2023年第4回定例会個人質問-宇都宮ゆり
2023年11月24日 | 宇都宮ゆり
本日私は3点、東十条駅周辺まちづくり、中小業者支援について、更にはインボイスについて質問します。
1、住民参画ですすめる東十条駅周辺まちづくりを
大きな1つめの質問は、住民参画ですすめる東十条駅周辺まちづくりについてお伺いします。
(1)ガイドライン策定検討会に地元住民の声を反映させるために
はじめに、ガイドライン策定検討会に地元住民の声を反映させることについてです。
東十条駅南口周辺の地域では、十条跨線橋の架け替えやバリアフリー化等、長年にわたり、要望や提案がありました。現在ガイドライン策定検討会が進められていますが、JR下十条運転区の利活用はじめバリアフリー化等、地域住民の方から大きな期待が寄せられています。
9月と10月に行われた区民むけ中間報告会は参加があわせて約30人とのことで、たくさんの意見が活発に出されていました。こうした住民の声を、ガイドラインの策定作業にしっかりと反映させていくことが必要です。
そのために私は、6月の個人質問で、住民誰もがまちづくりについての意見が言える懇談会を必要に応じて開いて頂きたいと要望しましたが、答弁では「地域住民、東十条駅利用の方を対象とした、駅利用やまちづくりに関するアンケート調査の実施、オープンハウス説明会、パブリックコメントなどで、地域の意見を聞きながら、ガイドラインの策定をしていく」とのことでした。
しかし、地域住民の方からは「アンケートやパブリックコメントを出しても、それがどうガイドラインに反映されるのか」また「オープンハウス住民説明会では個別の質問に答えてもらえるが、住民の意見が全体に共有されず不十分ではないか」との意見を伺っています。
他地区では、十条地区まちづくり協議会のブロック部会や、赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会のまちづくり懇談会など、誰もが参加でき、自由に意見が言え、それが計画に反映される協議の場がありますが、東十条地区にはそうした仕組みがありません。ガイドライン策定を住民参画で進めていくためには、やはりこうした制度的な保障が必要ではないでしょうか。
私は今後の1年間をガイドラインに住民の声が十分に反映される機会として頂きたいと考え、以下3点質問します。
1、11月6日に行われた検討会では、当初のスケジュールを1年延長することが報告され、今定例会にもその方針が提案されています。スケジュールが1年間、延長となった経過について改めてお答え下さい。
2、また検討会では、(仮称)東十条駅周辺まちづくり推進協議会をつくることが示されました。このまちづくり推進協議会はどのような組織となるのでしょうか、お答え下さい。
3、住民誰もが自由に参加ができ、意見を言えるまちづくり協議会等の制度的な仕組みを作って頂きたいのですが、お考えをお聞かせ下さい。
始めに、スケジュールが1年間、延長となった経過についてです。
ガイドライン策定後に、バリアフリー施設や 駅前広場の整備などの 東十条駅前における 具体な事業等を より早期に着手するため、その事業の内容を示した 「まちづくり整備計画」を、ガイドラインの一部として 新たに策定することとし、整備計画の策定を進めるため 更に1年の期間が必要となったものです。
なお、今年度中には、一旦、「ガイドラインの中間とりまとめ」としてお示しする予定です。
次に、まちづくり推進協議会の組織についてです。
ガイドラインの策定後、ガイドラインに基づく事業を円滑に進めるため、関係者間で協議・調整を行うための場として、学識経験者、関係事業者、地元町会自治会・商店街等で構成する、(仮称)まちづくり推進協議会の設置を考えております。
次に、住民誰もが自由に参加でき意見を言える、まちづくり協議会等の制度的な仕組みを作ることについてです。
ガイドラインの策定にあたっては、既に、十条地区まちづくり全体協議会での説明や、アンケート、報告会の実施など、地域の意見を聞く仕組みを取り入れております。策定後におきましても、引き続き、事業の進捗に応じて、地域の意見を丁寧にお伺いしながら、東十条駅周辺のまちづくりを推進してまいります。
(2)まちづくり整備計画の策定について
次に、まちづくり整備計画の策定についてです。
検討会では、東十条駅周辺を「まちづくり整備計画」の策定により今後の個別の都市計画や事業につなげていくための事項を定めることが示されました。
区が行ったアンケート結果では、居住者884人中、419人、約半数の方から「公園や広場などオープンスペースの不足」が課題として出されています。
私は地域住民の方から2016年に廃止となったJR下十条運転区跡地の利活用については、「すぐ目の前に保育園が隣接しているので、緑の多い広場にしてほしい」また「近隣の区民センターにある図書館は座る場所がなく、いつも混雑している。区民が低廉な費用で使える会議室やホールといった、区民が憩えるスペースがほしい」等、要望を伺っています。また、駅周辺の「バリアフリー化の課題では、当事者の声をしっかり反映させて下さい」といった強い要望があります。
そこで以下3点質問します。
1、アンケートや中間報告会では、下十条運転区跡地の利活用をはじめ、駅周辺のまちづくりについてどのような回答があったのかお聞かせ下さい。
2、当初の予定より1年スケジュールが延長されましたが、整備計画について、検討会や中間報告会の他に区民の皆さんの要望に応じて自由に参加でき議論や提案、意見を言える場を区として作って頂くことを求めますがいかがでしょうか。
3、下十条運転区跡地の利活用について、JRとの協議や経過、見通しについて、お答え下さい。
まず、アンケートや中間報告会での回答についてです。
地域にお住まいの方や東十条駅をご利用の方からの駅周辺のまちづくりに求める声として、「公園や広場などのオープンスペース」、「駅の東西をつなぐバリアフリー施設」、「タクシーなど寄付きができる駅前広場」、「くつろげるカフェなどの店舗」などが多かったところです。
次に、自由に参加でき議論や提案、意見を言える場についてです。
これまでもアンケート調査や自由参加で提案・意見が行える中間報告会を実施してきましたが、引き続き、同様の報告会やオープンハウス型説明会を開催するなど、地域の皆さまのご意見等を丁寧にお伺いしながら策定してまいります。
次に、下十条運転区跡地の利活用についてです。
土地所有者であるJR東日本からは、下十条運転区跡地の利活用に向けた検討を進めていると聞いておりますが、現時点で具体な計画等は決定されておりません。区といたしましては、十条跨線橋の架け替えや駅前空間の整備等について、JR東日本と協議を継続するとともに、JR東日本も委員として参加しているガイドライン策定検討会において議論し、整備計画に反映してまいります。
2、中小業者支援の拡充を
大きな2つめの質問は、中小業者支援の拡充について、お伺いします。
(1)(仮称)北区「エネルギー価格高騰緊急対策支援金」の創設を
はじめに、(仮称)「北区エネルギー価格高騰緊急対策支援金」制度の創設についてです。
商店街の小売業の方から「コロナ禍のもとで営業努力を重ねたが、物価高騰が直撃し営業を継続していくのが困難で廃業したお店もいくつかある」と聞きました。
北区の景況では4月~6月の期間、中小企業は価格上昇の影響で、とくに電力・エネルギー価格の価格転嫁できていないとの回答は全業種平均5割を超え、小売業は約6割、サービス業は約7割にのぼっています。
更に私も、区内の飲食店の方々から「物価高騰が直撃している。仕入れ値が上がり、さらにこれから寒くなる時期は電気代、燃料代の負担が増える」との声をお聞きしています。
第2回定例会の私の個人質問、第3回定例会では会派の代表質問でも区内中小業者への直接支援について要望しました。杉並区は17憶円の補正予算を活用し、中小業者へ直接支援を始めていますが、更に、12月から新宿区は「エネルギー価格高騰緊急対策支援」として、区内中小業者に対し20万円を限度に、電気、都市ガス、ガソリン等の助成制度を開始します。足立区でもエネルギー価格高騰の影響を受ける中小運輸事業者に対する支援金制度が始まります。
先週15日に内閣府が発表した本年7月~9月期の実質国内総生産GDPは前期比0.5%減、年率換算では2.1%減で3期ぶりのマイナスとなり、物価高騰が暮らしと営業を直撃しています。
そこで質問です。
北区においても、中小業者への直接支援として(仮称)「北区エネルギー価格高騰緊急対策支援金」の支給を求めますが、お答え下さい。
原油や原材料価格の高騰等により、区内事業者の皆さまには、コスト削減等、事業の効率化に努めていただいておりますが、依然として厳しい経営状況であると認識しており、区といたしましては、新たな制度融資の創設などを通じて支援してきたところです。
今後も、東京都の原油・原材料価格・物価高騰等に係る支援策や、国の燃料油価格激変緩和策、燃料費の動向を注視しつつ、区内中小事業者の景況把握に努め、必要な支援について検討してまいります。
(2)商店街空き店舗活用・コミュニティビジネスチャレンジショップ支援事業について
2つめは商店街空き店舗・コミュニティビジネスチャレンジショップ支援事業についてです。
この2つの支援事業は、これから創業する起業家への支援事業です。
これらの支援も行っている北区の創業支援施設ネスト赤羽への創業の相談件数は、昨年度は約400件、今年は約半年ですでに300件を超えており、増加傾向にあると伺いました。
北区が行っている創業支援の一つに「北区コミュニティビジネス創業支援ネットワーク」があり、子育て・多世代交流・高齢者・文化交流等の事業を行う区内の方々が、先輩起業家としてセミナーや相談活動に取り組んでいます。
北区では、既存商店街の活性化と創業支援のひとつとして、商店街空き店舗活用支援事業により、店舗家賃を1年間のみ、家賃上限5万円の2分の1を補助しています。この事業による過去3年間の実績は、わずかに6件でした。
またコミュニティビジネスチャレンジショップ支援事業は、店舗家賃を2年間補助する事業を行っており、過去3年間で3件の実績でした。
この2つの事業は、今後地域のコミュニティづくりにも欠かせないと考えますし、北区の家賃補助制度は、事業継続のための先駆的な取り組みであると認識しています。
しかし採択予定件数に比べ、応募が少ない状況となっており、使いやすい事業へと更なる改善が必要と考えます。
私は、「コミュニティビジネスチャレンジショップ事業」を活用して、子ども食堂等を運営する団体から、2年間の家賃補助が利用できたので本当に助かったが、あと1年ほど、延長してほしいとの声を伺いました。
さらに、これから起業しようとする方から「空き店舗を探す苦労の上に、改修費や設備費が必要となるために起業に踏み出せない」、また店舗を貸す側の方からは「入り口が一緒で1階だけ貸すには改修費用がかかり負担」とのお話を伺っています。
このように家賃支援以外にも改修費用、設備費用が、起業する側にとっても、また貸す側にとっても大きな負担となっています。北区には現在、店舗向け改修費用、設備費用の助成制度はありません。
こうした折、私は先月末、区民生活委員会の視察で宮崎県西都市へ行き「西都はじめるプロジェクト」ついてお話を伺い、たいへん参考になりました。
その中の起業サポートでは、国の交付金を活用し、創業支援補助金として最大160万円が確保され、施設の改修、家賃、会社登記の申請、広報費、経営アドバイザー費用などにあてることができ、その制度を活用して3年間で44人が創業。創業支援の半数が20代~30代の若者とのことで、市の担当者も手ごたえを感じておられました。
私自身も創業の不安に細やかに答えていく総合的な事業の必要性を感じたとともに、創業場所の店舗改修や滑りだしの家賃負担の軽減を支えていくことは、その土台にもなると実感したところです。
都内では、練馬区は3年間の家賃補助と合わせて「商店街空き店舗入居促進事業」として店舗改修費(上限100万円)を補助しており、改修を区内事業者へ依頼した場合、補助額を上げる制度設計としています。令和2年度から令和4年度の3年間で改修費補助は53件、家賃補助は178件の実績をあげていることは注目ではないでしょうか。
そこで以下3点質問します。
1、商店街空き店舗活用支援事業とコミュニティビジネスチャレンジショップ支援事業について、家賃補助の期間を3年間に拡充することを求めます。
2、北区でも、創業者への改修費や設備費の助成制度の創設し、区内業者へ依頼した場合には補助額を拡充する等の検討を求めますが、お考えをお聞かせ下さい。
3、従来の事業を生かしながら、地域経済活性化のためにより総合的な創業支援事業として、再構築、拡充が必要と考えますが、北区の認識をお聞かせください。
区では、創業支援策として、ネスト赤羽の専門相談や、身近な先輩起業家がアドバイザーとなる「創業支援ネットワーク」などによる、伴走型の相談支援に力をいれています。
ご案内いただいた2つの事業についても、これらの相談支援の中で相談者のニーズを把握しており、現在、申請要件の緩和や補助期間・対象の見直しを検討しているところです。
なお、資金面については、既存の制度融資や東京都の創業サポート事業など公的な支援メニューをご案内することで創業活動を支援してまいります。
また、区の創業支援事業の再構築については、産業競争力強化法に基づき策定している創業支援等事業計画の改定のなかで検討してまいります。
(3)旧赤羽エコー広場館を利用した創業支援拡充にむけて
3つめは旧赤羽エコー広場館の創業支援拡充についてです。
私は先日、品川区の武蔵小山創業支援センターを見学しお話しを伺いました。
その施設は、主に女性起業家を支援する施設として2010年に全国に先駆けスタートしました。女性のための起業スクールやセミナー、相談会等、伴走型支援が充実しているのが魅力です。商店街フリースペースを使用し、起業を考えている方がテスト出店できる「トライアルマーケット」の制度もあります。
その施設の「ムサコハウス」には、起業家同士の交流、地域の方との集いやワークショップ等に使えるコラボレーションスペースやまたパンフレットや試作品の作成に活用できるブランドデザイン工房が設けられています。
さらに「チャレンジショップ」という区内で事業を継続・発展していくことを目的として期間限定の貸店舗スペースがあります。
この「チャレンジショップ」では、商業・サービス業での創業希望者、創業3年未満の方が対象で、3店舗が場所をシェアしながら出店でき、期間は3か月から最長2年間、開業のリスクが少なく始められるとのことで希望者は多く、倍率が7倍になっていると伺いしました。
「チャレンジショップ」で出店後、区内を拠点にお店を始める方が多いとのことです。
北区では旧赤羽エコー広場館の一部を利用した創業支援機能の拡充が令和7年から始まると伺っていますが、以下質問します。
旧赤羽エコー広場館等を活用し、主に女性起業家向けに「店舗チャレンジショップ」機能の創設を検討して頂きたいのですが、いかがでしょうか。お答えください。
令和3年12 月に設置した「北区ネスト赤羽支援機能拡充検討委員会」での検討を踏まえ、創業支援機能の拡充を図るため、旧赤羽エコー広場館を、起業家が集まり、共に成長しながら、新たな価値の創出を支援する拠点施設を整備する予定です。
北区の担い手となる人財が数多く生まれ育っていけるような施設となるよう、産業関係団体と連携を図りながら推進してまいります。
なお、ご提案の、女性起業家向け「店舗チャレンジショップ」機能の創設については、今後の研究課題とさせていただきます。
3、インボイス制度について
大きな3番目の質問はインボイス制度についてお伺いします。
10月からインボイス制度の導入が強行されました。業者団体、建設団体に多くの相談が寄せられていると聞いており、事業者に寄り添った対応が必要であると考えます。
区内のある飲食店では「近くの企業の常連客からインボイス登録の入った領収書の発行を求められ、事業者が「登録していない」と応じるとお客さんは「インボイスを取っていないなら飲食代10%の値引きを」と迫られ、やむなくインボイス登録した」、また個人タクシー業の方は、「会社員に乗って貰うには登録番号の入ったインボイス対応の領収書が必須となるため、やむなく消費税課税業者になった」と伺いました。
いずれも6年間は経過措置があるものの、来年3月からは消費税を納税することとなり、消費税の負担が重くのしかかってきます。
小規模事業者やフリーランスの方にとって死活問題です。インボイス制度により、区内で営業している、また区民の仕事を廃業に追い込むことがあってはなりません。
そこで以下3点質問します。
1、北区では7月下旬からインボイス相談窓口が開設しましたが、相談の件数について、また相談内容の特徴についてお答え下さい。
2、インボイス制度導入における区内事業者への影響について区の認識をお答え下さい。
3、改めて中小業者・フリーランスの方々の立場にたち、北区からインボイス制度の廃止を国に求めることを要望します。
以上、区長のあたたかい答弁を求め私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
はじめに、7月24 日に開設した「インボイス制度相談窓口」の相談状況についてです。
区では、王子青色申告会、東京税理士会王子支部のご協力をいただき、平日の午後1時から3時、専門相談員による無料の相談窓口を開設しています。
10 月31 日現在の相談件数は合計411 件で、ほとんどが個人事業主からの相談であることが特徴といえます。
また相談内容ですが、制度自体の説明のほか、取引先の一方が免税事業者だった場合の取り扱いなど事業者の状況に応じた具体的な相談が多く寄せられています。
これまでの相談内容から、制度導入の影響などを事業者が理解するためには、それぞれの状況に応じたきめ細かな支援が必要であると捉えており、引き続き、国や産業関連団体と連携し、制度の周知を図るとともに相談支援を継続してまいります。
なお、インボイスについては、正確な適用税率や消費税額等を伝える手段として必要なものであり、免税事業者へは一定の緩和措置が講じられています。そのため、インボイス制度の廃止を国に求めることは考えておりません。