2023年第1回定例会代表質―宇都宮章
2023年2月22日 | 宇都宮章
私は、日本共産党北区議団を代表して、大きく6点、質問します。
1、岸田政権による大軍拡と北区平和都市宣言について
大きな1つ目は、岸田政権による大軍拡と北区平和都市宣言についてです。
昨年末、岸田政権が閣議決定した「安全保障3文書」には、敵基地攻撃能力の保有や、5年間で43兆円もの防衛費を増額する方針が示されています。これらを実行に移せば、日本は他国に脅威を与える世界第3位の軍事大国となります。日本が攻撃されていなくても、アメリカと一緒に相手国を武力攻撃すれば、相手国からの報復攻撃を招き、日本が焦土と化す恐れがあります。
戦前、軍の施設が集中していた北区ですが、戦後は「平和都市宣言」を高らかに宣言し、平和都市へとその姿を変えました。私の地元、神谷2丁目では、空襲で亡くなられた住民を慰霊する記念碑を建立し、毎年「慰霊祭」を行っています。
北区平和都市宣言は、「真の平和と安全」「平和で自由な共同社会の実現」「世界の恒久平和と永遠の繁栄」という崇高な理念を掲げていますが、岸田政権による大軍拡路線は、これを押しつぶしてしまうものではないでしょうか。
そこで、質問します。
区長は、岸田政権が推し進めようとしている「反撃能力」の保有、5年間で43兆円の防衛費増額、アメリカと融合した統合防空ミサイル防衛などの方針が、北区が掲げる平和都市宣言の理念と真っ向から矛盾するとお考えになりませんか。平和都市宣言の実現に責任を持つ立場から大軍拡路線にキッパリと反対の意思を表明すべきではありませんか。お答え下さい。
はじめに、岸田政権による大軍拡と北区平和都市宣言について、お答えします。
防衛政策は国の専管事項であり、国へ意見表明を行うことは考えておりません。
区としては、引き続き、世界の恒久平和と永遠の繁栄を願う平和都市宣言の理念を平和祈念週間事業などの取組みを通じ、区民の皆さまへ伝えてまいります。
2、積み上がった基金を活用し物価高騰対策給付金、補聴器助成、国保料負担軽減などくらし応援の施策を
わが会派は昨年、「北区に実施してほしい施策は何か―あなたのくらしの声をお聞かせ下さい」と区民アンケートを作成し、現在までに1300人を超える皆様からご協力を頂きました。その結果、北区に取り組んでほしい施策の第1位が物価高騰対策で54%、次いで保険料の負担軽減43%でした。年明け、電気・ガスなど、光熱水費は2倍近くに跳ね上がり、食料品の高騰も続いています。こうした区民の窮状や声に、今こそ北区はしっかりと応えていく時と考えます。
そこで、以下5点質問します。
1つは、北区独自の物価高騰対策給付金の支給です。
今議会に示された今年度の最終補正予算では、区民税や国、東京都からの交付金が約30億円追加で歳入となり、一方、当初予算で計上していた事業費のうち約24億円余が執行残となりました。そうした結果、使いみちが限定されておらず、コロナ・物価高騰対策などに活用できる財政調整基金は178億円から195億円へと過去最高に増加。さらには、新庁舎建設を含む施設建設基金に、27億円が積みましされています。
そして、新年度予算案では、新たに創設される新庁舎基金に20億円、まちづくり基金には、今年度最終補正で10億円、さらに新年度で10億円の合計20億円を計上。年度末補正と新年度予算案で、施設建設とまちづくりの2つの基金に67億円が積み増しとなります。
ここまで増え続けてきた基金、北区の財政力は、積み立てるのではなく、物価高騰に苦しむ区民のくらし・営業の応援に活用すべきではないでしょうか。
私たちは、昨年9月の代表質問でも、課税世帯を含め給付金の支給対象を拡充すべきとしました。例えば非課税世帯に加え、納税者の約半分にあたる課税標準額200万円以下の方に対象を広げれば、おおよそ北区の半数の区民のみなさんに給付金を届けることができます。
積みあがった財調基金の一部を活用し、区民のくらしを支えるための物価高騰対策給付金を支給するよう求めます。
2つは、高すぎる国保料の負担軽減です。
新年度の国民健康保険料について、2月16日の区長会では、一人あたりの国保料について、今年度比で1万1000円もの大幅な値上げとなる方針が示されました。値上げ幅を抑える対応が一定なされたものの、ただでさえくらしが厳しい中、1万円を超える国保料の値上げはあまりに理不尽です。
そこで、国保料の値上げを抑えること、さらには一人あたり5万円を超える均等割保険料の就学前半額補助を18歳まで拡充するよう求めます。
3つは、高齢者をはじめとした難聴者への補聴器助成の実施です。
昨年9月の会派の本会議質問に対し、北区は「医師会と調整し制度導入に向けた検討をすすめる」と答弁。続く11月の健康福祉委員会でも、「メンテナンスの方法も含め協議している」旨の準備状況をお答え頂きました。しかし新年度予算案では、制度の計上が見送られたことは非常に残念であり、高齢者をはじめとして、待ち望んでいた区民をがっかりさせているのではないでしょうか。
認知症予防にも大きく寄与する耳のきこえの支援は、「長生きするなら北区」の新年度予算で、いの一番に掲げるべき事業と考えます。新年度の補聴器購入助成の実施について、区長の決断を求めます。
区では、財政調整基金を含めた一般財源や、地方創生臨時交付金などの特定財源を、積極的かつ効果的に活用して、物価高騰対策をはじめ、3つの優先課題を中心にさまざまな取組みを着実に推進してきました。
また新年度には、国や東京都の施策とも整合を図り、区議会の要望などを踏まえ、区立小・中学校の給食費完全無償化や、福祉タクシー券の月額支給の増額のほか、区内中小事業者への物価高騰対策を講じてまいります。
さらに、地域福祉や健康施策の充実を図るほか、高齢者デジタルデバイド対策など、区民サービスの向上に資する事業を中心に、レベルアップなどを行っていきます。
一方で、財政調整基金については、特別区内の他団体と比べても、残高は決して十分ではありません。
今後、新庁舎建設をはじめ、駅周辺のまちづくりや公共施設の更新需要などに加え、新たな行政課題への対応など、将来を見据えた財政運営が必要不可欠だと考えており、現時点において、区独自の物価高騰対策給付金を支給することは考えておりません。
なお、国民健康保険料の負担軽減については、その制度設計は、国の責任において、適切に行われるべきと考えており、特別区長会として、保険料の上昇を抑制するための方策を講じる一方で、保険料負担軽減策の拡充を図るよう、国や東京都に対して求めています。
また、補聴器助成については、先行区における制度内容や利用状況なども参考に、対象者や補助金額などを検討しているところであり、今後は、具体的な制度内容を踏まえた、医師会との協議・調整も進めてまいります。
4つめは、給食費補助の拡充、返済不要の給付奨学金の実施など教育費の負担軽減です。
先にご紹介した区民アンケートで、子育て・教育で一番の要求は、給食費完全無償化36%、次いで大学など学費負担軽減30%となっています。新年度予算案では、区立小・中学校の学校給食費の完全無償化が計上され、保護者をはじめ区民から喜びの声を頂いています。
そこで、1つに、すべての子どもたちの食を保障する立場へとさらにふみこみ、私立の幼稚園や小中学校に通う児童や生徒たちへも拡げてほしいと考えますが、いかがですか。
2つに、高等教育費の負担について、「入学金を納めなければ、大学に正式な合格とならない」「学費の負担を何とかしてほしい」との声にこたえて、北区でも大学や専門学校の入学金支援や返済不要の給付奨学金創設に踏みだすよう求めます。
次に、私立幼稚園や小中学校に通う児童・生徒への給食費の補助についてです。
私立幼稚園に通う園児の昼食については、園の運営方針により、弁当を取り入れている園もあります。今後、区としては、教育委員会と連携のうえ、国 及び東京都の支援策にも注視しながら、必要な負担軽減策を、検討していきたいと考えています。
一方で、私立小・中学校に通う児童・生徒に対する給食費の補助については、考えておりません。
次に、入学金支援、給付型奨学金についてお答えいたします。
国では、令和2年度から、高等教育修学支援新制度を実施し、低所得者世帯に対して、大学や専門学校などの入学金、授業料を減免するほか、給付型奨学金を拡充しています。
その後、修学支援新制度の対象となっていない中間所得層についても、負担軽減の必要性が高い多子世帯などに対象範囲を拡大する方向性が示されており、次期教育振興基本計画の答申の素案でも、基本施策の一つとして位置付けられています。
区としては、引き続き、国の動向を注視し、制度の周知に努めるとともに、経済的に困難を抱える若者の進学支援に資する給付型奨学金制度の拡充について、全国市長会を通じて、国に求めてまいります。
5つめは、家賃補助制度の創設です。
新年度予算案では、住宅セーフティネット法にもとづき、UR住宅を含め月4万円の家賃補助住宅の確保へふみだす予算が示されました。昨年6月の代表質問でも要望していたもので制度の突破口がようやく開けたと感じています。一方で、国の住宅確保給付金が縮小する中、民間アパートの家賃負担軽減は喫緊の課題です。
そこで北区独自の家賃助成を実施するよう求めます。
以上、くらし応援の緊急対策について、区長の積極的な答弁を求めます。
次に、家賃補助制度の創設についてです。
現在、区では、新年度より民間賃貸住宅のストックを活用し、高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない専用住宅の供給促進に向けて、準備を進めているところです。
供給開始にあたっては、家賃低廉化補助事業も併せて実施する予定です。
区としましては、独自の家賃補助の実施は考えておりませんが、まずは、新年度からの住宅セーフティネット制度の周知に努めながら、専用住宅の登録について、取り組みを進めてまいります。
なお、住宅セーフティネット制度の詳細については、本定例会の所管委員会において、ご報告させていただきます。
3、子育て・教育への支援について
大きな3つ目の質問は、子育て・教育への支援についてです。
(1)保育士配置基準の引き上げを
第1に、保育士配置基準の引き上げについてです。
コロナ禍では平時でも過密な通常業務にコロナ対応業務が重なり、現行の国の保育士配置基準と現場の実態に深刻な乖離が大きくなっています。
ある私立保育園では、正規職員数は国の配置基準の約3倍、非常勤・パートを含めると都や区が加算・加配した人員を合わせても、やはり約3倍近い職員数で毎日運営されています。また、昨年2月から保育士の給料の3%、月9000円の処遇改善が国によって行われました。しかし、この金額が低すぎる上に配置基準も低いため、賃上げは7000円台にとどまり全く不十分です。
以下、質問します。
75年間見直されてこなかった配置基準の大幅改善と、保育士の思い切った処遇改善を国に求めて下さい。
国は、子どもの安全を確保し、保育サービスの質を維持するために必要となる保育士の配置数を定めています。
区では、国が定めた基準を基本としながらも歳児によって区独自で職員配置の充実を図っています。
区といたしましても、より適切な保育を確保するために、国の保育士の配置基準を見直すとともに、処遇を改善することは必要なことと考えており、引き続き全国市長会を通じて、国へ要望してまいります。
(2)私立保育園委託費の弾力運用について
第2に、私立保育園委託費の弾力運用についてです。
昨年の決算特別委員会で、わが会派は、私立保育園の委託費のうち、最大4分の1を他の目的に使用することを可能とする、いわゆる「弾力運用」について質疑しました。国は本来、委託費の8割は人件費に充てることを想定していますが、北区では、株式会社が運営する私立保育園の人件費割合は、約5割に抑えられています。その背景には、弾力運用によって委託費を同事業者が運営する他の保育園や施設に転用する実態があると考えられます。
そこでお聞きします。
北区の私立保育園で、いくつの園がどのくらいの割合で、どのような弾力運用を行っているのか、その実態についてお示し下さい。
また、国に対し弾力運用の見直しを求めるとともに、北区として委託費のうち一定割合を人件費に充てるよう私立保育園に指導することを求めます。
保育所における保育の実施においては、子ども・子育て支援法等に基づき、区市町村から保育所の運営に要する費用として委託費をお支払いしています。
国が発出した通知では、この委託費は当該年度の総額のうち、4分の1の範囲まで法人が設置する他の保育所等の経費に充てることができるとされています。
一定額の他施設会計等への繰り入れは、法人運営に必要な事であり、ほぼすべての園で行われておりますが、区が報告を求めている他施設会計等への繰り入れが当該年度の園の収入の3%を超える園は、令和2年度に1園、令和4年度は現在までに5園です。
職員に対する良好な処遇は、円滑な園運営に必要な事であり、引き続き保育所の運営に適切な助言を行ってまいります。
(3)放課後子ども総合プランについて
第3に、放課後子ども総合プランについてです。
区は、増大する学童クラブ利用者に対応するために、新たな放課後子ども総合プランを推進し、再来年度から実施するとしています。
示された案では、一般登録の放課後子ども教室に有料の早朝・夕方枠を設け、学童クラブに準じた育成機能を付加するなどの改善が見られる一方、1クラブ40人の枠を取り払い、定員をクラブごとではなく学校ごとに条例で定めること、専用室ではなく学校内の教室をタイムシェアして使用することなどが盛り込まれています。
学童クラブは、単に児童を預かるだけでなく、生活の場を保障することが重要な目的です。面積基準や職員配置基準を変えないとしても、40名の定員枠がなくなれば、実質上の「水増し」となり、職員の目が行き届かなくなるという状況が生まれる懸念があるのではないでしょうか。
新たな放課後子ども総合プランへの移行にあたっては、定員40名の枠を外さないこと、生活の場としての現在の学童クラブの水準を確保するよう求めます。お答え下さい。
令和6年度に予定している新たな放課後子ども総合プランへの移行にあたっては、その活動エリアの確保について、これまでの専用室を前提とした整備に加え、特別活動教室等を共用利用として積極的に活用するなど、柔軟な対応を可能とするため、学校単位での設定に変えることとしています。
また、学童クラブの設備及び運営の基準については、条例及び規則で明記しているところであり、区画ごとの面積や職員配置の基準についても、児童の適切な生活環境となるよう、引き続き、確保してまいります。
(4)教員と学校施設の充実について
第4に、教員と学校施設の充実についてです。
この間、わが会派は、区立小・中学校で、長期間にわたって担任が配置できないなど、深刻な教員不足の問題を明らかにし、改善を求めてきました。
新年度予算案で、私たちが提案してきた教員不足を補う学力パワーアップ講師や学級経営支援員の増員、中学校への教員事務補助員の配置が実施となることは歓迎すべきことです。その上で、担任が欠けるなどの事態が生じないよう、教員の抜本的な増員を求めることが必要です。
そこで、お聞きします。
1つに、国に対し教員の増員を求めるとともに、新年度から定数通りの教員配置ができるよう東京都に強く要請することを求めます。
2つに、35人学級への移行やマンション開発などによる教室不足も引き続き懸念されます。児童・生徒の増加に見合う学校施設整備計画を立て、着実に実施に移すよう求めるものです。
はじめに、教員の増員と定数どおりの教員配置についてです。
東京都教育委員会では、35人学級の進行、年度途中の休職や退職等の状況などを踏まえ、一層の教員確保を図るため、教員採用選考応募人員の増加策や教員の支援体制、外部人材の活用などの充実を進めることとしています。
昨年春の教員異動においては、北区立小中学校に定数どおりの教員が配置されました。
教員を増員するための、教職員定数の見直しや教員の加配措置については、引き続き全国市長会や特別区教育長会を通じて、国や東京都に要望してまいります。
次に、児童・生徒の増加に見合う学校施設整備計画の作成、実施について、お答えします。
人口増加や少人数学級推進などを踏まえた学校施設の整備については、これまでも、庁内関係部課の検討会において、最新の東京都教育人口等推計や地域の開発動向なども勘案し、普通教室の確保と児童の放課後の居場所確保の両面からの検討を行い、教室不足等が見込まれる年度の遅くとも3年前には、増築棟整備などの具体的な対策に着手できるよう、計画的に取り組んできています。
そのため、今後とも、地域ごとの人口動向などを注視しつつ、児童・生徒の教育環境向上に資する学校施設の整備について、適時・適切な対応に努めてまいります。
(5)ヤングケアラー支援について
第5に、ヤングケアラー支援についてです。
2020年度に国が実施したヤングケアラー実態調査において、その現状と課題が広く明らかになり、北区でも「子ども子育て支援総合計画」の改定にともない、区立小・中学校で調査が行われました。
その後の青少年問題協議会では、「北区にも国の調査と同程度の割合でヤングケアラーがいると考えられる」との報告があり、2023年度の「北区青少年健全育成活動基本方針(案)」にもヤングケアラー対策が明記されました。
板橋区は新年度からヤングケアラー対策担当係長を設置、港区では、子ども家庭支援センターにヤングケアラー・コーディネーターを配置しました。
そこで北区でも、以下2点の支援拡充を求めます。
1つに、区が行った実態調査の内容を公表し、意識啓発、研修、広報の充実を図るとともに、ヤングケアラー連絡会の設置、国や東京都の制度を活用したヤングケアラー・コーディネーターの配置、民間団体とも連携し寄り添い型の相談窓口や居場所づくりの支援を計画化すること。
2つに、現在、策定中の(仮称)北区子ども条例に、ヤングケアラー支援を位置づけること。
区長の前向きなご答弁を求めます。
令和4年10月に実施した、子ども・子育て支援総合計画の意識意向調査の結果については、ヤングケアラーにかんする項目を含め、本定例会の所管委員会で報告し、公表する予定です。
ヤングケアラーについては、表面化しにくく、ヤングケアラー自身や、周辺の大人も自覚がない場合や、福祉、介護、学校等の関係機関においても知識や支援策が十分とはいえない状況であることが課題と考えています。
こうしたことから、関係機関向けの講演会や、発見の窓口となる機会が多い、学校や保育園等の教職員への研修会を引き続き実施するとともに、令和5年度は、虐待予防啓発のための、子どもカードに、ヤングケアラーの記載を加え、子ども自身の気づきや、理解を深めるなど、普及啓発につとめてまいります。
また、新たに、関係機関が連携し、ヤングケアラーやその家族を支援するために、(仮称)ヤングケアラー連絡会を設置するほか、支援実施のための調整役を担うヤングケアラーコーディネーターを配置します。
寄り添い型の支援窓口や居場所づくり支援については、他区の状況や、ヤングケアラー連絡会の意見もふまえ、検討してまいります。
次に、現在制定の準備を進めている(仮称)北区子ども条例についてです。
条例の表現等につきましては、さまざまなご意見を参考に、子どもに分かりやすく北区にふさわしい条例となるよう検討を行っていきたいと考えておりますが、ヤングケアラーを含むすべての子どもたちに、子どもの権利条約の柱である4つの権利が保障されるよう取組みを進めてまいります。
4、高齢者への支援について
大きな4点目の質問は、高齢者への支援についてです。
(1)エアコンの購入・修理・電気代への助成を
第1に、エアコンの購入・修理・電気代への助成を行うことです。
私はこの半年間、コロナ感染対策をしながら、約1000人の区民のみなさんと直接、訪問・対話を続けて来ました。
近年の異常気象の中でもエアコンの無い方が散見されます。夏の暑さ、冬の寒さの厳しい時は公共施設、スーパーマーケットに避難し、仮にエアコンがあっても老朽化で壊れたまま使えない方も少なくありません。
また、物価高騰で「電気代が月1万円を超えびっくり。昼間はエアコンを入れず厚着、寒い日は布団で寒さを凌ぎ、食事は一日一食。5万円の給付金を少しずつ大事に使っている」との話も伺いました。
そこで、繰り返しの要望となりますが、エアコンの購入費や修理代への助成を実施して下さい。また、エアコンはあっても電気代を気にして使用を控えてしまう低所得者世帯などへ、電気代の助成を実施して下さい。
高齢者あんしんセンターなどによる見守り活動から、自宅にエアコンを設置していない高齢者が一定程度あることは認識していますが、一方、エアコンを設置しない理由も様々あると捉えています。
猛暑による熱中症などへの対応については、様々な見守り活動の中で取り組みを進めており、エアコンの購入や修理代への助成は考えておりません。
また、電気代の助成については、昨年11月、国において、電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、住民税非課税世帯等に対し、「緊急支援給付金」が実施されましたが、今後の社会経済状況などを踏まえ、国において適宜、必要な対策が講じられるものと認識しています。
(2)高齢者あんしんセンターの体制強化を
第2に、高齢者あんしんセンターの体制強化についてです。
高齢者のみなさんを訪問しますと、ほとんどの方が「何とか元気です」と言われます。しかし、共通して買物、通院以外は外出を控え、「足腰が弱り転びやすくなった」「食事がすすまない」「暖房、電気を節約している」「カラオケなどのサークルが懐かしい」などとお話しします。
2021年に実施された「北区全高齢者実態把握調査」報告書では、加齢にともない体力や気力が低下し、食欲や活動量が低下して虚弱になっていく「フレイル」の割合は男性35.6%、女性34.1%でした。
フレイル対策の3本柱の一つが外出・交流・活動の社会参加ですが、コロナ禍でこの活動が3年間制限され、介護予防の必要性は今後さらに高まってくるのではないでしょうか。
そこで、高齢者あんしんセンターの体制を、コロナ後も視野に入れて補強、強化することを求めます。お答え下さい。
高齢者あんしんセンターは、北区の地域包括ケアシステムを担う中核機関として、高齢者の総合相談をはじめとする機能を担っており、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の配置が必須となっているほか、必要に応じ臨時職員も配置されています。
そのほか、前回の全高齢者実態把握調査の結果を踏まえ、見守りコーディネーターを配置し、現在の生活支援コーディネーターとなっています。その後、認知症施策推進のため認知症地域支援推進員も配置しています。
また、令和4年度から委託している今回の実態把握調査のフォローアップ事業では、人員配置も含め、現場に応じた柔軟な対応を可能としています。
今後も、後期高齢者の増加に伴い、対応が困難な事例が増加することが見込まれ、高齢者あんしんセンターが担う業務の質や量も変化していくと認識しています。
高齢者あんしんセンターの体制強化については、他区の地域包括支援センターが担っている事業や人員体制も参考としながら、必要な体制の確保に努めてまいります。
5、新型コロナウイルス感染症の「5類」への変更について
大きな5つ目の質問は、新型コロナウイルス感染症の「5類」への変更についてです。
岸田政権はこの5月から、新型コロナを現在の「2類相当」から「5類」へと変更させる方針を決定しました。しかし、東京都のコロナ患者の死亡数の増加、福祉施設でのクラスターの多発、医療体制のひっ迫などから、季節性インフルエンザと同等とは言い難い状況です。
また、「5類」になれば、ワクチン接種などの医療費が自己負担となり、受診控えによる重症化や感染再拡大を引き起こす恐れもあります。
そこで以下、質問です。
1つに、変更後も引き続き警戒を強めることが必要であることや、医療・福祉現場のひっ迫状況、検査・ワクチン・マスク等の有効性などについて、科学的で正確な情報を発信すること。
2つに、医療費・ワクチン接種費用の公費負担、診療報酬の特例、病床確保支援、医療機関や福祉施設、学校での集中検査、無料のPCR検査など、必要な対策の継続・強化を国に求め、区としても独自の対策を講じること。
3つに、医師会にも協力を要請し、発熱患者を受け入れる外来医療機関を増やすための支援を強化すること。
4つに、保健所の体制強化を図ること。
区長の前向きな答弁を求めます。
まず、科学的で正確な情報発信についてです。
新型コロナウイルス感染症にかんしては、これまでも、北区ニュースやホームページ等を通じて、迅速な情報提供に努めてまいりました。
類型変更後も、引き続き、科学的かつ正確な情報を発信するよう、努めてまいります。
次に、保健・医療提供体制についてです。
法定感染症としての類型の変更に伴い、入院勧告や、外出制限などの行動制限等の措置、及び、医療費自己負担分の公費負担は、原則として終了します。
今後、医療提供については、外来・入院とも医療機関が、一般的な疾病と同様に対応する体制へ移行していくことになります。
こうした対策の変更には、医療費の自己負担の発生、外来・入院や検査等の保健・医療提供体制の確保、ワクチン接種促進体制の確保など様々な課題が伴うことから、国は、激変を緩和するための適切な経過措置を講じながら、段階的に移行していくとし、3月上旬を目途に具体的な方針を示すとしています。
一方で、東京都は、類型変更後も都民の不安や、医療現場の混乱を招かないよう、必要な保健・医療提供体制を継続しつつ、段階的に移行するとし、高齢者等医療支援型施設や高齢者施設等従事者の集中検査など、ハイリスク層を守る取り組みの継続のほか、医療機関の設備整備支援などを、「東京モデル」として実施する方針を打ち出しました。
区といたしましては、こうした国や東京都の取り組みをふまえ、必要な対策の継続・強化について、医師会等関係機関との協議をすすめ、安全安心な保健・医療提供体制の確保に努めてまいります。
なお、国への要望につきましては、すでに東京都が国に対して、「新型コロナウイルス感染症の法的位置づけの見直し等にかんする要望」をおこなったところですので、その推移を注視するととともに、必要な支援策については特別区長会を通じて、要望してまいります。
次に、保健所の体制強化についてお答えします。
保健所体制の強化については、新型コロナウイルス感染症対策の長期化に対応してその中核を担う保健師をコロナ以前の5名から13名にまで増員するとともに、業務の外部化や他部署からの応援体制を確立してその対応に万全を期してまいりました。
また、今年度からは、社会経済活動の正常化を目指す中にあって、さまざまな事業や施策を推進していくため、職員応援体制を見直しつつ、さらなる民間活力の導入やICT技術の活用による業務の効率化を図り、感染拡大への的確な対応に努めてきました。
今後、国や東京都の感染症類型変更に向けた検討の状況を踏まえ体制の見直しを図るとともに引き続き、発生動向に応じて臨機応変に業務継続体制の確保を図ってまいります。
6、まちづくりと地域の課題について
最後の質問は、まちづくりと地域の課題についてです。
区長は、本格化する駅周辺のまちづくりをさらに加速するとしていますが、十条駅、赤羽駅の東口・西口と、いずれも民間事業者と一体に超高層タワーマンションを呼び込む開発計画を推し進めています。こうしたまちづくりのあり方に、私たちが行った区民アンケートでも、「北区に高層ビルマンションは似合わない」「長年住んでいる住民を立ち退かせるマンション計画ばかりやっていることに理不尽を感じる」「大きなマンションを建てて人を増やせばいいというものではない」など厳しい意見が寄せられています。
タワマン誘致の開発型まちづくりから、まちの良さや伝統、商店街を残し、戸建てや低廉な集合住宅を中心とした、ぬくもりのあるまちづくりへの転換を求め、以下、具体的にお聞きします。
(1)十条駅周辺のまちづくりについて
第1に、十条駅周辺のまちづくりについてです。
2024年に竣工予定の新たなにぎわいの拠点、再開発ビルが完成すると、買い物客の流れも変わり、既存商店街の売り上げにも影響が及ぶものと思われます。都内でも有数の規模を誇る十条銀座商店街をはじめ、いまある十条の商店街を、再開発によって衰退させるわけにはいきません。
わが会派は昨年の決算特別委員会において、新たなにぎわい拠点と既存商店街との共存共栄を図るために、再開発組合や商店街振興組合を含めた地域の協議体を作ることを提案しました。その際には、「商店街を中心に、再開発組合や町会・自治会、もしくは3大学とも連携して、地域が一体となってにぎわいを再考する機会を実現できるよう、区としてしっかり取り組む」との回答を頂きました。
そこで、あらためて既存商店街を守り抜く区長の決意をお聞きします。区が旗振り役となって、十条駅周辺の広域的なにぎわいを実現するための協議体を早急に立ち上げることが必要です。その具体化について、お考えをお聞かせ下さい。
昨年4月に改定した「十条地区まちづくり基本構想」では、あらためて、まちの将来像の一つとして、「歴史ある商店街は、地域との密着性を保ちつつ、駅周辺における土地の有効利用により再生されたまちと調和し、回遊性が高く、『にぎわいの拠点』にふさわしい商業圏を形成している。」としたところです。
区としましては、この基本構想の将来像を踏まえ、この間、十条駅西口地区の市街地再開発事業の完成を契機として、既存商店街を中心に、再開発組合や町会・自治会等が連携し、地域が一体となって、にぎわいの拠点の形成に向けた魅力ある多様な取り組みが行えるよう、協議・調整を重ねてきたところです。
関係団体からは、概ねのご理解をいただいており、まずは、商店街、再開発組合を中心に十条地区のにぎわい形成に向けた準備組織を今月末には結成し、今後は町会・自治会等をはじめ、十条地区にゆかりのある多様な団体の参画を促して、さらなる取り組みを進めてまいります。
(2)赤羽駅周辺のまちづくりについて
第2に、赤羽駅周辺のまちづくりについてです。
赤羽駅東口では、先行する「第一地区」の市街地再開発計画に続き、一番街をはさむ両側の「第二地区」「第三地区」も再開発準備組合の設立届が提出され、計画が具体化されつつあります。
駅前に100メートルを超える3本ものタワーマンションが建てば、商店街や赤羽小学校などにも大きな影響が出ることは間違いありませんが、いまだ周囲に正確な情報が届いておらず、地域住民の多くが再開発計画を知らないという状況です。
加えて、赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会の中では、再開発によって影響を受ける赤羽小学校を、赤羽公園や赤羽会館の位置に移転させよという意見も出ており、住民が知らないうちに赤羽公園がなくなってしまうかもしれないという不安の声も広がっています。
そこで質問です。
1つに、今年度内に計画されているまちづくり懇談会は、住民だれもが参加でき、再開発計画の是非も含め自由な意見を言えるものとし、1回だけではなく、今後複数回の開催を計画すること。
2つに、区として「第二地区」「第三地区」の再開発準備組合に、計画が本決まりになる前に、商店街や学校関係者などに向けた住民説明会を早期に開くよう要請すること。
3つに、赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会幹事会を住民に開かれたものにするために、一般住民のオブザーバー参加を認めるよう協議会に働きかけること。
4つに、赤羽小学校の移転や赤羽公園の存廃など周辺公共施設の再配置計画については、住民の間での十分な議論と合意がないまま、一方的に計画化しないこと。
以上、お答え下さい。
はじめに、赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会の運営について、です。
ご案内のとおり、同協議会は地域住民の方々が、自ら考え行動することで、赤羽駅東口地区のまちづくりを推進することを目的に平成21年に設立されたもので、区は事務局として、協議会活動を支援しています。
まちづくり懇談会の開催については、より多くの住民の方々の参加が得られるよう協議会が活動方針に掲げたもので、現在、開催に向けて、準備を進めているところです。
開催方法等については、協議会の議論により決定されるものと認識していますが、区としましては、まちづくりへの住民参画を進める立場から、今後の開催についても働きかけていきたいと考えています。
また、協議会は、「住民発意の市街地再開発事業等の新たなまちづくりの動きに合わせて、協議会が自らまとめた「赤羽駅東口地区まちづくりゾーニング構想」の実現や、将来のまちづくりを検討する」という点で、活動方針を一貫してきていることから、市街地再開発事業の是非を協議会で議論することは、この活動方針とも相反することとなり、想定していないところです。
なお、一般の方々の協議会幹事会へのオブザーバー参加につきましては、ご要望があった旨、協議会に伝えてまいります。
つぎに、赤羽一丁目第二地区、第三地区の住民説明会の早期開催について、お答えします。
第二地区、第三地区ともに、準備組合の設立届を区に提出してから、まだ間もないため、両地区とも、現時点で、準備組合で合意を得られるまでの具体的な計画案の作成には至っていないところです。
今後、計画案の検討が進んだ際には、第一地区の準備組合が、計画早期の段階から、地域の皆さまの理解を得るため、法令等の求めに拠らない自主的な住民説明会を開催した実績を踏まえ、同様の取組みを両準備組合に求めてまいります。
つぎに、周辺公共施設の再配置計画についてのご質問にお答えします。
区では、赤羽一丁目の各地区における市街地再開発事業の検討が開始された当初から、まちづくりの推進と、赤羽小学校の教育環境の確保・充実を図るため、庁内を横断するプロジェクトチームを設置し、課題の解決に向けた検討を重ねて来ています。
その中で、赤羽駅東口周辺の公共施設の再配置については、赤羽小学校のより良い教育環境の確保・充実策や、赤羽会館や赤羽公園などの大規模公共公益施設が近々に更新時期を迎えることから、その効果的効率的な更新方法の一つとして、検討を行っています。
区としましては、市街地再開発事業の進捗に合わせ、まちづくりを確実に進展させるとともに、赤羽小学校の教育環境を確保・充実させていくため、新年度から「赤羽駅東口周辺地区まちづくり基本計画」の策定に着手し、適正な土地利用の誘導をはじめ、赤羽小学校の施設更新等についても、一定の考えをまとめていく予定です。
計画策定においては、外部の有識者や関係団体等からなる検討会の設置や、パブリックコメントの実施、また、まちづくり協議会をはじめとする地域の皆さまのご意見も伺いながら、取りまとめを行ってまいります。
次に、赤羽駅西口では、赤羽台東小学校跡地とUR都市機構の敷地を一体的に活用し、地上29階、553戸の超高層タワーマンションを建設する開発計画が進められています。「まちづくりニュース」は配布されたものの、地域住民への周知方法は動画配信が中心で、2年前に区とURの連携協定が締結されてから昨年末の計画概要発表にいたるまで、コロナ禍という制約があったとはいえ、住民の直接参加による意見交換の場、住民説明会は不十分でした。
近隣住民からは、公有地一括による広大な土地開発にもかかわらず、高さ100メートルを越していないことから環境アセスメントの対象外とされていること、台地の上に建設される超高層ビルによる風害、日影被害、地下水などへの影響、大規模災害時における長周期地震動などへの対策、さらに隣接する児童相談所等複合施設への影響など、さまざまな意見や疑問が寄せられてます。
そこで、質問します。
1つに、区と事業者によるCGシミュレーションなどを駆使した科学的で体験型の住民説明会を開催し、区民の要望を聞き、直接意見交換できる場を保障すること。
2つに、区民からの提案については積極的に検討し、計画に反映させるよう、北区から事業者に求めること。
以上、ご答弁下さい。
本事業では、本年3月に事業者と土地売買契約を締結し、土地を引き渡す予定としております。
事業者による説明会は、土地の引き渡し後、設計等の進捗に応じて、区の条例等に基づき開催されることとなります。
また、本計画は周辺地区のまちづくりの課題を解決し、地域の魅力あるまちづくりに貢献するものであり、隣接する児童相談所等複合施設への配慮もされていることから、区としましては、周辺生活環境への影響をはじめ、開発計画全般について、丁寧でわかりやすい説明を事業者には求めるとともに、UR都市機構及び事業者とも連携協力し、広く地域の皆さまの理解を得ながら、計画の実現に向けた取組みが進められるよう努めてまいります。
(3)北清掃工場建替えにあたり騒音・振動対策に万全を期すこと
第3に、北清掃工場建替えにあたり、騒音・振動対策に万全を期すことについてです。
いよいよ来年度から解体工事が着工となる見通しです。これから約7年もの間、周辺住民のみなさんには様々な工事の影響が及ぶことになります。
解体工事にあたっては、これまでもわが会派から繰り返し、騒音・振動を抑える全覆い仮設テントの設置を求めてきました。すでに施工者も決定し、解体工法も定まってきたのではないでしょうか。
全覆い仮設テント設置の有無について、現時点で清掃一組からの情報があればお示し下さい。解体工事にあたっては、騒音・振動対策に万全を期すよう、あらためて清掃一組に要請することを求めますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。
以上で、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
北清掃工場の建て替え工事につきましては、今月27日に開会される東京二十三区清掃一部事務組合議会第1回定例会に、契約議案として提案される予定です。
可決された際には、解体工事を含めた工事内容について、北区議会の所管委員会に説明される予定です。
工事については、これまでも、周辺自治体、及び、住民からの声に真摯に対応し、安全配慮、公害防止に努めることを求めてまいりましたが、今後も、騒音・振動等の対策に万全を期すよう、清掃一部事務組合に求めてまいります。