2021年第1回定例会代表質問―さがらとしこ
2021年2月24日 | さがらとしこ
日本共産党北区議員団を代表して、質問に入る前に、2月13日深夜に発生した福島県沖地震、東日本大震災からちょうど10年というこの時期、余震による大きな被害に見舞われた皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。政府には災害復旧への支援強化を求めるものです。
さて、代表質問では、コロナ危機から区民の命と暮らしを守りぬくこと、35人学級実現、後期高齢者の医療費窓口2割負担の撤回、核兵器禁止国際条約発効と北区の平和事業、大きく4つの課題で質問します。
1、新型コロナ危機から、区民の命と暮らしを守りぬくために
大きく1つ目の質問は、新型コロナ対策として高齢者施設などでのPCR検査の徹底、学校などでの感染対策、ワクチン接種、都立病院の存続などを求めての質問です。
手洗いとマスク、三密解消の徹底という緊張した暮らしは、もう1年あまり。感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言は、東京都を含む10都府県で3月7日までの2ヵ月間に延長されました。市中感染の拡がりで、高齢者施設や医療機関でクラスターの多発や、自宅待機者の方の死亡事例も報告されるなど、医療現場は依然としてひっ迫しており、感染リスクの高い高齢者の重症化を防ぐことと、無症状だけれども感染力を持っている方をいち早く発見し、保護し、追跡する、この重要性がますます明らかになっています。
昨年6月、日本共産党の志位和夫委員長は、医療・福祉施設での無症状者を含めてPCR検査の実施を政府に求め、2月4日には、全額国費による医療・高齢者施設での社会的検査を行う仕組みをつくるべきとあらためて提案し、対策を急ぐよう求めました。
さらに、2月18日、ワクチン接種開始にあたり、ワクチン接種と感染対策の基本的取り組みを同時並行でしっかり行うことが重要と、政府に提案しました。
私たち9名の日本共産党区議団は、昨年から議会質問はもとより、年明けには第6次の申し入れを区長に行い、コロナ自宅療養者への看護師などの訪問、高齢者の通所を含めた一斉・定期的なPCR検査実施、医療機関への減収補填などを求めました。今議会の補正予算や新年度予算案では、高齢者施設における一斉・定期的なPCR検査の開始、医師会と協働した自宅療養や転院連携支援、保健所人員体制の強化、耳鼻科や小児科の医療機関への支援金交付などが実現しましたが、なお一層の対策強化を求めるものです。
こうした中、厚生労働省は緊急事態宣言が出ている東京都などに、高齢者施設などの職員に対し、集中的に定期的にPCR検査を行うよう通知し、2月12日までに検査の集中的実施計画を提出し、3月中の実施を指示しました。
時間がかかったとはいえ、国が高齢者施設でのPCR 検査徹底を指示したことは、本当によかっと思います。東京都と連携して検査を徹底し、科学的根拠に基づいた政策の推進を求め、以下、大きく6つの課題について質問します。
(1)PCR検査の徹底と医療・介護施設などへのさらなる支援強化を
はじめに、PCR検査の徹底と医療・介護施設などへのさらなる支援について、以下、3点質問します。
1、全額国庫負担で医療機関、高齢者施設などでの一斉・定期的なPCR検査が必要と考えますが、北区の取り組みの現状と課題についてお答えください。
2、PCR検査を徹底するうえで、医療や介護現場への財政的、人的支援の強化が必要となりますが、ケア労働の現場での職員確保は容易なことではありません。強い使命感があっても、厳しい労働環境と処遇改善の遅れが、より一層人材確保の困難を生み出しています。この情況を一刻も早く打開してゆくために、法人間の連携はもちろん、他区で行っている人材派遣を活用する時の財政的支援、また、たとえば災害時の支援登録者制度のようなしくみをつくるなど、人材確保の対策を強めながら、一斉検査、定期的な検査を行ってゆくことを求めます。
3、コロナ禍で厳しい経営状況にある医療・介護現場への減収補填と、従事者への手当支給を北区としても行うことをも求めるものです。以上、お答えください。
【答弁】
まず、PCR検査の徹底と医療・介護施設などへのさらなる支援についてのうち、高齢者施設などでの一斉・定期的PCR検査についてです。
区では、重症化リスクの高い高齢者や障害者が入所する施設の新規入所者に対するPCR検査の実施と、施設内で陽性患者が発生した場合の検査の対象を拡げ、「持ち込まない」、「拡げない」ための対策を徹底してまいりました。
しかしながら、第三派の感染拡大に伴い、全国的に医療・介護施設において集団感染が多発し、区内においても、いくつかの介護施設等において複数の感染者が発生する事態が発生しました。
そのような中、2月に変更された基本的対処方針を受け、国から、感染多数地域における高齢者施設の従事者等の検査の集中的実施が要請されました。
区では、これまでの検査の徹底を引き続き継続するとともに、国の方針に基づき、高齢者・障害者の入所施設の従事者を対象とした一斉・定期的PCR検査の実施に向けた準備を進めています。
一方で、施設間の連携については、今定例会の令和3年度当初予算案において「介護サービス事業所感染症対応支援事業」として、事業所間の連携体制強化に向けた補助事業を計上させていただきましたが、都の枠組みの活用なども含め、各施設や法人間の連携について検討してまいります。
次に、医療機関や介護サービス事業所への減収補てんと手当支給についてです。 区では、これまで、医療機関に対しては新型コロナウイルス感染症医療の確保強化を目的とした各種の支援金を交付しており、さらに、今定例会補正予算案においては、新型コロナウイルスワクチン接種を行う医療機関や、回復期患者を受け入れる医療機関、小児の診療を担う医療機関に対する区独自の支援金の交付を計上しました。
また、介護サービス事業所に対しては、事業継続支援を目的として、一事業所当たり20万円の特別給付金を支給しました。
今後とも、医療や介護サービス提供体制を維持確保するため、国や東京都などの支援事業の動向を注視しながら、引き続き医療機関や介護サービス事業所に対する支援を行ってまいります。
(2)学校や保育園などで濃厚接触者以外へも行政検査を
2つに、学校や保育園などで、濃厚接触者以外にも行政検査を実施することを求めることです。
今年に入ってから、市中感染や家庭内感染によって、感染者が急増。感染第3波が発生し、保健所による濃厚接触者への追跡調査が続けられています。高齢者施設だけでなく、学校や保育園での感染も相次いで報告されました。高校入試や卒園、卒業の準備など多忙な時期の現場では、なお一層緊張した毎日が続いているのではないでしょうか。また、学校現場で教員の感染がでれば、その濃厚接触者となった教員は2週間の自宅待機となるなど、学級や学校の運営にも大きな影響がでたのではありませんか。在宅となる子どもたちの学習をどうするか、学童クラブや、部活動への対応、さらには学校行事などへの影響もあったのではないでしょうか。
こうした中で、私は、積極的なPCR検査をすすめることで、無症状や軽症の段階で感染者を見つけ、クラスターの芽を摘みながら、感染者を減らしたという、墨田区の西塚至保健所長のインタビュー記事に注目しました。墨田区では、「昨年8月、区立中学校で陽性者が出たとき、濃厚接触者以外にも広く検査したら無症状の陽性者が4人出ました。把握できていなければ、感染が広がっていたところでした。広く検査しても即日結果が出ますので、陰性が確認されれば濃厚接触者でない人は2週間の自宅待機なく翌日から通常通りの生活ができます」というお話です。この方法であれば、学校休業の期間をできるだけ短くし、児童生徒への影響を少なくすることがでるのではありませんか。
それぞれ、保健所との連携による疫学的調査に基づいた対応がされてきたと伺っていますが、以下、2点お答えください。
1、この間の、学校や保育園など、子どもにかかわる感染状況はどうだったのか伺います。また、市中感染が問題となった今年に入ってからの感染状況の特徴について。とりわけ、区立小中学校での感染の特徴とその対応はどのようにされたのでしょうか。また、今後にむけた課題についても、お答えください。
2、16歳未満の子どもへのワクチン接種はおこなわないと、政府は発表しました。一方、変異株による感染は子どもへの影響が大きいという指摘もあります。学校や保育園などでの感染防止のためには、一人でも陽性者が出たら、濃厚接触者以外にも積極的検査、行政検査を広くおこない、学校休業などの影響をできるだけ減らす対策の強化が必要ではありませんか。お答えください。
【答弁】
まず、学校や保育園などの感染状況です。
今年に入ってから、2月15日までの間に、区立小中学校では、児童・生徒38名、認可保育園では、園児12名の陽性者が判明しており、多くが同居家族からの感染によるものと考えております。
学校・保育園ともに、施設内での感染が疑われる事例もありましたが、そこからさらに大きく感染が広がったということはなく、また、学校や保育園で重症となった子どもはおりませんでした。
感染への対応としましては、風邪症状がある場合には、登校・登園しないことを引き続き徹底するなど、各種ガイドライン等を踏まえた感染予防対策に取り組むとともに、保健所と連携を図りながら、感染拡大の防止に努めております。
なお、現在、学校や保育園において陽性者が判明した場合には、保健所において速やかに濃厚接触者を特定し、調査の結果をふまえ、学校運営等への影響が最小限になるよう、休業の対象範囲や期間を適切に設定しております。
次に、学校や保育園での行政検査についてです。
高齢者施設の入居者は、新型コロナウイルスに感染した場合に重症化しやすいため、国は、施設で一人でも陽性者が発生した場合には、濃厚接触者以外にも幅広く行政検査を行うよう指示しており、当区でも実施しています。
これ以外の集団については、「特定の地域や集団、組織等において、関連性が明らかでない患者が少なくとも複数発生しており、かつ、クラスター連鎖が生じやすい状況」、すなわち、大規模な集団感染の可能性が予見される場合は、濃厚接触者以外でも行政検査の対象とするとしています。
このため、学校や保育園については、保健所が実施する積極的疫学調査の結果、このような状況にあると判断した場合には、濃厚接触者以外の方も、幅広く、行政検査を行っています。
(3)新型コロナワクチン接種について
3つには、新型コロナワクチン接種についてです。
2月17日、東京都は医療従事者へのワクチン先行接種を開始しました。
北区では1月に接種担当課を設置し、北区医師会との連携により、区内の医療機関における個別接種を基本とする方針のもと、すでに今年度の第7次補正予算案には必要経費が計上されました。2月には接種実施計画を策定し、3月にはコールセンター開設、中旬には接種券の発送、下旬から高齢者の接種開始、5月下旬から高齢者以外の区民への接種を行う予定であるとの説明を受けました。そこで以下4点質問します。
1、北区の接種対象者は、東京都が実施する医療従事者1万620人と16歳未満を除くと、32万3000人となりますが、接種場所の確保やその体制、準備はどこまですすんでいるのでしょうか。すでに、ワクチン接種センターの1つとなる北医療センターでは、敷地内に仮設の接種会場が準備されていますが、ここでは、1日あたり何人の接種を行うことができるのでしょうか。最新の準備状況について、3ヵ所のワクチン接種センター、基本型接種施設、サテライト型接種施設の確保状況と接種可能数について。また、問診や接種後の待機場所の確保と医療機関との連携など、それぞれの準備状況についてお答えください。
2、区民への、科学的根拠にもとづく丁寧な説明と、周知方法についてお答えください。
3、高齢者施設などでの接種はどうなりますか。
4、ワクチンが安定的に供給されなければなりません。政府に、ワクチンの安定供給や冷蔵庫などの提供とともに、全額国庫補助とし、補助金給付を急ぐよう求めることが必要ではありませんか。
以上、ワクチン接種について、お答えください。
【答弁】
初めに、接種場所の確保やその体制整備の状況については、3センターを含めて基本型接種施設の予定数に対して、概ね目途が立っているところです。
また、サテライト型接種施設については、医師会を通じた要請に加え、現在区として意向を確認しているところです。
接種施設の確保については、現在、感染症地域医療体制協議会などを通じても、各医療機関に協力を呼び掛けているところです。
接種可能数については、全体ですべての区民が接種を受けられる体制の確保に努めております。
次に、区民に対する科学的根拠に基づく丁寧な説明と周知方法については、3月1日からコールセンターを開設し、国が示す資料に基づき、区民に対して分かりやすい説明に努めてまいります。
加えて、区の様々な広報媒体を有効に活用するとともに、国や東京都の相談窓口を適切に案内することで、適切な周知に努めてまいります。
次に、政府に対する要望については、ワクチンの安定的な供給については、国が一元的に管理しているところですので、迅速な情報提供を求めております。
また、新型コロナワクチン接種事業については、国が必要な経費の全額を補助するとの方針がすでに示されております。
次に、高齢者施設などでの接種体制についてです。
現在、国の「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の基本的な考え方」に則り、区の実情をふまえた接種体制整備に向けて準備を進めています。
高齢者施設における接種は、インフルエンザ等、平時の施設における定期接種体制を基本として、検討を行うとされておりますので、まずは各施設の状況把握に努めているところです。
引き続き、国や東京都の発信する情報をしっかりと収集し、地域の実情に応じた、円滑な接種に向けて取り組んでまいります。
(4)区内事業者へのさらなる支援強化を
4つめは、緊急事態宣言の延長に伴い、この2ヵ月間に影響を受けた事業者へのさらなる支援強化について、3点質問します。
1、1年に及ぶコロナ感染拡大に伴う事業への影響とともに、 「緊急事態宣言」のもとでの営業自粛の影響を、北区としてはどのように把握していますか。お答えください。
2、国に対し、事業者を支援する各種事業の継続や、持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を求めてください。
3、時短営業に協力する飲食店の中で、事業規模の大きい店舗に協力金の上乗せを行うなど、北区独自の事業者支援に踏み出すことを求めます。お答えください。
【答弁】
初めに、営業自粛等を含め、コロナ禍による影響の把握についてです。
おおよそ1年に及ぶコロナ禍における区内事業者への影響は、業種によって違いはあるものの、資金繰りをはじめ、厳しい経営を余儀なくされている事業者が多いと認識しています。
令和2年12月期の「北区の中小企業の景況」によりますと、景況は、製造業や小売業において、悪化傾向がわずかに弱まったものの、サービス業においては、前期比7.7ポイント減と、悪化幅がさらに拡大しています。
来期の見通しについては、サービス業においても悪化傾向は幾分弱まると予想されていますが、本年1月7日から、緊急事態宣言が発出されていることもあり、引き続き、区内の中小事業者の動向を注視しているところです。
その方策の一つとして、産業振興課で行っている経営相談等を通し、事業者の状況を伺うとともに、本年1月から窓口に来られた事業者や金融機関の方々に対し、アンケートによる聞き取りを行っています。
今後も継続して実施していくことにより、実態把握等に努めてまいる考えです。
次に、事業者に対する支援策の継続を国に求めることについてです。
国による「持続化給付金」や「家賃支援給付金」については、令和3年2月15日で受付を終了していますが、これらの給付金は、コロナ禍に対応した融資制度と同様に、厳しい経営環境の中で、多くの企業の資金繰りを支えたものと認識しています。
国に対しましては、特別区長会として、「令和三年度国の施策及び予算に関する要望書」の中で、持続化給付金等の支援の継続及び拡充について要望したところです。
今後も引き続き、区内事業者の動向等を注視しながら、国や東京都に対し、必要に応じて、支援策の継続などについて、要望してまいります。
次に、事業規模の大きい店舗への協力金の上乗せ支給についてです。
東京都では、今回の緊急事態宣言期間中に、営業時間の短縮等に全面的に協力した飲食店等を運営する中小の事業者に対し協力店舗ごとに1日当たり6万円の感染拡大防止協力金を支給することとしています。
また、飲食店等を運営する大企業の事業者が営業時間短縮の要請に全面的に協力した場合には、1店舗当たり102万円の協力金を支給することについて発表したところですので、区独自で、上乗せ支給することは、考えておりません。
(5)今年夏の東京五輪は中止して、コロナ収束に集中するよう東京都と国に求めること
5つめの質問は、今年夏の東京オリンピック・パラリンピックは中止し、コロナ収束に集中するよう東京都と国に求めることです。
森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言は、人権と差別を禁じた五輪憲章を侮辱する発言であり、東京五輪の基本理念である「多様性と調和」とも相いれないと、国内にとどまらず世界各国から抗議の声が拡がり、ついに森会長は辞任へと追い込まれ、その後、新会長が選出されました。
今大事なことは、新型コロナから、国民と世界のアスリートの命を守ることです。しかし、開催となれば、世界各国から選手と五輪関係者だけでも約10万人、国内外からの多数の観客の移動となります。医療従事者は約1万人の動員が必要といわれていますが、重症者が依然として医療現場を圧迫し、ワクチン接種も間に合わない状況の中で、開催できる条件がないことは明らかではありませんか。
区長、今年夏の東京五輪は中止して、コロナ収束に集中するよう、東京都と国に強く求めてください。
【答弁】
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、北区ゆかりのアスリートの活躍などにより、「トップアスリートのまち・北区」を発信し、区民のスポーツ参加を推進する好機ととらえていますが、新型コロナウイルスの感染防止のために万全の対策を講じることが前提と考えます。
大会開催に向け、感染症対策について万全を期すよう特別区長会を通じて、国と東京都に求めていますので、区としましては、引き続き、感染状況を注視しながら、安全で、安心な大会が実現できるよう、国や東京都などと連携してまいりたいと考えています。
(6)都民の命の砦である都立病院、公社病院の存続・拡充を東京都に求めること
6つめの質問は、都民の命の砦である都立病院、公社病院の存続と拡充を東京都に求めることについてです。
新型コロナウイルス感染症の危険性が初めて認識されたのが、昨年1月に発生した豪華客船での感染、武漢からの帰還者受け入れでした。現在まで、都立や公社病院の医療従事者の方々はその最前線に立っておられます。
もともと、都立病院は、140年前にコレラやチフスなど感染症の流行に伴って開設された病院の歴史を引き継いでいます。今回も、すべての都立・公社病院がコロナ感染者を受け入れ、都内のコロナ対応病床の3分の1を担当し、病床数を1700床に拡大しようとするなど、都民にとってなくてはならない存在です。
にもかかわらず東京都は、駒込病院など8つの都立病院と、7つの公社病院を独立行政法人にする、つまり東京都の責任から切り離すための予算を新年度にも盛り込みました。しかし、都民の世論と運動の大きな拡がりや、日本共産党都議団の議会論戦などによって、東京都は独立行政法人化のための定款案を、この3月都議会に提出することはできませんでした。
とりわけ、救急あるいは高度医療を担う病院が少ない北区では、都立駒込病院や大塚病院、公社豊島病院は、コロナ禍の今、まさに区民の命を守る砦となっています。
区長、都立・公社病院として存続、拡充することこそが東京都の責任であると、都知事に強く求めてください。
以上6つの質問に、区長の積極的な答弁を求めます。
【答弁】
東京都の新たな病院改革ビジョンにおける都立病院、公社病院の地方独立行政法人への移行は、「地域医療構想」の目的である効率的で不足のない医療提供体制を構築するために行われているものとしています。
このことは、都立病院、公社病院の先々の医療課題に柔軟・機動的に対応できる、感染症医療をはじめとした行政的医療の提供体制の強化であると認識しており、今後とも、東京都の動向を注視してまいります。
2、子どもたちの健やかな成長のために
大きく2つ目は、少人数学級の実現など、子どもたちの健やかな成長を保障するため、以下5点質問します。
(1)少人数学級実施にむけた、北区の取り組みについて
1つめは、少人数学級に向けた、北区の取り組みについてです。
新型コロナ感染拡大によって、学校は突然3ヵ月間にわたる学校休業をはじめ、入学式、運動会、修学旅行など、これまでの学校行事の多くが大きな影響を受け、学習の遅れを取り戻す対策や感染予防策の対応におわれるなど、子どもたちも教職員も大きなストレスにさらされています。
こうした中で、少人数学級の実現を求める世論と運動が大きく広がりました。日本教育学会は、教員の10万人増による少人数学級の実現をもとめ、全国知事会、市長会等からは、少人数学級制を可能とする教員の確保などを国に緊急要請しました。ついに文部科学省は、今年の4月から小学2年生の35人学級を実施し、5年間で小学校の全学年で実施する方針を示し、教職員確保のため、実に40年ぶりに義務教育標準法の改正が行われることになります。
少人数学級実施について、以下3点質問します。
1、北区の35人学級実施に向けた準備と課題について伺います。少人数学級には、子どもの声を大切にした学級づくりや、教職員の働き方の改善をすすめるうえでも、大きな意味と、効果をもたらすのではありませんか。お答えください。
2、また、特別支援学級の子どもたちにとっても、コロナ禍が長引く中、生活と学びの保障、心のケアもさらに大切になっているのではありませんか。新年度からの取り組みをお答えください。
3、小学校だけでなく、中学校までの少人数学級を急ぐよう国と東京都に求めることです。
毎年、特別区教育長会から、国と東京都への要請を続けてこられたと伺いました。あらためて、いつから、どのような要請が行われてきたのでしょうか。
2月15日の衆議院予算委員会では、日本共産党の畑野君枝議員の質問に、菅首相は、「中学校も検討する」と答弁しました。力を合わせて、中学校まで少人数学級を実現させましょう。
引き続き、国と東京都への要請を強めていく決意を伺います。お答えください。
【答弁】
初めに、35人学級実施の効果についてです。
学級編成の基準を40人から35人にする少人数学級は、子どもの学びの保障と教員の働き方の改善に効果があると考えます。
子どもにとっては、学級の様々な役割を経験することや発言をすることが増えるなど、活躍の機会が増えることが期待できます。
教員にとっては、子ども一人ひとりにかける時間が増え、今まで以上にきめ細かな指導が可能となり、学習指導や生活指導の質が高まることが期待できます。
さらに、教員の教材準備や評価、学級事務にかける時間を削減できることから、働き方改革にもつながることが期待できます。
次に、特別支援学級の新年度からの取り組みについてお答えします。
特別支援学級については、子どもたち一人ひとりの実態に応じたきめ細かな指導を行うため、以前から少人数で編成されており、1学級8人となっています。
今般の義務標準票改正による変更は特にありませんが、引き続き、区が独自に配置している「交流及び共同学習・小集団学習講師」と担任の教員との連携による、小集団での学習や、通常の学級の児童・制度との共同学習などを継続し、丁寧に支援することで、障害のある児童・生徒の学びの保障につなげてまいります。
次に、中学校までの少人数学級を急ぐよう国と東京都に求めることについてです。
平成23年に、いわゆる義務標準法が改正され、小学校第1学年の学級編成標準が40人から35人に引き下げられました。
こうした状況を踏まえ、少なくとも平成25年度からは、継続して東京都へ要望を行っております。
内容につきましては、第2学年移行段階的に35人学級となるよう、義務標準法の改正を国に要望すること、および小学校第2学年と中学校第1学年については、義務標準法の改正にかかわらず、東京都公立学校学級編成基準を改正するよう要望する内容となっています。
今後につきましても、国における議論の動向を注視するとともに、中学校での少人数学級の実現について、国や東京都に対し、他自治体と連携して、必要な対応を行ってまいります。
(2)国保料の子ども均等割の負担軽減を求める
子どもにかかわる2点目の質問は、国保料の子ども均等割りの負担軽減を求めてです。
日本共産党は、毎年、党都議会議員団と各区の党議員団の連名で、高すぎる国民健康保険料の引き下げ、とりわけ、多子世帯の負担が重くなる子どもの均等割の軽減を、特別区長会に要請してきました。また、わが会派は、予算組み替え要求にも掲げて軽減を求めてきました。こうした中、国は、未就学児を対象に2022年度から減免を実施するとしています。
そこで、北区で未就学児の軽減を行った場合の対象人数とその軽減額、影響額について、また、18歳以下を対象にした場合についても、お答えください。
【答弁】
区では、子どもにかかる均等割保険料の軽減措置をはじめとした医療保険制度における子育て世帯への支援について、特別区長会を通じて国へ要望してまいりましたが、令和4年度より、新たに子どもの均等割の軽減措置が導入されることになりました。
この軽減措置の対象者数は、本年1月時点の加入世帯を基本とした場合、1485人となり、減額される総額は約3000万円と見込まれ、区の影響額は、このうちの4分の1となる750万円程度となります。
次に、対象を18歳まで拡大した場合ですが、対象者数は4741人、減額総額は、約9300万円となります。
なお、小学生以上の軽減分は、全額、区の負担となり、影響額は約7000万円となります。
(3)「待機児ゼロ」へ、引き続き認可保育園増設を
子どもにかかわる3点目の質問は、「待機児ゼロへ」ひきつづき認可保育園増設を求めるものです。
コロナ禍の保育園の運営や、子どもたちへの対応に、日々愛情をそそいでいただいている保育士のみなさんのご努力に感謝します。新年度の子育て支援施策では、妊娠期から子育て期の切れ目のないきめ細かなサポートや病児・病後児保育の拡充もされることを評価するものです。保育所の待機児童については、毎年、地域的偏在もあるなかで、新年度は待機児が発生している地域や見込まれる地域を中心としての定員拡大をはかり、令和4年度には私立認可保育園1園を新設して70名の定員拡大が提案されています。いつでも、必要な時に、身近なところで保育園を安心して利用できるよう、「待機児ゼロ」を目指した取り組みを引き続き求めます。お答えください。
【答弁】
区では、これまで積極的に待機児童の解消に取り組んでおり、令和3年4月期に向けては、待機児童が発生した地域を中心に私立認可保育園の開設等で405名の定員拡大を図ります。
令和3年4月期の新規申込者数は、昨年度に比べ、1歳児を除き減少し、また定員拡大を図った結果、一次審査終了時点での入所保留者数も各歳児において減少するなど、待機児童数は改善することが見込まれます。
そのため、現時点では、令和4年4月期に向けて、新たな認可保育所の誘致を行う予定はありませんが、二次審査の状況等もふまえ、必要に応じて対応策を検討してまいります。
なお、一次審査の詳細につきましては、本定例会の所管委員会でご報告いたします。
(4)学校給食の無償化拡充を求める
子どもにかかわる4点目の質問は、学校給食無償化へさらなる拡充を求めるものです。
コロナ感染拡大により、突然学校が休業となった時、「学校給食のありがたさが身に沁みました」という声をたくさんいただきました。子どもの貧困問題の解決が切実な今、子どもたちの心と体、健康、そして教育を保障するうえで、学校給食の果たしている役割は、想像以上に大きな意味を持っていると実感しました。
韓国の首都ソウル市では、教育無償化実現につづいて、3月の新学期から公私を問わず、小学校、中学校、高校の全学年で学校給食が無償化になると報道されました。その中でソウル市長代行は15日、10年かけて無償給食が完成したと強調するとともに、「すべての児童・生徒が教育の基本権を保障されることになった」。「特に新型ウイルスの感染拡大によって経済が厳しくなる中、完全実施という普遍的な教育福祉が、国民の生活の足しになり、教育格差の縮小にも寄与することを望む」と述べられたとのことです。
学校給食について、以下2点質問します。
1、いま、子どもたちの置かれている状況の中での、学校給食の果たす役割についての認識を伺います。
2、日本共産党は給食費の完全無償化を求めてきました。北区では、すでに第2子は半額に、第3子以降は無料となっていますが、23区内でも、支援策が拡充されてきています。あらためて、完全無償化を求めますが、その実現のためには、あとどれだけの財源が必要になりますか。この点についても、お答えください。
【答弁】
学校給食については、学校給食法にある通り、適切な栄養の摂取による健康の保持増進、日常生活における食事について正しい理解を深めることや望ましい食習慣を養うことなど、様々な目標があります。
大量調理により費用を抑えつつ、栄養バランスを考慮し、児童・生徒の健康づくりに寄与することは、学校給食の大きな役割のひとつと認識しております。
今年度から始めた学校給食費補助は、多子世帯の負担軽減を目的とした制度であり、他区に先駆けて第二子から補助することとしており、来年度は一年分で、約2億円の経費を見込んでいます。
また、学校給食費の完全無償化を実施するには、10億円程度の費用が必要になると推計しています。
今後とも、今年度開始した多子世帯への学校給食費負担軽減を着実に進めてまいります。
(5)18歳までの医療費無料化を通院まで拡大すること
子ども施策についての5つ目の質問は、18歳までの医療費無料化を通院まで拡大することです。
どれだけの財源を投入すれば、通院までの医療費無料化が実現できるのでしょうか。
以上、5点の子ども施策についてお答えください。
【答弁】
18歳までの医療費無料化を通院まで拡大した場合の経費ですが、ここ数年の小・中学生にかかる医療費助成の実績から対象となる人口に基づき、大まかに試算すると約2億円程度の増額が必要になると思われます。
子ども医療費の助成については、入院医療費のみではありますが、18歳まで拡大しているのは23区中、北区を含めて数区にとどまっています。
コロナ禍の厳しい財政環境にあっては、現時点で、医療費無料化の拡大を検討することは困難であると考えています。
3、高齢者の尊厳を守る、くらし、医療と介護施策を求めて
大きな3つ目の質問は、高齢者の尊厳を守る、くらしと医療、介護施策を求めての質問です。
(1)後期高齢者の医療費窓口2割負担の撤回を国に求めること
はじめに、高齢者がその生涯を尊厳を持って生き抜くことができるよう、高齢者の医療費窓口2割負担撤回を政府に求めることです。
コロナ禍の中で、最も大きなリスクにさらされながら、この国の歴史を築いてこられた高齢者は、感染してはならない、感染を防止しなければと息を詰めるようにして生活しています。持病をいくつも抱えながら、病気が悪化しても、もしかしたら病院で診てもらうこともできないのでは、という不安の中で生活しています。そこに追い打ちをかける医療費の窓口2割負担をおこなえば、受診控えによって病状をさらに重症化させ、そのことがコロナ感染リスクを更に高め、ひいては医療現場の負担を増やすという悪循環を招くことになりかねないではありませんか。
政府は、現役世代の負担軽減のためと言いますが、現役世代の軽減は月額30円程度です。一方、国が出すべき公費負担分は980億円も減少することが、日本共産党の国会での追及で明らかになりました。
長生き一番をめざす北区から、窓口負担を2倍に値上げするなどという血も涙もない政府のやり方に対して、きっぱり反対の意思表示をされるよう求めます。区長、お答えください。
【答弁】
現在、後期高齢者の医療費を賄うため、現役世代が納める保険料から支援金が拠出されていますが、団塊の世代が後期高齢者医療制度に移行する中では、現役世代のさらなる負担の増加が避けられません。
今回の窓口負担割合の引き上げは、後期高齢者の所得状況を踏まえつつ、現役世代の負担の抑制を図るものであり、やむを得ない選択であったと受け止めています。
なお、後期高齢者の窓口負担のあり方については、高齢者が必要な医療を受ける機会が確保されるよう慎重な議論を行うこと、やむを得ず負担割合を引き上げる場合には、定年な説明や激変緩和措置を講じるなど、十分な配慮を行うことを東京都広域連合を通し、国に要望しています。
(2)ケアにふさわしい介護保険制度への改善を求めて
高齢者の尊厳に関わる2つ目の質問は、ケアにふさわしい介護保険制度への改善を求めてです。長引くコロナ禍によって、人によるケア労働の大切さがなお一層明らかになりましたが、介護現場ではどのようなことが起きているでしょうか。介護施設、通所事業所、訪問介護事業所など、それぞれが、大きな不安と、財政的な困難に直面しているのではありませんか。
高齢者の自宅を訪問して生活を支える介護ヘルパーさんたちは、「もし、自分が感染していて、利用者さんや家族に感染させてしまったらどうしよう」と、本当に心配しています。こうした方々のPCR検査はおこなわれていません。そこで、 4点質問します。
1、介護の現場で、施設の閉鎖で突然介護サービスが利用できなくなるなど、北区の中でも、クラスターのような状況が出現したのではありませんか。また、高齢者の生活をささえる、なくてはならないケア労働という使命感と、常に感染の危険と不安をかかえて、北区の介護施設や事業所の現場は、どのような影響を受けているのでしょうか。
2、ケア労働を支えるにふさわしい、処遇改善が切実に求められています。その現状と課題、今後の支援策について、お答えください。
3、介護保険事業計画推進のための、特養ホームなどの基盤整備をどうすすめてゆくのか、また人材確保に向けた新たな取り組みについて、お答えください。
4、コロナ禍の下、介護保険料の負担は暮らしに大きな影響をあたえています。第8期介護保険事業計画による介護保険料は、値上げすることなく、基金の活用などで値下げすることを求めます。
以上4点、お答えください。
【答弁】
介護事業所では、コロナ禍において、感染予防対策や事業の継続が課題となっています。
国では、介護サービスの運営基準などについて、柔軟な取り扱いを可能にしており、介護報酬に対する支援を行っています。
また、国から、入所施設において、利用者と接する従事者を対象として、PCR検査を実施するよう通知が発せられ、区においても実施に向け準備を進めているところです。
区では、これまでも介護事業所に対し、感染予防物品の配布を行っているほか、事業所からの相談、問い合わせに対し、休日でも対応できる体制を取り、事業所の不安の解消に努めています。
今後とも必要な支援を検討してまいります。
次に、特養ホームなどの基盤整備につきましては、基本計画や介護保険事業計画などにに基づき、介護を必要とする方が、地域において安心して暮らせるよう、整備に努めてまいります。
人材確保については、社会保険労務士の派遣による介護事業者の管理者支援事業を継続して実施するほか、オンラインによる研修等により、人材の確保・定着に努めてまいります。
次に、第8期の介護保険料につきましては、現在、介護保険事業計画の策定作業を進めているところですが、介護給付費準備基金を活用して、保険料の上昇の抑制を図ってまいります。
詳細につきましては、本定例会の所管委員会においてご報告をさせて頂きます。
(3)補聴器購入費助成と、エアコン購入費助成制度を急ぐこと
高齢者施策の3つめは、補聴器とエアコン購入費助成制度の早期実現です。
日本共産党は、聞こえの向上にとどまらず、認知症の予防となり、社会参加を広げる補聴器購入助成制度と、熱中症予防対策としてのエアコン設置助成制度の実施を急ぐよう提案し、早期実現を求めてきました。
新宿区の補聴器助成は、70歳以上で中程度の難聴者の方を対象にした現物支給制度で、自己負担は2000円。種類は箱形と耳かけ式。耳鼻科で聴力検査を受けて申請し、片耳が支給されます。所得制限がないことと、自己負担が低いことが特徴で、支給件数は年々増え、昨年度は420件の利用、今年度は436件の利用を見込んでいるとのことです。
お隣の足立区では、現在すでに現物支給制度がありますが、さらに両耳を前提とした支給と補聴器購入助成制度とを、選択できる助成制度へ拡充を求める声が高まるなど、各区の取り組みは進んでいます。北区としても、実施にふみきるべきではありませんか。
さらに、エアコン設置助成もますます切実です。感染防止のために、この夏の時期もマスクが外せない生活がつづきます。訪問介護や訪問リハビリなど、室内でもマスク着用の機会は多くあります。コロナ感染防止のうえからも、エアコン設置助成制度の実現は切実です。
補聴器とエアコン購入、2つの助成制度の早期実現へ、区長のあたたかい答弁を求めます。
【答弁】
補聴器については、区によって対象者や助成方法等様々なため、制度設計や課題について情報収集に努めています。
補聴器の利用を進めるための普及啓発や購入費助成について、引き続き調査・研究を進めてまいります。
熱中症対策においては、クールスカーフの配付やチラシなどによる普及啓発に加え、個別訪問により注意喚起やエアコンの調整を行うなどエアコンの適正利用の促進に重点的に取り組んでいます。
引き続き、実態把握に努めるとともに、毎年の状況を検証しながら、熱中症対策の充実に努めてまいります。
4、核兵器禁止国際条約発効の年にふさわしい平和事業の取り組みを求めて
質問の最後は、核兵器禁止の国際条約が発効した年にふさわしい、北区の平和事業の取り組みについてです。昨年、2020年10月24日、条約発効に必要な50か国・地域の批准が実現し、ついに、90日後のことし1月22日、核兵器禁止条約は国際法として発効しました。
広島、長崎への原爆投下からすでに76年、太平洋ビキニ環礁での水爆実験で第5福竜丸が被爆してから67年です。
国際政治学者の目加田説子中央大学教授は、核兵器禁止条約を可能にした力について、1997年の対人地雷禁止条約、2008年のクラスター爆弾禁止条約の成立という積み重ねの上にあると語っています。その成立過程には2つの共通点があり、1つは、部分禁止ではなく、全面禁止となっていること。もう一つは市民社会や国際機関と小中の国々も協力して成立させたこと。さらに、条約で禁止された兵器は保有することは出来ないという、人道的軍縮を積み重ねて価値観を共有した歴史的成果だと評価されています。
区長も加盟しておられる、平和首長会議の果たした役割も大きいのではありませんか。広島と長崎両市長のよびかけによって、平和首長会議には2月1日現在、世界で8013の都市が加盟し、さらに1万都市の加盟をめざしています。
核兵器はいったん使用されれば、取り返しのつかない甚大な被害を人間や環境に与えます。それは、戦争での使用だけでなく、核兵器が存在する限り、誤って使われたり、テロなどに使われたりする危険があります。
核兵器禁止条約は、核兵器を「非人道兵器」として、その開発、保有、使用あるいは使用の威嚇を含むあらゆる活動を例外なく禁止した国際条約です。
しかし、ここがゴールではありません。生まれて間もないこの条約に多くの国が参加し、条約の具体的な内容についての議論をすすめ、世界みんなのルールとして確立することが重要です。
そのために、唯一の戦争被爆国である日本政府がなすべきことは、速やかに条約に署名し批准することであり、核兵器のない世界の実現のために力を尽くすことです。
そこで、2点質問します。
(1)2021年度の平和事業の取り組みについて
1点目は、2021年度の平和事業の推進によって、区民に国際法発効の意義を広く伝え、二度と戦争の時代をくり返してはならないという決意を発信することです。
たとえば、被爆地長崎出身の彫刻家、北村西望作、北とぴあ前の平和記念像や赤羽自然観察公園内の平和の森に、新たな碑文を設置したり、長崎の被爆2世の柿の木を新たに植樹すること。また、UR都市機構とともに、赤羽台団地の「道合遺跡」から発掘された旧日本陸軍被服本廠の赤レンガの遺構などを保存し活用することを提案し、その実現を求めるものです。
【答弁】
北区では、北区平和都市宣言に基づき、毎年8月上旬に行っている北区平和祈念週間事業をはじめ、戦後の節目にあわせた記念誌の刊行など平和の尊さを周知・啓発するための様々な取り組みを区民とともに推進しています。
引き続き、北区平和都市宣言の理念の普及と、区民の平和への願いを区内外に発信するための取組みを積極的に行ってまいりたいと存じます。
ご提案の中の「道合遺跡」については、令和元年度から始まった今回の発掘調査で発見された被服本廠の遺構の一部を、今後整備予定のF街区の鎭あち住宅エリア内で外構等に活用する予定とUR都市機構から聞いています。
(2)政府に、「核兵器禁止条約」の署名・批准を求めること
最後に、平和首長会議の一員として、国に核兵器禁止条約に署名・批准することを求めていただくことです。お答えください。
以上、区長の積極的な答弁を求めて、日本共産党の代表質問を終ります。
ご静聴ありがとうございました。
【答弁】
政府では、わが国としては、立場の異なる国々の橋渡しに努め、核軍縮の進展に向けた国際的な議論に積極的に貢献していく、という考え方を示しており、引き続き、国会における議論や他自治体の動向などに注視してまいります。