2025年第1回定例会代表質問―山崎たい子
2025年2月21日 | 山崎たい子
区議会議員の山崎たい子です。日本共産党北区議員団を代表し、区長・教育長に質問します。
1、戦後80年、平和事業の充実を
はじめに、戦後80年、北区の平和への取り組みです。
今年は戦後80年、被爆80年でもあります。戦争の被害・加害を直視し、改めて、戦争の心配のない日本・北区、世界・東アジアをーと願い、以下2点うかがいます。
1、戦後80年誌の発行記念や内容を紹介する講演会、動画での発信、区民の被爆体験や空襲、学童疎開などの体験を聴く会、図書館での企画展示、映画会など1年を通じて平和事業に取り組むと共に、区民・団体の取り組みにも支援を求めます。
2、東京都に対し、都が凍結している(仮称)「平和祈念館」の建設や都民から寄せられた戦災資料の公開、東京空襲の犠牲者の調査を進めるよう求めてください。
まず、区の平和事業の取組についてです。
区では、毎年8月の平和祈念事業の実施と、今年度は平和の女神像創建50周年式典を挙行するとともに、戦後80年誌の編集作業にも着手するなど、平和事業の充実に努めてきたところです。
今後の平和事業の実施にあたりましても、関係機関との連携のもと、平和に関する動画の配信や区ホームページの充実に努め、1年を通じて平和の尊さを区民の皆さまへ伝えてまいります。
なお、ご紹介の(仮称)「平和祈念館」の建設などの取組につきましては、東京都において適切に対応されるものであり、区から東京都へ要望する考えはございません。
2、物価高から、くらしを守るために
第2の質問は、物価高から、くらしを守ることです。
地域の皆さんが口々に語るのは、「あいかわらず物価が高い。お米も野菜も、手が出ない」という声です。1月17日公表の日銀調査でも、くらし向きが1年前に比べ、「ゆとりがなくなった」との回答が57%となり、同年9月の調査よりも4.4ポイント増加。その理由の約9割は物価の上昇、3割は収入減で、家計の悪化が示されました。区民のくらしに一番身近な北区として、くらし応援の施策は最重要と考えます。
北区の新年度予算案では、歳入の特別区税が前年比31億円の増額、地方消費税交付金は11億円増額、特別区交付金は42億円増額で、主要財源で80億円もの増収となり、一般会計の予算総額が前年比で、103億円増額の1917億円余と、区は、「実質的に過去最大の予算規模」としています。
また、財政調整基金は今年度、約74億円取り崩す予定が25億円で済み、結果として49億円余の増収になる中で、今年度末の財政調整基金残高は過去最高の228億円にまで積み上がる見通しとなりました。
こうした下で、北区は今年度末補正予算で、施設建設、新庁舎、まちづくり基金など、基金積み立てに約51億円を追加で積み増し、さらに新年度予算でも30億円と合計で約80億円を新庁舎やまちづくりなどの特定目的基金に積み増す計画です。
この背景には、大企業や富裕層への優遇税制による収入増があると考えられますが、一方で格差拡大により、多くの区民のくらしや地域経済が疲弊しています。
財政調整基金も活用し、更なるくらし応援を求め、以下9点、質問します。
(1)区独自の物価高騰対策給付金の拡大を
1つは、区独自の物価高騰対策給付金の拡大です。
北区は昨年末に補正予算を組み、国による物価高騰対策給付金3万円を、非課税世帯のみならず、住民税均等割のみ課税世帯も対象とし、年末から支給しました。「助かった」との声を聞く一方で、自分の年金は非課税だが、課税世帯に扶養されている高齢者から、「以前はもらえたが今回はダメですか」と、がっかりした様子で尋ねられます。
そこで、扶養されている非課税者の方も支給対象とするよう求めます。
更には、「非課税ではないが、月の手取りが20万にも満たず生活は苦しい」との、切実な声も引き続き寄せられています。北区では、税金がかかる基準となる課税標準額100万円以下の方は約5万人です。家計急変の方も含め、こうした方々へも給付金を支給するよう求めます。
加えて、中小業者への直接支援です。北区は昨年12月、今年度中に福祉・医療施設などへ物価対策支援金を行う補正予算を組みましたが、その他の物価高騰の影響を受ける区内事業者へも実施するよう求めます。
昨年末、国の経済対策に基づき、19億円の補正予算を編成するとともに、非課税世帯に加え、区独自に均等割のみ課税世帯まで対象を拡大し、他区に先駆けて、いち早く給付金を支給いたしました。
また、推奨事業メニュー枠の活用により、高齢者福祉施設において新たに居宅介護支援事業所等を追加、障害者福祉施設においても、相談支援事業所等を追加するなど、物価高騰の影響を受ける福祉事業所の実態を踏まえ、対象の拡大を行ったところです。
区内事業者につきましては、年明けから東京都が特別高圧電力または工業用LPガスを使用する中小企業への支援を開始したほか、区では「原油価格・物価高騰対策緊急資金」や「借換資金」の融資あっせん制度を創設するなど、国や東京都の対策に加えて、区独自の物価高騰対策を講じています。
さらに、広く区民の皆さまを対象とした対策として、今月からは、区内共通商品券しぶさわくんpayの追加販売を開始しており、限りある財源の効果的な活用を図ったところです。
国は総合経済対策の中で、実質賃金が安定的にプラス水準に到達するまでの間、集中的に幅広い生活者の暮らしを支援するための施策の在り方について検討するとしています。区としましては、今後も国や東京都との連携や役割分担を踏まえながら、物価高騰対策の動向を注視し、適宜適切に必要な対策を講じてまいります。
(2)消費税減税、食料品非課税を国に求めよ
2つめは、消費税の減税についてです。
「税金の負担が重い」との声は切実であり、30年間すえおかれてきた課税最低限は引き上げるべきです。更に、年収1000万円以下の方については、所得税よりも消費税の負担が大きいことを考えれば、今もっとも減税効果が高い施策は消費税の負担をなくすことです。「せめて食料品は非課税にしてほしい」との声に応えるべきです。
消費税廃止をめざし緊急に5%へ減税、食料品は非課税に、インボイス撤廃を国に求めて下さい。
消費税は、持続可能な社会保障制度を構築するため、税率引上げによる増収分については、社会保障財源に活用することとされており、区でも、子育て支援策や健康増進策、低所得者への負担軽減策を中心に活用を図っています。加えて、食料品等については、軽減税率が適用されるなど、既に、一定の配慮がなされているところです。
また、インボイス制度については、正確な適用税率や消費税額等を伝える手段として必要な仕組みであり、免税事業者へは一定の緩和措置が講じられています。
こうしたことから、消費税減税や食料品の非課税、インボイス制度の撤廃を国に求めることは考えておりません。
(3)働く人の賃金引き上げ、雇用条件の改善を
3つに、働く人の賃金引きあげ、雇用条件の改善です。
新自由主義の人件費削減により、非正規雇用は全体で4割以上、若者や高齢者、女性は5割から6割以上となり、実質賃金も3年連続のマイナスです。北区の納税者では全体19万人のうち、課税標準額200万円以下は10万人と5割を超え、課税標準額300万円以下でみると7割を超えます。多くの区民のくらし、地域経済を守るために、北区が公共調達能力をいかし、契約においても地域に良質なサービスをつくる、更には、官製ワーキングプア解消を進めるべく、以下3点、質問します。
1、公契約条例について、世田谷区は労働者の報酬額の下限を1460円に、杉並区は1400円に引き上げました。北区の下限額の更なる引き上げを求めます。
2、会計年度任用職員の再任用年数の上限をなくす、教育・保育・児童館などケアに関わる職員の給与引き上げ、病気休暇の拡大、生理休暇を有給に、ボランティア休暇の取得を認めて下さい。
3、子育て世代職員への2時間の部分休暇は、常勤が6歳まで、非正規は3歳までの対象を、常勤も非正規も差別なく小学6年生まで拡大へ。障害児などの場合は、更なる配慮を求めます。
公契約条例では、労働報酬下限額につきまして、公契約審議会の答申を受け、区長が決定することとしております。
令和7年度の労働報酬下限額については、昨年12月に審議会から答申を受け、業務委託等の労働報酬下限額を、令和6年度の1時間あたり1191円から、1368円へと大幅に引き上げています。
今後につきましても、公契約審議会に必要な情報を提供し、審議のうえ出された答申を踏まえ、労働報酬下限額を決定してまいります。
会計年度任用職員の更新回数の上限の取扱いについては、引き続き他区の状況を注視してまいります。
ケアに関わる職員の給与引き上げについては、他区の状況を参考にしつつ、資格の有無や職種間の均衡などを考慮する必要があると考えています。
病気休暇については、無給であったものを、令和7年度より一部有給化するなど、処遇の改善を図ります。また、生理休暇の有給化やボランティア休暇の設定については、他区の動向を注視してまいります。
次に、部分休暇についてです。本定例会において追加議案として提出する予定ですが、子育て世代の職員を対象とする法に基づく部分休業期間の補完を目的とした制度として、正規職員、会計年度任用職員ともに、小学校6年生までを対象とする「子育て部分休暇」を新たに導入します。
また、子が特別支援学校に在籍または障害児である場合には、更なる配慮をすることとしています。
なお、子育て部分休暇の対象者や内容等の詳細については、今後の全員協議会において説明させていただきます。
(4)訪問介護ヘルパーへの区独自の処遇改善を
4つに、訪問介護ヘルパーへの区独自の処遇改善です。
今や訪問介護の有効求人倍率は15倍、ヘルパーの平均年齢も60代と人手不足は深刻で、更に今年度、国の訪問介護報酬の引き下げにより、介護事業所の倒産、廃業が過去最高となり、その7割は訪問介護となっています。これでは、地域でケアを支える人がいなくなる深刻な事態です。北区には介護を保障する公的責任があります。介護ヘルパー確保のために、介護事業所の実情を把握し、介護報酬とは別枠で処遇改善補助や社会保険料の軽減、更には、要支援1、2の総合支援事業の単価引き上げ、周辺区と同様、月の包括補助へと改善を求めます。
前回の介護保険の報酬改定により、訪問介護事業者の基本報酬が引き下げられました。区としては、介護保険制度は国の責任において実施するものであり、介護報酬とは別枠での処遇改善補助等、区独自の支援は現時点で考えておりませんが、これまでも介護人材の確保・定着を進めるための継続的な取り組みを、特別区長会を通じて要望しています。
なお、社会保障審議会介護給付費分科会においては、訪問介護の報酬引き下げの影響を確認すべきとの意見も出されており、これを踏まえた今後の国の動向など、引き続き注視してまいります。
また、総合事業の報酬単価の引き上げ及び月額包括報酬制については、利用者負担の増加となるほか、計画期間中の改定により、事業者、利用者の双方に混乱をきたすことも懸念されることから考えておりません。
(5)プレミアム付き区内共通商品券の拡充について
5つめは、プレミアム付き区内商品券の拡充です。
今年度20%プレミアム付き区内共通商品券は、紙の商品券のほか、デジタル商品券も発行し、年度途中にも5000万円追加発行したことを評価します。区内商店街の支援とともに、現役世代も含めた多くの区民のくらし応援にもつながるもので、新年度更なる拡充を求め、以下2点うかがいます。
1、紙の商品券について、「今年も購入できなかった」「プレミアム率25%を復活してほしい」との声が寄せられています。発行数の増刷やプレミアム率の拡充を求めます。
2、デジタル商品券は、「取扱店舗を増やしてほしい」「お店の側の手数料負担が重い」との声を聞いています。理美容店なども含め取扱い店舗の拡大や、お店の負担軽減、発効総額の拡充を求めます。
区では、区内店舗のキャッシュレス化などデジタル活用の取組みを支援し、区民の利便性向上や販売機会の拡大を図るため、北区商店街連合会が取り組むデジタル商品券の発行を支援しています。従来の紙商品券とあわせ過去最大の4億円を発行、プレミアム率20%とし、新年度予算案においても事業実施を見込んでいます。
デジタル商品券については、取扱店舗の拡大、購入口数の工夫や利用期間の適正化など、引き続き北区商店街連合会と連携し、利便性向上に努めてまいります。
なお、区民を対象としたアプリの操作にかんする相談会を予定するなど、引き続きデジタル活用の取組みを推進することから、紙商品券の発行数の増刷等は予定しておりません。
(6)シルバーパス購入費補助について
6つめは、課税世帯へのシルバーパス購入費補助です。
日本共産党都議団が繰り返し条例提案を重ねてきた住民税課税者へのシルバーパス負担軽減について、東京都が2万510円を1万2000円にすると公表しました。
私はこれを機に北区が、更に1万円の助成を行えば、購入費は数千円で済み、「非課税ではないが物価高で生活が苦しいのは同じ」と、これまでやるせない思いをしてきた高齢者の社会参加と生活支援にもつながると考えます。ぜひ、課税者へのシルバーパス購入費の北区の追加助成を行うよう求めます。
東京都が、令和7年10月から住民税課税者のシルバーパス購入費用を引き下げることを新年度予算で示したことは承知しています。
区としては、事業の詳細など周知を進めてまいりますが、シルバーパスにかかる本人負担の在り方については、事業実施主体である東京都において検討すべきものと認識しており、区としてシルバーパス購入の補助は考えておりません。
(7)教育費の無償化・負担軽減の拡充を
7つめは、教育費の無償化・負担軽減です。
令和8年度から北区独自の奨学金返済支援、5年間で最大100万円の給付を行う事業創設が示され、大変嬉しいです。より多くの若者が対象となる給付要件とすることや、若者の就労、住まいの安定など社会的自立につながる施策展開となるよう求めますが、制度設計と区の考えをお聞かせください。
教育費無償化では、他区で更に、修学旅行や郊外学習、制服や教材費などへ拡大しています。北区でも検討を求めます。
まず、区独自の奨学金返済支援事業についてです。
区では、意欲ある若者の学びを支援し、北区の未来を担う若年層の定住化促進を目的とし、令和8年度開始の奨学金返済支援給付事業の構築に向けて、準備を進めています。
事業の概要は、大学等を卒業し、北区に定住する方を対象として、一定の要件のもと、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金等の返済を支援することとします。
支援の規模については、毎年、最大100人までとし、支援を決定した方に、5年間にわたって、一人あたり最大で総額100万円の支援を行う予定です。
今後、詳細な制度設計を進め、本年秋に、広く制度の周知を行った後、令和8年度から申請受付及び給付を開始いたします。
なお、詳細については、所管委員会で報告いたします。
次に、教育費の無償化を修学旅行や校外学習、制服や学用品などへ拡大することについてお答えいたします。
区では、これまで教育費の負担軽減に向け、学校給食費の無償化をはじめとする対応を図ってまいりました。
次年度は、北区独自の奨学金返済支援を新たに開始するほか、就学援助の修学旅行費の支給額を上げ、実費との乖離解消を図ることとしています。
各区における次年度の取組内容も承知していますが、北区においては、保護者負担の軽減を図る一方で、教育における様々な課題を解決するための取組を、区長部局とも連動しながら、バランスよく行っていく必要があると考えています。
本来であれば、国の責任のもと実施されるべき事業ではありますが、北区での実施にあたっては、給付事業とのバランスを見極めつつ、教育課題の本質にコミットできるよう、地に足をつけた着実な取り組みを進めたいと考えています。
(8)高すぎる国民健康保険料は引き下げを
8つめは、高すぎる国民健康保険料の引き下げです。
私は1月14日、党都議団や23区の区議と共に、国民健康保険料の引き下げを求める特別区長会あての要請行動に参加しました。その際、保険料算定では、国の仮係数にもとづいた2025年度の区市町村に課す納付金総額が前年比で260億円の減額となると聞いています。
そこで、来年度こそ国保料の大幅な引き下げを実施すること。国・東京都に対し、子どもの均等割減額を就学前から18歳まで拡充、更には、子どもの均等割ゼロへ財政措置を行うようはたらきかけること。また、子どもの均等割減額を拡充した場合の予算額についてもお示しください。
特別区長会は、本年2月17日、令和7年度の国民健康保険料について、独自の負担抑制策を実施し、一般財源を組み入れることを決定しました。
その結果を反映した条例改正案について、北区国民健康保険運営協議会に諮問したところであり、詳細は本定例会の所管委員会でご報告をさせていただきます。
また、子どもの均等割額の減額措置については、対象年齢や軽減割合を拡大するなどの負担軽減策を、昨年11月に全国市長会から国に対して提言を発出しています。
なお、子どもの均等割額減額を拡充した場合の見込み額については、未就学児を全額減額した場合は約5600万円、18歳まで5割減額した場合は約9600万円、18歳まで全額減額した場合は約1億9000万円となります。
(9)区民施設使用料の負担軽減を
9つめは、区民施設使用料の引き下げです。
来年度から受益者負担の考えにより、区民施設使用料が値上げとなり、区民から不満の声が届いています。区民の社会活動、コミュニティ活動の保障、自治の醸成を根底から支える区民施設がお金の心配で抑制されてはなりません。また、スポーツ施設使用料について、目黒区では、令和7年度から小人料金を高校生相当まで拡大、杉並区では、令和8年度から小・中・高校生を無料にする方針が示されました。
北区でも施設使用料を引き下げ、スポーツ施設の高校生までの負担軽減を求めます。
使用料等については、原則3年ごとに全庁的な検討・見直しを行い、社会経済情勢や景気動向等に配慮しつつ、受益者負担の原則や負担の公平性などの観点から、常にその適正化を図ってきているところです。
今般の施設使用料改定についても、同様の考え方に基づき改定を行う一方、上限率や引下げを行う施設も設定するなど、区民の皆さまの負担増に対しても一定の対応をさせていただいたところです。
また、スポーツ施設の高校生までの負担軽減につきましては、引き続き、3年ごとの見直しの中で、その時々の区の政策課題や区民ニーズ等を捉え、有効性や必要性を判断してまいります。
3、住まいは人権、住宅支援の拡充を
第3の質問は、住まいは人権、住宅支援の拡充です。
「家賃の負担が1万円安くなるだけでも本当に助かる」との切実な声が寄せられています。特に東京は、再開発など地価の高騰も影響し、家賃の平均が民間賃貸住宅は9万4802円、UR・公社が8万9986円と、全国の約1.5倍という高家賃となっています。
一方、公営住宅の平均家賃は28722円、とりわけ1人暮らし高齢者、女性、低所得者にとっては、入居できるかどうかで生活の安定に大きな差が生じます。しかし、日本はこの20年間で公営住宅は42万戸減少。公営住宅率は、ヨーロッパが10%~20%に比べ日本はわずか3%にすぎません。東京都は26年間、新規建設はゼロ。とりわけ単身者の申し込みはまさに運だのみ。何年たってもあたらない。これで公共住宅の責任を果たしていると言えるのでしょうか。
UR・公社住宅も20年間で22万戸減少。都市再生機構になって、市場家賃化がすすめられ、この間1万3000円の家賃上昇となっており、公的機関としての再生が必要です。高い住宅費は若い世代にとっても親元から離れることを困難にし、若者の自立、未婚化、少子化にも影響していると指摘されています。そこで以下3点質問します。
(1)公営住宅について
公営住宅について、東京都に対し、新規建設を含め供給を大幅に増やし、若い世代も入居できるよう収入基準の引き上げを求め、区営住宅においても同様に取り組むこと。
都営住宅については、東京都から、既存ストックを最大限に活用し住宅を増やす計画はない、と聞いています。
また、都営住宅や区営住宅の収入要件については、公営住宅法に基づき定められていることから、緩和することは難しいと考えております。
区としましては、ご要望の内容を東京都に対して求めることは考えておりませんが、引き続き、都営住宅事業の動向については、十分に注視をしてまいります。
(2)UR、公社住宅について
UR団地や公社住宅に対し、家賃減免を行い、低所得世帯の家賃は近傍同種ではなく、応能家賃とするよう求めること。また、住宅セーフティネット法にもとづく4万円の家賃軽減住宅の供給戸数を大幅に増やすよう求めます。
まず、低所得世帯の家賃についてです。
UR都市機構や東京都住宅供給公社の家賃は、法令等により、近傍同種の住宅の家賃を基準として定めることが規定されていることから、区として要望をすることは考えていません。
次に、専用住宅の供給戸数の大幅増についてです。
両団体とは、「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の供給に関する協定書」を締結し、毎年度、各団体が管理する団地の入居状況や需要動向等に応じて、供給可能な住戸を協議、決定することとしています。
両団体からは、近年、賃貸住宅市場が活況であることから、空き室の発生自体が極めて少ない状況と伺っているところですが、区としましては、引き続き、協議を通じて、可能な範囲で供給戸数を確保できるよう努めてまいります。
(3)家賃助成の創設を
杉並区では新年度、低所得者世帯向けの年30万円の家賃補助を予算化しました。北区でも、公営住宅に落選している単身者やひとり親世帯、若者への家賃補助や、空き家活用による低廉な住まい確保など進めるよう求めます。
区では、誰もが区内に居住し続けられる環境を整備するため、住宅確保要配慮者の方々の居住支援を進めています。
住宅確保要配慮者の居住支援策としての家賃助成は、住宅セーフティネット法における専用住宅にお住いの世帯を対象に実施しているところです。
区としましては、新たな家賃助成制度の創設については、多くの課題があると認識しており、引き続き、住宅確保要配慮者の居住支援につきましては、北区居住支援協議会における協議等を踏まえながら、居住支援法人との連携をさらに強化するなど、セーフティネット住宅の充実により、取り組んでまいります。
4、全ての女性が安心して暮らせるために
第4の質問は、全ての女性が安心して暮らせる支援です。
今年度から、困難な問題を抱える女性支援新法が施行されました。この法律は、困難を抱える全ての女性に対し、福祉と人権にもとづき、中・長期の支援や事業を保障するもので、自治体もその意義を積極的にとらえ、計画を策定し取り組むことが求められています。そこで以下、3点質問します。
(1)民間法人との対等な連携について
1つは、取り組みの要である民間の支援団体との対等な連携です。
北区では、支援調整会議、実務者会議、個別ケース会議の3つの会議体を設けて取り組むとしていますが、現状の進捗についてお聞かせください。
困難な問題を抱える女性支援調整会議については、弁護士や民間支援団体といった専門的な知見を有する方や、民生委員など現場の実情を把握している方などに参加いただく予定です。
支援調整会議については、女性をめぐる課題が多様化・複雑化する中で、人選などの調整に時間を要している状況ですが、来年度の早い時期に1回目の支援調整会議を開催し、今後の区としての支援策など取り組みの方向性について、議論を進めていくこととなっています。
(2)困難を抱える女性への支援計画について
2つは、困難を抱える女性支援計画についてです。
第7次アゼリアプラン改定案では、新法制定にかかわる国や都の動き以外に、具体的な計画内容については記載がありません。他区ではすでに、困難な問題を抱える女性支援計画を明記している区もありますが、北区の計画策定の見通しをお示しください。
困難な問題を抱える女性への支援の施策の実施に関する区の基本計画については、国の基本方針に即し、かつ東京都の基本計画を勘案した計画となるよう進めていく必要があると考えています。
現在策定中の北区男女共同参画行動計画「第7次アゼリアプラン」の調査審議を行う「北区男女共同参画審議会」においても、現代の女性が置かれている様々な現状や課題等について十分な議論を重ねてきました。
しかしながら、困難な問題を抱える女性への支援施策については、今後、多方面にわたって、さらなる検討が必要であることから、次のアゼリアプラン見直しの際の課題として取り上げたいと存じます。
(3)ライフステージに応じた支援を
3つは、ライフステージに応じての支援です。
若年女性の相談や居場所では、誰でも気軽に利用できるカフェコーナーや生活応援グッズの提供、経済的に困窮している学生や若者が利用できる場も望まれています。豊島区ではNPO法人等へ委託・連携し、「ピコカフェ」「わたカフェ」「出張まちなか保健室」「サンカクキチ」など、いくつもの若年女性や若者の居場所を展開しています。
そこで、北区でもジェイトエルやスペースゆう、民間施設など活用し、また、民間法人と連携して、若年女性の居場所づくりや相談会に取り組んで頂くよう求めます。
頼る親族がいない、居所が不安定等、出産前から支援が必要な若年・特定妊婦が、安心して子どもを産み育てられるよう、母子生活支援施設の活用や、受け入れなど検討を求めます。
更に、30代~50代の中年女性では、就職氷河期、不安定な非正規労働を続け、心身の健康を害している方や、配偶者からのDV、家族間の悩み、子どもの独立により高い貧困率のまま母子世帯を卒業した女性など困難を抱える女性が多くいる世代でもあります。加えて、高齢女性は、阿部彩都立大学教授が、65歳以上の高齢単身女性の相対的貧困率が44.1%にのぼり、現役世代のひとり親世帯44.5%と同様、深刻な水準であるとの調査結果を公表しました。北区でも、高齢単身女性は、2万人を超えると推計されます。
そこで、困難女性支援計画の中で、中年女性、高齢女性、とりわけ単身者の貧困解決にむけ、実態やニーズを把握し、地域における中・長期の支援を検討するよう求めます。
まず、若年女性・若者の居場所づくりや相談会に取り組むことについてです。
若年女性や若者の支援にあたっては、若い世代が地域の中で安全安心に過ごせる居場所や相談の場づくりをはじめ、多面的な取組みが必要であることから、引き続き、行政機関と民間が協働・連携して取組んでいる先行事例等を注視してまいります。
次に、出産前から支援が必要な若年・特定妊婦が安心して子どもを産み育てられるよう、母子生活支援施設の活用や受け入れについてです。
母子生活支援施設は、児童福祉法に基づき、児童の養育が十分できない母子家庭の母子を対象に、入所・保護し、自立に向けた生活を支援する施設です。
出産前から支援が必要な特定妊婦等につきましては、母子保健部門と児童福祉部門が連携を図り、個別支援計画のもと支援を行っています。生活拠点を確保することが難しいケースがあった場合は、東京都女性相談支援センターをはじめとする専門施設等での保護につなげられるようご案内しており、母子生活支援施設の活用は考えておりません。
次に、中高年女性の貧困解決に向けた地域での中長期支援を検討することについてです。
既に取り組んでいる中高年女性を対象とした様々な支援については、引き続き、庁内関係部署で調整・連携を図るとともに、今後は、困難な問題を抱える女性への支援全般を検討していく中で、議論してまいります。
5、子どもの権利を拡充する施策の推進を
第5の質問は、子どもの権利にもとづく施策の推進です。
私は先日、「社会で子どもの権利を守る意味」と題し、北区子どもの権利委員会副会長の林大介浦和大学准教授の講演を聴講しました。
その中で、子どもの権利条約12条「子どもの意見表明権」は、言葉で表現する側面だけでなく、感じていること、~したいと思っていることと捉え、0歳の赤ちゃんでも常に何かを発し伝えている。それを周囲の大人がどれだけくみとり、聞き取ろうとしているか。その積み重ねがなければ、意見にはつながらない。社会の中で、子どもの権利が保障される意味は、人として尊重され、主権者として生きることにつながると強調され、大変感銘を受けました。北区でも今年度、「北区子どもの権利と幸せに関する条例」が施行されました。施策の推進を願い、以下5点伺います。
(1)子どもの権利の普及・啓発や子どもアドボカシー推進を
1つは、子どもの権利の普及・啓発や子どもアドボカシーの推進です。
この間、北区ニュースやハンドブック動画での広報、昨日は区民向け講演会も実施されました。
区民の受けとめなど取り組んでの評価をお聞かせください。更には、子どもの権利に関する図書館での常設展示、保護者をはじめ、子ども達に日々接している保育園や幼稚園、児童館、教育関係者など民間の職員も含め、研修を積極的に進めて頂くよう求めます。
また、北区で今後運営する児童相談所や一時保護所においても、子ども自身が話したいことを話せる、自己決定について主導権を得られるようエンパワメントし、子どもの側にたって支援するアドボケイトの育成・配置をすすめるよう求めます。
令和6年4月1日に施行した「北区子どもの権利と幸せに関する条例」につきましては、多様な媒体を活用し、様々な機会を捉えて積極的なPRに努めており、これまでに23回の研修や講座を実施しました。加えて、区内の子どもに係る団体や有志の方々による条例の勉強会が実施されており、条例については着実に浸透してきていると感じております。引き続き、子どもはもとより広い世代の区民への理解が深まるよう、子どもに携わる職員等への研修を含めた周知に取り組んでまいります。
なお、アドボケイトにつきましては、児童相談所を先行して設置している自治体に対して、アドボケイト事業の実施状況や事業内容等の調査、区での導入に向けた課題整理等を行っております。引き続き、児童相談所開設時の円滑な導入を目指して検討を進めてまいります。
(2)子どもの声を施策に反映させることについて
2つに、こどもの声や要望を具体的な施策へとつなげることです。
北区ではその具体化として、子ども権利委員会を設置し、当事者である中学生11人が子ども委員として参画していることはすばらしいと受けとめています。加えて、子どもの発達段階に応じ、また、不登校、障害、外国籍、社会的養護など様々な場面で、子どもの意見がくみとられ、子どもが参画できるしくみをつくり、行政施策として予算化して頂きたいと思いますが、北区の取組みをお聞かせください。
子どもの権利と幸せに関する条例を施行するにあたっては、条例の実効性を高め、生きた条例とすること、を第一義に考え、区の施策や計画等に係る子どもからの意見聴取や、子ども委員が参加した会議の運営など、全庁を挙げ積極的に取組みを展開しているところです。
また、区及び学校等は、自分でうまく意思を伝えられない子どもの意思をくみ取るよう努めることが条例に規定されており、学校をはじめとする子どもにかかわる施設等においては、条例を意識した取組を実践しております。
引き続き、誰ひとり取り残すことなく子どもの権利が保障されるよう、全庁を挙げて取組を進めてまいります。
(3)子どもらしく過ごせる居場所、遊び場の充実を
3つに、子どもらしく過ごせる居場所、遊びの場の充実です。
北区の条例制定の過程で、子どもから寄せられた声で多かったのはゆっくり休んだり、遊んだり、自由な時間を持つことと聞いています。子どもの権利条約31条です。その遊び場の1つである、冒険遊び場・北区プレーパークは、中央公園や桐ヶ丘公園、児童遊園でのミニパークなどで開催され、コロナ禍でも外遊びを保障してきた貴重な遊び場ですが、開催日数の拡大や、プレーリーダー・スタッフの確保が十分できるよう補助を増額するよう求めます。更には、子どもの相談や居場所、文化・創造活動など、児童館・子どもセンター・テーンズセンターなどでの拡充、また、そうした子ども支援にとりくむ法人・団体への補助、支援の充実を求めます。
区ではこれまでも、子どもの成長に資するべく創意工夫と柔軟な活動により高い効果が期待できる様々な子育て支援に取り組む団体について、活動経費の補助などの支援を行ってまいりました。
また、北区子どもの権利と幸せに関する条例では、区が子どもの居場所づくりに努めるとともに、子どもの居場所づくりのための活動を行う団体と協力し、支援に努めると規定しております。
これらを踏まえ、引き続き、市民活動団体と協働して実施するプレーパーク事業をはじめ、子育て支援等に取り組む団体等への補助や支援につきましては、団体等の事業の実施に至るまでの経緯や事業実施の意義、事業内容や利用状況等を踏まえたうえで、適切な支援に努めてまいります。
(4)科学と人権にもとづく包括的性教育の推進を
4つに、科学と人権にもとづく包括的性教育の推進です。
北区は「東京都の手引き」にもとづき、妊娠の過程も含め、産婦人科医師を講師とした性教育に計画的に取り組んでいます。区立中学12校中すでに5校で実施されていますが、「早く全校で実施してほしい」との声を頂いています。全国では盗撮や、児童・生徒間で性的な画像を要求、拡散するなど、「性的ないじめ」も起きており、段階や発達に応じて、人権を基盤とし、科学的根拠にもとづく包括的性教育はますます重要であると考え、取り組みの推進を求めます。
私は、北区がこれまで進めてきた「教育先進都市・北区」を新たなステージに進めるための基軸の1つに「心の教育」を掲げました。
性に関する教育は、児童・生徒の人格の完成を目指す「人間教育」の一環として「生命の尊重」、「人格の尊重」、「人権の尊重」などの根底を貫く人間尊重の精神に基づいて行わるもので、「心の教育」の1つとして重要なものと捉えています。
産婦人科医による出前授業は、実施校を順次増やしており、中学校3年間においてすべての生徒が産婦人科医による授業を受けられるよう、既に検討に着手しているところです。
引き続き、学習指導要領に基づく性に関する内容に加え、児童生徒の発達段階に応じた教育を推進してまいります。
(5)「小1の壁」問題について
5つに、「小1の壁」問題についてです。
小学校入学で保育園より登校時間が遅くなり、親の出勤に影響、あるいは親が出勤した後、子どもが一人で過ごす、朝食を食べない等、いわゆる「小1の壁」問題について、他区では朝学童の創設検討や長期休業中の7時45分から8時15分前まで、学校用務員が見守りを行うなど始まっています。
私自身も保護者から、とりわけ長期休業中、「せめて学校の門の中で待機させてもらえないか」と相談を受けています。北区でも現状を把握し、朝学童や見守りなど対応を検討して頂くよう求めます。
保育園等の登園時間と学校の登校時間に差があることから、朝の送り出しにおいて課題があることは認識しています。
区においては、早朝の学校施設の開放についての安全確保や学校の管理上など整理すべき課題があります。
保護者の方からのご相談があればファミリサポート制度の活用などをご案内するなど引き続き対応するとともに、先行自治体の動向については注視していく考えです。
一方、社会全体として働き方改革や休業制度の充実などについてもあわせて考えていくべき問題でもあり、この点については、機会を捉え国などにも要望していく必要があると認識しています。
6、気候危機打開、環境対策の拡充を
最後の質問は、気候危機打開・環境対策の拡充です。
(1)温室効果ガス削減目標とエネルギー対策について
今年1月10日、国連の世界気象機関は、2024年の地球表面の平均気温が観測史上最高を更新し、産業革命前の水準を1.55℃上回ったとの推計を発表しました。
世界パリ協定での気温上昇1.5℃に抑えるため、COP28合意の「化石燃料からの脱却」「2030年までの再エネ3倍化」など、国政・地方行政あげて、いっそうの推進が急務です。
しかし昨年12月、国が示した第7次エネルギー基本計画案は、温室効果ガス削減目標が2035年60%、再エネの2040年目標が40~50%と極めて不十分であり、石炭火力の廃止期限も示せず、原発も「最大限活用する」と明記されました。国の計画は、北区の計画にも影響するもので看過できません。
国に対し、温室効果ガスは70~80%削減、2035年までにエネルギー消費量を6割減らし、電力の再エネ比率を8割、石炭・原発ゼロをめざすよう求めてください。
国が令和6年12月に公表した「第7次エネルギー基本計画(原案)」では、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、最大限の導入を促すとしています。一方、原子力の、一定出力で安定的に発電可能等の特性は、半導体工場等において需要ニーズがあることから、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくとしています。
区といたしましては、引き続き、ゼロカーボンシティ実現に向けた取り組みを着実に推進していくとともに、エネルギー安定供給や脱炭素に向けた、国の政策の方向性を注視してまいります。
(2)省エネ・再エネ推進について
北区の新年度予算案では、分庁舎や区立体育館、私道防犯灯のLED化が示されたことを歓迎します。
更には、区立施設、区営住宅および学校などの屋上、壁、窓の断熱化や、区立公園も含め、太陽光発電、蓄電設備の設置、再エネ由来電力への切り換えなど更なる推進を求めますが、北区の現状と今後の取り組みをうかがいます。また、民間戸建ての他、集合住宅や事業者などへの取り組みについてもお示しください。
区では、ゼロカーボン実行計画に基づき、新築案件については、原則、ゼブオリエンテッド相当以上を目指すとしており、既存施設においても、改修の機会を捉え、建物の用途、規模、費用対効果等を勘案の上、可能な限り省エネ性能の向上や再エネ設備の導入を検討し、ZEB実現に必要な技術を採用しています。
また、民間戸建ての他、集合住宅や事業者などに向けては、平成20年度に再エネ・省エネ機器等の導入助成を開始して以降、助成項目の追加、限度額の引上げなどの充実を図っています。引き続き、温室効果ガス削減に向け取り組みを推進してまいります。
(3)ごみの減量・プラスチック汚染の防止について
新年度、「事業系生ごみの減量プロジェクト」の実施や、事業者と連携し、使い捨て容器削減のためリユース食器の活用をすすめる事業に大いに期待します。
私自身も自宅の生ごみを土に混ぜて処理する「キエール」を実践する中で、燃えるごみの減量を実感しています。また、リユース食器については、ごみ減量のみならず、プラスチック製品ではない、健康と環境にやさしいサステナブル食器を活用し、区民への啓発をとあわせて取り組んではどうかと考えますがいかがでしょうか。
区の喫緊の課題であるごみの減量については、新年度の3つのリーディングプロジェクトのひとつとして、これまでの家庭への取組みに加えて、事業者への支援を強化し、これまで以上にゼロ・ウェイスト、ごみゼロへ向けた取り組みを進めてまいります。
新規事業「リユース食器活用実証実験」で使用する食器については、繰り返し使うという主旨から一定の耐久性が必要となり、現状、ご提案のサステナブルな食器の利用はできませんが、リーディングプロジェクトの取り組み等を環境ポータルサイトを活用して積極的に発信し、ごみの減量や環境に対する区民の意識醸成、行動変容へとつなげていきたいと考えています。
(4)緑の保全、カーボンオフセットについて
最後に、緑の保全、カーボンオフセットについてうかがいます。
昨今、区内の樹木について、倒壊の防止や道路・公園の管理などにより、伐採の機会が増え、区民から「知らないうちに木が切られてしまった」「木をきらないでほしい」との声が寄せられるようになりました。新年度予算案では、公園樹木の戦略的メンテナンスの実施として、計画的な診断・撤去・捕植が新規事業となっていますが、近隣住民のみならず、広く区民周知を行い、専門家の意見もふまえて、区民と課題を共有し、積極的に緑の保全を図って頂くよう求めます。また、老木など安全確保のため伐採する際も、木にQRコードで読み取れる案内版を設置し、周知や説明を行なう。伐採後の木の活用を検討する。伐採によって緑が減らないよう計画的に木を増やすなど取り組みを求めます。
カーボンオフセット事業について、北区と中之条町が一昨年、協定を結び、共同で森林整備を進めるとしました。町有林3.8ヘクタールを「北区の森」として育てながら、環境学習や林業振興、交流事業を重ねていく事業の種地となる場所です。毎年少しずつ植樹エリアを拡大していく予定と伺っています。また、北区と中之条の小学生が、山に登り森林の間伐体験などを通じて、森や緑の大切さを学ぶ森林整備体験事業も見学させて頂きました。今後、50年、100年と木を育てながら、幅広い世代の区民参加で、息の長い事業として発展するよう期待しますが、今後の取り組みについてお聞かせください。
以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
区では、道路や公園等における樹木の管理では、安全を第一に倒木が無いよう、樹木医による診断の結果を踏まえ、撤去・補植を基本としておりますが、強風等による倒木の緊急対応や成長による隣接地への支障による撤去なども行っております。
樹木の撤去に際しては、緊急性を伴わず、計画が明確な場合は、地域への説明会による課題の共有や現地に告知するなどの事前の周知に取り組んでおります。
また、道路の改修、公園の再整備における支障樹木については、やむを得ず撤去する場合は、できる限りの木チップ化により、腐葉土や遊具回りの緩衝材に活用をしております。引き続き、区といたしましては、樹木等の適切な保全管理と道路や公園等の整備により、新たな創出を図り、みどり環境の充実に努めてまいります。
区は、「北区環境基本計画2023」に重点施策として掲げている自治体連携による森林整備の取組みを推進するため、友好都市である群馬県中之条町と渋沢栄一ゆかりの地である北海道清水町の2自治体と、森林整備体験学習事業を実施しています。
中之条町での植樹は、北区で排出する分の二酸化炭素を森林が吸収して地球温暖化を防ぐ目的のほか、森林の持つ機能や木育活動を通じて、子ども達の学びを深める機会を創出しています。現在は、小学生を対象として事業を実施しておりますが、今後は、区民の皆様にご参加いただける事業展開を検討してまいります。
引き続き、森林整備を計画的に実施し、区民の皆様がいつでも訪れることができる、緑豊かな「きたくの森」の育成を目指してまいります。