2021年度決算に対する反対討論ーながいともこ
2022年10月7日 | ながいともこ
私は日本共産党北区議員団を代表して、ただいま上程されました日程第1、2021年度東京都北区一般会計決算、日程第2、2021年度東京都北区国民健康保険事業会計決算及び、日程第4、2021年度東京都北区後期高齢者医療会計決算に対する反対討論を行います。
一般会計決算の認定について
初めに、一般会計決算についてです。
コロナ禍2年目の予算執行においては、低所得者やひとり親、子育て世帯等への給付金支給、プレミアム付き区内共通商品券の拡充、ゼロカーボンシティ宣言、パートナーシップ宣誓制度導入やコミュニティバス新規路線のモデル運行に向けた検討等は、評価いたします。
しかしながら、以下の理由で、一般会計決算に反対いたします。
財調基金を積み上げる一方、区民の命と暮らし、営業を支えるための施策は不十分
第1に、178億円の財政調整基金を積み上げる一方、区民の命と暮らし、営業を支えるための施策が不十分にとどまった予算執行であったことです。
いま、物価高騰が区民の暮らしを直撃しています。電気ガスなどの光熱費、食材費など軒並みの値上げが続いています。東京都庁前での食料支援には過去最多の人数が並ぶなど、コロナ禍から暮らしは回復していません。また、昨年度、新型コロナ対策として、事業者向けの給付金・協力金の支給が行われていますが、支給を受けた事業者が今年度支払うべき所得税、住民税、社会保険料等の負担が非常に重くなり、支払が困難であるという声が出されています。
我が会派は、予算組み替え提案や申し入れなどで、必要としている全ての人や事業者への直接給付型の支援を求めました。今議会の補正予算では地方創生臨時交付金を活用し、区独自に、住民税均等割のみ世帯や課税者から扶養されている非課税世帯への給付金支給の拡大が実現し、国の給付金の対象外となっていた皆さんから大変喜ばれております。
一方で昨年度を振り返ると、年度当初こそ財政の見通しが不透明だったものの、年度末には財調基金約178億円、主要5基金で約628億円と、基金残高の水準はほぼ横ばいとなっています。地方創生臨時交付金の積極的活用に加え財政調整基金を活用すれば、わが会派が決算審議で求めた、以下のような区民要望にも応えることが可能だったはずです。
―学校給食費の全面無償化に踏み切った葛飾区に続き、北区においても無償化に向けた支援をさらに拡充すること。
―補聴器助成は、すでに16区が実施しており、北区でも直ちに開始すること。
―猛暑から区民を守るために、エアコン購入や修理費の助成をすること。
―売り上げが減少している中小事業者への直接支援を行うこと。
今こそ、コロナ禍の収入減に加えて、光熱費や物価の高騰に苦しむ区民、事業者への給付型支援の拡充を求めるものです。
「外部化」の拡大など、「行革」路線に固執する予算執行
第2に、コロナ禍においてなお、「外部化」の拡大など、「行革」路線に固執する予算執行であったことです。
わが会派は、この間、コロナ禍の中で区民生活を支える、保健師、保育士、介護士、教員など現場で働く方たちの増員、処遇改善を求めてきました。
コロナ第7波でも、保健所は逼迫し、保健師などの超過勤務は、全職員の平均を大きく上回り、1人1人の過重負担は明らかです。会計年度任用職員、業務委託などで急場をしのぐのではなく、行政改革で減らした保健所を元に戻し、抜本的な職員増を図るよう求めます。
また、わが会派は決算審議で、保育士の公私格差の根底に、委託費を運営費以外に流用する「弾力運用」という仕組みがあることを明らかにしました。
北区では、私立認可園の保育士平均給与は、公立の保育士と比較しても初任給で概ね月額5万円、10年目で6万円も低く抑えられていることがわかりました。その背景には、区が保育園の運営のために支給している委託費のうち、最大4分の1までを運営費以外の用途に流用できる「弾力運用」という仕組みがあり、区もこれを認めました。国は委託費の8割を人件費に充てることを想定していますが、北区の株式会社立保育園では、人件費割合は5割強に過ぎません。
株式会社など営利企業の参入を可能とする規制緩和によって、人件費が抑制され続けています。コロナ禍の下、働く人の確保と処遇改善が切実に求められている時に、指定管理者制度を公園の分野にまで広げるなど、「外部化」に固執する姿勢は認められません。あらためて公共の役割を見直し、新自由主義から公共を取り戻す道に切り替えることが急務です。
民間企業と一体に超高層マンションを呼び込む大型開発優先のまちづくり
第3に、民間企業と一体に超高層マンションを呼び込む大型開発優先のまちづくりの姿勢です。
十条駅西口、赤羽駅東口の市街地再開発に加え、赤羽台でも学校跡地とUR用地の一体活用による大規模開発計画が発表されました。いずれも民間企業と一体に高層マンションを呼び込む開発で、数百から一千戸もの分譲マンションを誘致する計画です。
区民からは、「タワマンなくして程よく発展」、「分譲マンションより低家賃の公営住宅を」との声が寄せられていますが、ゼネコンやデベロッパーだのみでは、高層・高価格のタワーマンションをつくることが必須となり、景観や住まい、環境への影響を心配する区民も増えるのではないでしょうか。
また「北区都市計画マスタープラン」には、「協働のまちづくり」が明記されています。まちづくりには住民合意が大前提ですが、赤羽台の開発では住民や議会に説明する前に、区がURとの連携協定を締結してしまいました。住民の声を聞き、協働で作り上げていく姿勢こそ大事です。
赤羽駅東口地区では、地域住民、商店街・学校関係者など広く住民が参加するまちづくり懇談会を早期に開催すること、また、十条や志茂、岩淵町で積み重ねられているまちづくり協議会には、いっそうの住民参加を得て、まちづくりに幅広い住民の意見を反映させることを求めます。
住民の合意を大前提に、古い町並みや商店街を残し、誰もが安心して住み続けられるまちづくりへの転換を求めるものです。
特別会計決算の認定について
次に、各特別会計決算についてです。
国民健康保険事業会計は、保険料の値上げ等により反対します。
後期高齢者医療会計は、均等割額の軽減措置が見直しされたことにより、低所得者には負担増となったことから反対します。
介護保険会計は、第8期計画で保険料基準額が据え置きされることになったことから賛成することを申し添えます。ただし、要支援の総合支援事業については単価を直ちに国基準に引き上げ、利用者負担大幅値上げなど9期に向けた制度改悪には区として毅然と反対するよう求めます。
いつくかの要望
最後に、以下7点、要望します。
1、区立小中学校で、産休や育休、病気などによる教員不足が多発し、中には長期にわたりクラスの担任がつけられないなど、深刻な事態も起きています。国や東京都に抜本的な定数増を求めるとともに、教員の「働き方改革」を進め、地域ぐるみでの、人材確保に取り組むことを求めます。
2、4月に学校給食の委託契約をし、わずか4ヵ月で契約解除となった事業者が、300件もの事故を起こしていたことが、開示された資料によりわかりました。委託契約にプロポーザル方式を取り入れるなど、食の安全を守るための改善を求めます。
3、試験運行開始が延期となったコミュニティバスについては、幅広く住民説明会を開催し、十分な説明を行うこと。また、地域公共交通会議も開催し、代替策も含め早期に運行を実現するよう求めます。
4、十条まちづくりにおいて、新たなにぎわいの拠点づくりと位置づけている再開発ビルと、既存商店街との共存共栄を図るために、再開発ビル・既存商店街の当事者を含めた幅広い地域住民が参加する協議会の設置を求めます。
5、気候危機打開、北区ゼロカーボンシティ宣言の実現に向けては、区民・事業者が現状をわがこととして受け止め、主体的に学びを深め協働できる体制の構築を求めます。また、ジェンダー平等社会の実現に向け、女性のためのLINE相談の拡充、生理用品の小中学校への全校配備など更なる施策の推進を求めます。
6、微量の化学物質や電磁波に触れることで、頭痛、めまい、呼吸困難などの症状を発する化学物質過敏症や電磁波過敏症に対する理解の促進と、行政サービスの窓口や避難所、Wi-Fiを使用する学校の教室など、区政のあらゆる場面で発症を抑えるための配慮を求めます。
7、北区でも児童相談所等複合施設の開設に向けた準備が始まっています。児童相談所の区への移行を進める先行区でも、人材とともに大きな課題となっているのが財源です。都区財政調整協議において、児童相談所開設に向けた財源確保に全力をあげるよう要請します。
以上をもって、日本共産党北区議員団の反対討論といたします。