2021年度北区予算に対する反対討論と組み替え動議に対する賛成討論―せいの恵子
2021年3月23日 | せいの恵子
私は、日本共産党北区議員団を代表して、ただいま上程されました第21号議案、2021(令和3)年度東京都北区一般会計予算、第22号議案、東京都北区国民健康保険事業会計予算及び、第24号議案、東京都北区後期高齢者医療会計予算に対する反対討論を行います。
初めに、一般会計予算についてです。
新年度予算に盛り込まれた、高齢者施設等の職員に対する一斉・定期的PCR検査の実施、小児科・耳鼻科の医療機関への緊急支援金交付、中小事業者への設備投資支援事業の拡充、コミュニティバス新規路線導入、北区くらしとしごと相談窓口体制の強化、措置入院者への退院後支援の開始などは、住民要望の反映として評価いたします。
しかし、以下に述べる理由から、一般会計予算に反対いたします。
さらに積極的な財調基金活用による暮らし応援施策が求められる
第1の理由は、区民の命と暮らし、営業を支えるために、さらに積極的な財調基金活用による暮らし応援施策が求められる予算であることです。
新年度予算では、小児科や耳鼻科などへの支援、発熱患者の受け入れ、ワクチン接種の協力機関への支援が示されました。しかし、昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大で、医療機関は受診控え、手術、各種検査、健診の延期などでの経営の悪化、医師や看護師の不足など大変な苦労を強いられています。
新型コロナ患者を受け入れたり、ワクチン接種に協力する医療機関のみならず、患者の減少などにより減収となっている医療機関、コロナ禍でも休むことなくサービスを提供し続けているケア労働従事者に対し、緊急手当ての支給、区独自に支援金の上乗せや減収補填を行うべきです。北区内では2度に渡る緊急事態宣言と期間の延長により、不要不急の外出や自粛が求められ、売り上げが大幅に減少した飲食店や危機的経営状況が続いている区内事業者は疲弊しています。
国や都の支援策が十分に行き届いていないことからも、北区独自の直接支援で事業の継続や雇用の維持、経営の安定化への支援が求められます。
また、解雇・雇止めなどで減収となり、住む家や仕事を失った方々への支援は待ったなしです。特に非正規雇用の割合が多い母子世帯・ひとり親家庭の経済的困窮は深刻です。
よって、ひとり親家庭への給付金を児童育成手当て支給対象者まで拡大することを求めます。
2021年度末の財政調整基金は106億円と見積もられています。コロナ禍という緊急事態を区民が安心して乗り越えるためにも今こそ財政調整基金を活用するよう望みます。
なお、今回の予算特別委員会ではコロナ禍であぶりだされたジェンダー不平等の実態も見えてきました。
夫婦別性の導入を国に求めること、パートナーシップ制度の早期実現、コロナ禍で居場所がない若年女性へのアウトリーチ相談居場所支援、包括的性教育の推進、痴漢・性暴力被害防止の取り組み、生理の貧困など北区が前向きの捉え、対応することを願います。
コロナ禍においてなお、区民の利益に反する「行革」路線を推し進める
第2の理由は、コロナ禍においてなお、区民の利益に反する「行革」路線を推し進める予算であることです。
区は今年度、一部施設使用料の値上げに踏み切り、経営改革プランに基づく喜寿の敬老祝品廃止を実行に移そうとしています。新型コロナの影響に苦しむ区民に負担を強いることは控えるべきです。
また、新たに策定される公園総合整備構想で打ち出された指定管理制度やPark-PFIの導入は、官製ワーキングプアを公園管理の分野にまで広げ、働く人の賃金を押し下げることにつながります。区民の憩いの場を企業の儲けの対象とするもので、認められません。
なお、デジタル化の流れに乗じ、国が強引に推し進めるマイナンバーカードの普及では、取得を望まない区民の意思と意向を全面的に保障することを求めます。
これまで経営改革プランは、「確実な資源調達」の名の下に、職員定数の削減や受益者負担など、職員や区民に負担を強いる「行革」推進のツールとして機能してきたのが現実です。経営改革プランなど「行革」路線の推進により、窮地に陥っている区民や区内事業者に対して新たな負担を求めるべきではありません。
民間企業と一体に超高層マンションを呼び込む開発政策と、住民不在のまちづくりでいいのか
第3の理由は、民間企業と一体に超高層マンションを呼び込む開発政策と、住民不在のまちづくりでいいのかという問題です。
赤羽駅西側では、学校統合によって生み出された旧赤羽台東小学校の約半分の土地とUR都市機構の所有する土地の一体的活用として民間に売却し、高層分譲マンション建設を誘致。それによって、駅前の新たなアクセスルートなどをつくるという、全国初の開発手法をとることを明らかにしました。
また、赤羽駅東側では、民間主導の超高層マンション建設を誘導しています。このような大型開発によるマンション建設によって、急激な人口増となれば、保育需要や教室不足が引き起こされ、日照、風害、プライバシー侵害などの複合的な環境悪化をまねくなど環境対策に逆行することにもなります。
また、超高層マンションは投機の対象ともなりやすい危険性をもはらんでおり、このようなまちづくりは認められません。まちづくりでは住民合意を最優先に、合意が得られるまで丁寧に進める姿勢に立ち戻ることを改めて求めます。
以上の理由から、一般会計予算には反対します。
特別会計予算について
次に、特別会計予算についてです。
まず、国民健康保険事業会計予算は、新年度保険料が保険料値上げであることから、反対します。
後期高齢者医療会計予算については、2年ごとの保険料改定のため、新年度の値上げはないものの、均等割額の軽減措置が見直しされたことによる、低所得者への負担増となることから、反対します。
介護保険会計予算は新年度、第8期介護保険計画となりますが、3年ごとに見直しされる保険料基準額は据え置きされることになったことから、賛成いたします。
なお、介護保険料については、なお一層の負担軽減のために、介護保険給付費準備基金のさらなる活用によって、保険料引き下げを求めるものです。
予算組み替え動議への賛成討論
続いて、第21号議案、2021(令和3)年度東京都北区一般会計予算及び、第22号議案、東京都北区国民健康保険事業会計予算及び第23号議案、東京都北区介護保険会計予算の組み替えを求める動議に賛成する討論を行います。
日本共産党北区議員団は、この6年間、一昨年からは新社会党所属議員とともに当初予算の組み替えを求めてきました。残念ながら、議会では否決されておりますが、これまでの提案項目は予算要望の懇談など区民から切実に要求されてきたものであります。
1年以上の長期に渡る新型コロナウイルス感染拡大、2度の緊急事態宣言などの影響は区民生活へ広がり、必要な社会基盤の不安定さや貧困と格差の拡大をあらわにしました。北区として、自治体の役割をさらに発揮し、区民の暮らしと区内事業者の経営・営業を支援する実効性のある対策が求められています。
新年度予算では、財政調整基金を78億円取り崩し、コロナ対策他、速やかな実施に向け実行に移した点は評価致いたします。しかし、年度当初には、コロナ対策のため100億程度まで減るとの予測もあった財政調整基金も年度末の残高見込みは106億円となり、また、さかのぼって過去7年間の財政調整基金残高の推移をみても、年平均で66億円が積み上がる計算となっています。
今回の組み替え提案の内容は、先ほどの提案理由の説明で詳しく述べられた通りですが、今すぐに手を差し伸べ緊急の対策に講じるべく、単年度で8.2億円余を活用した予算組み替え提案となっています。
コロナ禍のもとでも、先行きが見えない不安を抱く区民の生活を支えるためにも、着実に積み上がっている財政調整基金の一部を今こそ積極的に活用し、医療機関・医療・介護従事者への支援をはじめ、暮らし・営業への支援、国民健康保険の子どもの均等割りや介護保険料の引き下げなど保険料の減額で更なる区民支援の強化を行うべきと考えます。議場の皆様のご賛同を心よりお願いいたしまして、賛成討論といたします。