2014年第1回定例会代表質問―やまき直人
2014年2月26日 | やまき直人
私は日本共産党北区議員団を代表し、花川区長に大きく6点の質問をいたします。
1、安倍内閣の暴走政治から区民生活を守るために
大きく1点目の質問は、安倍内閣の暴走政治から区民生活を守るためにです。
まず初めに、消費税増税について質問します。
今年4月からの消費税大増税は、税率を8%に引き上げるだけでも8兆円の増税、年金削減など社会保障の負担増・給付減を合わせれば10兆円もの、文字どおり史上空前の負担増です。この増税が強行されれば、国民の暮らしと中小企業の経営にはかり知れない深刻な打撃をもたらし、経済も財政も共倒れの破綻に追い込まれることは明らかです。
今回の消費税増税について、全国商工新聞は1月17日、地元北区内の十条銀座を初め3商店街でアンケート調査を実施しました。結果は、アベノミクスのもと、商店主らの71%が景気回復に実感はないと回答しました。また、増税で経営が悪くなるとの回答をした方も約70%に達し、増税分を価格に転嫁できないと回答した方が50.4%に上りました。
あるクリーニング店の60歳の女性は、お客さんが離れるので転嫁できないと転嫁したくてもできない実態を語りました。
区長は、このような地元商店街の皆さんの声に応え、改めて区長みずからの意思で増税に反対することを表明し、最後まで増税中止を求めることです。お答えください。
【区の答弁】
4月からの消費税率の引き上げは、社会保障と税の一体改革関連法に基づき、経済状況などを慎重に見きわめた上で、昨年10月に決定されました。
これに伴い、区民生活にさまざまな影響があると考えられますが、消費税収入は年金・医療・介護などの社会保障給付や少子化対策に充てられるものであり、持続可能な社会保障制度を実現するための安定した財源になるものと理解しています。
2つ目は、年金の削減の中止についてです。
昨年10月から年金が1%削減、今年4月からさらに1%削減、来年4月には0.5%削減という高齢者に大打撃を与える仕打ちです。これに対し、年金受給者の一揆とも言うべき不服申し立てが全国で12万人を上回りました。アベノミクスのもと、じりじりと物価だけは確実に上がってきています。
年金生活者の生活を守るために、年金削減の中止を強く求めてください。
【区の答弁】
次に、年金削減についての質問にお答えいたします。
平成24年11月、国民年金法の改正で特例水準の解消が規定されました。年金の支給額は物価や賃金の変動によって改定されます。
しかしながら、平成11年から13年までの間に、物価が下落したにもかかわらず、年金額を特例的に据え置いた影響で、本来の水準より2.5%高くなっていましたので、これを27年度までに解消するものです。年金財政の改善、将来年金の確保、世代間の公平を図る観点から、必要な対応と考えています。
3つ目は、安倍首相が解釈改憲によって、集団的自衛権の行使容認を進める道に公然と踏み出した問題です。
首相は、2月12日の衆議院予算委員会で、「政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることで、行使容認は可能であり、憲法改正が必要との指摘は当たらない」などと発言。さらに「政府の最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と答弁しました。これには自民党内からも批判の声が上がり、古賀誠自民党元幹事長は民放テレビ番組で「普通だったら予算委員会がとまるほどの大騒動の話だ。その時々の政権が解釈を変更できることになれば、日本の安全保障や国際的信頼はどうなるのか」と批判しています。
憲法第9条のもと、戦後68年間、日本は戦争によって戦死者を出さず、他国の人を傷つけなかったということは、世界に誇るべき歴史ではないでしょうか。解釈改憲で集団的自衛権行使を容認することは立憲主義の否定であり、認められません。区長、そのことを政府に厳しく求めてください。
4つ目は、秘密保護法廃止についてです。
秘密保護法は、国民の目と耳、口を塞ぎ、国民の知る権利、言論・表現の自由を脅かす希代の悪法です。
安倍自公政権の秘密保護法の強硬に反対する世論と運動の急速な広がりは、日本国民の中に平和と民主主義を求める巨大なエネルギーが存在することを示しました。今国会の開会日にも、廃止を求める人々が国会を包囲しました。日本共産党は、民主主義破壊の悪法に反対する一点での共同を広げ、廃止に追い込むために全力を尽くし、今国会に秘密保護法の廃止法案を提出いたします。
秘密保護法は廃止するよう強く求めてください。
安倍政権の暴走から区民生活を守るため、以上4点、国に積極的に働きかけることを求めます。お答えください。
【区の答弁】
次に、集団的自衛権と秘密保護法に関するご質問にお答えいたします。
北区では、昭和61年3月15日に、世界の恒久平和と永遠の繁栄を願い、平和都市であることを宣言いたしました。平和を希求する北区の平和都市宣言は、全ての区民の願いと一致するものであります。今後も、真の平和と安全を実現するために、引き続き努力をしてまいる所存です。
集団的自衛権と秘密保護法につきましては、さまざまな課題等も含め、国会等の場において、十分に審議、検討されるものと認識しております。その経過について注視してまいりたいと考えております。
次に、国民健康保険と後期高齢者医療の保険料の値上げ中止と介護保険の改悪についてです。
国民健康保険は、来年度、北区の場合、平均3575円の値上げが予定されています。国保加入者は発足当時に比べ大きく変化し、無職者や年金生活者などの低所得者の占める割合が大幅に増加してきました。加えて、23区の国保は東京都への制度への移行が準備されています。さらに、旧ただし書き所得方式の変更に伴う減額措置も来年度までとされるなど、今後も保険料の値上げ、負担増が予想されます。
そこで、区としての独自減額策の導入は喫緊の課題になっています。お答えください。
また、国や都に対して、国保財政改善に向けた基盤強化策の拡充、従来の枠を超えた国庫負担割合の引き上げを強く求め、来年度の保険料の値上げは中止すべきです。ご答弁ください。
後期高齢者医療保険料も、東京都後期高齢者広域連合が来年度、平均4118円の値上げを打ち出しました。今回も一定の保険料抑制策はとられましたが、国保同様、北区の独自減額の実施、国と都の財政支援は待ったなしです。
国には、高齢者人口の増加や医療給付費の増加を保険料引き上げに直結させないよう、制度の仕組みを見直すこと。東京都には、保険料軽減のため広域連合に対して独自の財政支援を行うこと。以上強く働きかけてください。
【区の答弁】
次に、国民健康保険、後期高齢者医療の保険料についてお答えをさせていただきます。
26年度の国保料については、医療費の増加と法定外繰入の縮減を図るために、高額療養費の一部を保険料に算入する内容の改定をお願いすることになりました。
なお、被保険者の負担軽減については、全国市長会で、特に低所得者層に対する負担軽減策の拡充を決議し、その実施を国に求めています。
後期保険料につきましては、医療給付費の増加を初め、保険料の増額要因が多い中、審査手数料や葬祭費など、引き続き特別対策を行い、区市町村として負担軽減に努めています。
さらに、国や東京都と抑制に向けた協議を重ね、財政安定化基金の活用を図るなど、最大限の努力をしているものと認識しています。
なお、それぞれの26年度の保険料は、低所得者に対する負担軽減策として、均等割の2割と5割の軽減範囲が拡大されています。
次に、発足以来最大の改悪が強行された介護保険についてであります。
改悪の第1は、要支援1、2と認定された利用者の訪問介護・通所介護のサービスを廃止し、自治体が実施する総合事業に置きかえる。
第2は、要介護1、2と認定された方は特別養護老人ホームに入所できなくなる。
第3は、収入280万円以上など、所得が一定額を超える人の利用料を2割に引き上げるなどであります。
この事態に、特別区長会も介護現場、すなわち区民及び事業者の混乱を招かないよう、介護保険制度の見直しに係る緊急要望を厚生労働大臣に提出しております。
介護の社会化に逆行し、介護保険制度の理念を否定する発足以来最大の制度改悪は中止するよう、国に働きかけてください。
以上、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の値上げの中止と介護保険制度の改悪をやめることについて答弁ください。
【区の答弁】
次に、介護保険制度改正に当たり、国に働きかけることについてお答えいたします。
介護保険制度の改正法案につきましては、平成26年2月12日に国会に提出されましたが、特別区長会では法案提出前に、準備のため十分な時間を確保すること、特別区の実情を考慮に入れるとともに、必要な財源措置や支援策を講じること、新しい総合事業創設に当たっては、サービスの低下につながらないような措置をすることなどを国に緊急要望として提出しました。
今後とも、介護保険制度の改正につきましては、国の動向を十分注視してまいります。
次に、区民に最も身近な北区が、このような国の暴走から区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすよう、直面する以下4点の施策の実施を求めます。
初めは、生活保護の基準引き下げに伴う区施策への影響の遮断についてです。
昨年8月から3年連続の保護基準引き下げが始まりました。同時に、このことによって就学援助、住民税非課税限度額、最低賃金制度、年金支給額など多数の制度も大きな影響を受けることはご案内のとおりです。生活保護を受けている方の切り下げだけではなく、国民生活全般の引き下げにつながるものです。生活が苦しい中でも、生活保護を受けずに頑張っている大勢の区民が、このことによってさらに生活が圧迫されるようなことがあってはなりません。
そこで、生活保護基準切り下げに伴い、就学援助など影響を受ける区の事業数を明らかにし、影響を遮断する具体的な対策を求めます。お答えください。
【区の答弁】
次に、生活保護基準の見直しに伴い、区施策に生じる影響等についてお答えをいたします。
北区で実施している施策の中には、生活保護基準を参照している施策があり、生活保護基準を見直すことにより施策に影響が生ずる可能性があります。
国は、生活保護基準の減額改正の際に、できる限り影響が及ばないようにするため、地方自治体で独自に実施する事業についても適切に対応するよう対応方針を示す通知を出しています。北区においても、就学援助制度については、国通知の趣旨を踏まえ対応を図る予定です。
2点目は、商店街の個店対策についてです。
区内の商店街は、相次ぐ大型小売店の出店や後継者不在、不況による消費購買力の低下などで苦戦が続いていますが、商店街自身の生き残りへの必死の努力と北区の商店街支援によって、区内商店街数はこの間、約90を何とか維持してきました。しかしながら、個店数は、かつては5000店を超えていましたが、直近では3000店を切っているのかと思われます。
これに対し、区の支援として産業振興課では、経営相談・起業相談として九人の経営相談員の専門家の方が相談に応じています。今後は商店街振興策とあわせて、大型店にはないキラリと光る個性的な魅力を持った、さらなる個店対策の強化が求められます。
区は、昨年の決算特別委員会でも、商店街対策の充実に加えて、今後、個店と両輪で振興策を進めてまいりたい旨の答弁をしています。
そこで、質問です。
今後の個店対策の拡充策、具体策についてお答えください。
【区の答弁】
次に、商店街の個店対策の強化についてお答えいたします。
商店街の魅力を高めるためには、各店舗の経営努力が不可欠だと考えています。このため、融資のあっせん、専門家による経営相談に加え、一定期間、専門家を店舗に派遣し、経営診断を行った上での改善策の提案を行うモデルショップ推進事業を行っています。
また、平成26年度からは、新たに意欲ある十名程度以上の店舗経営者グループを対象に、店舗への集客を目指す共同の販売促進事業に対し、補助率2分の1、補助限度額30万円を交付する制度を予定しています。
今後も、商店街振興ともども、意欲ある個店への支援に努めてまいります。
3点目は、高齢者等紙おむつ支給年齢の撤廃についてです。
区民の強い要望で、要介護4以上支給から要介護3以上、75歳からに支給条件が緩和されましたが、新たに年齢制限がつきました。昨年の予算特別委員会の質疑で、年齢制限撤廃に伴う予算増は約500万円との答弁がありました。年齢制限を撤廃し、必要な人に支給できるよう求めます。お答えください。
【区の答弁】
次に、要介護高齢者等おむつ支給についてお答えいたします。
ご質問いただいた紙おむつの支給は、これまで要介護4または要介護5の高齢者等が対象であったものを、より多くの利用者の在宅生活の質を向上させるとともに、経済的負担の軽減を図ることを目的に、平成25年度から要介護3で75歳以上の高齢者まで支給対象を拡大してまいりました。しばらくは利用状況の推移を見定めさせていただきたいと思います。
4点目は、保育園待機児童ゼロを目指し、保育環境のさらなる拡充を図ることについてです。
北区は、平成26年度に認可保育所の新設や定員拡大で414名の定員拡大を予定しています。しかしながら、認可保育所に入所できず、認証保育所など認可外保育所に入所させた場合の保護者負担は大変な重圧となります。
そこで、保育に関し1つ目は、本年4月の待機児解消の見通しについて、まずお答えください。
2つ目は、現在、区が認証保育所利用者に行っている月1万5000円の保育料補助を大幅に拡充するよう求めます。
3つめは、区は現在、第2子以降の保育料を第1子の半額としていますが、安心して子どもを産み育てるためにも、保育料の第2子以降の無料化は切実です。実現を求めます。
4つ目は、保護者の労働環境の変化による延長保育や食物アレルギー等に対応するなど、保育士の果たす役割はますます重要になっています。保育士の配置、処遇改善が継続、拡充するよう国に求めるとともに、区独自の補助金の増額も求めます。
5つ目は、保育士の人材確保について、本気で取り組むよう求めます。
以上5点、区長の「子育てするなら北区が一番」を実現するためにも、これらの施策が求められています。区長の決意を問います。お答えください。
【区の答弁】
次に、保育に関するご質問に順次お答えいたします。
まず、待機児童解消の見込みについてです。
平成25年4月の待機児童の急増を受け、待機児童解消のため認可保育所、小規模保育所の新設などにより、定員を414名拡大いたしました。しかし、一定の効果は期待できるものの、申込者の増もあり、解消までには至らないと思われます。
子育てしやすい保育環境の充実を図り、「子育てするなら北区が一番」を確かなものにするため、引き続き待機児童解消に取り組んでまいります。
次に、認可保育所の保育料のあり方につきましては、平成27年度に実施が予定されている子ども・子育て新制度において、認証保育所の取り扱いがどうなるか注視しつつ、検討していくものと考えております。
次に、保育園の保育料については、第2子以降については軽減しており、他区もほぼ同様の状況と認識しております。
次に、保育士の配置と処遇についてです。
区は、これまでも私立保育園に対し国及び東京都の制度によるもののほか、保育所運営の充実を図るため、区単独でもさまざまな補助を行ってまいりました。今後の支援のあり方については、子ども・子育て新制度の実施に伴い、国及び東京都の補助制度が大きく変わる可能性があるため、その動向を踏まえ適切に対応してまいります。
また、保育士の処遇につきましては、全国市長会を通じて改善に向けた支援の拡充を国に引き続き求めてまいります。
次に、保育士の人材確保についてです。
区は、東京都と連携し、昨年12月に北とぴあで保育士就職支援研修・就職相談会を開催するなど、保育士の人材確保に努めております。引き続き、東京都と連携して取り組んでまいります。
2、経営改革「新5か年プラン」による行き過ぎた強制徴収について
大きな2つ目の質問は、経営改革「新5か年プラン」に基づく、行き過ぎた強制徴収をやめることについてです。
アベノミクスの恩恵に浴しているのは、大企業と株の投資で利益を上げた一部の大金持ちだけです。一方で、大多数の区民は、これまで述べてきたように、相次ぐ各種保険料の値上げ、電気、ガスなど公共料金の値上げ、年金の削減に加えて不況、失業、病気、営業不振などで困難な生活を送っています。その結果、区民の中で住民税、国保料、介護保険料などの支払いで、食べていくので精いっぱいの生活を送っています。そのため、住民税、国保料、介護保険料など、払いたくても払えない滞納世帯が増加しています。
この間、こうした滞納者に対し、北区は経営改革「新5か年プラン」で収納対策の強化として、収納推進課が収納対策行動計画の立案や強制徴収一元化、債権回収事務の外部委託などで収納率の向上を図っています。
この結果、滞納金の納付相談中、すなわち十分に事情を区がつかんでいる方にまで生活費に使う普通預金の全額を差し押さえる、行き過ぎた強制徴収が行われています。こうした方たちの中には、通帳に振り込まれた最低生活費以下の給料、命綱の年金、子どもの児童手当、就学援助まで差し押さえられています。
このことに関し、昨年3月、鳥取地方裁判所が児童手当13万円の差し押さえは違法とした判決を例に挙げ、我が会派として、第3回定例会代表質問、決算特別委員会で行き過ぎた北区の強制徴収の改善を強く求めました。結局この裁判は、鳥取県が広島高裁に控訴しましたが、広島高裁は昨年11月、児童手当を差し押さえたことを違法とし、県に返還を命じた判決を下し、県は上告せず同月に判決が確定したのです。
鳥取県は、この訴訟の県敗訴を受け、同年12月に県知事が県議会での我が党の質疑に答え、県民への謝罪と滞納マニュアルの見直しを明らかにしました。
北区は、児童手当などの差し押さえ禁止財産の処分について、同定例会の福島議員の質問に対し花川区長は「法的には給料等が預金口座に振り込まれて、預金債権になった場合には、差し押さえ禁止債権としての属性を有しないとの判例が出されており、問題ないと認識しております」と答弁しました。
そこで、区長に質問します。
1つに、北区でもこのような滞納整理マニュアルが存在するのか。あるとすれば、鳥取県のように見直しをすべきと思いますが、答弁ください。
2つに、広島高裁の判例が確定しました。児童手当など差し押さえ禁止財産の預金口座の差し押さえをしないこと。
3つに、最低生活費を保障するため、普通預金通帳の残高をゼロにするようなことはやめるべきです。
4つに、この間の区民からの苦情や抗議を真摯に受けとめ、区民向け文書や住民対応の行き過ぎは行わないこと。
以上4点、区長の温かい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、区税の徴収に関するお尋ねに順次お答えをさせていただきます。
区税の徴収につきましては、平成23年度に収納推進課を設置後、滞納者宅等への捜索による動産の差し押さえやインターネット公売など新たな手法を導入し、徴収強化に努めた結果、経営改革「新5か年プラン」で目指した23区の中位程度の徴収率を達成し、現在も着実に成果を上げているところです。
お尋ねの差し押さえに関しては、国税徴収法やそれ以外の個別法で禁止と定められている財産を差し押さえることはできません。児童手当についても、児童手当法で受給権の保護が規定されており、差し押さえの対象外です。このことは区の滞納整理マニュアルにも明記されています。
また、預金口座の差し押さえについては、その動きを見ながら適切に対応しており、児童手当が振り込まれるときを狙い撃ちにするような取り扱いは行っておりません。
今後も滞納者の実情を精査するとともに、その時々の差し押さえの必要性、有効性を踏まえて適切に判断してまいります。
なお、滞納整理マニュアルにつきましては、事務の体系的な整理はもとより、滞納者の話を親身になって聞く、時には毅然とした態度をとるなど、滞納整理の心構えにも触れており、日ごろから適正な事務執行に役立てています。
マニュアルの見直しについては、徴収に関する状況の変化を捉え、適切に行うことが必要と考えております。
次に、最低生活費の保障の観点から、普通預金の残高をゼロにすることはやめるべきとのお尋ねにお答えいたします。
区としては、滞納者の生活に大きく影響する取り扱いは極力避けたいとの考えは持ちながら、一方で納付意欲が見られない、滞納解消に向けた相談もない、分割納付の約束を守らないといった場合、税の負担の公平性の視点からも、差し押さえせざるを得ないというのが実情です。
お尋ねの普通預金の残高がゼロになるという取り扱いは、未納額が多額で普通預金を上回り、他に換価可能な財産が見当たらない場合などが相当します。そのような差し押さえに至るまでには、滞納者に対して納付案内センターからの電話や訪問、休日や夜間の納付相談、督促状や催告書の送付などで、相当の機会と時間をかけているのが実情です。
また、納付相談につなげるために差し押さえを行うという側面もあります。今後も引き続き、差し押さえに至るさまざまな過程を踏まえながら、早期の滞納解消に努めてまいります。
次に、区民向け文書や住民対応についてお答えいたします。
区では、滞納者に対して、日ごろの電話や窓口での対応に加えて、年に数回、督促状や催告書を発送しています。これからも、マニュアルにあるとおり丁寧な対応に努めるとともに、区民からの苦情や抗議があった場合は、真摯に受けとめてまいります。
また、接遇研修の実施、見やすくわかりやすい文書の作成、読んでいただけるよう、封筒の色、レイアウトなどの工夫、相談に関する記述の強調など、さらに工夫を凝らしてまいります。これらの取り組みを通じて、滞納者の実情に応じた丁寧な対応に努めてまいります。
3、中期計画の見直しについて
大きく3点目の質問は、北区中期計画の見直しについてです。
計画案は、地域のきずなづくりとファミリー世帯の定住化を最重要課題に位置づけています。地域のきずなづくりにとって最も重要なことは、住民参加の区政運営です。地域のきずなづくりを単なるスローガンで終わらせることなく、住民参加の区政運営という原則にしっかり立って推進していくことを強く求めます。
また、ファミリー世帯が住み続けられるまちにするためには、都営住宅や区営住宅など公共住宅の確保が不可欠です。北区が本腰を入れて取り組むことを要望します。
具体的な中期計画に対する会派の意見は、既に提出したところです。本質問については、以下2点に絞って質問します。
1つ目は、コミュニティバスの運行についてです。
従来の中期計画では、コミュニティバスの運行として、全体計画でモデル運行3路線とし、現在運行中の田端・駒込路線に加え、必要量をモデル運行2路線とし、24年度から26年度にかけ、導入調査、路線検討、準備としていました。
ところが、平成25年12月の中期計画見直し案では、区内交通手段の確保と事業名も変え、新年度予算案では民間バス運行支援が予算化されました。その一方で、コミュニティバスの運行事業そのものが中期計画からそっくり落とされてしまい、驚きを禁じ得ません。
ご存じのように、北区は他区に比べ崖線が多く、東西間の高低差の移動が高齢者や障害者に大きな負担となり、区民の切実な要望のもとに、現在運行中のコミュニティバスが誕生しました。
北区は高齢化率23区一番でありながら、他区との比較でも北区のコミュニティバスの運行状況は大変おくれており、区民要望が実現されておりません。区内の他の地域でも、コミュニティバスの運行を求める要望は根強く、滝野川地区の自治会連合会からも毎年、コミュニティバス運行を求める要望が、議員との懇談会「あすか会」の中で出されています。今回の中期計画でのコミュニティバスの欠落は区民要望に対する大きな後退で、区民の怒りを買うことは必至であります。
そこで質問です。コミュニティバスの計画どおりの進捗を求めます。お答えください。
2つ目は、特別養護老人ホームの待機者ゼロ、保育園の待機児ゼロを目指し、民間任せにせず、区立特養ホーム並びに区立認可保育園の建設を計画化することを求めます。
【区の答弁】
次に、中期計画の見直しについてのご質問にお答えさせていただきます。
まず、コミュニティバスの運行につきましては、今回の中期計画(案)では、高齢者や障害者を初め、誰もが安心して移動できるまちづくりを進めるために、高低差の移動や公共交通不便地域等を中心に、コミュニティバスに限定せず、民間事業者と連携しながら、交通手段の確保に向けて取り組むこととしております。
なお、コミュニティバスにつきましては事業採算性などさまざまな課題があると認識しており、新規路線の運行については、さらに検討が必要であると考えております。
次に、区立特別養護老人ホーム並びに区立認可保育園の建設の計画についてであります。
特別養護老人ホームにつきましては、高齢者保健福祉計画に基づき、公有地の活用も含めて、民間の特別養護老人ホームの整備・誘導を進めてまいります。
認可保育所につきましても、保育計画に基づき、同様に民間の認可保育所の整備・誘導を進めてまいります。
なお、平成29年度に整備予定の旧北園小学校跡地の特別養護老人ホーム及び認可保育所では、借地料を2分の1に減額して、事業者による整備を行う予定です。
4、区有施設の新設・改修工事に伴う諸問題について
大きく4点目の質問は、区有施設の新設・改修工事に伴う諸問題についてです。
国土交通省は、例年4月に改定される公共工事設計労務単価引き上げを2月から前倒し実施することを発表しました。それによると、都内では型枠工12.9%増など、全職種平均で7.5%増となります。
さらに国交省は、建設業界団体には、適正価格での下請契約、社会保険等への加入の徹底、若年入職者の積極的な確保などを要請するとともに、地方公共団体に対し、今回の改定単価の早期適用、ダンピング受注の排除、歩切り根絶、適切な水準の賃金、法定福利費の支払い、社会保険等への加入の徹底に関する元請業者への指導を要請しました。
そこで、区として国の要請も踏まえ、最初に以下4点について答弁を求めます。
1つは、区発注工事の労務単価の改定と、建設資材費の高騰などに対応し、予定価格を早急に見直すこと。
2つは、区発注工事を請け負う建設業者に対し、労務単価の改定、法定福利費などの必要経費を確保するよう要請すること。
3つは、建設業界団体に対して、労働者の賃上げ、社会保険等への加入促進、若年者の積極的な確保などを要請すること。
4つは、区が労働環境改善のために、中小建設業界などへの支援を強めること。
以上4点、答弁を求めます。
次に、赤羽体育館の3度にわたる入札不調、赤羽会館の入札不参加、新年度には、田端区民センターの大規模改修工事も予定されています。そこで、区民と約束した工事期間を守るために、万全の対策をとるよう求めます。
さらに、今後の区有施設の新設・改修工事の際に、閉鎖期間中の住民サービスの低下を招かないよう、区民が利用する代替施設の確保に全力を尽くすよう求めます。
以上2点、お答えください。
【区の答弁】
次に、区有施設の新設・改修工事に伴う諸問題に関するご質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、予定価格の見直しについてですが、区では国からの要請を踏まえ、現在入札に向けて手続を進めている(仮称)赤羽体育館新築工事や赤羽会館耐震補強及び改修工事について、速やかに予定価格を変更したところであり、その他の該当案件についても適切に対応してまいります。
次に、区発注工事を請け負う建設業者や建設業界団体に対する労務単価の改定、法定福利費などの必要経費の確保などの要請、さらには労働環境改善にために、中小建設業者などへの支援を強めよとのご質問です。
区では、国からの要請を踏まえ、2月7日付で特例措置等の適用を決定の上、既にホームページで公開するとともに、必要に応じて個別に受注業者に通知するなど、きめ細かく対応してまいりますが、それぞれにおいて受注した業者に対して、より一層の対応をお願いしてまいります。
業界団体に対する要請については、国が既に行っているところでありますが、改めて各団体に国からの通知を送付するとともに、業界団体向けの契約事務説明会などの機会を捉えて行ってまいりたいと存じます。
また、今回の国土交通省からの通知は、労働環境改善のための中小建設業者などへの支援強化につながるものと理解しておりますので、今後ともその趣旨を踏まえ、適切に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、工事期間の厳守について万全の対策をとるようにとのご質問にお答えをさせていただきます。
現在、全国的に東日本大震災の復興需要や2020年東京オリンピック開催に伴うインフラ整備の動向など、建設工事を取り巻く環境は先行き不透明であり、建設資材や職人の確保に対する不安を払拭できない状況にあります。
しかし、このような社会環境にあっても、施設の新築や改修に対する区民の皆様の期待は大きいことから、より一層工事内容の精査や適切な工事期間を設定することなどにより、施設利用者に影響が出ないよう努めてまいります。
次に、今後の区有施設の新設・改築工事の際に、閉鎖期間中の住民サービスの低下を招かぬように、区民が利用する代替施設の確保を全力で尽くすよう求めるご質問ですが、区有施設の新設や改修工事に際しては、可能な範囲で代替機能の確保に向け検討してまいります。
5、東京都の大気汚染医療費助成制度の継続を
大きく5点目の質問は、東京都の大気汚染医療費助成制度の問題についてです。
ぜんそく医療費無料制度は、平成19年の東京大気汚染公害訴訟の和解に基づいて、平成20年8月から国・都、ディーゼル自動車メーカー、首都高速道路株式会社が財源を拠出して実施してきました。この制度によって、東京都全体では7万7470人、北区では2017人の認定患者がおり、医療費の心配なく治療を受けています。
しかし、都は国や自動車メーカーが財源を拠出しないといって、医療費助成の新規認定を平成27年3月末で打ち切り、3年間の経過措置以降は、2割自己負担の導入を打ち出しました。
これに対し、東京公害患者と家族の会などは、ぜんそく患者の医療費無料制度の継続と拡充を求めて、1月と2月の寒空の中、文京区のトヨタ自動車本社前や都庁前で座り込み行動に取り組みました。ぜんそく患者にとって、医療費無料制度は命の綱とも言うべきものです。
そこで、以下3点、東京都に求めてください。
1つ目は、平成26年度以降も、大気汚染医療費無料化制度を継続すること。
2つ目は、国、自動車メーカー、首都高速道路株式会社に対し、平成26年度以降の制度継続に必要な財源を拠出するよう働きかけること。
3つ目は、国に対し、大気汚染公害患者に対する医療費救済制度を創設するとともに、道路沿道など汚染の激しい地域は、現行の公害健康被害補償並みの保障制度を創設するよう、強力に働きかけること。
以上3点、区長の温かい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、東京都の大気汚染医療費助成制度の継続を東京都に求めることについてお答えいたします。
この医療費助成制度は、国・東京都がおのおの3分の1、自動車メーカーと首都高速道路がおのおの6分の1と、関係者からの200億円の拠出金を原資として、平成20年8月に創出されています。
東京都によれば、これまでの累計助成額は約117億円で、平成26年度末で原資を使い切る見込みであり、制度自体の見直しを行わざるを得ない状況であると聞いています。
制度の見直しの方針は、26年度末で新規認定を終了し、その時点の認定患者に対して、3年間は全額助成を実施する経過措置を講じた後に、東京都が担うべき負担である3分の1に相当する範囲で助成を実施することとしております。
また、東京都は毎年、国の予算編成に対する提案要求において、大気汚染の根本的な原因は、国の自動車排出ガス規制のおくれによるものであり、国の責任として、大気汚染による健康被害者に対する総合的な救済策を検討し、早急に有効な対策を講ずることを求めています。
北区といたしましては、国や東京都の動向を今後も注視してまいります。
6、新庁舎問題について
大きく6点目の質問は、新庁舎問題についてです。
新庁舎の位置については、この間、現在地とする案と、それ以外の場所との2案が作成され、北区は平成24年3月に北区新庁舎基本構想を策定し、その中で望ましい庁舎のあり方を示し、新庁舎の位置については今後の検討課題としました。これ以降、新庁舎の位置に関しては、区の理事者からも全くの白紙ですとの回答が続いてきました。
ところが、それから1年後の平成25年3月、予算特別委員会における他会派の総括質疑における王子駅周辺のまちづくり基本構想策定の質疑で突然、山田副区長が答弁に立ち「まだ私の個人的な見解で」と断りながらも「やっぱり気になるのは印刷局王子工場」と唐突な発言があり、委員会室は大きな驚きに包まれました。
半年後の昨年の決算特別委員会の中では、副区長から新庁舎の候補地は、遅くとも年内中あるいは年度内中には区議会にお示しできるようにしたいとの発言もありました。
この流れの中で、新庁舎の位置問題について、2月7日開催の企画総務委員会で、現庁舎敷地、印刷局工場用地、西が丘の都立産業技術研究所跡地、学校跡地の4案が提示され、比較評価によって、4月以降に印刷局用地の一部取得交渉に入りたいとの報告がありました。
この企画総務委員会の質疑では、昨年2回、事務的な話し合いが行われたことまでは認めましたが、交渉内容は一切明らかにしませんでした。
経過したこの2年間には、現庁舎の南側に空き地ができ、庁舎用地としてどうかと提案したように、現庁舎の位置で建て替えるチャンスが全くなかったわけではありません。
結局、庁舎は移転・建て替え。まず先に、印刷局王子工場ありきの姿勢で一貫してきました。
新庁舎建設に当たり、位置をどこに決めるのかは極めて重大なことです。この位置を決めるに当たり、区民や区議会とも相談しながら決めていかなければならないのは当然のことです。副区長の個人的な見解を既成事実化させ、印刷局との交渉に入らせてくれとのこの間の経過は、明朗さに欠けていることを厳しく指摘いたします。
そこで、質問します。
今後の新庁舎問題の進捗に当たっては、議会と住民に対し、公開性、透明性を確保する視点に立ち、区としての説明責任を果たすべきです。明確な答弁を求めます。
以上、6点について区長の答弁を求め、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
次に、新庁舎に関するご質問にお答えをさせていただきます。
庁舎の建て替えについては、北区が取り組むべき重要案件の一つと認識しております。
平成24年3月に策定した新庁舎建設基本構想の中で、次のステップである基本計画の策定のためには、建設候補地の選定が必要であることを挙げさせていただきました。
また、さきの企画総務委員会では、王子駅前の印刷局王子工場は、他の候補地と比較して、庁舎用地としては課題もありますがメリットも多いという区としての考え方を報告させていただきました。
本定例会の委員会で改めて今後の進め方についてお諮りをする予定ですが、ご指摘のとおり、新庁舎の建設を確実に進めていくためには、議会と十分に相談しつつ、そして区民の皆様の理解と協力のもとに推進してまいる所存であります。