターについては、建設予定か所となる創出用地Aの事業環境などが整う必要があります」とのことでした。団地南側の「創出用地A」の活用にあたっては、買い物を楽しめる商店街の形成や、身近な医療・介護施設などの公益的施設整備も切実な要求です。私は、東京都の方針にもとづき、団地内に現存する商店の方々や、医療関係者などの理解と納得と協力でこそと考えます。
以下2点質問します。
1、お風呂のある区民センター整備、地域振興室や図書館、音楽練習室などの住民要望を生かした区民センター建設用地はどこに確保できるのでしょうか。その規模、東京都との協議の現状、北区としての考え方について。また、住民要望を生かすための、協議の場もぜひつくっていただきたいと要望します。お答えください。
2、団地には空き店舗を活用したヴイ長屋とあかしや、障がい者と高齢者の交流の場があります。この事業は地域にとって大きな役割を担っており、桐ヶ丘再生事業の中でも活動が継続できるよう、東京都と連携した福祉施策として位置づけていただくことを求めます。
以上2点、お答えください。
桐ヶ丘団地第6期建替え計画では、(仮称)桐ヶ丘区民センターを、団地南側にある東西2つの区画からなる創出用地Aに整備することとしています。
区ではこの間、東京都と創出用地A全体の計画目的に沿った土地利用や、区民センターの早期整備に向けた協議を進めてきました。
この度、従前建物の除却工事が進み、事業環境が整う創出用地Aの東側の区画において、事業を先行実施するとの東京都の方針が示されたため、区としましても、区民センターの早期整備に向け、同区画での整備の意向を伝え、調整を進めているところです。
また、区民センターの整備に必要な用地の規模については、区民センターに導入する機能を既存の区民センターや周辺の公共施設の状況などを考慮しながら、地域コミュニティ活動の拠点施設となるよう検討することが必要と考えていますが、他の区民センターと比較しても、必要な広さが確保できる見込みと認識しています。
区といたしましては、桐ヶ丘地区自治会連合会やシニアクラブなど地域の方々の意向を伺いながら、検討してまいります。
次に、障がい者と高齢者の交流活動の継続についてお答えします。
「ヴイ長屋」や「あかしや」は、桐ヶ丘中央商店街の空き店舗を活用し、高齢者を中心に多様な世代の交流の場や、障がい者の就労の場として、貴重な居場所の提供を行っていると認識しています。
一方、同商店街一帯は、創出用地Aの一部として、団地をはじめ周辺地域を含めた生活中心地とするため、商業施設等の施設整備が今後計画されています。
現在、東京都は商店街権利者に対して、移転補償等に関する説明会を開催し、建物等の調査を開始したところと聞いています。
ヴイ長屋等のテナント事業者は、店舗を所有する権利者から、今後の意向を確認されることになります。区としましては、当面その動向を注視してまいりたいと考えています。
(3)高齢化率60%、コロナ感染防止対策のもとでの桐ヶ丘団地建替え事業に伴う移転に、都と北区の支援を
桐ヶ丘地域の3つ目の質問は、建替え事業による移転、引っ越しについてです。
10月25日、来年4月の移転対象となる桐ヶ丘団地N地域、458世帯への移転説明会が行われました。高齢化率60%、引っ越しは命を懸けた一大事です。大小さまざまな家具や家電製品などの粗大ゴミの処理、どうしたらいいのかが大問題です。ところが今回の説明会では、北区清掃事務所からの説明の機会はありませんでした。清掃事務所の皆さんにとっても、大規模な引っ越しへの対応は大変なことです。とりわけ、新型コロナの感染防止が呼びかけられている最中の大移動です。
東京都や自治会とも相談して説明会を実施するなど、これまでの対応にとどまらない、高齢弱者への支援を強めていただくことを求めます。お答えください。
桐ヶ丘団地の建替事業につきましては、世帯も多く大規模であり、特に高齢者の方が多いと認識しています。そのため、排出される粗大ゴミも相当の量が見込まれることから、清掃事務所では移転引越しの期間中、臨時の粗大ごみ置き場を設置するよう、東京都と調整をしているところです。
この調整が整い次第、現在のコロナ禍の状況を踏まえ、移転引越しに伴うゴミの出し方についての案内パンフレットを作成し、対象全戸に配布するよう準備を進めています。
なお、引越し業者等に粗大ごみ搬出を依頼しない場合などで、高齢者や障害者の方が、収集場所まで運ぶことが困難な場合には、清掃事務所で事前に相談を受け、対応をしております。
区としましては、引き続き東京都と情報の共有を図りながら、移転の対象となる皆さまに丁寧に説明し、支援を進めてまいります。
2、まちの環境を激変させる補助第86号道路計画の中止を求めよ
大きく2つ目の質問は、まちの環境を激変させる補助第86号線道路計画についてです。
この夏、86号線道路計画に反対する住民訴訟の原告団のみなさんは、情報開示請求制度を活用して東京都の内部文書を入手し、これを基に「本道路計画の破綻」を証明する「準備書面」として東京地方裁判所に提出されました。開示請求でやっと手に入れることができた東京都の資料には、専門的な用語や詳細な図面、法令上の指示文書などが多数あり、その内容を読み解くには大変な努力と労力、時間がかかるものです。住民のみなさんは、この分厚い資料を何度もなんども読み解く中で、このまちの地形や歴史を再認識しながら、自分たちの日々の暮らしやまちづくりにとって、どんな影響がでるのかを懸命に考えてきました。
都の資料の一部に、「パース案」がありました。このパネルがそうですが、ごらんください。住民の声をご紹介します。
「赤羽西4丁目の交差点のところ、もともと地盤が弱いんですよ。そのことをわかって、こんなに大きな道路をつくるんですか。25年前に家を新築したときは、メーカーに地盤調査を頼んで、24坪の土地に直径60センチのパイルを39本、深さ4メートルまで入れたんですから。ご近所でも、深さ6メートルまでとか、9メートルの深さまでパイルを打ち込んだとか、こういう心配ばかりしてきたんです。」
「なぜ、副道が必要になるの。街の中にこんなに大きな壁。壁で、家の玄関が開かなくなる。」
「うちの自家用車、これじゃ弁天通りにすぐ出られないじゃないの。」
「弁天通りから急な坂をあがっていく。車いすは無理ですね。歩行者より、自動車優先の道路ではありませんか。」
「じゃぶじゃぶ池に杭を打ち込んで擁壁をつくったら、自然観察公園の湧水も景観もだいなし。湧き水、涸れますよね。北区はこのことをわかっていて、道路を認めるんですか。」
「道灌山にトンネル掘ったら、歴史も風情もなくなってしまう。」
原告団の方は、「開示された資料によって、これまで私たちが問題だと思っていたこと、懸念していしていたことが、やっぱりそうだったのかとはっきりとしてきました。そして、これまでの説明にはなかったことも明らかになってきて、ますます、危険な道路計画。これではまちの環境が大きく変わってしまう」と、ズバリ問題点を指摘されました。
計画の発表からすでに8年が経過しています。都市計画法にもとづく用地買収だけの説明では想像もできなかった問題点や、北区の責任にも関わる大きな問題点が明らかになってきました。
以下質問します。
はじめに、本来なら、専門的知識をもち、たくさんの技術者がおられる東京都が、もっと住民に情報を公開し、住民の疑問や不安に応え、説明責任を果たすことが必要になっているのではありませんか。それは、北区にとっても必要なことではありませんか。お答えください。
東京都による事業認可取得後、区は東京都の検討状況に応じ、都市計画道路補助第86号線の整備に向けた実務的な協議に応じています。
沿道周辺の生活環境や自然環境、文化財等への影響について、十分な配慮をしながら、道路整備計画をまとめるまでには、時間を要すると考えております。
区としましては、引き続き、道路の整備に向け、東京都と協議を進めていくとともに、事業への理解を得られるよう、丁寧な対応を求めてまいります。
次に、北区にも関わる問題について、大きく3点伺います。
1点目、道灌山を掘りすすむトンネルの工法と、文化財への影響についてです。
太田道灌由来の道灌山、稲付城址の歴史的価値について、静勝寺の高崎忠道住職は、「寺を中心に、櫓(やぐら)や塀が立っていた台地の上に、そのまま一般住宅やアパートが建てられている都内でも珍しい遺跡であることに、この道灌山の価値があるのです。トンネルが掘られれば、その価値が全く失われてしまいます」。
また、「延焼遮断帯のため、緊急車両用のための大事な道路をつくると言われますが、道灌山を抜けると、UR赤羽台団地などの高台にかこまれる谷間の地形であり、延焼遮断帯をつくる必要などありません。心配なことは、道灌山の台地に穴を開けてしまうことは通気口を設けるようなもので、むしろ火災を大きくするのではないかということです。東日本大震災のときに道路は大渋滞を引き起こし、緊急輸送道路としての機能は果たされなかったではありませんか」と指摘されています。
3点伺います。
1、道灌山をトンネルで掘り進む工法について、開示された資料には、平成24年度から29年度までの「トンネル構造の検討経緯」がありますが、どんなことが課題なのでしょうか。また、東京都は、いま、どんな方法を有力案として、採用しようとしているのでしょうか。北区として把握している内容について、お答えください。
2、トンネルを掘るにあたっては、遺跡調査が必要です。2年前、私は本会議質問しましたが、これまでの周辺工事の際の調査で「空堀の遺構」が見つかり、北区は、文化財保護法に基づいて記録保存しています。
高崎住職は「都内でも珍しい道灌山の史跡としての価値は、このお山の形にある」とお話されています。この山の下にトンネルを掘りすすめ、空堀その他の遺跡が破壊されたり、道灌山の形が変わるようなことがあれば、それは東京都も、北区にとっても、大切な文化財産を失うということになりませんか。お答えください。
3、静勝寺は、山城の地形の上に寺の本堂も建っていることから、長い年月の中では僅かずつですが北側斜面への傾きもあり、修復もしながら建物の保存に努められているとのことです。住職は、かつて山の周辺にはたくさんの溜池があった場所で、トンネル掘削による周辺地盤への影響も大きいのではないかと心配されています。この周辺の地盤について、北区はどのような認識をお持ちですか。
以上、トンネル掘削に関わり、お答えください。
現在、東京都では、都市計画道路補助第86号線の道灌山付近の具体的な工法について、周辺への地盤の影響等を勘案し、検討を進めていると伺っております。
埋蔵文化財包蔵地である稲付城跡における土木工事につきましては、事業者である東京都において、文化財に配慮して適切に対応されるものと考えていますが、教育委員会といたしましては、東京都教育委員会の指示をふまえ、必要に応じて事業者への助言・指導を行ってまいります。
2点目、赤羽西4丁目交差点の立体交差構造についてです。
赤羽西4丁目の交差点とは、西が丘のナショナルトレセン方面から赤羽駅西口に向かって、バスが坂道を大きくカーブしながら下り、243号線の区道、通称弁天通りにつながるところにあります。86号線は、その崖の上にある赤羽スポーツの森公園と赤羽自然観察公園の間を抜けて、高低差が大きい崖からまっすぐ赤羽西口方面に下ってきます。この計画によって、86号線と243号線の2つの道路が直角に接道することになっています。
この複雑な立体交差について、3点質問します。
1、区道243号線と都道86号線が接道することによって、現在の弁天通りの形はどうなりますか。 東京都の資料では、243号線の勾配率は11%と書かれていますが、「東京都福祉のまちづくり」施策や北区のバリアフリー施策からみて、この勾配で問題はないのですか。また、86号線が赤羽駅方面に下がってきますが、ここの勾配率はどうなりますか。
2、この付近は高低差が大きいために「盤上げ」が必要とされていますが、「盤上げ」とは、技術的にはどんな目的で行われ、どんな形で「盤上げ」されることになるのでしょうか。お答えください。
3、都は、「副道」が必要になるとしています。なぜ副道が必要となるのでしょうか。弁天通りの沿線には、様々な坂、傾斜の区道、生活道路が縦横にありますが、こうした区道との関係について、お答えください。また、副道というのは、幅員20メートルの86号線計画用地内につくられるのでしょうか。
ご紹介した「平成28年のパース案」は、計画の中でどのような位置づけになるものですか。
以上、お答えください。
当該、都市計画道路の交差構造につきましては、高低差を解消するため、盤上げや道路勾配の検討、副道の必要性等について、周辺の利用状況に配慮しながら、東京都が検討を進めていると伺っております。
区といたしましては、接続する区道について、引き続き、東京都と協議を行ってまいります。
3点目は、じゃぶじゃぶ池周辺の基盤整備についてです。
東京都は86号線道路計画にあたり、じゃぶじゃぶ池周辺の基盤整備が必要なため、「地下水調査」を実施し、分析。その結果について、「86号線と接する赤羽自然観察公園南側の『じゃぶじゃぶ池』のある場所は地盤が弱いため、計画道路との境界には擁壁や橋脚を立てる(打設)必要があること。そのため、(1)地下水や湧き水を分断すること。(2)道路用地部分の地下水位が高く、道路開通後の地盤沈下の危険があること。さらに、(3)じゃぶじゃぶ池の一部を、工事用地として活用しなければならない」としています。
以下3点、質問します。
1、86号線のための基盤整備が、じゃぶじゃぶ池や公園に与える影響は甚大なものではありませんか。このような行為を、このまま認めることはできますか。
2、ここに擁壁をつくる条件として、擁壁の「重要度」ということが、重要な課題になると考えられます。都の資料には、「重要度1」とされています。さらに、この「計画地点は、自然観察公園のじゃぶじゃぶ池に近接しているため、構造性・施工性・環境性・経済性・での総合評価に加え、湧水保全に着目した評価を行った」とあります。その評価について、北区は、東京都から報告を受けていますか。
3、じゃぶじゃぶ池の斜面地にある樹木やどんぐりの森への影響が心配です。また、計画地に隣接する平和の森の「被爆柿木」などはどうなりますか。樹木への影響について、お答えください。
東京都からは、昨年度に引き続き、年間を通した公園内の湧水や地下水、動植物の調査を行っていくと聞いており、じゃぶじゃぶ池周辺の擁壁や樹木等の基盤整備の内容については、現在のところ、検討を進めていると伺っております。
区といたしましては、調査の動向も注視しつつ、今後も東京都と連携をしながら、赤羽自然観察公園の環境保全等に十分留意してまいります。
86号線について、最後の質問です。
住民の手で情報が開示された東京都の資料。これによって明らかになったことは、幅員20メートルとして決定されている都市計画区域はもちろんのこと、区域外の周辺住民にもたくさんの影響を及ぼすという問題です。結局、道路計画はつくったものの、実際に図面を描いたり工事をしようとすれば、どの部分でも無理が生じる計画だということではありませんか。
1ヵ月前、調布市つつじヶ丘の閑静な住宅街で、突然、生活道路が陥没するという事故が発生しました。大深度地下法による東京外環道工事ですが、地上の住民には全く影響がないとされてきました。しかし、沿線住民のみなさんは長年にわたって地上部への影響や河川への影響があると指摘し、事故発生の1ヵ月前には地震のような振動や、壁にひびが入ったりしたため、工事の中止を求めていたにもかかわらず、心配していたことが現実に起きてしまった。ひとごとではありません。無理を承知で計画をごり押しすれば、重大事故を引き起こす危険が懸念されます。
86号線計画もまた、住民合意のないまま計画が強引にすすめられており、住民のみなさんの不安や疑問は、ますます強まっています。 まちの環境を激変させ、問題だらけの道路計画では、とても住民の合意は得られません。
補助第86号線道路計画は直ちに中止するよう、東京都に求めてください。
以上で、私の質問を終ります。ご静聴ありがとうございました。
都市計画道路補助第86号線は、「木造住宅密集地域を改善する、命を守るみち」として、特定整備路線に位置づけられています。
切迫する首都直下地震に備え、延焼遮断帯の形成、震災時の安全な避難路の確保、緊急車両の通行の確保による円滑な救助・救援活動を担う道路として、関係権利者の生活再建支援を行いながら整備をめざしている路線です。
区としましては、引き続き東京都と連携を図りながら、事業の推進に努めてまいります。