2022年第1回定例会個人質問-さがらとしこ
2022年2月24日 | さがらとしこ
2日目の本会議個人質問、最後になりました。さがらとしこです。
私からは、北区子ども権利条例について、北区初の児童相談所開設に向けてなど、大きく4つの質問となります。
1、(仮称)「北区子どもの権利条例」制定の意義と子どもの意見表明権の保障について
はじめに、子どもの権利を守る北区の条例制定に向けて伺います。
コロナパンデミックの中で2年以上、これまであたり前だと思っていた日常生活が、だんだん遠のいてゆくそんな不安の中にいます。
先日、「さがらさん、おかしいねえ、今日は学校がある日だろ。でもね、いつもはうるさく感じる登校時間の子どもたちの声が聞こえてこないんだよ。やっぱり、コロナのせいなのかねえ。学校が突然休みになったら、みんなどうしているんだろうか」と、近所の方から声をかけられました。
そうですね。私も運動会や音楽会、卒業式などに出席させていただく機会もなくなっていますから、日ごろの学校の様子を知ることのできる「学校からのお便り」をとても楽しみにしています。
先日いただいたお便りには、こんなことが書かれていました。ご紹介します。
「先週は3日間、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校臨時休業となりました。それ以前にも学級閉鎖や学年閉鎖をしなければならない状況がありました。そこで、全生徒に配られている学習用端末を使い、毎日の健康観察や連絡、授業の支援等を行いました。学年、学級によっては、昼食の時間もミートでつないでいました。その様子を見に行ったところ、『お昼ご飯をおしゃべりしながら食べるの初めてだなあ。』と話しかけていたのを聞いてハットしました」という内容です。
私自身もハットしました。つまり、1年生と2年生は入学して一度も、おしゃべりをしながら給食を食べたことがないということ。卒業生にとっては、楽しい学校給食の思いではどんな景色になってゆくのだろうか。それは、きっと、先生や保護者の方々にとっても同じはず。子どもたちの心の内はどうなのか。大人はどうすればいいのか。私は、子どもたちの声にもっと真剣に耳を傾けなければならないのではないかと、あらためて思ったのです。
日本が国際条約である「子どもの権利条約」を批准し、施行からすでに20年という中、テレビニュースでは宮城県石巻市の取り組みが紹介されていました。
それは、11年前の東日本大震災の大津波で壊滅的な被害を受けた石巻市では、震災前に「子どもの権利条例」を制定していたということ。そして、震災からの復興の中で、この「子ども条例」を柱に、「石巻市子どもセンターらいつ」の建設をすすめてきたこと。北区で言えば、拠点児童館ということになりますが、「らいつ」まさに「子どもの権利」という名前の子どもの居場所づくりです。
その建設にあたっては、プランを作成する段階から子どもたちの意見を聞き、「らいつ」開館後にはその事業計画づくりや運営についても、子どもたちが主体的に参加していると聞いて、すぐに視察を希望しました。今回はコロナ禍のため視察はかないませんでしたが、先日、石巻市からていねいなお手紙と共に貴重な資料を送っていただきました。さっそく拝見すると、資料の「おわり」のところに、「子ども参加を実現することは、じっくり子どもと向き合う手間と根気、そして周囲の大人の理解が必要である」と、決意が書かれていました。
北区としても、「子ども・子育て会議」などでの検討をふまえて、子どもの権利を守るための条例づくりをめざしますが、石巻市の事例などは参考になるのではないでしょうか。
そこで、以下3点質問します。
(1)条例制定の意義について問う
北区として「子どもの権利を守る条例」を制定することの意義、そして子育て施策推進の決意について、区長と教育長に伺います。お答え下さい。
【答弁】
区長就任後、間もない頃から、3つの優先課題の1つとして「子育てするなら北区が一番」を掲げ、子ども・子育て施策に力を入れて参りました。
新たに条例を制定することで、北区の未来を担う子どもたちの健やかな成長に寄与できるものと認識しておりますが、条例の制定にあたっては、教育委員会とも連携をして、検討してまいります。
これまで同様に、北区に住まうすべての子どもたちが、誰一人取り残されることなく、いまを安心して生き、将来への夢と希望を持って、健やかに育つことができる北区を、創り上げていく決意に変わりはありません。
(2)子どもの意見を施策にどう生かしていくのか
「子どもの権利条約」はその12条で、「子どもの意見表明権」の保障を明記していますが、北区条例の制定にあたっても、大変大事な内容になると考えます。条例制定後はもちろんのこと、条例制定に向けても、新たな「子ども議会」、「SDGs子ども議会」などを開催し、子どもの意見表明の場を保障することを提案しますが、いかがでしょうか。お答えください。
【答弁】
条例の検討にあたっては、「児童の権利に関する条例」の理念を基本としながら、子どもを取り巻く今日的な課題について、行政と家庭、地域、学校、民間事業者など全ての区民が一体となって、子どもの最善の利益につながる環境を総合的、継続的に整備していくための条例を念頭に、検討したいと考えているところです。
また、条例には、子どもの権利を尊重することを明記して、全ての区民がこれを共有するとともに、子ども自身にも、分かりやすく伝えていくことが、この条例の重要な意義の一つであると考えているところです。
次に、子どもの意見表明の場を保障することについてです。
先行する自治体の事例においては、子どもに関する施策に、当事者である子どもの意見をどのように反映するかがテーマの一つとなっており、そのことは、北区が今後検討を進めるにあたっても同様であると認識しています。
また、その検討過程においても、当事者である子どもたちの声を条例に反映するための方策を検討してまいります。
(3)赤羽台西小学校などの改築・長寿命化の推進にあたって
新年度からの学校改築、長寿命化計画を具体化する中で、子どもの意見をぜひ生かしていただくことを求めるものです。
新年度予算案では、赤羽台西小学校をはじめとする学校改築や長寿命化という改修スケジュールが提案されましたが、たとえば、学校改築や改修工事中、教室や運動場はどうするのか。環境に配慮した学校とするには、などなど、計画づくりから子どもの意見を尊重する姿勢が求められるのではないでしょうか。
かつて、区立北中学校と赤羽台中学校が統合して、桐ヶ丘中学校が建設されたとき、こんなことができました。当時、臭い、汚い、暗いと社会問題ともなっていた学校のトイレをどうしたらいいのか。そのとき、生徒たちの意見がワークショップという形で具体化され、新校舎には開放的でおしゃれな、生徒たちの大切な居場所としてのトイレができたのでした。今でも、トイレ専門誌には「生徒の意見を吸い上げ、理想の形を模索した中学生らしい落ち着いたデザイン」と紹介されているほどです。
そこで、2点質問します。
1、子どもたちの意見が学校施設整備に生かされた事例を示してください。
2、また、これからの学校施設整備の中で、子どもの意見をどのようにいかしてゆくことができるのかについても、お答えください。
【答弁】
学校改築における児童・生徒への意見聴取については、「北区立小・中学校整備方針」において、児童・生徒をはじめ学校関係者のアンケート実施など、幅広い意見を聴取することを定めており、近年の学校改築やリノベーションの検討にあたっては、設計の初期段階で、児童・生徒のアンケートを実施し、その結果も踏まえながら、地域、保護者学校関係者などの参加によるワークショップで合意形成を図っています。
児童・生徒の意見が反映された事例としては、桐ヶ丘中学校のほか、(仮称)都の北学園の新築において、関係する3校の児童・生徒の代表による子どもワークショップを開催し、新校舎で使用する家具のデザインを検討いただいた事例などが挙げられます。
今後の学校改築等においても、学校現場の協力を得ながら、児童・生徒の意見聴取や、その意見の反映に努めてまいりたいと考えています。
2、初の区立児童相談所と子ども家庭支援センターなどの複合施設整備の意義と役割を問う
大きく2つめの質問は、子どものための区立児童相談所と子ども家庭支援センターなどの複合施設整備の意義と役割についてです。
新年度予算では、令和8年、2026年度の児童相談所等複合施設の開設に向けて、整備予定地である旧赤羽台東小学校の地盤調査費をはじめ複合施設の基本設計と実施設計、並びにその施設運営指針の策定の予算として2億8742万円が計上されました。
歴史的に見れば、児童福祉法制定、国際的な子どもの権利条約とその批准、そして2000年には児童虐待防止法制定などなど、とりわけこの20年間は子どもを取り巻く社会の変化とともに法改正が繰り返され、自治体としての取り組みも大きく変化しています。
すでに、江戸川区児童相談所など4つの自治体での先行実施に加え、新年度からは板橋区でも開設されますが、児童相談所の単独整備や、母子保健相談機能を併せ持つ児童相談所など自治体ごとに特徴を持つ施設となっています。
北区は児童相談所と一時保護所とともに、子ども家庭支援センターや教育相談などを複合施設として整備する計画となっていることが特徴ですが、その意義と役割について、教育長におたずねします。お答えください。
【答弁】
児童相談所等複合施設は、児童相談所、一時保護所の整備と併せて、子ども家庭支援センター、児童発達支援センター、教育総合相談センターを複合化し、子どもに関する総合的な相談拠点として施設を整備します。
住民に最も身近な基礎自治体として、様々な課題を抱える子どもや保護者への支援体制の強化を図るとともに、区が持つ福祉、保健、教育分野などの子ども家庭支援機能と児童相談所が持つ専門性を活用し、虐待の未然防止、施設入所、家庭復帰、再発防止など一貫性を持った包括的な相談支援を担ってまいります。
児童虐待をなくしてゆくための、北区のとりくみについて、2点伺います。
1、子どもを真ん中に、親子が支援者と顔の見える関係づくりが一層大切になっていると考えます。新年度予算では、子どもの見守り体制の強化のため、子ども食堂などへの支援強化が盛り込まれました。これまでの子育て支援施策をさらに推進するためには、乳幼児時期から自立できるまでの間、寄り添い型の支援の拡充がますます大切になっていますが、北区の取り組みの現状と、今後の施策拡充、推進について、お答えください。
2、子どもへの虐待の背景には、保護者や家族が抱える経済的な困窮や精神的な問題、家庭内での不和やDV、子どもや家族の病気や障がいなど、こうした問題が複合しあい、子育てに行き詰まった結果として生じると考えます。
児童虐待による深刻な事態を未然に防ぐ取り組みが広がる中で、政府発表による児童虐待対応相談件数は、児童虐待防止法ができた2000年度は1万7725件、それが2020年度には20万5029件と20年間で11.5倍へと急増しています。北区での児童相談所開設準備を本格化させる立場からも、この現実を直視しなければならないのではないでしょうか。
2004年の児童福祉法改正で、児童虐待を含めた児童相談の第一義の窓口は、自治体の業務と位置づけられました。北区では、相談件数の急増に対応する体制はどのようにとられていますか。職員の皆さんの業務は負担増となっていませんか。さらに、2年余に及ぶコロナ禍のもと、子どもたちの抱える課題に変化はありませんか。取り組みの現状と課題について、お答えください。
【答弁】
まず、寄り添い方支援の拡充についてです。
区は、妊娠期から切れ目のない支援を目的に、はぴママたまご・ひよこ面接を実施しています。乳幼児期は子育て不安から、育児困難となりやすく、やがては虐待のリスクが高まる可能性があることから、乳幼児親子が気軽に相談し、支援者と信頼関係を育みながら、親子に寄り添った支援を行っています。
さらに、これまで以上に子どもの見守りを強化するため、新年度からフードパントリー団体への助成や、子ども食堂に対する支援の拡充を行うとともに、社会福祉協議会に委託し、子ども家庭支援センターと子ども食堂等の連携を深められるようネットワークの拡充を行う予定です。
次に、相談への対応及びコロナ禍の子どもの変化についてです。
区では、児童虐待等の一義的な窓口として子ども家庭支援センターが児童相談所等と連携し、対応しています。
児童虐待に係る近隣や警察からの通告の増加に伴い、子ども家庭支援センターの職員体制の強化を図るとともに、区内3警察署と協定を結ぶなど体制の強化を図ってまいりました。
引き続き、職員の専門性を高める取り組みを進め、児童相談所や警察等の関係機関と連携し、児童虐待の未然防止に努めてまいります。
また、虐待の相談件数については、令和2年度まで増加傾向であり、長引くコロナ禍で子どもが学校の休校や保育園の休園などによる様々なストレスや悩みを抱えているとの相談を受けることもあります。
今後も、子ども家庭支援センターの相談体制を強化するとともに、子どもや保護者が気軽に相談できる体制を整え、子育て家庭をサポートしてまいります。
次に、新たな児童相談所と複合施設整備に向けた、児童福祉司や児童心理司などの人材養成と確保について伺います。
児童相談所開設準備にあたっては、その中心的存在としての児童福祉司や児童心理司の養成と確保は喫緊の課題です。以下2点、お答えください。
1、複雑に絡み合った児童虐待の相談や支援にあたる職員には、経験を積んだ専門性が求められますが、厚労省の実態調査によっても、正規公務員の多くが業務経験年数は3年未満といわれます。なぜなのでしょうか。たとえば、児童福祉司は国家資格ではなく、自治体の任用制度によっているため、公務員の場合には3年程度で異動となることが影響しているためではありませんか。北区の場合は、どうなっているのでしょうか。お答えください。
2、コロナパンデミックを経験する中で、高い専門性と継続的な支援にあたるソーシャルワークの存在がますます大きくなっていることを痛切に実感しています。その中で、専門的な知識と経験を積みながら懸命に社会を支えている女性たちの多くが、低賃金労働であったり、不安定な非正規労働者であるという実態もあらためて明らかになっています。
児童虐待などの相談については、窓口での対応にとどまらず、事実確認のための調査、その後の支援対応など、専門的知識や豊かな経験を蓄積している職員の存在は決定的です。それは、今後の児童相談所開設にあたって、様々な職種の職員を確保する上でも共通する課題ではありませんか。
ここにこそ、ジェンダー平等の視点をすえて待遇改善をはかり、専門職の正規職員として採用され、継続的に経験を積み上げ、スキルアップをはかることが保証されること。実態に見合った職員確保によって、負担の軽減をはかり、困難をかかえる子どもたちに寄りそった支援を続けることができるよう、職員の働く環境の改善が求められているのではありませんか。そのためには、自治体としての改善努力はもちろんですが、国に法整備などを求めてゆくことも必要ではありませんか。お答えください。
【答弁】
まず、職員の経験年数についてです。
児童相談所の職員の経験年数が浅いことは、調査結果からも大きな課題だと認識しており、東京都や先行区からの同様の声を聞いております。
国おいては、令和8年度の児童相談所開設に向け、必要な職員数を確保するとともに、東京都や先行区等に計画的に職員を派遣し、スーパーバイザーを含め適切な経験を積んだ人材の育成に努めてまいります。
また、専門性の高い児童虐待分野においては、長期的な人材育成などの課題を区長部局とも共有し検討してまいります。
次に、正規職員の採用や待遇改善についてです。
児童相談所開設に向け、児童相談所等複合施設基本計画に基づき、児童福祉司などの育成のため、専門職の採用を計画的に進めてまいります。
また、区の児童虐待受理件数や国の状況を注視し、職員の確保及びスキルアップに努めてまいります。
これからの児童相談所と複合施設整備のためには、その財源確保や専門職養成などについて、国や東京都からの支援の強化が必要と考えます。この点についても、現状と課題についてお答えください。
【答弁】
複合施設の整備については、一時保護所の国の補助事業を活用するとともに、特別区長会を通して、国や東京都に対して、補助のさらなる充実を引き続き要望してまいります。
また、専門職の育成については、東京都の研修制度等を積極的に活用するなど人材育成に努めてまいります。
児童相談所に関わる最後の質問は、2点です。
1、施設整備にあたっては、子どもの最善の利益を保障するにふさわしい、自然とふれあうことのできる遊び場の確保や風害などの影響から子どもを守る、環境に配慮した整備計画とすることを求めます。
2、施設運営にあたっては、子どもの意見を反映した運営としていただくことを求めます。
以上、児童相談所とその複合施設開設に向けての質問に、お答えください。
【答弁】
複合施設の整備にあたっては、虐待相談・一時保護、子育て相談、発達・障害相談、教育相談等の主な機能を設置する上で必要な施設や面積を確保するとともに、周辺環境等と調和した施設となるよう、オープンスペースの確保などに配慮した施設計画に努めます。
また、子どもの意見を反映できる仕組みとして、子どもアドボケイトの配置など先行区の状況を踏まえ検討してまいります。
3、加齢性難聴者の補聴器購入助成制度のすみやかな実施を
大きく3つめの質問は、加齢性難聴者の補聴器購入助成制度の速やかな実現を求めてです。
日本共産党北区議員団は2019年の第2回定例会代表質問とともに個人質問を重ね、毎年の予算要望の重点項目として、その実現を求め続けてきました。
区長は、加齢に伴う生活のしづらさを解消するためには、補聴器の利用は重要と認め、他の自治体の取り組み状況の把握に努め、北区医師会のご意見を聞くとの答弁を重ねてこられました。
都内の自治体ではすでに、23区中14区で制度化がすすめられ、新年度は港区と三鷹市で実施と公表されました。港区では、60歳以上の区民を対象に所得制限はなく、補聴器購入補助を上限13万7000円とする。さらに「港区モデル」と呼んで、「聞こえのチェックリスト」の活用や「聞こえに関する講座」開催などによる難聴高齢者の早期発見、補聴器相談医や認定補聴器技能者との連携で、購入前の相談からアフターケアまで支援するとしています。
さらに、兵庫県ではコロナ禍で高齢者の社会参加活動が低下していることをふまえ、新年度予算案に補聴器購入補助制度への導入事業が盛り込まれたと報じられています。
今年度発表の厚生労働省委託研究でも、難聴が認知機能低下の要因のひとつになっていることが明らかになっています。
いま長引くコロナ禍のもとで、高齢者は感染を恐れてますます外出を控えており、社会的孤立化を防ぐ手立てが必要です。
速やかな補聴器購入助成制度の実施を求めて、以下2点質問します。
1、都内での補聴器購入助成制度実施自治体の現状をどう把握しておられるのか、お答えください。
2、速やかな北区補聴器購入助成制度の実施に向け、区長の決断を求めます。お答えください。
【答弁】
現在、23区のうち14区で補聴器購入補助事業を実施しており、来年度から2区が事業開始を予定していると聞いています。
実施区によって、給付の方法、対象者の要件、補助金額等の制度内容は様々です。
加齢に伴う生活のしづらさを解消するため、補聴器を的確に利用し、共生社会を実現していくことは、重要ことだと認識しています。
補聴器の利用をすすめるためには、購入時だけではなく補聴器を使い続けていただくことの普及啓発や取り組みも必要だと考えており、他自治体の制度設計や課題について情報収集に努めてまいります。
北区医師会のご意見もお聞きしながら、引き続き調査・研究を進めてまいります。
4、都営桐ケ丘・車いす住宅のオーダーメイドによる建替えを
最後の質問は、都営桐ヶ丘団地での車椅子対応住宅の建替えは、オーダーメイドでの建替えとするよう東京都に求めていただくことです。
都営桐ヶ丘団地の建替え・再生事業は開始からすでに30年近くが経過し、従前居住者のための建替えは、車椅子対応住宅を含む最終工区をのこすのみとなってきました。私は、事業開始早々から事業経過に合わせて様々な政策提案をしてきましたが、今回は車椅子対応住宅の建替えに絞って提案します。
都営桐ヶ丘団地には、建設から45年となる車椅子対応住宅があります。私は、昨年、住宅問題の専門家の方々とご一緒にこの住宅を調査させていただくことができました。
そのなかで、車椅子生活の居住者にとって、その方の障害に応じた居室内のあつらえがとても大切だと教えていただきました。たとえば玄関入口付近の段差、台所の高さと水道の蛇口や水切り台の位置、そしてお風呂場の構造。このお宅ではご家族の希望で、フローリング部分だけでなく畳の部屋もつくられていますから、車椅子から和室へと移動する際の床面からの高さなど、こうした一つひとつが「自立した生活」を営む上で欠かせない課題だということを、貴重な体験をつうじて話していただくことができました。
調査にご協力いただいた居住者の方は、「私たちの声を聞きながら、畳の部屋も使いやすく、高さも調整してもらうことができ、本当に助かっています。障がいの状態にも個人差があり、また年を重ねれば体の状態も変わってきますから、今後の建替えでも、私たちの声を聞いてほしい」と、東京都への期待がよせられました。
障害に応じた居室を保障することは、自立した生活をささえる基本です。今後の桐ヶ丘団地建替え事業では、居住者の声を生かし、居住者の障がいに応じた居室のあつらえ、オーダーメイドによる車椅子住宅の建替えを行っていただくよう、北区から東京都に求めてください。
以上、区長ならびに教育長の答弁を求め、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【答弁】
都営桐ヶ丘団地には3棟の車いす住宅があり、このうち2棟は建替えが完了し、残る1棟について、今後建替えが計画されています。
東京都は、都営住宅の建て替えにあたって、時代の変化に対応するとともに、建替え事業から得たノウハウの蓄積等を踏まえ、居住性の向上はもとより、効果的効率的に事業を推進するため、建物設計に係わる標準化を進めていると聞いています。
ご質問の車いす住宅についても、これまでの整備実績を踏まえ、より多くの障害者に対応できる標準型を定め、残る1棟についても、この考えのもとで、建替えを進めると聞いており、区としましては、車いす住宅を居住者個々のオーダーメイドで建替えすることを東京都に求めることは、考えておりません。