2019年第1回定例会代表質問―やまき直人
2019年2月26日 | やまき直人
私は日本共産党北区議員団を代表し、区長と教育長に大きく4点の質問をいたします。
1、消費税10%増税の中止を求めよ
1点目の質問は、消費税10%増税の中止を求めることについてです。
安倍政権は、10月から消費税を10%に増税する方針を表明しています。先日、日本共産党の志位和夫委員長が北区の十条銀座商店街を訪問し、消費税増税について意見をお聞きしました。経営者の方々からは、「増税には反対だが、10%に上げるなら、品物によって税率を変えるとか、ポイント還元とかやらないでほしい」、「私のまわりのほとんど全員が、今度のやり方に怒っている」。こうした強い批判の声が寄せられました。カード決済によるポイント還元は、複数税率とセットになると、場所や買い方によって税率が5段階にもなり、不公平だと「怨嗟の的」となっています。世論調査でも、国民の6割以上が「ポイント還元」に反対と答えています。
一方、こんな経済情勢のもとで、増税を強行していいのかという国民の声も大きく広がっています。安倍政権は、景気・雇用が好転し、賃金が上がっていることを消費税導入の理由にあげていますが、実質家計消費は、5年前の消費税8%への増税を契機に年間25万円も落ち込み、いまだ増税前の水準を回復していません。また、雇用の改善といっても、増えたという380万人のほとんどは65歳以上の高齢者と高校生・大学生で、減り続ける年金や高い学費のために働かざるをえない状況に追い込まれているのです。さらに、上がったといわれる賃金も毎月勤労統計の不正によってかさ上げされたものであり、昨年の実質賃金が平均マイナス0.5%となった野党の試算を、厚労大臣も事実上認めています。
私が訪問してお話を伺った人たちは、「今でも切り詰めてぎりぎりの生活をしているのに、増税されたら暮らしていけない」、「こんな寒さでも暖房費を節約し、我慢している」と話されていました。これが庶民の偽らざる声です。
ところが花川区長は、1月の年頭挨拶の中で、政府の見解をうのみにして「日本経済に目を転じますと、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています」と述べています。
そこで、1つ目の質問です。いまや消費税増税の根拠は総崩れです。区長は「雇用・所得環境の改善」という認識をあらためるべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
2つ目です。区長に、区民に寄り添うというお気持ちがあるのなら、消費税増税の中止を国に求めるべきです。明確な答弁を求めます。
まず、年頭あいさつの中で申し上げました日本経済の見通しについては、直近における政府の景気に関する公式見解をのべたものです。
次に、消費税率引き上げについて、政府はリーマンショック級な景気悪化がない限り、税率引き上げを実施するとの認識を示しており、あわせて、軽減税率の導入や、様々な経済対策を新年度予算案に盛り込んでいます。
また、消費税の増収分については、社会保障の充実や幼児教育の無償化などに活用されます。
こうした状況を踏まえれば、消費税率10%への引き上げは、国の適切な判断のもと行われるものと認識しています。
2、豊かな教育環境を保障する学校施設の整備・拡充を
大きく2点目の質問は、豊かな教育環境を保障する学校施設の整備・拡充についてです。
日本共産党北区議員団はこのたび、人口増に対応した学校施設の整備を求める緊急提言、「子どもたちにゆとりのある教室と豊かな教育環境を」を発表しました。この提言の内容にそって、以下、質問いたします。
(1)教室不足の現状について
1つ目に、区内小中学校における教室不足の現状について伺います。
先の第4回定例会でのわが会派の質問に、教育長は、「将来的な教室不足を不安視する声も届いている」、「今後、いくつかの学校では、教室不足が予測される」、「関係部課で構成する検討組織を設置して、必要な情報の収集、共有、分析に努める」と答弁しました。
そこで第1に、教室不足の現状と予測はどこまでつかめたのか、検討組織での分析について、お答え下さい。
昨年開かれた学校施設跡地利活用検討委員会では、旧滝野川第六小の跡地を、手狭な滝野川紅葉中の拡充のために利用することを求める強い意見が出されました。同校では、わずか6年で生徒数が1.5倍化し、少人数学習に生徒会室を使わざるを得ないなど、深刻な施設不足に陥っています。普通教室は1学年3教室しかないのに、都の推計では今後5年間、5クラスとなる学級が出続けることになっています。
ところが、検討委員会でも、その最終報告についての地元説明会でも、事務局である区の企画課は、一貫して「教育委員会によれば、教室は足りており、今後も足りなくなることはない」と、教室不足を否定しました。そのため、最終的には保育所や防災施設、東京国際フランス学園への貸付などを柱とする利活用案がまとめられました。
今、教育委員会は「教室不足が予測される」という認識を示していますが、滝紅中でも教室が足りなくなるという認識なら、検討委員会での前提が崩れることになるのではないでしょうか。
そこで第2に、今でも滝紅中の教室は足りなくなることはないと考えているのか、教育委員会の認識を伺います。
第3に、旧滝六小の跡地利活用計画では、滝紅中の教育環境充実について「留意」するとされていますが、計画の中で学校施設確保の優先度をもっと上げるべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
はじめに、教室不足の現状と予測に関する庁内検討組織の分析についてです。
教育委員会では、区が実施する北区人口推計および、東京都が実施する教育人口推計に基づき、児童生徒数の増加等に対応するため、関係部課で構成する検討組織を設けました。
そこでは、各学区域における児童生徒数の増減見込みから必要となる教室数を算出し、普通教室の確保が必要となる学校については、特別活動教室等の活用などを含め、一校一校個別に対応策を検討しています。
その検討過程において、既存の教室のみでは、近い将来、対応が困難と予測される学校もあることから、さらに、中長期的な視点の下、年度ごとに実施すべき具体策等について検討を進めてまいります。
次に、滝野川紅葉中の教室不足について、教育委員会の認識を改めてお答えいたします。
同中学校の普通教室確保にあたっては、改築時点で見込んだ9教室に加えて多目的室3つを転用し、ここ数年の増減では、年度によって新世代学習空間も転用する状況にあることはご指摘の通りです。
一方、改築校である同校舎内は、タブレット導入によって役割を終えたパソコン室など転用可能なスペースもあることから、毎年度の入学者数が把握できた時点で、教育活動に支障がないかどうか、学校側とも緊密な連携を図りながら対応しているところです。
現時点の教育人口等推計では、こうした対応によって、教育環境は維持できるとの見通しをお伝えしたところです。
また、今後、こうした状況が長期化する場合には、あらためて学校関係者と相談の上で、校舎内の修繕を行い、少人数学習のための新たなスペースを設けるなど、必要な措置を講じてまいります。
なお、隣接する旧滝野川第六小跡地については、現在も部活動の大会が近くなった際の練習場所として活用しており、可能な限りこうした活用が継続できるよう区長部局と調整してまいります。
次に、旧滝野川第六小学校施設跡地利活用計画についてです。
今年度、4月に当該学校施設跡地の利活用検討委員会を設置し、北区全体の課題、地域の課題、人口動向等も含めた当該地域の現状などをふまえながら、地域代表者の方をはじめ区民の方からの意見も参考に検討を行いました。
検討委員会から頂いた最終報告を踏まえ、区として利活用計画案を作成し、パブリックコメント、地域説明会を実施しました。
その中でも、検討委員会と同様に、滝野川紅葉中学校の生徒数増による教室不足の懸念などの声も寄せられたところです。
一月には、いただいたご意見等を踏まえ、利活用計画案を一部変更し、「滝野川紅葉中学校をはじめ区内小中学校等の教育活動への協力などの貢献や地域活動への貢献に留意し」といった区の姿勢を改めて示す記載をし、利活用計画を策定したところです。
今後は、引き続き、教育委員会と連携を図り、生徒数の状況等を注視しながら、必要性を見極めたうえで、学校運営、効果的な学習活動の展開など様々な角度からより良い教育環境の確保のために「旧滝野川第六小学校 学校施設跡地利活用計画」も踏まえ、最善の方策について検討していく考えです。
(2)年少人口の増加に対応する教室・校庭など学校施設の整備を
学校施設の整備・拡充の2つ目は、年少人口の増加に対応する教室・校庭など学校施設の整備についてです。
第1に、学校施設の実態調査です。
都の教育人口等推計は、今後5年間で区内全体の小学生が現在より約14%、中学生が約13%増えるとしています。また、最新の北区人口推計では、11年後にピークを迎える小学生人口が約33%増、16年後がピークの中学生人口は約44%増となるとしています。いま対策を講じなければ、明らかに教室は足りなくなります。
そこで、教育員会として、区内小中学校施設の過不足について早急に実態調査を実施することを求めます。その際、人口推計の値を参考にするとともに、住民基本台帳を活用して学区域ごとの人口を集計し、居住実態から児童・生徒数の伸びを割り出すなど、より正確な人口動向をつかむよう改善が必要と考えますが、あわせてお答え下さい。
第2に、改定される小・中学校整備方針と、新たに策定される長寿命化・改築改修計画についてです。
先の第4回定例会で教育長は、今後の児童・生徒数の増加に対応した学校施設の整備について、「小・中学校整備方針」の改定と、新たに策定する「学校長寿命化・改築改修計画」の中で対応策を示すと答弁しています。
現在の学校整備方針では、備えるべき教室や施設の基準が示されていますが、現実には、教室が不足した場合、どの教室をどのように使うかは学校長の裁量にまかされているのが実態です。
そこで、改定される学校整備方針では、将来的な35人・30人学級に対応できる普通教室の整備をはじめ、特別支援教室、特別教室、特別活動教室、校庭などの設置基準を厳格に規定することを求めます。
また、長寿命化・改築改修計画は、この基準に基づき、ゆとりある教室や十分な教育環境が確保できる計画とし、児童・生徒数の弾力的受け入れや転用可能な教室の拡大など基準緩和による教室不足対策はとるべきではありません。教育長の見解を伺います。
第3に、学校施設跡地利活用指針についてです。
現在の利活用指針は2005年に策定されたものであり、その前文に「少子化の進行の中、北区における児童・生徒数の減少傾向に伴う学校の小規模化は今後も続くと予想される」と書かれているように、人口減少が前提となっている方針です。今後10~15年にわたり児童・生徒数が増えていくという推計をふまえれば、跡地は安易に売却をせず、不足する学校施設の代替施設として確保しておくことが重要となります。
そこで、質問です。新しい人口動向をふまえ、学校施設不足に優先的に対応できるよう学校施設跡地利活用指針の改定を求めます。お答え下さい。
第4に、学校整備の予算措置についてです。
今後、区内全小中学校の体育館にエアコンを設置していくこともふまえ、ゆとりのある教室と豊かな教育環境を確保していくためには、学校の改築や改修のための十分な予算が必要となります。
そこで、学校改築基金には、計画的かつ十分な積み立てを行うことを求めます。
教育委員会では、毎年、施設台帳の整備にあたり、各学校に学校施設の使用状況について確認を行っています。
また、翌年度の新入生の就学にあたって、住民基本台帳に基づき、学区域ごとの就学予定人数を算出し、指定校変更による受け入れの可否や必要な教室数の確保策等について、各学校と協議をしています。
その際、教室等の過不足状況や転用等についても確認しているところです。
住民基本台帳の0歳児から5歳児までの学区域別人口につきましては、就学までに変動する要素が多岐にわたるため、今後、有効な活用方法等について検討したいと考えます。
次に、改定する整備方針における設置基準の厳格化に関するご質問にお答えいたします。
現在改訂作業を進めている整備方針では、インクルーシブ教育など新たな課題への対応や放課後子ども総合プラン等の施策との整合を図るとともに、特別活動教室やオープンスペースなどの可変性を高めて、児童生徒の増減に対応できる施設整備について検討を重ねているところです。
改定にあたっては、改めて標準とすべき諸室を整理する予定ですが、こうした諸室の普通教室への転用については、学校ごとの児童生徒の増減傾向の見通しによって、柔軟な対応が必要な場合も想定されることから、どの程度のルール化が可能かを検討してまいります。
なお、現時点において、全学年35人、30人学級に対応した施設整備を行うことは困難であり、別途抜本的な検討が必要と考えています。
次に、学校施設跡地利活用指針についてです。
「学校施設跡地利活用指針」は、学校施設跡地の利活用を計画的、効率的に進めるとともに、区民に説明責任を果たすために、区としての基本的考え方をまとめたものです。
指針では、学校の統廃合により発生した学校跡地は、統合校などの教育環境を整備する間の仮校舎としての利用や、近隣校の改築等の際の利用については、何をおいても優先するとしています。
現在、利活用指針を見直す予定はありませんが、利活用指針に基づく個別の学校施設跡地利活用計画を策定する際には、区の課題、地域の課題、人口等の動向などを踏まえ、検討を行ない、区議会、区民の皆さまの意見も踏まえ、区民共通の貴重な資産の有効な活用となるよう努めてまいります。
次に、学校改築基金への計画的かつ十分な積み立てを行うことについてです。
学校の改築については、学校跡地の財産処分による収益や、区の一般財源を投じ必要な財源を確保して、計画的に事業を進めています。
現在の改築校への対応に加え、今後の改築需要等を勘案すれば、さらなる基金残高の確保が必要であると認識しています。
引き続き、社会経済情勢等を見極め、改築に必要な事業費を精査し、計画的な積み立てを行ってまいります。
(3)小学校の統廃合・削減方針は見直しを
学校施設の整備・拡充の3つ目は、小学校の統廃合・削減方針の見直しについてです。
その第1は、学校適正配置計画です。
十条富士見中サブファミリーブロックでの適正配置協議では、荒川小と十条台小を統合し、十条台小の位置に新校を設置する方針がまとめられ、教育委員会もこれを決定しました。花川区長は、昨年の第2回定例会で、人口増に対応して適正配置計画を見直すと述べましたが、今回の協議の中では、まったく見直された形跡がありません。
そもそも今回の協議では、計画策定時には当面存続規模に満たない学校があったものの、協議のスタート時点ではすでに全校が当面存続規模となっていたのに、そのまま協議が続行されました。学校適正規模等審議会第3次答申の基準に照らせば、全校が当面存続規模となった時点で、今後の様子を見るために協議を止めるべきではなかったのではないでしょうか。
また、大幅な人口増が示された昨年3月の北区人口推計や、北区全体としては教室が不足する予測との認識が最後まで協議会にまともに提起されることなく、協議会委員の間で共有されないまま結論が導き出されたことは、重大な問題であると考えます。これは事務局を務めた教育委員会の責任に属することだと指摘しなければなりません。
こうした協議会の経過をふまえ、十条富士見中サブファミリーブロック適正配置計画については、再検討を求めるものです。教育長の見解を伺います。
第2に、神谷中サブファミリー施設一体型小中一貫校の整備についてです。
これまでも指摘してきた通り、新しくできる一貫校の児童・生徒数予測がすでに大きく膨れ上がっていることに加え、北区人口推計に照らせばさらに増え、現在の設計では教室が足りなくなることも予想されます。
事実上廃校となる稲田小については学校施設機能を残し、一貫校に施設不足が生じた場合に備えておくことが必要だと考えますが、あらためて区の考えをお示し下さい。
まず十条富士見中学校サブファミリーブロックの適正配置計画を再検討することについてです。
当ブロックの適正配置計画は、最新の児童数の動向を計画に反映するため、平成27年に児童数の推計を改めて行い、当面存続規模の小学校が多く、5校すべてが適正規模を確保することが難しい状況であることから、小学校数を3校から4校とする計画に改定しました。
この計画に基づき、平成28年6月に協議を開始し、平成31年1月に決定した協議会方針を踏まえ、教育委員会に置いて適正廃止方針を決定いたしました。
詳細については、所管委員会でご報告いたします。
改定当初においても、新たな人口推計調査結果においても、5校すべてが長期的に適正規模を確保するのは難しい状況であり、協議を継続したものです。
学校適正配置の最終的な目標は、すべての区立小学校が適正規模を確保することにあります。
今後は、平成33年4月に向け、円滑に統合新校を開校できるよう、準備を進めてまいります。
次に、稲田小の機能を残し、小中一貫校の施設不足に備えておくことについてお答えします。
現在計画中の神谷中サブファミリー施設一体型小中一貫校においては、教育人口等推計に加えて現時点で想定される増加要因を見込んで十分な施設規模を確保する予定です。
従って、教育委員会としては、現時点において、小中一貫校の施設不足のために稲田小を存置すべきとの認識は持っておりませんが、稲田小の跡地利活用を検討する時点において、教育委員会として提案すべき点があれば、必要に応じて区長部局に伝えてまいります。
なお、小中一貫校のブロックプランについては、今定例会の所管委員会において、ご報告をさせて頂きます。
(4)公共施設再配置方針の見直しを
学校施設の整備・拡充の最後は、公共施設再配置方針の見直しについてです。
公共施設再配置方針は、20年間で15%の施設削減目標を掲げていますが、この5年間の推移をみれば、現実には人口増などに対応する形で施設面積は拡大しています。すでに方針は、実態とあわなくなっています。しかも、北区が保有する公共施設のうち、約半分を占めるのが学校施設です。
そこで質問です。施設削減目標にこだわるあまり、子どもたちに必要な学校施設を減らしてしまうことがないよう、公共施設再配置方針の目標を抜本的に見直すことを求めます。区長の前向きな答弁を期待するものです。
北区ではこれまで、人口構成や施設需要の変化等により、区民ニーズに合わなくなった施設や役割を終えたと考えられる施設については、用途転換や廃止を行う一方、ここ数年の児童生徒数の増加や学校施設の老朽化に対応するため、教育環境の改善を図るとともに、学校改築といった施設の需要に応えてきました。
施設総量の削減目標については、将来的に人口減少が予測される中、老朽化した施設にかかる多額の更新費用を確保していくことが困難な状況は変わらないことから、現時点で、抜本的に見直すことは考えておりません。
引き続き、今後の人口動向や各学校の状況などを踏まえ、必要な施設機能を確保するとともに、総量抑制の観点から、施設の削減にも取り組んでまいります。
3、いのち・くらし応援の新年度予算を
大きく3点目の質問は、いのち・くらし応援の新年度予算にすることを求めて、4点伺います。
(1)国民健康保険・後期高齢者医療保険の負担軽減を
1つ目は、国民健康保険と後期高齢者医療保険の保険料負担軽減についてです。
まず、国保ですが、保険料は高すぎて限界です。保険証交付の際、7846世帯が保険料滞納を理由に短期保険証になってしまったことを見ても明らかです。保険料の額を4人世帯の例でみると、生活保護基準の方でも年約33万円、年収400万円の世帯だと約42万円にもなります。
日本共産党はこのほど、高すぎる国保料を引き下げ、住民と国保制度を守る政策を発表しました。子どもを含め家族頭割りで課される均等割を廃止すれば、年収400万円、4人家族の保険料約42万円が、約22万円となります。さらに安倍政権の下、巨額の富を手にしている大企業と富裕層への課税強化で1.2兆円の公費投入を行えば、約20万円と、「協会けんぽ」並み保険料にできると提案しています。
こうした主張はわが党だけでなく、全国知事会も「1兆円の公費拡充」を訴え、栃木県の福田知事は、「子どもが増え、保険料が重くなるのは少子化対策に矛盾」と指摘しています。
先の第4回定例会では、北区で2人目以降の子どもの均等割を半額にするための経費は約5700万円との答弁がありました。やる気になれば、国保料引き下げはできます。
次に、後期高齢者医療保険料ですが、年金収入168万円以下の方に実施されている9割、8.5割の均等割特例軽減を廃止し、本則7割にする条例改悪は到底認められないものです。
そこで質問します。
第1は、全国知事会も要請している公費1兆円の投入で、均等割を廃止するなどして国保料を「協会けんぽ並み」とするよう国に求めること。
第2は、北区が独自に均等割減免に取り組み、特に子どもの均等割を軽減すること。
第3は、後期高齢者医療保険料の引き上げ撤回を広域連合に強く求めること。
以上、3点お答え下さい。
はじめに、「公費1兆円の投入で、均等割を廃止し国保料を『協会けんぽ並み』とするよう国に求めること」についてです。
北区といたしましては、特別区長会を通じ、保険者への財政支援と被保険者の保険料負担軽減策の拡充を求めております。
均等割の廃止については、国における審議会等の議論の中で制度の持続可能性を踏まえて検討されるべきものととらえておりますので、現段階で公費投入による均等割廃止を国に求める考えはありません。
次に、北区独自に均等割の減免についてです。
保険料の減免については、個々の世帯の事情等を踏まえて判断すべきものであり、所得金額等、画一的な基準で一律に減免を行うことは適当でないとの厚生労働省見解を聞いておりますので、一律に均等割の減免を行うことは困難であると考えております。
子どもの均等割を軽減することについては、特別区長会を通じ国に対し、多子世帯への支援を求めております。
また、改正国保法可決時には、「子どもに係る均等割保険料の権限措置の導入等については、引き続き議論する」との参議院の付帯決議が付されていることから、国により議論されるべきものと考えております。
次に、後期高齢者医療保険料の軽減特例廃止につきましては、国に対し全国後期高齢者医療広域連合協議会から軽減特例措置の恒久化などを要望してまいりました。
平成28年12月の社会保障制度改革推進本部において均等割の軽減特例の見直しが決定いたしましたが、年金生活者支援給付金などとあわせて実施することとされ、低所得者層の負担増とならないよう配慮されていることから、東京都後期高齢者医療広域連合の議会でも議案が承認されたところです。
(2)児童虐待・DV(ドメスティックバイオレンス)をなくす取り組みの拡充を
いのち・くらし応援の2つ目は、児童虐待・DV(ドメスティックバイオレンス)をなくす取り組みについてです。
千葉県野田市で小学4年生の女児が虐待で死亡した事件は、私たちに大きな衝撃を与えました。なぜ、SOSを発した子どもの命が救えなかったのか。自治体の支援のあり方について、私たちの北区にもおきかえながら、真摯に検証することが求められていると考えます。
事件の全容は未だ明らかではありませんが、女児の母親が父親からDVを受けていたとされています。DVという暴力支配のある家庭では、子どもたちの多くも、精神的虐待や身体的暴力にあっており、その被害の影響は深刻です。したがって、支援の際には、DVと虐待は一体であり、ひとつながりのものととらえ、女性・母親と子どもを連動して保護、支援することを最優先し、暴力をふるう側にも更正プログラムが必要です。
そこで以下、3点うかがいます。
第1に、北区では、DV家庭における被害を受けた母子への支援について、どのように対応しているのか。現状では、児童虐待防止法と、DV防止法による2つの法体系があり、両者の関係機関の連携が強く求められますが、区の取り組みを伺います。
第2に、子ども家庭支援センターやスペースゆう、福祉事務所での専門職の増員による体制強化とともに、学校におけるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの正規化、関係機関の職員研修の充実、学校や区民レベルでのDV・暴力防止教育を推進するよう求めるものです。
暴力は自立と自尊心を奪います。子どものいのちと心を直接救うのに必要なことは、「安全で安心な居場所」「信頼できる関係性」をつくることです。
そこで第3に、北区として、区民とともに民間支援団体とも連携し、一日でも早く、一つでも多く、「安心できる居場所づくり」を推進することを求めます。
具体的には、小学校区に1ヵ所、子ども食堂などの居場所づくりを進め、児童館・子どもセンターの夕刻における事業や、保護が必要な際のシェルターやショートスティの拡充、若年女子へのアウトリーチ相談、自立援助ホームなどへの支援を行うよう求めます。お答えください。
はじめに、DV家庭における被害を受けた母子への支援についてです。
まず、母子の緊急一時保護については、生活福祉課の婦人相談員が東京都女性相談センターと連携して安全安心を確保しています。
また、DV被害女性の精神的・経済的自立に向けた心のケアは、スペースゆうの心と生き方DV相談において行っています。
さらに、目の前でのDVを目撃した子どもの養育環境の改善は、子ども家庭支援センターの保護者面談において行い、子どもの状況によっては、医療機関や児童相談所につなげるなど、庁内外の横断的な連携により支援しています。
次に、関係機関との連携についてです。
DVと児童虐待には相関性があることから、要保護児童対策地域協議会および、配偶者からの暴力防止連絡協議会の合同開催を通じ、児童相談所、警察署、北区医師会、民生児童委員協議会、学校など関係機関との連携を強化しています。
次に、子ども家庭支援センター等での専門職の増員による体制強化についてです。
来年度、子ども家庭支援センターの相談体制の充実を図るため、3名の増員を予定しております。
また、スクールカウンセラーおよび、スクールソーシャルワーカーの常勤化については、国が常勤化に向けた調査研究を引き続き行っておりますので、その結果を注視してまいります。
職員研修については、引き続き、男女共同参画およひ児童虐待防止職員研修の中で実施してまいります。
また、学校や区民へのDV防止に向けた教育や啓発については、引き続き、スペースゆうのデートDV出前講座やDV理解基礎講座により意識啓発に努めてまいります。
最後に、区民と民間支援団体と連携した「安心できる居場所づくり」の推進についてです。
まず、子ども食堂については、より多くの地域で開催されるよう活動を支援し、困難を抱える家庭の子どもたちが安心して過ごせる地域の居場所づくりを推進してまいります。
児童館等においては、引き続き、子どもたちの安心できる居場所となるよう心に寄りそい、健やかな成長につながる事業に取り組んでまいります。
次に、保護が必要な際のシェルターについては、引き続き、東京都女性相談センターとの連携を進めてまいります。
ショートステイについては、利用案件の見直し等を検討いたします。
また、若年女性へのアウトリーチ相談については、平成32年度を初年度とする第6次アゼリアプランの策定作業の中で、検討してまいります。
自立援助ホームについては、将来の児童相談所の設置の検討の中で、支援のあり方について検討いたします。
今後も、北区の子どもたちが「安心できる居場所」を確保するために、民間支援団体との連携を進めてまいります。
(3)保育園・小中学校での給食費は無料に
いのち・くらし応援の3つ目は、保育園や小・中学校での給食費無料化についてです。
日本共産党はかねてから、保育園や学校における給食は、保育・教育の一環であり無料にすべきと求めてきました。
昨今は、子育て世代の経済的負担の軽減や、子どもの貧困における食育の重要性、また学校においては、給食費徴収にかかわる教職員の事務負担軽減という点からも、学校給食の公会計化をすすめ、無料化を提案しています。
すでに全国では自治体独自の施策が実施され、23区でも葛飾区で、第3子からを対象にスタートしています。北区議会にも住民陳情が出され、審査の際、葛飾と同様の制度を北区で実施した場合の費用は、約3200万円と答弁されています。
また、就学援助では、給食費が実費支給となりますが、世田谷区では、学校給食費に限り、就学援助の対象世帯収入を760万円に引き上げ、無料化の対象者を拡充することになりました。
そこで第1に、北区でも学校給食の無料化の拡充を重ねて求めるものです。
またこの度、国が幼児教育・保育の無償化をうちだし、その対象はすべての3歳から5歳児、および住民税非課税世帯の0歳から2歳児としましたが、公立保育所では全額、区市町村の負担となることや、これまで保育料に含まれていた給食費については、3歳児以上から実費徴収するとしています。
日本共産党は、幼児教育・保育の無償化を推進する立場ですが、給食費の実費徴収化は、給食に関する公的責任の後退であり、児童福祉法の理念に反すると考えます。
また、実費徴収の額は、平均で月5000円前後となり、低所得世帯においては、従来の保育料よりも負担が増える世帯が生まれるのも無償化に逆行しています。
さらに、徴収業務をすすめる各保育園の負担も増すことになります。
そこで第2に、国に対し、給食費は実費徴収しないよう求めて下さい。また、区としても独自補助を行うなど、実費徴収とならない対応を求めます。お答え下さい
学校給食は、区が学校給食の実施に必要な施設および設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費を負担し、保護者には、食材費をご負担いただいています。
給食費については、就学援助の対象として、経済的な理由によって支払いが困難な場合は、給食費の全額が支給されています。
対象者の拡充につきましては、現時点では考えておりませんが、他区の状況等を注視してまいります。
次に、保育園の給食費についてです。
国が進める幼児教育・保育の無償化にかかる給食費の取り扱いにつきましては、幼児教育無償化の主旨や適正な利用者負担のあり方等について他区の状況なども調査した上で、引き続き、幼児教育無償化実施までの間、検討を進めてまいりたいと考えております。
(4)高齢者・障がい者・ひとり親・若者の住宅支援拡充を
いのち・くらし応援の4つ目は、高齢者・障がい者・ひとり親・若者のための住宅支援の拡充についてです。
住宅審議会の資料によれば、北区内での持ち家の割合は38%にすぎず、53%が民間住宅や公営住宅などに家賃を支払って居住している住民です。借家に住む区民のほぼ半分は年収300万円未満なのに、民間借家の平均家賃は8万2000円で、家賃負担が重くのしかかっています。
住宅セーフティネット法では、登録住宅制度を定めていますが、登録住宅が確保できれば、大家さんに対して国と自治体で最大月々4万円、改修費も一戸あたり最大100万円の補助が出ることになります。区内には2万1000戸を超える空き家があり、その7割は賃貸住宅という条件も活用して、早急に登録住宅を確保する必要があります。
そこで第1に、登録住宅の確保の前提となる居住支援協議会はいつ立ち上げられるのか、また登録住宅はいつ、何戸確保できるのか、その見通しと、実現に向けての課題についてご答弁願います。
第2の質問は、北区ではそのすべてが廃止となってしまった家賃に関する助成制度の再開についてです。すでに隣接する荒川区、文京区、豊島区、板橋区が家賃に関する補助を実施しています。あらためて高齢者、障がい者、ひとり親世帯、若者・子育て世帯への家賃軽減の実施を求めます。ご答弁ください。
まず、居住支援協議会設立の進捗と登録住宅についてです。
今年度、区が中心となって、住宅に困窮する高齢者等の住宅確保要配慮者に対し、居住の安定確保と民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、不動産関係団体や居住支援団体等で構成する居住支援協議会を設立します。
区は、設立する居住支援協議会において高齢者等の住まいの確保が円滑に進むよう、入居を拒まれない住宅の情報提供を始め、家賃債務保証や保証人の確保、入居後の見守り等の居住支援サービスなど、支援策について検討してまいります。
なお、3月下旬には、「東京都北区居住支援協議会」の設立総会を開催する予定としており、詳細については、本定例会の所管委員会で報告します。
また、ご案内の登録住宅は、住宅セーフティネット法に基づき、規模や構造等について一定の基準を満たした賃貸住宅を住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として賃貸する事業者が登録申請し、都道府県知事が登録するものです。
東京都では、2025年度までに3万戸の登録を目指しておりますが、登録制度の創設から間もないこともあり、現在の登録戸数は都内で288戸となっており、北区内での登録はございません。
区といたしましては、東京都と連携し、不動産関係団体等に対し、高齢者等の住宅確保に有効な登録制度の内容やメリットなどに関する周知を図ってまいります。
次に、高齢者、障がい者、ひとり親世帯、若者・子育て世帯への家賃軽減の実施についてお答えします。
区では、民間賃貸住宅の家賃助成に代えて、定住化の促進や良質な住宅への住居誘導を図るため、ファミリー世帯転居費用助成や高齢者世帯住み替え支援助成および障害者世帯等転居費用助成の支援を行っており、改めて家賃補助制度を始めることは、考えておりません。
住宅確保要配慮者に対する有効な支援策については、住宅マスタープランの改定作業や居住支援協議会において、議論してまいりたいと考えています。
4、地域の諸課題について
大きく4点目の質問は、地域の諸課題について3点です。
(1)コミュニティバスの新規路線を
1つ目の質問は、コミュニティバスの新規路線についてです。
現在の基本計画では新規路線の項目が欠落しましたが、今年度は、住民のねばり強い運動で展開方針策定調査費が予算化されました。そして、新年度予算案では地域公共交通会議の開催など、新規路線導入を含めた方策について検討する予算が計上されました。区民要望実現への第一歩として評価するものです。
北区は高齢化率が23区一番でありながら、崖線が多く、高齢者や障がい者には移動が大きな負担となっています。コミュニティバスの運行については、北区は当初、交通困難地域として区内5路線を候補に挙げましたが、現在の田端・駒込ルートが実現したのみです。その後も区内各地域で新規路線を求める要望は根強く、先日の予算要望懇談会では北区医師会からも患者さんの利便性を考慮し、コミュニティバス運行の要望が出されたほどです。滝野川地区の自治会連合会からも、議員との懇談会「あすか会」の中で、毎年要望が出されています。
最初の路線選定時に、2番目に必要性が認められた滝野川地域では、昨年、区民事務所滝野川西分室が廃止となり、板橋駅周辺の住民は区役所や滝野川会館など公共施設への交通環境の不便さを改めて身にしみて感じています。
そこで、質問します。コミュニティバスの新規路線について、根強い住民要望がある滝野川西地域などで早期に実現できるよう検討を進めるべきと思いますが、お答え下さい。
区といたしましては、高齢者をはじめ、だれもが安全で快適に移動できるまちをめざしており、地域公共交通等の整備は、重要な移動手段の確保になると考えております。
来年度からは、地域公共交通会議等を設置し、2ヵ年で、新規路線の導入など、より効果的な計画を策定する予定としております。
引き続き、地域公共交通等の充実について、検討してまいります。
(2)滝野川・王子本町に特別養護老人ホーム等の増設を
2つ目の質問は、滝野川・王子本町の地域に、多床室も併設する特別養護老人ホームや介護老人保健施設を増設することについてです。
区内の特養ホーム待機者は、昨年12月1日現在で659名となっています。滝野川1丁目から7丁目や王子本町地域には特養ホームが全くないため、地域住民のみなさんは花川区長に対し、この地域に特養や老健施設を建設して欲しいと署名を提出しています。
建設予定地については、一例ですが、王子本町2丁目の都営住宅に隣接する都営住宅跡地があります。この土地は国有地で、東京都が国から借りていますが、建て替え計画はないと聞いています。王子駅や十条駅にも近く、周囲は区の中央図書館や中央公園の一部が広がって、大変環境に恵まれた場所となっています。
そこで、質問します。この跡地の活用も視野に入れながら、区として多床室を含む特別養護老人ホームや介護老人保健施設の建設を新しい基本計画に組み込むべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
特別養護老人ホーム等の整備については、これまでも介護保険事業計画に基づく必要量などを踏まえ、計画的な整備を行っており、現在も、王子六丁目に特別養護老人ホーム、旧赤羽中学校跡地に介護老人保健施設の整備を進めています。
引き続き、施設整備については、待機者数の推移や利用者ニーズなども勘案し、整備地域の精査など、必要な対応を次期基本計画および中期計画の改定の中で検討してまいります。
(3)板橋駅にホームドアの設置を
3つ目の質問は、板橋駅のホームドア設置についてです。
都内のJRでバリアフリーが一番遅れていると言われていた板橋駅に念願のエレベーターとエスカレーターが設置されました。とても喜ばしいことですが、駅のホーム幅が狭く、朝夕のラッシュ時にはエレベーター、エスカレーター、階段からの乗降客で大変危険な状況です。都内では、ホームからの転落事故も増えています。
誰もが板橋駅を安全・安心に利用できるよう、北区がJRにホームドアの早期設置を働きかけるよう求めます。お答え下さい。
以上で質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
JR東日本は、東京圏におけるホームドアの整備計画を公表しており、その中で、平成32年度第1四半期までに整備する駅について示しておりますが、板橋駅を含む埼京線各駅につきましては、第2四半期以降に乗降人員や車両の扉位置などを考慮し、整備する計画とされております。
区といたしましては、板橋駅における利用者の安全確保に向け、引き続きホームドアの早期設置について、JR東日本へ申し入れてまいります。