2023年第4回定例会代表質問-本田正則
2023年11月22日 | 本田正則
私は、日本共産党北区議員団を代表して、山田区長、清正教育長に大きく5点お尋ねします。
1、平和と安全保障について
1つ目の質問は、平和と安全保障についてです。
(1)ガザへのジェノサイドを許さないために
第1に、ガザへのジェノサイドを許さないための緊急対応を求めます。
今、イスラエルの大規模攻撃により、パレスチナ・ガザ地区は、集団虐殺=ジェノサイドの危険に直面しています。難民キャンプや病院、救急車への無差別攻撃は、民間人に対する武力攻撃を禁じた国際人道法をまったく顧みない行為です。
国連総会では人道的休戦を求める決議が121か国の賛成で採択され、15日の緊急会合では双方に戦闘の人道的休止を求める決議が採択されました。危機打開に一刻の猶予もありません。
そこで質問です。
各国政府と国際機関が、ガザ攻撃の即時中止、人道的休戦を求めた国連決議順守のための行動をとるよう働きかけることを、平和都市北区として日本政府に要請すべきではないでしょうか。区長の見解をお示し下さい。
現在、国連ではガザ地区における停戦勧告を安全保障理事会でも決議し、対応を進めています。
世界の恒久平和を願い平和都市を宣言する北区としましては、平和を希求する国際社会と協調し、平和首長会議とも連携しながら対応してまいります。
(2)重要土地利用規制法の「注視区域」指定の返上を
第2に、重要土地利用規制法の「注視区域」指定についてです。
この法律は、米軍や自衛隊の基地などを重要施設とし、その周辺の土地所有者や使用者を監視・情報収集して、「機能阻害行為」があれば使用中止を勧告・命令できるというものです。
内閣府は、自衛隊十条駐屯地の補給統制本部周辺半径1キロメートルの範囲を「注視区域」に指定し、11月をめどに各自治体への意見聴取を行うとしています。
しかし、この法律では、誰を対象に何を監視するのか、機能阻害行為とは何をさすのかなど明らかにされていないことが多く、地域住民の中に不安や懸念が広がっています。
そこで質問です。
国民を監視し、基本的人権を侵害する恐れのある「注視区域」の指定は辞退するべきと考えますが、いかがですか。ご答弁ください。
重要土地等調査法は、国が指定する防衛施設等の周囲1000 メートル内の土地の利用状況を国が調査するために制定された法律であり、民間における土地の取引を規制するものではありません。
今年9月にあった区への意見聴取は、案として陸上自衛隊十条駐屯地の周囲おおむね1000 メートルを注視区域として指定することとされています。
なお、区域の指定につきましては国の専管事項であり、区から意見を申し述べることは考えておりません。
2、財政調整基金も活用し、暮らし・営業の支援を
大きな2つ目に、財政調整基金も活用しての、くらし・営業の支援を問います。
いま、区民は、ますます深刻な物価上昇にあえいでいます。そして、その苦しさの根底には、大企業の法人税減税の一方で、消費税増税による庶民増税が繰り返されてきたこと、働く人をコストとみて人件費をカットし、実質賃金がピーク時から64万円も減少したこと、更には、社会保障の抑制をすすめて日本経済を歪めた政治があると考えます。
「失われた30年」を乗り越えるには、こうした政治の転換がカギを握ります。
そして北区の経済を再生させ、区民のくらしや営業を守るためにも、今こそ消費税減税とインボイス廃止、社会保障の抜本改革、働く人を大切にする政治の改革は待ったなしです。
いま国会では、非課税世帯への年内7万円の給付金の支給、来年には、一定所得の課税世帯に対する所得税の減税などが検討されていますが、この対策が示されても、内閣支持率が2割台へ下がるほど不満を募らせています。
今こそ北区が、国の施策とあわせて、北区の200億円にのぼる財政調整基金の一部も活用し、区民のくらし・営業を積極的に支えて頂くよう、来年度予算編成にあたり、また、年末年始の対応も含め、以下8点質問します。
(1)消費税減税・インボイス廃止を政府に求めよ
第1に、消費税減税と・インボイスの廃止を政府に求める質問です。
コロナ禍以降、世界では消費税・付加価値税の減税に107か国が踏み切っています。物価が高騰している今、消費税の負担はいっそう重く、税率が上がらずとも増税になっているのと同じ状況です。時事通信の世論調査では、消費税減税賛成が57.7%を占めました。
質問します。今こそ消費税減税とインボイス廃止を国に求めてください。
消費税率は、持続可能な社会保障制度を構築するため、10%への税率引上げに伴う増収分は、社会保障財源に活用することとされており、北区でも子育て支援などにかんする施策を中心に活用を図り、低所得者への一定の配慮も行っています。
また、インボイスについては、正確な適用税率や消費税額等を伝える手段として必要なものであり、免税事業者へは一定の緩和措置が講じられています。こうしたことから、消費税の減税やインボイス制度の廃止を国に求めることは考えておりません。
(2)区民の半分に届く給付金の支給を
第2は、区民の半分に届く給付金の支給についてです。
新宿区が区民の55%の世帯を対象に、世帯合算の課税所得で300万円までの世帯に40億円規模の給付金を支給しました。日本共産党北区議員団は、今年度予算の組み替え提案でも、非課税世帯以外に、住民税課税所得200万円未満の方々、約10万人への3万円支給を提案しました。
ここまで対象を拡大すれば、区民の半数を超える方々に給付が可能となります。ぜひ、中堅所得層まで支給対象を広げ、財調基金を30億円程度活用して、緊急の北区独自の給付金支給を求めます。
区では、行政需要等の増加や新たな区民ニーズへの対応からここ数年、歳出規模は拡大しています。また、建設単価の上昇が続くなか、区有施設の整備・改修が控え、建設コスト上昇による予算への影響が懸念されています。
こうしたことから、財政調整基金の活用については、今後の歳出需要の増大なども十分勘案しなければならず、柔軟かつ慎重に行うものと捉えており、現時点において、独自の給付金を支給することは考えておりません。
(3)介護保険、国民健康保険・後期高齢者医療保険の保険料引き下げを
第3に、介護保険、国民健康保険、後期高齢医療保険の各保険料の引き下げについてです。
来年度は6年に一度の、3つの保険料が同時に改定となる年となります。
区民の保険料負担を軽減するために、介護保険料は介護保険給付費準備基金33億円を積極的に活用すること、国民健康保険料は一般会計からの繰り入れを継続し、子どもの均等割無料の対象を就学前から18才まで広げ、保険料そのものを引き下げる。あわせて、後期高齢者医療保険料も引き下げを求めます。
第9期の介護保険料の設定につきましては、現在、介護保険事業計画の策定作業を進めているところです。
一方、国は、介護保険の給付と負担の見直しについての議論に加え、介護職員の処遇改善を図るための報酬改定についても検討していますが、いずれも結論は出ておりません。こうしたことから、第9期の計画の詳細は、まだ決定していませんが、後期高齢者の増加に伴う給付費の上昇は、避けられないと考えています。介護保険給付費準備基金は、このような状況を踏まえながら、効果的な活用方法を検討すべきものと認識しています。
なお、第9期介護保険事業計画の「中間のまとめ」について、所管委員会で、報告させていただきます。
次に、国民健康保険料の負担軽減についてです。今年11 月、特別区長会は、国民健康保険財政基盤の更なる強化及び国庫負担割合の引上げを実施することにより、制度の維持を図ること、子どもの均等割額の減額措置は、減額対象を未就学児までの制限を撤廃すること及び、公費による軽減割合の拡大を実施することを、国に対して求めています。
また、保険者である東京都後期高齢者医療広域連合は、保険料の負担軽減を図るため、葬祭費、審査支払手数料、財政安定化基金拠出金、保険料未収金補填分の4項目について、一般財源を投入し特別対策を実施するとしています。引き続き、区としては広域連合に、保険料の負担軽減を求めていきます。
(4)低所得者世帯等へのエアコン購入費用助成を
第4に、低所得者や生活保護利用世帯へのエアコン設置・修理・買い替え費用や電気代の助成に踏み切ることを求めます。
生活保護世帯のエアコンの修理代等の支給につきましては、これまでも東京都を通じて、国へ「生活保護の実施要領の改正にかんする意見」を提出しており、引き続き要望してまいりますが、現時点において、区単独の低所得者、生活保護世帯へのエアコン購入費用の助成制度の創設は考えておりません。
(5)家賃補助制度創設など賃貸住宅施策の充実を
第5は、家賃補助制度創設など賃貸住宅施策の充実について2点です。
住宅セーフティネット法に基づく低廉な家賃の登録住宅戸数を大幅に増やすこと。そのためにも区内の福祉団体とネットワークした区内を拠点とする居住支援法人を育成する必要があると考えますが、区の取組みをお聞かせください。
また、公営住宅への応募を繰り返している住宅確保要配慮者や、学生、非正規雇用者などを対象にした家賃補助制度を区として創設するよう求めます。
住宅セーフティネット法に基づく低家賃帯の登録住戸数を増やすためには、登録要件の緩和やオーナー側の心理的負担を軽減することなどが必要であると考えております。
区としましては、引き続き、居住支援協議会等を通じて、セーフティネット住宅の確保に向けた取り組みを進めるとともに、国や東京都の動向を注視してまいります。
また、住まいの確保に向けて、居住支援法人の役割は大きいと考えておりますので、居住支援法人の育成に向け、区内不動産団体等との連携強化にも努めてまいります。
なお、独自の家賃補助制度の創設は考えておりませんが、住まいの相談等については、引き続き、北区を業務区域にしている居住支援法人と連携して対応するとともに、今年度から実施している家賃低廉化補助事業など住宅セーフティネット制度の周知に努めてまいります。
(6)インフルエンザ予防接種の無料化促進を
第6は、インフルエンザ予防接種の無料化促進についてです。
現在、北区は65才以上72才までの高齢者には2500円での接種となっています。一方、足立区と文京区が65才以上無料。台東区は65才以上の非課税世帯が無料です。また、子どもについても、文京区は中学生まで無料、台東区は2300円の助成をしています。
ぜひ北区でも高齢者や、子どもたちのインフルエンザ予防接種の無料化や助成の強化を求めるものです。お答えください。
高齢者に対するインフルエンザ予防接種は、その発生を低減し重症化を予防する観点から、国の定期予防接種として接種が実施されています。区は独自に72歳までを接種無料として接種促進を図り、高齢者の健康を守るよう努めているところです。更なる無料化の年齢拡大については、国や他自治体の動向も鑑みながら研究をしてまいります。
また、子どものインフルエンザ予防接種は、感染予防効果や重症化予防効果が期待でき、副反応も少ないとされています。子どものインフルエンザの流行状況、新型コロナウイルス感染症の流行の影響、国や他自治体の予防接種制度の動向、さらには子育て支援の観点も含め、引き続き検討してまいります。
(7)北区内共通商品券のプレミアム率、販売冊数の拡大を
第7は、北区内共通商品券について2点お答えください。
消費者の皆さんや区内商店街の双方を支援する事業であり、更なる拡充が重要です。
一般向けプレミアム率15%の拡充を継続し、25%プレミアム率の高齢者、子育て世帯向けを補正予算ではなく、当初予算で計上し、更なる増刷を求めます。
また、商品券販売所まで行くことが困難な区民を考慮して、オンライン申請もできるよう求めます。
北区内共通商品券につきましては、令和5年度の当初予算において、一般分のプレミアム率を10%から15%に拡充するとともに、補正予算により、高齢者向け及び子育て世帯向け分について、プレミアム率の拡充と発行冊数を拡大して発行を支援してきました。
今後も引き続き、物価高騰等の影響を踏まえつつ、国や東京都の動向等を注視しながら、プレミアム率や発行規模について検討してまいります。
また、北区内共通商品券の販売方法については、すでに、実施主体である北区商店街連合会とも協議を進めているところです。
(8)キャッシュレスポイント還元事業の実施を
暮らし・営業支援の最後は、キャッシュレスポイント還元事業の実施についてです。
消費者からも、小売店からも強い要望が寄せられています。暮らし・商店街支援に寄与するキャッシュレスポイント還元事業を年末・年始に向けて実施するよう求めます。
同事業は、東京都の補助事業を最大限活用して実施してまいりましたが、実施にあたっては、財源の確保が大きな課題となります。
また、区内商店街等への消費喚起、区民の利便性の確保から、区内多くの店舗でキャッシュレス決済が導入され、利用されることが望まれますが、現状、その店舗は限られおり、さらに区で費用を負担しているポイント還元分を、区内での利用に限定できないといった制約もあります。
区としては、区民が利用しやすく、また幅広く区内事業者がメリットを得られる仕組みを創り上げたいと考えており、まずは中小小売店舗のキャッシュレス化のサポート体制を構築する等、地域のキャッシュレス化に向けた環境づくりに取り組んでまいります。
3、コストカットをやめ働く人を大切にする区政を
大きな3つ目は、コストカットをやめ、働く人を大切にする区政を求めての質問です。
日本は、世界でも特異な「賃金の上がらない国」であり、岸田首相自身も「コストカット型経済からの転換」を口にせざるを得なくなっています。
新自由主義の経済手法による賃金切り下げは、民間のみならず自治体の公務労働の現場でも猛威をふるってきました。北区でも、コストカットをやめ、働く人を大切にする区政への転換が急務です。
(1)職員定数管理計画の見直しを
その第1は、職員定数管理計画の見直しについてです。
これまでの経営改革プランでは、正規職員をできるだけ減らすことを目的とし、外部化や非正規職員への置き換えが進められてきました。「北区経営改革プラン2020」にあわせて策定された職員定数管理計画では、2020年度から2024年度までの5年間で職員定数を54名削減するとしています。しかし、保育や防災の現場、コロナ禍の下での保健所などで職員需要が増え、増大しています。「人件費は減らせるだけ減らした方がよい」など、職員をコストとみる考え方は改めなければなりません。
実態からかけ離れた職員削減計画は改め、必要な部署に必要な数の職員を配置できる定数管理計画に見直すことを求めます。お答え下さい。
職員定数管理計画は、北区基本計画に掲げた重点的な施策を推進できる人員体制を整備するとともに、北区経営改革プランで示された将来世代に負担を残さない行財政運営の実現を着実に推進することを目的としています。
一方で、計画策定後、新型コロナウイルス感染症などの緊急的な対応や新たな行政ニーズが生じた部署においては、必要な人員や体制の確保に努めてきたところです。
今後、さらに行政ニーズが増大している中、少子高齢化社会による人口減や定年延長を踏まえたうえで、職員を適切に確保し、区として最良の定員数を見据えることは重要であると認識していますので、職員定数管理計画のもと、適切な定員管理を目指してまいります。
(2)会計年度任用職員の処遇改善を
第2は、会計年度任用職員の処遇改善についてです。
2020年度からパート、アルバイトなどの非常勤職員が会計年度任用職員となり、期末手当の支給など一定の改善が図られ、来年度に向けさらに前進の交渉中です。しかし、給与や働き方の点で、正規職員との大きな格差は未だ埋まっていません。
そこで、以下2点、お聞きします。
会計年度任用職員の賃金を抜本的に引き上げるため、自治体で働く非正規公務員の時給を1500円以上へと引き上げる地方公務員法の改正を国に求めて下さい。
現状、パートタイムで勤務している会計年度任用職員の中で、本人の希望がある場合は、フルタイムでの任用を積極的に取り入れていくべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
会計年度任用職員の時給については、他区の状況や社会情勢の変化、特別区人事委員会勧告を踏まえ、区で適切な賃金水準としています。このため、会計年度任用職員の賃金について、国に法改正を求めることは、考えておりません。
また、会計年度任用職員の雇用形態について区では、設置する職や職務内容、勤務日数や勤務時間、報酬額について、国の通知などを踏まえ、会計年度任用職員設置要領において定めています。現時点で定めている職については、職務の内容や標準的な職務の量に応じて「パートタイム」として、任用しているところであり、希望する者を「フルタイム」とすることは、考えておりません。
(3)公契約条例について
第3は、公契約条例についてです。
区が発注する工事や業務委託・指定管理協定などの契約において、労働者の賃金下限額などを定める公契約条例は、今年7月から適用が始まりました。この条例が、北区の関連で働く労働者の大幅な賃上げにつながることを期待して、以下、2点お聞きします。
まだ実施されて間もないですが、区として賃金引き上げの手ごたえは感じているでしょうか。
また、工事・製造以外の請負契約や業務委託・指定管理協定に従事する労働者の下限額は、事務補助の会計年度任用職員の時間単価と同額とされており、時給で1147円にすぎません。来年度以降、公契約審議会の議論もふまえて、この水準を抜本的に引き上げることが必要と考えますが、区の見解をお聞かせ下さい。
まず、賃金引き上げの手ごたえについてです。
区では、特定公契約を受注した事業者から、その業務に従事する労働者の賃金について、具体的な額の報告を徴取しておりません。
次に、来年度の労働報酬下限額についてです。
令和6年度の労働報酬下限額につきまして、公契約審議会に諮問をし、11月に第1回目の審議会が開催されました。
その中で、令和5年度の労働報酬下限額の基本的な考え方や枠組みを基礎として、最低賃金の上昇や令和5年特別区人事委員会勧告を踏まえて、来年度の労働法報酬下限額の答申を行うという方向性が確認されました。
今後、公契約審議会の答申が出されましたら、それを踏まえて、来年度の労働報酬下限額の決定を行います。
(4)公園・児童遊園への指定管理者制度の導入について
第4は、公園・児童遊園への指定管理者制度の導入についてです。
昨年度から、区内16の公園・児童遊園に指定管理者制度が導入されていますが、9月の第3定例会で、党議員団は、シルバー人材センターに委託している清掃業務が大幅に縮小されている問題を取り上げました。飛鳥山公園や清水坂公園では、直営の時と比べ人員が2分の1、日数が3分の2、人件費が3分の1から4分の1に減らされ、現場の職員からは悲鳴の声があがっています。経費の削減が、働く人の賃金にしわ寄せされているだけというのが実態ではないでしょうか。
2点質問します。
昨年度から指定管理に移行した16の公園・児童遊園について、清掃委託業務の人員や日数などの体制がどう変わったか、区として全容を調査し公表して下さい。
指定管理に移行して減らしすぎた清掃業務の人員、日数、人件費は、ただちに直営と同じ水準に戻すよう指定管理者に働きかけて下さい。
指定管理者に移行した公園・児童遊園の清掃業務を含めた管理状況については、協定に基づく毎月の報告を受けるなど、モニタリングを実施し、適切な人員体制での業務状況を把握しております。さらに、年次ごとには、モニタリングリポートを公表しており、利用者の皆さまの満足度は向上しているものと認識しております。
また、飛鳥山公園や清水坂公園の清掃業務については、指定管理者が所長を常駐させて統括者としての的確な指導により、園地管理業務との連携を図りながら直営を踏まえた効率的かつ適切に作業が実施されていると認識しております。
区といたしましては、今後とも指定管理者の業務計画に基づく、良好な公園管理の水準が保たれるよう、努めてまいります。
(5)区立体育館における指導員配置について
第5は、区立体育館における指導員の配置についてです。
指定管理者制度が導入されている桐ヶ丘、滝野川、赤羽の3体育館では、昨年度、指定管理者が交代しました。これを機に、スポーツジムで利用者に対応するスタッフが、スポーツトレーナーからスポーツ指導員、教室指導員と名称を変えました。そしてインターネットでは「スポーツが苦手でもOK」、「働きながらシェイプアップ」などのキャッチコピーとともに時給1080円の募集広告が出され、スポーツ未経験も可、最低賃金ギリギリという雇用条件となっています。モニタリング調査では、スタッフへの満足度も低下しており、早急な改善が必要です。
質問します。
桐ヶ丘・滝野川・赤羽体育館のジムスタッフには、スポーツの知識と、正しい運動器具の使い方を習得し、ふさわしいスキルを持った指導員を確保し、利用者の安全確保に責任を負える人材を配置するよう指定管理者に働きかけてください。
区立体育館に勤務するジムスタッフには、利用者が安全で快適に施設設備を利用するための知識や技能が必要であり、事業者にはスタッフの能力に合わせた育成に努めることが不可欠であると考えています。
当該体育館もそのような運営がなされていると認識しておりますが、モニタリング調査ではスタッフへの満足度が低下しており、その原因究明やスキル向上などを指示したところです。
今後もモニタリングや定期的な事業報告の中で改善が必要であると判断した場合には、改善策の提示とその結果報告を求めていくなど、サービスの維持向上に努めてまいります。
(6)私立保育園委託費の弾力運用について
第6は、私立保育園委託費の弾力運用についてです。
これは昨年の第3回定例会で、私立保育園を運営するための委託費の一部を、運営法人の裁量で別の目的に使用することを認める「弾力運用」の制度によって、保育士などの人件費が切り縮められているのではないかと追及しました。東京でも多くの議会で実態を浮き彫りにする論戦が行われ、人件費削減に歯止めをかけよとの声が広がっています。世田谷区では、人件費比率が5割を下回ると独自の補助をしないというルールが設けられています。
そこで、2点伺います。
弾力運用によって委託費に占める人件費の割合が5割を切る私立保育園に対しては、人件費割合を引き上げるよう区として指導することを求めます。
委託費の最大4分の1までを保育以外の用途に使用できる弾力運用の制度は、抜本的に見直すよう国に求めて下さい。
初めに、私立保育園に対する指導についてです。職員に対する処遇は、安定的な園運営に必要なことであると認識していますが、それは人件費割合だけで判断できるものではなく、職員の年齢構成や職場環境なども併せて考えていくべきものと捉えています。区としましては、私立保育園に対し、監査などの機会を通じて、引き続き、保育所の安定的な運営や良好な保育環境の提供に必要な助言を行ってまいります。
次に、弾力運用の制度の見直しを国に求めることについてです。本制度は、適切な施設運営が確保されていることを前提に、一定の要件を満たした場合、保育所に対する委託費を他の社会福祉施設等にかかる経費に充てることを認めたものです。そのため、見直しを国に求めることは考えておりませんが、引き続き制度の運用については、動向を注視してまいります。
(7)経営改革プランの見直しを
コストカットをやめ、働く人を大切にする区政について最後の質問は、経営改革プランの見直しについてです。
冒頭にも指摘した通り、職員削減、外部化、受益者負担を基軸とする「経営改革プラン」は、自治体版コストカットのツールだったといっても過言ではありません。「失われた30年」からの脱却を図るためにも、北区での「行革」路線の抜本的転換が必要です。
質問します。
これまでの経営改革プランについて突っ込んだ検証と総括を行い、職員削減、外部化、非正規化によってコストカットを推し進めてきた北区の「行革」路線を大本から見直すことが必要ではないでしょうか。区の見解をお尋ねします。
将来的な人口減少・少子高齢社会に適切に対応し、必要な施策・事業を実施することで、将来にわたり区民ニーズに応える区政を実現するため、引き続き、経営改革に取り組むべきと考えております。
新たな経営改革プランにおいては、デジタル技術の急速な進展など社会の急激な変化や、複雑化・多様化する区民ニーズに対応するため、財源はもとより、人材や時間など様々な資源を重点的かつ効果的に活用することを目的の一つとしていきます。
また、これまでの取り組みに加え、公民連携とDX・デジタル化の推進を大きな柱としつつ、更なる財源確保にも積極的に取り組み、迅速かつ実効性を伴う内容のものとしていきます。
4、公民連携のまちづくり」の課題について
大きな4つ目の質問は、「公民連携のまちづくり」の課題についてです。
山田区長は6月の所信表明で、「100年先を見据えたまちづくり!」を打ち出し、駅周辺のまちづくりと、駅と駅をつなぐまちの活性化を公民連携で進めると表明しました。
そこで、今後のまちづくりの進め方について、以下、質問いたします。
(1)タワーマンションを呼び込む大型開発から修復型まちづくりへ
第1に、タワーマンションを呼び込む大型開発から修復型まちづくりへの転換についてです。
十条駅で建設中の再開発ビルに続き、赤羽駅の東口、西口でもタワマンを呼び込む開発計画が具体化され、今後、東十条や王子の駅前にも、民間事業者が主導する新たな開発計画が浮上する可能性もあります。しかし、現在、樹木の伐採をめぐって大きな問題となっている神宮外苑再開発のように、大型開発事業では利潤を追求する民間事業者と、地域の魅力や財産を守りたい地域住民の利害の対立が起きることがあります。どの駅でも同じような光景となる駅前のタワマン建設ではなく、その町の魅力や「らしさ」を大切にする修復型のまちづくりも選択肢に入れながら、住民合意のまちづくりを進めていくことが大切ではないでしょうか。
そこで、1点目に、タワマン建設の弊害について区の認識を問います。
先の第3回定例会では、わが会派の代表質問で、CO2排出など環境面から見たタワマンの弊害を指摘し、その建設抑制を図ることを求めました。しかし、タワマンの弊害は、超高層建築であることから、周囲を圧迫し景観を壊すこと、日照・風害など周囲への悪影響、長周期地震動や水害における停電・孤立など防災面での脆弱性などにとどまりません。
なによりも、住人の高額負担、維持管理の困難が多い中で、将来的には住人も去り、建て替えもできずに廃墟化するとの指摘もあり、超高層建築に関しては50年後、100年後のまちのありようを見据えた判断が必要であると考えます。
さらに、市街地再開発には巨額の税金が投入されることも、地域住民の理解を得難い要因の一つになっているのではないでしょうか。
質問します。これらタワマン建設の弊害について、区としてどのような認識をお持ちか、お聞きします。
都市部におけるマンションは、周辺への影響や防災面について、十分に考慮された上で計画されていると認識しており、マンションの高層化により生み出された広場や空地等は、そこに住まわれる方だけでなく、地域の皆さまの住環境の向上に寄与するものと考えています。
また、近年、マンションの維持管理の重要性は高まっており、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」により、北区においても、マンション管理適正化推進計画を策定し、今年度から、マンション管理計画認定制度を開始するなど、管理適正化の推進のための施策等を講じていることから、管理組合等による適正な管理が、将来にわたり行われるものと考えております。
2点目に、区としてタワマン建設を規制することを求めるものです。
神戸市は3年前、タワマンは持続可能ではないなど、住宅政策としては適切ではないとの判断から、三宮駅周辺などの都心部でタワマンの建設を禁止する条例を制定しました。
日本全体の人口減少の中で、東京一極集中をさらに過熱させようというタワマンの建設ラッシュは、時代にも逆行するものです。
区としても赤羽駅前など一定の区域を対象に、タワマン建設を規制する措置を検討してはいかがでしょうか。お答え下さい。
ご指摘いただいた赤羽駅を含む主要駅周辺は、北区都市計画マスタープラン2020において、にぎわいや交流を生む「都市中心拠点」に位置づけています。
都市中心拠点は、駅周辺にふさわしい土地利用を誘導するとともに適切な高度利用を促進し、都市機能の集積や市街地環境の向上を図るべき地区としており、タワーマンション建設を規制することは考えておりません。
3点目は、タワマン建設のために規制を緩和しないことです。
十条駅西口市街地再開発では、もともと470%の容積率を800%に緩和して、地上39階、高さ147メートルの超高層ビルの建設を可能にしました。赤羽一丁目第一地区の市街地再開発でも、600%の容積率を800%に緩和して110メートルのタワマンを建てる計画です。
こうした規制緩和は、ディベロッパーなど開発事業者の利益を増やす一方、地域住民には被害の拡大につながります。
東十条駅周辺のまちづくりでは、JR下十条運転区跡地の利活用について議論されていますが、この区域は容積率200%でタワマンは建ちません。これを緩和することなく、現在の容積率の範囲内での利活用を考えるべきです。
区として、これ以上のタワマン建設を抑制するために、容積率を緩和しないことを求めます。お答え下さい。
都市計画法に基づく地域地区の一つである高度利用地区は、東京都の高度利用地区指定方針や指定基準に基づき、空地を確保すること等によって市街地環境の向上を図る場合に、容積率の緩和を受けることができます。
容積率の緩和は、まちづくりの課題解決に寄与する取り組みを評価し、その貢献内容に応じて行われるもので、地域の実情に即した柔軟なまちづくりを促進するために必要なものと考えております。
4点目に、計画検討などの際に、大型開発を誘導する議論をしないことです。
赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会では、まちづくり協議会で幹事会が提案した「まちづくり提案」(案)が否決されたことを受けて、予定されている「第二地区」、「第三地区」の市街地再開発計画を見直し、個別建替えや共同建替えによる修復型まちづくりで進める案も含めた5つのシナリオを提示し、検討会での議論に付しています。
ところが、10月に行われた第2回検討会では、事務局である区からの資料で、再開発型のシナリオに寄りすぎた提案が行われたことから、議事録にあるように、学識経験者である会長が、「全体的に、再開発事業の方に向けて資料を作ってきた面がありますが、…ニュートラルにする必要があります。目次だけ見ても…再開発事業を前提とした記述がありますが、これはやめるべきだと思います。 再開発事業だけではなく、いろいろなまちづくりのやり方がある中で…、再開発事業を前提にした記述は、やめるべきだと思います」と指摘しました。
質問します。
まちづくりの基本計画やガイドラインを策定する協議体では、区が事務局となっているケースが多いと思いますが、計画検討などの際には、大型開発やタワマン建設を誘導する議論をしないよう求めるものです。お答え下さい。
ご指摘いただいた「赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画」につきましては、同基本計画の策定検討会設置要綱にも明記していますが、駅前の再開発事業の事業化の動きを契機に、赤羽駅東口周辺地区のまちづくりを推進することを目的の1つとして策定するものです。
計画検討にあたりましては、にぎわいの拠点である赤羽駅周辺の都市機能を高め、安心・安全のまちづくりを進めるため、引き続き議論を重ねてまいります。
(2)住民合意を最大限活かしたまちづくりを
第2に、住民合意を最大限活かしたまちづくりについてお尋ねします。
1点目に、まちづくりの計画段階において、住民誰もが参加でき、自由に発言できる場を保障することです。
住民が主人公となるまちづくりを進めていくためには、委員やメンバーが固定された協議体の他に、その地域のまちづくりに関係する住民誰もが参加し、発言できる場を保障することがどうしても必要です。
十条地区でのまちづくりブロック協議会や、赤羽駅東口地区でのまちづくり懇談会など、既存の仕組みも参考に、まちづくり協議会がない地区などでも、区として協議の場を設けることを求めますが、お考えをお聞かせ下さい。
「みんなで創る。北区新時代」のまちづくりにあっては、区民の皆さまの声を区政に反映させることが、大変重要となってまいります。
このため、大きくまちづくりが動き出す地域では、計画当初から積極的に住民主体の協議会等の組織化や、その活動支援を行ってまいりました。
引き続き、多様な手段を活用して情報発信を行うとともに、そのほかの地域においても必要に応じ、まちづくりへの住民参画の機会の創出に努めてまいります。
2点目に、開発によって立ち退きを迫られる住民や事業者の生活・営業再建に万全を期すことです。
十条地区では、市街地再開発や道路事業によって住居や店舗の移転を迫られる住民が多数出ています。修復型であっても、区域内の別の場所や、区域外への移転もあり得ます。
こうした住民、事業者に対し、区としても相談窓口を設けて、それぞれの希望を丁寧に聞き取り、必要な生活・営業の再建支援に力をつくすよう求めるものです。
十条地区のまちづくりでは、地区外に移転をされる方の相談等については、事業ごとに丁寧に対応をさせていただいており、市街地再開発事業においては、再開発組合が、補償を含めた生活再建等について適切に対応しているところです。
また、鉄道付属街路事業については、用地補償業務委託先において相談窓口の常設、宅建協会と連携した、移転先の不動産情報の提供など、生活再建に向けた支援を適切に行っており、東京都が進める都市計画道路事業についても東京都において、関係権利者の皆さまの生活再建に向けた対応が適切に行われています。
以上から、区としましては、いずれの事業についても生活再建等に係わる相談体制が整備されているものと認識しております。
3点目に、エリアマネジメントの中に、地域住民の意見や総意が反映されるしくみをつくることです。
例えば、王子駅周辺まちづくり、先行地区に入っている柳小路の方々の誰もが意見を言える計画づくりが問われます。
区長は、今後、まちづくりの中にエリアマネジメントの考え方を積極的に導入していくとしています。
エリアマネジメントの構成やあり方は、さまざまなパターンが考えられますが、この運営を民間の開発事業者まかせにすることなく、地域住民の意見や総意がしっかり反映されるしくみとするよう求めます。見解をお聞かせ下さい。
エリアマネジメントについては、地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業者・地権者等による主体的な取り組みと認識しており、多様な主体が適材適所に協力し合って、一層の効果が期待できるものと考えております。
現在、区では主要4駅における再開発に合わせ、その後のハード・ソフト両面でのエリアマネジメント的な考え方を導入できるよう取り組みを進めているところです。
エリアマネジメントは、文字通り「まちを経営する」という点で、まちづくりの主役である住民の参画は不可欠であると認識しておりますので、区としましては、引き続き、まちづくりへの住民参画を進めるため、その機会の創出に努めてまいります。
(3)整備後のまちづくりについて
まちづくりの課題の最後は、整備後にむけたまちづくりについてです。
東京商店街グランプリを「商店街の部」グランプリを受賞した「十条まるっとバル」の取り組みは、貴重な教訓です。
議員団の野口議員の指摘に応え、まちづくり推進課が取り組んだ「十条地区にぎわいづくり創出支援事業」の中で生まれた取り組みです。
十条だけでなく、今後とも、各駅前で行われるまちづくりに際しては、地元商店街や再開発組合、まちづくり推進課、産業振興課が一体となって、地域経済の共存共栄を図る施策を一層強めていくことを求めます。お答え下さい。
区では、十条駅西口の市街地再開発事業を契機とした十条地区全体の にぎわいづくりを進め、商店街の活性化を図るため、地区の商店街と再開発組合による「十条地区にぎわいづくり準備会」を設立しました。
準備会では、先週開催された「十条まるっとバル」に合わせ、「十条裏道お散歩マップ」を発行し、来街者に十条地区の魅力をPRする取組みを行ったところです。
今後も、新たな十条駅前の まちびらきに向け、商店街と再開発組合が共存共栄できる関係づくりと、賑わいづくりのイベントを開催する等、地区内の多様な主体の準備会への参画を働きかけながら、地域経済の共存共栄や十条地区のにぎわい創出に向けた取組みを、積極的に支援してまいります。
5、田端駅前のエレベーター早期実現に向けて
大きな5つ目、最後に、田端駅前のエレベーター早期実現に向けて質問します。
この10月に着工予定だった田端駅前のエレベーターは、資材や人材の不足で入札不調となり、工事が延期となりました。今議会には債務負担行為を1年延長し、3年とする補正予算も提案されました。
そこで、供用開始はいつになる見通しなのか。工事の遅れをできるだけ取り戻すための手立てについてお答えください。
あわせて、関東大震災や最近の大規模水害の教訓からも、田端駅北口前の田端大橋、ふれあい橋だけでは、災害時要支援者のためのバリアフリーの観点からも、多くの避難者が通過するうえで困難がある点からも、田端駅南口に人道跨線橋を設置してバリアフリー化を進めることを改めて求めます。お答えください。
以上で、私の質問を終わります。
はじめに、供用開始の見通しについてです。本工事に必要な期間は、概ね18か月で令和7年度の供用開始を見込んでおります。
また、入札不調による遅れは取り戻せませんが、今後の工事においては、地域の皆さまに丁寧な説明を行いながら、定期的に受注者と安全・品質の管理に留意した進捗確認を行い、早期実現に取組んでまいります。
次に、田端駅南口への人道跨線橋の設置についてお答えします。
田端駅南口への人道跨線橋の設置については、地域の皆さまからかねてよりご要望をいただいておりますが、技術的な課題や多額の費用負担、関係機関との調整など、多くの課題があると認識しています。