2016年第3回定例会個人質問ーながいともこ
2016年9月9日 | ながいともこ
私は、浮間唯一のバス路線、赤06便の運行継続で区民の足を守る取組み、公共交通機関における利用者の安全確保について、浮間さくら荘移転後の跡地利活用について大きく3点の質問を行います。
1、浮間唯一のバス路線、赤06便の運行継続で区民の足を守る取組みを
浮間唯一のバス路線、赤06便の運行継続で区民の足を守る取組みについて5点の質問をいたします。
(1)赤06便の運行継続を図ることについて
1つ目の質問は、赤06便の運行継続を図ることについてです。
国際興業バス赤06便は9月30日をもって運行を廃止させていただきますとのお知らせが、9月1日バス停に張り出されました。このバス便は浮間唯一のバス路線で、利用されている地域住民の皆さんからは、驚きや困惑とともに、怒りの声が上がっています。
私も、何度か議会で取り上げ、このバス路線を継続させてほしいと願う住民の皆さんの声をお届けしてまいりました。また、本年6月の第2回北区議会定例会のわが党の代表質問では、高齢者や障害者などへの移動手段の支援策を求め、いくつかのサービスが示されましたが、廃止まで1ヵ月を切ったなかで、利用者への支援策が十分に行き届くとは到底思えません。
また、北区基本計画では、「区内交通手段の確保として、既存の民間事業者等と連携しながら交通手段の確保に向けた取組みを行う」としています。しかし、運行廃止では、交通手段の確保ができなくなります。この事態に対して自治体として責任を負うべきです。そこでお伺いいたします。
国際興業バス赤06便運行休止による影響把握や、住民の納得が得られる代替案が示されるまでは、国際興業と協議を行い、このバス便の運行を継続させることを重ねて求めます。お答えください。
【区の答弁】
本路線について、区では平成26年8月より2年間を限度として運行赤字の半額負担をおこなう実証運行の協定をバス事業者と締結し、東京北医療センターへの乗り入れや便数の増加など利便性の向上に努めてまいりました。
この間、区およびバス事業者において、利用状況等の調査を続けてまいりましたが、当該運行路線の利用者数および運行収支状況において改善が図られなかったため、区としては事業者と協議の結果、平成28年7月末をもって運行支援経費の負担を終了することといたしました。
8月以降、バス事業者において自主運行をおこなっていますが、運行継続はバス事業者が決定するものであり、当該路線の採算性等を考慮すると、路線の継続は難しいものと考えております。
(2)休止の手続きについて
2つ目の質問は、こうした路線バスの廃止や休止の手続きについてです。
道路運送法によれば、休止または廃止にかかる事業計画の変更手続きを行う場合は、関係地方公共団体及び利害関係人の意見聴取をするものとするとなっています。7月に北区はこの意見聴取に対して、聴取の場に赴くこともなく、関東運輸局へ書面で意見陳述を提出しております。少し長くなりますが、その内容を読み上げます。
「運行事業者である国際興業(株)からは、平成25年3月の大幅な減便に併せて、近日中の路線休止という意向が示されました。北区としては運行事業者と協議を重ね、運行時間帯の変更や東京北医療センターへの経由等といった輸送及び収支改善を支援条件とし、平成26年8月1日から実証運行を行ってきたところです。この間、利用者状況を注視してきましたが、結果として運行収支の改善が図られないことから、運行事業者への支援は終了との判断に至ったところです。以上により、区としては本件の事案は止むを得ないと考えております」
これが、休止に対する北区の意見です。
一方地域では、住民有志による「浮間の路線バスをもっと利用しやすくさせる会」が発足し、このバス路線の運行継続を求め、区及び国際興業へ度重なる要請や署名活動が行われており、今年の6月21日には、北区へ1710筆もの署名と運行継続の要請書が提出されております。区長のはがきを通じても、このバス路線が無くなったらどんなに困るかの区民の声が届けられていると思います。
利用者の状況を注視するというのであるならば、このバス路線の運行継続を求める住民にこそ目を向けるべきですが、意見書に全く反映されていません。そこでお伺いいたします。
住民の署名活動やバス会社への要請、運行継続を求める区民の声があることを意見陳述に反映させ、住民の立場に立って、北区として継続を求めるべきではないですか。お答え下さい
【区の答弁】
事業者である国際興業からは、協議の過程で、「不採算路線の運航継続は困難であると判断」との報告を受けており、2年間の実証運行の利用状況結果から事業者の判断はやむを得ないものと認め、関東運輸局長へ意見聴取の回答をしたものです。
(3)赤06便バス路線の代替案について
3つ目の質問は、赤06便バス路線の代替案についてです。
先の定例会では、運行休止に備えて、高齢者や障害者に対する区の支援策を求め、視覚障害者に対する同行援護(えんご)や車両移送型を含む移動支援等のサービスの給付、福祉タクシー券やガソリン券の交付、リフト付きタクシーの助成の実施、区内社会福祉法人等による個別輸送サービスなど、バス路線が廃止された後も、こうした支援を着実に実施していくとのお答えを頂いております。
このバス便の休止で、通院、施設通所、買い物など、高齢者や障害者の方たちへの日常生活に支障が出ないようにしなければなりません。そこで、まず初めに2点お伺いいたします。
1、こうした様々な支援を確実なものにするために、その後、どのような調査を実施し、対策はどのようにとられているのか、また、対象者を明確にし、個別的な支援もおこなうことを求めます。
2、圏域の高齢者あんしんセンターや通所されている障害者施設や病院などにバス路線休止の周知をするとともに連携を図り、赤06便バス利用者の足の確保を行うこと。
お答えください。
【区の答弁】
赤06便バス路線周辺にお住まいの方には現行の福祉サービスについて近隣の高齢者あんしんセンターなどでの周知に努めてまいります。
つぎに、このバス路線を利用されている方は、障害手帳や介護サービスを受けている方たちだけではではありません、子育て中の若いお母さんや、シルバーパスで外出することを楽しみにしている高齢者の方など、利用実態は様々です。いったんこの路線が休止になってしまえば、どのようにこのバス路線が利用され、区民の足となっていたのかの実態把握が難しくなってしまいます。そこでお伺いいたします。
国際興業バス赤06便が、どのように利用されているかの緊急調査を行い、利用実態を区として把握し、交通手段の確保の政策やこのバス路線の代替案に役立てることを求めます。
お答え下さい。
【区の答弁】
本路線について、区および事業者では、2年間の実証運行の期間中、乗客の利用状況等について定期的に調査をおこなってまいりました。
バス事業者の判断として、その調査結果に基づき運行廃止の決定をしたものと考えております。
実証運行期間中の利用状況はすでに調査しているため、区として改めて利用者の実態調査をおこなうことは考えておりません。
(4)コミュニティバス新規路線の実施を
4つ目の質問は、コミュニティバス新規路線の実施についてです。
平成17年にまとめられた北区コミュニティバス導入検討委員会の検討結果では5つの導入候補地域のなかに、浮間地域があがっています。5つの各地域での最適な路線をモデル路線とし、交通機能向上地域の解消率、既存バス路線との重複割合やサービス圏内の高齢者人口など12種類の比較検討項目を数値化し、順位を付け評価・比較しています。その時点で浮間地域については、既存バス路線との重複割合が高いなどの評価がなされ、既存バスの運行方向や経路の見直しを要請していく総合評価が示されています。
また、平成26年に報告がありました、コミュニティバス展開方針策定調査でも、平成17年度に行われた検討委員会での評価や方針をベースとしながら、導入候補の一地域であった浮間地域において、既存バス路線事業者との連携で利便性の向上と利用促進を図ることとされました。しかし、既存路線の廃止となれば、この評価や方針自体を見直す必要があります。
改めてコミュニティバス導入検討を行い、既存バス路線が廃止となる、いまこそ浮間地域の交通手段の手立てを早急にとるべきです。そこで2点お伺いいたします。
1、コミュニティバス展開方針策定調査をあらためて行うこと。
2、新規コミュニティバス導入など、浮間地域の交通手段の確保を早急に具体化し検討すること。お答え下さい。
【区の答弁】
はじめに、改めてコミュニティバス展開方針の策定調査をおこなうことについてです。
平成26年6月の建設委員会に報告した導入候補路線の展開方針のうち、新規路線導入については、区の地形状況や公共施設の配置状況、既存バス路線との競合性、加えて事業採算性などを総合的に判断し、引き続き検討していくこととしております。
浮間地域においては赤06便の利便性向上策として、東京北医療センターへの乗り入れや便数の増加など、2年間の実証運行を行いましたが、利用者数および運行収支状況の改善は図られませんでした。
このような利用状況でありますので、改めてコミュニティバス展開方針の策定調査は現在、考えておりません。
また、コミュニティバスの新規路線導入等の検討にあたりましては、事業採算性の確保も重要な要素となりますので、慎重な検討が必要と考えております。
(5)地域公共交通会議を設置すること
5つ目の質問は、地域公共交通会議の設置をすることについてです。
地域公共交通会議とは、地域住民の生活に必要な公共交通にかかわる諸問題や地域の実情に即した輸送サービスの実現に必要なことなどを、自治体が主宰者となり、事業者、区民、有識者、関係団体等を交えて審議する会議です。その会議の目的は、国交省のガイドラインによれば、地域の需要に即した乗合運送サービスが提供されることにより地域住民の交通利便の確保・向上に寄与するよう努めるものとなっています。実際その会議が設置されている自治体では主に公共交通空白地域解消にむけた検討、コミュニティバスの計画検討や運行後の検証が行われており、バス路線などの休止・廃止にともなう代替案についても協議している自治体もあります。
先の定例会では「バス路線の運行継続はバス事業者が決定するものであり、当該路線の採算性等を考慮すると路線の継続は難しいものと考えている」とのお答えでした。このような考えに立てば公共交通機関という社会的役割があっても、どんなに地域の皆さんが運行継続を求めていても、事実上路線の休止・廃止は1事業者の判断になっています。住民にとって大切な足となっているバス路線が廃止となる事態に対して、今後地域の足をどう確保していくのかを協議していく場さえありません。
こうした事態への対応や日常生活の交通手段の確保に困っている地域について、住民の意見が反映できる仕組みや北区が主体的となって地域公共交通政策を住民や事業者等と一緒につくりあげる積極的姿勢が求められます。私が調べたとところでは23区中13の自治体でこの会議が設置されております。そこでお伺いいたします。
地域公共交通会議の北区での設置を求めます。お答えください。
【区の答弁】
地域交通会議は、区内の都市計画道路等の整備が進み、区全体の道路ネットワークの形成が図られ、新規公共交通の導入や既存コミュニティバス路線の見直しが必要になった場合において、必要に応じ、設置する考えでおります。
2、公共交通機関における利用者の安全確保について
大きな2つ目の質問は、公共交通機関における利用者の安全確保についてです。
昨日も、宇都宮章議員が代表質問で取り上げたように、駅ホームからの転落事故防止対策は喫緊の課題です。先日、東京メトロ銀座線のホームで、盲導犬を連れた視覚障害の方がホームから転落し亡くなるという事故が起きたばかりです。ホームドアがあればこの事故は起こらなかったと思うと、とても心が痛みます。だれもが安心して利用できる環境整備を最優先とし、こうした事故が二度と起こらないようにしなければなりません。しかし、その一方で、ホームドアの設置は一向に進まないどころか、JR東日本は、遠隔操作システムの導入で、駅改札口などの配置人数の縮小を進めています。
JR北赤羽駅浮間口の改札では駅員が終日不在となり、いままで有人対応だった改札口業務を、反対側の改札の駅員がインターホンで対応することになりました。インターホンに手が届かない車椅子の方や、インターホンでは対応が十分にできない聴覚障害の方がいらっしゃいます。また、通所施設に知的障害のお子さんを通わせている保護者の方からは、改札で何らかのトラブルになった時、駅員さんがすぐに対応してくれる安心感が失われてしまったなど、障害者差別解消法が施行されたにも拘らず、公共交通機関の改札口が障害を持った方の利用を拒むような新たな障壁となっています。また、JR北赤羽駅では、通勤・通学時でさえ、ホームに駅員はいません。いくらモニターで監視をしているからといっても、離れた場所からでは、危険を回避する、とっさの人員対応が出来ません。人的対応を厚くすることこそ、バリアーをなくし、利用者の安全をも守る重要な手立てではないでしょうか。
駅は、命の危険と隣り合わせの場ではなく、だれでもが安心して利用できる場でなくてはなりません。ホームドア設置などのハード面の整備とともに、バリアフリーの基礎となる人員配置の充実を事業者に強く求めるべきです。以下3点お伺いいたします。
1、駅利用者の意見を踏まえ、区内駅ホーム等の点検を行い事業者に改善を求めること。
2、区内埼京線駅のホームドア設置を早急に求めます。
3、駅の無人化の解消を事業者に求めます。
以上3点、区としての努力とともに、事業者に強く働きかけて下さい。
【区の答弁】
まず、駅ホーム等の点検等についてです。
区では、昨年度、北区バリアフリー基本構想の全体構想をまとめ、今年度、地区別構想の策定にとりくんでおります。
構想策定に際しては、街歩き勉強会を開催し、多様な利用者の視点から駅ホーム等を含む施設のバリアフリー整備状況について現地を確認し、課題や気づいた点について意見交換を行っております。
区といたしましては、今後とも、事業者に対し北区バリアフリー基本構想策定協議会等を通じ、バリアフリーの課題解決に向けた対応を求めてまいります。
次に、埼京線各駅へのホームドア設置についてです。
JR東日本からは、「埼京線は、東京臨海高速鉄道『りんかい線』と相互直通運転を行っており、車両が統一している線ではなく、扉位置の異なる車両に対して対応できるホームドアが実用に至っていないため、現段階では導入の計画はない」と聞いております。
区といたしましては、引き続きJR東日本に対し、北区バリアフリー基本構想策定協議会等での意見交換等を通じ、駅のバリアフリー化対策を求めてまいります。
次に、改札口の無人化解消についてです。
駅遠隔化システムにつきましては、区内JR駅では、田端駅、尾久駅、王子駅、十条駅、北赤羽駅の5駅に導入されています。
JR東日本からは、「お客さまの利便性の向上とご利用状況に合わせた効率的な駅の運営を目指し、システムを導入し、お客様にサービスを提供している」と聞いております。
区といたしましては、引き続き事故などの緊急時や人的支援を必要とする方々への対応に万全を期すよう、JR東日本に対し、申し入れてまいります。
3、浮間さくら荘移転後の跡地利活用について
大きな質問の3つ目は、浮間さくら荘移転後の跡地利活用についてです。
区立特養ホーム浮間さくら荘は、北区第一号の特養ホームとして、ショートステイやデイサービス、地域の高齢者の方に手作りのお弁当をお届けする配食サービス、地域高齢者の見守り事業、地域の医療機関や高齢者施設とのネットワークづくり、地域住民や事業者との交流など、長い間浮間地域の福祉の拠点として地域での信頼関係を築いてきました。移転ではあるものの、こうした拠点が地域から無くなってしまうのはとても残念です。
いま、認知症グループホーム、保育園、障害者グループホームなど必要な施設であっても、近隣住民のみなさんから反対のご意見が出るなど整備が難しい場合があります。
地域における福祉施設の認知度が高いこの場所柄を考えれば、福祉の拠点にふさわしい跡地利用をぜひ、検討するべきです。
また、浮間地域では、浮間さくら荘の他にも、浮間図書館と浮間子ども・ティーンズセンターが浮間中学校改築で併設されることから、遊休施設となります。また、今進められています公共施設再配置計画からもこうした遊休施設が今後も出てくると思われます。学校跡地だけではなく、こうした遊休施設においても住民参加で跡地利活用を考える場が必要ではないでしょうか。そこで2点お伺いいたします。
1、浮間さくら荘跡地の利活用に関しては、認可保育園や障害者グループホーム、高齢者施設など福祉の拠点に積極的に活用することを求めます。
2、学校跡地検討委員会はありますが、学校以外の公共施設においても、区民の多様な意見を求める場をつくることを求めます。お答えください。
以上、区長の温かい答弁を求めて、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
浮間さくら莊については、旧北園小学校跡地に新たに建設される特別養護老人ホームが完成し、入居者のみなさまが移転等された後に、遊休施設となります。
遊休施設の利活用を検討する際は、基本計画等に位置づけられた事業としての活用や、北区全体や地域の課題解決のための活用、さらには基本計画等を実現していくための財源調達手段として活用することを原則としています。
移転後の利活用については、これら原則に照らしたうえで、その時点での行政需要や区民ニーズ等を十分見きわめ、基本計画や中期計画、経営改革プランなどの区が策定する計画の中に位置づけてまいります。
また、学校以外の公共施設でも区民の多様な意見を求める場をつくることについては、遊休施設の跡地利活用にかかる原則に照らしたうえで、区が策定する計画の中に位置づけて、区議会はもとより区民のみなさまにご理解とご協力を得ながら進めてまいります