2018年第4回定例会代表質問ー本田正則
2018年11月22日 | 本田正則
私は日本共産党北区議員団を代表し、以下大きく6点の質問を致します。
1、消費税10%増税中止を求めよ
(1)消費税増税に伴う、区民の家計と区の財政への影響について
第一の質問は、消費税10%増税中止を政府に求めることについてです。
アベノミクスの下、好景気とされる中、日本経済の6割を占める家計消費は、2人以上世帯の実質消費支出が21万円減りました。パートを含む労働者全体の実質賃金が一人18万円減っているという事実もあります。そんな中で、来年10月の消費税10%増税は、日本経済全体の景気にも、厳しい状況が続く国民の家計にも大打撃を与えます。
まず最初に、予定される消費税増税で、北区が区民から徴収する区民施設使用料をはじめとする諸料金、負担金はどれほど増えるのか、また現時点での北区の財政への影響について、法人住民税の税源偏在是正措置の影響も含めてご答弁ください。
【区の答弁】
消費税率の引き上げに伴う公共施設の使用料の対応については、国からの通知を踏まえ、必要な転嫁を行なっています。消費税率10%への引き上げ分についても、次回の使用料等の改定時に転嫁を行ない、影響額については、その際に積算してまいります。
なお、前回税率8%への引き上げ時には、約950万円を税率引き上げの転嫁分としています。
一方、戸籍関係の手数料や保育園自己負担金などは、引き上げによる影響は生じないものとされています。
また、区財政への影響について、区長会事務局による試算を北区のシェアに割り返したものでは、消費税率10%への引き上げによる増収分を約20億円と見込んでおりますが、法人住民税の清算基準見直しによる減、さらに、区としての消費税留津引き上げ分の支出額の増が、増収分を上回ることが見込まれています。
(2)消費税10%増税の中止を政府に求めるべきだ
また、複数税率、インボイス制度については、消費税増税そのものには賛成の日本商工会議所を含めて、中小企業団体、商工団体はこぞって反対しています。
さらにここへ来て6日に発表された9月の家計消費もわずか2ヵ月で再び下がっています。14日に発表された実質GDPも下がりました。
区民の暮らしによりそい、中小企業の維持・活性化を願うならば区長は、来年10月の消費税10%増税の中止を政府に求めるべきだと考えます。これまでは、国の動向を注視するとしてきましたが、現時点での区長の見解を改めて表明することを求めます。
【区の答弁】
税率10%への引き上げについては、すでに税制改正関連法が可決・成立しています。
また、税率の引き上げと同時に、軽減税率制度が実施されることとなっており、制度の構築が着実に進められ、さらに、税制面での負担軽減策の検討や引き上げに伴う経済対策など、万全の対策を講じることが閣議決定されています。
こうした状況を踏まえるならば、来年10月からの10%への税率引き上げは、国の適切な判断のもと行われるものと認識しています。
2、区民本位の基本計画、経営改革プランの改定を
第2の大きな質問は、現在行なわれている基本計画、経営改革プランの改定を、区民本位で進めることについてです。
(1)基本計画は人口増に対応して必要施設を確保するものに
1つ目に、人口増に対応する施設整備について問います。
最新の人口推計で、北区の総人口は今後10年間、0歳~14歳の年少人口は15年間増え続けることが明らかになりました。
花川区長はこれまで議会で、「年少人口の増加はしばらく続く見込みであり、今後も保育ニーズ等は高まっていくと予想されます。そのため、子ども・子育て支援事業計画や学校適正配置計画を初め、各種計画を改定する際は、今回の推計結果を基礎としながら、必要に応じて見直しに取り組んでまいります」と答弁しています。
そこで質問です。
改めて現在進めている基本計画、経営改革プランの改定において、子どもたちをはじめ、区民にとって必要な施設が不足しないよう、今後の人口増を見込んだ施設整備計画を盛り込むことを求めます。ご答弁ください。
【区の答弁】
「北区基本計画2015」、「北区経営改革プラン2015」の改定にあたっては、昨年度末に実施した人口推計調査や、今年度実施した区民意識・意向調査をはじめ各分野の調査等を基礎資料、参考資料としながら、10年度、2030年の北区の将来像を描くとともに、その先の将来も見据えた健全な行財政運営を図る視点も踏まえ検討に取り組んでいます。
区ではこれまで、人口構成や施設需要の変化などにより区民ニーズに合わなくなった施設や、役割を終えたと考えられる施設については、統廃合や廃止を行なう一方、年少人口の増加や保育ニーズの高まりに対応するため、保育園や学童クラブの施設整備に取り組んできました。
引き続き、地域の実情や区民ニーズの変化、施設の老朽化、新たな行政需要への対応、中長期的な人口動向等も見据えながら、「北区基本計画2015」、「北区経営改革プラン2015」の改定の中で具体的な施設の整備や再配置を検討してまいります。
(2)子ども・子育て支援計画、学校適正配置計画の見直しについて
基本計画改定の2つ目に、区長が見直すとしている子ども・子育て支援計画と学校適正配置計画に関して、6点お聞きします。
1点目が、子ども・子育て支援計画についてです。
計画の見直しの中で、これまで努力を重ねてきた保育園、学童クラブの増設・定員増をさらに推進し、待機児童ゼロをめざすことを求めます。ご答弁ください。
【区の答弁】
子ども・子育て支援計画については、現在、平成32年度を初年度とする「北区子ども・子育て支援計画2020」の策定に着手しています。
今後、子育て支援に関する意識・意向調査の結果や、北区人口推計調査などを活用し、地域の子育て家庭の状況や、ニーズを的確に把握するとともに、北区子ども・子育て会議のご意見を頂きながら、計画の策定を進めてまいります。
策定にあたっては、近年の年少人口の増加傾向や、保育ニーズの高まり、そして、来年度に予定されている幼児教育無償化の動向などをふまえ、需要を適切に見込みながら、保育所や学童クラブの待機児童解消に取り組んでまいります。
2点目に、学校施設の充足に関する認識についてです。
この間、教育委員会は、学校施設跡地利活用検討委員会でも、決算特別委員会でも、「学校施設は不足していない」、「都の推計でも、今後施設が不足することはない」と答えています。しかし、学校現場では、実際に施設が足りない、足りなくなるという不安の声が出ているのではないでしょうか。
学校施設の充足状況について、校長先生や学校関係者から要望や不安の声が出ていないか、具体的にお答え下さい。
3点目に、北区小・中学校整備方針に照らした学校施設の現状についてです。
北区は、学校施設を取り巻く様々な変化に対応することを目的に、2005年に北区立小・中学校整備方針を定め、2013年の改定では、学校が備えるべき標準的な施設構成を示しています。ここでは、児童・生徒の教育環境の確保や向上のために必要な諸室と教室の規模が示されていますが、予想を上回る人口増加の結果、当初の普通教室では児童・生徒が収まりきらなくなるという事態も生まれています。
学校施設跡地利活用検討の過程で、滝野川紅葉中学校の関係者から、昨年と一昨年、1学年5クラスになった時に、少人数学習を生徒会室や会議室でおこなわざるを得なかったとの告発がありました。教育委員会が新たに示した資料によれば、この学校では再来年、6クラスになる学年も生まれるとの予測です。そうなれば、多目的室や少人数学習用の新世代学習空間を使い切っても普通教室が足りないという事態になります。
また、普通教室に転用可能な多目的室が用意されていない学校では、クラスが増えると特別教室をつぶして普通教室を確保しなければなりません。教育委員会の資料によれば、都推計の最終年度となる2022年には、田端小で7教室、王子第二小で5教室、谷端小で1教室の普通教室が足りなくなり、特別教室を普通教室に転用せざるを得なくなります。
学校現場では、校長先生をはじめ、関係者の努力で教室を確保する涙ぐましい努力が行われていますが、今の学校施設の範囲内で、今後増え続ける児童・生徒数の対応を求める続けることは酷だと言わなければなりません。
そこで質問します。
北区立小・中学校整備方針に照らしても、施設不足が起きていることは明白ではないでしょうか。教育委員会の見解を問うものです。お答えください。
【区の答弁】
普通教室の確保については、それぞれの学区域の状況によって異なる部分もありますが、ここ数年、児童生徒数が増加し、今後も、当分の間、その傾向が続く見通しであることから、いくつかの学校からは、将来的な教室不足を不安視する声も届いています。
教育委員会としては、次年度から直ちに教室が不足することはないものの、引き続き児童生徒の増加が見込まれることから、今後、いくつかの学校では、教室不足が予測される状況にあると考えています。
そのため、今年度には、関係部課で構成する検討組織を設置して、必要な情報の収集、共有、分析に努めることとしました。
また、現在、改定作業中の「北区立小・中学校整備方針」と、新たに策定する「同長寿命化・改築改修計画」において、今後の児童生徒数の増加に対応した、学校施設の整備について、特別活動教室の位置づけも含めて、その対応策が示せるように、鋭意検討を進めているところです。
4点目に、学校適正配置についてです。
現在、十条富士見中サブファミリーブロックで行われている適正配置協議は、年度内にも小学校5校を3~4校に統廃合するという結論を出そうとしています。しかしこの間、都の推計に基づき、大丈夫としていた学校でも、適正配置計画による統廃合ののち数年間で児童・生徒数が急増し、施設が足りなくなる事態が生まれています。
学校施設が不足し、これからも深刻な不足状況が生まれる恐れがある中で、学校そのものを減らすことがあってはなりません。十条富士見中サブファミリーブロックでの適正配置協議については、今後の人口増をふまえ、協議を中止することを求めます。お答えください。
【区の答弁】
平成30年5月の本ブロック内の5つの小学校の児童数は1065名で、適正規模の12学級は1校、他の4校は6学級から8学級で、人口推計調査結果による人口増を踏まえても、5校全てが長期的に適正規模を確保するのは難しい状況です。
引き続き、児童数や周辺の開発状況などをふまえ、協議を進めてまいります。
5点目に、神谷中サブファミリー施設一体型小中一貫校の計画についてです。
この計画における開校時の児童・生徒数見込みは、当初949人となっていましたが、昨年10月の開校推進協議会資料では1190人に、現在行なわれているワークショップでは1280人へと増加しています。先日のワークショップでは、さらに増える見通しにたって多目的室3室を追加し、1630人規模を想定するとの報告がありました。
計画当初からすると、実に680人以上、1.7倍もの児童・生徒数の増加という見通しになっています。人口推計からすれば、向こう15年は年少人口が増える上に、現在、稲田小のすぐ隣にある旧大日本印刷工場施設の解体工事が行われおり、ここに大規模マンションが建設されれば、児童・生徒はさらに増えることになります。現在の神谷中、神谷小の敷地では、学校施設が収まりきらなくなる可能性も出てきているのではないでしょうか。
今回の施設一体型小中一貫校の計画では、稲田小学校を廃校とする計画ですが、あらためて稲田小学校の存置について、慎重な検討をおこなうべきと考えます。お答え下さい。
【区の答弁】
現在、検討を進めている神谷中学校サブファミリー施設一体型小中一貫校は、サブファミリーを構成する稲田小学校、神谷小学校、神谷中学校を統合し、一つの義務教育学校として位置づけることとしており、今後の建設にあたっては、周辺の開発状況を踏まえて、十分な施設規模を検討してまいります。
6点目に、学校跡地の利活用についてです。
学校施設とともに、学校跡地についても貴重な区民の財産となっています。跡地利活用計画を策定したものの、長期にわたり暫定活用が続いている旧西浮間小学校や、当面、子ども家庭支援センターとして暫定活用する方針が示された旧清至中などの学校跡地については、安易に売却することのないよう、跡地利活用計画を再検討すべきと考えますが、いかがですか。
以上6点についてご答弁ください。
【区の答弁】
学校施設跡地は、「北区学校施設跡地利活用指針」に示すように、都市部において、貴重なまとまった空間であり、区民共通の資産と認識しており、基本計画の実現や、そのための財源調達手段として、有効に活用すべきものと考えています。
こうした認識の下、これまで、できる限り迅速に利活用計画の策定に取り組んできました。
また、計画策定後、本格活用に至るまでの間、旧西浮間小学校や旧清至中学校のように、行政需要も見極めながら、暫定活用を図る場合もあります。
既存の利活用計画を再検討するかについては、暫定活用を終え、本格活用に入る次期が見通せた段階で、社会環境や周辺状況の変化、行政需要や財政状況等を見極めながら、慎重に判断すべきものと考えています。
(3)今後の児童館のあり方に関する基本方針、子どもセンター及びティーンズセンター配置方針の見直しを
基本計画改定の3つ目に、今後の児童館のあり方に関する基本方針、子どもセンター及びティーンズセンター配置方針に関して質問します。
区はこれまで、保育園や学童クラブの定員増に積極的に対応してきましたが、一方で子どもセンターやティーンズセンターへの移行にともなって、児童館を次々に廃止してきました。今後15年間、年少人口が増加していくという推計をふまえ、今後の児童館のあり方に関する基本方針、子どもセンター及びティーンズセンター配置方針の検証をおこない、児童館の削減計画を抜本的に見直すべきと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
これまで、基本方針等に基づき、児童館を乳幼児親子が一日案して過ごせる居場所として「子どもセンター」へと、また、中高生世代の居場所機能を一層充実させるために、「ティーンズセンター」へと順次移行してまいりました。
合わせて、「放課後子ども総合プラン」を計画的に推進し、小学生の居場所が確保されるなどの周辺環境が整った児童館から順次、移行および統合を進め、小学生の安全・安心な居場所・活動場所の充実を図ってまいりました。
今後も、子どもセンター・ティーンズセンターにおける利用状況・ニーズの把握に努めながら、児童館から子どもセンター・ティーンズセンターへの移行を含め、乳幼児親子や中高生の参加機会・活動の場の充実を図るとともに、利用者のニーズにこたえてまいります。
(4)公共施設再配置方針の「今後20年間で施設総量の15%の削減」という目標は撤廃すること
基本計画改定の4つ目は、公共施設再配置方針についてです。
先の決算特別委員会の中で、公共施設再配置方針策定後の5年間で、施設は減るどころか5000㎡の増加となっていることが明らかになりました。この間の人口増からすれば、必要な施設を整備すれば、施設面積が増えることは当然といえます。
そこで質問です。
「今後20年間で施設総量の15%削減」という現実に合わなくなった目標は撤廃するよう求めます。お答えください。
【区の答弁】
公共施設再配置方針を策定してから5年が経過し、この間、施設の更新や施設需要の変化に的確に対応するとともに、施設総量を抑制する観点から、学校施設跡地や遊休施設を売却してきたほか、既存施設の用途転換や施設の統廃合・廃止に取り組んできました。
将来的には、人口減少が予測される中、区税収入の大きな伸びを期待することは難しく、老朽化した施設にかかる多額の更新費用を確保していくことが困難な状況は変わらないことから、現時点で、施設総量の15%削減目標を撤廃することは考えておりません。
引き続き、今後の人口動向や区民意識の変化、老朽化する施設の更新時期等を見極めながら、施設の再配置に取り組んでまいります。
3、高すぎる国民健康保険料の引き下げを
大きな第3の質問は、高すぎる国民健康保険料の引き下げについて問うものです。
(1)全国知事会が要望する協会けんぽ並みの保険料実現に向けて
1つ目は全国知事会が要望する協会けんぽ並みの保険料実現に向けて、1兆円の公費投入など、国に対して3つの制度改善を求めていただくことです。
今年は、国民健康保険の都道府県化が行われ、介護保険、後期高齢者医療保険と合わせて3保険料のトリプル値上げとなり、区民の家計を直撃しています。
国保加入者の一人当たり平均保険料は、政府の試算でも、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍という水準です。東京23区国保の、統一保険料をベースに考えると、給与年収400万円の4人世帯が、協会けんぽに加入した場合、保険料の本人負担分は年19.8万円ですが、国保加入だと年42.6万円。2倍以上の国保料になっています。
23区に限らず全国でも、国保料が高すぎることが大問題になっています。2014年に全国知事会の社会保障委員会委員長であった栃木県知事が、「協会けんぽ並みの保険料負担率まで引き下げるには約1兆円が必要との試算がある」と発言したことを国保新聞が報道、以来知事会は一貫して、財源手当てを要望しています。
まず1点目の改善は、協会けんぽ並みの国保料水準を実現するため、1兆円の公費負担を行うことを政府に求めていただきたい。合わせて、この知事会要望についての区長の見解をまずお答えください。
2点目の改善は、均等割りの問題です。
東京23区の国保料の「均等割」は、39歳以下の人で1人5.1万円で、家族が一人増えるごとに、負担額が上がっていきます。低所得者には法定減額があるものの、世帯人数が多くなればなるほど保険料が引き上がる「均等割」は、他の医療保険制度にはありません。1兆円の国費(公費)投入をすることで、低所得者の負担を重くするこの制度の改善は可能になります。
均等割りをなくせば、東京23区国保の標準で、給与年収400万円、4人家族だと42万6200円が22万2200円にさがり、協会けんぽの19万8000円に近づきます。年収240万円の20代単身者のケース、75歳未満の年金暮らしのご夫婦のケース、年収300万円のお子さん一人でご商売をされている3人世帯のケースなどでみても、協会けんぽ並みに引き下がります。
全国知事会も、均等割減額を求めていますが、均等割制度そのものをなくすことを国に求めていただきたい。ご答弁ください。
3点目の改善は、生活困窮者の保険料に関する問題です。
国保の保険料は他の制度に比べて突出して高いため、高すぎて払えず、納めると生活保護水準以下の生活に陥ることが明らかなのに、滞納すると、国保法9条では保険証返還を求めるとしているし、長期になると差し押さえたりしています。
こうした生活困窮から、保険料が高すぎて払えない人から保険証を取り上げたり、差し押さえたりする制度を廃止し、常設の免除制度を作ることを政府に求めてください。
以上、3点、政府に求めることについてご答弁ください。
【区の答弁】
ご指摘の全国知事会の要望についてですが、今般の都道府県化の制度改正検討過程における地方関係団体のヒアリングの中で、国保制度が抱える構造的課題の解消を図るための公費負担の規模の試算を発言したものと承知しています。
北区といたしましては、国民健康保険の財政基盤が拡充すること自体は望ましいと考えますが、今年度は、新たな多制度に移行した初年度となりますので、医療費水準の動向や保険料率、被保険者の負担の推移について注視する必要があると考えております。
次に、均等割の廃止についてですが、国保制度は、保険者と被保険者が公費と保険料を分担して、被保険者の将来の疾病リスクに備える仕組みです。
全ての被保険者が保険給付を受ける可能性を有するため、被保険者全てが一定の割合を負担することには合理性が認められます。
そうした趣旨を踏まえ、国民健康保険法施行令第29条の7において国保保険料の賦課割合が定められておりますので、均等割を廃止することを国に求めることは考えておりません。
次に、国民健康保険法第9条の保険証返還や生活困窮による滞納者に対する差し押さえについてです。
国民健康保険制度は、公費と保険料を財源として運営しており、負担能力のある方については、納付義務を履行していただくため、保険証の返還請求や滞納に対する差し押さえも制度として必要と考えます。
また、減免制度につきましては、災害などの特別な事情により一時的に生活が著しく困難となるなど、保険料を減免するに足る限定的な事情が必要と考えられますので、常設の減免制度の創設を国に求めることは考えていません。
(2)北区として子どもの均等割り減額の実現を
国保の2つ目は子どもの均等割減額を北区として実施することです。
東京都でも昭島市、東大和市、清瀬市が、一定の条件で18歳未満の第二子以降の均等割を5割軽減したり、第三子以降を無料にするなどしています。23区国保の下でも、国保料の、均等割分の減額に踏み込むべきです。
18歳以下の第二子以降を5割減額にした場合の試算はいくらになるのか。そして、子どもの均等割り減額の実施を求めます。ご答弁ください。今、北区では高校生の通院費を含めた子ども医療費の窓口負担が無料になっていますが、さらに子どもの均等割保険料の減免に踏み込む区長の決断を求めます。
【区の答弁】
国保年金課発行の「北区の国保」で公表している平成29年度末の年齢階層別被保険者数では、第2子以降の方か否かの区別をしておりませんが、18歳以下の方の3分の1を第2子以降と仮定して均等割額を5割減額した場合の影響額は、年間で概ね5700万円程度と見込まれます。
子どもの均等割の減額については、特別区長会として国および東京都に対し要望しているところです。
北区といたしましては、国保制度改革により、東京都も保険者となっているところから、東京都やほかの自治体の動向も注視してまいります。
(3)国保証の取り上げを行わず生活再建を重視した相談を
国保の3つ目は、生活再建支援を行う相談体制構築についてです。
会派の永井議員は、滋賀県野洲市が、滞納は生活困窮を行政に知らせるシグナルと、債権管理室と市民生活相談課が連携して債務整理・生活再建を支援している事例を紹介しました。税や保険料を滞納するほどの生活困窮に陥るのは、災害や盗難、家族の病気や負傷、事業の不調、さらに多重債務などのケースが考えられるとし、「困っている市民は自ら相談に来ない」という見地から、滞納市民の生活困窮状態をしっかり把握し、執行停止なども行って債務整理を支援し、さらに就労支援などを行うことで、頼りがいのある行政となるほうが長期的な納付意欲につながるという取り組みです。
北区は、滞納対策として、いわゆる納付相談、ワンストップ相談から、生活保護や自立支援につなげるなどのご答弁がありましたが、むしろ、多重債務を抱える前に、区の支援で税や保険料の債務整理ができれば、今後の納付意欲にもつながるとの観点に立ち、
まず1つに滞納者に寄り添う親身な相談体制を部局間連携で構築すること。2つに、生活困窮の際は、徴収の執行停止等を積極的に行うことを求めます。これまでも執行停止の実績があるとのお答えでした。昨年6月8日、参議院厚生労働委員会において「滞納処分の執行停止ができる金額(基準)を市町村に周知したい」旨の答弁がなされています。その生活困窮の北区の客観的判断基準の内容をあわせてご答弁ください。
【区の答弁】
国民健康保険料の納付相談やワンストップ納付相談に置きましては、相談内容に応じて、収入や支出、世帯状況をお尋ねし、必要に応じて生活福祉課やくらしとしごと相談センター等と連携しており、時に債務整理が必要な場合は法テラスの紹介など窓口での丁寧な対応と適切なご案内に努めております。
次に、滞納処分執行停止につきましては、地方税法第15条の7に要件が定められております。
具体的な判断基準は公表しておりませんが、北区としては要件に則り、公平・公正な運営に努めているところです。
今後も、生活困窮の内容を丁寧に聞き取り、親身な相談に努めてまいります。
4、ファミリー世帯、高齢者・障がい者などが安心して住める住宅施策の充実について
大きな第4の質問は、住宅施策の充実について問います。
(1)ファミリー世帯、高齢者・障がい者のための家賃補助制度の実現を
まず、ファミリー世帯、高齢者、障がい者のための家賃補助制度の実現を求めます。
先日行われた住宅対策審議会小委員会に示された資料では、北区の住宅38%が持ち家、35%が民営借家、18%が公共借家ですから、民営借家施策は重要です。しかも、2万1000戸を超える空き家の7割は賃貸です。現在、住宅マスタープランの改定作業が進んでいますが、ファミリー世帯、高齢者や障害者のための賃貸住宅支援施策は依然として課題です。
しかし、高齢者や、ファミリー世帯向けなどの北区の家賃助成はすべてなくなり、民間賃貸住宅に関する施策は、転居費用の助成制度や貸し付け制度と、高齢者の入居が可能な住宅のリストを閲覧するだけになりました。
借家にお住まいのほぼ半分は、年収300万円未満です。しかし、民間借家の平均家賃は8万2000円弱。平米当たり家賃は、公営住宅の4倍にもなります。市場家賃では、家族の多い子育て世帯が、必要な広さの住宅を確保するのはやはり厳しいのです。
先日お話を伺った板橋区でも、豊島区でも子育てファミリー向けの家賃助成制度を継続していました。
そこで質問です。
民間賃貸住宅への家賃補助を改めて始めることを求めますが、ご答弁ください。
【区の答弁】
区では、民間賃貸住宅の家賃助成に変えて、定住化の促進や良質な住宅への居住誘導を図るため、ファミリー世帯転居費助成や高齢者世帯住み替え支援助成および障害者世帯等転居費用助成の支援を行なっており、現在、あらためて家賃補助制度を始めることは、考えておりません。
ご提案の民間賃貸住宅のストック活用については、住宅施策を進める上で、重要な課題の一つとしてとらえており、子育て世帯の定住化とあわせ、現在、取り組んでいる住宅マスタープランの改定作業の中で、検討してまいります。
(2)障がい者のためのグループホームや入所施設の確保について
居住の2つ目に障がい者のグループホームや入所施設の確保について質問します。
支援を受けて地域で自立生活をしている方々も、高齢化とともに急速に進む重度化への対応を考えると、グループホームや入所施設の確保の要望が強まっています。
ちなみに、障害者団体の方々との懇談では、改めて、重度化への支援の強化を強く求められました。
質問します。
滝野川3丁目の新設グループホームに、重度身体障がい者の受け入れ枠を増やし、看護師の配置など人材確保と運営に万全を期すことや、医療的ケアも対応できる医療連携型を含めたグループホームの増設、公有地を活用し、入所施設を区内に建設すること、区内特養ホームに重度身体障害者養護施設の併設など、区民の切実な要望を具体化することを求めますが、ご答弁ください。
【区の答弁】
滝野川3丁目の障がい者グループホームの整備については、重度の障がい者の受け入れや医療的ケアの対応を整備運営事業予定者に求めており、事業予定者からは、定員12名のうち、重症心身障がい者2名、強度行動障がい者3名の提案がありました。
重度身体障碍者の受け入れ枠の増加については、施設整備や人員体制などを勘案して、事業予定者が総合的に判断することになりますが、区は、事業予定者が安定した運営ができるよう必要な支援を行なってまいります。
なお、今後は、障がい者の高齢化や重度化、医療的ケアや親亡き後などに的確に対応できる障がい者の多様な生活の場の確保について、他自治体の取り組みなども参考に研究してまいります。
(3)居住支援協議会のスムースな立ち上げと、登録住宅確保に向けて
居住の3つ目に、居住支援協議会のスムースな立ち上げと、登録住宅確保に絞って3点質問します。
まず第1に居住支援協議会の立ち上げ準備についてです。
年越し派遣村などをきっかけに、市場家賃での生活が困難な方々への居住支援の必要性が浮上し、いわゆる住宅セーフティネット法がつくられ、さらに改正されました。
インターネットカフェやマンガ喫茶などで寝泊まりしながら就労している方々をサポートする住居喪失不安定就労者を支援する事業では、引き続き都内各地でNPOが活動しています。北区でも、生活困窮者自立支援法に基づく就労と住まいの支援事業が、くらしとしごと相談センターで実施されています。
障害者総合支援法で、退院後の地域生活移行支援としても居住支援が行われています。そうした事業に関わる障害者団体も区内には存在します。
設立準備の1点目に、こうした団体の中から居住支援法人を育てることを目標に、住宅課と庁内の福祉部局、さらに居住支援に携わる民間福祉団体との連携強化を求めます。具体的な懇談など連携はどこまで進んでいるのか。ご答弁ください。
設立準備の2点目です。
大家さんや、不動産屋さんなど貸し手側の立場の方々からは、様々なリスクが指摘されており、全国的に登録住宅は未だほんのわずかです。しかし一方で、高齢者や障害者、生活保護受給者のみなさんに親身に対応していただける大家さんやまちの周旋屋さんもおられます。
調布市では、庁内の福祉部局や、まちで住宅改修や見守りに携わっている方々とともに、相談業務の準備に取り組み、ここで培った関係を活かした連係プレーで、NPO職員が相談者とともに不動産屋さんとの賃貸契約交渉に臨み成約実績を上げた事例も紹介されています。
大家さんや不動産屋さんの、見守りの仕組みや、居住支援の仕組みの信頼度を上げることが、登録住宅の確保にもつながります。
そこで質問です。
登録住宅確保に向け、住宅課が、居住支援に関わる福祉関連部局や、福祉団体、住宅不動産関連団体とともに住宅相談窓口の準備を、協議会設立準備と平行して実施し、住宅相談・成約の実績を上げられるよう取り組んでいただきたい。ご答弁ください。
設立準備の3点目に、政府に制度の充実を求めるべきと考えます。
大家さんに対して、家賃を引き下げるために国と自治体で、最大月々4万円、改修費も一戸あたり最大100万円の補助がつくと言っても、法律に明記せず、対象も限定されていることが最大の問題です。
国が責任を持って制度を推進し、自治体が安心して、住宅供給主体や居住者支援に取り組めるよう、さらなる法改正を国に求めていただきたい。ご答弁ください。
【区の答弁】
初めに、居住支援協議会の設立に向けた進捗についてですが、庁内に住宅施策部局と福祉施策部局を中心とした検討会を設置し、情報共有と連携の強化を図っています。
また現在、居住支援協議会の構成員になりうる団体の調査を行なっており、今後、この調査結果をもとに、居住支援関係団体等と、個別具体の連携に関する協議、調整を進めていく予定です。
区といたしましては、住宅確保要配慮者に対するハード面の住宅確保とソフト面の福祉支援を一体的に運用することが重要な課題であると考えており、課題の解決に向けた庁内の横断的な連携について、より一層の強化に努めてまいります。
次に、関係者・関係団体の連携と住宅相談窓口の設置についてです。
住宅確保要配慮者に対する福祉等の支援については、担当部署間で連携し対応していることから、北区居住支援協議会立ち上げ準備としての新たな住宅相談窓口の設置は、考えておりません。
次に、家賃補助制度の法制化、制度化などのセーフティネット法改正を政府に求めることについてです。
区といたしましては、すでに居住支援協議会を設立している東京都や他区が抱えている課題の把握に努めているところです。
今後、北区居住支援協議会の構成員となりうる居住支援団体や不動産関係団体等と居住支援の協議を進める中で、実情や課題の整理をしていきたいと考えており、現段階では、家賃補助制度の法定化等についての法改正を国に求めることは、考えておりません。
(4)公的賃貸住宅の戸数増と活用を政府・東京都に求めよ
居住の4つ目に、公的賃貸住宅の戸数増と活用について問います。
借家暮らしの半分に近い、年収300万円未満の方には、市場家賃での住宅確保は大変な負担です。民間借家の平均家賃は㎡当たり単価は公営住宅の4倍です。登録住宅の確保が進まない現実をみると、やはり、公的住宅を増やすことが不可欠です。
一方、大規模な公的賃貸住宅団地は、三世代同居が困難で、高齢化が進み、いわば一定の所得水準以上の方も、若い方も一緒に団地内に住んでいけるソーシャルミックスを実現するという課題を抱えています。高齢者に住み続けていただきながら、そして入居資格のある方々の入居を促進しながら、ソーシャルミックスも実現するには、公共住宅の、戸数増を図らなければ、対応ができません。
改めて、政府、東京都に公的賃貸住宅の戸数増と活用を働きかけるよう求めます。ご答弁ください。
【区の答弁】
UR都市機構は、民間との役割分担から、新たな賃貸住宅の供給を行わないこととし、今後は、地域医療福祉拠点化の取り組みを推進し、既存の団地を含む地域一帯でのミクストコミュニティの実現をめざすとしています。
また、都営住宅について東京都は、約26万戸の管理戸数を抑制しながら、現在のストックを最大限に活用して、住宅セーフティネットの中核としての機能を果たすとしています。
一方、区内では、UR都市機構や東京都により、大規模団地の建て替えが進んでいます。
UR赤羽台団地では、未活用であった街区において、UR都市機構がUR団地の再生再編に資する賃貸住宅を新たに整備する計画を明らかにしています。
また、都営桐ケ丘団地では、総住戸数約5000戸のうち、これまでの事業進捗により、約4000戸の従前居住者向けの建て替え事業が完了するため、今後の計画で整備が予定される残り1000戸の都営住宅については、新たな入居が期待できます。
区としましては、これらの団地建替計画で、相当数の公的賃貸住宅の供給が見込まれることから、国や東京都にさらなる戸数増等を働きかける予定はありません。
5、コミュニティバスの新規路線を
大きな第5にコミュニティバスの新規路線について質問します。
(1)コミュニティバス展開方針は住民参加で策定を
1つ目に、コミュニティバス展開方針は住民参加で策定することを求めます。
基本計画から新規路線の記述が無くなりましたが、区民の運動も拡がり、区内各地域から、新規路線の展開が求められています。その中で、今年度当初予算の新規事業の説明で、運行中路線の、契約更新に間に合うように展開方針を検討するための調査委託の説明がありました。その中で、展開方針の検討委員会を今年度か来年度には設置するとしました。
区民要望に応えて検討を行なうのですから、新規路線展開を目指し、検討委員会は住民参加で公開で行うよう求めます。
(2)基本計画・中期計画に新路線の具体化を
また、2つめに、路線バスが通らない地域など、区民生活の足になるコミュニティバスであり、より多くの区民に乗車いただけるよう検討を進めて、現在策定中の基本計画・中期計画に新路線の具体化を盛り込むよう求めます。ご答弁ください。
【区の答弁】
本年度、区では、バス事業者との運行に関する協定期間が平成31年度までとなっているため、展開方針策定調査を実施しております。
この調査では、新規路線についても、これまでの導入検討調査の結果を踏まえつつ、社会情勢等の変化をとらえ、新たな視点を取り入れるなど、より効果的な方策を検討しております。
新規路線に向けた検討委員会等の会議体の設置や基本計画等への具体化につきましては、この調査において、区の地域公共交通のあり方等、様々な視点からの検討結果を取りまとめたうえでの判断が必要になると考えています。
6、地域の諸課題について
大きな第6の質問は地域の諸課題から2つ質問します。
(1)高齢者入浴補助券に隣接区の指定浴場拡大を
1つ目は、高齢者ヘルシー入浴補助券の問題です。
現在、北区内27ヵ所と荒川区内2ヵ所の銭湯が利用できる高齢者ヘルシー入浴補助券が70歳以上、所得制限なしで年間24枚交付され、補助券1枚につき、北区内は100円、荒川区内の指定浴場は150円の負担で大変喜ばれています。
お風呂屋さんは、家にお風呂のない方には衛生上も健康上も必要不可欠ですし、新しいきずなができたりするという効用もあり、地域になくてはならない施設です。しかし、以前120軒を超えた銭湯も27軒。「燃料費の重い経費負担」「後継者難」等がある中での「建物・設備の維持」の難しさが廃業の理由と伺っていますが、内風呂が普及する中で、日本の銭湯文化を絶やすことなく健全な経営を維持することに懸命な努力を行っているお風呂屋さんへの支援を強く求めておきます。
その上で、今年も田端1丁目と西ヶ原1丁目で、指定公衆浴場が廃業となってしまいました。高齢者にとっては湯冷めしないですむ距離に銭湯がが必要です。すでに、荒川区の2つの銭湯が指定されています。
そこで質問します。近年、入浴で介護のリスクが減り、健康長寿にも資することが明らかになっています。銭湯がなくなった地域では、隣接区のお風呂屋さんが利用できるよう指定浴場を拡大することを求めます。お答えください。
【区の答弁】
高齢者ヘルシー入浴券事業は、高齢者の閉じこもりを防止し、外出を支援し、社会参加の促進のために実施していますが、年々対象者が増加する一方、入浴券の交付数は、減少傾向にあります。
滝野川地区の入浴券利用率は、王子地区や赤羽地区より低く、ご質問頂いた北区に隣接する荒川区の2ヵ所の指定浴場については、北区内の指定浴場に比べて、さらに利用率が低い状況となっており、現時点で、隣接区の指定浴場拡大を行なうことは、難しいものと考えています。
(2)滝野川会館周辺に高齢者あんしんセンター設置を
地域の課題2つ目は、滝野川会館付近に高齢者あんしんセンターを設置することです。
かつて滝野川保険福祉センターにあった高齢者あんしんセンターが、田端の老人健康保険施設はくちょうが開設され、移転しました。これ自体喜ばしいことですが、そのために滝野川会館周辺は、飛鳥晴山苑にも、はくちょうにも遠くなってしまいました。
質問します。
歩いて相談に行ける距離に確保するため、滝野川会館周辺に高齢者あんしんセンター設置を求めますがご答弁ください。
以上で日本共産党北区議員団を代表しての私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
高齢者あんしんセンターは、基本計画に基づき、地域包括ケアシステム構築の拠点として整備を進め、平成28年には再編を行なって、地域との連携強化などを図りました。
区民の方が歩いて通える範囲に、ふれあい交流サロンなどの様々な通いの場を設けて、担当地域外の高齢者あんしんセンターも利用できるようにしているとともに、訪問による相談も積極的に行なって、高齢者に関する困りごと、心配なことの相談に丁寧に対応しています。
すでに計画事業による整備は終了しており、新たな高齢者あんしんセンターの設置は、考えておりません。