2014年第3回定例会個人質問―本田正則
2014年9月10日 | 本田正則
質問に先立ち、広島の土砂災害の犠牲者の皆さんのご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。
あわせて、かつて質問でも取り上げたように、崖地、斜面地の北区での災害対策の改善に全力を尽くしたいと思います。
1、倒れない、燃えないすまいづくり・まちづくりを
大きな1つ目の質問は、一昨年の第4回定例会、昨年の第4回定例会に続いて、倒れない、燃えない住まいづくり、まちづくりを求める質問です。
(1)生命・身体と住まい・生業を保障する防災・まちづくりを
第1の質問は生命・身体とともに、住まいとなりわいを保障することを防災とまちづくりの柱に据えるのかどうかを問うものです。
国の制度では、全壊住宅に対する経済的支援は300万円です。なりわいすら失った場合、自力での復旧は困難です。そうした方々の財産権も生存権も保障する。具体的には、失った住まいとなりわいを取り戻すのが厳しい資産状態の方々に300万円プラス義援金を超えた上乗せ助成を実施するかどうか。予防対策のまちづくりにおいても、住まいとなりわいの維持を重視するかどうか、ご答弁願います。
【区の答弁】
北区が本年3月に策定した北区震災復興マニュアルでは、被災者生活再建支援法に基づき、生活再建が著しく困難な被災者に対して、東京都が拠出した基金を活用し、被災者生活再建支援金を支給することとしています。
災害が発生した場合には、東京都や関係機関等と連携を図りながら、被災の状況に応じた検討を進めてまいります。
(2)耐震化率9割の実現をめざして耐震助成の充実を
第2の質問は、木造住宅耐震改修助成の充実を求めるものです。
首都圏で想定されているのと同じ直下型の阪神・淡路大震災では、死者の約8割が木造家屋の倒壊、1割が家具の転倒、そして、焼死が1割と言われています。死者の8割近くと言われた木造家屋倒壊の死者を減らす対策は急務です。ですから、耐震改修促進計画は、北区でも2015年までに耐震化率90%を目指し、とりわけ木造住宅は2万2500戸の改修、建て替えを掲げてきました。実績は、2006年度から昨年9月末までの8年弱で288棟の耐震改修及び建て替え助成を実施し、マンション化などが進んだこともあり、耐震化率は65%から約75%だとの答弁でありました。
10年で25ポイント引き上げ、90%にする目標に対し、7年半で10ポイントであります。昨年度、今年度、来年度、大いに頑張っても、2年半で15ポイントは無理でしょう。新規まき直しで90%達成する気概ある取り組みが求められます。
そこで、1点目、木造民間住宅簡易耐震診断の促進策の強化です。
2点目、所有している居住者が高齢者世帯や低所得者世帯への上乗せ補助。
3点目、建築したときは適法だったけれども、その後の規制の変更で不適格状態になっているお宅の改修の場合や耐震強度が1.0を満たさない簡易な改修しかできない場合であっても、まちの安全に寄与しますから、何らかの助成を実施すべきです。
4点目、阪神・淡路大震災では、新耐震基準の1981年以後に新築した木造住宅も倒壊事例がありました。1981年以後の建築でも、耐震診断の結果が耐力不足であれば助成すべきです。
5点目に、耐震改修控除の周知と再延長、都として独自の助成実施を東京都に求めていただきたい。
木造住宅耐震助成について、以上、5点お答えください。
【区の答弁】
木造民間住宅耐震診断の促進策の強化についてです。
区では、現在、耐震診断を促進するため、耐震診断に関する情報を北区ニュースやホームページに掲載するとともに、区民事務所や地域振興室などにパンフレットを備え、区内全域の町会の回覧板による周知を行っています。
また、各密集事業地域のまちづくり協議会や区民まつりの場でも、事業の説明を行っております。
高齢者世帯や低所得者世帯への上乗せ補助につきましては、他区の動向も踏まえ、研究させていただきます。
耐震強度が1.0を満たさない場合の助成についてですが、1.0の構造評点は、建築基準法の構造規定の定める最低基準の耐震強度を有する数値であり、区といたしましては、この数値をもとに助成対象としております。
昭和56年以降の建築物についてですが、昭和56年以降は、新耐震基準で建築されているため、まずは、昭和56年以前の建物の耐震化に努めてまいります。
耐震改修控除の周知につきましては、耐震化助成の相談時等にパンフレットを配布しております。控除期間の延長等につきましては、機会を捉え、東京都に申し入れてまいります。
(3)火を出さないまちづくりを
防災の第3の質問は、火を出さないまちづくりについての質問です。
地震の揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカーの設置助成など、引き続き求めつつ、今日は、改めて3つに絞ってお聞きします。
1つは、耐震改修助成に不燃化改修をした場合の上乗せ助成を盛り込むことです。ご答弁ください。
2つに、火を出さない初期消火のできるまちづくりです。
消火器やD1ポンプやスタンドパイプ、バケツリレーのバケツまで配備は進めているので、上水道が断水せず、消火栓が使える方が消火力は高まります。
水道管の耐震化は、水道の管路については100%%完了していますが、管と管をつなぐ耐震継手への整備工事が23区は29%、多摩は31%、北区は23%と聞きました。現状はどこまで進んだか。そして、100%を目指すよう働きかけを求めます。
3つに、防災訓練参加者がなかなかふえません。現状は、どれぐらいの参加率でしょうか。
まちに出かけ、連合自治会単位にとどまらず、自治会単位の自主防災組織に出かけて、協力して参加を促すとともに、感震ブレーカーの設置、先ほど取り上げた耐震改修や建て替えの促進、最小街区単位の消防訓練など、まちづくり部と防災部局が連携し、公務員らしい指導助言をして徹底していただきたい。
火を出さないまちづくりについて、3点、ご答弁を求めます。
【区の答弁】
区といたしましては、建物の耐震化も不燃化もともに重要と認識しておりますが、古い木造建築物を不燃化するには、柱や梁などを耐火性のあるものにする必要があり、一般的に建て替える場合が多いため、耐震補強工事による不燃化の上乗せ助成は考えておりません。
次に、火を出さないまちづくりに関するご質問のうち、初期消火のできるまちづくりについてです。
北区では、街路消火器の配備や自主防災組織に対する消火用資機材の給付など、初期消火のできるまちづくりを進めております。
一方、東京都においては、震災時の断水被害を最小限に抑えるために、現在、水道管路の耐震継手化を実施しています。
ご指摘いただいた耐震継手化については、東京都の計画事業であることから、着実な実施を東京都に求めてまいります。
北区で把握している平成25年度訓練参加人数は約1万8000人で、北区の人口に対する参加割合は約5%という状況です。既に、防災センターや学校、町会・自治会、福祉施設などで実施している防災教室に加え、平成26年度より、町会・自治会を初めとする区内のさまざまな団体を対象とした防災セミナー講師派遣事業を開始し、訓練参加の呼びかけや防災対策の普及啓発に取り組んでいます。
今後も、地域における普及啓発について、防災とまちづくりが連携して進めてまいります。
2、都市計画道路網の第四次事業化計画策定に関して
大きな2つ目は、都市計画道路網の第四次事業化計画策定に関しての質問です。
(1)策定中の事業化計画の検討過程の可視化、住民参加を都に求めるべきだ
第1に、策定中の事業化計画の検討過程の可視化、住民参加を都に求めていただきたい。
その1点目に、戦後の都市計画道路の整備状況を歴史的に明らかにしていただきたい。
戦後の東京都の都市計画は、戦災復興院の決定、都市計画法が戦後初めて制定された1968年、第1次事業化計画が示された1981年が大きな節目です。
さらに、都市計画道路は、1981年以後、3次にわたる事業化計画が示されてきました。節目ごとの総延長、そして完了区間、いわゆる完了ではないが共用している区間、着手しているが共用していない区間、未着手区間が節目ごとにどのように推移してきたのか明らかにしていただきたい。
また、1981年以来のペースで完了まで何年ぐらいかかるものなのか明らかにしてください。
2点目に、検討会議は、誰が、どのような形で、何を議題に、どんなスケジュールで検討しているのか。その中で、都と23区との関係はどのような形になっているのか。北区は、その検討にどのように関与しているのかを明らかにしてください。
3点目に、検討会議への住民の参加と会議の公開を求めていただきたい。
以上3点、検討過程の可視化、住民参加についてお答えください。
【区の答弁】
次に、都市計画道路網の第4次事業化計画策定に関するご質問にお答えします。
初めに、策定中の事業化計画の検討過程の可視化、住民参加を東京都に求めるべきとのことについてです。
東京都は、区部における都市計画道路について、昭和21年の都市計画決定以降、道路全体の見直しを4回にわたって行っており、昨年度より、第4次事業化計画の策定に向けて検討を行っているところです。
都市計画道路の整備状況の推移は、東京都が公表しているデータによりますと、第1次事業化計画の昭和56年時点では、計画延長が1661キロメートルに対し、完成率が約49%であり、第2次事業化計画の平成3年時点では、計画延長が1705キロメートルに対し、完成率が約54%です。
また、第3次事業化計画の平成16年時点では、計画延長が1774キロメートルに対し、完成率が約58%で、平成25年度における完成率は約64%となっております。
なお、都市計画道路の完了予測年次等につきましては、今後、明らかにされる予定であります。
次に、検討会議の体制とスケジュールについてお答えします。
東京における都市計画道路の整備方針の策定は、東京都及び特別区の代表者による都・区策定検討会議を設置し、学識経験者等で構成される専門アドバイザー委員会からの助言、提言を受けながら進めております。
整備方針では、渋滞の解消や首都直下地震への備え、効率的な物流の実現などの課題に対応した道路整備の方針を示すとしています。
特別区は、策定検討会議に臨むため、特別区検討会を設置しており、北区といたしましては、その中で必要な要望を行っております。
なお、整備方針は、平成27年度末を策定予定としております。
次に、検討会議への住民参加と会議の公開を求めることについてお答えします。
平成16年に策定した第3次事業化計画においては、中間のまとめ及び東京における都市計画道路の整備方針案の時点でパブリックコメントを実施しており、今回も、前回同様に実施を予定しております。
検討段階での公開は、特定の方に利益、不利益を及ぼすおそれがあるなど、社会的な影響が大きいと判断していることから、会議は非公開で行っております。
(2)北区として、長期未着手路線の廃止など必要性の検証の基本的視点や優先整備路線の選定の指標の見直しを求めるべきだ
道路の第2の質問です。
北区として、道路網の必要性の検証の基本的視点や優先整備路線の選定の指標に明確に意見を述べるべきであります。
その1つとして、大阪市などが決定後、数十年を経て未着手の路線について、今後70年も規制をかけ続けるわけにはいかないとの理由をつけて、24区間にわたって、新規建設や拡幅をやめる都市計画決定をしたことは、昨年の質問で紹介しました。東京都では、来年決定後、70年を迎える、いまだに未着手の路線が相当あります。大胆な見直しを求めるべきです。
意見の2つとして、第3次見直しでは、1日6000台未満の路線の中から見直し検討路線を選びました。第4次では、2010年道路交通センサスに基づく交通量、混雑度などを示した上で、早い段階で、広く都民の意見を問うべきです。
意見の3つ目は、延焼遮断帯についてです。
延焼遮断帯には60メートルの空間が必要で、それ以下の幅の道路については、周辺の建物の不燃化の状況を加えないと十分な効果はありません。幅60メートル以下の道路を延焼遮断帯の形成を理由に整備するという指標は不適切です。60メートル以上に限って指標とすべきです。
意見の4つ目に、幅の広い幹線道路は、自然環境や居住環境に影響し、コミュニティにも重大な影響を及ぼすので、路線別に沿道住民の合意を前提とすべきです。
意見の5つに、経済成長のために道路づくりをすべきではなく、自然環境、居住環境の悪化も考慮して判断すべきです。
以上5点、東京都に意見を述べてください。
【区の答弁】
次に、北区として、長期未着手路線の廃止など、必要性の検証の基本的視点や優先整備路線の選定の指標の見直しを求めるべきとのご質問にお答えします。
初めに、都市計画道路決定後の未着手路線の見直しについてです。
現在、都・区策定検討会議等において、交通機能、市街地形成機能、防災機能と将来の都市計画道路ネットワークにおける検証指標の検討を行っております。
区といたしましては、特別区検討会を通じて、都・区策定検討会議に必要な要望を行ってまいります。
次に、交通センサスに基づく交通量などを示した上で、早い段階から広く都民の意見を問うべきとのご質問にお答えします。
都市計画道路を検証する過程では、交通量、混雑度等の検討を行っていきますが、調査手法等については未定とのことです。
都民の皆様のご意見につきましては、適切な時期にパブリックコメントを実施するよう、都・区策定検討会議に申し入れてまいります。
次に、延焼遮断帯の形成に必要な道路幅員についてお答えします。
木密地域不燃化10年プロジェクトにおける特定整備路線の延焼遮断帯の整備効果を検証するために、東京都が行ったシミュレーションの結果では、幅員20メートル程度の道路を整備することで一定の効果が期待できるとしております。
次に、幹線道路の住民合意と道路づくりにおける判断基準についてお答えします。
都市計画道路は、都市の骨格的な道路ネットワークとして円滑な交通を確保するとともに、震災時における防災性の向上に寄与するなど、都市活動や都市生活を支える重要な都市施設と考えています。
区としましては、道路幅員にかかわらず、地域や沿道の皆様への丁寧な説明が必要であると認識しており、自然環境や居住環境等に配慮した上で事業を進めるよう、東京都に申し入れてまいります。
(3)優先整備路線に選定された区間についても、事業化に先立ち、関係権利者と 沿道住民の合意をルール化するよう都に求めよ
道路問題の第3です。
事業着手は、事前の住民合意をルール化するよう東京都に働きかけることです。田端の補助92号線で現況測量説明会が行われましたが、いきなり測量の説明会をしたことに強い批判がありました。北区が優先整備路線に選定された区間の整備について、都市計画から数十年を経た都市計画道路については事業着手に先立って都市計画沿道の皆様方の意見を伺いますとしたように、事前合意をルール化するよう都に働きかけてください。
【区の答弁】
次に、事業着手に伴う関係権利者と沿道住民との合意についてお答えします。
区としましては、優先整備路線を着実に進めるためには、関係権利者や道路の沿道の皆様のご理解とご協力が不可欠であると考えております。
今後とも、都市計画道路の役割と重要性について、リーフレット等で周知するとともに、これまで以上に丁寧な説明を行うよう、東京都に働きかけてまいります。
(4)財産権も、生存権も保障する生活再建可能な用地補償を
道路問題の第4は、用地補償を生活再建が可能なものに改善することです。
用地補償は、個別交渉に基づく契約行為です。一般に、近隣の売買実例に基づく実勢価格とも公示価格程度とも言われます。
一方、土地を欲しい人が買い取る価格は、公示価格の120%もすると言われます。建物も老朽化して安くなった値段での補償です。十分な資産がなければ、同一レベルの土地や住まい、なりわいの復旧は困難です。そうした方も復旧できる用地補償に改善するよう東京都に働きかけてください。
【区の答弁】
生活再建が可能な用地補償につきましてお答えいたします。
初めに、道路事業における用地補償の概要についてご説明いたします。
土地評価につきましては、路線価式評価法により土地価格を定め、財産価格審議会での評定を受け、画地ごとの土地価格を決定します。
この路線価式評価法とは、公示地価格や近傍類似取引事例地価格、鑑定評価価格を比較し、適正な土地価格を算出するものでございます。
次に、建物評価は、東京都が定める損失補償基準に基づき、物件移転補償額を算出しております。
物件移転補償の内容は、建物や工作物移転費用、その他、通常、生じる損失補償等になります。
以上のことから、道路事業における土地買収価格及び物件移転補償額は適正な価格であると判断しております。
なお、東京都に対しては、関係権利者との用地交渉において、相手方の生活再建を考えた上で十分な理解が得られるよう、丁寧な説明を心がけるよう伝えてまいります。
(5)住民合意のできない特定整備路線の計画中止を
第5に、特定整備路線に選定された都市計画道路については、補助81、73、86号線の東西とも住民合意のないままに測量などが進められています。建て替えたばかりのお宅など、二重ローンになる心配もあり、改めて、合意のない路線は整備を中止するとともに、計画そのものの廃止あるいは見直しを求めます。ご答弁ください。
【区の答弁】
次に、特定整備路線の計画中止についてお答えします。
首都直下地震の切迫性などを踏まえると、特定整備路線の整備は、延焼遮断帯の形成のほか、災害時の緊急避難路や救援活動のための空間確保など、木造密集地域の防災性を向上させる上で、極めて重要な取り組みと認識しております。
区といたしましては、今後とも、特定整備路線の整備について、東京都に対し、地域の皆様への丁寧な説明を申し入れてまいりますが、計画の中止を求めることは考えておりません。
3、人権侵害をなくす「いじめ」防止対策の条例の制定などについて
最後の質問に入ります。
準備中のいじめ対策の防止に関する条例などに関する質問です。
北区教育委員会は、今年3月、学校や教師に対するいじめ問題対応マニュアルを策定し、条例化の準備に入っています。このマニュアルを念頭に置きながら、6点、質問いたします。
(1)「いじめ」は人権侵害であり、学校や行政は子どもを守る責務があることを明確にすること
第1に、何より重要なことは、いじめは人権侵害であり、学校や行政は子どもを守る責務があることを明確にすることです。
昨年、文教委員会が視察した岐阜県可児市の可児市子どものいじめの防止に関する条例では、前文を設けて、いじめは、子どもの権利を侵害するものですという文言を盛り込みました。北区でも、何らかの形で盛り込むべきと考えますが、区長、教育長のお考えをお示しください。
【区の答弁】
いじめは、体罰や児童虐待などと同様に、重大な子どもの人権侵害であると認識しており、いじめから子どもを守るため、いじめ防止対策推進法や東京都いじめ防止対策推進条例の趣旨を踏まえ、条例の制定に向けて取り組んでまいります。
(2)条例などの制定についてスケジュールを明らかにし、子どもを始め住民参加を進めること
第2に、法律に言う基本的な方針や東京都の総合対策のようなものも含めた今後の条例制定スケジュールについてお示しください。あわせて、策定段階から教職員、保護者、いじめ問題に取り組む団体、地域の大人や事業所、そして何よりも、子ども自身が条例制定や方針作成に参画し、意見が言えるようにすべきと考えますが、その予定についてご答弁ください。
【区の答弁】
北区では、かねてより、いじめは人権侵害であるという認識のもと、いじめの防止について努めてまいりました。
いじめの防止に関する条例につきましては、これまでの議会からのご要望を踏まえ、いじめ防止対策推進法及び東京都いじめ防止対策推進条例の制定を受け、北区として制定するものです。
制定に当たり、以前に実施した生徒との懇談を初め、学識経験者、PTA、小学校長、中学校長などに意見を聞き、これを踏まえ、条例の骨子案をまとめました。
骨子案につきましては、本定例会の所管委員会にて詳細をご説明申し上げます。
今後の予定ですが、骨子案についてパブリックコメントを実施し、区民を初め、さらに広くご意見をいただき、これを踏まえて条例案を作成し、来年の第1回区議会定例会に提案したいと考えています。
なお、いじめ防止対策推進法に定める地方いじめ防止基本方針につきましては、条例案にあわせて、北区いじめ防止基本方針として作成する予定です。
(3)学校がいじめの兆候やいじめを発見したら、迅速な対応をとれるようにするための方策について
いじめの第3は、学校がいじめの兆候を発見したら、迅速な対応をとれるようにするための方策について、6点質問します。
1点目、学校や行政がいじめを放置したり、隠蔽したりすることは、重大な安全配慮義務違反に当たります。このことを、まず条例に明確にうたうべきです。
2点目、教職員が子どもの気になる変化やいじめに気づいたとき、絶対に後回しにせず、学校全体で機敏に対応することも条例に明記すべきです。
3点目、いじめの兆候やいじめを発見したときに、迅速で十分な対応をとるための対策には、教育委員会への報告を受けたら迅速な人材支援も必要だと考えます。
学校に設置される、いじめ対策の組織にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、さらに、いじめ対策の専門性の高い経験豊かな教員が学校に週五日常駐の形で対策に当たれるようにすべきではないでしょうか。
いじめ対策の組織のあり方をどのようにお考えか、質問します。
4点目、いじめを受けた子どもや、その保護者への支援が手厚く行われることは当然ですが、重大事態の事実関係の調査結果は、被害者やその保護者に原則として情報公開することを明確にすべきです。
5点目、直接いじめた子、黙って見ていた子など、いじめた子への対応では、いじめを反省し、いじめをしなくなり、人間的に立ち直るまで徹底したケアを行うことが必要です。
厳罰主義は、欝屈した心をさらにゆがめるだけです。また、いじめた子どもの多くが、かつて、いじめを受けたり、いじめに走る要因となる悩みやストレスを抱えており、東京都教育委員会の調査では、いじめた子は自尊感情が低いことも明らかになっています。その苦しい状態に共感しながら、立ち直りのための支援を粘り強く行うべきです。
6点目、いじめが深刻で警察と連携する場合も、警察は犯罪を立件することが目的の捜査機関であることを踏まえ、子どもの安全、更生、成長という大目的に照らして、学校が主体的に判断するようにすべきです。
迅速な対応に関して、以上6点、どのようになさるつもりか、ご答弁ください。
【区の答弁】
次に、学校の迅速な対応について、6点にわたり、詳細なご提案をいただきました。ご提案の内容は、おおむね、いじめ防止対策推進法の趣旨に沿ったものと受けとめました。
いじめの防止に関する条例の骨子案については、所管委員会で報告した後、広く意見を求めていく段階ですので、今後、条例骨子案をもとに、条例案及び北区いじめ防止基本方針を作成する中で検討させていただきます。
(4)学校における予防策について
いじめの第4の質問は、予防策についてです。
1点目、子どもたちの自主性を育て、いじめをとめる人間関係をつくることが大切で、道徳教育だけでは限界があります。国が具体的な対策を示した学校におけるポイントでも、児童生徒がやらされている状況や一部の子どもたちだけの活動にしないことを指摘しています。学校運営、学校集団の中で一人ひとりが活躍できる集団づくりに努めるべきです。
2点目は、教職員の養成、育成についてです。
研修に参加しただけで、いじめの兆候を見逃さない教員、子どもたちの抱えるストレスを発見し、保護者などとともに対策を講じられるような教員になれるわけではありません。現場での養成に力を入れていただきたい。
いじめの予防策について、2点について、どのようにお考えか、ご答弁ください。
【区の答弁】
次に、学校における予防策についてです。
北区では、いじめ、不登校の早期発見やよりよい学級集団づくりに向けてQ-U調査を実施し、その結果を踏まえ、子ども一人ひとりの指導に当たっています。
また、教職員の養成、育成については、いじめ問題対応研修会や教育相談研修会の実施、いじめ問題対応マニュアルの配布や学校内で事例研究を行うなど、資質の向上に努めているところです。
(5)教育委員会の取り組みについて
いじめの第5の質問は、教育委員会、北区としての対策についてです。
1つに、子どもの人権を守る常設の第三者機関の設置を求めます。
国も行政部局に第三者的機関を置くことを例示しており、東京都の知事部局には常設されませんでしたので、北区が区長部局に通報、相談、調査、勧告、調停の機能を持つ第三者機関を常設すべきです。
2つに、国会の附帯決議で設置努力が求められた、いじめ問題対策連絡協議会を弁護士、医師、心理や福祉の専門家職能団体やいじめ問題に取り組む民間団体などの参加で設置することを提案します。
3つに、子どもたちの健やかな成長を保障し、いじめのない学校づくりのため、区として、教育条件の拡充を求めるものです。
マスコミの調査でも、7割の教員がいじめ対応の時間が足りないと答えています。教職員の増員や多過ぎる事務処理業務の整理、35入学級の全学年での早期実施などなど、たっぷりと子どもたちに向き合い、学級づくりを進められる時間をつくることが必要です。北区としての努力と、これらに必要な措置を講じるよう東京都に強く求めていただきたい。
教育委員会、北区としての対策について、3点、ご答弁ください。
【区の答弁】
次に、教育委員会の取り組みについてです。
いじめ防止対策推進法に定められた区長の調査組織やいじめ問題対策連絡協議会、また、教育委員会の附属機関については、それぞれ設置すべきものと考えています。
教育条件の拡充については、学力パワーアップ非常勤講師の配置を初め、これまでも力を入れてまいりましたが、さらなる充実に努めてまいります。
また、東京都へは、今後とも、特別区教育長会等を通じて、教育環境の改善等に関し、要望してまいります。
(6)区長部局も含めた、北区全体でいじめをなくす取り組みについて
いじめの第6の質問は、北区全体でいじめをなくす取り組みについてです。
1つには、いじめの根本にある子どもたちの過度なストレスと苦しみの解決にも取り組むことを条例にも明記すべきです。
過度な競争主義の教育方針を改め、教師や学校の創造性を励まし、全ての子どもたちが生き生きと学び、それぞれの能力を豊かに伸ばせる教育を目指す方向へあり方を転換すべきです。
2つには、可児市が地域住民や地域にある事業体も含めた取り組みにするため、区長部局が主管する条例とし、大人も被害者も加害者も人権意識の高い主権者に育つように、ともに学びながら対応することを明記しました。区民参加型の条例とするべきです。
いじめをなくすための北区全体の取り組みについて、2点、お答えください。
日本共産党北区議員団は、そうした人間らしい学校と社会を区民の皆さんとともに構築していくため、引き続き奮闘する決意を述べて質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
次に、北区全体でいじめをなくす取り組みについてお答えします。
いじめの原因についての意見や考え方はさまざまですが、いじめをなくすためには、心の教育が不可欠と考えます。各学校では、道徳の時間を中心に、教育活動全体を通じて、思いやりの心や生命や人権を大切にする心を育むとともに、異年齢集団の中での交流などを通じて、実感を伴う学習活動や人間関係を豊かにする教育活動に積極的に取り組んでいます。
今後も、子どもたちが生き生きと学び、楽しく学校生活を過ごすことができるよう、心の教育の一層の充実に努めてまいります。
あわせて、区や学校及び学校の教職員、保護者、区民及び関係機関が一体となって、いじめをなくし、子どもたちが安心して健やかに成長することができる地域社会の実現を目指して、条例の制定に取り組んでまいります。