2020年第2回定例会個人質問―本田正則
2020年6月8日 | 本田正則
私は、コロナウイルス感染症の中での、新しい学校生活の確立に向けて、学習の遅れを取り戻す手立て、オンライン家庭学習支援及びGIGAスクール構想について質問し、関連して30人学級の実現と学校適正配置の方針見直しについても質問します。
子どもたちは、緊急事態宣言の出るひと月前の3月2日から学校が一斉休業となり、友だちにも会えない、遊べないという非日常を過ごしました。学年のまとめも、卒業や入学も、学年はじめの新しい出会いもないままの3ヵ月。そして今月から、学校が再開となったものの、都内でも感染者数が再び増え、東京アラートが発出されました。第2波、第3波も懸念されています。そうした中で、子どもの豊かな学びや、安全な教育環境を保障することが必要です。
1、コロナ禍における新しい学校生活の確立に向けて
大きな一つ目はコロナ禍における新しい学校生活の確立に向けての質問です。
(1)感染防止対策について
第1に感染防止対策について5点質問します。
1点目。教室に入るにあたって手洗い場や出入り口が込み合い3密状態になるのを避けるため、ホースにいくつも穴をあけて一度に手洗いできる人数を増やすなどの工夫が紹介されています。また接触感染を防ぐために手のひらを使わないで開閉できる蛇口に改修することなども指摘されています。
北区で取り組まれている感染防止対策をお示しください。
2点目。マスクの着用が不可欠となっていますが、授業中の対応について、また熱中症のリスクがある期間の対応についてお聞かせください。さらに、体育の授業の場合どうするか、ご答弁ください。
3点目。休憩中遊んでいるときには子どもたちは夢中になってしまいます。しかし「子どもにとって遊びは主食のようなものだ」という人がいるくらい、子どもの成長発達にとって不可欠のものです。
遊んでいるときの感染防止対策はどのように考えているか。ご答弁ください。
4点目。給食では、接触感染の危険が指摘されその防止方法が強調されていますが、配膳方法をどのようにするのか、給食調理室の対策も質問します。
5点目。校内の消毒について、その頻度、使用する機材、必要な作業時間、人員確保をご答弁ください。
まず、北区の取り組みについてです。
区では、6月からの学校再開にあたり、文部科学省や東京都教育委員会策定のガイドラインを参考に、北区版のガイドラインを策定し、学校関係者や保護者への周知を含め、区ホームページにおいて、広く区民に公表しています。
この中で、感染症対策の基本的考え方や感染症予防についての家庭や学校での取り組みについてお示ししています。
具体的には、児童・生徒や教職員には、毎朝の健康状態確認や自宅での検温と健康観察表記入、感染症対策に必要な持ち物指導やごみ分別における配慮などのほか、授業中の座席間隔を可能な範囲で確保し、二方向の窓を同時に開放して十分に喚起を行うなど、様々な取り組みを示し、各学校で実践しています。
マスクについては、着用を原則としつつ、気候の状況等により、熱中症等の健康被害や、体育の授業などを勘案して、着用しないことも可能としています。
休憩中の感染防止策としては、トイレ使用時の混雑を避ける動線や順番の確保、外遊びやトイレ使用後の手洗いの徹底など、また、給食については、スムーズな配膳や喫食ができる献立の工夫、配膳終了までの全員にマスク着用を徹底、席を向かい合わせにせず、前向きで食事することなど配慮事項を示しています。
なお、給食室内については、ドライ化などにより一定程度の改善は図れますが、中長期的な課題になると考えています。
校内の消毒については、児童・生徒が手を触れる箇所について、消毒液を使用した清掃を実施することとしており、また、6月の分散登校期間中には、可能であれば、午前と午後の入れ替え時における清掃を行うよう、学校長に対して、別途の周知を行っています。
(2)配慮が必要な子どもたちへの対応
第2に配慮が必要な子どもたちへの対応について質問します。
1点目は、就学援助についてです。
借金や失業など個々の家庭に深刻な状況が生まれて、経済的困窮が著しいご家庭の子どもたちには、就学援助の再募集が必要ではないでしょうか。随時募集のお知らせも必要と思いますがお答えください。
2点目に、家庭との連携などについてです。
1、家族の困難が、虐待の増加などにつながっていることも指摘されています。家族との関係に、教職員が特別な配慮ができるよう教職員や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを増員していただきたい。
2、あわせて、子どもや保護者が電話回線やFAX、オンラインも活用して様々なチャンネルで相談できる体制を整え、安心して学習できる環境を保障していくことを求めます。
3点目に、登校による感染不安が拭えず登校しない子どもたちは、欠席扱いせず配慮ある対応を求めます。
4点目。医療関係者を家族に持つ子どもたちや、隔離が解除になって登校を始める子どもたちが、不当な偏見に遭わないための配慮や手立てについてご答弁ください。
次に、就学援助の再募集についてです。
今年度の就学援助の申請については、すでにご提出いただいておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により、家計が急変し、経済的に困窮されているご糧もあると認識しております。
文部科学省から通知のありました学校再開ガイドラインにおいては、就学援助に関し、新型コロナウイルス感染症の影響等により家計が急変し、年度の途中において認定を必要とするものについては、速やかに認定し、必要な援助を行うこととされております。
今回の申請で就学援助が非認定となった方、および今年度就学援助は不要と申請された方について、家計が急変し、経済的に困窮している場合は、再度申請できるよう対応する予定であり、その場合は、前年の所得ではなく、直近3ヵ月の所得により、判定を行う予定です。
なお、周知については、非認定の通知に再度申請ができる旨のお知らせを同封するとともに、北区ニュースや北区のホームページに掲載する予定です。
次に、家族との関係に教職員が特別な配慮ができるような体制整備についてです。
区立小・中学校には、東京都と区のスクールカウンセラーを配置し、面接支援にあたっていますが、学校再開にあたって児童・生徒にアンケートを実施してストレス度を把握した結果、支援が必要と判断した場合には、スクールカウンセラーだけでなく、必要に応じて教育総合相談センターの教育相談員の派遣を行います。
福祉や虐待に関する支援が必要な場合は、スクールソーシャルワーカーや、子ども家庭支援センターと連携し、適切な役割分担により対応しています。
なお、スクールソーシャルワーカーについては、令和2年4月に1名増員して5名体制となっておりますが、教員の増員については、東京都との協議による補助教員の確保が課題であると考えています。
また、スクールカウンセラーによる相談は、通常、対面での相談を基本としており、オンラインによる遠隔でのカウンセリングについても文科省通知で有効な手段の一つに挙げられておりますが、端末の画面に映らないところで第三者がそのやりとりを見聞きしている可能性などについて、相談環境の前提を定める必要があるなどの留意事項が示されていることもあり、その活用については、今後研究してまいります。
次に、感染症の不安がぬぐえず、保護者から学校を休ませたいと申し出があった場合の対応については、保護者に対して、学校が講じている感染症対策について十分に説明し、学校運営方針へのご理解・ご協力をお願いしたうえで、その申し出に合理的理由があると好調が判断すれば、「校長が出席しなくて模様と認める日」と取り扱い、指導要録上は、「出席停止・忌引き等の日数」として、欠席としないことができます。
なお、自宅で過ごす子どもやその保護者と電話等で連絡を取り、子どもの心身の健康状態を把握し、学習課題の受け渡しやオンライン教材の活用などの学習支援も行ってまいります。
次に、医療関係者を家族に持つ子どもたちや、隔離解除になった子どもの不当な偏見への配慮や手だてについてです。
医療関係者を家族に持つ子どもたちや、り患した後、隔離解除になった子どもが偏見や差別に遭わないよう、臨時休業中には、家庭向けに、人権に十分配慮をお願いする旨の通知をしました。
学校再開後は、新型コロナウイルス感染症について、児童・生徒の発達段階に応じて正しい理解を図るとともに、道徳科や学級活動等の授業を通じて自分の大切さとともに、他の人の大切さを認める人権感覚の醸成を図っていきます。
さらに、学校便りや保護者会等を通じて、このような偏見や差別が生じないよう、保護者や地域の方々にも随時周知し、啓発を図ってまいります。
(3)クラス集団づくりについて
第3に、クラス集団づくりについて質問します。
新学期は、入学したばかりの1年生の対応や、クラス替え、担任の変更などで、クラスづくりが重要な時期ですが、今年はそれを、6月1日からの二部授業からはじめなければなりません。
また、国立成育医療研究センターなどの調査でも、休業中の子どもの困りごととして、「お友だちに会えない」、「学校に行けない」、「外で遊べない」、「勉強が心配」などがあがり、「イライラする」、「夜眠れなくなった」、「何もやる気がしない」、「死にたい」などの痛切な声が記されています。
こうした子どもたちの心身のケアをしっかり行うことは、クラスづくりや学びを進める前提になります。東日本大震災で深刻な被害にあった地域の学校は、子どもと教職員がつらい体験や思いを語り合うことで、学校生活がスタートできたといいます。新型コロナ危機という歴史的経験を語り考えることは、子どもたちの新たな出発点となるでしょう。
そこで質問です。心理的不安を抱えた子どもたちにQUテストも活用してすすめる、コロナ禍の中でもいじめや暴力もない、学ぶ集団づくりへの支援対策をご答弁ください。
学校再開後のはじめの2週間については、感染防止の観点から、原則、午前・午後に分け、が行動や兄弟関係などを踏まえた20人以下のグループでの分散登校とし、子ども一人ひとりが学校生活に慣れることを目標としています。
その後は、全員が教室にそろい、学級の目標を決めたり、役割を分担したりするなどのクラスづくりを進める予定です。
臨時休業が長期間となったことから、久しぶりの学校生活にストレスを感じている子どももいると思われます。
担任による、学級集団づくりを支援するために、区では、東京都のスクールカウンセラーに加えて区独自のスクールカウンセラーを配置しており、各学級を巡回し、子どもの様子を観察するようにすでに指示をしています。支援が必要と思われる子供を早期に発見し、個別に面談して悩みなどに寄りそいます。
また、今月末にはQ-U調査を実施し、担任はその結果から、個々の子どもの学級満足度や学級集団の状態を知り、学級集団づくりに生かすことができます。
今後も、子どもたちにとって居心地のよい学級集団づくりを支援してまいります。
2、教職員を十分に配置するなど、学習の遅れを取り戻し、すべての子どもに学力を保障する手立てについて
大きな2つ目の質問に入ります。教職員を十分に配置するなど、学習の遅れを取り戻し、すべての子どもに学力を保障する手立てについて質問します。
(1)学習の遅れの実態把握と、その対策
第1に学習の遅れの実態把握と、その対策を問います。
1点目は、3月2日からの一斉休校、6月1日から15日まで予定の分散登校で、履修できなかった授業日数、時間数。それに対して夏休み前後の補充授業で補える授業日数。授業時間数をご答弁ください。合わせて、それ以外の期間の補充授業をどのように実施し、どれくらいの時間が確保できるのかもお示しください。
2点目に、文科省の通知にあるように、その学年での核となる学習事項を見定めて深く教え、それ以外は教科横断で学んだり、次年度以降に効率的に学ぶ形での学習内容や、学校行事の精選をして、学習内容の定着をしっかりはかっていただきたいと思います。
例年通りの授業をしようと、土曜授業や、子どもたちが楽しみにしている修学旅行や、文化祭・学芸会などの行事の大幅削減、七時間授業などで授業をつめこむやり方では、子どもたちに新たなストレスをもたらします。
そこで質問します。子どもを直接知っている学校現場の創意工夫を保障した上での精選について、考え方をお示しください。年間学習計画を立てるには、入試に出さないところを先に知りたいとの先生の声も聞きました。東京都への働きかけも含めてご答弁ください。
3ヵ月の臨時休業期間等により授業を行うことができなかった日数と時数は、学校や学年によって多少違いがありますが、授業日は55日程度で、小学校は230時間から250時間ほど、中学校は210時間から250時間ほどです。
今年度の夏季休業期間は、校長会と協議の上、短縮することとし、13日間の授業日を設定することにより、小学校は62時間から75時間、中学校は75時間を増やします。
区では、標準授業時数の概ね9割以上の字数を確保するよう、各学校に教育課程の再編成を依頼しています。子どもたちの学力を保障するため、授業と家庭学習を組み合わせた学習計画、効率的な授業などを工夫します。
行事の見直しについては、校長会と協議し、感染防止の観点から、連合行事や宿泊を伴う行事を原則中止としました。
年度末には、それぞれの学年の学習進度について、学校全体で確認して一覧表にまとめ、必要に応じて、次年度に補充指導するよう申し送りをすることを、各学校に徹底してまいります。
なお、年間指導計画を立てる際の出題範囲や内容とに関する配慮事項については、今後、東京都教育委員会から通知が示される予定です。
(2)学力格差を広げないための方策
第2に学力格差を広げないための方策について質問します。
1点目は、7月に実施するとしている定着度調査についてです。この調査で、ひとり一人の躓きや、「自ら学ぶ力」を把握できるのか?授業の中でそれをどのように生かすのか?また、補習授業などをどのような形で行うかなど、現在の北区の指針をご答弁ください。
2点目です。学習の遅れを取り戻し、学力の定着を保障するための人員確保などです。
1つは、北区として、独自にできる非常勤講師、学習指導員等人的補充を行っていただきたい。ご答弁ください。
現在実施している分散登校では、フィジカルディスタンも確保した20人以下の授業を実施しています。教室と教員を確保して一斉登校でも実現させていきたいものです。政府の第二次補正予算案の教員増は3100人。これでは全国の小中高校の10校に1人しか教員が配置されません。日本教育学会は潜在的な人材のプールを踏まえ、平均1校当たり小学校3人、中学校3人、高校2人の教員を加配する10万人の教員増を提案しています。
そこで2つめの質問です。北区としても、複数担任制を全学級に導入するために教員の抜本的増員を国や東京都に求めてください。
以上2点ご答弁ください。
定着度調査では、前年度の学習内容が身についているかを見ることができます。
学年全体で定着が不十分である内容は、授業でその内容を取り上げて、指導をする必要があります。
個別に課題が見られた場合は、小学校の学力フォローアップ教室、中学校の家庭学習アドバイザーによる放課後の学習指導、家庭学習でのオンライン教材による学びなおしなど定着を図る指導を行ってまいります。
次に、遅れを取り戻し、学力の定着を保障するための人員確保についてお答えします。
まず、人的補充については、現在、東京都から指導法工夫改善加配の柔軟な運用、少人数指導のための講師の申請の通知がありました。
この通知に示された教員の勤務形態は、感染防止を目的とした学習集団を分割する少人数授業を実現するための時間講師となっており、クラスを分割することが可能な教室のある学校については、この活用も検討していますが、全ての学校に配置することは難しいと考えています。
なお、本区においては、すでに学力パワーアップ講師や学級経営支援員を配置し、複数指導によるきめ細かな対応を実施しています。
3、オンライン家庭学習支援及びGIGAスクール構想について
大きな3つ目の質問は、オンライン家庭学習支援及びGIGAスクール構想についてです。
(1)オンライン家庭学習支援について
第1に、この六月からのオンライン家庭学習支援の課題について質問します。
今年秋冬のコロナ感染や、インフルエンザとの複合感染、あるいは夏の水害や地震などを考えると、長期の休校に急いで備える必要があることは明らかです。
そのときに、オンライン環境があれば、教育学会も指摘するように「まずは子どもと教師が、さらには子どもたち同士がつながることで、孤立感を防ぎ、多くの人とつながっている意識を回復する」ことができます。「朝5分間、教師や友達とつながるだけでも、一日数度教師と子どもが LINE を交換する」だけでも、大きな意味があります。また、第1の質問で指摘した家庭との連絡にも活用できる利点もあります。
今議会には、家庭学習のオンライン環境を整備する補正予算案が計上されました。この6月から来年3月までの10ヵ月については、各家庭が所有する端末と環境を活用する形で、端末がないご家庭には区が貸出、必要な10ギガの通信回線の容量が足りないご家庭には、ひと月2000円を限度の通信料差額補助を行うなどです。
そこで質問ですが、家庭の状況によれば、家庭に1台の端末で、保護者などが使っていれば、端末が使えない子が出てしまうことにたいしてどう対処するかお答えください。
家庭学習支援で活用する端末についてです。
臨時休業期間の長期化による課題に対応するため、民間の「オンライン学習支援教材」を提供するとともに、端末機の貸し出しや、通信料の助成を行うことで、各家庭のICT環境の整備状況の差異が、学力格差拡大につながることのないよう、端末機の貸し出しや、通信料の助成制度を創設しました。
制度の開始にあたっては、家庭学習の手段について、「平常時のルールにとらわれることなく、自治体や家庭におけるICT環境を最大限に活用するよう臨機応変な対応を求める」との、文部が各省通知を踏まえ、家庭にあるパソコンや保護者のスマートフォンなど、家庭学習に活用できる端末があれば、活用いただくようお願いしたところです。
また、全国的に端末の調達が困難であり、区で用意できる端末機の数に限りがあることから、家庭学習に活用する端末が、1台もないことを貸し出し等の要件としました。
提供する「オンライン学習支援教材」は、15分程度の単元ごとに編集された動画教材であり、時間を問わず、繰り返し視聴できることから、家庭に活用できる端末が1台あれば、ご兄弟がいても、支障なく学習できる旨、問い合わせに対応しております。
なお、5月下旬の貸出受付の締め切り後も、端末の貸出受付を継続しており、、各家庭における家庭学習の取り組みに支障を生じないよう、引き続き、ご相談に対応してまいります。
(2)家庭学習支援システムとGIGAスクール構想の関連について
第2に家庭学習支援システムと、GIGAスクール構想の関連について質問します。
全員協議会などの説明では、今年度実施する3月までの家庭学習支援システムと、今年度末の3月から、2021年度、22年度、23年度の3年間37ヵ月の端末リース契約などを行うGIGAスクール構想が説明されました。
しかし、3年間でやろうとしていることの全体像は20年度と21年度で設計構築される委託契約の中で作られるとのことです。そこでまず、20年度21年度で予算化した範囲のGIGAスクール構想の事業内容と、今年度の家庭学習支援事業との関係と、違いをわかりやすく説明してください。
その上で、GIGAスクール構想は20年度分と、繰越明許で取り組む21年度の、2年間13ヵ月の事業全体で、国の負担、都の負担、区の負担はどうなるのか。例えば端末一台あたり幾らになるのか。これは予算計上されたものですからわかると思います。また端末リース期間全体の、予算計上されていない部分も含めた37ヶ月のGIGAスクール構想全体を見通すとどうなのかもご答弁ください。
GIGAスクール構想と家庭学習支援との違いについてですが、GIGAスクール構想とは、国が進める1人1台端末および高速大容量通信ネットワークを整備し、並行してクラウド活用を推進し、個別最適化された学びを学校現場で実現させる構想です。
一方、区の行うオンライン家庭学習支援は、このたびの臨時休業による授業の遅れを補完するとともに、今後懸念される新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波による臨時休業にも対応できるよう、オンライン家庭学習の環境が整っていない世帯に対する環境整備等を行う取り組みです。
GIGAスクール構想の導入経費に関する国、東京都、北区の負担については、国は、端末1台につき4万5000円、および校内LAN整備費の2分の1を負担し、東京都は校内LAN整備費の5%および、端末導入支援員の配置費用の4分の3を負担し、残りは北区が負担することとなります。
なお、本定例会の補正予算案における端末1台当たりの経費は、周辺機器と設定費用を含め、約11万円と想定し、計上しています。
導入する端末機器は、プロポーザルにより選定し、その後の構築経費は、端末機器の種類によって、大きく変動することが見込まれるため、現時点では、3年間の負担額をお示しすることはできません。
(3)GIGAスクール構想の環境整備について
第3に、GIGAスクール構想の端末や通信環境の整備の課題についてお聞きします。
この6月までの3ヵ月で3000台の端末確保が困難だったことを考えると、全国の小中学校が来年3月までに1人1台のオンライン環境整備を目指す中で、北区も2万1000台の端末を稼働させることは、サプライチェーンの寸断などもあるなかもっと難しいのではないでしょうか。
その上、GIGAスクール構想の「個別最適化された学び」や、子ども一人ひとりの学習履歴を集積する学習ログの管理などについては様々な問題や危惧が表明されています。そして、学校にも、ハード、ソフトのシステム管理企業側にも、手厚い人事配置が必要です。現実にいま中学などのパソコン室で使われているシステムでもうまく機能せず、大手ICT企業からの技術者派遣などの支援を受けてようやく改善したというお話も聞きました。そもそもAI活用の学習システム構築全体には相当な時間を要します。
当面は、家庭で過ごす子どもたちと学校の間のオンライン環境整備を、人手もつけて着実に進めることに力を注ぐべきと考えます。
そこで質問です。北区は、2万1000台の1人1台環境整備が間に合わない場合には、今年度整備したオンライン環境を継続すること。その際、来年度は家庭のパソコンとオンライン環境を個人のものから、北区のものに切り替えること。その場合には、国の財政負担をもっと増やすとともに、「個別最適化された学び」の準備とは切り離して、着実に1人1台のパソコンの環境を整備する方向に切り替えるよう、政府に求めていただきたい。
答弁を求めます。
端末の調達に関して、文部科学省は、各自治体の需要見込みや調達状況について、随時、情報を収集することとし、供給事業者であるベンダーが円滑に供給できるよう、共有していくこととしています。
区としても、環境整備に向けて、必要となる台数について、早期に情報発信をしていくことが重要と考えており、先月には、GIGAスクール構想を実現する学習用端末等の配備に関するプレスリリースを行いました。
また、本年7月には、公募型プロポーザル提案による、構築支援の事業者選定に着手するなど、令和2年度末を目途とした、1人1台端末の配備に向けて、全力で取り組んでまいります。
また、各自治体が、地域の実情に応じたネットワーク環境整備を計画的に行うことができるよう、令和3年度以降の整備に対しても財政措置を継続することや、環境整備に対する十分な財政措置については、引き続き、全国市長会を通じて国に求めていきます。
なお、年度内における端末機の調達が、万が一、困難となった場合においては、子どもたちの家庭学習環境や、学びの保障が途切れることのないよう、支援の方策を検討してまいります。
4、今こそ30人学級の実現を
4つ目の大きな質問に入ります。今こそ30人学級の実現を求めます。
先ほどご紹介した国立成育医療研究センターの「コロナ×子どもアンケート」では、「子どもたちが相談したいこと」の1位は「コロナにかからない方法」です。
身体的距離が確保できる分散登校から、「40人学級」になる一斉登校に対して、教職員も子どもも保護者も不安の声を上げています。「身体的距離の確保」を「新しい生活様式」の重要な一つとして社会全体で取り組んでいる時に、教室を例外とすることは重大な問題です。欧米でも20人から30人学級が当たり前です。2011年の小学校1年生で35人学級にスタートを切ったのに、安倍政権になってストップしたままです。2019年には区議会議長会も、教員の働き方改革の見地もふまえて全学年実施を求めました。今年度、政府の第2次補正予算で10万人教員増を実現すれば、30人学級も見えてきます。
北区は35人学級の全学年実施を求め続けてきましたが、さらに進んで30人数学級を国と東京都に求めていただきたい。ご答弁ください。
北区は、これまでも、少人数加配教員の活用や学力パワーアップ非常勤講師の配置により、個に応じたきめ細やかな少人数学習指導を実施してきました。
学級編成については、少人数学級による児童・生徒へのきめ細やかな指導が必要と考え、これまでも全国所長会を通じて、国に対して、その実現を求めてまいりましたが、今後も、引き続き国や東京都に、他自治体との連携を図って、働きかけをしてまいります。
5、学校適正配置方針の見直しを
最後の質問です。学校適正配置の方針の見直しを求めます。
北区では、人口減少が続くことを前提に、学校適正規模等審議会の第3次答申を受けて、当面存続規模を下回る小規模校化をしたサブファミリーブロックごとに適正配置を検討してきました。その中で、当面存続規模を下回ったので検討を開始したけれど、回復したのに統合したブロックもありました。逆に、当面存続回復が見込めるので協議を中断したブロックもあります。
現在の状況は、児童生徒数が増加し、で教室不足が危惧される学校も出てきています。コロナ第2波の中でも、1教室20人以下なら授業ができる可能性もあります。学校は、地域の維持と発展にとってかけがえのない役割があります。一方で、統合は、地域の教育力の衰退、子どもの長時間通学、いざという時の安全面の不安などのデメリットがあります。
そこで質問です。当面存続規模を少しでも下回ったら統合の検討を始めるこれまでの方針を見直し、一定の規模を維持している間は、小規模校を地域に残して充実させ、地域づくりを進めるとりくみを支援していくことを求めます。ご答弁ください。あわせて、廃校にした学校も、売却や解体をせず、教室不足が発生した際には再び学校として活用できるように、校舎を転用し、迫り来る災害の際の避難所としても存続させることについてもご答弁願います。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
北区では、子どもたちの教育環境の向上を図る観点から学校適正配置を推進してきました。
小規模校については、児童へのきめ細かな指導が行いやすいなどメリットがある一方、集団の中での切磋琢磨する機会が少なくなるなどのデメリットもあります。
児童が一定の集団の中で、多様な考え方に触れる機会や学び合いの機会が十分に確保される環境を整備していくためにも、各学年で複数学級を確保するなど、一定の規模の確保が重要となります。
なお、当面存続規模程度の小規模校については、今後の児童数の動向などを見極めながら、適切に対応してまいります。