日本共産党北区議員 山崎たい子
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         最終更新日2008.10.16
◆ 平成20年北区議会第4定例会 本会議
「東京都北区十条台小学校温水プール等の指定管理者の指定について」に反対する討論
                     やまき 直人 区議会議員

  私は、日本共産党北区議員団を代表して、ただいま上程になりました第115号議案 「東京都北区十条台小学校温水プール等の指定管理者の指定について」に反対する討論を行います。

 日本共産党北区議員団は、そもそも、「公の施設」に指定管理制度を導入することによって、公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれる可能性が高いことからその導入に、基本的に反対してきました。さらにこの制度は義務ではなく、「できる規定」であることもご承知の通りです。     
  政府、総務省をはじめ、北区は、同制度について、営利企業の参入を促し,市場競争の原理を働かせることにより、施設の維持管理経費の削減、住民サービスの向上を同時に達成できるとしていますが、ここに大きな問題があります。

 もともと、公の施設は、地方自治法 244 条で地方自治体が設置する施設のうち、「住民の福祉を増進する目的を持って」設置する施設をいい、住民の施設利用権を保障しなければなりません。
  そのため、それぞれの施設の目的に応じて、採算がとれない業務であっても、その機能や役割を果たしてきたし、運営についても、「全体の奉仕者」である「公務員」を中心としてサービスが提供されてきました。
  指定管理者制度で、こうした使命をもつ公の施設を、営利を追求する民間企業が担っていくことができるのか。コスト削減となれば、なおのこと、人件費削減などに直結し、強いてはサービスの質の低下や、受益者負担の強化につながるのではないかと、その問題点を繰り返し、指摘してきたところです。

 従って、日本共産党北区議員団は、指定管理者指定議決の際には、こうした公共施設の目的に照らして、十分な専門性を発揮して、安定的、持続的にサービスが提供できる指定管理者かどうかを見極める努力を重ねてきました。
  本議案は、十条台小学校温水プール、谷端プールなど、区内五つのプールの管理運営を行う指定管理者を指定するものですから、法律でいえば、社会教育法に照らし、社会権としてのスポーツを保障する機能をもつ施設です。
  プールでの諸活動を行うにあたり、スポーツやレクリエーション、健康の維持増進などについての専門性はもちろんのこと、安全を守る点で、十分な性能、機能を持つことが前提です。こうした基準に照らして、以下二つの問題点を指摘いたします。

 その第一は、今回指定管理者とされた株式会社サンアメニティが、この施設の管理者にふさわしいかどうか。
第二は、北区の選定ガイドラインが持つ問題とそれをチェックする議会に対する情報開示の問題です。

  まず第一のサンアメニティの適正性についてですが、北区との契約に関わって、昨年度、三件の不祥事を引き起こしました。
  一つは、昨年4月元気ぷらざ温水プールで水漏れ事故を起こし、賠償しました。二つに、昨年7月頃、元気プラザで、従業員によるプリペイドカードの料金着服事件も引き起こしました。これについては、指名停止三ヶ月の処分を受けています。三つに、昨年夏、谷端プールの監視員 4 人が暴力事件を起こしました。監視員の雇用条件は 18 才以上であったにもかかわらず、その 4 人は 18 歳未満でした。そのため契約違反が問われてこちらは 2 ヶ月の指名停止処分を受けました。
  このように、三つの不祥事を区内で起こしてきたわけですが、こうした事態に対する反省や改善が、少なくとも我々には、全く見えません。
  たとえば「月刊体育施設」という雑誌の、指定管理制度に取り組む民間企業のインタビューシリーズ 2007 年 9 月号にサンアメニティの執行役員が登場しています。少なくとも2つの不祥事は明るみに出ていたはずです。
  ところがこの役員は、「プールを中心に 100 を超える施設の委託管理をしていますし、世界初の、コードレスのプール用ロボットも開発しています」「委託というのはどんなに頑張っても年間の金額が決まっていますが、指定管理は頑張れば頑張るほど努力の結果が出ます。」などと述べるだけで、不祥事の反省やそこから導きだした改善点などは、一言も触れられておりません。
  その後、 18 歳未満を雇用し、彼らが暴力事件を起こしたわけで、さらに教育、管理、指導の再度の改善を行ったという事実は議会には示されませんでした。
  こうしたコンプライアンスにも欠けている企業は、社会教育施設を運営する主体として、ふさわしくないのは当然のことではないでしょうか。

 問題点の第二は、こうした問題が多い企業をチェックできない北区の選定ガイドラインと、議会に対する情報開示の問題です。
  一つ目はコンプライアンスに関するチェックや評価です。
  本案の委員会審査の中でも、不祥事をおこした谷端プールそのものを再度、管理することについての違和感や、審査における企業の評価内容について、議会側では、十分、内容チェックができないという不満が指摘されました。
  こうした質疑の中で明らかになったことは、実際の審査は、応募事業体名は伏せられた書類のみの審査として行われること、指名停止期間が過ぎているので応募用件は満たしていること、過去の当該施設の業務委託や指定管理をした実績は加点されるが、不祥事の減点は行われないこと、審査委員会に対して不祥事の事実関係は開示されなかったこと、コンプライアンスについての評価項目もないことなどが明らかになりました。
  こうした指定管理者の審査の実態は、工事入札参加業者等選定基準や指名停止基準などには、例えば、格付けや、契約遵守、経営・財務状況の確認、他自治体でのトラブルの有無などが明記されていることから見ても不十分な手続きです。
  指定管理の場合も、不祥事や、法令遵守に対する姿勢をチェックできるように、コンプライアンス条項をつくり充実する必要があることは明確です。
  委員会審議の中で、教育委員会事務局次長が「区内で起きた問題については、収集する必要がある」「指定管理者選定ガイドラインを所管する政策経営部に伝える」との答弁もありました。現在の教育長の答弁ですから、当然実現するものと思いますが、区内だけでなく、入札選定基準などには含まれている他自治体でのトラブル等も加えるべきです。

 二つ目は安全管理に関するチェックや評価です。
  驚いたことに、第二位と同点で、最高点がつけられていました。雇ってはいけない 18 歳未満を契約条項を破って平気で雇う企業に、安全管理をまかせられないのは言うまでもありませんが、その評価や改善点が何もふれられておりません。

 三つ目は、経営の安定度や職員の定着度、人材育成のあり方などについてのチェック、評価です。
  保育園や病院の突然の閉鎖で、子どもたちや患者さんが多大な影響を受けた事例がここのところ相次いでいます。公の施設で、こうした問題を起こすわけにはいきません。従って、指定管理者の財務状況や、職員の労働条件をチェックし、経営破綻に陥ったり、職員確保ができなかったり、何人も職員が入れ替わって安定的なサービスが提供できないという事態を防ぐ手だてを講じる必要があります。しかし、そうしたチェックが行われていることは示されておりません。

 四つ目は、何度も指摘してきたことですが、公の施設で働く人にワーキングプアはつくらせないという姿勢の欠如です。適切な給与水準と、人材育成が果たせない企業に任せるわけにはいきません。そうしたチェックができるガイドラインとすべきです。

 以上のように、こうした選定基準の曖昧さから、これらの情報が議会に全く開示されておらず、議会として責任ある判断をすることできない重大問題だということを強く指摘するものです。

 以上の点から、第 115 号議案に反対する討論とさせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。  

 
 
 
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