2015年第3回定例会代表質問―山崎たい子
2015年9月4日 | 山崎たい子
私は日本共産党北区議員団を代表し、安保法制、若者・子どもの貧困、介護、住宅、首都高王子線について、大きく5点、区長、教育長に質問致します。
1、憲法違反の安保関連法案(戦争法案)の廃案・撤回を求めて
はじめに、安保関連法案、いわゆる戦争法案についてです。
参議院では審議が77回も中断する等、政府の説明はいよいよ行き詰まっています。安倍首相は、集団的自衛権行使の具体例として「邦人が乗った米艦船の防護」をあげていましたが、日本人が乗っていなくても行使はありうると言いだしました。
また、米軍への軍事支援には歯止めがなく、非人道的兵器のクラスター爆弾や 劣化ウラン弾、毒ガス兵器、はては核兵器まで輸送できる事が明らかとなりました。
更に、重大なことは、我が党が入手した自衛隊の内部資料で、自衛隊が法案成立を前提に、国会にも示されていない、米軍と自衛隊の「軍軍間の調整所」の設置、南スーダンPKOでの「かけつけ警護」など、今後の軍事計画を検討していた事や、自衛隊トップの統合幕僚長が、昨年12月の総選挙直後に、米軍に対して法案成立の時期を、「来年夏までに」と伝えていた事が明らかになりました。まさに、国会軽視、国民無視の「軍部の暴走」です。憲法違反の上に、ここまでボロボロになった法案は、廃案にする以外ありません。
先日、8月30日には、戦争法案廃案!安倍政権退陣!を求め、なんと12万人もの人々が国会周辺に押し寄せ、全国では1000カ所もの抗議行動が行われました。私も参加しましたが、国会正門前の車道も、あっという間に人でうめつくされ、周辺の沿道も、公園にも人があふれ、「戦争反対」「憲法守れ」「勝手にきめるな」「民主主義ってなんだ」とのコールが、四方八方から地鳴りのように響きわたり、主権者の声をつきつけました。
反対世論が7割にのぼる法案を、民意を無視してすすめようとするアベ暴走政治を許してはならないとの危機感と、それを止める力は、主権者一人ひとりの声と行動にあるとの民主主義が、世代を超えて、今、大きく拡がっていることに、私は大きな希望を感じます。この国の主権者は国民です。安倍首相でも、与党でもありません。
立憲主義、民主主義、恒久平和主義に反する「戦争法案」は廃案にせよと、今こそ、平和都市北区からも国に求めるべきです。区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
安全保障関連法案の廃案を政府に求めよとのご質問にお答えします。
北区では、昭和61年3月、世界の恒久平和と永遠の繁栄を願い、平和都市であることを宣言するとともに、平成23年2月には平和市長会議にも加盟しました。真の平和と安全を実現することは、私たちの願いであり、人類共通の悲願であります。今後も平和で自由な共同社会の実現に向け、引き続き努力してまいります。
安全保障関連法案につきましては、国の外交、安全保障にかかわる問題であり、憲法との関係や様々の課題等も含め、国会等の場で十分審議・検討されるものと認識しています。今後とも、その経過について、注視してまいりたいと存じます。
2、若者・子どもの貧困を改善する支援について
大きく2つめの質問は、若者・子どもの貧困を改善する支援についてです。
(1)給付型奨学金制度の導入など、奨学金制度の改善を
はじめに、奨学金制度の改善についてうかがいます。
米国では多くの若者が学費等の肩代わりのため、志願制で軍隊に入ることから「経済的徴兵制」と呼ばれています。我が国の文科省の有識者会議でも、財界から「奨学金返済をかかえる若者に、自衛隊でインターンシップを実施しては」との発言があり、日本でも現実になるのではと見過ごすことはできません。
どんな経済的事情の家庭に生まれ育った子どもにも、中等教育及び高等教育の機会均等を保障し、自立への選択肢が拡がるよう、国際人権規約にもとづく無償教育導入の義務を、日本は早急に果たすべきです。私はこの間、ひとり親世帯の学生や親御さん等から「大学や専門学校の学費が高すぎて大変」「奨学金を借りなければ、とても進学することができないが、将来の返済を考えると不安でたまらない」とのご相談を頂き、議会でもその改善を求めてきました。
現状の大学授業料の年間平均額は100万円をゆうに超え、世界で最も高額な一方、中間層・勤労世帯の賃金水準が低下し、親の年収だけでは工面できず、奨学金を借りざるを得ない大学生が2人に1人となっています。その奨学金の大方は貸与型で、学生は大学卒業時、平均で300万円もの借金をかかえて社会にでることになり、進学そのものをあきらめる人も少なくありません。
また、多くの学生は、生活や学費のためにバイトに追われ、当たり前に授業を受けることもままならないーこれが現在の大学生の実態です。更に若年層の半数が、年収300万円以下、返済をかかえての苦しい生活は、若者の自立や結婚・子育てにも大きな影をおとしています。我が国の少子化や人口減少を解決するためにも、高等教育費の負担、奨学金制度の改善は、まったなしの最重要課題です。
ようやく政府もここ数年、制度改善にのりだしましたが、未だに、世界では当たり前の給付型奨学金は実現していません。また、依然として無利子奨学金は少なく、返済制度も充当順位が延滞金・利子・元本であるため、なかなか元本が減らない、返済猶予制度も有利子には適応しない等、返済困難な事態を根本的に解決するものになっていません。そこで、質問します。
国に対し、大学などの給付型奨学金制度の導入や無利子の奨学金・返済制度の大幅改善、延滞金制度や連帯保証人制度の廃止等、奨学金制度の抜本的改善を求めて下さい。
【区の答弁】
若者・子どもの貧困を改善する支援についてのご質問のうち、 奨学金に関するご質問にお答えさせていただきます。
まず、大学進学者などに対する国の奨学金制度の改善についてです。
国の奨学金につきましては、平成26年度から無利子枠を拡大し、延滞金の利率引き下げ、返還制度の適用基準を緩和するなど一定の改善が図られてきています。また、文部科学省の専門家会議が、昨年8月に無利子奨学金の一層の充実や、将来的には給付型奨学金の設立に向けた検討など、現在の制度に関する改善の方向性を打ち出しています。全国市長会からも同趣旨の要望を国に出しておりますので、その推移を見てまいりたいと考えております。
(2)北区の奨学資金貸付制度について
次に、北区における奨学資金貸付制度について伺います。
この制度は、経済的理由により、高校などへの修学が困難な方に対し、年間10~30万円の貸付を行う制度ですが、平成23年度から、それまで親権者1名だった保証人に加え、連帯保証人をもう1名たてなければならなくなりました。家庭の経済事情が厳しさを増す中、今どき、連帯保証人を受けてくれる人を探すことは、とても大きなハードルになります。必要な家庭に制度がいかされるためにも、連帯保証人2名の資格要件は見直すよう求めるものです。
更に、大学などに合格した際、入学前に支払わなければならない学費の前納金は80万円にもなり、これも大きな負担です。北区の奨学資金貸付制度を、大学進学等にも対応できるよう拡充を求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
区の奨学金貸し付け制度に関するご質問です。
連帯保証人につきましては、平成23年度から東京都育英資金と同様に、親権者のほかにもう1名を、たてていただく制度に改めました。就学支援金の創設による高校授業料の無償化など、制度が充実したことなどにより、区の奨学金の新規利用者数は、ここ数年は10名前後にとどまっております。当面、現行制度の中で対応してまいりたいと考えています。
(3)子どもの学習支援やトワイライトステイの実施を
3つめに、子どもの学習支援やトワイライトステイの実施についてうかがいます。
私は「子どもの貧困」に対する取り組みについて、困窮家庭では親子で過ごす時間や経済的余裕が少なくなりがちであり、食事や宿題をする等の時間を、共にすごす子どもの夜の居場所づくりが必要ではと、3年前、京都のNPO法人の実践を本会議で紹介させて頂き、地域住民や大学生のボランティア、NPO法人等と連携して、北区でも子どもの学習支援やトワイライトステイに取り組むよう求めてきました。
この間、全国各地での取り組みが拡がり、今年から生活困窮者自立支援法の任意事業としても位置づけられ、北区での早期事業化を重ねて要望致します。
そこで私は、すでに事業をスタートさせた、滋賀県大津市の社会福祉協議会の取り組みをうかがってまいりました。同社協では、市内のNPO法人やスクールソーシャルワーカーの経験もある社会福祉士事務所のメンバー等が、学習支援ネットワークをつくって交流をはかり、大学生や地域住民の参加を得ながら、夕方から夜の子ども達の学習支援、居場所であるトワイライトステイを週1回、市内3カ所で実施し、地域福祉としても取り組んでいる様子が印象的でした。
北区でもすでに、子どもの学習や子ども支援に取り組んでいる団体やNPO法人があり、子どもや栄養にかかわる学部・大学もあります。高齢者の皆さんに対しては、会食サービスが大きく拡がっていますが、子ども学習支援・トワイライトステイなどに対する北区の取り組み状況について、お聞かせ下さい。
【区の答弁】
子どもの学習支援とトワイライトスティについてです。
ご紹介いただいた滋賀県大津市の取組では、学習支援事業を受託した社会福祉協議会が地域の関係団体とのつながりを活かして、事業運営をおこなっていると聞いております。北区の学習支援事業につきましては、ご紹介いただいた事例や先行自治体の取り組みを参考としながら、教育委員会を含め関係部局で検討を進めてまいります。
なお、トワイライトスティについては、国において、貧困の連鎖を防止するための取り組みとして、年末を目途(もくと)に政策パッケージを策定するとのことですので、その動向を注視してまいります。
3、区民の介護を守る北区の取り組みについて
大きく3つめの質問は、区民の介護を守る北区の取り組みについてです。
介護保険制度が始まって15年。この間、3年ごとの見直しが行われましたが、今年4月の改定は、制度始まって以来の大改悪となりました。
その主な内容は、保険料が基準額で年間約8500円の負担増、利用料は所得により1割から2割への引き上げ、特養ホームの入所は原則要介護3以上。更に、低所得の施設利用者に、生活保護並みの資産調査を行う等、食費や部屋代軽減の条件を厳しくする。そして、要支援者のホームヘルプやデイサービスを保険給付からはずし、自治体の事業とする。加えて、介護事業者へ支払われる介護報酬は、マイナス2.27%のかつてない切り下げで、事業者から「もう限界だ」と、悲鳴があがっています。介護制度の基盤を根底からくつがえす、こうした制度改悪に対し、区民の介護を守る立場から、保険者である北区が、その改善に全力で取り組むことを求めます。
(1)介護保険料の軽減を
介護の1つ目の質問は、介護保険料の軽減についてです。
第6期の介護保険料が、7月に区民へ通知され、「負担が重すぎる。なぜ、こんなに高いのか」との声が寄せられています。基準額で月額5438円の介護保険料は、この6月から更に0.5%削減された年金から、ついに1万円を超える天引きとなり、高齢者のくらしを直撃しています。政府は2025年には、全国平均で保険料が8150円程度になると見込んでおり、高齢者の負担能力をはるかに超え、上昇を続ける保険料は介護保険最大の問題です。
また、年金から天引きしない低年金、無年金者を中心に、深刻な「滞納問題」となり、北区でも滞納者は、平成25年度で3940人、その中で、要介護認定を受けながらも、多額の費用負担などのペナルティを受けている方は13人にも及び、必要な介護サービスが受けられていないのではと心配されます。こうした高すぎる保険料負担の解決のためには、公費部分を拡大し、保険料に依存する仕組みを解決していく以外にありません。そこでお尋ね致します。
公費負担による保険料の軽減をすすめるよう国に求めて下さい。あわせて、区独自の対策を求めるものです。
【区の答弁】
区民の介護を守る北区の取り組みについてのご質問にお答えします 。
はじめに介護保険料の軽減についてです。
公費負担による介護保険料の軽減につきましては、消費税を原資として、第一段階の方の保険率を0.5から0.45に引き下げました。平成29年度には、第1段階から3段階を更に引き下げる予定です。第6期介護保険事業計画では、保険料段階の多段階化を進めることで、所得の低い方(かた)への配慮をしております。
また、北区独自の対策としましては、世帯の収入額が、生活保護基準の1.15倍以下であることなど、一定の条件に該当する、生活困窮者のための軽減策を実施しています。なお、介護保険料の軽減策については、全国市長会などを通じて必要に応じて要望してまります。
(2)介護サービスの負担増に対する救済策について
介護の2つめの質問は、介護サービスの負担増に対する救済策についてです。
一定所得以上の人を1割から2割にする等、介護保険サービスの負担増が、8月から始まりました。私のところへも、夫が要介護5で、区立の特養ホームに入所している女性から相談があり、「2割の負担割合証が届き、驚いて区役所に電話した。区の方から、収入については、年金だけでなく、その他の収入も含めること。医療費控除などは適応にならないと説明された」とのことでした。女性は「2割負担になると、月に9万円代の特養の費用が13万円に増える。年金は夫婦あわせて月19万円。お父さんの年金は、まるまる施設の費用でなくなってしまう。自分の年金は国民年金でわずか。その他の収入があっても、所得税はかからない程度の収入でしかない」と、実情を語って下さいました。厚労省は2割負担になる世帯は「負担能力がある」といいますが、政府の家計調査でも、預貯金を取り崩して生活しているのが実態です。そこでお尋ね致します。
こうした2割負担になる方は、北区で何人になるのか? サービス抑制につながっていないかどうか? また、その対象者の生活実態を区として把握し、例えば所得控除などを考慮し、北区独自の軽減・救済措置を検討するよう求めます。
また、特養や老健などの食費や居住費に対する補助は、住民税非課税の方が対象でしたが、配偶者が課税世帯だと打ち切り、更に、資産が単身1000万円、夫婦2000万円を超える場合も外れることになりました。申請には通帳のコピーや資産調査の同意書等の提出を義務付けたため、「プライバシーの侵害だ」「利用を抑制する水際作戦だ」との批判が寄せられています。この補足給付については、日本共産党が国会で要請し、厚労省通知となりました。そこでお聞きします。北区では補足給付について、どのように対応しているか、また、区民の申請状況はどうか、お示し下さい。
【区の答弁】
介護サービスの負担増に対する救済策についてです。
北区では、要介護・要支援認定者1万7214人に対して負担割合証を交付いたしました。その中で、2割負担の方は、1996人です。8月からは、この負担割合に沿って、ケアプランが作成されているものと認識しております。
利用者負担の軽減・救済措置につきまして、北区では、社会福祉法人による軽減制度や東京都独自の軽減制度を活用して実施しており、区の独自策は考えておりません。
また、補足給付に資産要件が導入されたことへの対応といたしましては、先月末まで第4庁舎3階に特設窓口を開設し、申請書の受理とともに、丁重な説明に努めてまいりました。勧奨通知を発送した2472人の内、7割を超える1753人が申請されております。
(3)要支援に対する北区の総合支援事業について
3つめに、介護給付から、自治体の事業に移行となった要支援者への総合事業について伺います。
日本共産党区議団は、この夏、総合支援事業の要である、区内に15カ所の高齢者あんしんセンターを訪問し、地域での高齢者支援の取り組みや、今後の総合事業に対する課題について伺ってまいりました。どのあんしんセンターでも、高齢者の相談に真摯に、かつ献身的に対応されて、地域住民との結びつきを強め、見守り支援やサロン活動、認知症カフェの開設などに尽力されており、大変、頭のさがる思いが致しました。お忙し中、時間をとって頂いた事に、この場をかりて感謝申し上げます。時間の都合上、一部だけのご紹介となりますが、その声をご紹介させて頂きます。
「総合事業についてはとにかく、要支援の方々が心配ないように、不利益にならないようにというのが一番大事と思う。」
「一人暮らしや高齢者世帯が増えていく中で、介護保険だけでは支えきれない、調子が悪くなった時にすぐに駆けつけてくれる住民同士のつながり、病院へのつきそいなど、何かあったらお互いに助け合える地域づくりが求められている。要支援のサービスをどうするかというだけの話ではない。」
「そんな地域をつくっていくのに、5年~10年とかかる話ではないか。どうやったら、そんな地域がつくれるのか、住民の皆さんと一緒になって考えていきたい。」
「北区の事業と言ってもひとくくりではない。あんしんセンターは、それぞれの地域の特徴、高齢者の方々の様子を把握しているので、地域の実情にあった実のある事業をつくっていけるのではないか。」
「北区では医療・介護連携をはじめ、顔の見える連携が動き始めている。そうした横の連携をいかしていきたい」等々です。
私は、あんしんセンターの皆さんの考えをお聞きし、国からの制度の押しつけではない、現場から何が必要であるかを創り出す「地域づくり」が大切である、そうした総合事業にして頂きたいと感じたところです。
そこで会派では、今年の4月からすでに総合事業をスタートした千葉県松戸市の取り組みを伺ってまいりました。松戸市では、従来どおり介護事業所の専門職が行う現行相当サービスと、無資格者やボランティアなどが行う多様なサービスを分けて考え、まずは、現行相当サービスを確保し、その上で、多様なサービスを検討することにしたそうです。 その理由は、今年度から総合事業へ移行した自治体が78あるが、無資格者など規制緩和したサービスは報酬単価が引き下げられ、事業所からも手があがらず、スムーズな移行とはなりえないからです。
また、住民主体のサービスは事業所、NPO、住民も含め、話し合いをすすめながら取り組むことが必要と、約200カ所ある介護事業所も通所、訪問に分けて勉強会を行い、協議会をつくってすすめていく。更に、生活圏域毎の住民説明会も行い、 市民との課題を共有する場も設けたとのことでした。
そして、地域包括支援センターに対しては、総合相談窓口を開くにあたり、ケアマネジメントのマニュアルを作成、総合支援事業の実施に伴い、センター職員の増員、予算増をはかったとのことでした。
こうした取り組みで、利用者へは何らかわりないスタートをきり、事業者からみると請求コードがかわるだけ、既存利用者は契約書を再度かわしてもらうが、一斉切り換えではなく、その方の認定更新にあわせて、移行・切り換えを行うとしています。松戸市の取り組みをうかがい、北区でも参考にできる内容があるのではないかと感じました。そこでお尋ねいたします。
(1)総合支援事業への移行にあたっては、要支援者へのこれまでのサービスを継続させ、現行相当サービスとして実施する「みなし指定」のサービス事業者への単価は、これまでの予防給付の報酬単価を保障すること。
(2)住民主体の多様なサービスについては、従来のサービスの置き換え、代替とするのではなく、新たなサービスを創出する、地域のささえあいや地域づくりをすすめるものとして位置づけること。
(3)サービス提供に必要な事業費を確保し、不足する場合は国に負担を求めると共に、必要に応じ、一般会計からも補填して、地域支援事業の「上限」を理由に現行サービスの利用を抑制しないこと。
(4)サロン活動をはじめとした住民主体の「助け合い」の整備あたっては、活動に必要な施設・設備を提供し、予算を拡充すること。
(5)総合相談窓口における対応は専門職とし、要介護認定の申請権を尊重すること。また、ともすれば介護保険給付を抑制するものにならないかと心配される窓口での「基本チェックリスト」は、本来の役割である介護予防の取り組みが必要な高齢者を把握するツールとして活用すること。
(6)地域総合支援事業の実施など、あらたな課題を担う高齢者あんしんセンターの人的体制の拡充をはかること。
(7)事業者や住民にむけて、学習会・講演会などを実施し、情報・課題を共有し、事業化にあたり、事業者や住民の意見が反映できるようにすること。
以上7点、総合支援事業への移行について、区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
要支援者に対する日常生活支援総合事業についてです。
日常生活支援総合事業の移行当初は、現行の介護予防相当のサービスを継続する予定でおります。
緩和した基準によるサービスなどの報酬については、介護事業者と協議を継続してまいります。また、住民主体の多様なサービスについては、社会資源調査を実施したところですが、今後、生活支援コーディネーターを中心に高齢者あんしんセンターごとに高齢者を地域で支える仕組みづくりを進めてまいります。
次に、サービス提供に必要な事業費の確保については、東京都と事業ごとに協議を進めてまいります。
サロン活動などに必要な施設・整備については、地域にある様々な社会資源などの活用を検討してまいります。
次に、申請などの窓口対応については、高齢者あんしんセンターが引き続き担うため、区と高齢者あんしんセンターの職員によりマニュアルを作成してまいります。「基本チェックリスト」は、介護予防の取り組みが必要な高齢者に対して、適切かつ迅速なサービスの提供のために活用してまいります。
次に、高齢者あんしんセンターの人的体制ついては、見守りコーディネーターを担い手づくりや地域資源開発などの役割も担う生活支援コーディネーターとして位置づけるなど、必要な体制を整えてまいります。
次に、情報や課題の共有については、今後、地域づくりの担い手となる民生委員や町会・自治会、シニアクラブの役員等を対象とした後援会などを行う予定です。
なお、日常生活支援総合事業の実施時期等については、所管委員会でご報告いたします。
(4) 介護従事者の人材確保と介護報酬の見直しについて
介護の4つめは、介護従事者の人材確保と介護報酬の見直しについてです。
介護ヘルパーの8割は非正規雇用であり、その多くが「登録制」という極めて不安定な雇用形態です。更に賃金は、一般労働者の6割程度でしかありません。介護現場は依然として、深刻な人材不足が続き、とくにホームヘルパーは、7割の事業所が不足状態となっています。区内のある施設関係者は「去年から、募集しても全然集まらない。特養を増やすことも必要だが、介護職員が不足していては担うことができない。今年度、処遇改善が行われたが、介護報酬が引き下げとなり、施設運営がどうなるのか? どこも大きな課題だ。実情を把握し、報酬改善・見直しを検討してほしい。」と、語っていました。また、東京商工リサーチによると、今年1~6月の介護事業者の経営破綻が急増し、倒産件数は、前年同月比、約5割増で、年間では過去最多を更新する勢いとなっています。そこで伺います。
女性の就労支援事業も生かして、北区として介護人材の確保にとりくむこと。国に対して、抜本的な介護労働者の賃金・労働条件改善と介護報酬の改善・見直しをはかるよう求めて下さい。以上、北区の介護にかかわって、長生きするなら北区が一番との姿勢にふさわしい、区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
介護従事者の人材確保と介護報酬の見直しについてです。
介護従事者の人材確保につきましては、区としても福祉の総合フェアや福祉資格取得支援事業を実施しておりますが、10月から開始する女性再就職支援事業においても介護職就職を支援する予定です。また、国に対しては、特別区長会を通じて、介護人材の確保にかんする継続的な施策の実施について要望書を提出しておりますが、今後も必要に応じて要望を行なってまいります。
介護報酬の改善・見直しにつきましては、平成27年度介護報酬改定の影響について適切な検証を行い、質の高い介護サービスを継続して確保するため、必要な措置を講ずるよう、全国市長会を通じて、国に要望しています。
4、低所得でも安心できる住まいの確保について
大きく4つめの質問は、低所得者でも安心できる住まいの確保についてです。
これまでの日本の住宅政策は、中間層が家を買う、持ち家中心の施策となっていました。しかし今日、非正規雇用や年金高齢者の増加等を背景に、雇用の変化、福祉的な視点からの住宅施策の再構築が重要となっているのではないでしょうか。
賃貸住宅については、都内でも7万円以下の低家賃住宅が、この20年間、急速に減り、年収300万円未満世帯は20年前に比べて、1.8倍に増えている中、低所得世帯の家賃負担が大変重くなっている状況となっています。
高齢者あんしんセンターへの相談でも「退院後も介護が必要な低所得の方に、階段のない1階、適当な間取りがあり、家賃も5~6万というような住まいを探すのが、本当に大変」との声を頂きました。サービス付き高齢者住宅でも、有料老人ホームでも、月20万円程度の自己負担がかかり、低所得者世帯では、とても負担できる水準ではありません。
また、若年層では、年収200万円以下の20~30代の7割は、親の家に同居。その理由は「住居費を負担できない」が53%となっています。ひとり親家庭や非正規雇用の若年層にとって、低所得者でも安心できる住まいの確保、家賃補助などの支援策がどうしても必要です。そこで、お尋ね致します。
(1)区営住宅の整備戸数増や民間住宅等への家賃補助を
都から移管された区営住宅建て替えの際の戸数増や、新たに区営シルバー住宅の整備戸数を増やすこと、更に、民間のサービス付き高齢者住宅や賃貸住宅への家賃補助を実施するよう求めます。
(2)住宅支援協議会を設置し、空き家の活用や居住支援制度の実施を
民間の不動産会社等とも連携して、高齢者、障害者、ひとり親、若者など住宅確保が困難な方への支援を検討する「居住支援協議会」を設置し、空き家の有効活用や物件のあっせん、保証人や保証料の補助などを実施する居住支援制度を実施するよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
低所得でも安心できる住まいの確保についてのご質問にお答えします。
はじめに、区営住宅の整備戸数増や民間住宅などへの家賃補助についてです。
現在、民間住宅を借り上げて提供している高齢者住宅、いわゆるシルバーピアは、平成29年度から平成39年度まで、順次、借上げ契約期間の満了を迎えます。また、区営住宅につきましても適正修繕による活用を行なう一方で、計画的な建て替えが必要であると考えております。区といたしましては、現在の住戸数を確保していくことが。今後の課題であるととらえており、整備戸数を増やすことは、考えておりません。
次に、サービス付き高齢者向け住宅等の賃貸住宅への家賃補助についてです。
現在、東京都のサービス付き高齢者向け住宅整備事業において、北区としての基準を策定し、公表しています。その中で、東京都からの補助を受ける場合には、整備する全戸数の一割程度を、6万円前後の低廉な家賃とすることを、条件としています。区としては、サービス付き高齢者向け住宅を含め、賃貸住宅に対する新たな家賃補助制度は考えておりませんが、今後も他自治体の施策の動向を注視し、研究してまいります。
次に、居住支援協議会を設置し、空き家の活用や居住支援制度の実施を。とのご質問にお答えします。
まず、居住支援協議会の設置についてです。
区では、昨年6月に、東京都が設置した、東京都居住支援協議会へオブザーバーとして参加し、先進事例や、現時点における課題などの情報収集に努めているところです。現在、特別区では、江東区、豊島区、板橋区が居住支援協議会を設置しておりますが、物件の確保や保証人の確保が困難な方への対応等、課題もあると聞いておりますので、今後とも調査研究してまいります。
次に高齢者、障害者、ひとり親、若者も含めた低所得者等への支援策についてです。
まず、家賃債務保証等につきましては、現在、一般財団法人、高齢者住宅財団が、賃貸民間住宅の家賃債務保証制度を行なっています。区では、ご相談に対して、パンフレットにより。この制度のしくみを丁寧にご説明し、周知を図っています。
また、空き家の利活用を含めた、具体的な居住支援策につきましては、他自治体における先進事例や課題などの情報収集に努め、今後、調査研究してまいります。
首都高速王子線の環境対策・安全対策を求めて
大きく5つめの質問は、高速道路王子線の環境対策及び安全対策についてです。
すでに王子線本線開通から12年がたち、今年3月末には、板橋方面への「のぼり線ランプ」が開通しました。
沿線の住民からは、本線開通当初より、振動・騒音の苦情が出され、北区・議会もあげて首都高にその対策を求め、振動・低周波騒音に対する伸縮継ぎ目の段差を解消するノージョイント化工法や、路面の定期的補修、TMDと呼ばれる制震装置の設置などを実施させてきました。
しかしながら昨今、沿線住民から改めて「騒音がうるさい」「窓を開けて寝られない」「揺れがひどくなっている」等の声が寄せられています。今年3月に行われたランプ開通に際しての住民説明会では、首都高から、ノージョイント化工事を行っていた橋脚の一つであるP79の橋脚部分が劣化して「すでにノージョイント化ではなくなっている」との驚くべき説明が行われました。住民からは「王子線本体が劣化しているのでは」「板橋方面ランプによって、振動にも変化が生じているのではないか」「早急に環境調査・分析、対策を実施してほしい」また「夜間の大型車輌走行時が一番、騒音・振動が大きいと感じる。オービスを設置する等、速度制限をすすめてほしい」等、改善を求める声が相次ぎました。これに対し首都高は、環境調査の実施と対策を検討する旨、住民に応えています。
そこで以下3点、環境対策について首都高に求めて下さい。
(1)速やかな環境測定の実施と分析結果を公表すること。
(2)ノージョイント化工事や遮音壁の改善、オービスの設置に早急に取り組むこと。
(3)低周波騒音対策である従来の制震装置が充分であるか検証し、足立方面及び板橋方面への上下線ランプ開通に伴い、それぞれ複数の振動モードが生じていると予想される広範囲の周波数に対応できるMMD等、最新の対策を首都高に求めることです。
次に、新ランプ開通に伴う安全対策についてうかがいます。
ご案内の通りこのランプは、車が出入りするには、歩道を横断しなければならないという、構造的欠陥とも言うべき問題をかかえています。そのため、歩行者の安全確保、交通事故防止などのため、開通時から24時間の安全誘導員が配置されました。首都高は「当面、配置する」と説明していますが、そもそも安全上、問題のある構造なのですから、当面の対応であってはならないと考えます。そこで質問します。今後も引き続き、安全誘導員の配置を行うよう求めて下さい。
以上で質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
首都高速道路王子線の環境対策・安全対策についてお答えします。
現在。首都高速道路株式会社では、堀船地区における騒音、振動、低周波音の環境調査を今月15日に行なう予定で、準備を進めていると聞いております。この調査結果に基づき、騒音振動対策及び、速度制限対策が検討されるものと考えております。
首都高速道路株式会社に対しましては、地元の皆さまに調査結果をお知らせし、対策について丁寧な説明を求めてまいります。また、安全誘導員につきましても、引き続き配置するよう、申し入れてまいります。