2016年第4回定例会個人質問ー山崎たい子
2016年11月25日 | 山崎たい子
私は、大きく2点、障がい者福祉の充実と子どもの貧困問題など、子ども・若者支援の拡充について質問します。
1、障がい者福祉の充実を
はじめに、障がい者福祉についてです。
過日の第3定例会では、精神障がい者への福祉手当支給などの陳情が、全会一致で可決しました。改めて、長年、運動にとりくまれてきた当事者をはじめ、家族会、関係者の皆様の努力に、心から敬意を表する共に、北区議会としても、障がい福祉充実に向けての力強い発信になったと大きな意義を感じています。今後の区施策に、一日も早く反映されることを願い、質問に入ります。
(1)グループホームなど、すまいの充実について
第1は、グループホームなど、すまいの拡充についてです。
保護者の高齢化を受けて、障がいがあっても、長年暮らしてきた地域で住み続けられるようにーとの切実な願いにより、「入所施設」を区内につくってほしいとの陳情が、過去に区議会でも全会一致で採択されています。一方で、障がい福祉をとりまく方針が、「施設」から「地域」へとの流れの中、「グループホーム」という形で、地域生活を支えていこうとの制度設計、計画が北区でも進んでいます。
その念願のひとつが、先日、神谷の区有地に建設されました。地元で長く障がい福祉に携わってこられた社会福祉法人が設立し、私も内覧会にお伺い致しました。
ショートスティの受け入れもできる個室を備え、アットホームであたたかな雰囲気、安全やバリアフリーにも配慮された施設仕様もさることながら、開設までにこぎつけた法人、職員の皆様の熱意と地域の方々のご尽力に、改めて頭の下がる思いです。
そして何より、入所が決まった利用者やご家族の方々から「涙がでた」と、大きな喜びと安堵の声を聞かせて頂き、今後のグループホームの運営が安定しますようにとの思いを、一層強くしたところです。
さて、このグループホームの運営をめぐっては、現状で制度上、多くの課題が指摘されています。例えば、障がい当事者の高齢化、認知症などに伴う手厚いケアや医療的対応、看護師の配置も含め、24時間の生活をカバーできる職員配置や体制が十分ではないこと、経営的にも非常に大変であるという点です。身近な地域に、小規模な入所施設をつくってほしいとの要望も、こうした課題にもとづくものでもあります。
そこで質問です。障がい者の高齢化や重度者の受け入れの現状について、また、今後、看護師の配置や、24時間の生活をカバーできる人員配置など検討が必要と考えますが、区の見解をお伺い致します。
【区の答弁】
はじめに、障害者グループホーム入所者の現状と充実についてお答えします。
現在、区内25ヵ所のグループホームに97人が生活していますが、そのうち50歳以上の利用者が14名、支援区分4以上の重度障がい者が19名入所しています。
今後、入所者の高齢化と重度化の傾向がさらに進むことが見込まれ、施設側の負担が大きな課題になっています。
ご指摘の医療的ケアを前提とした看護師の配置等につきましては、今後の検討課題とさせていただきます。
(2)就労支援事業について
次に、就労支援事業について、2点、質問します。
1つ目は、就労支援B型事業における高齢化の対応についてです。
民間福祉作業所職員の方が、次のように語っています。
「障がいのある方は、50才をすぎてくると、日中活動も大変です。作業にスムーズに入れなかったり、トイレに何度も行くなど、現場では個別に支援を厚くして対応しています。こうした状況は、今後も更に増えてくるでしょう。高齢化に対応した加算を検討してほしい」と。
また、先日お伺いした区立の福祉作業所でも、利用者の方々が、お年をめしてこられたなあと感じ、ふと、施設にエレベーターがないことや、トイレも介助するには、十分な広さとは言えない状況であると率直に感じた所です。
そこで、お尋ね致します。就労支援B型事業での利用者の高齢化に対応し、人的体制や施設の改善について、検討が必要な時期にきているのではと考えますが、区の見解をお聞かせください。
【区の答弁】
次に、就労継続支援B型施設利用者の高齢化等への対応についてお答えします。
近年、障がい者通所施設における利用者の高齢化と重度化が進んでいる実態は、認識しています。
高齢化と重度化にともない、自力通所や作業が困難になった場合には、これまでは生活介護施設への移行が当たり前と考えられていましたが、施設移行を望まない利用者もいます。
通いなれた施設で日中を過ごせることも求められているため、今後は通所時の移動支援の実施や、生活介護併設の多機能型施設の検討など施設の改善も含め、利用者に配慮した処遇について検討を進めてまいります。
2つ目に、就労支援センターの委託費についてうかがいます。
現在、北区では区内法人2カ所に、業務を委託し、就労にむけての相談や就労後の定着支援、日常生活の相談支援などに取り組んでいます。私は、先日、この2ヵ所の就労支援センターの取り組みと要望を伺ってまいりました。
そのひとつ、知的障がいを主に担当しているセンターでは、現在の登録人数650人となり、最近は、当事者の就労だけでなく、保護者の高齢化により、親護さんにかわって、お風呂をうながしたり、コインランドリーを手伝ったりと、朝に夕に、生活のフォローもしなければならない現状がある。「人が対応する事業なので、なんとか委託料を増額してほしい」との要望です。
また、もうひとつは、精神障がいを主に担当しているセンターです。
こちらも現在、登録者は620人をこえています。相談件数はここ数年で、約2倍近くに増え、訪問件数も約3倍に増えました。また、対象者の特性では、統合失調症やうつに加えて、知的障がいとの重複、発達障がいや高次機能障がいと多様化し、更には、企業からの支援依頼が増加し、関係機関との連携も含め、業務量が増大している中、正規職員2名の方々は長時間、及び土曜の相談・対応と疲弊している状態です。来年度、企業の雇用義務化にむけて、現状の職員給与の増額だけでは、とても間に合わない。「正規職員の増員にむけて、委託料を増額してほしい」との切実な要望を頂きました。
そこでお尋ね致します。区内2ヵ所の就労支援センターの事業量増大にふさわしく委託料を増額するよう、区長の積極的な答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、就労支援センターの委託費についてです。
区では、障がい者の一般就労を促進するため、就労支援事業を「社会福祉法人ドリームヴイ」と「NPO法人わくわくかん」に委託し、これまでに736人の一般就労を実現してまいりました。
障がい者の就労支援事業は、企業への障がい者雇用促進の働きかけとともに就職後の就労定着支援と生活支援が重要であり、業務量は年々増大しています。
また、平成30年度には、法定雇用率の算定に精神障がい者を加える改正障害者雇用促進法の施行が予定されており、民間企業側からの雇用拡大も見込まれています。
一方、北区内では、障がい者の一般就労に向けて作業や実習、適正に合った職場探しや就職後の職場定着支援をおこなうことを目的とした「就労移行支援事業所」も8ヵ所整備されました。
さらに、平成30年度には、障害者総合支援法の改正において就業にともなう生活面の課題に対応するため、事業所と家族との連絡調整等の支援をおこなう「職場定着支援」が法定サービスとして新設されます。
就労支援センターの執行体制とともに見直しをおこなう予定であり、それまではハローワークを含め、就労移行支援事業所等の関係機関との連携を強化し、効率的な事業運営に努めてまいります。
(3)ヘルパー養成など、人材確保について
3つめの質問は、人材確保についてです。
ご紹介のとおり、障がい者の高齢化や重度障がいに対応できるヘルパーさんの養成が求められています。また、聴覚障がい者団体の皆様からは、手話通訳者の養成について、昼間の開講や委託料の増額が要望されております。こうした人材確保について、区としてすみやかにとりくんで頂きますよう求めます。お答えください。
【区の答弁】
次に、ヘルパーの養成など人材確保についてお答えします。
障害福祉サービスを展開していくうえで、特に重度身体介護を中心とする介護ニーズに的確に対応していくためには、ホームヘルパーのさらなる量的、質的充実を図っていくことが求められています。
また、オリンピック・パラリンピックに向けた手話通訳者の養成も重要な課題です。
ヘルパー等の養成につきましては、東京都が実施するヘルパー従事者養成研修や外国語手話講習会等の周知に努めるとともに、障害福祉サービス事業者連絡会等を通じ、サービス提供事業者のご意見をうかがいながら人材確保について検討してまいります。
(4)相談支援事業について
4つめの質問は、相談支援事業についてです。
障がい者の生活全体をマネジメントする相談支援事業が、民間団体の協力も得て進められていますが、その報酬単価が依然として低く、100人ほどケースを担当しても、職員一人分の人件費をまかなえる状況にはありません。そこで、国に対し、報酬単価を引き上げること、当面、都と連携し、区としても定期的な面談や、サービスにつなぐまでの同行支援など、きめ細かな加算を行うよう求めます。
以上、障がい福祉の充実について、区長のあたたかい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、相談支援事業についてお答えします。
障がい者の自立した生活を実現するためのサービス等利用計画ですが、現在、区内の17事業所で1124件のサービス等利用計画が作成されています。
計画作成にあたっては、区の保健師、福祉司および地区担当職員が相談支援専門員と連携し、必要な情報の共有や同行訪問を通じ、サービス等利用計画の作成を支援しています。
報酬単価の引き上げにつきましては、特別区長会等を通じ、機会をとらえて国に要望してまいります。
2、子どもの貧困など、子ども・若者支援の充実を
大きく2つめの質問は、子どもの貧困など、子ども・若者支援の充実についてです。
今定例会には「子どもの貧困対策計画の策定」にむけ、ニーズ調査の結果や施策の中間報告が出される予定となっています。計画の内容に大いに期待しながら、以下、6点にわたり質問致します。
(1)経済的支援について
1つめは、経済的支援の要、児童扶養手当の拡充についてです。
相対的貧困率が5割をこえているひとり親家庭では、9割をこえる保護者が就労しているにもかかわらず、貧困率の改善には至っておりません。国も事態を重く受けとめ、先般、児童扶養手当の第2子、第3子の増額にようやくふみきったところです。
しかしながら、ひとり親家庭の6割は、第1子のみでもあり、本手当の更なる引き上げは、引き続き、喫緊の課題です。そこで児童扶養手当について、第1子からの増額、所得制限の緩和、20歳までの対象年齢の拡大および4ヵ月毎の支給を毎月支給へ改善するなど、国に拡充を求めてください。
【区の答弁】
まず、経済的支援のうち、児童扶養手当の拡充についてです。
第190回通常国会で成立した児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議には、「支払方法については、支給回数について隔月支給にすること等を含め、所要の措置を検討すること」が盛り込まれており、さらに、「ニッポン一億総活躍プラン」においても、「支払方法や、より確実な養育費の確保の仕組みなどについて、関係省庁での検討の場を速やかに設け、検討を開始する」ことが明記されています。
北区といたしましては、こうした国の動向をふまえながら、適切な支給事務をおこない、ひとり親家庭への支援に努めてまいります。
なお、現時点において、児童扶養手当のさらなる増額や、対象年齢の拡大などを国に求めていくことは、考えておりません。
次に、就学援助や貸付制度の改善についてです。
会派ではこの間、就学援助の入学準備金など、タイムリーな前倒し支給について提案してきました。是非、早急な改善を求めます。加えて、他自治体では、就学援助とは別に、貸付制度などを活用して、あとから就学援助金を回収するという工夫をしているところもあります。今定例会に、福祉資金貸付制度の改善が示されていますが、更に、制度がより効果的に利用されるよう、就学援助や児童扶養手当と連動した貸付制度の改善を求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
次に、就学援助入学支度金前倒し支給についてお答えします。
就学援助の新入学学用品等購入費の前倒し支給については、支給の判定にかかわる所得の考え方など、実施にあたっての課題がいくつかあり、子どもの貧困対策の中の検討課題とさせていただきます。
次に、就学援助や児童扶養手当と連動した貸付制度の改善についてお答えします。
入学準備に必要な費用については、保証人等の貸付要件を満たせば、区の応急小口資金貸付を利用できます。
就学援助等と連動した貸付制度については、先進事例を参考に今後の研究課題とさせていただきます。
(2)学習支援や居場所・子ども食堂などについて
質問の2つ目は、子どもの居場所・食への支援についてです。
この間、区内においても学習支援など、子どもの居場所や子ども食堂などに取り組んでいる住民や団体が増えてきました。子ども・子育て世帯の孤立を防ぎ、地域の中で、つながりあうとりくみとして、大変、心強く感じています。また、夏休みや週末などに、子ども料金でランチを提供する取り組みも出てきているようです。こうした住民や民間団体のとりくみに対し、国や東京都も、自治体を通じての補助制度を設けています。
そこで北区としても、子どもの学習支援や居場所、こども食堂などに取り組む団体と連携、ネットワーク化をはかり、場所の提供や財政支援を行うこと。また、子どもの食の支援について、土日、長期休暇も視野に入れるよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
次に、子どもの学習支援や居場所などにとりくむ団体との連携や支援、長期休暇などへの対応についてお答えします。
困難を抱える家庭の子どもと保護者のニーズに応じたきめの細かな支援を展開するためには、地域や企業、NPO、ボランティア団体などによるさまざまなとりくみがおこなわれ、地域全体で見守り、支援する環境づくりが重要であると考えています。
現在、生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業として、地域の中に学習支援団体を立ち上げてもらうための支援などを北区社会福祉協議会に委託しており、12月から1ヵ所目が開始することとなりました。
区といたしましては、社会福祉協議会とも協力を図りながら、地域やNPO、ボランティア団体などによるとりくみを促進し、連携を深める方策について検討をしてまいりたいと考えています。
なお、子どもの貧困対策に関する実態調査結果の概要や、計画の中間まとめについては、本定例会の所管委員会においてご報告をさせていただきます。
(3)産後うつを予防する無料健診の実施と産後ケアの連携を
3つめは、産後うつを予防する無料検診の実施と産後ケアの連携についてです。
産後うつは、10人に1人が経験するとされ、深刻化すれば、虐待や育児放棄、自殺を招いたりする恐れがあります。厚労省が実施した調査では、産後2週間目に発症のリスクが高かったため、来年度、母親の不調の兆しを早期に把握し、相談や適切なケアへつなげるため、産後2週間と1ヵ月検診を無料とする費用助成を実施する見通しです。
北区でも、保健師の産前・産後面接や、産後ケアがすすめられていますが、産後2週間目の無料検診を実施し、産後ケアと連携して、産後うつの予防に取り組んで頂くよう求めます。
お答え下さい。
【区の答弁】
次に、産後うつを予防する無料健診の実施と産後ケアについてです。
区では、新生児訪問の際に、産婦の母体回復の把握を行うとともに、精神科医による「親と子のこころの相談室」、また、産前産後セルフケア講座や産後デイケア事業などを実施し、出産前後の母親の心身の疲労や出産直後の悩み、育児不安の軽減等に努めています。
ご提案の産婦健診については、産後ケア事業の充実とともに、来年度の国の予算編成の動向を注視しつつ、今後の検討課題とさせていただきます。
(4)児童相談所設置をみすえた区のとりくみと今後の課題について
4つめは、児童相談所設置をみすえた区の取り組みについてです。
先月、文教子ども委員会で、福岡県北九州市の「こども総合センター」を視察してまいりました。当市では、14年前に児童相談所と少年相談センター、教育相談室を統合し、「子ども総合センター」が発足、10年前から直営で、「24時間子どもホットライン」も実施しています。
施設の4階には、子どもを親から分離し、2ヵ月程度まで保護・生活の場を保障する「一時保護所」も設置されており、施設の中も見学をさせて頂きました。子ども達が寝泊まりする部屋、洗面所、浴室、食堂の他、私達がうかがった午前中は、学習の時間帯で、身体の小さな学齢期の子どもや、少年期の子どもが同じ部屋で静かに勉強している様子や、また、別のホールでは幼児期の子どもを遊ばせている様子にも接しました。困難を抱えている18歳までの幅広い年齢の子どもたちを保護し、成長を支えている場に接し、あらためて、その処遇の責任の重さを痛感したところです。
ひるがえって、北区での児童相談所設置をみすえた時には、先にご紹介した24時間の相談体制や、一時保護所の設置、更には、退所後の子どもの受け入れ体制を、家庭以外の場でも作っていく。例えば、児童養護施設だけでなく、ファミリーホームや里親制度など、その子どもにあった受け入れ環境を整えることも必要です。
さらに、児童虐待防止法の改正を受け、弁護士、保健師、児童福祉司などの専門家の配置や研修体制、人材確保を予算措置とあわせて行っていくことが、一番の課題になっています。
現在、都内では、都の児童相談所と区の子ども家庭支援センターが、役割分担をしながら、虐待などの対応にあたっていますが、相談・通告件数の急増に対して、施設は114%の受け入れ、人員体制も追いつかず、現場は大変厳しい状況となっています。こうした現状の中、23区の児童相談所開設は、子どもの命を守るセーフティネットをどうきめ細かく、充実してゆくかと言う視点で、財源及び人材確保を都に求め、整備すべき課題ではないかと考えますが、児童相談所設置をみすえた区の取り組み状況と、今後の課題について見解をお伺いいたします。
【区の答弁】
次に、児童相談所設置を見すえた区のとりくみと今後の課題についてです。
詳細は、本定例会の所管委員会でご報告いたしますが、特別区長会から下命を受け、平成26年度にまとめた「児童相談所移管に係る検討について(最終報告書)」の再検討とロードマップについての方向性の検討をおこないました。
その中で、乳児院やファミリーホーム、里親など社会的養護の確保も重要な課題ととらえています。
東京都と特別区の協議については、今後どのようにおこなわれるか、いまだ不透明な状況ですが、各区課題については、「児童相談所移管に向けた庁内連絡会」において、区長部局と十分情報交換し、検討してまいります。
(5)子どもと接する現場での研修やSSW、養護教諭の体制強化を
5つめは、子どもと接する現場での研修や体制強化についてです。
先にご紹介した北九州市の取り組みでは、虐待の早期発見、早期対応のために、保育園、幼稚園、小・中学校など、子どもに接する現場の職員研修を強化し、そこからの通告も増えているとのことでした。そこで、北区でも、こうした子どもに日々、接する方々への研修にいっそう力をいれて頂きたいと考えます。ご答弁ください。
また、北区では、他自治体に先駆け、SSW(スクールソーシャルワーカー)を配置、増員し、学校と連携しての家庭訪問や、児童相談所など関係機関と連携・調整するなどの活動をすすめています。こうした取り組みを充実するため、スクールソーシャルワーカーの正規での職員配置を求めます。
さらに、学校内では、教師以外にも、保健室の存在、養護教諭の役割に、あらためて光があてられています。保健室は成績で評価されない、否定されない貴重な場所であり、親に頼れない、家庭に受け皿を期待できない子どもが、養護教諭にSOSを発することが少なくありません。その子どもが発したSOSを、養護教諭の先生、保健室が起点となり、他の教師や学校全体へ、SSWとも連携し、チームで子ども達を支えていける取り組みをすすめて頂くことが、ますます重要と考えますが、北区の取り組み状況と見解をお伺い致します。
また、現状の児童・生徒数の増加をふまえ、養護教諭の複数配置など、体制強化を求めます。
お答え下さい。
【区の答弁】
次に、虐待の早期発見、早期対応のため、子どもに接する職員の研修の強化を、とのご質問にお答えいたします。
ご指摘の通り、日々子どもたちと接している学校や幼稚園、保育園の先生方からの情報提供や通告は、重要であると考えています。
今年度から、子ども未来部が教育委員会となった利点を活かし、これまで以上に、学校をはじめ関係機関相互の連携に努めてまいります。
先日は、小・中学校の副校長研修において、虐待の早期発見や保護者等への対応に関する講義を実施いたしました。また、来月は公立の幼稚園長会でも研修を予定しています。
今後とも、さまざまな機会をとらえて、教職員や保育士等への研修に努めてまいります。
次に、スクールソーシャルワーカーにかんするご質問にお答えします。
現在、スクールソーシャルワーカーとして非常勤職員を王子・赤羽・滝野川の3地区に1名ずつ配置しています。
また、平成27年度からは、統括指導員を配置し、事例検討やケースの進行管理などの助言・指導など充実を図っています。
ご提案の趣旨も含め、スクールソーシャルワーカーの拡充につきましては、児童・生徒をとりまくさまざまな課題の状況や、教育再生実行会議や中央教育審議会の検討経過など国の動向を注視し、北区における子どもの貧困対策の議論もふまえて、今後の検討課題とさせていただきます。
続いて、擁護教諭、保健室が起点となり、学校がチームで子どもたちを支える北区のとりくみ状況と見解についてです。
養護教諭は、いじめや虐待が疑われる児童生徒、不登校傾向である児童生徒等、課題を抱えている児童生徒と日常的に保健室でかかわる機会が多いため、健康相談を通じ、課題の早期発見、早期対応に努めています。
また、学級担任やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等と連携して校内委員会で情報を共有し、組織的に課題解決にあたっています。
現在、学校からスクールソーシャルワーカーに相談が来る場合の約3割が、養護教諭からの情報となっており、その役割は極めて重要となっています。
今後も、養護教諭、保健室が起点となり、学校全体で子どもたちのSOSサインを受け止めるとともに、スクールソーシャルワーカーとの連携を図りながら、学校がチームとなって教育相談や問題解決にあたるよう、管理職研修や生活指導主任研修、保健主任、養護教諭研修等を通じて指導してまいります。
続いて、養護教諭の複数配置についてお答えします。
養護教諭は、東京都教育委員会の教職員の定数配置基準により26学級以上の学校に2名配置することが定められています。
北区の小中学校には、現在26学級以上の学校がないため、正規の養護教諭の複数配置校はありませんが、北区の中で学級数の多い3つの小学校については、養護の非常勤教員が配置されています。
教育委員会といたしましては、現在配置されている養護教諭の資質・能力の一層の向上を図るために、養護教諭対象の研修や養護教諭の多くが兼務している特別支援教育コーディネーターの研修においてスクールソーシャルワーカーとの連携について研修をおこなってまいります。
(6)10代後半の子ども・若者支援について
最後に、10代後半の子どもの支援についてうかがいます。
虐待や非行などの困難をかかえている18歳から20歳未満のこどもたちは、児童福祉法と児童相談所の狭間にあり、支援のあり方が課題となっています。例えば、児童相談所の一時保護所も、幅広い年齢で生活するため、ハイティーンの子ども達には、落ち着いた生活環境になりにくい。また、児童擁護施設や自宅から出て、住居をかまえるにも、保証人や経済的なハードルなどで、アパートや携帯の契約にも支障があります。
こうした中、全国では民間団体による、子どもシェルターや自立援助ホームの取り組みが拡がっています。これらの施設は、平成25年の児童福祉法の改正で、ようやく、児童自立生活相談事業として位置づけられたものの、職員配置は2.5人分の費用しかないため、東京都が一定の加算を行っても、施設の運営が大変厳しく、全国でも休止においこまれている場所が少なくありません。
私は先日、都内の自立援助ホームをたずね、お話を伺いましたが、「自治体からも是非、国や都に支援の拡充を求めてほしい」「シェルターや自立援助ホームを出た後も、アフターケアが必要となってきます。世田谷区ではじまった住居や進学支援や、就労についても生活困窮者自立支援法と連携し対応してほしい」と、要望を受けました。そこで、
(1)10代後半の制度のはざまにある子どもへの支援について、子どもシェルターや自立援助ホームの整備拡充を国・都に求めてください。
(2)区として、自立援助ホームや児童擁護施設退所後のこども達に、住居や進学、就労支援など、実施するよう求めます。
以上、子ども若者の未来にむけた、区長の積極的な答弁を求め、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
次に、10代後半の子どもの支援についてお答えします。
児童養護施設、自立援助ホーム、子どもシェルターへの入所措置は、都道府県知事がおこない、その費用は国と都道府県が負担することとされています。
子どもシェルターや自立援助ホームの整備拡充の国や東京都への要望についてですが、このたびの児童福祉法の改正では、自立援助ホームの入所条件が就学中に限り、22歳の年度末まで引き上がるなど、児童虐待の防止から虐待を受けた子どもの自立支援までの総合的な強化が図られております。
今後、区としてどのように対応していくべきかは、研究課題とさせていただきます。
次に、自立援助ホームや児童養護施設退所後の子どもたちへの支援についてです。
国では今年度から、施設退所後の子どもを対象に、家賃相当額や生活費を貸し付け、就業継続等の条件により返還を免除する制度を創設しています。
また、東京都では、連帯保証人が不要な自立生活支援のための貸し付けや、施設への自立支援コーディネーター等の配置、施設退所者等の住居確保のための改修費の補助などのとりくみをおこなっています。
区といたしましては、国や東京都の動向を注視しつつ、生活に困窮する方の相談を受け、就労支援などをおこなう北区くらしとしごとの相談センターの一層の周知を図る中で、自立援助ホームや児童養護施設退所後の子どもを含む生活に困窮する方の支援を図ってまいります。