日本共産党北区議員 本田正則
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2011年09月12日(月) 北区議会第3定例会にて本田正則区議の代表質問の全文と区の答弁 →再質問はここをクリック下さい
一.放射線の危険から子どもと区民の健康を守るために

  (1) 放射線マップの作成、ホットスポットと給食への対策強化、専門部署を
        

  (2) 原発ゼロを促進する立場に立つべきだ
   

  (3)核兵器廃絶に向けたとり組みの強化を
     

二.東日本大震災を経験しての防災対策の強化を問う

  (1)被害を減らすための、住宅と宅地地盤の改善支援について
     @木造住宅耐震改修助成限度額の引き上げと簡易改修助成、高齢者上乗せ助成、限度額の引き上げを求める
    

    A居住あんしん修繕支援事業の通年受付への改善と来年度の継続・充実を
   

     B斜面地の造成や液状化など地盤被害の対策強化について
    

  (2) 印刷局東京病院は滝野川地域の救急救命機能維持のため存続拡充を
   

  (3)当面する防災施策の充実について
     @地域防災計画検討会の内容や、現行地域防災計画の周知・徹底を通じて地域防災計画見直しへの住民参画強化を
     )

     A高層住宅の対策充実について
    
    
     B 子どもや高齢者・障害者など災害弱者への対応について
   

     C学校教育機能回復と、避難所のかかわりについて
    
  (4)区民と北区が避難者、被災自治体と連帯することについて

     @北区豊島避難所の活用強化を
     
     A窓口開設など北区への避難者支援の充実を
     

三.高齢者のための施策の強化について

  (1)全高齢者実態把握調査の現状と課題について
    
 
  (2)地域包括支援センターなどの人員増と体制強化について
   


 (3)特養ホームの待機者解消とショートステイの充実について
    

  (4)医療・介護連携の強化について 
    
 
四.田端文士芸術家村らしい景観づくりを目指して



※再質問については、ここをクリック下さい
    

 まず最初に、台風12号でお亡くなりになられた皆さんのご冥福をお祈りし、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。
  本日私は、来年度予算編成も視野に入れ大きく3点、第一に放射能の問題に関して、第二に防災対策の充実に関して、第三に高齢者のための施策の強化について、さらに第四に田端の文士芸術家村らしさを守り作ることについて質問します。

一 放射能の危険から子どもと区民の健康を守るために

  大気中に、また、水に溶けて海に、政府発表でも、セシウム137で見ると、広島原爆168個分の放射性物質が流出しました。その中で子どもを放射線から守ろうと北区議会に15件41項目にのぼる放射能に関わる陳情が提出され、その思いはさらに広がっています。
  日本共産党北区議員団は、事故発生時、乳幼児に区として、安全な水を提供することを提案しました。また、議員団として、簡易測定器を購入しての自主測定や、放射線防護の学習会などを行い、北区に測定実施と放射線対策を求めました。さらに、8月初旬に、今度は精度の高い測定器を借りて、北区が計って1時間あたり0.15μSvを超えた公園などの中で、数カ所ずつの自主測定を行いました。地表5pでは、砂場や藤棚の下、排水口のグレーチング付近などの場所で時間あたり0.25〜0.47μSvという高い測定値が出ました。これもふまえて8月11日に北区に対し第6次申し入れを行い、ホットスポットの除染などへの対応などを求めました。
  今はっきりしているのは、細胞分裂が活発な子どもの場合は、より危険性が高く、年間1mSv以下であっても安全だと言い切れないことです。
  足立区などの4区は砂場の立ち入り禁止や、砂の入れ替えなどの措置を取りました。
  また、新宿区は、測定器の区民貸し出しも補正予算で対応しています。
  食べ物についても、政府が、暫定基準値を超えたものは市場に出さないとしてきたにもかかわらず、牛肉などで守れなかったことで不安が広がっています。それに応えて新宿区では子ども施設の給食のサンプリング調査を実施、杉並区では食品用の測定器の購入をすることと、品物が届くまでは測定を委託することをこれも補正予算で計上しました。
  測定装置や測定方法の検証などは同時並行で行いつつ、子どもが体外から浴びる、あるいは体内に取り込む放射線をできる限り減らすとり組みを急ぐべきではないでしょうか?
  まずはかることからです。未来を担うのは子どもたちです。
  改めて、北区でも、(1)@放射線量マップの作成、子ども施設の中でホットスポットを探し、除染などその対策を急ぐこと、給食の食材の線量測定などの対策強化、汚染対策担当部署の設置の4点実施を求めます。ご答弁ください。

【区の答弁】
 まず、放射線に関するご質問について、順次お答えします。
  初めに放射線マップについてです。
  放射線は放射性物質から平均的に発生するものではないため、個々の測定値をそのまま地図上に図示すると、誤解を与える恐れがあります。
  現在、そのことを踏まえた放射線地図の作成を検討しているところです。
  次に、子どもが多く利用する施設につきましては、今後も継続して放射線測定を進めますので、放射線量の高い場所があった場合は、すみやかに対応を検討して参ります。
  給食の食材の線量測定につきましては、保護者の不安を解消するため、実施している自治体があることは認識しております。
  しかし、現在施設ごとに購入している多様な食材を、調理前に検査し、結果を確認することは困難であり、十分な測定結果を得るには、給食時間への影響、食材の納品量の調整、新鮮でおいしい給食の提供、衛生管理上の問題など、様々な課題があるものと考えています。
  放射線対策の専門部署の設置につきましては、関係各課で連絡会を設けて連携して対応指定降りますので、現状では必要ないものと考えております。
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(2) 原発ゼロを促進する立場に立つべきだ
 放射能に関する質問の第(2)に、原発ゼロを進める立場に区長が立つことを求めます。
 放射線防護や管理に携わる人々は、白血病などでの死亡が多く、事故現場では大変な危険にさらされています。その上、多数の住民が避難を余儀なくされており、しかも、数十年にわたり戻れないのではとも言われています。今後さらに食料や飲料水を通じての被曝も加わっての放射線障害も懸念されるなどその命に関わる大きな危険性が問題です。
  同時に、原発は、被災者への補償も、地震、津波などへの備えも、老朽化への対応も全く不十分で、その手立てを尽くせばコストがうなぎ登りに上がります。
  しかも、100万kw級1基で広島原爆800個分もの放射性物質を1年間で作り出します。これを処分して放射能の影響を消す方法を人類は未だに手にしていないし、何万年もの間安全に管理する手立ても持っていません。六ヶ所村の処理施設も事故続きです。
  また、巨大な核の熱の2/3を近隣の海などに放出し、多くの関連施設から放射性物質を漏らすなど環境に及ぼす問題も深刻です。
  自然エネルギーの爆発的な育成と、節電により持続的発展は可能であり,積極的に取り組むべきです。
  便利さや利益を追求するあまり、未来を危険にさらすわけには行きません。
  区長は6月定例会で節電と自然エネルギー育成の意思は表明されていますが、原発の廃止については、政府の「動向を十分に注視しつつ、必要な時には、国や東京都に対して、全国市長会や特別区長会を通じて、対応」していくとの答弁にとどまりました。今がまさにその時であり、原発をゼロにする意志を持ち、行動するべきです。答弁を求めます。

【区の答弁】
 次に、「原発ゼロを促進する立場に立つべき」とのご質問にお答えいたします。
  国は、革新的エネルギー・環境戦略において、現行のエネルギー基本計画を白紙から見直し、新たなベストミックスの実現に向け、原発依存度低減のシナリオの作成や、原子力政策の徹底検証などを行うとしております。
  また、八月には「原子力安全規制に関する組織等の改革の基本方針」を閣議決定して、原子力安全行政の信頼回復と、機能向上を図るため、安全既成組織の改革を進めるとしております。
  区といたしましては、今後とも、こうした動向を十分に注視しつつ、必要なときには、国や東京都に対して、全国市長会や特別区長会を通じて、対応して参ります。

(3) 核兵器廃絶に向けたとり組みの強化を
 放射能の第(3)は、核兵器を無くす問題です。
  私は、この夏の原水爆禁止世界大会に参加してきましたが、福島原発事故が、同じ放射能被害の問題、ヒバクシャを増やしたとして大きなテーマになりました。
  広島・長崎の原爆は、熱と、爆風、そして衝撃波と、強烈な初期放射線で一定の範囲を、焼き尽くし、押しつぶしたうえ、放射線障害で、そこにいた方々を苦しめ続けました。
  さらに、核分裂で作り出された残留放射性物質、いわゆる『死の灰』により、急性障害・晩発性障害を発症させたうえ、遺伝的影響まで与え、環境を汚染しました。
  加えて、アメリカやソ連、そして世界各地で核兵器の製造工程から、廃棄物処分までの間に放射能被害を多数発生させてきました。
  核兵器は、大量無差別の虐殺兵器であるうえ、広範囲、そして世代を超えて長期間生命を虐げる人道に反するものであり、全面禁止すべきです。そのための禁止条約の交渉開始は人類喫緊の課題です。
  国連の事務総長代理として今年も原水禁大会に出席した、軍縮問題担当上級代表は、「市民社会のみなさんの取り組みと、国の取り組みが一緒になって新しいうねりをつくりだしている」と発言し、市民運動と、自治体の運動の意義を強調しました。
  そこでお尋ねいたします。区長は、平和市長会議に加盟されました。さらに一歩進めて、核兵器廃絶を平和宣言に明確に盛り込み非核宣言自治体協議会に加盟すること、政府に対して究極ではなく、速やかな核廃絶に転換するよう求めること、あわせて、板橋区などに続き広島・長崎の祈念式典に区民や児童生徒を派遣することなど、核兵器ゼロにむけた事業の強化を求めるものですがご答弁ください。

【区の答弁】
 次に、核兵器廃絶に向けたとり組みについてお答えいたします。
  ご案内のとおり、北区の平和都市宣言は「非核三原則を堅持するとともに、世界の恒久平和と永遠の繁栄」を謳っており、日本非核宣言自治体協議会においては、この平和都市宣言をもって北区を北区を非核宣言自治体としています。
  また、非核宣言自治体協議会の活動は、先般加盟いたしました平和市長会議の活動ともかなり、重複が見受けられることから、北区としては、平和市長会議加盟自治体として、北区平和祈念週間事業を通じ、恒久平和と核兵器廃絶を願う活動の一掃の展開を図りたい、と考えています。
  なお、政府は、唯一の被爆国として従来から、核兵器の廃絶等を世界に訴えてきており、紗得年のNPT核拡散防止条約再検討会議における最終文書の採択など、着実に、核兵器なき世界に向けての成果をあげてきていると、認識しています。
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二、東日本大震災を経験しての防災対策の強化を問う

  大きく二つ目の質問は防災対策の強化についてです。
  6月の定例会で、さがらとしこ議員が、東日本大震災への緊急対応や、被害想定も含む地域防災計画の見直しなどを問いましたが、私も、追加して、四つ質問いたします。

(1) 被害を減らすための、住宅と宅地地盤の改善支援について
  防災の第(1)に、被害を軽減するため建物づくり、宅地造成について3点質問します。
  @木造住宅耐震改修助成限度額の引き上げと簡易改修助成、高齢者上乗せ助成、   限度額の引き上げを求める
 1点目は、木造住宅の耐震改修の促進についてです。
  北区の耐震改修促進計画では、2015年度までの10年で22500戸の改修が目標ですが、これまで5年半の実績は100戸にも届きません。目標達成に向けて二つ提案します。
  一つは限度額の引き上げです。実は、23区で未だに50万円を限度額としているの北区とあと2つ、3区だけです。最近葛飾区も、助成限度額を80万円から120万円に引き上げました。20区が75万円以上で、新宿区は300万円です。
  二つに、制度の充実です。墨田区に調査にいきましたら、区内の建築業関係者に耐震相談に協力してもらうなど、促進に力を入れています。木造密集地域で、道路側につぶれてしまえば避難や救助を妨げることなども勘案して、緊急対応地区内で、限度額80万円、高齢者は100万円で助成しています。加えて、耐震強度0.7の簡易改修に対してもこれは全区で助成をして建物がつぶれないまちづくりを進めています。
  北区でも、限度額の引き上げ、簡易改修への助成、高齢者への上乗せを求めます。あわせて、平成18年からの年度別の改修実績、今年度に入ってからの実績もお答えください。

区の答弁
 次に、木造住宅耐震改修助成限度額等についてお答えいたします。
  木造住宅耐震改修助成の、平成18年度から22年度までの実績は、順次、10件、5件、4件、12件、32件です。
  平成23年度は、八月末現在で既に前年度の半数を超える20件を助成しており、東日本大震災を受けた、区民の皆様の。建物耐震化に対する関心の高さが伺われます。
  木造住宅の耐震助成限度額の引き上げにつきましては、まずは現行制度の中でより多くの住宅の耐震化を、支援できるよう推進いたします。

A点目は、居住あんしん修繕支援事業の改善と、来年度継続です。
  今年度、不況対策として実施しており、大震災で、瓦屋根が破損するなどの改修にも使えるようにしたため、大変喜ばれました。6月募集で予定の100件を上回る157件の審査を受け付けることとなりました。まずこれまでに何件、いくらの助成が実施され、工事金額はどの程度かお答えください。
  その上で、区民からは、6月9月12月の締め切りをなくし、随時受け付け、先着順に改善してほしいの声が出されています。随時受付の先着順、補正予算も視野に入れ、ただちに改善を図るなど、柔軟な対応を求めます。お答えください。
  また、アパートの改修などにもひろげ、限度額の引き上げなどの充実をして、来年度も実施するよう求めます。ご答弁ください。

【区の答弁】
 次に、居住あんしん修繕支援事業についてのご質問にお答えいたします。
  この事業は、住宅の長寿命化・定住化の促進、地域経済の活性化を目的とし、自己の居住環境を整備するため、個人住宅の修繕工事について、区内業者を利用した場合に助成するものです。
  募集方法は、事業の十分な周知を図るため、三回に分け、助成は合計で300件を予定しております。
  八月末現在助成の決定件数は約80件、金額は、約640万円です。助成対象の工事金額は約6600万円となっております。
  区といたしましては、今年度限りの事業として、出来る限り、多くの皆さまにご利用いただけるよう、必要に応じて対応を考えて参ります。

B斜面地の造成や液状化など地盤被害の対策強化について
 3点目に、斜面造成地や液状化など宅地の地盤被害の対策強化を求めます。
 仙台市だけでも、被害が報告されている約4000の宅地のうち、約800が、居住困難な危険判定を受けました。青葉団地、緑が丘団地などあちこちで被害を受けましたが、私は、折立団地を調査してきました。県の住宅公社が造成した戸建て分譲団地です。沢筋に盛り土したところが、元の地表との境目で3m以上滑り、50戸以上が全半壊しました。現地では、敷地内に2m幅の地割れがある、道路と敷地が1m以上離れる、大きく傾くなどの家々が続き唖然としました。私は田端の区画整理での、斜面造成地が心配になりました。まず予防対策が必要です。
  横浜市や、浜松市では斜面地の宅地の造成基準を市として作っています。地盤工学会も、宅地造成に関する技術基準や販売規制への提言や耐震調査の手引きを作りました。
  また、全国で約1万戸が液状化の被害を受けました。同じ造成宅地の地盤の被害です。浦安市では、それまで一部損壊とされて来たものを大規模半壊として扱う判定基準の改定を全国に先駆けて行い、補償の対象にしました。災害補償の基準の見直しも必要です。また液状化対策工法の開発も進んでいます。
  北区にも液状化や、地滑りが心配される宅地があります。
  まず一つは予防のために、宅地造成基準を作って規制すべきです。また宅地売買の規制強化を国や都にも働きかけて進めるべきです。二つ目に、宅地地盤の事故が起きたときに備え、補償基準も改訂すべきです。区長の見解を問うものです。

【区の答弁】
 次に、斜面地の造成や液状化など地盤被害の対策強化について、お答えいたします。
  現在、東京都では、斜面地の造成に係る審査基準として、「都市計画法の規定に基づく開発行為の許可等に関する審査基準」を定めており、北区での宅地造成等の開発許可に当たりましては、この基準を適用しています。
  また、宅地地盤の事故に伴う補償基準につきましては、国等の動向を注視してまいります。
  なお、区内の液状化につきましては、荒川河川敷のみで、市街地では発生しておりません。

(2) 印刷局東京病院は滝野川地域の救急救命機能維持のため存続拡充を
 防災の第(2)の質問は、救急救命に重要な印刷局東京病院の存続拡充を求めます。
 6月定例会で永井朋子議員が、北区で唯一の災害拠点病院である東京北社会保険病院の公的存続と、給水車・自家発電など災害拠点病院としての強化の方向を問いました。
  被災地の女川町では、町立病院が人口1万人の中で、大変大きな役割を果たしました。人口約86000人の滝野川にせめて一つ、医師、看護師、その他の救急体制を確保できる病院は不可欠です。
  災害拠点病院は、板橋区には3病院2663ベッドありますが、北区は1病院、280ベッドです。また、全夜間・休日の救急医療ができる病院は、赤羽で北社保も含めて2病院、王子では3病院、滝野川では0なのです。滝野川の場合は救急告示病院も、印刷局東京病院しかありません。滝野川は救急救命の病院機能が弱く、夜間休日は皆無に近いのです。
  ですから、区議会の2008年3月の決議では、「約2万人を受け入れる広域避難場所に隣接する病院として、救援救命活動を期待する」とし、「診療科目・病床数・救急告示病院としての役割の維持」を求めています。今年3月定例会で北区は、この病院の夜間救急について「診療体制が整わないため、平成19年1月に一時休止いたしましたが、平成22年、昨年の2月から夜間救急を再開した」と説明しました。しかしこれは、週に一晩だけの話です。
  私は、北区医師会や、自治会、区内の政治力を総結集して、存続拡充に取り組むべきと考えます。北区の決意を問います。合わせて、陳情の全会一致の趣旨採択を受けてどのようなとり組みをしたのか、今後どのような行動を取ろうとしているのかご答弁ください。

【区の答弁】
 次に、印刷局東京病院の存続拡充についてお答えいたします。
  印刷局東京病院は、区内の中核的な医療機関として、区民の高い信頼を得るとともに、区民の健康と福祉の向上に貢献し、北区には無くてはならない存在と考えています。
  平成22年12月の閣議決定、「公的医療機関への移譲」については、現行の医療機能が引き継がれる形での運営を印刷局に求めているところです。
  今後も、印刷局病院の動向について、積極的に情報収集に努めるとともに、区議会や医師会ともご相談しながら、印刷局東京病院の医療機能存続に向けて全力を挙げて取り組んで参ります。
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(3) 当面する防災施策の充実について
  防災の第(3)の質問は、当面する防災施策の充実についてのC点です。
  @地域防災計画検討会の内容や、現行地域防災計画の周知・徹底を通じて地域防   災計画見直しへの住民参画強化を

1点目は、現行地域防災計画の徹底と、新計画策定への住民参画についてです。
  北区の「東日本大震災をふまえた今後の災害対策のありかた検討会」の中で、地域防災計画のポイントを住民が知らない自治体が多いということを専門家が指摘していました。
  先日、私も避難所運営訓練で広報班長の業務に就きましたが、避難所運営の主体となるには改めて知らないことがたくさんあることを再認識させられました。運営に携わった方々からも改めてわかったこと、改善すべき事が数々出されました。
  私が地域の皆さんに問いかけても、避難場所と避難所の違いがわからないという方が少なくありません。直下型地震の可能性が高い東京では自主消火が大事だという防災計画のポイントが住民に周知徹底されておりません。
  一つに住民ひとり一人に粘り強く働きかけ、訓練やワークショップなどへの参加を働きかけ続け、ポイントをよく認識してもらうこと。二つに参加して学んだ住民の知恵を地域防災計画に活かす場をつくるよう求めます。ご答弁ください。

区の答弁
 次に、当面する防災施策のうち、地域防災計画に関するご質問にお答えします。
 北区におきましては、自主防災組織を中心とした避難訓練や災害時の初期対応の訓練だけではなく、地域防災力パワーアップ講座や避難所運営訓練などのワークショップ方式の実践的な図上訓練を行っております。
 その際には、学校職員、PTAの皆さまなどへも参加の呼びかけをさせていただいております。
 また「東日本大震災を踏まえた今後の防災対策のあり方検討会」につきましては、公開しておりますので、多くの皆さまに、検討内容をご覧いただけるよう、広報に努めてまいります。

 A高層住宅の対策充実について
  当面の対策A点目は、高層住宅の対策充実です。
  NHKも高層ビルの問題を特集し、揺れが低層建物より大きくなること、非常用電源の燃料が危険物取り扱いなどの関係で4時間しかもたない例も示しながら、水やエレベーターなどライフラインの確保の重要性を紹介しました。西ヶ原でも、高層マンションから中層マンションに引っ越した方がいます。北区では震度5弱でしたが、高層住宅であるが故に豊島五丁目団地では、揺れに対する恐怖のために部屋に戻れない方が出たり、ドアが壊れて長期間にわたって修繕できなかったりしました。
  一つに、高層住宅に対する家具転倒防止器具の装着促進強化と助成拡大を北区として実施すること。二つに、非常用電源の確保と、水やエレベーターの確保ができるような安全対策の強化を国や東京都にも働きかけるべきです。ご答弁ください。

【区の答弁】
 次に、住宅における、家具の転倒防止対策につきましては、一義的には所有者の責任で行うものであり、その取組みを促進することが、区としての減災対策であると認識しています。
  高層住宅における家具店等防止器具の設置などにつきましては、有効な手段だと考えておりますので、今後、高層住宅にお住まいの方などへの、啓発促進に努めてまいります。
  また、高層住宅の安全対策の強化につきましては、必要に応じて、国や東京都に働きかけてまいります。

B子どもや高齢者・障害者など災害弱者への対応について
 当面の対策B点目は災害弱者への対応の強化です。
  災害時に、子どもや高齢者など、災害弱者を預かる施設については、規定がなかったため、さまざまな対応の違いがみられました。安全確保を最優先に、地域防災計画や、様々な施設の運営規定を改訂すべきべきではないでしょうか。答弁を求めます。

【区の答弁】
 次に、子どもや高齢者・障害者など災害弱者への対応について、お答えします。
  学校や保育園につきましては、今回の震災を踏まえ、新しい方針を定めております。
  その他の施設につきましても、必要な対策について、鋭意、検討しておりまして、今後の地域防災計画の改定時には、内容の整合を図ってまいります。


C学校教育機能回復と、避難所のかかわりについて
  当面の対策4点目に、学校機能回復と、避難所のかかわりについてです。
  災害が起きて、避難所ができ、おさまってから避難所がいらなくなって来た時の収束の仕方についてです。学校教育や保育の再開が、復興に向けた保護者の支援にもなります。学校教育の再開に当たっては、避難所から学校への引渡をどのように進めるかなど、様々な想定・計画が必要ですが、地域防災計画には明確でありません。当面の収束計画策定を求めます。ご答弁ください。

【区の答弁】
 次に、学校教育機能回復と、避難所の関わりについて、お答えします。
  地域防災計画では、避難所の開設期間は、原則、災害の発生の日から七日以内としていますが、状況によって機関を延長することを想定しており、その場合の避難所の閉鎖時期は、状況に応じて総合的な判断をすることとなります。


(4) 区民と北区が避難者、被災自治体と連帯することについて
  防災の第(4)は区民と北区が避難者、被災自治体と連帯することについてです。
 @北区豊島避難所の活用強化を
   1点目は北区豊島避難所の活用の強化について、現状とともにご答弁ください。

【区の答弁】
 次に、北区豊島避難施設の活用強化についてお答えします。
  現在、宮城県仙台市、福島県郡山市からの二世帯七名の方が入所されています。入所された方の支援につきましては、日常的な生活相談のほか、保健師による健康・育児相談などを行っております。
  また、被災地の子どもたちへの支援として、八月下旬には岩手県の小学生を受け入れ、九月下旬には福島県の小学生を受け入れる予定です。
  こうした利用も含め、今後とも入所された方への支援や施設の活用を図ってまいります。

 A窓口開設など北区への避難者支援の充実を
  2点目は北区に避難した方々が、各自治体が実施している施策を、窓口も開設して対応することです。避難している方々は、罹災証明、義援金、アパート家賃の負担、健康保険の対応など元の自治体の多岐にわたる施策を活用します。現状では危機管理課が担当課に回し、担当課が避難元自治体との連絡調整などもしながら進めているようです。私は、避難者、被災者に継続的に対応する窓口を作り、そこが、担当課とともに被災自治体と連携を取りながら事に当たり、例えば申請書類を取り寄せるなどし、必要なら国や東京都への改善の働きかけなどしながら、北区として積極的に取り組むことを求めます。ご答弁ください。

【区の答弁】
  次に、北区に避難された方への支援の充実についてお答えします。
 東日本大震災被災者支援担当課が中心となって、関係課と連携しながら避難された方への親切、丁寧な対応に努めております。
  また、被災者支援にかかる改善や要望については、必要に応じて、特別区長会などを通じて国や都へ要請してまいります。

三高齢者のための施策の強化について
 大きな第三の質問に入ります。高齢者のための施策の強化です。

(1) 全高齢者実態把握調査の現状と課題について
  高齢者の第(1)に、実施中の全高齢者実態把握調査の現状と課題についての質問です。
  78000人の65歳以上の高齢者全員に対し、北区の高齢者サービスのかなりの部分について、知っているかどうか、利用状況などを問うという、なかなか意欲的な調査です。同時に、答える高齢者にとっては、勉強になる一方、回答を書くのが大変であったり、難しかったりするものでもあります。そもそも答えられる状況にない方もおられます。回収状況と、その中で高齢者の皆さんから出される、問い合わせや、意見についてまずご紹介ください。
  そして今後、返送されてこなかった方のところへは、委託先が雇用した人が回答をお願いしながら10月から5回も状況確認に行き、緊急に介護や支援の必要がありそうなかたには包括から人を出すとのことですが、1つにこの督促に行く人たちの研修は万全ですか?2つにどういう場合に地域包括からの支援要員を出すのですか?質問します。
  また、3つに、今後、この調査結果を施策に生かすため、今年度、委託している集計や分析にとどまらず、その後も再集計や再分析を行なえるようにしておくべきだと考えますが、その準備はありますか。以上3点についてもお答えください。

【区の答弁】 
 次に、高齢者のための施策の強化についてです。
  まず、全高齢者実態把握調査の現状と課題です。
  全高齢者実態把握調査は、特別養護老人ホーム入居者を除く、7月1日現在、65歳以上の方全員に、8月9日に調査票を送付し、9月7日現在で、50887人、65.3%の方から返送していただきました。
  この間、区や地域包括支援センター、委託会社のコールセンターに多くの問い合わせや意見がありました。
  区への問い合わせは、600件程度で、委託会社に関するもの、個人情報の取り扱い、記入方法、調査目的などです。
  コールセンターへの問い合わせは、850件程度で、記入方法、返送期日についてなどが多くありました。
  なお、調査の現段階の状況については、所管委員会でご報告する予定です。委託会社には、研修を義務付けており、調査の目的、個人情報の取り扱い、接遇マナーについて研修を行います。
  また調査結果は、担当エリアの地域包括支援センターに配布し、民生委員の方にもご協力をお願いして、湯千度の高い方から、順次訪問等を行う予定です。
  次に調査結果の活用については、「長生きするなら北区が一番専門研究会」や東洋大学との提携事業での検討をはじめ、高齢者保険福祉計画策定などに生かし、「長生きするなら北区が一番」と実感していただける施策を検討してまいります。


(2) 地域包括支援センターなどの人員増と体制強化について
 高齢者の第(2)は地域包括支援センターなどの人手の確保と、体制強化についてです。
  この調査の過程で、要介護、要支援や、お互い様ネットワークの見守りが必要な人が増えるであろうと思います。それに対応する人手が必要になります。
  お互い様ネットワークの見守り協力員は、例えば認知症サポーターや、介護予防リーダー、自治会活動などで見守り活動を行っている区民に、どんどん協力員になってもらう事がまずは第一段階と考えます。どのように増やすかご答弁ください。
  また、地域包括支援センターへの当面する人員増は、補正での対応も必要と考えますがご答弁ください。
  あわせて、地域包括支援センターの機能強化についても質問します。かつては3拠点、現在2拠点の直営の拠点包括で実施してきたケース別の支援も含めて、機能強化の方向性についてご答弁ください。少なくとも現行2拠点は直営のまま残すべきと考えますが見解を問います。

【区の答弁】
  次に地域包括支援センターなどの人員増と、体制強化についてです。
  地域包括支援センターは、現在2か所の直営と、11か所の委託の13か所を整備し、エリアごとの高齢者数の適正化を図るとともに、今年度からは、相談機能の充実のため、社会福祉士等の専門職1名の人件費を増額したところです。
  ご指摘のとおり、全高齢者実態調査の調査結果を受けて、訪問調査を行い、必要な支援を行うなど、地域包括支援センターの役割は、さらに重要になると考えています。
  今後も、地域包括支援センターの整備と機能の強化が図れる体制づくりを進めてまいります。
  また、見守りが必要な方も増えると思われ、活動意欲のあるお元気な高齢者の方にも働きかけを行い、お互い様ネットワーク協力員の担い手の育成も行ってまいります。
  直営の地域包括支援センターについては、開所日の増と利用時間の延長などサービスの充実のため、平成25年度に滝野川地域包括支援センターを委託します。
  王子地域包括支援センターが、委託の地域包括支援センターを支援するとともに、緊急時の入所措置などの福祉事務所機能を担う体制の強化に努めます。


(3) 特養ホームの待機者解消とショートステイの充実について
  高齢者の第(3)は、高齢者対策の重要で喫緊の課題としての特養ホームの待機者解消、ショートステイの充実についてです。
  今でも、特別養護老人ホームの待機者が936名いますが、実態調査で潜在的待機者も明らかになってきます。
  現在、前期計画では240床作るとされていますが、新町中跡地90床が明らかにされ、50床の着工と、100床は具体的な姿がいまだ見えません。あとは2015年度以降の後期100床という計画です。それでは待機者解消は不可能です。ショートステイもますます必要になります。特養、ショートステイの計画の拡大と前倒しを進めるべきですが答弁を求めます。

【区の答弁】
  次に特別養護老人ホームの待機者解消とショートステイの充実についてお答えします。
  特別養護老人ホーム入所待機者の解消を図るため、現在、九新町中学校跡地に、定員90人の特別養護老人ホーム及び定員10名のショートステイを整備しており、平成25年4月に開設予定です。
  高齢化の進展が著しく、新たな施設整備が求められており、今後も、引き続き、民間事業者を積極的に誘導するとともに、九有地の活用や九率施設の増床により、計画的に特別養護老人ボームとショートステイの整備に努めてまいります。



(4) 医療・介護連携の強化について
  高齢者の第(4)に、医療・介護連携の強化を求めます。
  健康福祉委員会が視察した、山口県宇部市では、退院前に在宅ケアや、施設入所などの準備ができる「退院情報連絡システム」や「主治医紹介システム」が作られています。入院している人が、退院を機に、家族が入所先探し、入院先探し、介護の準備で苦労しているのが北区の現状です。宇部市がこうしたシステムを作れたのは、在宅ケア医療・介護・保健のケア関係者の個別事例研究の積み重ねが重要だったと関係者がみな述べています。北区でも、医師会が、医療・介護連携の道を探っています。改めて関係者を結んだ事例研究の積み重ねから始めるべきではないでしょうか。北区が、その連絡調整の中心を担うよう求めます。ご答弁ください。

【区の答弁】
 次に医療・介護の連携強化についお答えします。
 高齢者の在宅生活を支えていくためには、医療を中心に保健、介護、福祉等の関係者が連携し、地域包括ケアを推進していく必要があります。
  地域包括支援センターがかかわる方の中には、認知症や精神障害、虐待など深刻な課題を抱えるケースも増えています。
  ご提案の事例研究を積み重ねることは、在宅の高齢者を取り巻く様々な関係者の連絡調整と情報共有に寄与し、医療と介護の連携強化とともに高齢者が在宅で安心して生活ができる体制の構築に向け、極めて有効であると認識しています。
  今後、医師会をはじめ、関係機関の方々と事例研究を重ねてまいりたいと考えています。

四 田端文士芸術家村らしい景観づくりを目指して

  最後に、田端文士芸術家村らしい景観づくりについて質問します。
  田端は、区画整理の進行で、まちの姿が大きく変わり始めています。田端文士村らしい景観が失われる危機感を感じます。
  もともと、谷田川通り沿い、田端駅通り沿道は、バブル期からビルが建ち、この区画整理期間中にもマンション建設が相次いだことはすでに触れてきました。それでも、区画整理事業地区内には、森まゆみさんが9/8の新聞に「田端の森」と書いたような崖線の緑が残り、木造住宅が建ち並ぶ、「緑の残る坂のまち」の落ち着いた景観を保ってきました。これを守る為に地区計画が定められました。
  しかし残念ながら、事業進捗で補助92号線沿道にも、20mの高さ制限一杯の大型のビルが建ち並び、近隣の方々との建築紛争も起きています。
一方、景観を大事にするために、建物の高さや、形状、用途などのルール作りをもっとも強力に進められるのが景観行政団体になることで、すでに11区が移行しました。北区も、景観行政団体に移行すべきと考えます。
  移行した上で、規制を強めた景観地区を指定するには、文化的・歴史的遺産を大切に思い、これを活かそうというまちづくりの合意形成が必要です。
  現在、田端文士芸術家村事業は、文化振興財団に委託し、記念館の運営を通じて、「田端ひととき散歩」や、展示、講演会などが、記念館の研究を活かして行われており「ひととき散歩」は全国各地からの参加があります。もっと研究を進め、それと結びついた、歴史的・文化的な場所、家、坂、「みち」などを大切に思えるかどうかが重要です。第一に古くからお住まいの方々に過去の記憶をうかがい記録すること、それを活かして記念館での研究を進めること、そして、こうしたとり組みを、景観を大切にしようという思いをはぐくむとり組みとして、まちづくり部、地域振興部、住民が共同して取り組むことがまず求められます。
  そして、高さ制限や、衣装・デザイン、緑化の義務化などで地区計画を補強できる景観計画を作り、今後建て替えても田端文士芸術家村と呼ばれるにふさわしい景観を作っていけるように、ルール作りの場を作るべきです。
  大切にする思いを作る場とルール作りの場を、住民や地権者とともに進める事業とする前向きな答弁を求めて私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

【区の答弁】 
 最後に、田端文士芸術家村らしい景観づくりを目指して都のご質問にお答えいたします。
 区では、北区都市計画マスタープラン2010の中で、警官方に基づく景観行政団体への移行を進めることとしております。
  景観行政団体となるためには、景観計画を作成し、地域別に、景観形成地区等を設定して、誘導や規制をするための景観形成基準を定めることになります。
  ご提案の田端文士村にふさわしい景観整備のルールづくりの場等につきましては、景観行政団体への移行時期に併せて、検討してまいります。
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