日本共産党北区議員 山崎たい子
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         最終更新日2020.10.13
◆2020年度、第3回定例会 最終本会議
2019年度東京都北区一般家計決算及び、 国保会計、後期高齢医療会計決算の反対討論
2020年10月9日

 東京都北区2019年度決算認定に対する日本共産党北区議員団野口まさと議員の討論

 私は、日本共産党北区議員団を代表して、ただいま上程されました日程第1、2019(令和元)年度東京都北区一般会計決算、日程第2、東京都北区国民健康保険事業会計決算及び、日程第5、東京都北区後期高齢者医療会計決算に対する反対討論を行います。

コロナ禍における決算審査の議論について

 初めに一般会計決算についてです。本決算審査では、新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の危機の中で、改めて北区政運営のあり方が問われました。

 会派が議論の前提に据えた柱の一つは、183億円に積みあがった財政調整基金を活用し、新型コロナ感染症対策や、区民の暮らし・営業への支援を行うことです。区も引き続き、財政調整基金を「積極的に活用していく」との姿勢を示しました。

 2つは、特別区交付金の減収など、今後、区財政への大きな影響が予想されるもとで、不要不急の事業については大胆な見直しを行うことです。数十億円規模の財源を要する市街地再開発はその典型です。東京都は今年5月5日、副知事4名の連名で「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた当面の都政運営について」との依命通達を出しました。ここでは「都民の命を守り」「経済活動を支え」「社会変革を促す」ために、「都民の生命・財産への直接の関連性が低く直ちに取り組み優先度が低いと考えられる事業のうち、未着手、未発注、一時停止が可能な事業は原則延期又は中止すること」としています。そして具体的な事業名として市街地再開発を挙げています。これをふまえれば、北区において現時点で未着手の赤羽1丁目第2地区、第3地区の市街地再開発は、いったん立ち止まるべきです。

 3つは経営改革プランなど「行革」路線の推進により、窮地に陥っている区民や区内事業者に対して新たな負担を求めないようにするべきことです。区が現下の社会経済状況や、区民生活の実態をふまえ、今年度行う予定の施設利用料・手数料見直しの検討を中止したことは、適切な判断を行ったものと評価します。

一般会計決算の認定に反対する理由

 こうした議論から昨年度の予算執行を振り返ると、子ども・子育て、高齢者、防災、地域公共交通、多文化共生を目指す取り組みなどで区民要望に資する一定の積極的事業が見られました。しかしながら以下に述べる3点についての課題も明らかになったことから一般会計決算に反対します。

高まった財政力が、区民の暮らしを応援するために十分に活用されていない。

 第1の理由は、高まった財政力が、区民の暮らしを応援するために十分活用されていないことです。

 昨年度末の基金残高は、主要5基金で620億円、財政調整基金で183億円と、いずれも過去最高となりました。景気の低迷に加え、昨年度は消費税増税も行われたことから、区民生活を支えることがこれまで以上に求められました。一例としては毎年の猛暑・酷暑による熱中症で、命を失う区民もいるなか、エアコン設置費用助成などの機動的な財政出動が求められましたが、基金の活用は不十分にとどまり、結果として積み増すことになりました。今年度に入り、新型コロナウイルス感染症拡大の対策として、財政調整基金23億円の活用を含む区民、区内事業者向けの支援施策が行われて、支援対象となる区民、区内事業者に大きく歓迎されています。

 しかし今なお、制度のはざまで支援策を受けられない区民や事業者が残されています。また、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴って、さらなる支援を求める声があげられています。区民が安心して年を越すことができるよう、引き続き財政調整基金を活用して区民要望に応える対応を行っていただくことを求めます。

まちづくりにおいて、再開発や大型道路建設などの事業を、東京都とともに住民合意のないまま推し進めた

 第2の理由は、まちづくりにおいて、駅前市街地再開発や大型道路建設などの事業を、東京都とともに住民合意のないまま推し進めたことです。

 市街地再開発事業や大型道路建設は、巨額の税金が投じられるほか、多くの住民、事業者に、強制力をもって立ち退きを迫るという問題があります。そして多くの地域住民の生活環境を変えることから、権利者だけでなく、地域住民の幅広い合意を得ることが必要不可欠です。これまでも区内の特定整備路線と十条駅西口地区市街地再開発で4つの裁判が起こされたことは、住民合意が得られないまま事業を推進したことが大きな原因となっています。そのような中、昨年度も住民への説明が尽くされないまま、埼京線の高架化と鉄道付属街路、さらには補助85号線の事業化が行われました。

 今回の議会での議論を通じて、とりわけ市街地再開発について、住民合意に逆行する問題が浮き彫りになりました。その1つ目は再開発ビルが、地域の景観等にも不似合いな超高層マンションになることです。これまでに失敗が繰り返されてきた再開発の歴史をふまえて、一般向けに販売する保留床と呼ばれる、マンションの空き床を確保するために容積率緩和などの規制緩和が図られることで、これまでの再開発とは比較にならないほど高層化したマンションが最近の市街地再開発事業では建設されることになります。またこのように税金が投入されて建設された駅前の超高層マンションは販売価格が高額となるので、これを購入できるのは、高額所得者層に限られます。このことも幅広い区民のための税金の使い方が行われていないという点で課題があります。

 2つめは、巨額の税金が使われることです。十条駅西口地区市街地再開発には230億円、赤羽1丁目第一地区市街地再開発には57億円の税金が投じられます。コロナ禍の下で、そしてアフターコロナの社会はどうあるべきかが論じられ、自治体の予算配分も大きく変えていかねばならない中で、このような税金の使い方は到底区民の納得が得られるものではありません。

 3つ目は参加企業の利益が最優先とされることです。既存建物の除却など開発にかかる費用に巨額の税金が投入され、再開発ビルの建設コストを軽減できるなど、開発にかかわるデベロッパーが参入しやすい仕組みが作られてきました。結果として多くの保留床を安く確保することのできるデベロッパーは、巨額の利益を上げる仕組みとなっています。さらにデベロッパーが利益を最大化させるためには、事業期間を最短とすることが求められることから、事業に協力しない権利者に対しては、裁判所に対する明け渡しの仮処分申請までされて、長年住み慣れた場所から立ち退かされることとなりました。

 4つ目は、自然環境の保全にも逆行してしまうということです。十条駅西口再開発においては、地区計画で既存の緑は保全されることになっていましたが、開発により樹木が伐採されてしまうことになりました。このことには地域住民のみならず、北区民以外からも疑問の声が出されています。聞くところによると、北区だけでなく、東京都に対しても樹木の伐採中止の申し入れが行われた結果、東京都は都の責任において一部樹木を移植するという判断に至ったようですが、北区においては再開発事業スケジュールに与える影響への配慮が優先され、緑を守るための検討が十分に行われることはありませんでした。

以上のことから、住民に理解を得られるまちづくりのありかたとして、時間をかけ、住民も参加しながら進める修復型まちづくりへの転換を求めます。

人口が増加しているにもかかわらず、「経営改革」の名のもとに、区民に必要な施設を削減してきた。

 第3の理由は、人口が増加しているにもかかわらず、「経営改革」の名のもとに、区民に必要な施設を削減してきたことです。

 北区は昨年度までの5年間、「北区経営改革プラン2015」において、人口減少が進むことを想定して施設削減計画を定め、区民施設の統廃合を進めてきましたが、人口が増加に転じていることが明らかになっても、この方針が変わることがありませんでした。その結果として、区民事務所7分室を廃止したことにより、住民の利便性を奪っただけでなく、コロナ禍の下では、人を分散させることが求められるにもかかわらず、赤羽・王子・滝野川の3つの区民事務所窓口に区民を集中させる結果となりました。また学校統廃合や児童館の再編など、小中学生のための施設を削減してきたことは児童生徒や保護者に大きな不安を与えています。

 小中学校に関しては、国全体としても少人数学級の実現へ向けて動き出しつつある中で、教員の確保など、国や東京都の支援を求めることに加え、北区としても普通教室など施設の確保や用地不足にどう対応するのかが正面から問われることになります。このことは「北区経営改革プラン2015」が進めてきた施設削減の矛盾が噴き出した結果ではないでしょうか。経営改革プランを区民本位に転換することが必要であることを指摘しておきます。
以上、一般会計決算について反対理由を述べました。

特別会計について

 次に、特別会計決算についてです。

 まず、国民健康保険事業会計決算についてです。
 現在国民健康保険料は、協会けんぽの約2倍の負担が求められます。年収320万円標準家族4人の場合、これは生活保護と同等の収入になりますが、37万円を超える国民健康保険料となります。これに国民年金の支払いも加わると、合わせて77万円になることから、払いたくても払えないのが現状です。支払うことのできる保険料とするために、せめて収入のないこどもに対しての均等割りは、まずは半額とすべきです。このような高額な保険料であるなか、昨年度も保険料の引き上げが行われたことから国民健康保険事業会計決算については反対いたします。加えて、保険料の軽減を図るための法定外繰り入れの解消や、自治体を競わせペナルティまで与える「保険者努力支援制度」には、区として反対を表明するよう求めます。

 次に、後期高齢者医療会計決算は、低所得者対策としての保険料軽減特例の段階的廃止により保険料の引き上げがおこなわれたことから反対します。

 なお、介護保険会計決算および中小企業従業員退職金等共済事業会計決算には賛成と致しますが、介護保険会計については、第7期計画の2年間で、計画と実績の乖離額がすでに52億円となっています。さらに今年度の執行率も85%程度と見込まれることから、3年間を通して80億円を超える乖離額となることは必至です。2021年度スタートの第8期介護保険事業会計では、保険料の引き下げの検討を行うことを求めます。

いくつかの要望について

  反対討論の最後に、以下要望いたします。

1、少人数学級の実現を国や東京都に働きかけるとともに、区としても対応を具体化すること。

2、PCR検査については、検査対象を広げるとした9月15日の国の通知、および東京都の拡充をふまえて対応すること。併せて、保育園・幼稚園・小中学校など、子どもにかかわる検査の拡充も行うこと。

3、住まい改修支援制度の拡充や緊急融資の期間延長、各種給付金や支援金の対象とならない事業者に対しての区独自の支援策など、中小業者への支援を強化すること。

4、保健師の増員などで、引きこもりなど困難を抱えた区民へのアウトリーチを充実させ、相談活動を強化すること

5、大規模水害時の避難行動を具体化すること。

6、CO2排出実質ゼロなど、気候変動抑制に向けた取り組みを進めること

7、ジェンダー平等社会の実現へ、まずはパートナーシップ制度の導入に踏み出すこと。

 以上をもって日本共産党北区議員団の反対討論と致します。ご清聴ありがとうございました。

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