logo-dan
  • 議員紹介
  • 議員団の活動
  • 政策・提言
  • 議員団ニュース
  • 生活・法律相談
  • 議員紹介
  • 議員団の活動
  • 政策・提言
  • 議員団ニュース
  • 生活・法律相談
  • ホーム
  • »
    • 本田正則
  • »
  • 2024年度決算に対する反対討論―本田正則

2024年度決算に対する反対討論―本田正則

2025年10月3日 | 本田正則

私は、日本共産党北区議員団を代表して、ただいま上程になりました2024年度東京都北区一般会計決算、国民健康保険事業会計決算、介護保険会計決算および、後期高齢者医療会計決算の認定について、反対討論を行います。

昨年度の予算執行において、物価高騰対策給付金の支給、子どもの権利と幸せに関する条例の制定、高齢者補聴器購入費助成、および平和都市宣言記念事業などは、住民要望の反映として評価いたします。

しかしながら、以下の理由から、一般会計決算の認定に反対します。

財調基金が過去最高となる中、区民の暮らしや営業への支援が不十分

第1の理由は、財調基金の残高が過去最高の233億円となる中、物価高騰の下でも基金への積み立てを優先し、区民の暮らしや営業への支援が不十分にとどまったことです。

2024年度、北区の財政は、特別区民税が13年連続の増収、特別区交付金が過去最高の交付額、主要基金残高が787億円と、きわめて健全に推移しました。

その一方で、区民の暮らしはどうでしょうか。食料品、日用品、水光熱費やガソリン代など、あらゆる生活必需品が値上がりし、とりわけ、主食である米の値段は約2倍に跳ね上がり、5キロ4000円超えが常態化しています。働く人の賃金は物価高騰に追い付かず、多くの住民が、首都圏に集中する大型開発が引き起こす異常な家賃高騰に苦しめられています。

毎月600人ほどだった都庁前の食料支援参加者は、この9月、ついに900人を超え、弁当を求める長蛇の列ができています。

中小業者の経営も深刻です。ある飲食店は、インボイス制度が導入されたことを契機に、「もはやこれまで」と廃業を決意したとのことです。

私たちは、こうした苦境にあえぐ人たちを支援するため、当初予算に対し、区民・中小業者への直接支援や家賃補助、教育費の無償化など総額34億円の予算組み替え動議を提出しましたが、予算執行の結果をみれば、これらの施策が十分に実現可能だったことは明らかではないでしょうか。

ところが区は、年度当初には144億円まで減るとしていた財調基金を、逆に89億円も増やして、過去最高の233億円に積み上げました。さらに、年度末には新庁舎、施設建設、まちづくりに10億円単位の積み立てを行いました。

まだまだ続く物価高騰の中、積み上がった財調基金は、暮らし・営業最優先に活用することを求めます。

貧困・格差の拡大につながる「行財政改革」を、さらに推し進める予算執行

第2の理由は、新たに改定された「経営改革プラン2024」の下、貧困・格差の拡大につながる「行財政改革」を、さらに推し進める予算執行であったことです。

昨年3月に改定された経営改革プラン2024は、職員削減、外部化、受益者負担を基軸とした新自由主義の「行革」路線に対するまともな総括が行われないまま、これまでの路線を継承するものとなりました。

区は、「民間のノウハウで経費削減、サービスの向上を図る」といいながら、人件費を削減し、正規から非正規への流れを推し進めてきた指定管理者制度を、昨年度は区内すべての公園にまで広げました。先行して指定管理が導入された公園では、委託の清掃業務で働く職員の人件費が、直営の時に比べ大幅に削減されるという事態が判明しています。外部化の拡大が、社会全体では貧困・格差を広げてきたことに反省が感じられません。

山田区長は、7つの政策のトップに「区民サービスNo.1の行財政改革」を掲げていますが、今後3年間ですべての窓口に広げるとする電子申請は、職員が自作すれば経費削減が見込めるLoGoフォームの作成を、すべて業者に委託するとしています。

また、来年度には公民連携推進条例の制定が予定されており、民間企業に事業参入の門戸を開くとしています。営利目的の企業の参入によって、公としての区の責任が損なわれることがないよう注視していく必要があります。

これまでの経営改革プランによる「行革」路線を抜本的に見直し、真に住民の利益に資する行財政改革への転換を求めます。

タワーマンション建設を呼び込む市街地再開発計画に固執し、民間大企業の利益に奉仕する駅周辺まちづくり

第3の理由は、タワーマンション建設を呼び込む市街地再開発計画に固執し、民間大企業の利益に奉仕する駅周辺まちづくりを推し進める姿勢です。

東京一極集中をさらに加速し、異常な家賃高騰を引き起こしている首都圏のタワーマンション建設は、各地で行き詰まりに直面しています。ところが北区では、赤羽、王子の駅周辺まちづくりで、市街地再開発計画を推し進めています。

昨年度は、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会が基本計画案を取りまとめましたが、区は、当初の「5つのシナリオ」による検討を途中で取りやめて、基本計画は「大きな姿」を示すのみとし、具体的な事業手法や整備方針、公共施設の再編については次年度以降に先送りしてしまいました。そのため、地域住民の最大の関心事であるタワマン建設の是非や、赤羽小学校、赤羽公園が現在地に残るのかどうかなどについては、議論そのものが封じられる結果となりました。

決算審査では、国交省があまりに過熱する再開発競争の下、財源不足から社会資本整備総合交付金の対象を必要性・緊急性のある事業に絞りこむとする方針を示す中で、区が対象から外れる赤羽一丁目「中央地区」市街地再開発について、東京都心部ではなじまない「立地適正化計画」をかけてまで補助金を獲得しようとしている姿が明らかになりました。

そもそも、補助金対象から外れた再開発計画を持つ都内の自治体が、こぞって「立地適正化計画」をかけて補助金を申請するということになれば、社会資本整備総合交付金を節減しようという国交省の要綱改正自体が無意味なものになってしまいます。

物価高騰下でのまちづくりでは、大型再開発に頼らず、いかにコストをかけずに防災のまち、安全なまちをつくるかを追求することこそ重要です。補助金の獲得競争ではなく、タワマン再開発を見直し、住民合意による修復型まちづくりの推進を求めます。

特別会計について

次に特別会計です。

はじめに、国民健康保険事業会計決算についてです。

この間、毎年のように国保料が値上げされ、区民の負担が増大しています。とりわけ昨年度は、一人あたりの保険料が1万4679円の値上げ、前年度比約1.5倍の大幅な引き上げとなり、子どもにまで容赦なくかかる均等割も5500円の値上げとなりました。

私たちは組み換え動議で、現在、就学前までの子ども均等割5割減額を、区独自に18歳以下のすべての子どもにまで拡大することを提案しましたが、この決算審査でも、「そのつもりはない」という冷たい答弁に終始しました。

低所得の加入者が増えているのに、他の医療保険と比べ保険料が高額となっている国保の構造問題を解決するためには、全国知事会、全国市長会も主張し続けている1兆円の国費投入が必要不可欠です。抜本的な対策を講じないまま、徴収強化や一般財源からの繰り入れの段階的廃止などを進めれば、保険料を払いたくても払えない人が、さらに増えるだけです。

以上、国保会計決算の認定については、大幅な保険料の値上げなどから反対します。

次に、介護保険会計についてです。

昨年度、訪問介護事業所に対する基本報酬が切り下げられたことなどの影響で、全国での介護業界全体の倒産件数は179件、訪問介護事業所の倒産は81件と、いずれも過去最高を記録しています。

私たちの会派は昨年、区内にある中小の訪問介護事業所を直接訪ね、聞き取り調査を行いました。協力が得られた23か所の事業所のうち8割が、経営が「苦しい」、「かなり苦しい」と回答し、2か所はすでに廃業していました。さらに今年2月、その後の実情を知るため4か所の事業所を再調査したところ、「廃業を検討」と回答していたある事業所は閉鎖を決め、まさに職員が片付け作業を行っている最中でした。

区としても、こうした実態を把握し、区内事業者への減収補填対策を講じるなど、危機感を持った対応に努めるべきです。

決算審査では、生活困窮者への介護保険料の減額や免除、境界層減免の拡充を求めました。北区では、他区と比べても区独自の減免を受けている人が少ないだけに、対象者の多くを占める特別徴収の方の申請もれがないよう、通知の改善も含め、さらに丁寧な周知を要請します。引き続き、あらゆる手段を活用して、保険料の支払いが困難な方への救済を求めます。

以上をふまえ、介護保険会計については、保険料が値上げとなったことなどから認定に反対します。

次に後期高齢者医療会計についてです。

昨年度は、75歳以上の医療保険料も値上げとなりました。さらに、一昨年度から導入された窓口2割負担が、高齢者に重くのしかかっています。その上、政府は、昨年9月に決定した「高齢社会対策大綱」で、窓口負担3割の「現役並み所得者」の範囲拡大を打ち出しています。これ以上の負担を高齢者に負わせるわけにはいきません。

後期高齢者医療会計決算についても、保険料の値上げなどから、認定に反対いたします。

いつくかの要望について

最後に、決算審査の中で提案した諸課題について、以下、要望を申し添えます。

1、生活保護基準引き下げは違法との最高裁判決を受け、北区も当事者として被害を被った生保利用者に寄り添い、早急な被害の回復と真摯な謝罪を国に求めること。

2、外国人差別や外国人に関するデマの拡散などに反対し、区として、北区多文化共生指針に示された「多文化共生推進」の明確なメッセージを内外に発信するとともに、人口の1割にのぼる外国籍区民に対応する専管組織を早期に設置すること。

3、区立公園や児童遊園などに自生している樹木を正確に管理し、万が一公園や道路の整備などで伐採する場合は、事前に地域住民に伐採計画を公表し、丁寧な説明を行うこと。

4、来年度から予定されている中学校での35人学級導入にあたっては、必要な教室の整備・確保を急ぎ、可能な限りの前倒し実施を都教育庁に求めること。

以上、2024年度一般会計および3特別会計の認定に対する反対討論といたします。