2016年第4回定例会代表質問ーやまき直人
2016年11月24日 | やまき直人
私は日本共産党北区議員団を代表し、区長と教育長に大きく7点の質問をいたします。
1、基金の活用と切実な区民要望実現について
大きく1点目の質問は、基金の活用と切実な区民要望実現についてです。
花川区長は今年度の所信で、北区の財政状況について、「特定目的基金への積立てを行うなど…計画的な財政運営を進めてきたことにより、財政力は着実に高まってまいりました」とのべました。この言葉通り、主要5基金の残高は、昨年度末で過去最高の533億円に達しています。わが会派は当初予算に対し、こうした積立金を活用して保育園待機児解消、貧困と格差の是正など暮らし応援の施策充実をはかるための組み替え動議を提案しました。
ところが区は、高まった財政力は、駅前再開発や都市計画道路沿道整備などに使うのだと、「まちづくりの一層の推進」を打ち出しました。とりわけ十条まちづくりでは、駅西口再開発をはじめ、補助73号線、鉄道立体交差化、補助85号線拡幅と、次々に住民追い出し、商店街こわしの計画が進められようとしています。
この間、区は十条まちづくりのために、毎年のように10億円を積み立て、その額は今年度で80億円を超えています。浮間では、年間880万円の支援金を打ち切ったために、国際興業バス赤06路線が廃止に追い込まれました。まちづくりには10億円を積み立てる財力があるのに、高齢者や障がい者の足を確保するための予算はないというのでしょうか。
そこでまず、十条まちづくり基金について、なぜ毎年、定額貯金のように10億円を積み上げるのか、当面、区はいつまでにいくら必要で、この先どこまで積み立てる必要があると考えているのかをお答え下さい。
【区の答弁】
十条地区は、木造住宅が密集し、震災時の危険度が高い地区であり、また、鉄道による地域分断や幹線道路の未整備など、十条地区のまちづくりは多くの課題を抱えており、区の長年の課題であります。
このまちづくりを計画的かつ確実に進めるため、平成20年度以降、十条まちづくり分として10億円を「まちづくり基金」に積み立てておりますが、景気後退による減収に対応するため、多額の財政調整基金を取り崩した平成23年度は、基金への積立てを見送っています。
十条駅西口地区市街地再開発事業をはじめ、十条駅付近連続立体交差事業や鉄道附属街路の整備など、十条のまちづくりには多額の経費が必要であり、十条駅西口地区再開発事業だけでも区の支出は単年度で約60億円となる年度もあり、全体で約190億円になるものと試算しています。
このため、現在のまちづくり基金の残高では十分とは考えておりませんので、十条のまちづくりを着実に推進していくためにも、引き続き、基金への計画的な積み立てをおこなってまいります。
今回の決算特別委員会では、与党の皆さんからも貧困対策、子ども食堂への支援、感震ブレーカーの設置助成、就学援助の前倒し支給などの要望が出されました。毎年無条件に、十条まちづくり基金へ10億円ずつ積み立てることをやめ、その一部をまわせば、これらの施策は十分実現が可能です。
そこで、2つ目の質問です。
新年度予算では十条まちづくりへの10億円の積み立てを見直し、その財源を暮らし応援の施策に積極的に活用すべきと考えますがいかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
これまでも、子育てや高齢者施策、安全・安心の確保など、区民の暮らし・生活を支えるさまざまな施策に計画的に財源を活用するとともに、今後とも、必要なとりくみを推進してまいりますので、まちづくり基金への積立てを見送ることは考えておりません。
2、地域に密着した公共事業の改善について
大きく2点目の質問は、地域に密着した公共事業の改善についてです
先日発生した博多駅前の道路陥没事故は、関係者の必死の努力で早期復旧を果たすことができました。北区では災害時の復旧工事に、区と協力体制を取っている緊急土木工作隊の皆さんにご協力いただいていますが、ここ最近は土木関連の発注が減り、ピーク時の28億円から昨年度の9億円強へと激減しています。
先だって区内建設関連業者のみなさんと懇談する機会がありましたが、仕事が減ったことにともない緊急工作隊協力企業は17社から11社に減ってしまったとのことでした。地域に密着し、地元に貢献している建設関連業者を支援・育成するため、北区が発注する公共工事において、以下のことを求めます。
(1)変動する建設資材や労務単価の価格を正確に反映した予定価格の積算をおこなうこと。労務費については、社会保険加入の義務づけによる経費も考慮すること。
(2)造園工事として一括発注されている公園の整備工事などについて、造園、建築、電気、給排水工事などの各専門業者に分離発注すること。
(3)土木関連をはじめ、区が発注する地元むけ公共工事を増やすこと。また、簡易工事登録制度は、学校トイレの洋式化など斡旋工事の大幅な拡大と周知につとめ、区内業者が仕事を受けられるように拡充すること。
(4)区民生活と密着した私道私下水改修工事では、区民の申請を抑制させている1割負担を元の無料に戻し、区内業者の工事を拡大すること。
以上4点ご答弁ください。
【区の答弁】
はじめに、建設資材や労務単価を正確に反映した予定価格の積算をおこなうことについてです。
予定価格の設定にあたっては、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務および資材等の最新の実勢価格を適切に反映した東京都の標準単価により積算しています。
なお、社会保険料などの法定福利費については、予定価格の積算の中で考慮しています。
次に、公園整備工事などの際、専門業者に分離して発注することについてです。
工事の発注に際しては、工事内容や規模・工程等を勘案した上で合理的と認められる場合には、分離して発注するよう努めています。
次に、区内業者への公共工事発注についてです。
区内中小事業者の受注機会を確保するため、区内業者の保護・育成や区への貢献度等についても勘案して指名業者を選定しております。
また、一定の予定金額が130万円未満の簡易工事の受注を希望する区内業者を対象に、申請により登録を受け付け、適宜、簡易工事を発注しています。
引き続き、制度の周知に努めてまいります。
次に、区民生活と密着した私道資下水工事の一割負担を元に戻し、区内業者の工事を拡大させることについてです。
私道内の舗装および下水管改修工事等につきましては、平成25年7月から適正な受益者負担を求めていくという主旨で私道関係者から工事費の1割を負担していただいております。
工事の申請件数につきましては、1割負担になったあとも大きな変化はなく、工事施工は区内業者に発注して実施しております。
3、区内交通手段の確保について
大きく3点目の質問は区内交通手段の確保についてです。
今年の10月、建設委員会は岐阜県可児市にコミュニティタクシーの視察を行いました。可児市の地域特性は、主に鉄道駅周辺や市中心部に多く主要施設が立地し、大型団地が周辺部にあり人口は市全域に分布しています。このため、市は市民の交通利便性を考慮し、平成12年10月に8路線のコミュニティバスの運行を開始し、現在は5路線9ルートを運行しています。その後、バスの利用者減少とダイヤ、ルート、バス停までの距離などの改善要望が市民から出されたため、平成22年4月からは市内のタクシーを利用したデマンド運行の「電話で予約バス」の導入に踏み切り、現在7系統で運行中です。
私が感心したのは、コミュニティバスの利用者減少にもかかわらず、市民の要望に応えるためにタクシーを市民の足として活用し、コミュニティバスも存続させていることです。市の一人当たり補助金はバスが888円、タクシーが893円かかり、財政的には持ち出しになっていますが、その両方の交通手段を維持していることです。
地方都市で財政規模が脆弱な中、市民の足の確保に努力している可児市の姿勢に学ぶことが多いことを痛感しました。
北区でも区民の切実な要望のもとに、現在運行中のコミュニティバスが誕生しました。北区は高齢化率が23区一番でありながら、他区との比較でも、北区は崖線が多く、東西間の高低差の移動が高齢者や障害者に大きな負担となっている中、北区のコミュニティバスの運行状況は大変遅れています。当初、交通困難地域として区内5路線を候補に挙げましたが、現在の田端・駒込ルートが実現したのみです。
その後も区内他地域でコミュニティバスの運行を求める要望は根強く、先日の予算要望懇談会では北区医師会からも患者さんの利便性を考慮し、コミュニティバス運行の要望が出されたほどです。滝野川地区の自治会連合会からも毎年、コミュニティバス運行を求める要望が、議員との懇談会「あすか会」の中で出されています。また、王子地区町会・自治会連合会からも毎年同様の要望が繰り返されていると仄聞しております。
ところが、平成27年3月の「北区基本計画2015」と「中期計画」では、「区内交通手段の確保」として、基本計画前期で「モデル運行1路線(継続・検討)、経路見直し1路線(着手)」、後期で経路見直し1路線(継続・検討)となっています。また、中期計画でもモデル運行1路線、経路見直し1路線となっています。さらに両計画とも全体計画の中で、民間事業者等との路線網調整となっています。
北区基本計画と中期計画でのコミュニティバスの欠落は、区民要望に対する大きな後退で、区民要望に背を向けることになります。
そこで、中期計画の見直しに向け、コミュニティバスの位置づけを計画化することを求め、以下具体的に4点質問します。お答え下さい。
(1)中期計画、長期計画の中で「経路見直し1路線」と書かれているが、具体的には何を検討しているのか
(2)浮間の赤06バス廃止問題に関し、その際求めてきたコミュニティバスを新規路線として計画化すべき
(3)5つの導入候補路線及び2020トレセン通り等、ルートの新増設に踏み切るために、長期計画・中期計画化すること
(4)民間事業者等との路線網調整と書かれているが、具体的には何か
【区の答弁】
はじめに、中期計画および基本計画における「経路見直し1路線」の検討状況についてです。
北区基本計画2015および中期計画における「経路の見直し」は、コミュニティバスの運行状況を検証の上、現行経路に新たな迂回経路の追加などを含めて見直し・検討をおこなうものです。
次に、浮間の赤06バス廃止にともなう新規コミュニティバスの計画化についてです。
コミュニティバスの新規路線導入等の検討にあたりましては、事業採算性の確保が重要な要素となりますので、慎重な検討が必要と考えております。
現時点では、浮間地区においてコミュニティバスの新規路線の計画化は考えておりません。
次に、5つの導入候補路線および2020トレセン通りなど、ルート新増設に踏み切るための計画化についてです。
平成26年6月の建設委員会に報告したコミュニティバス導入候補路線の展開方針の中で、新規路線の導入については、区の地形状況や公共施設の配置状況、既存バス路線との競合性、加えて事業採算性などを総合的に判断し、引き続き検討していくこととしております。
また「ルート2020トレセン通り」には既存バス路線があることから、コミュニティバスの新規路線導入は考えておりません。
次に、民間事業者との路線網調整についてお答えします。
区内において今後、都市計画道路の拡幅整備が進み、道路ネットワークの形成が図られることにより、交通利便性はより一層向上すると考えております。
これまでにコミュニティバスや新交通システムに関して、地域のみなさまよりさまざまなご要望をいただいておりますので、バス事業者に対しては既存バス路線の経路追加や将来の道路ネットワークを視野に入れた路線検討などの申し入れを適宜おこなってまいります。
4、安心して医療が受けられる国民健康保険の実現を求めて
大きく4点目の質問は、安心して医療が受けられる国民健康保険の実現を求めることについてです。
この間の連続する社会保障の改悪で、国民のくらしは悪化の一途をたどっています。中でも、毎年のようにくりかえされる国民健康保険料の引き上げは、年金生活者、非正規労働者、中小零細業者などの生活を圧迫するだけでなく、医療すら満足にかかることができない方たちを増やし、この事態の解決こそが喫緊の課題です。
ところが、国は2018年度から都道府県の「広域化」を地方自治体に押しつけようとしています。本来、住民の命と健康を守るべき医療保険制度が、生活苦を増大させ、医療を受ける権利を奪うなどということがあってはなりません。
(1)国保料値上げ、医療抑制、徴収強化につながるおそれのある、都道府県単位の「広域化」について
そこで、国保第一の質問は、都道府県の「広域化」についてです。
(1)これが実施された場合、広域化による北区の加入者への影響はどうなるのか
(2)統一保険料方式の継続等、国、都に対し働きかけるべき検討内容は、現状でどのようなものが考えられるか。
(3)国保料値上げ、医療抑制、徴収強化につながるおそれのある「広域化」は中止、撤回を求めるべきではないか。
以上3点まずお答え下さい。
【区の答弁】
平成30年度に実施予定の医療保険制度改革は、持続可能な医療保険制度を構築するため、国保の財政基盤安定等を目的として、国による財政支援の拡充や都道府県が財政運営の責任主体となるなどの改革がおこなわれるものであります。
現在、保険料率の資産などをおこない、市部や町村も含めた意見の調整をおこなっており、北区の国保加入者への影響について判明するにはまだ時間を要するところです。
次に、国、東京都に対する働きかけとしては、広域化を前提とした財政支援および保険料抑制策の実施を求めております。
一方、東京都と区市町村の協議の場である連携会議や特別区課長会・部長会などにおいて、北区として統一保険料方式の堅持を主張しております。
次に、広域化の中止、撤回につきましては、今回の制度改革がこれまで全国市長会で要望してきた国保の財政基盤安定をめざすものであり、また、制度改革のための法案が平成27年5月に成立し、国および各自治体が準備に着手していることから、制度改革の中止や撤回を求める考えはありません。
(2)保険料軽減につながる「境界層措置」の実施を国に強く求めるべきだ
第2の質問です。
加入者の中でも生活保護基準以下、またはそのボーダー層の方たちが多数おいでになります。保険料の低所得者対策として、均等割の2・5・7割減額があることは承知をしていますが、国保料が生保基準程度の収入であっても4人家族の例だと35万円程度も負担となることを指摘し、国保料を支払うと生活保護基準以下になる世帯の保険料軽減につながる「境界層措置」を求めてきました。
そこで質問します。
(1)現在、国保加入者は6万4000世帯ですが、その内、国保料を支払うと生活保護基準以下になる世帯はどのくらいか。
(2)そうした方たちのための「境界層減免」の実施を国に強く求めるべきだ。
以上2点お答え下さい。
【区の答弁】
次に国民健康保険の境界層にかんするお尋ねにお答えします。
まず、国民健康保険の保険料を支払うと生活保護基準以下になる世帯数についてですが、国民健康保険加入世帯に関し、世界つ保護基準額の算出に必要な各世帯の世帯員構成、収入状況、生活状況などの情報をすべて把握しているわけではありませんので、算出はできません。
次に、国民健康保険制度における境界層措置については、制度改正による広域化をふまえ、他自治体の動向を把握するとともに、国の検討を注視してまいります。
(3)国保における子どもの貧困格差解消に向けて
国保第3の質問は、国民健康保険の分野における子どもの貧困格差解消策についてです。
(1)従来の税方式から所得方式による保険料となったため、多子世帯の負担が強化されました。経過措置もなくなった今、子どもの均等割の軽減措置を検討すること。
(2)保険証の更新時には子どもの保険証の留め置きはせず無条件で交付すること
【区の答弁】
次に、子どもにかかる均等割保険料の軽減については、全国市長会を通じて、国へ要望しているところです。
次に、保険証更新時における、子どもの保険証の留め置きについてです。
保家領をおさめていただけない世帯に対し、事情をうかがい、相談をおこなうなどの接触機会を確保するため、短期保険証を発行しておりますが、18歳未満の方の保険証につきましては、相談の有無にかかわらず、短期保険証の有効期限到来後、早い時期に送付する配慮をさせていただいております。
(4)直面する北区国民健康保険の改善について
国保の最後、第4の質問は、直面する北区国民健康保険の改善について、3点質問します。
(1)滞納がある方にも事情に応じて高額療養費限度額認定証の交付をおこなうこと。合わせて、出産一時金、葬祭料についてもその主旨に添った温かい対応をはかること。
(2)低所得者、失業者、収入激減者などに適用できるように、保険料の徴収猶予および減免基準を緩和すること。
(3)「無料低額診療事業」を実施している医療機関の支援拡充および「無料低額診療事業」利用者の薬代助成制度を創設すること。
以上、区長の温かい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、国民健康保険の改善についてお答えいたします。
高額療養費の限度額認定は、国民健康保険法施行規則に基づき、保険料の滞納がないことを確認できた場合に限りおこなうものとされています。
ただし、保険料の滞納があることについて、特別の事情があると認められる場合および保険者が適当と認める場合は認定をおこなうものとされていることから、区でも個別の事情をうかがった上で認定をおこなっています。
出産育児一時金および葬祭費の支給につきましては、保険料の滞納がある方の場合、支給の時に保険料への充当を含め、納付の相談をさせていただいております。
次に、保険料の徴収猶予および減免基準につきましては、広域化の制度改正もあることから、他区の動向を注視してまいります。
無料低額診療事業は社会福祉法に基づく第二種社会福祉事業であり、調剤費用の助成については国民健康保険加入者に限らず整形困難者対策全般に関わる課題と認識しています。
国民健康保険においては、現在の制度の中で対応してまいります。
5、介護保険の改善について
大きく5点目の質問は介護保険の改善についてです。
2018年の介護保険改訂に向けて議論が行われている社会保障審議会介護保険部会で、厚生労働省が、要介護1、2の方に対する生活援助の訪問介護や通所介護を保険給付から外すことの提案に大きな批判が広がりました。北区が今年度実施に踏み切った要支援者等への予防介護・日常生活総合支援事業への移行は、4月時点で1579市区町村のうち3割の516にとどまっており、今回の提案は見送りに追い込まれる事態になりました。しかし厚労省は、「保険給付の割合を大幅に引き下げる」とした財務省の方針に沿って、要支援・要介護度が低いほど負担を重くすることを打ち出しましたが、これにも「生活援助の人員基準を緩和すると介護報酬も下がり人材不足になる。処遇改善にも逆行する」(日本医師会)と批判が噴出しました。
また、福祉用具貸与や住宅改修についても保険給付から外して自己負担とする方針を示しましたが、これも「重度化が進み、自立支援に逆行する」と批判され、見送りになりました。
(1)要介護1・2の生活援助の訪問介護などの保険給付外し、若者からの保険料徴収など介護保険制度の改悪を行わないよう国に強くはたらきかけること
そこで、介護保険1つ目の質問は、要介護1・2の訪問介護や福祉用具貸与などの保険給付外し、若者からの保険料徴収などの介護保険制度改悪を行わないよう、国に強く働きかけること。
区長の決意ある答弁を求めます。
【区の答弁】
現在、厚生労働省の社会保障制度審議会介護保険部会において、制度の持続可能性を高めるため、さまざまな議論がおこなわれています。
区といたしましては、これらの議論を注視するとともに、必要な意見については全国市長会や特別区長会を通じて、国へ要望してまいります。
(2)新年度新たな展開予定の介護予防・日常生活予防事業について
介護保険2つ目の質問は、新年度新たな展開が予定されている介護予防・日常生活支援総合事業についてです。
11月10日開催の平成28年度第1回介護保険運営協議会で、本事業に北区独自サービスを展開することが報告されました。それによると、訪問型については現行の専門職による介護サービスに加え、「研修終了者」による区独自の新たなサービスが開始されること。通所型サービスについては現行の介護予防の通所型に加えて、運動器の機能向上プログラムを主とした短時間サービスを行うものです。
元々、厚労省は、要支援を保険給付から外すかわりに、自治体が実施する地域支援事業に新しいメニューをもうけ、“代替サービス”を提供すると説明しています。しかし、この「新総合事業」には予算の上限がつけられ、各自治体は大幅な給付費の抑制を求められる仕組みになっているものです。今回の事業展開もそうした中でのよりよいものを求めての「産みの苦しみ」と、理解はしておりますが、要支援者や介護事業所が安心してサービスを受けられるよう、以下3点質問します。
(1)引き続き現行水準の専門的なホームヘルプやデイサービスを継続し、「みなし指定」のサービス事業者への単価は、これまでどおり予防給付単価を維持すること。
(2)新たな区独自サービスについては十分な研修を保障し、事業内容や報酬単価等、利用者及び介護事業者の納得と合意が得られるようにすること。
(3)本制度の住民説明も予定されているようですが、区民、サービス利用者等へのわかりやすい説明をおこなっていただくこと。
以上お答え下さい。
次に、新年度新たな展開予定の介護予防・日常生活支援総合事業についてです。
区独自基準によるサービスと単価については、現行水準の確保を前提とし、区内介護事業者のみなさまとサービス内容について検討を重ね、提供するサービスに応じて単価を設定したため、現行の予防給付単価を維持することは考えておりません。
次に、専門職でなくても提供可能な生活支援サービスの担い手研修については、国のガイドラインに基づき、カリキュラムを編成し、提供するサービスの水準は保持してまいります。
なお、利用者や介護事業者のみなさまには、制度の基本的な考え方や事業の概要、単価の考え方などについて、ご理解いただけるように見やすく分かりやすいパンフレットなどを作成し、地域に出向き丁寧な説明に努めてまいります。
詳細につきましては、本定例会の所管委員会で報告させていただきます。
(3)保険料、利用料の軽減について
介護3つ目の質問は、保険料、利用料の軽減についてです。
原則1割の利用者負担で2000年に始まった介護保険サービスは、前回改訂で所得上位20%の層にあたる一定以上の所得のある高齢者に2割負担が導入されました。
また、特養ホーム、老健施設など施設サービスの「補足給付」についても改悪が実行されました。これまで、「補足給付」は利用者の所得に応じて適用されていましたが、低所得者の方でも、預貯金がある場合や非課税である障害年金・遺族年金を一定額以上、受給している場合は、「補足給付」の対象からはずし、食費・居住費の大幅な負担増を求めることになりました。これにより、特養に入所する高齢者が、月5万円の国民年金しか収入がないのに、月13万円の利用料負担となるなどの事態が起こってきています。
次に、介護保険料については、第1期の保険料基準額は3万4900円。現在の第6期基準額は6万5300円になりました。また、「妻の年収が3000円増えたために、非課税から均等割課税世帯になった。税金はしょうがないけど、何で介護保険が4万円も上がるのか」など、多くの方達が年金が減らされているのに保険料がこんなに上がるのは納得がいかないと感じています。
こうした声に応えて、区独自の保険料、利用料の軽減について、以下3点の救済策を求めます。
(1)保険料減額制度を拡充し、低所得者への負担軽減をはかること。
(2)非課税者に加えて、新たに均等割のみ課税者にも配慮した多段階制を採用し、所得に応じたきめ細かい保険料設定をおこなうこと。
(3)低所得者に対する訪問介護やデイサービスの利用料、及び保険外の食費負担など、区独自の減額制度を実施すること。
【区の答弁】
次に、区独自の介護保険料、利用料の軽減についてです。
保険料減額制度の拡充と低所得者への負担軽減については、さらなる多段階制の導入を含め、来年度策定する第7期介護保険事業計画の中で所得に応じた保険料設定を検討してまいります。
次に、低所得者に対する訪問介護やデイサービスの利用料、食費負担に対する区独自の下が区制度の実施についてです。
北区では、国および東京都の制度を活用して生計困難者に対する軽減制度を実施しています。
区独自の新たな利用料軽減策につきましては、他区の事例等を参考に研究してまいります。
6、保育園待機児解消、保育士の処遇改善等施策の拡充について
大きく6点目の質問は、保育園待機児解消と保育士の処遇改善等施策の拡充についてです。
厚生労働省はこの4月、認可保育園を希望しながらも入園できなかった子どもが2万3553人で2年連続増加、やむを得ず、認可外施設に預けた子どもを含めると9万人が待機児という深刻な状況を公表しました。
今月3日には日比谷野外音楽堂で、「認可保育所の増設を」、「処遇改善で保育士を増やそう」と3500人が集会とパレードを行いました。集会に参加した、「赤ちゃんの急死を考える会」の方は、「子どもを犠牲にする保育の規制緩和はダメ」と訴えました。北区でも親の積極的な声に応え、増設計画をたてていますが、一方で保育士が不足して計画が思うように進まないという状況も起きています。
(1)待機児解消に向け、国・都に積極的な改善を求めること
そこで1つ目の質問は、待機児解消に向け、
(1)認可保育園の整備費、運営費の補助を拡充。
(2)保育士など職員の処遇改善、給与を抜本的に引き上げ。
(3)子どもの命と安全、健やかな成長をまもるため、保育の質の低下につながる規制緩和を行わないこと。
以上3点、国・都に積極的改善を求めることです。
【区の答弁】
次に、保育園待機児解消、保育士の処遇改善等施策の拡充についてお答えします。
最初に、待機児童解消に向け、国・東京都に積極定な改善を求めることについてです。
区ではこれまで、区独自の基準による認可保育施設を含めた保育施設の整備に対する補助の拡充について、全国市長会や特別区長会を通じて国や東京都に要望してまいりましたが、今後も引き続きおこなってまいります。
また、保育士に関しましても、特別区長会から国に対しておこなった緊急要望の中で公定価格でさらなる処遇改善加算を恒久的に実施するとともに、その処遇改善加算が保育士の給与に直接反映するしくみとすること、さらに、緊急的に保育士の処遇改善を実施するために交付金を創設することを要望しています。
また、保育に関する規制などにつきましては、有識者、事業主代表・労働者代表、子育て当事者、子ども・子育て支援に関する事業に従事する方が、子育て支援の政策プロセスなどに参画・関与する国の子ども・子育て閣議での検討を経て規定されるものと認識しており、国が定める規制や基準をふまえ、実際の保育の状況も勘案して適用するものと考えております。
(2)北区の保育園待機児ゼロをめざす取り組みについて
2つ目の質問は、北区の保育園待機児ゼロをめざす取り組みについてです。
北区でも今年度当初で232人の待機児が急増したことを受け、年度内と来年度の開所をあわせて1090人の定員を拡大する積極的な計画を策定しました。そうした中、区が来年度の正規保育士を80人募集したところ、537人の応募があったことが明らかになりました。認可園の増設に向け、新規に80人の採用に踏み切ったことを高く評価します。同時に、保育士不足の解決のためには、全職種平均より月額約10万円も低いといわれる民間保育士の処遇改善が急務であることがはっきりしました。
そこで、認可保育所設置を待機児解消の柱にすえ、処遇改善等、区としての更なる努力を求め、
(1)区の保育士採用に積極的に取り組むこと。合わせてこの間の正規職員の採用状況についてお答え下さい。
(2)民間保育士の公私格差是正や住宅補助金の拡充などで保育士確保に全力をあげること。
(3)区有地を含めた公有地や用地貸付料の90%減額制度を活用し、更なる増設をすすめること。
(4)低年齢児認可保育所の増設にあたり、卒園まで万全な対策をはかること。
以上4点質問します。
【区の答弁】
次に、北区の保育園待機ゼロをめざすとりくみのうち、区の保育士の採用についてお答えします。
区では、保育園待機児童の解消に向けた緊急対策の一環として、公立直営保育園の定員拡大や新設をおこなうこととしています。
これにともない、今年度は10月に2名の任期付き保育士を採用し、このあとも12月に2名、1月に1名を採用する予定です。
来年度は緊急対策による受け入れ児童数増加への対応と退職者の補充分を見込み、80名程度の保育士を採用する予定です。
今後も、大幅な職員の増加を招くことがないよう留意しつつ、受け入れ児童数に見合った保育士を確保するよう努めてまいります。
私立保育園に勤務する保育士の処遇改善につきましては、保育制度の中で対応すべきものであり、国に対し緊急要望をおこなったところです。
また、私立保育園や区立保育園の指定管理者に対しては、保育士宿舎借上げ支援事業およびICTを活用した保育業務効率化推進事業を本年7月から実施しており、さらに保育士資格を持たない短時間勤務の保育補助者を追加して雇い上げするために必要な費用を支援する「保育補助者雇上強化事業」の検討をおこなっております。
また、区独自のとりくみとして、将来的な保育士資格の取得の動機づけや、さまざまな子育て支援事業実施のための人材育成を図る子育て支援員研修の受講費補助を実施するとともに、平成29年4月期の保育園利用調整にあたっては、保育士等の入園を優先する規定を設けるなど、保育士確保に資するさまざまなとりくみをおこなっております。
次に、区有地を含めた公有地の活用および貸付料の減額についてです。
区では、今年度策定した「保育園待機児童解消に向けた緊急対策」の中で「区有地を最大限活用する」ことをとりくみ方針としています。
また区では、これまでも保育所整備にあたり、国・東京都に対し、国有地・都有地の積極的な開放を要望してまいりました。
東京都では、「地域の福祉インフラ事業」により、保育所を設置する民間事業者に対しては、土地価格が1平方メートルあたり34万円までは50%の減額、34万円を超える部分は90%の減額とした土地価格とみなし、貸付料を計算しています。
区では、3ヵ所の区有地で保育所の開設を進める方針ですが、貸付料の算定については、東京都の制度を参考に、今後検討を進めてまいります。
また、国有地の保育所整備に対する貸付料については、さらなる優遇措置等を引き続き国に対し要望をおこなってまいります。
次に、低年齢児認可保育所の増設にあたり、卒園まで万全な対策をはかることについてです。
2歳児までの保育施設に在籍し、3歳児以降も長時間の保育が必要な児童がいることは認識しております。
区といたしましては、これまでも区立つぼみ保育園における3歳児クラスの設置等の対応をおこなってきましたが、引き続き5歳児までの受け入れができる認可保育所の開設や、既存保育所の定員拡大とともに、私立幼稚園の預かり保育の充実等を促進してまいります。
(3)保育園入所の選考基準の改善で入所相談の公平性を確保すること
3つ目の質問は、保育園入所の選考基準の改善で入所相談の公平性を確保することについてです。
保護者からこれまでにも兄弟姉妹の同一保育園等、様々な相談が寄せられ、一定の改善がはかられてきたことは承知しています。しかしこの間、土曜日勤務の方、常勤勤務なのに指数10にならない、自営業者とその従業員の方等、改善の要望が寄せられています。
以下、更なる改善に向けて、
(1)保護者の勤務実態に合わせた指数にすること。
(2)自営業の経営者や従業員についても改善をはかること。
以上2点質問します。お答え下さい。
【区の答弁】
次に、保育園入所の選考基準の改善で入所相談の公平性を確保することについてです。
就労を要件とした保育園入所につきましては、これまで1週間当たりの勤務日数と1日当たりの就労時間から選考指数を決定していました。
近年、変則勤務の方が増加していること等をふまえ、平成29年4月期の利用調整からは、1週間当たりの就労時間から選考指数を決定することとしました。
なお、自営業の経営者や従業員につきましては、売り上げや賃金の状況などをお聞きし、会社等にお勤めの方との均衡や公平性を勘案しながら指数を決定し利用調整しているところです。
(4)保育料の負担軽減策の拡充について
4つ目の質問は、これ以上の保育料の値上げをしないことを重ねて強調して、当面の負担軽減策の拡充について、以下2点質問します。
(1)第2子からの保育料無料化の所得制限を緩和すること。
(2)認証保育所などの保育料補助を拡充すること。
【区の答弁】
次に、保育料の負担軽減策の拡充についてです。
保育園の保育料につきましては、国の基準を上限として、区市町村ごとに定めており、北区の保育料は国基準に対し平均で約50%に設定し、保護者負担の軽減を図っているところです。
第2子からの保育料無料化につきましては、国の幼児教育無償化の段階的とりくみを受け、ひとり親世帯等の保護者負担軽減を図るため、国の定める対象世帯に対し実施したものです。
保育料につきましては、このような国の保育施策の動向をふまえ、また、保育にかかるコストや他自治体の保育料なども勘案しながら、応能負担を原則とした見直しをおこなってまいります。
次に、認証保育所などの保育料補助を拡大することについてです。
本年9月に発表された東京都の待機児童解消に向けた緊急対策の中に区市町村が独自に実施している認可外保育施設の利用者負担軽減策への支援が盛り込まれました。
認証保育所などの認可外保育施設の利用者負担軽減策につきましては、東京都の負担軽減策などの状況もふまえて、研究してまいります。
(5)私立保育園の施策拡充について
5つ目の質問は、私立保育園の施策拡充についてです。
待機児解消、「保育の質」の確保、安心・安全の保育園との親の願いに日々のご努力を頂いている私立保育園の関係者からも、今年も切実なご要望をいただきました。そこで、
(1)処遇に特別な配慮が求められる児童の特別支援認定の申請。
(2)食物アレルギー児童の増大に対する常勤調理員や介助職員配置等の充実。
以上2点、区長・教育長の温かい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、私立保育園の施策拡充についてです。
はじめに処遇に配慮が求められる児童に対する支援の認定についてです。
保育園からの申請に基づき、区の職員が直接保育園にうかがって、対象となる児童の様子を観察するとともに、担当されている職員からの聞き取りや申請書類の内容、また職員の配置状況などから支援が必要な児童に対して認定をおこなっております。
認定にいたらず保留となった場合でも、その後の児童の状況から、実際に職員を専任配置し保育にあたっている場合等については、認定をおこなっております。
次に、食物アレルギー児童の増大に対する常勤調理員や解除職員配置等の充実についてです。
アレルギー児対応については、東京都の保育サービス推進事業のほか、北区でも包括的なアレルギー対策費として区単独で補助をおこなっております。
区の補助金につきましては、国の保育制度や東京都の補助金の動向なども勘案し必要に応じて見直しをおこなっております。
7、王子本町2丁目都営住宅跡地の利活用について
大きく7点目の質問は、王子本町2丁目の都営住宅跡地の利活用についてです。
北区内の現存する都営住宅で最も建築年数が古いと言われていた王子本町2丁目の都営住宅が、今年4月に閉鎖され居住者の移転が完了しました。
この王子本町2丁目の都営住宅8棟と接続する既に閉鎖されている中十条都営住宅、南橋児童遊園も国有地とお聞きしています。都営住宅は東京都が国から借りており、児童遊園は区が国から借りています。この地形は南北に細長くなっていますが、王子駅や十条駅にも近く、周囲は区の中央図書館や中央公園の一部が広がって、大変環境に恵まれた場所となっています。そのため、今後の跡地利用に関心が高まっています。
そこで、質問します。
都が国に土地を返還するか都が北区に譲渡することが考えられます。この地域の都営住宅居住者の高齢化率は50%を超えています。この跡地の利活用に、区として国や都に対し、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など高齢者の福祉施設の活用を働きかけて頂きたいと思います。お答え下さい。
以上で質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
最後に、王子本町2丁目都営住宅跡地の利活用についてのご質問にお答えします。
当該都営住宅については、平成28年4月に移転完了しましたが、その後の利活用については現段階では未定と聞いております。今後とも国や東京都と連携を図り、情報の収集に努めてまいります。
これまで同様、北区全体や地域の課題をふまえ検討し、適切に対応してまいります。