2019年第2回定例会代表質問―さがらとしこ
2019年6月19日 | さがらとしこ
こんにちは。日本共産党北区議員団です。
代表質問に先立ちまして、昨夜発生した、新潟県と山形県を中心とした地震による被災者の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。
それでは質問に入ります。10月からの10%増税を中止し、くらしに希望がもてる施策推進を政府に求めることをはじめ、大きく8つの質問を行います。
1、10%消費税は中止し、消費税に頼らない別の道でくらしに希望を
はじめに、10%消費税を中止し、消費税に頼らない別の道で、くらしに希望をもてる施策を実現することについてです。
金融庁が6月3日に発表した報告書に、「なにが100年安心の年金だ」、「消費税の増税分は社会保障財源などと言いながら、まったく話が違うじゃないか」と、今も国民の怒りは拡がっています。それは、「老後の資金は年金だけでは足りず、「夫婦で2000万円」が必要と、国民の不安を逆手にとって、投資をあおり、老後の備えは年金より「自助努力を」と強調したからです。
2ヵ月ぶりにようやく開かれた6月10日の参議院決算委員会で、日本共産党小池晃参議院議員は、「あまりに身勝手で無責任だ」と政府を厳しく批判するとともに、「マクロ経済スライド」を続ければ、41歳以下の現役世代では、老後の年金不足額は夫婦で3600万円にまで拡大すると指摘。いま政府がやるべきことは、年金の自動削減の仕組みである「マクロ経済スライド」を廃止し、減らない年金、生活できる年金へ底上げすること。増税に頼らない、年金制度の立て直しだと国にせまりました。
日本共産党は、10%消費税に頼らない別の道で、くらしを支える「3つのプラン」を発表し、その実現をめざしています。
具体的には、中小企業の賃上げ支援制度をつくり、最低賃金を1500円に引き上げること。 大学や専門学校の授業料を半額にしてお金の心配なく学び、子育てできる社会にすること。減らない年金の実現と、低年金者に月額5000円、年額6万円の上乗せをおこない、くらしを支える安心の社会保障にすること。これが、くらしに希望がもてる「3つのプラン」で、実現に必要な予算は、合わせて7兆5000億円です。
財源をどう確保するのか。
1つは、内部留保を440兆円もため込んでいる大企業に、中小企業の皆さん並みに法人税を納めていただくことで4兆円。2つに、アベノミクスで儲けた大株主の優遇税制をただし、最高税率を引き上げることで3兆1000億円。3つには、米軍への「思いやり予算」などを廃止することで4000億円。合わせて7兆5000億円の財源をつくることができます。
消費税に頼らなくても実現できる道、これこそ、区民のくらしを応援し、日本経済を活性化させる最も効果的な景気対策であり、くらしに希望をもつことができる道ではありませんか。
昨年10月、特別区長会は、「消費税10%の影響額は2000億円に迫る規模であり、特別区における人口50万人程度の財政規模に相当する衝撃的な額」と指摘しました。北区にとっても、71億円の影響がでることは、先の予算委員会でも明らかにされましたが、消費税に頼らない別の道こそこの衝撃的な影響を回避し、地方税財源の充実強化を図る確かな道ではありませんか。
質問します。今からでも遅くありません。10%消費税は中止するよう政府に求めてください。
本年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに向け、低所得者対策や、様々な経済対策が講じられるほか、幼児教育無償化の実施に向けた準備が進められています。
また、消費税率引き上げに伴う増収分は、全額社会保障の財源として活用するとされており、北区においても、「子育て」「長生き」を中心とした施策に活用してまいります。
こうした状況を踏まえれば、消費税率10%への引き上げは、国の適切な判断のもと行われるものと認識しており、中止を求めていくことは考えておりません。
2、くらしを支える社会保障、国民健康保制度を求めて
大きく2つ目の質問は、くらしを支える安心の社会保障にすることです。
質問冒頭の年金問題に加え、国民皆保険の根幹をなす国民健康保険をくらしを支える安心の制度にすることについてです。
5年前、NHKが放映した「老人漂流社会〝老後破産〟の現実」の番組は、豊かさを誇る日本社会の中で起きている、ひとり暮らし高齢者の生活と孤立の実態を、厳しく告発する内容で、社会に大きな衝撃を与えました。覚えておられますか。
実名で登場した3人の高齢者のうち、港区に住む男性は年金10万円、家賃は6万円、1日1500円で生活している。電気代が払えず、止められたまま、電気なしの生活。「お金がないと、友だちもいなくなる」と。
2人目の方は秋田県の女性で、年金は月2万5000円。その中から2500円を医療費としての支払いにあてている。
3人目の方は、桐ヶ丘団地で在宅介護を受けていた女性。月7万9000円の年金から、介護保険利用料3万円、配食サービス2万円などを払うと毎月3万円の赤字となっている。
私は、この番組の中で、明治学院大学の河合克義教授が指摘されたことを、忘れることができません。それは、1つに、生活できる年金が保障されていない3人の単身高齢者が、貧困と孤立の状態に陥り、人間の尊厳が脅かされていること。2つに、社会保障の自己負担が、最低生活水準とは無関係に重くのしかかっていること。
つまり、社会保障の諸制度の自己負担が、国民が生活できるかどうかに関係なく設定されており、これは解決されなければならない課題であると指摘されたことです。
あれから5年経ちますが、こうした実態が少しでも解決されてきているでしょうか。単身高齢者だけではありません。いま、生活を維持するための収入をはるかに超える国民健康保険料に、区民からは「高すぎて、払いたくても払えない」という悲鳴があがっています。
「都道府県化」のもと、この4月から保険料はさらに値上げされ、6月に入ると区民にその通知が届きました。子どもにもかかる均等割りは年額5万2200円になりました。この間、区の窓口には、区民からの問い合わせや、怒りの声などが相当数届いているのではありませんか。
やっと保険料を払い込んで保険証が届いても、今度は窓口での支払いができないために受診を我慢するという、本末転倒の事態さえ報告される中、このままでは皆保険制度が崩壊しかねないと、いま、全国では、子どもの均等割減免など、自治体独自の軽減策が拡がっています。
日本共産党北区議員団は、新年度の予算組み替え提案で、特定の目的を持たない財政調整基金を活用して、11項目の区民生活を応援する施策を提案してきました。
今議会の補正予算案に入学準備金の増額支給が入ったことは評価しますが、国民健康保険料減額の実施をあらためて求め、以下2点質問します。
(1)1兆円の公費投入で、国保料の抜本的な引き下げを国に求めること
全国知事会、特別区長会も要望し、まさに地方自治体あげての課題である、1兆円の公費投入で、国保料の抜本的引き下げを国に求めること。
(2)北区として 18 歳未満の均等割を半額にすること
北区として1億1000万円を活用し、18歳未満の均等割りを半額にすること。
以上2点、積極的な答弁を求めます。
はじめに、1兆円の公費投入で、国保料の抜本的な引き下げを国に求めることについてです。
国民健康保険の被保険者は、高齢者が多いことなどから、加入者一人当たりの医療費が増加傾向にあり、保険料を引き上げる原因の一つとなっています。
区といたしましては、国民健康保険制度がこうした構造的な課題を抱えていることを踏まえ、安定的かつ持続的に運営できるよう、保険者へのさらなる財政支援と被保険者の保険料負担軽減策の拡充を、特別区長会を通じて、国へ求めてきました。
今後も引き続き、国庫負担を充実させ、国保財政基盤を強化拡充することなど、さらなる財政支援を求めてまいります。
次に、北区として18歳未満の均等割を半額にすることについてです。
保険料の減免については、個々の世帯の事情等を踏まえて判断するものであり、所得金額や子どもの人数などといった画一的な基準で減免することは適当ではない、との厚生労働省の見解があり、区独自の判断で減免することは考えておりません。
一方で、多子世帯への支援など、子育て世帯の経済的負担を軽減するために、子どもにかかる均等割の軽減措置を、特別区長会を通じて、国へ求めております。
国は、こうした地方からの提案を踏まえ、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響などを考慮しながら、引き続き議論していくこととしており、今後の動向を注視してまいります。
3、保育の質の向上と待機児解消へ、ひきつづき認可保育園増設を
大きく3つ目の質問は、保育の質の向上と待機児解消へ、ひきつづき認可保育園の増設を求めるものです。
政府は消費税10%引き上げを財源に、この10月から、幼児教育・保育の「無償化」をするとしています。国の認可保育園の無償化の対象は、3歳~5歳児は全世帯、そして0歳~2歳児は非課税世帯のみというものです。このうち3歳~5歳児については、これまで利用料に含まれていた副食分を無償化対象から外し、各園で徴収するというものです。その実施主体は、自治体です。
日本共産党は、幼児教育・保育の無償化は国際的な流れであり、良質な保育、幼児教育をすべての子どもに無償で提供することは、子どもの成長、発達の権利の保障として大事な政策であり、国の責任であること。したがってその財源は全額国が負担すべきと主張し、消費税10%を財源とする政府の「子ども・子育て支援改定法」に反対してきました。
幼児教育・保育の財源を消費税に求めることは、とりわけ低所得の子育て世帯にとって重い負担となることは明らかだからです。生活保護世帯、ひとり親世帯の住民税非課税世帯は、今でも保育料は無償の措置が取られており、新たな負担軽減はありません。
また、安倍政権の「無償化」は、保育の在り方を根本からゆがめる恐れを指摘します。保育士の配置数や保育室の面積などで、国の基準を満たさない認可外施設の利用者も、公的補助の対象となるため、「保育の質」が保てない施設に国がお墨付きをあたえることになります。「無償化はありがたいけれど、子どもの事故、死亡事故が心配」という声があがるのも当然で、死亡事故件数でみると、認可外施設では認可保育園の25倍となっています。
「無償化」費用の自治体負担も、私立保育園は国が半分補助するのに対して、公立保育園は市町村が全額負担する仕組みのため、公立園の廃止、民営化にさらに拍車がかかる危険があります。安全、安心を置き去りにして、保育に対する公的責任を後退させることは、国民の願いと相いれません。
政府はさかんに「無償化」「公平性」といいますが、日本共産党は消費税増税に頼らず、保育の質を保障することを提案しています。保育士不足を規制緩和せですますのではなく、この間の北区の保育園増設と保育士確保の経験が示すように、乳幼児のいのちを預かり、育てるという保育労働にみあった賃金や処遇の改善こそが喫緊の課題です。
さらに、「無償化」の一方で、給食費の一部が有料化されるようなことがあってはなりません。
給食は食育という保育の大切な内容です。そこで以下、4点質問します。
(1)区立・認可保育園の増設を計画化すること
区立・認可保育園の増設を計画化すること。
(2)保育士の安定的確保のため、家賃補助を継続するとともに、国に月5万円の賃上げを求めること
保育士の安定的な確保のため、家賃補助制度の継続とともに、国に月額5万円の賃金引き上げをおこなうよう求めること。
(3)認可基準を満たしていない保育施設の実態を調査し、指導監督を徹底すること
認可基準を満たしていない保育施設の実態を調査すること。さらに、指導監督を徹底することです。
(4) 政府の「無償化」に伴う、保護者の給食費実費負担や保育園での徴収実務は行わないよう対応すること
政府の「無償化」に伴う、保護者の給食費実費負担や、保育園に徴収事務をおこなわせることがないよう、実施主体としての責任を果たすことを求めます。
以上お答えください。
まず、区立・認可保育園の増設を計画化することについてです。
待機児童解消に向けては、認可保育園を中心に、民間施設の誘致を基本としながらも、あらゆる方策を検討し、地域の保育需要等に配慮しながら進めてまいります。
また、引き続き、私立幼稚園における長時間預かり保育の拡充を推進するなど、スピード感を持って待機児童の解消を進めてまいります。
次に、保育士安定的確保のための処遇等についてです。
民営保育施設の職員を対象とした宿舎借り上げ助成制度は、保育士確保の上でとても有効な制度であると認識しております。
現在の保育士確保が困難な状況にあっては、引き続き継続されることが望ましいと考えております。
国や東京都では、近年、保育士の処遇改善のための補助制度を充実させてきているところではありますが、引き続き特別区長会等を通じて、保育人材の安定確保について、要望を行ってまいります。
次に、認可基準を満たしていない保育施設への実態調査、指導監督についてです。
ベビーホテル等の認可外保育施設につきましては、東京都が実施する指導検査および巡回訪問の際に区職員が同行し、事故防止などの実施状況を確認しております。
今年10月からはベビーホテル等の認可外保育施設も幼児教育無償化の対象になることから、今後は、区においても独自での立ち入りの機会を設けることで運営実態の把握に努め、必要に応じて、指導検査権限を持つ東京都と連携し、対応してまいります。
次に、無償化に伴う保護者の給食費実費負担等についてです。
国が進める幼児教育・保育の無償化に係る給食費の取り扱いにつきましては、幼児教育無償化の主旨や適正な利用者負担のあり方、さらには、各施設における事務負担等について、他区の状況なども調査した上で、引き続き幼児教育無償化実施までの間、検討を進めてまいりたいと考えております。
4、加齢性難聴者の補聴器購入助成制度を求めて
大きく4つ目の質問は、加齢によっておこる難聴について、補聴器購入の補助制度の創設を国に求めることとや、北区の購入費補助や現物支給制度をつくることを求めるものです。
人は誰でも加齢とともに高い音から徐々に聴こえにくくなり、70歳以上の半数の方に難聴があるとされています。言葉が聞こえにくくなると認知機能が低下して、コミュニケーションにも支障がでて社会的に孤立し、さらに認知症のリスクが高まるといわれます。
難聴になったら、なるべく早い補聴器の使用が、聴こえのバリアフリーに大切です。でも、補聴器は15万円から30万円以上と高価なため、「年金暮らしでは手が出ない」との声があります。
現在の公的補助は、障がい者手帳をもつ重度の難聴の方に限られていますが、江東区では「高齢者補聴器の現物支給」を、豊島区や葛飾区、墨田区では高齢者への「補聴器購入助成」をおこなっています。千代田区では、身体障がい者手帳の対象とならない聴力程度の区民に、購入費助成を実施しています。
また、イギリスやフランス、ドイツなど欧米諸国では医療の問題として補助がおこなわれているため、その保有率は4割から5割に対し、日本は14.4%に過ぎないと国会での明らかになっています。そこで、2点質問します。
(1)北区で補聴器の現物支給または購入費助成制度をつくること
北区として、補聴器の現物支給または、購入費助成を実施すること。
(2)国に公的助成や相談体制、医療支援の充実を求めること
国に公費助成制度の創設と、相談体制や医療としての支援を求めてください。
以上、お答えください。
区では、身体障害者手帳の所持者を対象に、障害者総合支援法に基づき、補聴器の購入費助成を行っています。
窓口等で加齢性難聴の相談があった場合、個々の状況によりますが、医師への相談や身体障害者手帳の取得のご案内をしています。
国に対する要望を含め、身体障害者手帳を所持していない加齢制難聴者に対する補聴器の現物支給または購入費助成制度については、他自治体の取り組み状況の把握に努め、今後の検討課題とさせていただきます。
5、安心して住み続けられる公共住宅の施策推進を求めて
大きく5つめの質問は、安心して住み続けられる都営住宅、区営住宅などの公共住宅の施策推進についてです。
新年度、東京都は都市整備局の組織改正をおこない、住宅政策本部を設置しました。また、今年5月には、東京都住宅審議会から「都営住宅における管理制度等の在り方について」の答申が出されました。この中で、都営住宅の高齢化と単身化の進行、近年における子育て世帯への支援、さらに今日的な課題となっている、いわゆる就職氷河期世代のように低収入で住宅に困窮する若年単身者の課題など、住宅セーフティネット機能の中核を担う都営住宅の役割がクローズアップされています。
区内の公共賃貸住宅の現状は、昨年4月現在、都営住宅、区営住宅、UR都市機構住宅など、合わせて2万9000戸。全住宅戸数の17%を占めます。これだけ多くを保有する北区ですから、都に新たな専門組織が設置されたことを力に、住宅政策の推進をはかることが大切と考えます。
それぞれバリアフリー化などの改修や建替えなどもすすめられていますが、都営住宅と区営住宅における人口バランス、多世代がともにくらすことができる住環境の整備、公共住宅として今の社会的要請にどう応えてゆくのかについて。以下4点、質問します。
(1)子育て世帯へのさらなる住宅施策の推進を求めて
子育て世帯の10年間という期限付き入居制度の見直しです。この間、対象範囲は拡大され、高校修了期までの子どもがいる世帯となっていますが、さらに子どもの就学時期に応じて入居期間の延長ができるようにすること。また、ひとり親にも門戸を広げることを求めます。
ご案内の答申の中では、現在、期限付きで、定期使用住宅に入居している世帯の子どもが在学中に退去し、転校を余儀なくされることのないよう、就学期に応じて入居期間を延長することができる仕組みを整備するべきである、との提言がなされています。
住宅に困窮する子育て世帯が、安心して子どもを育て、健やかに成長できるよう、住宅面で支援することは重要であり、子育て世帯の制限付き入居制度の改善は、若年層の誘致にも有効であると認識していることから、今後の東京都の動向に注視してまいります。
一方、区営住宅においては、大規模な都営住宅に比べ、管理戸数は限られており、一律に都営住宅と同様な制度を導入することについては、難しいと考えています。
(2)単身者の入居対象を広げることと、承継条件の改善について
単身者の入居条件の改善です。現在、単身者の入居基準は、男女ともに60歳以上となっていますが、低収入で、住宅に困窮する若年単身者にも入居対象を広げることです。
また、名義人がなくなられたあとの使用承継の改善を求めます。障害者手帳と精神障害者手帳は1級から3級、愛の手帳は4度までは承継できます。しかし、60歳未満の方は名義人名が亡くなられた後、6ヵ月以内に都営・区営住宅からの退去が求められます。しかし、退去を余儀なくされる方の多くは、親の在宅介護のために非正規雇用の道を選択せざるをえなかった低所得の方、手帳を持たない引きこもり状態の方、病気のために外で働くことが困難な方など、まさに住宅セーフティネット制度の対象ではありませんか。公共住宅としての役割にてらせば、新たな住宅困窮者をつくりだすのではなく、「承継基準」を見直すことこそ必要ではありませんか。改善を求めます。
現在、区では、高齢者の単身世帯向け区営住宅として、シルバーピア事業を行なっていますが、小規模な区営住宅のストックの中で、若者をはじめ、多様な世代を対象とした住戸の確保は、難しい課題であると考えています。
また、承継基準の見直しについては、入居を希望されている区民の入居機会を減ずることのないよう、配慮する必要があると考えており、区といたしましては、ご案内の答申を踏まえ、東京都の動向に注視してまいります。
(3)高齢世帯の急増に対応できる、生活支援員配置などの支援強化について
区内で最も高齢化率が高いまちは、桐ヶ丘1丁目の58.2%です。桐ヶ丘1丁目の世帯数は昨年4月現在で2468世帯、4203人と、都営桐ヶ丘団地の8割を占めています。さらに調査してみると、単身世帯は1000世帯を超えて高齢者人口の4割以上、うち女性の単身世帯は2人に一人です。また、高齢者だけの世帯は340世帯と、約3割となっています。
年齢構成でみると、75歳以上の後期高齢者が7割となっています。また、90歳を超してなお、単身またはご夫婦で暮らしておられる方が多いことも、わかりました。
このような実態をふまえれば、住宅管理の上からも、もっと生活支援への対応が急がれるのではないでしょうか。東京都は「高齢者見守り相談窓口設置事業」をすすめています。もちろん、この地域ではCSWを配置した北区社会福祉協議会、やまぶき荘地域包括支援センター、そして自治会、民生委員などの地域支えあい、地域包括ケアへの努力がつづけられています。
さらに、障がい者雇用に長年取り組んでいる社会福祉法人ドリームブイが中心となって、空き店舗を活用した常設のサロン運営や配食サービスで雇用と居場所づくり、そして見守り活動も定着してきています。
単身・高齢化の著しい都営桐ヶ丘団地を中心に、都営住宅管理者として巡回相談員の配置だけでなく、医療や介護、福祉などの専門的知識と経験を持って、高齢者の孤立化を防ぎ、必要な医療や介護、地域活動につなげてゆくことができる、生活支援組織も必要になっています。
北区としては今年度から、区営住宅にお住まいの75歳以上の希望者への見守りを始めたことは、高齢者の孤立化を防ぐ上でも大変大事な取り組みです。さらにもう一歩、医療と福祉との連携を強めていただくこと。東京都には、アウトリーチ型の生活支援相談員の配置を求めます。
桐ヶ丘地域では、桐ヶ丘やまぶき荘高齢者あんしんセンターに、見守りコーディネーターを兼ねる生活支援コーディネーターを配置し、アウトリーチ型の相談も行なっています。
この地域は高齢者数が多いため、赤羽台団地の中に出張窓口を開設するとともに、あんしんセンターにも基準より多く職員を配置しています。
引き続き、おたがいさまネットワークの見守り事業を強化するとともに、高齢者への総合相談機能の充実を図ってまいります。
(4)風呂釜などの修繕は、都・区の責任で実施すること
風呂釜などの修繕については、2020年4月に施行される民法改正にあわせ、居住者負担ではなく家主負担、つまり、東京都ならびに北区の責任で実施することを求めます。
以上、4点お答えください。
現在、区では、都営住宅の基準を準用し、空き室の修繕にあわせて、風呂釜などを順次、設置しています。
区営住宅における、風呂釜などの修繕負担区分の見直しについては、来年4月の改正民法の施行に向けて、既に改定されている国土交通省の賃貸住宅標準契約書を参考に、都営住宅や他区の動向を踏まえて検討してまいります。
6、都営桐ヶ丘団地に計画されている(仮称)区民センターについて
大きく6つめの質問は、(仮称)桐ヶ丘区民センター建設を早期に実現することについてです。
都営桐ヶ丘団地では、5期25年にわたる建替え事業から、いよいよ第6期の再生事業、つまり、敷地南側の広大な創出用地約4haの用地を活用した(仮称)桐ヶ丘区民センターや商業施設をはじめ生活関連施設整備、敷地北側には1000戸の新規都営住宅建設など、新たなまちづくりへすすもうとしています。もちろん、私がこれまで求め続けてきた、桐ヶ丘郷小学校の改築用地確保や、医療と介護関連施設整備、さらに桐ヶ丘体育館建替えなどの課題もあります。
今議会では、いつまでも安心して住み続けられる地域の大切な拠り所、コミュニティの核として、お風呂のある(仮称)桐ヶ丘区民センターの早期実現を求めます。
今年の春、北区シニア連の会長職を永年お勤めになられた方から、こんなお話を伺いました。それは、「建替えで新しい住宅に移れたけれど、95歳になっての一人暮らし。いま一番心配なことは、お風呂で亡くなる方のこと。引っ越しが終わってやれやれと思っているときに、永くからの友達がお風呂で亡くなっていたという話は何人も。だから自宅のお風呂には入らないようにしているの。前のように、銭湯があったらいいなあって、つくづく思う。友達と一緒にお風呂に入れたら安心だもの。それが、いま一番の願い。生きているうちにつくってほしい」。
桐ヶ丘連合シニア連としても、すでに区長要請が提出され、また、桐ヶ丘連合自治会は、昨年度の総会方針の第1に、区民センター建設、早期実現を掲げています。もちろん、北区が予定している創出用地での建設となれば、商店街をはじめ地域の理解と協力が必要ですが、身近なところにお風呂のある区民センターができれば、生きがいや交流の場ともなり、さらにコミュニティが広がって、孤立化を防ぐことにつながります。
私はこれまで、八王子市の都営長房団地では、建替えに際して住宅棟の1階にお風呂のあるふれあい館がつくられていることを紹介してきました。区長のかかげる長生き一番施策を、高齢化が最もすすむこの地域で、早く実現することを求めるものです。そこで以下2点、質問します。
(1)お風呂のある施設として、「北区基本計画2020」に位置づけること
地域住民の長年にわたる切実な要請にお応えいただきたい。そのために、「北区基本計画2020」には、開設時期をふくめて明記し、事業化に踏み出すよう求めます。
(仮称)桐ヶ丘区民センターは、「北区基本計画2015」において、令和2年度からの後期5ヵ年の中で整備を計画化しています。
また、都営桐ヶ丘団地第6期建替計画においては、団地南側に位置する創出用地Aに、整備することが位置づけられています。
区民センターの整備時期については、団地内に新設する公共公益施設の再配置などの協議や建替事業の進捗、さらには建設予定箇所となる創出用地Aの事業環境が整う必要があり、現時点で明確にすることは難しい状況にあります。
区といたしましては、地域の方々の期待に早期に応えられるよう、改定する新基本計画に改めて計画事業として位置づけ、区民センターに整備する個別の施設や機能などについては、区の課題、地域の課題を踏まえつつ、公共施設再配置方針等と整合を図り検討を深めてまいります。
(2)桐ケ丘地域振興室のバリア解消のため、旧桐ケ丘分室などの活用を
当面の問題として、桐ヶ丘地域振興室の入り口が2階となっていて、階段を十数段上らなければならないことから、バリア解消のために旧桐ヶ丘分室などの活用をはかることです。
以上2点、お答えください。
施設の2階にある桐ヶ丘地域振興室は、旧桐ヶ丘児童館を活用しており、階段のみとなっています。
このため、地域の皆さまをはじめ、施設利用の皆様にご不便をおかけしていることは、十分認識しておりますので、今後の区民センターの整備状況や他の行政需要を見極めながら、バリア解消に向けて検討してまいります。
7、ヌーヴェル赤羽台地域における諸課題について
大きく7点目は、ヌーヴェル赤羽台地域の新たな建設計画にかかわり、3点質問します。
(1)公的工事が重複する赤羽台団地周辺の歩道整備を急ぐこと
今議会に補正計上された区立公園をはじめ、UR都市機構の工事や遺跡調査、そして新たな賃貸住宅建設や東洋大学の校舎新築第2期工事、旧赤羽台東小学校跡地への北区児童相談所をはじめとする子育て支援拠点づくりなど、この地域では今後5~6年にわたって公的な工事が重複します。ところが、工事車両の搬出、搬入できる場所は、バス通りの85号線から団地内に入り、商店や郵便局など歩行者と一般車が行き交う場所と重なっています。したがって、長期間にわたる工事中の事故を防ぐためにも、歩行者の安全確保にとって必要なことは、歩道の整備を急ぐことです。この間、車道部分と排水溝の改善などが一部すすめられましたが、歩道の抜本的な対策を求めます。
赤羽台団地周辺では、交通管理者である警視庁の指導の下、団地内を東西に横断する「うつり坂通り」を通行ルートとして、UR都市機構、東洋大学、下水道局の工事車両が現在一日平均約60台から80台走行をしています。
この間の工事説明会では、団地自治会や近隣住民等から、工事車両の安全走行や、生活環境への配慮を求める声が複数寄せられました。
このため事業者間では定期的に情報共有を図りながら、告示車両の集中を緩和するなど、近隣対策を連携して進めています。
今後はさらに、区による公園や児童相談所等複合施設の整備が予定されており、工事車両台数の増も見込まれることから、区としましても、積極的に団地周辺の安全対策について、事業者への協力を求めていきます。
また、うつり坂通りの歩道整備については、区とUR都市機構の間で締結している「まちづくり協定」に基づき、団地建替事業の終了までに、道路の幅員構成を見直し、UR都市機構が歩道を拡幅整備した後、区に移管する計画となっています。
なお、ご指摘の団地内郵便局周辺については、これまで同様、安全な通行を確保するために必要な道路補修等は適時対応すると、UR都市機構から聞いています
(2)スターハウスの保存活用をはじめ、今後の計画づくりにあたって住民参画を大切にすること
スターハウスの保存活用には、多世代が交流できるサロンがほしいなど、さまざまな声が聞こえてきます。今後のこの地域における計画づくりについては、これまでの赤羽台団地自治会をはじめとする関係住民との勉強会や話し合いを重ね、理解と合意に基づく街づくり、住民の創意を生かした計画づくりをすすめるため、今後も住民参画を大切にすることを求めます。
UR都市機構は、都市の暮らしの歴史を学び、未来を志向する「情報発信施設」の整備を赤羽台団地内で進めることを公表しています。
この施設のコンセプトの一翼を担うのが、歴史的価値が認められているスターハウスの保存・活用です。
区としましては、戦後高度成長期の日本を象徴する代表的団地として、赤羽台団地が選ばれ、わが国唯一の情報発信施設が整備されることは、新たな北区の魅力を発信する良い機会ととらえています。
施設整備にあたっては、より魅力ある施設として地域からも愛されるよう、団地居住者をはじめとした住民参加の機会の提供について、UR都市機構に働きかけていきます。
(3)UR都市機構の2030年の住まい方を想定した取り組みに、緊急時の外部通報システム機能の改善と拡充を求めること
さて、昨年6月9日に発生したUR居室内での火災事故から1年が経過しました。「あの日の室内の状況、臭いが今もおもいだされて、ゆっくりと眠ることができない」と、ご遺族は今も静かに声を上げておられます。どうしたら、いのちを救うことができるのか。孤立死を防ぐことができるのか。この課題へのとりくみを継続していただくことを、URに求めるものです。UR都市機構は新たな住まい方、「UR2030」を発表していますが、緊急時における外部通報システム機能の拡充をすすめていただくことを求めるものです。以上3点、お答えください。
UR都市機構は、東洋大学情報連携学部と連携し、情報技術を活用した2030年の住まい方を想定したコンセプトブック「UR2030」を作成しています。
また、その一部を具現化した「スタートアップモデル住戸」を赤羽台団地のスターハウスの一部に暫定整備し、民間事業者へ本年7月から公開していく予定です。
この取り組みの中では、多様な住人に対応し、魅力的で安心な住宅等の整備もコンセプトとしていると聞いています。
緊急時の外部通報システムについてのご提案につきましては、「UR2030」の今後の取り組みの参考となるようUR都市機構には伝えていきます。
なお、区が実施している「高齢者見守り・緊急通報システム」は、UR賃貸住宅にお住まいの方も対象となりますので、高齢者の方が安心してお住まいになれるよう、引き続き、システムの普及に努めてまいります。
8、特定整備路線赤羽西86道路について
最後は、2020年度を期限とする特定整備路線についてです。
この計画は、東京都が東日本大震災の翌年、木造密集地域の不燃化をかかげ、3500億円もの税金を投入し、幅員20メートルの幹線道路を建設して住宅地を囲い込み、火災の延焼を防ぐという、特定整備路線です。計画期限は2020年までの10年間と定めて事業化されました。都内で28路線、北区内では3路線4区間あり、その1つが赤羽自然観察公園と赤羽スポーツの森公園、2つの区立公園を分断する赤羽西86号線道路計画です。
赤羽自然観察公園は谷状の地形となっていて、湧水、湧き水が存在しています。この湧水の保全と活用のため、従来タイプの公園づくりではなく、「自然とのふれあい」をテーマに、住民参加のワークショップによる新しい公園づくりがすすめられてきました。また、この2つの区立公園がある一帯は災害時の避難場所となっていて、すでに延焼遮断地域です。
さて、一般的に湧水の仕組みは、雨水が地下に浸透して土壌に蓄えられ、地下水がしみ込んで湧水になるといわれています。世田谷区では、湧水や地下水などの保全を図るため、建築物などの人工物に覆われていない土地、いわゆる自然面の保全・確保などや、水量の経年調査、また住民からの聞き取り調査などにとりくみながら、その保全を図っています。
赤羽自然観察公園の特色である湧水を保全するためには、湧水を育む水循環の環境を壊さないことが大切です。しかし、86道路計画によって、2つの公園の真ん中にある草っぱらをコンクリートで覆ってしまえば、「公園内の湧水にあたえる影響は心配だ」と、住民や公園利用者から懸念の声が強くなっているのは当然です。
2020年度を期限とする特定整備路線ですが、赤羽西地域ではトンネル部分の用地買収はすすんでいません。さらに、高低差のある地形のため、都は詳細な設計すら示すこともできず、整備の目処はまったくたっていません。
そこで、赤羽西86号線について、住民が最も危惧している問題に絞り、以下3点質問します。
(1)赤羽自然観察公園の湧水・地下水の調査にもとづく環境保全について
赤羽自然観察公園の湧水、地下水の調査と環境保全について、現状と北区としての今後の保全対策。また東京都の対応についてお答えください。
区では、赤羽自然観察公園が、計画当初から地域住民との協働に寄り整備した公園であり、自然回復のメインコンセプトの下、複数のボランティア団体とともに管理を行っています。
赤羽自然観察公園および赤羽スポーツの森公園は、都市計画道路に隣接する形で整備しているため、道路整備にあたっては、湧水や樹木等の調査を事前に実施した上で、既存の環境保全等に十分配慮した設計となるよう求めてきています。
現在、東京都では湧水の箇所の特定や水質検査など、基礎的な資料の収集を目的として、湧水・地下水の調査を行っています。
区としましては、調査の結果をふまえ、道路の設計について東京都と調整を図ってまいります。
今後も東京都と連携して、赤羽自然観察公園の環境保全等に十分留意してまいります。
(2)「北区景観百選2019」に選定された文化財と崖線の景観保全について
「北区景観百選2019」に選定されようとしている太田道灌ゆかりの静勝寺とこの一帯の崖線の景観や歴史文化は、北区にとって貴重な文化の宝庫です。北区の認識と現状、今後の保全・保護についてお答えください。
静勝寺は、本年7月1日に「みんなでつくる北区景観百選2019」に認定予定です。静勝寺の境内は、補助第86号線赤羽西地区の事業区域内に位置していないため、現在の景観は保全されると考えています。
また、静勝寺一帯を含む区内の崖線は、「北区景観づくり計画」の中で、今後、積極的に景観づくりを図る地区に位置づけており、崖線の緑地を守り・つくることや、良好な眺望を生かした景観づくりを図ることを目標にしています。
区としましては、景観に配慮された道路となるよう東京都と十分に調整を図っていきます。
静勝寺は、太田道灌ゆかりの稲付城跡に建立されました。
その稲付城跡は、城北地域の中世後半の歴史を考える上で貴重なものであることから、東京都の文化財・旧跡に指定されています。
静勝寺が所有する木造太田道灌座像附厨子(つけたりずし)や、ゆかりの古文書は、学術的にも価値が高いことから北区の指定文化財として保護しています。
また、静勝寺周辺の埋蔵文化財包蔵地では、土木工事における調査において、稲付城のお堀跡などの遺構が発掘され、文化財保護法に基づき記録するとともに、出土した遺物は保存しています。
今後も、埋蔵文化財包蔵地における土木工事につきましては、東京都教育委員会の指示に基づき、事業者に適切に指導をしてまいります。
(3)2020年度までを計画期限とする特定整備路線計画の撤回を都に求めること
2020年度を計画期限とする特定整備路線計画は、その見直しが迫られますが、住民の財産権、居住権を脅かす道路計画は撤回することです。特定整備路線の撤回を都に求めてください。
以上、お答えください。
これで、日本共産党の代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
特定整備路線は、延焼遮断や避難路確保など、災害時に特に甚大な被害が想定される防災上課題を抱える地域の防災性の向上に大きな効果が見込まれる大変重要な都市計画道路です。
補助第86号線赤羽西地区については、現在、東京都が鋭意事業中であり、用地買収率も高まるなど、着実に事業が進展していると認識しています。
区といたしましては、東京都と連携して、安全・安心なまちづくりに、引き続き全力で取り組んでいくため、東京都に対し、計画の撤回を求める考えはありません。