2015年第3回定例会個人質問―本田正則
2015年9月7日 | 本田正則
私は大きく3点、障害者差別解消のまちづくり、命を守る防災対策、そして、都市計画道路に関して質問します。
1、障がい者差別解消・バリアフリーのまちづくりを
大きな一点目は、障害者差別解消・バリアフリーのまちづくりについてです。
政府は、障害者差別解消法を制定し、来年度施行の準備を進めています。8月21日国土交通省も「チーム・ジャパンで取り組むバリアフリー・ユニバーサルデザイン施策」をまとめ、競技会場や周辺、主要ターミナルなどでの施策強化を示しました。その中で、公共交通機関では、職員等による人的対応の円滑化を図るとしています。
しかし、JR各駅では、改札口の無人化が進んでいます。王子駅南口も無人化しました。インターホンを設置したのですが、視覚障害者には探すのが大変な設置の仕方で、「駅員さんに訪ねながら利用してきたのにいなくなって困った」とおっしゃっています。
北赤羽駅の浮間口も無人化され、車イス利用者は、インターホンで赤羽口から呼び出した駅員さんに、ホームの端から端まで乗車板を持ってきてもらう時間、5分も10分も余分に時間を要します。言語障がいのある方は「インターホンでは意思疎通が難しい」とおっしゃっています。しかも、尾久駅の場合、一人しかいない職員が仮眠で無人となる早朝時間帯は、田端駅北口でモニターとインターホンで監視し、緊急対応の場合、電話で仮眠している職員に連絡して指示するのです。機械に置き換えても、新たなバリアになっているのです。
そうした中、一度延期されていたJR十条駅南口の無人化が、8月30日に実施されました。2つの都立障害者施設、3つの特別支援学校の最寄り駅です。朝夕の通学時間帯など、子どもたちにちょっとしたトラブルが発生したときにパニックに陥ることもあり得る話です。委員会での複数会派から心配する指摘もありました。
そこで1つ目の質問です。十条駅南口に関して、日本共産党北区議員団は区長への申し入れも行って、無人化の中止を求めましたが、区としてどのように対応し、JRはどのように応じたのかご答弁ください。
次は北区全体の問題です。北区には、3つの特別支援学校もあり障害者施設が集中し、障がい者にも、高齢者にも、子育て家庭にもやさしいバリアフリーのまちをめざして努力をしています。さらに、西が丘のナショナルトレーニングセンターや、障害者スポーツセンターなどへのアクセス強化のため、最寄りの赤羽駅・十条駅・王子駅などを結ぶ「ROUTE2020トレセン通り」も整備中です。あわせて、全てのスポーツ施設のバリアフリー化など、障がい者スポーツの振興にも努めています。これまでも、地下鉄南北線、JRの各駅のバリアフリー化を進め、旧法に基づく計画は板橋駅・田端駅をもって完了し、新法に基づく計画策定に入るところです。
そこで、2つ目に、北区全域、少なくともトレセン通り周辺地域は重点整備地区に設定し、全国のバリアフリーのモデル自治体をめざした基本構想・計画策定を提案しますが、ご答弁ください。
3つ目です。これまでも、点字ブロックのしき方などに関する公共交通機関の側の認識不足が指摘されてきました。国交省が新たな施策を受けて進める、ガイドライン改定などの中で、公共交通機関と障害者との協議や有人対応の基準などを盛り込むよう政府に求めて下さい。答弁を求めます。
【区の答弁】
初めに障がい者差別解消・バリアフリーのまちづくりを、のご質問についてお答えします。
まず、十条駅南口についてです。
JR東日本は、8月30日より、インターホンを使用して、南口の改札の案内を行う遠隔操作システムを導入し、新たに自動精算機によるサービスを開始しております。区では、所管委員会でのご指摘を受け、JR東日本に商材の内容を確認させていただき、障害者に配慮した対策を要望いたしました。JR東日本からは、駅周辺の障がい者施設の状況を考慮し、「車いす利用者用のインターホンを増設する」、「当面の間、朝/夕のピーク時間帯や深夜帯に、社員の巡回を許可する」、「必要に応じて、特別支援学校へのシステムの利用方法を個別に説明する」、との対応が示されました。また、各障がい者支援施設の他、駅周辺の高校及び大学、地元町会へも説明を行ったと聞いております。区といたしましては、引き続き、今後の利用状況を注視してまいります。
次に、重点整備地区についてお答えいたします。
区では、今年度、都市計画マスタープランに掲げたユニバーサルデザインの考え方を踏まえ、バリアフリー基本構想を策定いたします。 この基本構想に基づき、駅周辺を中心に、高齢者や障害者、妊産婦など、誰もが自立して移動や生活ができる環境づくりをめざし、バリアフリーまちづくりを総合的、一体的に進めてまいりたいと考えております。 なお、重点整備地区の選定につきましては、来年度以降策定する地区別構想において、十分検討してまいります。
次に、公共交通機関のガイドラインの改定についてのご質問にお答えいたします。
現在の公共交通機関の移動円滑化整備ガイドラインでは、「様々なニーズに対応するためには、ハード面の整備と共に人的な対応も移動等円滑化の両輪として行う必要がある。」として、人的支援の必要性を謳っております。国においては、「『優しい国・日本』を目指して」とするバリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の方向性を示しており、ソフト面のバリアフリー化の推進策等、ガイドライン改定が行われる際には、適切に対応されるものと考えております。
2、直下型地震に備え、圧迫死予防策・焼死予防策強化を
大きな2つ目の質問です。直下型地震に備え、圧迫死・焼死の予防強化を求めます。
東日本、阪神の大震災で、生命・身体・財産を守る点で、とりわけ住まい、生業、コミュニティや人のつながりが重要であることを実感させられました。東日本では、揺れに対して命が助かったら、次は津波に備えて一目散に避難することも学びました。しかし、東京で想定されているのと同じ直下型地震で、神戸市では87%が圧迫死という事実から目を背けるわけにはいきません。
政府は、首都直下型地震の緊急対策を今年3月31日に閣議決定しましたが、その最優先課題も、住宅の耐震化です。しかも、耐震化は、神戸で12%だった焼死を減らすためにも重要です。なぜなら、倒壊家屋が多いほど出火率が高い。出火原因で多い通電火災も倒壊家屋で起きやすい。燃え上がってからの火災発見となる上、火元に近づきがたく初期消火が困難だからです。
政府の対策もまず圧迫死で、耐震化と家具の固定、次いで出火防止と初期消火、その他となっています。
死者の6割削減をめざす北区の地域防災計画達成には住宅耐震促進が不可欠です。
北区が1月に示した耐震改修促進計画改定案は、2020年までに耐震化率95%です。現計画の、90%目標は79%に留まりそうです。約7年で14ポイント程度の改善だったのを、今度は5年で16ポイント改善をめざすわけです。とりわけ木造の戸建て、アパートの改善が不可欠です。
しかも、コミュニティを維持し、環境や景観を損なわないように耐震化を進めるには、大規模なマンションで住民を入れ替えるのではなく、主体的に改築・改修を進めて住み続けていただく事も大事です。しかし、技術的にも、経済的にも支援が必要な方が少なくありません。ひとり暮らしの高齢者などには、書類の提出手続きだけでも困難です。
関東大震災や戦災を経験し火災に目が向きがちな東京では、店子・大家・地主のみなさんに、直下型の阪神大震災で概ね9割が圧迫死という事実に目を向け、その予防に主体的に取り組んでいただくことも大切です。
(1)耐震改修目標達成を北区の目玉政策に
そこで1つ目に住宅耐震化について質問します。①昨年9月の第3定例会で行った助成限度額の引き上げなど耐震改修促進にむけた具体的な提案についてその後どのように対応しているか、②地域防災計画に明記した95%達成を全庁的な取り組みとすること、③これは次の家具固定とも共通ですが、危機管理・防災担当部局とまちづくり部局、そして地域振興部の共同の事業として、自治会・町会や、自主防災組織に出前しての学習を計画化し、その内容面でも圧迫死対策を強調すること、④今年度末90%めざして、79%に留まりそうな耐震改修促進計画の総括と、改善案での達成の手立てについてもご答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、直下型地震に備え、圧迫死予防策、焼死予防策強化をとのご質問にお答えします。
まず、「耐震改修目標達成を北区の目玉政策に」のうち、昨年9月の第3回定例会で頂いた助成限度額の引き上げなど、具体的な提案への対応についてです。
はじめに、木造住宅の耐震診断の促進につきましては、引き続き取り組んでいるところでございますが、耐震強度を満たさないものへの助成を、新耐震移行の建築物への助成については、建築基準法で、構造規定の最低基準の耐震強度を定めていることから、この最低基準を満たすものを助成対象としております。また、耐震改修に伴う税控除の再延長につきましては、引き続き機会を捉え東京都に申し入れを行ってまいります。 周知につきましても、耐震化助成の相談時等自答にパンフレット等でご案内しております。最後に、木造耐震化助成に関する、高齢者世帯等への上乗せ助成につきましては、今年度より、限度額を100万円から、150万円に変更しております。
次に、耐震化率の目標達成に向けた全庁的な取り組みと、出前学習を計画化して、圧迫死対策を強化すべきとのご質問にお答えします。
区では、地域防災計画にかかげた耐震化率の目標達成に向けた取り組みとして、耐震改修促進計画に基づき、町作り協議会や町会・自治会などに出向いて、住宅の耐震化の重要性について、様々な啓発活動を行っております。 また、地域での自主防災組織の会議など様々な会合において、関係部署が連携して耐震化の推進や家具転倒防止対策などの啓発を行っております。 今後も、普及・啓発に努めてまいります。
次に、現在の耐震改修促進計画の総括と、達成の手立てについてのご質問にお答えします。
区では、区民の耐震化への意欲を引き出す制度として、平成21年度から、木造民間住宅耐震化促進事業を導入いたしました。 東日本大震災以後、一時的に申込者数が増加しましたが、近年、減少傾向にあることから、事業のパンフレットを町会・自治会を通じて、区内全域に回覧するなど、周知を図っております。 今後、木造住宅につきましては、平成32年度までに、耐震化率95%を目指し、区民の意識啓発に、一層努めるとともに、木造住宅密集地域における、不燃化特区事業等と連携を図りながら、耐震化を進めてまいります。
(2)家具固定の促進のために
2つ目、家具の固定の普及促進については、高齢者、高層マンションでの支援・助成の強化について改めてご答弁ください。
【区の答弁】
次に、家具固定の促進についてです。
北区では、現在、65歳以上の高齢者で構成される世帯などを対象として、家具転倒防止器具の取り付け事業を実施しています。 また、事業の周知・不急につきましては町会・自治会をはじめ、民生委員や高齢者あんしんセンターなどの協力を得て、周知・啓発に努めているところです。 あわせて、高層マンションの管理組合で行う防災教室など、様々な機会を捉え、より一層促進してまいります。
(3)感震ブレーカー設置の先進自治体に
直下型地震の3つ目は感震ブレーカーの設置促進策です。今年3月20日の経済産業省の報告書で、自治会による普及の例として、田端西台自治会が挙げられております。西台自治会が簡易感震ブレーカーを、会員全員に配布したのは6年ほど前の話ですが、その後北区でこうした事例はないのか、普及促進策と現状についてご答弁ください。
【区の答弁】
次に、感震ブレーカーの設置についてです。
町会・自治会独自で感震ブレーカーの普及活動を行った事例は、ご案内いただいた田端西台自治会のほかに承知しておりません。北区といたしましては、区民への普及・啓発に取り組むとともに、特別区長会を通じて、国に対し、感震ブレーカー設置費用の補助制度創設を要望してまいります。
3、住まい・生業・きずな・環境を大切にする都市計画道路づくりへの転換めざして
大きな3つ目に、住まい・生業・きずな・環境を大切にする都市計画道路づくりへの転換めざして質問します。
東京都の都市計画道路は完成率62%です。
70年も前の、1946年に旧憲法下の旧都市計画法のもとで決めた路線が相当部分を占めています。新法制定が1969年、1982年にようやく86号線の一部などを廃止し、それ以後は、基本的に全部作る、新規決定路線が加わるばかりで、現在全長約3200㎞です。1982年から33年間は、約10年程度で、古い路線の廃止はほとんどせず優先的に着手する路線を3回選びなおしただけに等しいものです。着手というのは、事業認可をとることで、2004年に決めた第三次事業化計画の最終年度である今年度、区内では補助92号線の田端1丁目~西日暮里4丁目区間と、補助86号線の赤羽南1丁目区間で、説明会、境界測量などを始め、年内認可申請、年度内認可を目指しています。認可後に、用地測量や買収となりますから、第二次の計画期間中に認可された豊島町の補助88号線や、赤羽西の補助73号線などは、現在認可後13年たった今なお工事中です。
一方、政府、国交省は、2007、8年の社会資本整備審議会や「道路の中期計画」などで、現存する路線の改良や維持管理にシフトする方針を出しました。これを受けて被災地の神戸市、大阪市、兵庫県、大阪府をはじめほとんどの道府県、政令市がここ10年ほどで2~3割の路線廃止、見直しをしました。以前紹介した大阪市は、これまで50年以上未着手だった路線が、今後50年たっても完了せず、100年の建築制限になる可能性も指摘して見直したのです。
ところが東京都は、石原知事の下で「2020年の東京」を示し、木造密集地域不燃化10年プロジェクトの中で、2012年末にわずか7年で完了させる特定整備路線を選定しました。昨年度末までに、住民の反対の強い路線も含め、すべて事業認可を取得し、あと5年で、すべて完了させるという暴走ぶりです。
この特定整備路線は、木造住宅を立ち退かせ、周辺を不燃化住宅やマンションなどに建て替える方向に誘導するものです。総事業費は3500億円を超え、住民の住まいを守るのではなく、70年も前の計画で立ち退きを求める事への不満が噴出しています。それに、81号線、86号線赤羽西区間では延焼遮断帯の真ん中に延焼遮断道路を作り、緑や公園、史跡を壊すこと、86号線志茂区間では、すぐ南に18m道路ができていたのに20m道路を作るのはムダであること、補助73号線は商店街を一部破壊し、商圏も地域も分断することなどが問題になっているのはこれまで指摘してきたとおりです。史上空前の4000件を超える不服審査請求が出され、意見陳述終了まで、数年かかるかも知れない状況です。
86号でも訴訟参加、92号でも町会あげての反対運動など批判が噴出しています。
(1)反対の強い都市計画道路事業の中止、見直しの働きかけについて
都市計画道路の1点目に、北区内の都市計画道路について、事業化に多数が反対している路線の事業の中止、および都市計画の廃止・見直しを東京都に要望することを改めて求めます。
【区の答弁】
次に、住まい・生業・きずな・環境を大切にする都市計画道路造りへの転換めざしてのご質問にお答えいたします。
まず、都市計画道路事業の中止、見直しの働きかけについてです。
道路など都市施設の都市計画は、都市の将来像を見据えて、長期的視点からその必要性が位置づけられています。今回策定予定の東京における都市計画道路の整備方針において、現在決定されている都市計画道路の計画上の課題や新たな計画など、都市計画道路の整備に関する様々な検討を行うとしております。 区といたしましては、東京都に対し、事業の中止、計画の廃止、見直しを行うことについて、申し入れることは考えておりません。
(2)第四期の都市計画道路事業化計画について
道路の2点目は第四次事業化計画で、長期未着手路線は見直すことについての質問です。
見直しを行った名古屋市では、見直し対象を文化財等に支障を来す路線、公園や緑地を分断する路線、商店街の存続に影響を与える路線、木造住宅密集地内に存在する路線、一定の道路機能が確保されている路線、代替ルートの考えられる路線、堤防道路へとりつく計画となっている路線、道路構造等に問題のある路線としました。関係住民と協議して、廃止、復員縮小、延長短縮、線形変更などを行っています。
東京都が発表した第四次事業化計画の中間のまとめでも、名古屋市のような長期未着手路線の廃止を検討する基準は見あたりません。全ての計画道路が新設できる方向です。オリンピックにお金がかかる中、都民の福祉や雇用を犠牲にしないためにも、住民の合意の得られない道路は作るべきではありません。
そこで質問です。①策定中の第四次の事業化計画で、優先整備路線の案が示される前に、名古屋市などを参考に、長期未着手路線の廃止見直し基準を定めるよう、東京都に働きかけることを改めて求めます。②新規の優先整備路線については、関係権利者や周辺住民に計画の内容を周知徹底した上で、合意確認を行い、合意のとれたものだけ指定するよう働きかけることを求めます。第四次事業化計画について2点ご答弁ください。
【区の答弁】
次に、第四次の都市計画道路事業化計画についてのご質問にお答えいたします。
東京における都市計画道路の整備方針は、これまで過去3回、社会経済情勢の変化に応じて、適時適切に路線の必要性の検証などを行ってまいりました。 今回の整備方針の策定にあたっては、中間のまとめに対するパブリックコメントや学識経験者の意見を参考に、長期未着手都市計画道路も含め、将来都市計画道路ネットワークの検証を実施していく予定です。 また、中間のまとめでは、このネットワークの検証により、必要性が確認されなかった都市計画道路については、整備方針策定後に、計画廃止を含めた検討を行うとしています。さらに、優先整備路線の選定にあたっては、今後、十年間の方向性を示したうえで、事業の継続性や実現性、事業費などを踏まえ、総合的に判断するとしておりますので、東京都に対し、廃止見直しの基準を定めること等について、働きかけを行うことは考えておりません。
(3)住まい・生業を大切にする事業化手続きに
道路の3点目の質問は、事業認可を申請する前に、財産権や居住権、環境権などの人権を尊重する手続きとする制度変更について区長の見解を問うものです。
86号線の志茂1丁目区間は、第三次事業化計画で、優先整備路線から外され、建築基準法の特例で、軽量鉄骨の木造3階建てがどんどん建ちました。これが特定整備路線に選定されました。2004年に建築が許されて、2013年に立ち退きが迫られ、二重ローンになる方も出るのです。これでは財産権などの権利の侵害といわれても仕方ないではありませんか。
また、北区は、都市計画道路にかかり建物が規制される建築指導線について、近隣で先に定めた建築指導線を基本に50㎝以上の誤差のないようにしてきたといいます。ところが、補助87号線では、3mも建築指導線とずれた都市計画線が事業化にむけた説明会で示され大問題になりました。東京都は1/2500の計画図だから、計画線が1mmの太さだと、5mが誤差の範囲だと強弁したのを覚えています。これはあまりにも乱暴です。
一方で、第三次計画では、交通需要予測に基づき、1日6000台以下を一つの基準として補助92号線の西日暮里3丁目から南側を見直し検討路線としました。第四次では、交通需要の予測すら明確ではありません。
質問します。事業化する場合には、改めて、都市計画線や建築指導線、交通量推計などを明示し、公示・縦覧、説明会・公聴会などを行ったうえで、住民の意思確認を行い、合意の得られたものだけを認可申請するよう、制度の改善を国や東京都に働きかけていただきたい。ご答弁ください。
【区の答弁】
次に、住まい・生業を大切にする事業化計画手続きにとのご質問にお答えいたします。
都市計画道路の事業化に際しては、沿道の皆様にご理解をいただくため、事業及び測量の概要、事業効果、進め方などについて、説明会を開催しております。 道路など都市施設の都市計画は、都市の将来像を見据えて、長期的視点から、その必要性が位置づけられています。 区といたしましては、合意の有無のみをもって、事業認可申請の判断をすることは、適切ではないと考えております。
(4)都市計画の変更・決定過程に瑕疵があるのではないか
道路の4点目に、計画決定・変更過程に瑕疵はないのか区長の見解を問うものです。
6月定例会で野々山議員が質したように、戦災復興院が1946年に告示し、都市計画決定したとする道路は、主務大臣の決定を示す文書がありません。しかも東京都庁に原図をおいて縦覧に供すと告示されているのに、東京都はその原図はないとしています。そして、国交省は国会で、「他に決定された都市計画も併せて図示した資料に継承し、適切に管理されている」と東京都は言っているとする伝聞の答弁をしました。そこで、住民がこの継承した資料の開示を東京都に請求したら、「開示請求に係る公文書は、作成しておらず、また取得した事実が確認できず、存在しない」との回答です。原図を復興院から取得していない、継承した図面はつくっていないとしか読めません。
説明会でも、都市計画決定は70年前の告示15号だとしています。ところが、70年前と現状は大きくずれています。補助86号線は隅田川堤防までだったのが北本通りまで、92号線は、田端駅通りまでだったのが上野駅の手前で鉄道を跨いで昭和通りまでです。起点・終点、幅員などは、都市計画審議会での変更決定、告示が必要ですから、都市計画の変更があったはずです。新憲法制定後も一度も、関係住民に、計画を公示・縦覧し、説明会や公聴会を開催しないまま、権利制限をしてきたのは、憲法が保障する財産権、居住権、環境権などの基本的人権を侵害しているのではないかと思います。
そこで質問ですが、1点目、区内で今問題になっている特定整備路線と補助92号線について、どのような都市計画変更の経過をたどって、現在の都市計画図に到ったのか。
2点目、その変更を原図がないのに、当初の決定とされるものと齟齬がないことをどのように立証するのか。
3点目、その間一度でも、関係住民への公示・縦覧、説明会や公聴会がないとすれば法的に問題ではないのか。
以上3点答弁を求めます。
以上で私の質問を終わります。
【区の答弁】
次に都市計画の変更・決定過程に関するご質問にお答えします。
まず特定整備路線と、補助第92号線の都市計画変更の経過についてです。
東京都発行の資料を確認したところでは、補助第86号線は、昭和22年から平成元年までに8回。補助第81号線は、昭和25年と昭和39年の2回、補助第73号線は、昭和25年から平成15年までに9回の都市計画変更が行われています。
また、補助第92号線は、昭和25年と、昭和39年の2回、都市計画変更が行われています。 各路線とも都市計画変更の過程を経て、現在の計画となっております。
次に、現都市計画が、当初決定の都市計画と齟齬がないことの立証についてです。
区といたしましては、「適切に監理されている」との東京都の見解が示されており、現在、行政不服審査請求や提訴が行われている中で、見解を申しあげることは差し控えたいと考えております。
次に、関係住民の権利制限についてです。
ご指摘の都市計画道路の都市計画決定について、東京都からは、「当時の法令に基づき適切に手続きが実施されたものと認識している」と聞いております。区といたしましては、適切な手続きの元、進められた計画であると認識しております。