2020年第1回定例会代表質問―野口まさと
2020年2月25日 | 野口まさと
質問に先立ち、新型コロナウイルスに罹患した皆様と感染拡大により影響を受けている皆様に心からお見舞い申し上げます。北区では必要な予算を計上し感染予防と影響の軽減に最善を尽くしていただくよう求め、質問に入ります。
私は日本共産党北区議員団を代表し、消費税増税で区民の生活が困難になる中で、今こそくらし応援の施策の充実を図ること。また今後の北区の方向性を決めることになる北区基本計画2020(案)、北区経営改革プラン2020(案)などが、今後の区民生活の先行きを明るく照らすものとなるよう、以下大きく5点質問いたします。
1、貧困・格差の解消を目指して
大きく1つ目は、格差・貧困の解消を求める質問です。
(1)北区基本計画 2020(案)における経済認識について
北区基本計画2020(案)では、日本経済の現状を、「長期にわたる回復を持続」、「GDPは過去最高規模」、「雇用・所得環境も大きく改善」と記載しています。パブリックコメントでは、この経済認識に疑問を呈した区民意見に対し、区は「政府の考え方を記載している」と回答されていますが、これは多くの区民の生活実感とかけ離れたものではないでしょうか。
消費税増税後の経済指標を見てみると、内閣府の景気動向指数は5ヵ月連続マイナス、GDPは年率換算でマイナス6.3%。総務省の家計調査でも1世帯当たりの消費支出は3ヵ月連続マイナス、多くの区民や商店が、厳しい経済状況に置かれているのが現状です。
質問します。アベノミクスと2度の消費税増税によって広がった貧困と格差を是正することこそ、北区が取り組むべき一番の課題です。基本計画に記述されている経済認識を改めるよう求めます。お答えください。
「北区基本計画2020」案においては、北区を取り巻く様々な課題の一つとして、昨年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019」に基づき、日本経済の状況と取り組みの方向性などについて記載をしているものです。
また、財政計画の基本的な考え方の中では、米中の貿易摩擦が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性への高まりなど、景気の下押しリスクについても認識をお示ししています。
区としましては、今後とも最大の責務である区民福祉の向上実現のため、持続可能な行財政運営とともに、各事業の実施にあたっては、各種調査などもふまえ、区民の暮らしに寄り添った、より実効性の高いものとなるよう努めてまいります。
(2)消費税増税の影響と、暮らし・営業支援について
次に消費税についてうかがいます。昨年10月の消費税の増税は、区民に大きな重荷を課しています。自営業者の方にとっても、仕入原価の販売価格への転嫁や、インボイス制度、さらにはキャッシュレス制度など、様々な負担が求められました。
私も消費税増税後、複数の商店のかたから、売り上げの低迷で今後の店舗運営をどうしようかというご相談を頂きました。店を続けるために何とかしなくてはという思いとともに、もうどうしようもないという半分諦めにも似た思いを抱えていらっしゃることがよくわかりました。私は、根本的には景気が悪いことが原因なのだから、国が、そして北区も実情をきちんと把握し、何らか対策を行なうべきなのだと改めて感じました。
お伺いいたします。北区は消費税増税後の区内産業の景気の現状をどのように認識しているのでしょうか。お答えください。
現在、令和元年10月から12月期の「北区中小企業の景況」の取りまとめの最中であるため、正確な状況の把握はできていませんが、国が2月17日に公表した「2019年10月から12月期のGDP速報」では、実質GDPが、前期比で1.6%の減、年率換算で6.3%の減となっています。
また、個人消費については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減に加え、台風や暖冬の影響によりマイナスとなっていますが、10月以降の個人消費マイナス幅は、縮小傾向にあるとしています。
先行きについては、雇用・所得環境の改善や、総合経済対策などの効果も相まって、本来であれば緩やかな回復が続くことが期待されるものの、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響、金融資本市場の変動等に十分注意する必要があるとしており、北区においても、同様の傾向にあるものと認識しています。
さて、消費税増税にあわせ、プレミアム付商品券の発行が行なわれました。購入申請がいまひとつ思わしくない。特に23区では低いとのマスコミ報道もあるようです。
質問です。北区で、住民税非課税の方の申請率、住民税非課税、子育て世帯のプレミアム付商品券の購入率はどれくらいだったか、それぞれお答えください。またこの商品券の申請が少なかったことについての見解もお伺いいたします。
次に、プレミアム付き商品券の景気底上げ効果が、国が考えていたよりは期待できないのであれば、北区が区内経済の下支えを行なうことも検討すべきと思います。
以前から多くの区民や北区商店街連合会・北区商店街振興組合連合会などからも要望の出されている北区内共通商品券の増刷を今こそ行なっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
令和2年1月末時点で、住民税非課税の方の申請率は約29%、子育て世帯の方と合わせた商品券の購入率は、約67%となっております。
詳細については、本定例会の所管委員会で報告させて頂きます。
また、申請率が少なかったことに関して、新聞報道などで様々な見解が示されておりますが、原因の特定は難しいと考えています。
次に、北区内共通商品券の増刷についてです。
プレミアム付き区内共通商品券は、消費喚起と商店街振興を目的として、平成13年度から発行しており、これまで順次、充実を図っています。
増刷については、産業振興のほかの補助制度との均衡なども考慮しながら、慎重に判断すべきものと考えています。
(3)生活保護世帯等へのエアコン設置について
次に生活保護世帯などへエアコン設置についてお伺いします。
昨年度の決算特別委員会での質疑の中で、区は平成30年の区内の熱中症死亡者数11名は「少ない数とは認識していない」との答弁でした。しかし昨年も区内で10名の熱中症死者があったことは、対策は取っていただいているのだとは思いますが非常に残念です。
私も生活保護世帯当事者からの相談や、近隣に住む方から心配との連絡を受ける関係で、生活保護受給世帯に伺うことがあります。訪問すると、夏場に扇風機すらなく、網戸のない窓を全開にして、下着だけで過ごしている方もいまだにいるのが現状です。この方は、「俺は昔から暑さには強いから大丈夫だ」と話されていましたが、若い頃ならともかく、高齢になっていつまでも昔のような体調維持能力があるようにも思えません。事件にならなければよいと心配しながらも、何もすることができないのが現状です。
厚生労働省は、2018年4月以降に認定された生活保護世帯に対してのエアコン購入費・設置費用の支給を認めています。命に関わる熱中症対策としても、今エアコンはなければならない家電製品です。
質問です。2018年4月以降に保護開始となった生活保護世帯に対して、条件によりエアコン設置が可能であることの周知はされているでしょうか。また制度を説明した上で、エアコン設置を断ったという事例があれば、どのような理由だったのかを伺います。
さて、2018年3月以前に認定された生活保護世帯に対しては、毎月の保護費の中からやりくりしてエアコンを購入することが求められています。生活保護費は、昨年10月、3年連続して行なわれる基準切り下げの2回目が行なわれました。今回は消費税の引き上げもあったため、削減幅の縮小を図る措置がとられたとのことですが、それでも多くの世帯では給付額が少なくなったとのことです。このような状況の下で保護費の中から、エアコンの購入費・設置費用を捻出することは非常に難しいことだと思います。
また国税庁の定めるエアコンの耐用年数は6年。この期間を過ぎれば当然故障なども起きてくると思いますが、修理費用の捻出ができない世帯もあるのではないでしょうか。質問です。この夏、熱中症による死者を出さないために、区内生活保護受給世帯でエアコンがない、もしくは使える状態に無い世帯がどれだけあるのか、実態の把握をしていただきたいと思います。お答えください。
決算特別委員会の熱中症とエアコンに関しての質疑の中で、北区は、エアコンがあっても使わないことが問題であるという認識も示されています。この問題を解消するためにも、国に対して夏季加算の実現を働きかけていただきたいと思います。お考えをお聞かせください。
また、エアコンそのものがなければ、つけることすらできません。エアコンがない、使えない世帯に対しては、平成23年に東京都が、平成30年に荒川区が行なったようなエアコン設置費用の助成を区として行っていただきたいと考えますがいかがでしょうか。この助成制度は生活保護世帯だけで無く、一定の所得基準以下の方や、子どもや高齢者・障害者などの生活弱者がいる世帯でも利用できるようお願いしたいと思います、お考えをお示しください。
平成30年4月から、生活保護開始時にエアコンがないなど特別な事情がある方について、エアコン設置の家具什器費として一時扶助の支給が認められることとなりました。
北区に置きましては、生活保護開始時の相談や訪問の際などに制度のご案内をしているところです。
被保護者の方からエアコン設置を断る理由としては、必要性を感じない、電気代が増えるので要らない、家主などの許可がない、などとなっております。
区内生活保護世帯でエアコンがない、または使える状態にない世帯につきましては、実態の把握に努めてまいります。
また、国に対する夏季加算の働きかけにつきましては、国が消費の需要等を調査・把握し、生活保護費の基準を算定する中に含まれるものと考えられることから、国の動向を注視してまいります。
生活保護受給世帯や子ども、高齢者・障害者がいる世帯も含め、熱中症予防対策につきましては、生活保護における相談や高齢者への戸別訪問による注意喚起、エアコン使用の周知・啓発、ホームページや保健相談による熱中症予防方法の周知などを関連機関との連携を図りながら進めてまいります。
(4)高齢者施策の充実を求めて
次に高齢者施策についてお伺いいたします。
はじめに後期高齢者医療保険制度についてです。
社会保障の充実を理由として消費税が増税され、まだ5ヵ月しかたっていないにもかかわらず、もう後期高齢者医療制度の窓口負担を1割から2割へ引き上げる議論が進められています。また新年度は均等割の軽減特例措置の段階的廃止により、一人当たり平均保険料がついに10万円を超えることになりました。
今年もマクロ経済スライドの発動により、年金の上昇率が物価上昇率以下に抑えられ、消費税も増税される中での、保険料と窓口負担増となります。
質問します。区内高齢者の生活を守るためにも、後期高齢者医療制度の窓口負担の引き上げを断念するよう国に求めていただきたいと思います。お考えをお示しください。
次に保険料についてです。後期高齢者医療制度においては原則年金からの天引きとなっていますが、年金からの保険料負担割合が年々大きくなっていく中で、保険料の負担が日々の生活を大きく圧迫しているという方も増えているのではないでしょうか。
はじめにお伺いするのは、保険料の天引きが行なえない普通徴収の方の人数と割合。そしてこのうち、短期証となっている方の最新の数、さらに資格証明書となっている方があればその数をお知らせください。
さて、後期高齢者医療制度では保険料の減免制度も定められています。高齢者の生活を維持するには、この減免制度を積極的に活用していくことも、今後重要になると考えます。
質問です。低年金者に、無理なく保険料を納めていただくために、減免制度が活用された例は、これまでにあるのでしょうか。減免制度が適用された例が北区内であればご紹介ください。また、減免制度の積極的な活用を今後拡大していく必要があると思います。お考えをお示しください。
つぎに滞納時の対応です。
現在区民税などでは、滞納時に差し押さえなどの対応も行なわれているところですが、後期高齢者医療保険料滞納についての差し押さえは、今後も行なわないことを求めたいと思います。お考えをお示しください。
後期高齢者医療制度の窓口負担につきましては、昨年9月に設置された全世代型社会保障検討会議において議論され、12月に中間報告がまとめられました。
中間報告では、一定所得以上の方については窓口負担を2割とし、それ以外の方については1割負担を維持することとしています。
これは、後期高齢者の所得状況に配慮したものと認識しています。
今後、高齢者の疾病、生活状況等の実態をふまえて、具体的な施行時期や、2割負担の所得基準などが検討され、今年の夏までに最終報告がまとめられる予定であるため、検討会議における議論の動向を注視してまいります。
次に、保険料普通徴収の人数と割合、短期証・資格証明書の交付状況について、お答えいたします。
後期高齢者医療保険料を普通徴収で納付している方は、平成30年度は1万3966人で、割合は30.3%です。
また、令和元年8月現在、短期証の交付は40人で、資格証明書の交付はありません。
次に、保険料減免制度の適用状況と積極的な活用について、お答えいたします。
保険料の減免制度は、災害等により大きな損害を受けた場合や、事業の休廃止等の特別な事情で、保険料の納付が困難となった場合に、申請により減免を行うものです。
減免基準については、制度を運営する東京都後期高齢者医療広域連合が定めており、区では、申請の受付を行っています。
区としては、広域連合が定める基準に基づき、制度が適切に運用されるよう、加入者へ制度の周知に努めてまいります。
なお、これまでに加入者の失業や火災、東日本大震災により、減免となった例がございます。
次に、保険料滞納に対する差押えは今後も行わないことについて、お答えいたします。
保険料の滞納は、相互扶助を基本とする後期高齢者医療保険制度の適正な運営に支障を生じ、また、期限内に納付している多くの加入者の理解を得ることもできません。
こうした事態を回避するため、区では、納付相談の機会を多数設け、個々の事情を配慮した丁寧な相談に努めています。
しかし、納付の相談に応じない、相談の結果、納付約束をしてもこれを守らない、納付が可能であるにもかかわらず納付の意思を示さない場合などは、調査の上、差し押さえを行うことがあります。
高齢者施策の2つ目として、サービス削減計画についてうかがいます。
これまでに高齢者の生活が年々厳しくなっている実態をお話させていただきました。このように年々自分の生活に使えるお金が少なくなり、生活水準を切り下げなければならない高齢者のために、北区ができることはないのでしょうか。
北区経営改革プラン2020(案)を見ますと、高齢者施策の充実ではなく、ここでも高齢者のためのサービスを削減する方向性が示されていることは大変残念です。
質問します。令和3年度に予定されている77歳、喜寿の祝品廃止と、高齢者の福祉サービス事業の見直し方針は再検討を求めたいと思います。また区民全体に関わるふれあい館の統廃合についても計画の再検討を求めたいと思いますがいかがでしょうか。
これらの事業や施設の見直しにつきましては、「経営改革プラン2020(案)」において計画化しており、既存の事務事業においても、社会環境の変化や事業の実施状況などをふまえ、事業全体の再構築に取り組むことは必要であると考えています。
また、ふれあい館利用の見直しにつきましては、「北区公共施設等総合管理計画」における施設類型別の基本方針をふまえ、進めてまいります。
今後とも、経営改革プランを着実に推進することで、基本計画を実現するための資源調達や、次世代につなぐ、健全で安定定期な行財政運営の確保に努めてまいります
(5)格差解消に向け、いまこそ基金の活用を
貧困・格差の解消を求めての最後の質問は、基金の活用を図ることについてです。今議会の最終補正予算でも、主要5基金残高が597億円となることがわかりました。これまでに提案した様々な施策や、区民のための事業や施設の存続のために、思い切った財政調整基金の活用を求めたいと思います。お考えをお聞かせください。
新年度当初予算は、2つの最重要課題と3つの優先課題を中心に、新たな事業の構築や区民生活に直結した多くの事業で充実を図っています。
一方で、社会保障費をはじめとした義務的経費の増大や、今後の膨大な歳出需要への対応、さらに、不合理な税制改正による一般財源総額の確保の難しさなど、財政運営上に様々なリスクをかかえています。
こうしたことから、財政調整基金については、喫緊の課題だけではなく、中長期的な歳出需要や景気の変動に備え、積み立てと活用を行ってきております。
さらに、令和元年度末の財政調整基金残高は、前年度より約18億円減少し、約162億円となる見込みであり、2年度には約67億円を繰り入れることから、残高は十分ではないため、これ以上の財政調整基金の活用を行うことは考えておりません。
2、区民とともに進める住民合意のまちづくりを
大きく2つめに、まちづくり問題についてお伺いいたします。
(1)新しい計画案におけるまちづくりの姿勢について
北区基本計画2020(案)で示されたまちづくりの方針に対して、パブリックコメントでは計画の見直しや方針転換を求める意見。さらには住民の声が反映されていないとの意見が多く出されています。北区はこれまで、「区民とともに行なうまちづくり」、「丁寧な説明に努める」と繰り返し言ってきましたが、実態はまったく違うのだというのが区民の声です。
しかしパブリックコメントに対しての区の回答は、「区民と区との協働によるまちづくりを推進しております」、「丁寧な対応に努めてまいります」などと、これまでと同じ進め方でまちづくりを行なうという回答です。
志茂・赤羽西・十条での特定整備路線や十条駅西口再開発に対して住民訴訟が起こされたことだけを見ても、これまでのまちづくり方針は改める必要があります。区民とともに、のまちづくりを進めるのであれば、実際はそうなっていないという区民の声にしっかり向き合うべきです。
質問します。パブリックコメントで、「まちづくりに住民の声が反映されていない」との声が多数寄せられていることについて、区はどのようにお考えですか。まちづくりの分野で「区民とともに」の基本姿勢に立ち戻るよう求めますが、いかがですか。お答えください。
「基本計画2020」案では、「区民とともに」の基本姿勢のもと、区民・事業者等に期待することや行政の役割を明確にし、あらゆる場面において、協働の精神のもと区政を推進していく考えであることをお示ししています。
また、都市計画マスタープランにおいても多様な主体同士のつながりを生かした協働によるまちづくりを推進する、としています。
街づくりの実施にあたりましては、様々なご意見があることは認識しておりますが、区といたしましては、本格化するまちづくりを一層推進していくため、各事業者と連携し、今後とも区民の皆さまのご理解が頂けるように努めてまいります。
(2)特定整備路線の事業期間延長について
つぎに都市計画道路についてお伺いします。都市計画道路のうち特定整備路線は、オリンピック・パラリンピック開催の2020年度完成を掲げていましたが、現時点でまったく完成の見通しはたっていません。
東京都は今年1月に示した「防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案」で、都市計画道路の事業期間を5年延長し、令和7年度までに完成させるという目標としました。しかし区内の補助73号線、86号線があと5年で完成するでしょうか。
先日十条まちづくりブロック部会で、補助83号線、旧岩槻街道の拡幅工事期間を4年間延長すると説明がありました。既に権利者の立ち退きがすべて終わっているのに、ここから道路完成まで4年かかることを考えれば、特定整備路線の5年後の完成は非現実的です。まちづくりブロック部会では、住民の方が「オリンピックの年までに道路が必要だからと説明されて、苦渋の思いで立ち退いた人の思いを考えれば、この道路はそれほど必要なかったのではないかと思う」と語っていましたが、こういった東京都の道路行政が住民の不信感を増幅させています。
質問します。そもそも、根本的に住民合意が得られていない道路計画は、あと5年かけても10年かけても完成させることは不可能です。北区もまた、東京都と同じように特定整備路線の5年後の完成が可能だと考えているかお聞かせください。
特定整備路線計画は、当初計画での完成の見通しが立たなくなった今、改めて東京都に計画見直しを求めるべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお示しください。
特定整備路線につきましては、事業者である東京都が、2020年度末までの全線整備を目標に取り組みを進めてまいりました。
しかしながら、権利関係が複雑で、権利者との合意形成に時間を要していると聞いております。
東京都は、この度公表した「防災都市づくり推進計画」の基本方針改定案の中で、取り組みを5年間延長し、2025年度末の全線整備に向けて取り組みを進めるとしています。
区といたしましても、特定整備路線は、地域の防災性を向上させる上で、極めて重要な都市計画道路であると認識しており、引き続き、東京都と連携を図りながら、事業推進に努めてまいります。
(3)埼京線高架化と鉄道付属街路、補助85号線計画について
埼京線の高架化と鉄道付属街路事業、補助85号線の拡幅については既に事業認可申請がなされ、近日中に事業認可が行なわれる予定と聞いています。
お伺いします。それぞれの事業において用地取得交渉を行なう権利者数・筆数・建物棟数はどれだけとなったのでしょうか。そして事業認可申請までに、このうちどれだけの権利者の方と直接対話ができているか。さらに事業への協力を表明されている方がどの程度いらっしゃるかお答えください。また、これまでに直接対話ができていない権利者の方には、今後どのように道路用地の提供を求めていく考えであるかについてもお考えをお聞かせください。
住民への説明について、北区はこれまでまちづくりブロック部会で、区民の意見を聞いているという考えであったと思います。ところが最近はグループワーク形式で、住民同士を話し合わせるという形式となり、また都市計画道路や再開発が議題にはあがらないため、参加者の本当に知りたいこと、いいたいことは終了間際のわずかな時間に限定されてしまいます。
基本計画2020に対するパブリックコメントでも、今の十条地域のまちづくりの進め方には特に多くの批判が寄せられています。今回また新たな都市計画事業を始めるにあたり、同じやり方を繰り返すことは許されません。住民合意がしっかりできるまで全ての地権者との対話を継続するとともに、北区主催で、東京都も参加したまちづくり説明会の開催を行なうべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお示しください。
はじめに、権利者数や権利者との対話等についてです。
現時点での登記簿等による調査では、鉄道付属街路にかかる権利者数は約180名、筆数は約150筆、建物棟数は約120棟です。
なお、補助85号線の権利者数等については、東京都の事業であるため把握しておりません。
また、区では、鉄道付属街路事業の実施に向け、これまで説明会や個別相談会のほか、窓口や電話、測量調査における戸別訪問等により、9割近くの権利者の方と対話をしてきております。
そのうち、協力を表明されている方の割合までは把握しておりませんが、一定の理解は得られているものと考えております。
なお、対話ができていない権利者の多くは、所在不明などの理由により連絡が取れておりませんが、引き続き、近隣の方へのヒアリング等を実施し、所在等について調査をしてまいります。
次に、権利者との対話の継続についてです。
東京都および区では、各事業の実施にあたり、法律や条例に基づく都市計画案の説明会や用地測量等の説明会を開催してまいりました。
さらに、区では、十条地区まちづくり全体協議会の各ブロック部会における参加者との意見交換や、鉄道付属街路の権利者を対象とした個別相談会等により、これまでの経緯や、事業の必要性をご理解いただけるよう努めてきたところです。
引き続き、権利者の皆さまの生活再建に十分配慮し、丁寧な対応を行ってまいります。
3、多文化共生の北区を目指して
大きく3つ目の質問は、多文化共生についてです。
(1)保育園入園申請用紙の多言語化対応を
北区内でも多くの外国人が生活するようになり、また入管法改正により在留資格が新設されたことで、新基本計画にも示されていますが今後も外国人が増加することが予想されます。
外国籍の多くの方は、子どもが日本で暮らしていくために、日本語を習得をさせることの重要性を感じているようです。そのために幼少期から日本語が使われる環境の中で生活させる目的もあり、保育園の入園を申請するのですが、保育園の入園にあたり、入園書類の提出が困難であると相談をよく受けます。保育課の入園相談窓口では多言語対応の通訳機が使われているようですから、窓口ではきちんと説明をしていただけているものとは思いますが、書類を書くときに、日本語で書かれた欄を埋めていくというのは外国籍の方にとっては大変なことではないかと思います。そこで質問します。
保育園の入園申請書類の多言語化対応はできないものでしょうか。お答えください。
現在、保育園の入所申請窓口では、通訳者の顔・姿が映し出されるタブレットを備え、日本語が不得手な申請者の方にも支障なく対応ができていると認識しております。
また、申請書式を多言語化した場合、必要事項をその方の母国語で記入され、その後の事務処理に影響が及ぶことからも、今後の研究課題とさせていただきます。
(2)外国籍を持つ子ども・区民への日本語習得支援の拡充を
さて外国籍未就学児のすべてが保育園の入園要件を満たすわけではありません。そういった子どもにも日本語教育を行なうこともあわせて考えていく必要があります。外国籍の方に話を聞くと、子どもが日本語を話せないことは、小・中学校に通わせることをあきらめる、不就学のひとつの原因になることもあるようです。
質問します。外国籍のこどもたちの誰もが通える日本語教室の設置を求めたいと思いますがいかがでしょうか。実際の運用には例えば区立幼稚園の空き時間を利用するなど区有施設の活用を提案したいと思いますがお考えをお示しください。
次に小中学校での対応について伺います。今年度、小学校高学年に対しての通級の日本語教育支援が拡大となりました。一方で中学では今年度、赤羽岩淵中から明桜中へと中学生の通級教室が拡大しましたが、赤羽岩淵中では利用生徒数が減少したため、教員も減ってしまったと聞いています。
日本語教育の充実を図るために、都基準での整備を行なうだけでなく、区が独自に指導教員を手当てすることも求めたいと思いますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。また、現在区費で行っている小学校低学年向けの日本語指導員派遣については、本来国の補助事業となっています。東京都に対して、国の補助事業への参加を求めていただきたいと思いますがお考えをお聞かせください。
次に中学生以上の年代向けの対策についてです。現在赤羽地域において、有志の方による自主夜間中学が開かれています。私も先日様子を見てまいりましたが、外国籍の大人と子ども合わせて4名がそれぞれの理解にあわせて日本語の学習に取り組んでいました。教材費などの運営にかかる費用も、今のところ主催者が負担しているとのことでしたから、まったくのボランティア活動として行なわれています。
質問です。幼児教育・区立学校以外での日本語教育の場として、こういった自主夜間中学事業に対する場所の提供、運営経費の助成を行なうことを求めたいと思いますがいかがでしょうか。お答えください。
区では、多文化共生指針に基づき、日本人と外国人がともに安心して暮らせる環境づくりに向けて、日本語を母語としない外国人へのコミュニケーション支援などに取り組んでいます。
未就学児童および保護者に対しては、子どもセンター・児童館等における、講座・行事などにおいて、子育ての不安解消とともに、親子での参加を通じ、日本語や日本の生活・文化等に触れるとともに、日本人親子とのコミュニケーションを図るなど、就学前の子どもが日本語や日本の生活・文化に触れる機会の充実を進めてまいります。
なお、外国籍の子どもが通える日本語教室の設置については、今後の研究課題とさせていただきます。
次に、日本語適応指導教室の教員は位置については、文部科学省の基準では、日本語の指導が必要な児童・生徒18人に対して1人の教員配置をめざしていますが、東京都の基準では、日本語指導が必要な児童・生徒20人に対して1人の教員配置を基本とし、さらに1名を加えた配置がなされており、東京都基準は、国基準を上回る配置となっていると認識しています。
また、区ではこれまでも、区で採用した日本語適応指導員も配置しており、日本語適応指導教室の指導体制を充実させています。
日本語指導員の派遣にかかる国の補助事業の活用については、日本語指導員の派遣に加え、拠点校等の設置等による指導体制の構築などの必須の取り組みが求められていますので、今後の研究課題とさせていただきます。
次に、北区の多文化共生に関するご質問のうち、幼児教育・区立学校以外で日本語教育を行う自主夜間中学事業に対する支援についてお答えします。
北区では、様々なNPO法人や、ボランティア団体が外国人区民への日本語学習の支援や、交流事業を行っております。
区では、個別の団体に対する支援は行っておりませんが、北区・NPOボランティアプラザの情報を基に、問い合わせに応じて情報提供を行っているところです。
今後も、こうした団体の積極的な情報発信と連携強化に努めてまいります。
(3)庁内窓口での通訳や登録バイリンガルの増員を
この項目の最後として、区役所での窓口対応に関して質問します。現在区役所や、区民事務所窓口では翻訳タブレットが使用され、新年度はこれが保育園などへも拡大されます。また、新年度第一庁舎1階に、多言語対応の通訳翻訳機を配置するとのことです。しかし保育園入園申請のところで触れたように、来庁した外国籍の方が区役所等にいる間の対応としては有効でも、それだけでは外国籍の方にとっては不十分な場合もあるようです。
質問です。今年度企画総務委員会で、愛知県豊橋市を視察した際には、通訳や登録バイリンガルなど100人を超える外国語対応のスタッフが窓口に配置されていたとのことです。北区でも庁内窓口での通訳や登録バイリンガルなどのさらなる増員など、人的対応の拡充を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。お答えください。
北区では、多言語による窓口対応の充実を図るため、通訳クラウドサービスの配備や、行政情報や各種案内等の多言語化に加え、外国人対応の多い部署への通訳等の配置など、各窓口の需要に応じた手段で来庁者との意思疎通に努めております。
また、区が配置している国際交流員や北区国際交流・協力ボランティア、通用ケー・ボイスが庁内窓口対応や区立教育機関・保育園などにおける相談・面談など、必要に応じて通訳・翻訳を行っております。
ケー・ボイスは、区との協働により地域の国際化を推進する大きな原動力となっており、昨年12月現在、約100名の方にご登録を頂いております。
しかし、登録者の変動が激しく、実可動は約3割となっていることから、新たな人材の発掘に努めるとともに、ICTのさらなる活用や、やさしい日本語による案内の普及・促進などを通じて、日本語の理解が不十分な外国人が安心して区役所をを訪れることのできる環境整備を進めてまいります。
4、減災・防災対策の推進を
大きく4つ目に減災・防災についてお伺いします。
(1)大規模水害を想定した避難行動の基本方針について
昨年の台風15号・19号により、防災対策は、震災・火災などのほか、水害など様々な場合を想定して対策を考えなければならないことが、改めて浮き彫りになりました。新年度予算では、これに対応するための区の組織改正と人員増を行なったこと。また19地域を対象とした避難所開設訓練も計画されました。これから大切になるのは、令和3年度「大規模水害避難行動計画」策定に向け、来年度一年間をかけて、区民全体に防災意識を広げることです。
はじめにお伺いするのは、今年度取りまとめている「大規模水害を想定した避難行動の基本方針」これはどのような内容となったのか。これをお伺いいたします。
なお、昨年の台風による災害を受け、国や自治体において様々な対応を検討していますが、東京都は、都立高校などの都有地を避難場所として活用するとした方針を示しました。
お伺いします。北区も、これまでに定められている避難所以外で、高台地域に水害時のあらたな避難所拡充の検討が必要ではないでしょうか。お答えください。また、国に対しても避難所拡充を求めていただきたいと思います。お答えください。
区では、大規模水害を想定した避難行動の基本方針を、学識経験者、行政職員および地域委員11名を含む検討委員会で議論を重ね、細部の最終的な調整を経て、年度末までにまとめる予定です。
検討委員会では、これまで誰が避難行動計画をつくることが良いのか、どのような状況から荒川は氾濫するのか、氾濫の恐れがある場合どこへ避難すべきなのか、自家用車で避難してもよいのか、避難行動要支援者への避難支援のあり方、および避難行動支援計画の策定に向けた課題などが議論されました。
なお、この基本方針は、区民の皆さまが、わがこととして避難行動を考える際に、拠り所として活用して頂きたいと考えています。
また、大規模水害に備えた避難場所の拡充につきましては、国・東京都の広域避難検討委員会の中で議論がなされており、現在、国および東京都の施設の中から避難場所にふさわしい施設の調査が行われています。
区では、東京都と都立高校における避難場所開設の諸条件について意見交換を行っており、引き続き、避難場所および避難所の拡充について検討を重ねてまいります。
(2)区民がより広く参加できるワークショップ・避難所開設訓練等に
新年度、区は基本方針の普及のためシンポジウムを2回、ワークショップを3回開催する予定としています。水害に対してどれだけの区民が関心を持ち、自らのこととしてともに考え、参加することができるかは、策定中の計画を実効性のあるものとするためにも重要であり、区民参加型・体験型の施策をいっそう充実させることが求められます。
そこで質問します。たとえばワークショップの開催は、地域振興室単位で複数回行なうなど、区民参加を容易にするようもっと大規模な計画とすべきと考えますがいかがでしょうか。お答えください。
つぎに避難所開設訓練についてです。予算案の概要でも述べられていますが、避難所を運営する際の地域住民の協力は非常に重要です。
避難所開設訓練時に普段、町会自治会や自主防災組織に加わっていない方にも多く参加していただくために、開設に直接携わる人だけでなく、幅広い住民の参加、たとえば各中学校で、生徒のボランティア参加も求めながら行なうことなども検討いただきたいと思います。お考えをお示しください。
大規模水害を想定した避難行動の基本方針については、来年度の早い時期までに、区議会へご報告させて頂き、そのあと、直接区民の方々へご説明するため、検討委員会の委員を招いたシンポジウムや、具体的な避難行動を考えるためのワークショップの開催を検討しています。
あわせて、気象や河川水位などの情報を入手しながら、個々人や家族単位の避難行動の時期を定めるマイ・タイムラインの作成講習会の中でも丁寧にご説明することを考えています。
さらに、台風シーズンまでに多くの方へご案内できるよう、北区ニュース特集号を発行し、気象情報や避難情報の取得方法なども含め、避難行動の基本方針を広くお伝えしてまいります。
また、避難所開設訓練につきましては、19の地域振興室単位に、自主防災組織を中心とした地域の皆様と実施することを考えていますが、このほか、防災・減災に関心がある中・高校生を含む、広く区民の方々を対象に、区内3ヵ所で避難所を開設する際の手順等をご説明する避難所開設説明会を行う予定です。
今後も、多くの方が避難所開設の手順をご理解頂けるよう、工夫を凝らしてまいります。
(3)防災関係職員の増員と、災害時の職員参集体制の強化を
次に職員体制です。新年度、担当課の人員が3名増員となります。しかし昨年度の台風19号をふまえ、今後水害へのさらなる備えなど、取り組まなければならない課題が増えています。昨年の岡山県での水害の際、防災に長く携わった地域の方にお話を聞く機会がありました。この方は防災に対する備えとして、地域住民と自治体職員との緊密な関係を維持していくことが重要だが、自治体職員には異動があるため、継続的なつながりを持つことが難しいことを改善すべき課題のひとつと語っておられました。
質問です。防災関係職員のさらなる増員も視野に入れつつ、他部署職員の協力も得ながら地域との関係性を強めることを求めたいと思います。いかがでしょうか。
区民の意識向上や区民と北区との連携を深めることとともに、職員が非常時の体制を迅速に取ることができるようするなど、庁内体制の強化も重要です。
質問です。災害対応時に真っ先に対応を求められる職員に対し、住宅手当ての創設などを通して北区内や区内近隣に住居を構えることを誘導することを求めたいと思いますがいかがでしょうか。区のお考えをお示しください。
初めに、市域住民と自治体職員との緊密な関係づくりです。
地震・水害を問わず、災害から地域および地域住民を守るには、行政からの公助はもちろん、地域の皆さまのご支援・ご協力による連携が不可欠です。
先の台風19号での自主避難施設の開設・運営においては、各部局の職員が従事しましたが、町会・自治会、PTAなど地域の方々のご協力があったため、混乱が軽減できたものと理解しています。
災害が発生または発生の恐れがある場合には、災害対策本部や災害対策即応本部のもと、各部が災害対応業務を担う災対各部に移行し、全庁をあげ区民の生命・身体・財産を守る様々な応急対策にあたります。
平常時からの関係づくりについては、避難所である小・中学校等の近隣に居住する学校参集職員が、地域で行われる避難所開設訓練に参加し、顔が見える関係づくりに努めています。
今後とも、区民と区職員が一丸となった災害対応の実施に向け、創意工夫してまいります。
次に、庁内体制の強化についてお答えします。
北区地域防災計画の震災対策編では、区内で震度5弱以上の地震が発生した場合、初動体制として、本庁舎には指定幹部職員、災対各部職員、災対本部の統括班・対策班・情報班・受援班などに約150名、地区本部である地域振興室に114名、避難所に174名の職員が自動参集するとしています。
防災職員住宅に居住する防災課兼務職員もこの初動体制に組み込まれており、発災時には迅速に対応する役割を担っています。
ご提案のありました住宅手当につきましては、23区統一の取り扱いとなっており、独自に手当てを上乗せする考えはありませんが、初動時の対応は非常に重要となりますので、防災職員住宅に必要な職員数を確保する方策については、引き続き検討してまいります。
なお、大規模水害が発生した場合の体制については、現在、見直しをしています。
5、AI活用に関するガイドラインの策定を
最後にAI活用について伺います。新年度から健康診断の案内を行なう際にAIを活用することになりました。業務の効率化のために活用することまでは私たちも否定しませんが、まだ社会に与える影響がわからない技術であり、AIの判断で人間の生活が左右されるような世の中を作ってしまう危険性もあります。
AIの活用開始にあたり、行政運営における明確な活用指針を定めることは必要であると思いますがいかがでしょうか。お考えをお示しください。
以上で私の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
経営改革プラン2020(案)においては、複雑化・多様化する行政需要に対応するため、AIなどの先端技術を積極的に活用して業務の効率化と質の高い行政サービスを提供することとしています。
今後、行政の内部事務から区民生活にかかわるサービスまで、幅広い分野において効果的にAI等を活用していくため、総務省が昨年8月に策定した「AI利活用ガイドライン」等も参考にしながら、導入の考え方や手順等をまとめた「手引き」などの作成について検討してまいります。