2024年第4回定例会代表質問―ながいともこ
2024年11月26日 | ながいともこ
私は日本共産党北区議員団を代表して、大きく6つの質問を致します。
1、総選挙の民意を受け、国民要求の実現を国に働きかけること
大きな1つ目の質問は、総選挙の民意を受け、国民要求の実現を国に働きかけることです。
総選挙の結果、与党過半数割れという新たな局面となり、「政治とカネ」の問題をはじめ、暮らしやジェンダー平等など国民の多数が求める要求の実現に道を開く大きな可能性が生まれています。また、衆議院では改憲派議員が無所属を含めても、総議員数の3分の2を下回り、現状で憲法改正が発議できない状況となり、産経新聞でも「改憲議論は、冬の時代に入った」と報道されています。憲法9条憲法25条とともに、個人の尊重・幸福追求権、公共の福祉を保障する憲法13条などしっかり守らなければいけない、そうした国民の声を受け止めた真摯な対応が自治体にも求められています。
(1)選択的夫婦別姓の実現と女性差別撤廃条約の選択議定書を批准すること
国に働きかけることの1点目は、選択的夫婦別姓へ法改正と女性差別撤廃条約選択議定書の批准です。
選択的夫婦別姓については、北区議会としてすでに、全会一致で国に対し、国会審議の推進を求める意見書を提出しています。経団連も今年6月、旧姓の通称使用拡大によって別姓導入を先送りする政府の路線は企業にとっても「リスク」だとして、早期に実現するよう提言しました。さらには、国連が総選挙直後の10月29日、同姓を定めた民法を改正と女性差別撤廃条約の選択議定書批准するよう日本政府に4度目の勧告を出しています。
北区としても積極的に国に働きかけて下さい。
国は、選択的夫婦別姓について、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めるとしています。
また、女性差別撤廃条約選択議定書への批准については、女性差別撤廃条約を積極的に遵守し、選択議定書については諸課題の整理を含め早期締結について検討を進めるとしています。
区といたしましては、いずれの件も、今後、国において適切な検討・審議がなされるものと認識していますので、引き続き、国の動向を注視してまいります。
(2)企業・団体献金を全面禁止すること
国に働きかけることの2点目は、企業・団体献金の禁止です。
自民党の裏金事件の真相解明や再発防止に向けた法改正が喫緊の課題となっている下で、政治とカネの問題に対し、国民の審判がはっきりと示されました。
今こそ、企業・団体献金の禁止を国に働きかけて下さい。
企業・団体献金につきましては、政治資金規正法に基づき実施されているものであり、必要に応じて国において審議されるものと認識しており、審議の動向につきまして注視してまいります。
(3)紙の保険証を存続させること
国に働きかけることの3点目は、紙の健康保険証の存続です。
今回の衆院選の結果で、「マイナ保険証」の一本化の押し付けだった厚労省やデジタル庁の態度にも変化をもたらしています。特にデジタル庁は、手のひらを返したように「マイナ保険証がなくても、これまで通りの医療を受けることができますのでご安心ください」と呼びかけざるを得なくなっています。今まさに紙の保険証を存続させるチャンスです。
紙の健康保険証の存続を国に求めて下さい。
以上3点、区長の決意を込めた答弁を求めます。お答えください。
本年12月2日以降、国保等の新規加入者で、マイナンバーカードを保有していない方や利用登録をしていない方には、紙の「資格確認書」を発行し、従前の保険証と同様に「資格確認書」を医療機関に提示することで保険診療が受けられます。
そのため、区といたしましては、国に対して紙の保険証の存続を求める考えはありませんが、マイナ保険証を持たない方に発行する紙の「資格確認書」について、使用が可能であることなどの周知に努めてまいります。
2、暮らし応援の最優先課題について
大きな2つ目の質問は、暮らしを応援する最優先課題についてです。
(1)区独自の物価高騰給付金を迅速に支給すること
その1点目は、区独自の物価高騰給付金事業を迅速に行うことです。
この度、国から非課税世帯3万円と子ども一人当たり2万円の国の動向が示されました。
物価高が続いている中、非課税世帯からは、「一日も早く支給してほしい」との声が寄せられています。年内にも支給してほしいと思いますが、見通しをお聞かせ下さい。
一方で、「物価高騰の影響は非課税世帯だけではない。課税であっても苦しいのはかわりない。」との声も上がっています。かねてから、わが会派は、非課税世帯だけでなく、課税世帯にも広げることを提案してきました。
そこでお伺いします。
国の給付金を実施する際には、少なくともこれまで区が独自に実施した、家計急変や課税世帯に扶養されている非課税世帯、均等割のみ課税世帯にも給付金を支給すること。さらに、令和5年度給付金を受け取っていない方たちにも給付を行うことを重ねて求めます。
非課税世帯への給付金の年内支給について、及び給付金の区独自の対象拡大について、昨年は、国の地方創生臨時交付金において、推奨事業メニューとして、地域の実情に応じた活用が可能な枠があり、その枠を活用することで区独自の給付を行いました。
今後、国において、物価高騰対策を盛り込んだ総合経済対策の審議が行われていくものと認識しておりますので、その動向を注視し、国から示された内容を踏まえ、適宜適切に必要な対策を講じてまいります。
(2)会計年度任用職員の給与を引き上げ、再任用回数上限を撤廃すること
次の2点目は、会計年度任用職員の賃金と処遇についてです。
会計年度任用職員の処遇改善に取り組む、公務非正規女性全国ネットワーク通称ハムネットが調査した自治体の給与表では、給与表のどこの号給を採用していくのかは、その自治体の判断になるので、特別区間で格差があることが明らかになりました。北区の会計年度任用職員の賃金を引き上げるため、人事院勧告にもとづく給与水準の引き上げとともに、賃金体系としての基準となる級号給の改善をすすめるよう求めます。
また、港区では、10月、公募によらない再任用の回数上限を撤廃しました。同区は「安定した雇用機会を確保することにより、既存職員への士気向上や他団体への流出防止を図ることに加え、有用な人材を確保するためと」しています。また、すでに回数制限を撤廃している調布市では、雇用の安定や人材確保などに加えて、労使双方の省力化の観点から規則の改定を行ったと、マスコミの取材に答えています。北区でも、再公募により、9割程度の方が採用となると伺っており、貴重な人材として、雇い続けているのが実態です。そこで伺います。
北区でも再任用回数の上限を撤廃するよう求めます。
会計年度任用職員に係る報酬額の改定に当たっては、特別区共通の取扱いとして、原則、常勤職員の給料表を適用し、職務内容に応じた給与を支給しています。会計年度任用職員については、制度発足以来、処遇の改善とともに、時給の引き上げを行っています。
引き続き、職務の内容や責任の程度、他区の状況や社会情勢の変化、特別区人事委員会勧告を踏まえ、適切な賃金水準を確保してまいります。
また、会計年度任用職員の更新回数については、「東京都北区会計年度任用職員設置要綱」において、「公募によらない任用は、4回を上限とする。」とし、最大で5年間の任用期間としています。
なお、更新回数の上限の取扱いについては、他区の状況を注視してまいります。
(3)公契約条例の労働報酬下限額を抜本的に引き上げること
3点目は、公契約条例の報酬下限額の改善についてです。
私は、過日行なわれた、令和7年度に向けた北区公契約審議会を傍聴しました。その中で「公務労働にかかわるワーキングプアをなくしていく役割がある」の重要な指摘がありました。また、「北区の下限額は23区で一番低かった」「1200円福祉補助、1600円看護師補助、せめて1300円清掃補助なみに上げられないのか」という声もありました。こうした声に応えなければなりません。
現在、北区の労働報酬下限額は、会計年度任用職員の事務補助単価に合わせるかたちで設定されていますが、新年度に向けては、他区との格差を解消し、物価高騰にも見合う賃金へと抜本的に引き上がるよう区の姿勢を示すことを求めます。
以上、北区で働く方々のワーキングプアをなくすために2点区長の決断を求めます。
公契約審議会では、国の公共工事費の積算に用いるための労務単価や地域別最低賃金、会計年度任用職員の報酬額のほか、他区の状況なども資料として提供したうえで、労働報酬下限額について審議していただいております。
今月開かれた審議会では、今年度の労働報酬下限額の基本的な考え方や枠組みを基礎として、来年度に向けての答申を行うという方向性が確認されました。
来月の審議会で答申をいただく予定としており、それを踏まえて、来年度の労働報酬下限額を決定してまいります。
(4)セーフティーネット専用住宅の増設や家賃補助制度の創設を
その4点目は、セーフティーネット専用住宅を増やすこと。及び家賃補助制度を創設することです。
昨年度は、UR団地1戸と公社住宅1戸の2戸が提供されました。今年度は5戸の予算計上となりとなり、すでに2戸の募集がされています。
はじめに、残り3戸の見通しをお答えください。
区民からは、さらに拡充を望む声が高まっています。積極的に戸数を増やすよう求めます。合わせて、セーフティーネット専用住宅に申し込める条件のある方でも、なかなか当選に至らず依然として、負担に苦しんでいる方々や若者などに対する家賃補助制度の創設を求めます。
まず、今年度予算計上した専用住宅5戸につきましては、昨年度に供給した2戸の継続分と、今年度から新規で供給を予定する3戸分からなります。
新規の3戸のうち2戸は、UR都市機構からすでに供給を受け、来月から入居が予定されています。また、東京都住宅供給公社とも、供給戸数について協議を進めております。
区としましては、引き続き、関係団体等のご理解をいただきながら、積極的に専用住宅の確保に努めてまいります。
なお、新たな家賃補助制度の創設については、多くの課題があると認識しておりますので、住宅確保要配慮者の住まいの確保等については、居住支援法人との連携をさらに強化するなど、取り組んでまいります。
(5)施設使用料の値上げを中止し、学生など若者への割引制度を創設すること
最後の5点目は、施設使用料の値上げ改定をしないこと。新たに学生など若者応援割引制度を創設することです。
今定例会では、区立施設使用料の改定が提案されています。その使用料の値上げによる区民負担増は約1億円と伺っています。物価高騰の最中で、北区は値上げせず、踏ん張る時ではないでしょうか。そこで伺います。
区民負担を増やす値上げをしないこと。新たに、経済的に厳しい学生や若者などに対する応援割引制度の創設を求めます。
以上、優先課題5点について、お答え下さい。
施設使用料は3年ごとに見直しの検討を実施しており、今年度の検討結果を基に、施設の維持管理やサービス提供にかかる原価に対する利用者負担率の乖離が拡大しているものについて、受益者負担適正化の観点から、増額または減額の改定を行うなど、令和7年度からの改定に向け、この度、改正条例案を提案したものです。
物価高騰の影響は、区民生活とともに、区が行う様々な事務事業においても影響を受けており、施設の維持管理やサービス提供にかかる経費も増加しています。それに伴い、施設を利用されていない方からの負担が拡大している状況も踏まえ、受益者負担の適正化及び利用者の負担の公平性の観点から、早期の見直しが必要と考えております。
なお、学生や若者に対する割引制度の創設につきましては、現時点では考えておりません。
3、教育費無償化を目指す北区を
大きな3つ目は、教育費無償化を目指す北区についてです。
(1)小・中学校の学用品や修学旅行などの費用を無償化すること
その1点目は、学校給食費無償化に続けて学用品や修学旅行など無償化を拡大することです。
令和5年度から実施されている所得制限なしの学校給食無償化は、区民から大変喜ばれています。学校給食無償化に続けて修学旅行や学用品なども無償化を拡げることを求めます。
北区ではこれまでも、学校給食費の無償化を始め、新入学児童生徒学用品等購入費の早期支給を開始するなど、子どもたちの学習環境改善に向けて、様々な対応を図ってまいりました。
一方、教育費の無償化については、国の施策として一律に実施するべきものと考えており、現時点で区独自に修学旅行や学用品の無償化を実施することは考えておりません。
(2)就学援助の基準引き上げや、修学旅行費の前倒し支給を行うこと
その2点目は、就学援助についてです。
就学援助基準は2012年度以降改定がなされていません。そのため、就学援助利用者はピーク時、小学生3451人、認定率30.56%が、今1915人認定率13.39%中学生のピーク時は1755人、認定率37.9%が、今1043人認定率22.21%に下がっています。この間の賃金上昇を上回る物価高騰を加味し、子どもの貧困の解決をはかるためにも就学援助の認定基準を引き上げることを求めます。また、3人のお子さんを育てている母子世帯の方からは、子どもの修学旅行費が前倒しになれば本当に助かると切実なお声をいただいております。準備にもお金がかかります。修学旅行参加希望者には、入学準備金の例にならい、修学旅行費の前倒し支給を行うことを求めます。
就学援助の認定基準の見直しについては、現在の物価高騰に伴い、基準単価が乖離している状況を踏まえつつ、他自治体の取り組みも調査・研究しながら、適切に設定する必要があると考えています。
なお、修学旅行費の前倒し支給については、実績払いである援助の性質も踏まえ、対応を検討する必要があると考えています。
(3)区独自の給付型奨学金制度の実施に向けて
その3点目は、区独自の給付型奨学金制度の実施に向けてです。
来年度の実施に向けて、区が鋭意努力検討していることを伺っております。これまでも、党議員団として、国制度の世帯年収380万円未満の低所得世帯に対して区として上乗せを行うことや、世帯年収600万円程度の中所得世帯まで対象を拡げること。すでに奨学金を利用している方の返済免除の支援や、生活保護世帯や児童養護施設を巣立つ若者への給付型奨学金実施など、組み替え予算も含めて、質問の中で提案をしてきました。
すでに実施している区や報道では、来年度実施される区もあると伺っております。そうした中には、所得制限なしなど使いやすい給付型奨学金制度が紹介されております。会派の提案や他区なども参考に、北区においても幅広い制度運用を求ますが、検討状況をお聞かせ下さい。
区では、若年層の定住化と大学等の進学に伴う経済的負担の軽減を目的とした制度の導入に向けて、他自治体における先進事例について、調査研究を行っています。
自治体によって、さまざまな仕組みがあるなかで、目的や効果を見極めながら、区にふさわしい制度の実現に向けて、制度設計を進めています。
意欲ある若者の学びを支援し、北区の未来を担う若年層の定住化促進を図ることができるよう、効果の高い仕組みの構築を目指してまいります。
4、医療、介護、年金、ケアが希望となる区政を
大きな4つ目は、医療、介護、年金、誰でもがケアが希望となる区政についてです。
医療も介護も年金も、人間らしい暮らしを送るためのものです。それらが今、本来の機能を失いつつあります。憲法は、すべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を送る権利があることを明記し、その保障を国の責務と定めています。誰もが、人権と尊厳が守られ、人間らしい暮らしを送れるようにするのは自治体の責務です。
(1)国民健康保険について
その1点目は、国民健康保険についてです。
北区は国民健康保険料など3つの保険制度について、来年の4月から滞納者に対する延滞金を取ることを決めました。そもそも滞納が発生する理由は保険料が高いからです。この間、何回も紹介してきた一例ですが、生活保護基準の一般的な4人世帯で、収入換算で330万円弱、この家庭に、国保料39万円余、国民年金で40万円余、これに住民税所得税がかかります。当然のことながら、払うことが困難な世帯があることが推測されます。いままで、北区は、こういった方から延滞金を取ることは、やっていませんでした。しかし、今度は、国保だけでなく、後期高齢者医療保険、介護保険の滞納者から延滞金を取ることを決めました。延滞金を取ることは反対です。延滞金の実施は、国民健康保険料で15区、介護保険料で10区、後期高齢者医療保険料で11区で、まだ延滞金を取っていない区もあります。延滞金を取ることよりもまずは、滞納者を生み出さない努力が必要です。そこで伺います。
1、北区の条例減免を経済的理由等、最大限、機能させ実績をあげること。納付相談にも親切に応じ、払うことが困難な方や分納に応じた方からの延滞金徴収は行わないこと。
2、子どもの均等割減額は、18歳まで対象を拡大すること。
以上、お答えください。
まず、国民健康保険のうち、延滞金導入と条例減免についてです。
延滞金の徴収開始については、さきの第3回定例会の所管委員会で、期限内納付者との負担の公平性の確保や期限内納付の促進の必要性などを総合的に考慮し、令和7年4月から開始することをご報告いたしました。
区といたしましては、延滞金徴収開始の周知を図るとともに、早期の納付相談や各種減免制度等をご案内するなど、期限内納付の促進を一層図ってまいります。
なお、延滞金徴収の導入後も、これまで同様に、世帯の納付能力の状況に応じた納付相談を、適切かつ丁寧に対応してまいります。
次に、18歳まで子どもの均等割減額を拡大することについてです。
国民健康保険の制度設計は、国の責任において適切に行われるべきと捉えており、子育て世帯の負担軽減の観点から、国保に加入している未就学児について、均等割が5割軽減されています。
区といたしましては、対象年齢の拡大は考えていませんが、国や東京都に対し、国民健康保険料の負担軽減策について特別区長会を通じて、引き続き要望してまいります。
(2)後期高齢者医療保険について
その2点目は、後期高齢者医療保険についてです。
75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担は、原則1割、病院窓口負担も原則1割負担だったものが年収200万円以上の人は2割負担になり、特に歯科などの受診を控える方が増えています。こうした状況にも関わらず政府が9月に決定した「高齢社会対策大綱」で、75歳以上で窓口負担が3割となっている「現役並み所得者」の範囲を拡大し、さらなる医療費の負担増を高齢者に負わせる方針を打ち出しました。病気にかかりやすく、治療に時間もかかる高齢者の窓口負担は、現役世代より低くしてこそ、世代間の負担の公平を図ることができるのではないでしょうか。
そこで、1つ目の質問は、3割負担の拡大の動きがありますが、負担増はやめるよう国に求めて下さい。
2つ目は、後期高齢者医療保険料の特別徴収のあり方についてです。
私に、寄せられたご相談では、今年度の4月、6月、8月の保険料が6000円台だったものが、10月からは、2万円台と3倍になってしまい驚いて相談がありました。この方の保険料決定通知を年度毎に見てみると、こうした取り方を毎年、繰り返していました。保険料賦課額や年金収入は、あまり変わっていないのに、2か月ごとの引き落とし額にこんなにも差があるので、暮らしにくくなっています。区としても支払う方の立場に立って、保険料徴収については、平均に慣らして取るようにしてはいかがでしょうか。
以上2点、お答えください。
令和6年9月に閣議決定した「高齢社会対策大綱」では、75歳以上の医療費の自己負担割合について、現在は「現役並みの所得のある人」としている3割負担の対象者を広げることを検討する、としています。
また、年齢にかかわりなく、希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築や、多世代がともに安心して暮らせる社会の構築などが基本的な考え方とされており、持続可能な高齢者医療制度の検討にも言及されています。
区としましては、団塊の世代が75歳に達し加入者が増加していることや医療の高度化の影響により後期高齢者の医療費が上昇していくことなどを総合的に勘案し、国の責任において、後期高齢者医療保険の制度設計を適切に行われるべきと捉えています。
そのため、3割負担の拡大をやめるよう国に求めることは考えていません。
次に、特別徴収のあり方についてです。
区では、所得の変動などで前年度と本年度の保険料が変わり、4月、6月及び8月の仮徴収額と10月、12月及び翌年2月の本徴収額に大きな差が生じている方を対象に、6月と8月の特別徴収額を調整して、年金からの天引き額ができるだけ均等になるよう、平準化を行っています。
なお、平準化については、年金機構への事務処理手続きの時期などもあり、全ての方を調整することは困難ですが、担当部署へお問い合わせいただくことにより、可能な範囲での対応に努めてまいります。
(3)介護保険について
その3点目は、介護保険事業についてです。
今年1月から8月の介護事業所の倒産は、前年同期の1・44倍と激増し、コロナ危機の渦中にあった2020年を上回る史上最多の水準となっています。倒産の約半数は訪問介護の事業所で、その大半は零細事業者です。最近の新聞報道でも、「介護倒産が145件と年間最多、訪問介護が過去最多の72件と半数を占め、増加の要因となっている」記事を見ました。
第2回定例会の代表質問では、区内介護事業所を訪問調査したことを紹介し、取り上げました。その調査で寄せられた現場の声をご紹介します。
「介護保険以前から地域の中で支え活動をしてきましたが、働くヘルパーの高齢化と人材不足もあり、近々事業所を閉鎖せざるえません」、「介護人材確保困難な中、特に訪問介護員は厳しい現状。報酬改定で基本報酬ダウンの影響は更なる人員不足をまねくと心配。このままでは人員不足、経営困難で事業終了を検討している」、「今度の改定で訪問介護の報酬が引き下げられ、高齢者の在宅介護を支えるかなめであるヘルパー事業所は、経営的にも不安定な為、常に人材不足の状態です。基本報酬を上げるよう東京都、国へ要望して下さい」など、特に、政府が今年度から訪問介護の基本報酬を削減したことがこの北区でも、大打撃になっていることが裏付けられています。
また今、働く現役世代が介護のために仕事を辞める「介護離職」が年間10万人にものぼるなど、要介護者の家族の負担も重くなっています。「ヘルパーが不足して時間をへらさざるをえない」、「入所できる施設がない」など、利用者や要介護者の家族にとっても、負担が重くなる事態が広がっています。削減されてきた介護報酬の底上げと、介護事業所の経営の継続に向けた支援が求められています。
そこでお伺いします。
1、訪問介護報酬引き下げで、訪問介護事業所の倒産が相次いでいます。事業所撤退や人材不足等で、介護サービスが受けたくても受けられないことが起こりうる懸念はないのでしょうか。
2、区内の訪問介護サービス事業者などへ、人材確保、賃上げなど区としての独自支援を行うこと。合わせて、訪問介護の基本報酬を引き上げることを国に求めて下さい。
以上、お答え下さい。
まず、訪問介護事業所の撤退などで、希望する介護サービスが受けられなくなる懸念についてです。
訪問介護事業所は指定権が東京都にあるため、撤退数や人材確保の状況など、詳細を区では把握できませんが、事業者団体との意見交換の中では、介護人材不足により、新たなサービス提供を断る場合があるといった声は聞いています。
次に、訪問介護サービス事業者への区独自支援及び訪問介護基本報酬の引き上げを国に求めることについてです。
区としては、介護サービス事業所の安定経営に向けた区独自の支援、また、訪問介護基本報酬の引き上げについて国や東京都へ要望することは、現時点で考えておりません。
介護保険2つ目の質問は、保険料軽減についてです。
介護保険制度の仕組みでは、給付の充実や職員の処遇改善をすると保険料・利用料に跳ね返ります。その矛盾を解消するには公費負担を増やすことが必要です。そこでお伺いします。
保険料軽減のために、国庫負担割合10%増やし、公費負担を60%にすることを国に求めて下さい。また、仮に国庫負担を10%増やした場合、保険料はどのくらい減額になるのか試算をお示し下さい。
介護保険制度は、国民の共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担するものとされ、介護保険法で、国、地方自治体、被保険者の負担割合が定められていることから、負担割合の変更を国に要望することは考えておりません。
なお、公費負担を10%増やした場合の保険料の試算ですが、第1号及び第2号被保険者の負担割合は50%から40%となるため、保険料もこれに比例して減額となると推計されます。
これを現在の北区の月額保険料基準額に当てはめると、減額は1,258円となります。
介護保険3つ目は、区独自の申請減免を改善することについてです。
この制度の区民向けのご案内は「介護保険料を納めることが困難なとき」となっています。特別徴収では、年金から天引きになるため、自分は対象ではないと思っております。
今年の決算特別委員会の質疑でも、この減免制度の対象になる方が、特別徴収されている方の中にもいることが分かりました。特別徴収から、普通徴収に切り替えて、対象者になることを十分に周知して活用促進を行うべきです。
23区のなかでは、「生計が困難な方の保険料減額制度」「介護保険料軽減制度」として、ご案内し、申請減免の実績を上げている区もあります。
北区も、申請減免の案内の表現を変え、条件がある人に、もれなくこの制度を使ってもらえるよう改善することを求めます。
介護保険料減免制度は、特別徴収の方も含め、介護保険料を納めていただくすべての方に対してお送りする「納付のご案内」の中で、周知を図っています。
周知内容についてはこれまで、収入額の基準の明確化などの改善を行ってまいりましたが、引き続き、分かりやすい周知方法について研究してまいります。
介護保険の4つ目は、介護保険における境界層減免についてです。
介護保険における境界層減免制度は、保険料や利用料の生活保護基準並みのボーダ層方や、保険料滞納のために利用料にペナルティがかけられている方にも適応されます。境界層減免制度の周知を徹底し、該当者が漏れなく利用できるようにすることを求めます。
境界層該当措置は、生活保護の申請などを前提とする制度であり、生活保護の申請者又は被保護者が、境界層該当措置を講ずれば、生活保護を必要としないと判断された場合に、生活保護申請の却下又は保護の廃止を行う制度です。
いわゆる保険料の減額減免とは趣旨が異なるものと捉えており、被保険者全員への周知はなじまないものと考えています。
なお、保険料や給付の負担軽減についての相談の際、生活状況などを聴き取る中で、生活保護申請の案内も含め、丁寧に対応してまいります。
(4)物価高騰を上回る年金に
ケアが希望となる区政の4つ目は、物価高騰を上回る年金額にすることについてです。
物価高騰が高齢者の年金生活を直撃し、「暮らしていけない」という悲鳴が上がっています。自公政権が物価上昇を下回る年金改定で実質減額を続け、第2次安倍政権以降の12年間に、公的年金は、実質で7.8%も削減されました。目減りした年金額は30兆円を超えています。この夏電気代の負担を苦にしてエアコンの使用を控えて熱中症になり亡くなる高齢者が全国で相次ぎました。また、フードバンクなどの食料支援に列をつくる高齢者も急増しています。
「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ。豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」これは老人福祉法の第2条ですが今、全く軽んじられています。あらためて老人福祉法の基本理念に自治体は立つことが求められていまます。そこでお伺いします。
物価高騰を上回る年金額にすることを国に求めて下さい。
国は、低所得者や低年金の方への対策として、年金の受給資格期間の短縮や年金生活者支援給付金を創設するなど、持続可能で安心できる年金制度の構築に向けた取り組みを、国の責任において行われていると認識しています。
既に全国市長会を通じて、令和6年11月に国へ「国民年金の円滑な運営の推進に関する提言」を提出しており、改めて国に求めることは考えておりません。
5、「いのちのとりで裁判」で取り組まれている生活保護制度の改善について
大きな5つ目は「いのちのとりで裁判」で取り組まれている生活保護制度の改善についてです。
いのちのとりで裁判とは、2013年から2015年に最大で10%、削減総額670億円の生活保護費の引き下げが決められ実行されました。この引き下げで、生活保護利用者の96%の世帯が影響を受けました。この史上最大の生活保護基準引き下げに対して、現在、全国29都道府県、1,000名を超える原告が違憲訴訟を提起し、国・自治体を相手にたたかっている裁判です。直近では、10月28日に、岡山地裁で19例目の勝訴判決が出ています。
こうした裁判の判決の中で紹介したい1つは、2024年2月22日三重県の津地方裁判所の判決です。裁判長は、減額の背景に「自民党の選挙公約への忖度があったと推認できる」とし、憲法が保障する「最低限度の生活」を具体的に設定するためには、高度な考察に基づく政策判断が必要で、専門的な知見を無視した政治的判断をすることは許されないと指摘。厚生労働相の裁量権の乱用を認めた上で、減額は違法だと判断しました。
もう1つは、2023年11月の名古屋高裁判決では、厚労相の裁量権の範囲を逸脱・乱用したもので生活保護法違反だとして国に賠償を命令しています。
こうした判例が出されている最中、生活保護の基準見直しを議論している厚労省の部会では、多くの世帯の引き下げにつながる検証結果が出されていました。この引き下げが実施されれば、全世帯の7割以上の利用者が生活保護基準の引き下げになります。この引き下げに関しては、2019年の家計調査、コロナ禍も反映していないなど、与党の中からも懸念が示され、2023年度と2024年度は据え置きという特例措置がとられました。
来年度以降の生活扶助基準については、2025年度予算編成において検討されることとなっています。この裁判の意義や勝訴判決も踏まえ、生活保護基準のこれ以上の引き下げを許してはなりません。
また、生活保護の基準は、最低賃金や就学援助、住民税の非課税基準、介護保険料の減額基準など、暮らしの制度の様々な分野に連動しています。いま、どの世代でも、暮らしの底上げが求められているなか、その基準となる生活保護制度の改善こそ必要です。さらに、異常気象での猛暑など増大し続ける水光熱費のため、現状の冬季加算に加えて夏季加算の創設も国に求めるべきです。
そこでお伺いします。
(1)物価高騰に見合う生活保護基準の引き上げや夏季加算の創設を国に求めること
生活保護基準の引き下げは認められません。物価高騰に見合う引き上げ、及び夏季加算の創設を国に求めること。お答えください。
生活保護基準は、全国家計構造調査の結果などを専門的・科学的見地から検証を行いながら、非受給世帯との均衡なども考慮し、国において適切に決定されていると認識しています。
また、国における夏季加算についての議論などは把握しておりませんが、生活保護制度に関わる事項については、必要に応じて国において対応するものと認識しており、動向を注視してまいります。
(2)北区独自の法外援護を拡充させること
2つ目は、北区独自の法外援護を拡充させることです。
現在、北区の法外援護は小中学校への修学旅行への支援のみです。港区では、修学旅行支度金の他にも、夏季見舞金を手当しています。光熱費の高騰や物価高に苦しむ生活保護利用者に対する北区独自の法外援護を拡充することを求めます。お答えください。
区独自の法外援護の拡充については、光熱費の高騰や物価高への影響を受けた方への支援として、生活保護受給世帯も含めた給付が行われていることから、生活保護制度における法外援護の拡充による対応は考えておりません。
(3)年金制度改正により生活保護基準を上回る利用者への温かい対応を
3つ目は、物価高騰にも追いつかない年金の増額のため、生活保護基準を上回る利用者へは機械的な生活保護の要否認定で、保護が打ち切られないように、その方の生活実態にそくした温かい対応を求めます。お答えください。
生活保護は、国が定める基準に基づき運用されることから、収入が生活保護基準を超えた場合について、区独自で対応することは困難です。
ただし、収入が増加し生活保護基準を上回った場合の生活保護の要否判定は、収入の増加幅にもよりますが、一定期間生活状況を見たうえで判断しており、基準を上回った時点で保護廃止を決定するものではありません。生活状況の聞取りや相談については、引き続き、丁寧に対応してまいります。
なお、物価高騰を踏まえた年金額の増額により、保護が打ち切られるケースは極めて少ないと考えられます。
6、赤羽西地域の新規コミュニティバス計画策定について
大きく6点目、最後の質問は、赤羽西地域の新規コミュニティバス計画策定についてです。
コミュニティバス導入優先順位2位の赤羽西地域ルートは、スケジュール通り実施するために、1年前倒しで運行計画の準備が進められることになりました。現在、北区地域公共交通会議において、自治会の代表の方や交通事業者などから構成となる赤羽西地域部会も設置され、運行計画を踏まえた検討が始まっています。地域の方からは「この地域は、坂道が多く、買い物場所もなく、荷物を持って坂道を登って帰るのがとても大変なので、こうしたことが解消されるルートにして欲しい」、「高齢者がサークル活動している地域のふれあい館近くにバス停を設置して欲しい」、「(仮称)桐ヶ丘区民センターに統合される、島下ふれあい館を利用していた方の足の確保して欲しい」など、赤羽西地域ルートの新規コミュニティバスに住民の期待が集まっているとともに、より良く利用できるご要望をいただいております。そこでお伺いします。
赤羽西地域計画策定にあたり、経過や進捗状況など計画策定前に住民説明会を開催し、ルートやバス停の位置など、積極的に住民の意見を取り入れる仕組みを作ることを求めます。お答えください。
新規コミュニティバス導入にあたりましては、素案段階から説明会を開催し、いただいたご意見・ご要望を踏まえて運行計画を作成することとしており、赤羽西地域におきましても、地域の皆さまからのご意見・ご要望を伺ってまいります。
具体的な手法や時期等は、赤羽西地域部会において検討していきますが、区といたしましては、引き続き、地域の皆さまの声を広く伺いながら、地域特性やニーズに応じた公共交通の導入に取り組んでまいります。