2024年第2回定例会代表質問―野口まさと
2024年6月7日 | 野口まさと
私は、日本共産党北区議員団を代表して、大きく6点質問します。
1、地方自治法「改正案」について
大きく1つ目は、地方自治法「改正案」についてです。
3月1日に地方自治法の一部改正案が閣議決定されました。「大規模な災害、感染症の蔓延その他これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす」事態が発生した場合、個別の法律に規定がなくても、国が閣議決定を経て、自治体に対し法的義務を持つ指示を行うことができることを規定するものです。
例えば災害時などには、国による指揮権が発動されることになるのだと思われますが、そのような場合には、国による対応とは別に、日頃からその備えをし、住民にとって一番身近で、かつ地域の現状を知り尽くしている。市区町村もまた国の対応と並行して独自に力を発揮すべきです。
今回の改正は、本来対等・平等であるはずの国と地方自治体の関係性を変え、地方自治体が国に従属する方向での変化が生まれることになります。地方自治体側から見れば、自治権が侵されることになりかねません。
そこで質問です。
区長は、今回の地方自治法改正は、北区の、自治体としての自治権が侵害されるとお感じにはならないでしょうか。見解を伺います。
また、主権を持つ地方自治体の長として、国のこのような動きに対して、反対する意見を述べるべきではないでしょうか。お考えをお伺いします。
まず、改正案と北区の自治権の関係についてです。
憲法に定める地方自治の本旨は、国の地方自治体への関与は最低限とし、地方自治体はその責任において自主的に事務を処理するものと捉えています。
このたびの改正案による国の役割は、個別法では定められていない非常事態において、地方自治体へ資料の提出を求めること、地方自治体相互間の連携を図ることなどを目的としており、国による地方自治体への関与は必要最低限のものであると認識しています。
また、ご紹介のとおり、国の指示は閣議において決定されるところですが、非常事態が発生して区民の生命や安全の確保が困難となるような場合には、閣議での審議を待たず、まず区が主体的に、的確かつ迅速な対応をしていくことが第一であり、区ではその責務をしっかりと果たしていく所存です。
なお、国へ法改正の反対を表明することにつきましては、現時点で考えておりません。
2、今後の区民施設の建築・改修計画について
(1)物価高騰が、区民施設の建築・改修計画に与える影響について
大きく2つめの質問は、今後の区民施設の建築・改修計画についてです。
建築費の高騰に伴って、次年度から予定されていた北とぴあの改修計画が再検討されることになりました。
私たちは、建築費の高騰はあっても、必要な区民施設の建築・改修はしっかり進めるべきだとの立場で以下お伺いいたします。
初めに物価高騰が、区民施設の建築・改修計画に与える影響についてです。
まずは今回改修計画が見直されることになった北とぴあについてです。必要性があって改修計画を示していたのだと思いますが、今後2年間、改修をせずに利用者を受け入れることについての課題はないのかについてお答えください。
次に、北とぴあ以外に、赤羽台の児童相談所建設でも、今回事業費が5.4億円増額となりました。そうなると、現時点で具体的な計画が進んでいる、新庁舎、栄町シルバーピア、桐ヶ丘区民センター、桐ヶ丘体育館、特別養護老人ホームのやまぶき荘についても、建築費の高騰を想定しなければならないと考えます。事業を計画通り進めることができるのか、現時点での見通しをお伺いいたします。
北とぴあ大規模改修の再検討につきましては、令和7年度、8年度の2か年の中で改修内容や手法について見直してまいりますが、その間にも、区民の皆さまや施設利用者が北とぴあを安心してお使いいただけるよう必要な改修・修繕は適宜実施してまいります。
次に、施設建設費の高騰による、今後の事業の影響についてです。
施設建設を取り巻く環境は、建設資材や燃料費の高騰に加え、人材不足や建設現場の働き方改革等による人件費高騰など、今後も建設費の上昇あるいは高止まりの傾向が続くことが見込まれます。
そのため、今後の建設計画への影響に対応するため、緊急に庁内検討チームを立ち上げ、議論を始めています。区民サービスの維持・向上にむけて、必要な施設機能を保持しながら、建設コストの抑制を図り、事業の最適化の検討を深め、計画的に事業を進めてまいります。
(2)学校改築、リノベーションについて
次に、学校改築、リノベーション(改修)についてお伺いします。
今後の学校施設の改築等にあたっても建築費高騰の影響は避けられないものと考えます。
北区教育ビジョンでは、改築を行う学校として都の北学園など5校。リノベーションを行う学校としても滝野川第4小学校をはじめとして5校が計画されています。
このうち堀船中複合施設に関しては、昨年度までの令和7年度から8年度までの事業費の見通し73.5億円が83.3億円と、およそ10億円増額となりました。
そこで質問です
堀船中複合施設以外でも、今後改築・改修計画を具体化していくなかで、建築費用の負担が大きくなることも想定しなければならないかと考えます。改築、改修のスケジュールに影響はないのかについてお伺いします。
学校改築等を進めていく上で、建築費等の高騰は財政負担のみならず、今後の事業スケジュールに影響が出てくる可能性もあると認識していますが、影響がでないよう、区長部局とともに鋭意検討を進めています。
(3)今後の建築費高騰への対応について
3つめに、今後の建築費高騰への対応についてです。
現在具体的な改築・改修計画が進んでいる事業のほか、例えば教育ビジョンでは、2026年以降に小中学校の改築・改修を各3校行うとの計画が示されています。物価高騰に対応しながら、計画通りに事業を進めていくことに課題はないのでしょうか。
質問します。
2026年度から予定される学校の改築・改修各3校は予定通り計画化する見通しがあるのでしょうか。北区のお考えをお伺いいたします。
北区の学校施設は、昭和30年代半ばから40年代半ばに集中的に整備されており、今後目標使用年数の65年を迎える学校が多数あります。
北区の未来を担う子どもたちの安全な教育環境を確保する学校改築等は、教育委員会として最優先で取り組むべき事業であると考えています。
今後も設計仕様や工事内容を十分に精査した上で、改築等の経費削減に努めるとともに、計画通り事業を進められるよう、区長部局と継続的に協議してまいります。
3、今後の駅周辺まちづくりにおける財政的見通しと課題について
大きく3つ目は、今後の駅周辺まちづくりにおける財政的見通しと課題についてです。
(1)今後進める駅周辺まちづくりの財政的裏付け、見通しについて
はじめに今後進める駅周辺まちづくりの財政的裏づけ、見通しについてお伺いします。
駅周辺のまちづくりにおいては、十条駅西口の再開発がまもなく竣工を迎えますが、これと入れ替わるように、今後は赤羽東口で「第一地区」の再開発が進められることになります。
NHK首都圏ナビ2月8日付のWEBリポートは、首都圏各地の駅前で高層化による再開発が相次いでいるとした上で、全国129の再開発地区にアンケート調査をした結果、「工事費が上昇したり、上昇が見込まれたりしている」と答えた地区が7割に上ると報じていますが、その中には、十条駅西口地区も含まれています。
一方、赤羽東口「第一地区」市街地再開発事業では、区が負担する補助金等は、これまで57億円と説明されていましたが2月の地域開発特別委員会では、工事費の高騰などによって75億円と、実に18億円も増えたと報告されました。
このように、世界的な資材価格の高騰や、建設現場の人手不足による人件費の上昇が再開発コストを引き上げていますが、都市部ではこれを販売価格に転嫁して何とかしのいでいるとのことです。しかし、NHKのリポートでは、次のような大手デベロッパーの担当者の声を紹介しています。「いまは都市部においてマンション需要が高く価格も上がっているが、この状況がずっと続く保証はない。…これまで成り立つと考えていた再開発事業を急に見直さざるを得ないおそれもある。現状、建設コストが下がる様子はなく、事業完了までどうなるか見通せないリスクは常にある。
つまり、現在計画されている市街地再開発事業も、このまま建設コストが上昇し続ければ、採算が取れず中止・撤退に追い込まれる危険性があると警告しているのです。
質問です。
1つめに、十条駅西口市街地再開発事業で、この間の建設コスト高騰による総事業費、および区の補助金の額に変更はあったでしょうか。また、赤羽東口「第一地区」の再開発事業において、今後事業費がさらに増え、事業完了に至らないような事態が起きることはないのでしょうか。見通しをお聞かせください。
2つめに、赤羽東口では「第二・第三地区」の市街地再開発事業も計画されていますが、同じように建設コストとの関係で、事業見通しの見極めが必要だと考えます。現在開かれている赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会の中で、こうした検討はしっかり行われているのでしょうか。
3つめに、王子駅および、東十条駅周辺のまちづくりで、今後、市街地再開発事業が計画されることはあるか、その際の事業費高騰への対応について、区の見通しをお示し下さい。
まず、十条駅西口市街地再開発事業における建設コスト高騰による総事業費及び補助金についてです。
本事業については、令和5年10月に事業計画変更の認可がなされており、工事費の高騰や公衆便所、交番等の整備を追加したことにより、総事業費は約27億円の増となっておりますが、補助金については、補助対象経費の減により約4億円の減となったところです。
次に、赤羽一丁目第一地区の事業費についてです。
現在想定している事業費は、東京都から今年1月に認可を受けた事業計画の資金計画によるものであり、今後、実施設計作業の進捗や経済市況において、増減する可能性があります。
一般的に、事業費が上昇する場合は、保留床処分価格も上昇する傾向にありますので、事業主体である組合は、適切に保留床処分金や補助金を見込んだ資金計画を作成し、事業を進めていくものと考えています。
次に、赤羽一丁目第二地区・第三地区における検討についてです。
赤羽一丁目第二地区・第三地区の市街地再開発事業は、地域住民主体の再開発準備組合が検討を進めているものであり、その検討の中で事業の見通しも含めた具体的な事業計画が策定されるものと理解しています。
「赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会」は、赤羽駅周辺における将来的なまちづくり像を明らかにし、土地利用や施設整備の方向性などを定めるものであり、本検討会の中で、具体的な各地区の事業見通しの見極めなどを行うことは考えておりません。
次に、王子駅、東十条駅周辺まちづくりにおける再開発事業の計画と事業費高騰への対応についてです。
王子駅周辺においては、市街地再開発事業は今後考えられるまちづくり手法の一つであると認識していますが、現時点において市街地再開発準備組合の設立に関する届出はありません。
東十条駅周辺においても、現時点で具体な計画はございませんが、下十条運転区跡地の土地所有者であるJR東日本からは、利活用に向けた検討を進めていると聞いております。
事業費に対する財政的な裏付けにつきましては、今後、市街地再開発事業が計画された際に、その時点での社会経済情勢等を踏まえて検討することと考えております。
(2)北区中期計画における財政計画について
次に、施設建設やまちづくりにおける建設コスト高騰の影響を検証するため、北区中期計画における財政計画についてお伺いいたします。
先の第1定例会では、新たな中期計画の策定とともに、向こう3年間の財政計画が示されました。この中には、計画事業に充当するための基金活用計画がありますが、今回の計画は、これまでの財政計画と比べて大きな特徴があります。それは、施設や学校の建設・改築、まちづくりのために取り崩す基金が巨額になっていることです。
平成26年から令和4年までに、4回の財政計画が策定されましたが、その平均値と今回の活用計画を比較してみます。主要6基金の3年間の活用総額は、343億円から387億円へ、1.13倍の伸びとなっていますが、施設建設基金は2.3倍、学校改築基金は2倍、まちづくり基金は2.2倍を活用する計画となっています。さらに、施設建設基金に新庁舎整備を加えると、2.7倍になります。
一方、起債についても、3年間で212億円を計上していますが、これも過去4回の平均と比べ、約2倍となっています。
今回の基金活用計画を見ると、やはり建設コスト高騰が今後の施設建設、まちづくりに及ぼす影響はかなり深刻なものであることが見てとれます。
次に、駅周辺まちづくりにおける市街地市開発事業の誘致が、区財政に与える影響についてです。
先ほども述べたように、再開発事業には区の補助金、つまり巨額の税金が投入されます。少し古い記事ですが、2021年9月12日付「朝日新聞デジタル」の、「タワマン建設、税金が支える東京都内の再開発事業で依存率68%も」という論説は、「再開発事業によって建てられる東京都内のタワーマンションを税金が支えている」と指摘し、「税金依存率」が高い地区として、第1位に上板橋駅南口の68%、第2位にJR小岩駅北口の58%、そして第3位に、47%の十条駅西口地区をあげています。
いま北区は、駅周辺のまちづくりにおいて、赤羽東口をはじめ市街地再開発事業を次々と誘致しようとしていますが、2か所、3か所と同時並行で再開発事業を進めるとなると、巨額な補助金支出によって、区財政が大きな圧迫を受けることは火を見るより明らかではないでしょうか。
学校の更新においては、改築とあわせ、基礎を残した改修となるリノベーションという手法を取り入れて財政的負担を軽減しています。まちづくり分野でも同様に、巨額な支出が求められる市街地再開発ではなく、現在の町並みを残しながら、区の補助で個別建替え、共同建替えを促進する修復型まちづくりの手法へと切り替えていくことが必要だと考えます。
質問します。
中期計画の基金活用計画では、区民にとって必要な施設の更新や学校の改築、大規模修繕が滞ることのないよう万全を期すとともに、基金全体の規模を適正な水準に収めるため、まちづくり基金の膨張を抑えることが必要と考えますが、区の見解をお聞かせ下さい。
その具体的な取り組みとして、まちづくりの方向性を、市街地再開発事業の推進、誘致から、修復型まちづくりの手法に切り替えていくことを求めます。お答え下さい。
多額の経費を要する駅周辺まちづくり事業には、確実な国や東京都の補助金の確保と合わせて基金の活用が不可欠であり、財政計画においてもまちづくり基金の活用を見込んでいます。
まちづくり基金などの特定目的基金は、事業の進捗等に合わせて、計画的に積立てと取り崩しを行っており、この間、十条駅西口市街地再開発事業への活用を図ってきたところですが、本年秋には再開発ビルが竣工予定となっており、このことは、これまでの計画的な基金への積立てと活用による成果と捉えています。
今後も、計画事業を確実に実施していくため、引き続き、経営改革プランの着実な実行による歳出削減や歳入確保に努めるとともに、基金と起債活用のバランスを考慮しながら、計画的な基金運用を図ってまいります。
次に、市街地再開発の推進、誘致から、修復型のまちづくりの手法に切り替えることについてです。
北区都市計画マスタープラン2020では、主要駅周辺は各拠点の地域特性に応じた都市機能の集積や、市街地環境の向上に資する適切な高度利用を促進する都市中心拠点と位置付けており、市街地再開発事業はそのようなまちづくりを進めるうえでの有効な手段の一つと認識しております。
市街地の状況や課題に対して最適な手法を選択し、目指すべき将来像の早期実現につなげるべく、まちづくりを進めてまいります。
4、経営改革による施設削減、外部化の中止を求める
大きく4つ目は、経営改革による施設削減、外部化の中止を求めることについてです。
北区が進めてきた外部化や公民連携、公共施設の再配置などの経営改革の下で、職員の人件費や処遇、区民サービスに影響が及ぶ事態が生まれ、私たちの会派はこの間、問題点を指摘してきました。あらためて、具体的な2点の事例について伺います。
(1)公園管理について
この問題の1つ目として、公園管理について伺います。
一昨年度から試行的に行われた区立16園の指定管理化で、清掃にあたる職員体制や、労働時間が大幅に縮減され、そこで働く人たちから多くの苦情の声が寄せられたことはこれまでにも紹介した通りです。
例えば、面積の広い飛鳥山公園や清水坂公園で清掃業務を行うシルバー人材センターの職員は、直営の時に比べ、清掃にあたる人員が半分に、日数は約3分の2に減らされました。人件費については、飛鳥山公園が約3分の1、清水坂公園が約4分の1に引き下げられています。
最低時給の上昇に伴う清掃委託費の上昇を抑制するため、昨年度も清掃業務委託にかかわる時間数が削減されました。外部化でしわ寄せを食うのは、現場で働く労働者であり、それは結局区民サービスの低下につながります。
区は、来年度から区立公園の全面指定管理化を予定していますが、問題の根本的な是正を行わないまま外部化を拡大するわけにはいきません。
質問です。
1つ目、指定管理化された公園での清掃業務委託の職員体制や賃金水準について、区として全容を把握するとともに、大幅に縮減されたものについては指定管理者に是正を求めること。
2つ目、公園の全面指定管理化は、先行する16園で引き下げられた職員体制と賃金水準を、今後スタンダードにしてしまう恐れがあります。貧困と格差をさらに拡大する全面指定管理化は、今の時点で見直すよう求めます。
以上お答えください。
指定管理者に移行した公園等の清掃業務を含めた管理状況については、協定に基づく毎月の報告を受けるなど、モニタリングを実施し、適切な人員体制での業務状況を把握しております。
さらに、年次ごとには、モニタリングリポートを公表しており、利用者の皆さまの満足度は向上しているものと認識しております。
また、飛鳥山公園や清水坂公園では、指定管理者が所長、副所長を常駐させ、統括者としての的確な指導により、園地管理業務との連携を図りながら直営を踏まえた効率的かつ適切に作業が実施されております。区といたしましては、今後とも指定管理者の業務計画に基づく、良好な公園管理の水準が保たれるよう、努めてまいります。
次に、公園の全面指定管理化についてです。
昨年度から公園・児童遊園を対象に指定管理者の公募を開始しておりますが、この公募要項の仕様書において清掃業務では、シルバー人材センター、福祉施設、町会・自治会の美化推進団体の実績を尊重して継続を求めております。
本公募では、民間事業者が持つノウハウやアイデア、専門性等を活用し公園の活性化や賑わいを創出するなど、魅力向上とともに、効率的で効果的な管理を目指しています。
区といたしましては、本年度中に指定管理者候補者選定委員会において、公募事業者を厳正に審査、選定のうえ、区議会に提出する予定としております。
(2)区立図書館について
次に区立図書館についてです。
区は、先の第1定例会で、年内のジェイトエル開業に合わせて、上十条図書館を閉館することを決定しました。
区は「類似施設だから」としていますが、私たちは、ジェイトエルでは予約以外の蔵書の貸出ができず、配架数も上十条図書館の3割程度になるなど、図書館法に基づく図書館の代替にはなりえないことを示し、上十条図書館の閉鎖には反対しました。これまでの図書館利用者からは、「納得がいかない」との声もいただいています。
この決定の背景に、公共施設の統廃合を進め、20年間で施設面積15%の削減をめざすとする公共施設再配置方針があると考えますが、区民ニーズに合致しない方針は、再検討が必要ではないでしょうか。
質問です。
1つ目。上十条図書館については、現在の利用者の声、要望を改めて調査し、図書館法に基づく図書館の再設置を検討することを求めます。
2つ目。桐ヶ丘区民センターに移転が計画されている赤羽西図書館は、図書館法に基づく図書館とし、面積と蔵書数は現在の規模を維持すること。また、これ以上の区立図書館の削減をやめ、中央図書館はじめ13館の運営を今後とも継続することを求めます。
3つ目。現在の北区公共施設等総合管理計画改定作業の中で、施設面積を15%程度削減するという目標の見直しを行うことを求めます。以上お答えください。
ジェイトエルでは、区立図書館の予約本の貸し出しや返却機能を確保するほか、「電子書籍」のサービス提供や図書の力を活かした事業展開、飲食可能なラウンジの整備、また、開館時間を上十条図書館より大幅に延長するなど、サービスの向上を図って行く予定です。
そのため、上十条図書館の閉館について、改めての調査や再設置することは、考えておりません。
(仮称)桐ケ丘区民センターに整備する赤羽西図書館は、図書館法に基づく図書館としての移転・整備を予定しています。
面積・蔵書数等の規模は、区民センター全体の整備の中で、区長部局とともに検討してまいります。
なお、その他の図書館については、現時点で運営等の見直しは、予定しておりません。
次に、公共施設等総合管理計画における施設面積削減目標の見直しについてです。
将来にわたり、様々な行政需要に的確かつ柔軟に対応し、行政サービスの向上を図るためには、限られた財源を有効に活用する必要があります。
そのため、今後、建替えや改修に多額の経費を要することが想定される公共施設については、サービス水準を出来る限り維持しながら、将来コストの縮減に取り組む必要があり、引き続き長期的・経営的な視点で、公共施設マネジメントを推進してまいります。
なお、施設面積の削減目標については、その時々の区の財政状況や人口動向、区民ニーズの変化等を踏まえ必要に応じて見直すこととしており、計画の改定作業の中で、外部有識者の意見も伺いながら議論してまいります。
(3)経営改革の効果の検証を
3つめに経営改革の効果を検証することについてです。
区は、基本計画の財源調達のために「経営改革」が必要だといいますが、北区経営改革プラン2024による累計効果見込額は今年度からの6年間で34億3000万円、年間に直すと5億7000万円です。これは、今年度一般会計予算のわずか0.3%にすぎません。
一方で、外部化や施設削減など北区が進めてきた「行革」路線の結果は、人件費の削減、区民サービスの引き下げなど、区民生活に多大な苦難をもたらしてきました。
質問です。
わずかばかりの効果を生み出すために、区民に犠牲を押し付ける北区「行革」路線は、「経営改革」の名に値しないのではありませんか。経営改革プランを抜本的に見直し、住民本位の行財政改革への転換を求めます。
将来的な人口減少・少子高齢社会に適切に対応するためには、引き続き、経営改革プランに基づく行財政改革に着実に取り組むべきと考えております。
経営改革プラン2024では、行政需要や課題、社会の変化等を的確に捉えた、より効果的・効率的な行財政運営の確保が必要であるとの認識から、財源はもとより、あらゆる資源を重点的かつ効果的に活用することを目的の一つとしました。
引き続き、自治体を経営する視点で、財源の確保や民間活力の活用、公共施設マネジメント等のこれまでの取組みに加え、DXやデザイン思考など、新たな考え方・手法も積極的に取り入れ、区民満足度が一層向上するよう、区民のための行財政改革に努めてまいります。
5、介護事業にかかわる課題について
大きく5つ目に、介護事業にかかわる課題について伺います。
(1)区内介護事業者の安定的運営のために
はじめに区内事業者の安定的運営のためにお伺いいたします。
この4月から訪問介護の基本報酬が引き下げられました。このことで、訪問介護を支える職員不足が加速し、介護難民が増える心配があることと、介護事業所の存続にも影響しかねないことから、日本共産党北区議員団はこの4月、区内に87か所ある訪問介護事業所のうち49事業所を訪問するなどしてアンケート調査を行い、23事業所から回答をいただきました。
先日5月30日には、寄せられたアンケートをもとに、報道機関向けに記者会見も開き、全国紙、業界紙含め6社にご参加をいただいたところです。
アンケートでは、事業廃止を検討していると回答いただいた事業所が2か所あったほか、経営が「とても苦しい」「苦しい」と答えた事業所は8割を超え、区内介護事業所が厳しい経営状況にあることがわかりました。そのほか連絡が取れず、おそらく昨年度中に事業を廃止してしまったと思われる事業者も3件ありました。
今回は、事業所の皆様から寄せられたご要望をもとに、質問を行わせていただきます。
1つめ。区内介護事業者の安定的運営のために、訪問介護の基本報酬引き上げを国に求めていただくことを求めたいと思いますが、区のお考えをお示しください。
2つめ。今回の基本報酬引き下げの影響を緩和して、介護労働者の離職を防止し、区内事業者を廃業の危機から守るために、訪問介護基本報酬の引き下げの一部を補填する形での一時金を事業者に対して支給することを求めるものです。お考えをお聞かせください。
介護保険の報酬改定は、原則3年に1度行われており、今回、訪問介護事業者の基本報酬が引き下げられました。区としましては、介護保険制度の充実は国の責任において実施するものであり、基本報酬引き下げに相当する減収分を補填することは考えておりませんが、これまでも介護人材の確保・定着を進めるための継続的な取り組みを、特別区長会を通じて要望しています。
訪問介護サービスは、高齢者の在宅生活を支えるために不可欠なサービスであると認識しており、今後も必要な事項については、国に要望してまいります。
なお、介護人材の離職防止については、介護現場のDX化の推進による生産性の向上、職場環境の改善など、区としての支援策を検討してまいります。
(2)北区独自の支援制度の拡充を
次に北区独自の支援制度の拡充を求めて順次質問いたします。
初めに、紙おむつ支給対象の介護要件を緩和していただくことについてです。
北区では現在紙おむつの支給対象を、要介護3以上としていますが、他自治体では要介護1からとしているなど北区の横出しサービスの拡充を求める声をいただいています。ぜひご対応いただきたいと思います。お考えをお示しください。
区では、これまでも要介護4・5の方及び75歳以上の要介護3の方を対象に紙おむつ支給事業を実施しています。
紙おむつの支給事業は、各区で実施されていますが、支給要件は、要介護度のほか、北区にはない所得制限や、現物支給に自己負担を設けるなど、それぞれの区が対象者数や地域特性を踏まえたものと認識しています。
紙おむつ支給事業の対象者や支給額は、他の福祉施策との関係性や優先度、また社会情勢などを考慮し設定されるものであり、昨今の物価高騰なども踏まえ、今年度から、助成限度額の引き上げを行ったところです。
支給対象の介護要件の緩和については、現時点で考えておりませんが、社会情勢のほか他区の動向など、引き続き注視してまいります。
次に介護事業所の事務負担の軽減を図ることについてです。今回私たちは、直接の対話をするべく事業所訪問を行いましたが、多忙なためか、事務所に人がいない事業所もありました。ご回答いただいた事業所からは、人的・金銭的な支援が必要と求める声のほか、「書類関係が多すぎて、休みが取れない」など事務負担の軽減を求める声も多く出されています。
質問です。
複数事業所から要望されている、介護予防支援計画書をA4の用紙1枚程度に簡素化することはできないでしょうか。お考えをお示しください。
介護予防支援計画書は、要支援者である利用者個々の解決すべき課題や心身の状況等を評価し、介護保険制度の基本理念である「自立支援」を可能な限り在宅で実現するため、多様なサービスを総合的かつ効率的に提供できるよう、作成するものとされています。
ケアマネジャーが作成する、居宅サービス計画書と類似しておりますが、目的が異なることから、国によりそれぞれの様式例が定められているものと認識しています。
なお、介護事業所の事務負担の軽減を進めることは必要と考えており、引き続き、事業者団体等と意見交換を行ってまいります。
次に介護保険対象外となるサービスを提供する友愛ホームサービスについてです。この制度は、制度利用者が有償ボランティアに、1時間当たり900円を支払うことになっています。
しかしボランティアとはいえ、地域の民生委員などにお願いして登録をしてもらっている現状を考えれば、物価高騰のもと、また最低時給も年々引き上げられている中で、見直しをすることも必要ではないでしょうか。
質問です。
現在900円となっている報酬を設定当時と現在の物価状況と最低時給を比較して、妥当な水準にまで引き上げるべきではないかと考えます。お考えをお聞かせ下さい。
あわせて、制度利用者側は、引き続き1時間当たり900円で依頼をすることが可能となるよう、ボランティアに支払う部分の増額については区が負担することを求めるものです。お答えください。
友愛ホームサービスは、北区社会福祉協議会の独自事業で地域住民による、地域住民のための有償の助け合い活動として実施しているものです。同様の地域事業は、特別区では20区で行われており、スタッフへの謝礼は700円~1000円程度といった状況です。
友愛ホームサービスのスタッフの謝礼は、北区社会福祉協議会での検討事項となります。また区では、友愛ホームサービス事業の利用者のうち、要支援1以上と認定された高齢者で、住民税非課税世帯もしくは生活保護世帯の方を対象に年会費1500円、利用料金1時間に対し住民税非課税世帯には600円、生活保護世帯には800円の補助を実施しており、現時点で補助の拡充は考えておりません。
(3)介護保険料区独自減額制度の積極的活用を
介護にかかわる問題の3つ目の質問は、介護保険料の区独自減額制度の積極的活用を図ることについてです。
この制度については、昨年の第3定例会代表質問でも実績があがるよう要件緩和と区民にわかりやすい周知を求めたところですが、はじめに、この間の区としての改善点や実績の変化についてお答え下さい。
また、北区の場合、対象となる方の案内が、HPでも生活保護基準の1.15倍との表記になっていますが、区民からみてわかりづらく、他区では減額対象となる保険料第2段階、第3段階は具体的にはどれくらいの年収なのか。世帯人数に応じて示していたり、預貯金についても世帯人数に応じて加算を設けている区もあります。
そこで、重ねて介護保険料の減額制度の要件緩和とわかりやすい周知で、積極的な活用をはかるよう求めます。お答え下さい。
まず、これまでの改善点や実績の変化についてです。
減額制度の周知では、対象となる収入額について、収入額の目安を記載したチラシを新たに作成し、高齢者あんしんセンターなどで配布しています。
また、申請期間に余裕を持たせるため、減額申請書の送付時期を1か月前倒しし、申請時期によって減額する額や期間が異なることや、減額対象となる収入額の目安も記載しています。
減額承認の実績は、令和5年度は32件、今年度の審査はこれからとなりますが、5月末時点で24件の申請をいただいております。
減額制度の要件緩和は現時点で考えておりませんが、今後も減額の対象となる方の申請漏れが起こらないよう分かりやすい周知に努めてまいります。
6、区民支援制度の対象拡大を
(1)補聴器助成制度のさらなる拡充を
大きく6つ目は、区民支援制度の対象拡大を図っていただくことについてです。
その1つ目は補聴器助成制度についてです。
制度がこの4月から始まり、わたくしたちも制度対象となる方からは喜びの声をいただいているところです。申請状況をお伺いしたところ、すでに当初予算で計上した金額を上回る数の相談者が来庁したと聞いています。
そこで質問です。
当面今年度において、購入希望者が予算不足で制度利用を打ち切られることのないよう、年度内の申請者すべてが制度利用可能となるよう、補正予算の計上を求めるものです。お考えをお示しください。
次に来年度に向けては、東京都の「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」を活用し、収入基準を撤廃したうえで、制度を継続することを求めるものですがいかがでしょうか。お考えをお示しください。
区では、本年度からヒアリングフレイル対策の一つとして、加齢により聴力が低下し、会話等他者とのコミュニケーションが取りにくい高齢者に対し、閉じこもりの防止や積極的な社会参加の支援、認知症発症リスク低減の一助とするため、東京都の「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」を活用し、補聴器購入費用助成事業を開始したところです。
4月から申請受付を開始し、多くの申請をいただいていることから、申請数の推移を見ながら、今後の対応を検討しています。
事業の拡充については、申請実績や他区の動向などを注視してまいります。
(2)学用品の無償化を求める
2つめは学用品の無償化を実現していただくことについてです。
この間も要望はさせていただいておりますが、小中学校での必要経費として、保護者が負担する学用品の無償化についても、給食費に続きぜひ実施をお願いしたいと考えます。保護者、教員双方の負担軽減にも資すると考えます。区のお考えをお示しください。
区として、子どもたちの学習環境の構築・改善に取り組むことは必要不可欠と捉えています。
そのため、要保護・準要保護世帯には、就学援助による学用品費の給付を行う、助成制度も機能しています。
また、各校、学年で必要とする学用品については、児童生徒が個々に選択するものも含まれるなど、金額を含めて一律であるとは限らないことからも、現時点において、学用品の無償化は考えておりません。
校長会などからのご意見を参考に、まずは就学援助を含めた助成制度について、他自治体の取り組みを調査・研究してまいります。
(3)就学援助制度の基準見直しを
3つ目は就学援助制度の基準見直しについてです。
就学援助の認定基準を定めるにあたって、墨田区と江東区では、ひとり親世帯に対しては、生活保護基準の1.5倍、1.45倍と所得要件を緩和して認定を行っています。
北区も同様に、ひとり親世帯に対しては基準緩和を図っていただくことを求めるものです。お考えをお聞かせください。
またここのところの物価高騰に対応して修学旅行費、卒業アルバム代などの費目についても実態を調査したうえで現状に合わせた援助額となるよう検討していただくことを求めます。お答えください。
区では、ひとり親世帯の認定にあたり、税法上の寡婦控除に該当する際には、生活保護の母子加算も算定根拠に加えて基準額を算定していることから、一定の緩和はできていると考えております。
また、修学旅行費、卒業アルバム代については、国の補助単価や財調単価に準じて上限額を定めておりますが、引き続き対象経費の実態調査を含め、適切に対応してまいります。
(4)高齢者ヘルシー入浴補助券の支給要件緩和を
4つ目は高齢者ヘルシー入浴補助券についてです。
区内にはお風呂の無い高齢者世帯もいまだに多くいる一方で、区内の銭湯は減少を続けています。高齢者の健康増進とあわせ、区内銭湯の経営維持という観点からも、制度が幅広くいきわたり、活用される状況を作ることが重要と考えます。
そこで質問します。
現在70歳としている支給対象年齢の引き下げを求めたいと思います。お考えをお示しください。
次に高齢者ヘルシー入浴補助券の換金手続きの見直しをしていただくことについてです。この制度は、銭湯側から見れば売り上げには寄与しますが、キャッシュレス決済と同様に現金化までに日数がかかるという課題があります。
質問です。
換金手続きにかかわる手続きの改善で、浴場事業者側に早期に入金が行われるような改善を求めたいと思います。お考えをお示しください。
高齢者ヘルシー入浴事業については、経営改革プラン2024において、対象年齢の引き下げ及び、事務手続きの見直しを検討することとしています。
対象年齢の引き下げについては、引き下げによる効果、区財政への影響及び、利用者負担などについても考慮する必要があると考えています。
委託料の換金手続きについては、引き続き浴場組合との意見交換をとおし、区・浴場、双方の事務負担の軽減を図る事務手続きの見直しの中で、検討してまいります。
(5)未就学児の国保均等割の無償化を
5つ目は未就学児の国保均等割についてです。
現在北区では、未就学児に対しての国保料均等割りの半額について補助を行っていただいています。収入を得るすべのないこどもにも保険料を課すのは国民健康保険制度だけで、給与所得者などが加入する社会保険制度では、子どもが何人いようと保険料が変わることはありません。ですから改めてこどもにかかわる部分の負担軽減をお願いするものです。
この4月から、立川市においては、国民健康未就学児の均等割り全額無料とすることに踏み切ったと聞いています。
国民健康保険料については、自治体が独自に減額や免除を行うことが「適切ではない」とする見解が厚生労働省からの事務連絡で出されています。このため各自治体は独自減免を行えないとの認識が広がっていたようですが、この事務連絡には同時に、「明確に法律違反ではない」とも記載されています。
立川市では今回未就学児の均等割りを無償化するにあたって、この事務連絡を受けて、自治体独自に免除することは違法ではないのだと認識し、実施可能と判断したとのことです。
そこで質問です。
北区においても、国民保険料の未就学児の均等割り部分について、現在の半額の負担軽減から、全額免除とすることを求めます。
以上で私の代表質問と致します。ご清聴いただきましてありがとうございます。
国民健康保険の制度設計は、国の責任において適切に行わるべきと捉えており、国は子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、国民健康保険法の一部改正を行い、令和4年度から未就学児にかかる均等割保険料の5割減額を導入しています。
区独自による未就学児の国保均等割の無償化については、考えていませんが、特別区長会を通じて、国民健康保険料の負担軽減策を国や東京都に対し、引き続き要望してまいります。
以上、お答え申し上げました。いただきましたご質問につきましては、今後、区政の参考とさせていただきます。
ありがとうございました。