2022年第3回定例会個人質問―本田正則
2022年9月12日 | 本田正則
1、軍都から平和都市へ、住民の被害と加害を継承・発信する平和事業へ
日本共産党の本田正則です。最初の大きな質問は、軍都から平和都市へ、住民の被害と加害を継承・発信する平和事業の充実について質問します。
この夏、東田端にあるシネマ・チュプキ・タバタでも「長崎の郵便配達」という映画がロードショウ上映されました。イギリス空軍の英雄パイロットとして有名なピーター・タウンゼント氏の「長崎の郵便配達」という小説がベースです。小説は、米国が1つに、原爆投下は必要がないこと、2つに非戦闘員の大量殺戮につながること、3つに放射能被害という未知の被害も襲いかかることを知っていたことも克明に描きました。もちろん、長崎の真っ赤な背中の郵便配達として有名な、谷口稜曄さんの、被爆の実相とスミテルさんの人生もまた克明に描きました。しかし、映画は、ピーター氏の娘イザベルさんと家族の行動を追いながら、被爆の実相と、スミテル・ピーターの二人の核廃絶の思いを描くとともに、ピーター氏の空爆などによる戦災孤児をなくしたいとの思いも描きました。被爆者と戦災孤児は、被害を受けた後もずっと新たな苦しみに襲われ続けます。タウンゼント家と谷口家の孫達が、被爆体験を共通認識する過程を通じて、平和を築こうという思いを受け継ぎ、広げている姿を描いていました。
最近、8月28日付け東京新聞に、12歳の少女が夏休みの自由研究として、97歳の被爆者の思いを受け継いだという記事がありました。被爆者のお孫さんがインスタグラムでお婆ちゃんの投稿を発信。この情報で12歳の少女が、直接じっくり被爆体験を聞くことにつながり、核兵器廃絶の思いをしっかり受け継ぐことができたという記事でした。
キノコ雲の下で何が起きていたのか、東京大空襲の真っ赤な空の下で何が起きたのか、そして加害体験とその反省を、しっかり受け継ぎ、あきらめずに伝え続け、共通認識をつくっていくことが、戦争をなくす道につながるのではないでしょうか。
そうした思いから、平和事業の充実に向けて4つの質問をします。
(1)区民の戦争体験、被爆体験の掘り起こしと継承、平和祈念週間事業の充実を
平和の第1に、区民の戦争体験、被爆体験の掘り起こしと継承について3点質問します。
掘り起こしの1点目に、新たな戦後80年記念誌の発行についてです。
北区はこれまで、戦後60年、70年の節目に、平和祈念事業の一環として記念誌を発行してきました。70年の「記憶が紡ぐ平和への願い」以降も、中央図書館には、区民や学校からの写真や資料提供が続いているそうです。飛鳥山博物館が十条・滝野川・板橋にかけて広がっていた造兵廠東京工廠に関する資料も手に入ったとのことです。
そこで、70年記念誌以降、新たに掘り起こされた、戦争体験の手記や資料などについて、代表的なものをいくつかお示しください。これらの新しい資料を生かし、戦後80年に向けた記念誌の発行準備を始めていただきたいが、ご答弁ください。
掘り起こしの2点目は、広島、長崎の平和祈念式典への区民参加です。
今年3月の予算特別委員会で、総務部長から、2017年、長崎での平和首長会議総会に代理出席したときの個人的な感想を2つお示しいただきました。1つは海外代表が合同慰霊祭に望む姿から平和を願う思いは共通だと感じたこと。もう1つは、日本の大学生、高校生の姿から、戦争や被爆の実体験のない世代への期待を感じたことでした。
北区からも広島、長崎の平和祈念式典へ、区民・子どもの代表を派遣し被爆体験を受け継ぎ発信するきっかけづくりとしていただきたい。ご答弁ください。
掘り起こしの3点目は平和祈念週間の充実についてです。
平和祈念週間は、8月上旬の1週間、北とぴあ中心の展示・催しと、図書館の平和図書コーナーとなっています。一方中央図書館では、7月末から8月末にかけて「『訓練・疎開・引揚・開墾』――戦争と北区の子どもたち」と、「ドナルドキーンと平和」の2つのパネル展が行われています。
平和祈念週間を、中央図書館や北区博物館とも連携して、より規模の大きい平和事業として取り組むとともに、その中で、戦争体験・被爆体験を聞く会を位置づけ、実施するよう求めます。
(2)軍都北区から非核平和都市北区への歴史の継承発展のために
平和事業についての第2の質問に入ります。軍都北区から平和都市北区への歴史を継承・発展させることについてです。
北区は、帝国陸軍の中枢機能が多数集中する軍都で、多くの攻撃目標への爆撃が行われ、非戦闘員の被害も膨らみました。こうした経験も踏まえ、戦後は、米軍王子キャンプの解放運動にも取り組み、大規模団地群、中央公園や自然観察公園、スポーツの森公園、北運動場などの公園群、そして中央図書館やナショナルトレセン関係施設に、民間工場などの平和利用に転換させるという平和都市作りに取り組んで来ました。そこで質問です。
軍事施設を解放して平和都市作りに取り組んだ歴史を、平和事業の中心に位置づけ、研究・継承・発信すべきと思いますが、見解を問います。あわせて、戦前の軍事施設が戦後、どのように平和施設に変わったのかが一目でわかるマップをつくったらいかがでしょうか。ご答弁願います。
(3)中之条など友好都市との平和事業交流を
平和事業についての第3の質問に入ります。中之条など北区の友好都市との平和事業交流です。
2019年、議会の中之条町との交流事業の一環で、中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」を見学しました。ミュゼには、滝野川区の児童2000人の学童疎開と、町民である鈴木ひでさんの戦前戦後のこどもたちの日常を描いた絵手紙の常設展示がありました。そして、ミュゼは2020年に、「語り継ぐ戦争」という企画展で、滝野川国民学校の子どもたちの飛鳥山公園での運動会や疎開先での日常が写された16㎜フィルムも上映しました。このフィルムは、元疎開児童が、北区中央図書館に寄贈したものです。そこで質問します。
中之条町、甘楽町、酒田市などの友好都市と連携・共同し、平和事業交流をさらに発展させることを提案します。ご答弁ください。
(4)観光・文化事業と連携して発信する平和事業へ
平和事業についての第4は、観光・文化事業との連携、コラボレーションです。
この夏、「日本一の星空」などで観光事業を大きく伸ばしている長野県阿智村の自治を学びに行きました。阿智村には満蒙開拓平和記念館があり、被害と加害の展示がありました。また、戦前戦後の子どもたちを活写した「わらべが」と書く絵と写真を展示する写真童画館も昼神温泉郷におかれていました。阿智村は、星空観光や花桃観光で昼神温泉郷に来訪する観光客を、この平和記念館や写真童画館に誘導して平和を発信していました。そして前村長は、町民とともに観光事業や文化・教育事業と平和事業が連携した取り組みが続いていると語ってくれました。そこで質問です。
北区の平和事業を、中央図書館、飛鳥山博物館、田端文士芸術家村記念館などの文化・教育施設との連携で進め、さらに観光を通して区内外に発信できるよう一層の努力を求めます。ご答弁ください。
まず、戦争の手記や資料の近年の収集状況につきましては、図書館の地域資料専門員と博物館の学芸員による東京第一陸軍造兵廠滝野川工場で学徒動員により働いていた方への聞き取りの記録や、北区飛鳥山博物館が刊行した研究紀要「北区における戦中・戦後の暮らしの変遷」がございます。
このほか、折に触れて当時の区内の様子を撮影した写真の寄贈もいただいているところです。
こうした資料の活用につきましては、今後、戦後80年記念誌発行の準備を行う中で、検討してまいります。
次に、平和祈念週間の企画内容の工夫などについてです。
コロナの感染拡大への懸念や、猛暑の中で、ご来場をためらう方もおられることから、会場である北とぴあの展示物を動画で撮影し、ユーチューブで配信を行い、平和祈念事業の周知を図ったところです。
また、観光の視点を採り入れ、戦争を語り継いでいく取り組みも大切なものと認識しています。
区では、こうしたことから、観光ボランティアガイドによる観光コースに石神井川沿いの軍事遺跡探訪を設けるとともに、北区ウォーキングアプリあるきたでは、へいわを願う軍用地を巡るコースを新たに加え、区内外へ発信しています。
さらに、来る11月には、北区と板橋区の合同で、石神井川沿いの遺跡を巡るツアーを開催する予定としています。
平和祈念事業の具体的な取り組み、刊行物につきましては、今後も、教育委員会や関係機関とも連携を図り、庁内関係課における企画会議などの機会もとらえ、区民の皆さまが恒久平和を願い、平和の尊さを考えることができる有意義な機会となるよう、さまざまな視点から検討してまいります。
なお、ご紹介の広島・長崎での平和祈念式典への区民の派遣や、友好都市との連携につきましては、他自治体の取り組みも参考に研究してまいります。
2、補聴器助成制度の実現を
大きな2つ目に、補聴器助成制度の実現に関連して2点質問します。
(1)補聴器助成制度をなんとしても実現を
1点目は、補聴器助成制度を早急に実現することを求めるものです。
2020年の陳情審査の中で、東京都の補助金が、高額な補聴器の給与・貸与に限らず助成金2~3万円の支給でも受けられると通知が出されて、実施区が3区から11区に広がったことがわかりました。
また、難聴が障がいレベルにまで進行すると補装具の給付事業となること。従って各区が行っている補聴器助成制度では医師が聴力を調べて確認を出していること。また、認定補聴器技能者のいる店舗で調整し、使用効果も確認していること。そして、今年度当初には16区が補聴器の助成を始めることもわかりました。
そこで伺います。
補聴器助成制度の導入にあたり、これまで課題とされていた財政面の課題や、医師会・補聴器販売店との連携による検査・診断・調整システムの構築について、現状をお示しください。これらの課題がすでにクリアされているなら、一刻も早く助成を実現するよう求めるものですがご答弁ください。
特別区では、補聴器助成制度が今年度16区で実施されています。
財政面では、東京都の補助金の利用の有無など各区さまざまですが、東京都の補助金を利用するためには、耳鼻咽喉科医の意見書に基づいた補聴器の必要性の確認のほか、管理医療機器の認定を受けた補聴器を取り扱い、その調整ができる販売店を選定する必要があることから、今後、北区医師会と調整に入る状況です。
特別区における補聴器購入費助成制度は、対象者の要件や給付の方法、補助金額など助成内容は各区さまざまです。
他区の制度を参考にするとともに、今後、医師会や関係機関のご協力もいただきながら、制度導入に向けた検討を進めてまいります。
(2)日常生活用具・福祉用具の給付・貸与事業で最高レベル実現を
補聴器についての2点目に、日常生活用具と福祉用具の給付・貸与事業を開始し、最高レベルで充実することを求めます。
補聴器購入費助成は、日常生活用具・福祉用具の給付・貸与事業のなかの一項目です。東京都が毎年10月に発表する「高齢者福祉施策一覧」によれば、特殊寝台、マットレス、腰掛け便座や便器、スロープ、手すり、シルバーカー、歩行器、杖等や車椅子、お風呂の中で使う椅子などの入浴補助用具への支援が、他の22区で実施されています。
高齢者の日常生活用具・福祉用具の給付・貸与事業を北区でも早急に実施し、最高レベルに充実していただきたい。ご答弁ください。
東京都の「高齢者福祉施策一覧」の中で、介護保険の認定非該当の方へ、日常生活用具等を給付または貸与する事業について、各区の状況が示されています。
区では、平成12年の介護保険制度開始時に、日常生活用具・福祉用具の給付・貸与事業について全面的な見直しを行い、現在は、北区社会福祉協議会による車いすの貸与を行っています。
特別区では、多くの種類の用具の給付・貸与を行っている区もあれば、北区と同程度といった区もある状況です。
介護保険制度開始から20年が経過し、高齢者を取り巻く環境も変化していることも踏まえ、各用具の取り扱いの必要性について、他区における対象者や利用状況などを調査・検証し、必要なものについては実施を検討してまいります。
3、滝野川地域の高低差にともなう諸課題の解決を
最後の大きな質問は、滝野川地域の高低差にともなう諸課題の解決について4点質問します。
(1)買い物難民をなくすための、地元資本による共同店舗の確保を
滝野川地域の高低差の第1は、いわゆる「買い物難民」の解消について質問します。
最近特に耳にするのは西ヶ原・上中高台です。田端駅高台では、旧公団住宅建て替えに当たって、生鮮食料品を扱う小規模スーパーを誘致しました。西ヶ原・上中里高台には、上中高台商店街、二本榎商店街、西ヶ原公設市場がありましたが、今は日常のちょっとした買い物も、坂を下り購入品を持って上らなければなりません。合わせて地域内経済循環も活性化したいものです。
移動に困難を抱える方々が、徒歩圏で買い物ができる共同店舗を確保するため、区内の産業界や、商店街連合会、地域金融機関、若手の新規起業家などの地元資本が進出できるよう、土地やスペースの提供、融資制度や助成制度の構築などをしてはいかがですか。その一つの方策として、空き店舗の活用や、区有スペースなどを提供しての移動販売の誘致などで、買い物の支援を始めてはいかがでしょうか。答弁願います。
区ではこれまで、区内で開業を目指す方々の経営や資金調達の相談を受け付けてきたほか、開業する際の融資のあっせんや、区内空き店舗棟を活用する際に家賃を補助するなど、新たに店舗を開業する際の支援に取り組んできました。
また、東京都においては、買い物弱者支援事業として、商店街等が、宅配や送迎サービス、移動販売などに取り組む際の機器・設備の購入費等を補助しております。
ご質問いただきました地域への共同店舗の出店や買い物支援について、事業者等から相談があった際には、こうした既存の支援策を周知してまいります。
(2)お風呂屋さんにも、利用者にも支援の拡充を
滝野川の高低差の第2に、お風呂屋さんと利用者への支援について2点質問します。
この10月10日に西ヶ原の高台にあるお風呂屋さんから廃業のお知らせが届きました。このお風呂屋さんは、かつて廃業した霜降り銀座近くの方々だけでなく、荒川区や田端新町・東田端・田端1丁目の方々まで、都バス・Kバスなどに乗って入浴していたお風呂屋さんです。
補正予算案で公衆浴場施設・設備等補助として、原油価格等の高騰に伴う燃料費負担を支援する、現行10万円から60万円への増額が計上されたのは大きな前進です。しかし、今年は事実上2軒目の廃業。ボイラー故障などの大きな設備費が発生するとさらに廃業につながるとの声も聞かれます。
まず、浴場への設備費助成について増額していただきたい。次に、高齢者入浴補助券について、委託料引き上げと、利用回数増の実現を求めます。さらに、北区の入浴補助券で利用できる隣接区のお風呂屋さんを広げるよう、他自治体にも働きかけていただきたい。ご答弁ください。
現在、区では、減少傾向にある公衆浴場の経営の安定化を図るため、設備改善に要する経費の一部を補助しているほか、今年度からは、浴場内抗菌コート等にかかる経費の補助を新設するなど、公衆浴場の支援に取り組んでいます。
また、昨今の燃料費高騰による負担軽減を図るため、従来の燃料費補助を増額して支給するための経費を、本定例会に提出した補正予算案に計上しました。
今後も引き続き、区として必要な支援策を検討してまいります。
次に、高齢者入浴補助券のご質問にお答えします。
はじめに、委託料の引き上げについてです。
現在、東京都の公衆浴場入浴料金統制額、いわゆる入浴料は500円となりますが、高齢者ヘルシー入浴事業では、利用者の負担は100円、浴場負担は50円、残りの350円は区の委託料となっています。
委託料の引き上げについては、利用者、浴場との負担割合についての整理が必要となることから、慎重な対応が必要と考えています。
次に、利用回数増についてです。
高齢者ヘルシー入浴補助券の申請をしている方は、対象者の約2割程度にとどまり、受け取った入浴補助券の利用も7割程度ということから、利用回数の増は難しいと考えています。
入浴補助券の相互利用の他自治体への働きかけについては、先日開催された、公衆浴場関係区市担当者連絡会において、東京都から、入浴補助券配布事業の相互利用の検討についてのお願いがあったことから、各区とも認識していると捉えています。
なお、相互利用を実施する際は、各区の浴場組合との協議が必要となるほか、利用者や浴場の負担割合や事業の運用方法の調整など課題が多く、実現には時間を要すると考えています。
(3)上中里・西ヶ原地域に高齢者あんしんセンター増設を
滝野川の高低差の3点目は、上中里・西ヶ原地域に高齢者あんしんセンターの機能を増設することです。
飛鳥晴山苑と滝野川はくちょうの2つの高齢者あんしんセンターの担当地域には、公共交通機関が未整備で、高低差も考えると高齢者の足では徒歩2~30分を超えてしまい相談に行くのも困難です。そこで質問です。
滝野川健康支援センターの場所に、高齢者あんしんセンター機能を確保してはいかがでしょうか。当面、毎週1回の出張窓口の4ヵ所目を開設してはいかがですか。ご答弁ください。
高齢者あんしんセンターは、平成28年に地域振興室と担当地域を同じくする再編を行い、高齢者あんしんセンターを2ヵ所増設して、それぞれのあんしんセンターが担当する高齢者数を5000人から7000人となるようにし、地域との連携を強化しました。
そのうえで、高齢者が歩いて行ける範囲でふれあい交流サロンや認知症カフェなどを開設し、高齢者が気軽に集い相談できる場を増やすとともに、来所が難しい方には、高齢者あんしんセンター職員が自宅に出向いて相談にのる取り組みも継続しています。
また、出張窓口は、特に高齢者が多い大規模団地を対象として設置しています。
こういったことから、現時点において、高齢者あんしんセンターの増設や新たな出張窓口の設置は考えておりません。
(4)思いやりのあるコミュニティエリアづくりを
滝野川の高低差の4点目は、思いやりのあるコミュニティエリアづくりを進めることに関して3点に絞って質問します。
ア、田端駅北口、上中里駅のバリアフリー化完成をめざして
まず1点目に、田端駅北口と上中里駅のバリアフリー化の完成です。
田端駅北口については、高台へのエレベーターが2002年に計画され、2025年までに設置する計画です。ボーリング調査が今年行われましたが、その結果、現在発表されている位置で実現は可能なのでしょうか。今後の予定とあわせ、計画の現状についてお答えください。
次に、上中里駅についてです。駅から上中里・西ヶ原高台に上るには、蝉坂をはじめ主に3つの区道があります。構造上、エレベーターの設置は困難だと思いますが、車椅子や杖を使っている方が一息つける踊り場のような場所を確保したり、手すりをつけるなど、現実的対応を提案します。ご答弁ください。
上中里駅周辺は、低地側ではエレベーターの設置によりバリアフリー化を行ってきたところですが、高台側については、地形的な要因からエレベーターの設置は難しい状況となっております。
特に高い台に上がる区道の一つである蝉坂については、坂道が長く続き、道路の勾配や店舗等への出入りなどの関係で、バリアフリー化には多くの課題があると認識しております。
手すりの設置については、移動による負担が少なくなるよう大規模な改修等の機会をとらえ、歩行者等の通行の支障とならない範囲で検討してまいります。
イ、上中里、東田端地域を視野に入れたKバス既存路線の拡充を
思いやりのあるコミュニティづくりの2点目に、バス路線のない上中里2丁目地域、バスの減便が相次ぐ東田端・田端新町地域のために田端循環、王子駒込のKバス既存路線の拡充について伺います。
地域公共交通計画でこの地域を対象とする滝野川東地域ルート案に順番が回るには、相当な期間を要します。当面の対策として、既存路線の田端循環、あるいは王子駒込ルートが、上中里駅ロータリーに立ち寄るという手立てをとるのはいかがでしょうか。ご答弁ください。
北区地域公共交通計画では、「地域の優先度」等を評価し、新規ルートの優先順位を設定しています。
滝野川東地域につきましては、鉄道や路線バス等が充実していることから、区内でも交通利便性が高い地域と捉えております。
既存路線につきましては、利便性を考慮して20分間隔で運行しておりますが、天候による利用者の突発的な増加や、交通状況の変化に対応し、引き続き、安全な定時運行を継続していく必要があることから、ご提案のルートでの変更は考えておりません。
なお、既存路線の運行ルートの見直しについては、利用状況や地域の動向等を踏まえながら、必要に応じて検討してまいります。
ウ、田端駅南口への人道跨線橋を
思いやりのあるコミュニティづくりの3点目は、田端駅南口への人道跨線橋設置についてです。
これは、40年以上前からの、東田端・田端新町の方々の強い要望です。昨年、避難所開設訓練の中で、多数が歩行避難することになるので都道の田端大橋と隣に並ぶ人道橋の田端ふれあい橋の1ルートでは大変混雑して二次災害の危惧があると田端新町・東田端の自治会のみなさんから強いご指摘を受けました。そこで質問します。
避難ルート確保のため、田端駅南口に人道跨線橋を整備することの必要性について、区長の見解を問います。その上で、首都直下地震対策を主管する内閣府と関連する国交省、東京都、JR東日本に、跨線橋整備を働きかけてみてはいかがでしょうか。
積極的な答弁を求めて私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
北区の地形は、JRを境に高低差のある崖地が続いており、高齢者や車いすを利用されている方などにとって、大変不便さを感じる環境になっていると認識しています。
田端駅南口への跨線橋の設置については、地域の皆さまからかねてよりご要望をいただいており、利便性の上でも水害や地震など、災害時の避難経路としても有効であると考えています。
しかしながら、田端駅南口の駅前には、広場がなく、崖が迫っている状況にあり、高台へのバリアフリー化整備には、土地の取得が不可欠であることや、関連機関との調整、多額の費用負担など、跨線橋の設置については、未だ多くの課題があると認識しています。
区としましては、引き続き、JR東日本などの関連機関と情報交換をしながら、駅周辺の開発動向にも注視しつつ、多角的に検討してまいります。