日本共産党北区議員 本田正則
トップページ プロフィール 区政ニュース

ひとりごと


2008年4月1日(火)
 新年度予算に対する会派としての見解は、区議団のHP予算案に対する反対討論をご覧下さい。
 私の質疑などを加えて、補足をしておきます。まず予算の全体像ですが、区長が「一時の財政危機は脱した」と評価する状況になったので、妊婦健診の公費負担の拡充、赤羽仕事コーナーの移転を活かした仕事探し支援の充実、ワンルームマンション規制条例の制定、学校への短時間非常勤講師配置の充実など評価できる区民施策があります。予算をつけて丸2年もかかったコミュニティバスの準備もようやく整いました。4月27日に走ることになりました。(4月1日報告)まさに区民運動の成果があちこちに出てきています。
 しかし、だからといって賛成できない財政運営・区政運営です。
  まず第一の反対理由は、区民の貧困化、格差の拡大に対する思いやりのなさに代表される、区民生活軽視の区政の方向性の問題です。
 ここへきて、北区の納税義務者は増えています。しかし、北区の区民税収入は増えません。増税され、納税義務者が増えているのに、税収が増えないのは区民の収入水準が減ったからに違いありません。
 私は、北区の納税義務者の収入水準を問題にしました。
 ただみなさんご存知のように、非課税所得の水準が切り下げられています。ですから収入水準が変わらないのに非課税の方が納税義務者になっているのです。
 非課税水準の切りさげの最たるものが、2006年度の老年者控除の廃止、年金控除の切り下げ、65才以上の方の住民税の125万円までの非課税措置の廃止です。この影響で年金収入の方々の納税義務者が増えました。下の図の通りです。
 
 予想通り、増えているのは160万円以下、300万円以下の低収入の納税義務者です。
(非課税水準の切り下げ以外に、所得税を減らすかわりに住民税のフラット化=「課税所得200万円以下5%→10%、10%→10%、課税所得700万円以上13%→10%ですべての納税義務者の住民税は10%にした」が行われ、所得税、住民税共に定率減税廃止という増税もありました。)
 低所得の納税義務者が増えたのは年金収入の方々だけではありません。給与所得者も下のグラフのようです。
 
給与所得者の納税義務者数はようやく回復してきているのですが、300万円以下の収入の方が一貫して増え続けています。300万円〜500万円の方も、500万円以上の方も平成8年より減っています。ようするに北区の給与所得者の収入水準も下がっているのです。
 その他の所得の方々も同じ傾向ですから、増税されて、納税義務者が増えても、区民税収入は下がっているのです。北区の課題は区民の所得水準を上げること。そして低所得の方々の暮らしを応援することになります。
 正社員でも賃金が減らされた人、ワーキングプアと呼ばれる非正規雇用の人、増税や公共料金の引き上げで苦しんでいる人、年金保険や介護保険や健康保険などの社会保障制度や、障がい者などの社会福祉制度の改悪で苦しんでいる人。そういう人たちの痛みや苦しみをよく見ているならば、当然手だてをつくすべきではないでしょうか?
 積立金がバブルの絶頂期。史上最高額の348億円に迫る345億円になりました。大企業だけは儲かってますから北区の財政に余裕はできています。そのお金を区民のために使うべきなのに、貯める方を優先しています。もちろん将来に備えて貯めることはいいことです。しかし、「区民を応援する本業を削って貯めるのは本末転倒だ!!」。これが私たち日本共産党議員団が北区予算に反対する一つ目の理由です。

第二の反対理由は、この本業の問題。区民サービスをおろそかにする問題。経費削減を錦の御旗にして、非正規職員への置き換え、民間企業への置き換え、区民負担の引き上げを行っていることです。
 勿論問題の一つには、北区がワーキングプアを生み出す姿勢です。
 今区役所の職員、3600人程度から2637人に減りました。非常勤・臨時職員は1440人です。なんと1/3は非常勤職員なのです。結局正規職員を非常勤職員に置き換えてきたのです。
 もう一つの民営化では、金儲け企業への置き換えが進められています。営利企業への置き換えの問題の典型は隣の荒川区の事例ですが、反対討論で紹介されている株式会社・日本保育支援協会の事例です。これは認証保育所の問題ですが、民営化の手法には本当にいろいろあります。今進められているのは、反対討論にあるように指定管理者の導入です。この指定管理者の場合、参入した企業で働く職員がワーキングプア状態で、どんどん入れ替わってもチェックできる状況にはありません。さすがに非常勤職員の給与水準を厳しくチェックしてくる中で、非常勤栄養士や行政資料室、育ちあいほっと館などの非常勤職員の賃金引き上げは実現できました。しかし全体として、専門職なのに、非常勤で5年間の雇い止めや2年3年と経験を積んでも昇給なしという状態の改善はなされないままです。
 そこで問題なのは、ワーキングプアをつくり出すことに無関心だというだけでは済まないのです。サービスの質が下がる、専門的な立場での区民サービスが不十分という問題があるのです。
 サービスの質の問題では、反対理由で指摘した保育や児童館などの児童福祉の分野の問題はわかりやすいとおもいます。保育園の保育士さんがしょっちゅう入れ替わればやはり不安になります。しかし、サービスを受けるのは乳幼児です。だから、質的な問題の評価は簡単ではありません。
 それにもまして評価が難しいのは例えば同じ人がずっと利用するのとは違う部署例えば図書館の窓口業務です。北区は委託しているのですが、やはりワーキングプア状態で、3年間で15人がやめたところがあることも取り上げました。図書館の窓口は本来司書資格を持ち、経験を積んだ職員が利用者に対応すべき所です。本や資料調べを手伝うのが図書館の窓口業務の本来の仕事。とりわけ児童サービスは専門的な力量が求められます。最近、「読解力」を育てることが大きな課題になっています。そのためには小さい頃から「本に親しむ」「物語に親しむ」「活字に親しむ」ことが大切です。学力世界一、読解力世界一のフィンランドでは、公共図書館がいたるところに存在し、なおかつ、父親が読み聞かせをするために早退することが保障されていると言います。昨年の決算委員会、今年の予算委員会でこうしたことも紹介しながら、図書館の充実を求めましたが、「教育先進都市」を標榜する北区は、図書館に有能な司書を配置し、学校図書館や保育園、児童館、幼稚園などと連携を取る意思はまったく見せません。むしろ、業務委託を進め、経費節減する対象にしています。
 もちろん、これだけでは、ありません。第四の反対理由の介護調査員の問題でも、また教育分野でもサービスの質、公務労働の質が問われる問題が各党、各会派から指摘されました。

第三の反対理由は医療の切り捨てを避けて通れないと肯定していることです。
 問題は後期高齢者医療を避けて通れないと容認していることについては反対討論で述べられています。
 もう一つの問題は北区ではこの医療切り捨てのもう一つの側面。公立病院の整理統合計画や、独立行政法人の整理統合計画、そして東京都による銀行やオリンピックにはお金をつぎ込むが医療にはお金を節約する第二次都立病院改革実行プログラムの被害が甚大であることです。
 東十条病院は黒字でした。ところが医療改悪で儲けが減りそうだと、経営者一族が無理矢理閉鎖してしまったのが真相と言われています。患者さんや周辺の病院は大変な迷惑を被りました。これまでも医療改悪で、療養型のベッドが増え、一般病床が減ってきていた上に、田端中央病院など北区内の病院が閉鎖され診療所になったりなくなったりしています。
 その結果、北区の救急指定病院は14病院から、6病院に減りました。特に滝野川は今、印刷局東京病院しか救急指定病院はありません。ところが、「独立行政法人国立印刷局」は、「独立行政法人整理統合計画」で病院部門は赤字だから、つまり東京病院は、余所に移譲、つまり売り払うか差し上げるかしなさいと内閣の閣議で決められてしまっています。 滝野川地域周辺の病院でも都立駒込病院は三菱商事に「PFIという手法」で運営を任せることになっています。同じPFIを使った高知や近江八幡の病院では、オリックスなどの請負企業には契約通りの高いお金が入るけれども、病院の赤字がかえって膨らんだため、市や県の負担が膨らんでしまいました。赤字を減らすために、6人部屋が減らされ、豪華な個室が増えて、入院費用がかさむという結果になっていきます。救急や産科小児科など儲からない診療科目も減らされてしまいます。
 大事なことは、こうした儲からなくても、必要な仕事をしている病院の機能を、公の責任で確保することです。金儲けの道具になどさせてはいけないんです。
 後期高齢者医療制度をあけて通れないと肯定しているのとは違って、北区にある医療機能の存続には努力するとしましたのでこれは反対理由には入れませんでした。
 しかしこうした状況にあるのですから、東京病院については、認可されている10の診療科目を復活させ、充実させるとともに、救急指定病院としての機能や、災害病院としての機能などの公的責任を果たせるよう、公的機関が運営する病院とすること。
 駒込病院など都立病院についても、北区周辺の病院の二次医療機関、救急病院としての機能をきちんと確保するため、都立直営で充実させることを改めて求める必要があります。
 北区が率先して、北区の様々な人々が力を合わせて北社会保険病院の存続拡充を求めているように、東京病院や駒込病院の維持・存続・拡充を、国や東京都に働きかけるように、運動を強めることが求められています。

反対理由の四つ目は、介護保険のひどさ冷たさです。認定ランク下げなどで今年度33億円。これまでの3年間で84億円も予算を余らせてきました。よその区なら介護度3で1割負担で使えるはずの介護サービスが、要支援1にランクが下げられたら10割負担でなければ使えないのですから、北区で介護を受ける方は大変なんです。
 北区の介護認定のひどさは次のグラフを見ていただきたいと思います。
 
 安定的であまり増えない要介護3、4、5に比べて、要介護1がどんどん減り、そして要支援、とりわけ要支援1が異常に増えていることがお分かりいただけるとおもいます。  これを事業計画と比べるともっと良く分かります。事業計画が茶色系、実際の認定者が青系、そして計画の右側にその年度の実際の認定者数です。第2期事業計画では、介護度別に段々増える計画でしたが、第三期では落ち着いてくるという計画になっています。
 
 実際の認定者は要介護1で多かったのが、要支援1が多くなる方向に偏っていることが良く分かるグラフになりました。
 こうした認定の偏りが、事業計画と大きく乖離し、予算を大きくあまらせる結果を招いています。
 
 第1期事業計画では立ち上げ時機でしたから、乖離があるのは仕方ないとしても、第2期の2005年度で当初予算と決算の乖離が27 億円、06年度は24 億円、07年度は予算と最終補正で33 億円もの乖離が出たわけです。しかも驚いたことに、第二期の事業計画と当初予算は一致していたのに、第三期は当初予算の段階から事業計画よりも低い予算を組んでいるのです。要支援1、2として全体に給付額を減らす意図を、鮮明にした当初予算を組み、それをも下回る認定状況を作り上げてきたとしかいえないものです。
 介護保険料は、給付量を予測して設定します。第三期の給付額は577億円と推計し、計画給付額から見て86億円強、実際の給付額から見て100億以上伸びると推計して保険料を決めました。ところが、実際の給付額は第二期の給付額490億円程度で済んでしまいかねません。つまり、北区の認定ランク下げで保険料の引き上げはまったく必要ないくらい、給付を意図的に抑制したことになるのです。
 よその区に住んでいれば、介護度2程度に認定されて利用できる介護サービスが、要支援1に認定されてほんのわずかしか使えない。そのために苦しんでいる人をたくさんつくり出しているのです。
 一番状況を把握しているケアマネージャーの立ち会いを認めないため、認知症の状況、マヒの程度などが正確に把握できにくいのも北区の認定の異常さです。調査における特記事項の記入の少なさも北区の特徴です。その他認定調査員の専門性の向上や、認定審査会の審査の制度をあげることなどについても各会派から要望が出され、問題が指摘されています。こうした問題の改善をさらに進めていかねばなりません。

 反対理由には掲げませんでしたが、批判した問題、要望した問題もいろいろありました。
  例えばいじめや不登校等は、担任の先生任せで解決できる単純な問題ではありません。もちろん全ての先生がいじめを出さないクラスづくりのできる先生であって欲しいとおもいます。しかし、いじめがあっても気がつかない先生よりも、いじめを見つけて対処してくれる先生の方が良いのではないでしょうか?しかも、いじめや不登校、その他の「非行?」と名付けられるような問題が明らかになれば、その対処は簡単ではありません。しっかりした教員でも一人の力で解決はできません。臨床心理士などの専門家力も借りて学校一丸となって、保護者とも協力してはじめて解決できるかどうかという難しい問題です。ところが、そのための人手を教育委員会は確保していないのです。
  学力パワーアップの先生もいますが非常勤です。資格があっても、新卒の未経験者が多い。この方々は研修なども十分に受けていません。そのうえ、月20万円程度の中から、税金、健康保険、年金などが引かれる程度の収入です。
  スクールカウンセラーは大学院程度の研究をし、臨床心理士の資格を持つ専門職ですが月24万円で昇給昇格無し。5年しか仕事を続けられないんです。しかも残業はしちゃダメということになっています。この人たちに、ボランティアで、先生たちと協力して、子どもたちととことんつきあい、いじめや不登校、学級崩壊に取り組むことを求めるのは無理があります。こうした専門職をきちんと正規職員として確保して、問題が起きたときには集中的に学校に派遣できる体制を作るよう求めておきました。
  もちろん私たちは30人学級の実現や、スクールカウンセラーの正規職員化など学校に人手を増やすこと、専門性を高めること、さらに教職員がチームワークを高めることを求めています。

 学校の校舎改築の補助制度の問題はまた機会を改めて述べたいと思います。


copyrigt 2007- 本田正則事務所
このサイトに掲載の記事、写真などの全ての著作権は本田正則事務所に属します。
リンク希望の方はお手数ですがメールにてお知らせ下さい。