2015年第2回定例会個人質問―ながいともこ
2015年6月25日 | ながいともこ
私は、北区の居住支援の拡充、空き家の対策とその活用、特定整備路線補助86号線と都市計画の見直しについて大きく3点質問致します。
1、北区の居住支援策の拡充について
北区居住支援の拡充について1つ目の質問は、高齢者や障害をもった方やひとり親世帯など、住宅確保に困難が伴う方々の転居や住み替えに対する支援制度を拡充することについてです。
先日、住み込みの仕事を失った高齢者世帯の方から、とりあえず住居を確保したが、家賃が高く、このままでは貯金を取り崩しても、いずれ払いきれなくなってしまうという相談を受けました。また、年金生活の中で家賃の占める割合が高く、なんとかならないかなどの相談も寄せられます。ご紹介した方たちは、何回も公営住宅に応募しているが、入れないと訴えています。都営住宅や区営住宅といった公営住宅に入居を希望されているみなさんが、入居が可能な所得水準にもかかわらず、すぐには入居できないのが現状です。北区にも、高齢者や障がい者・ひとり親世帯などが立ち退きによる転居や住み替えの際の支援制度はありますが、くらしを継続できる支援、たとえば、公営住宅に入居できない方などへ家賃の補助をするなど、安心して住み続けられるような支援もいま求められているのではないでしょうか。とくに、高齢者の場合、安い民間住宅へ転居しようと思っていても、入居の際。年齢や保証人がいないなどの理由で断られるケースも多くあります。財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査では、民間賃貸住宅において家主の2割が、入居制限をおこなっています。そのうちの4割は単身の高齢者は不可としています。どうしても住む家が見つからない、保証人が見つからないなど、住宅確保が困難な方たちの公営住宅へなかなか入居できず、家賃などに困っているいる方たちに対しての支援が必要ではないでしょうか。
世田谷区では、区の事業として、住まいに関する様々な相談対応や「保障人がいない」「入居後の生活が不安」等の理由で民間賃貸住宅に入居しづらい、高齢者や障がい者・ひとり親世帯へ地元の不動産業界による情報提供や区による保障料の助成といった入居・居住継続などの支援を行っています。住宅確保が困難な方たちへ自治体がふさわしい支援を行う事が切実に求められています。
そこでお伺い致します。
公的保証人制度、家賃債務保証制度、物件情報提供制度といった支援やさらに、公営住宅に入居できない資格者を対象とした家賃補助など、いわゆる住宅確保要配慮者の転居や住み替えに対する新たな支援制度を創設し、現行の居住支援政策を拡充することを求めます、お答え下さい。
【区の答弁】
はじめに、北区の居住支援の拡充についてのご質問のうち、住宅確保要配慮者の転居や住み替えに対する支援制度の拡充について、お答えします。
住宅確保要配慮者の家賃債務保証につきましては、現在、一般財団法人 高齢者住宅財団が、賃貸民間住宅の家賃債務保証制度を行っています。 区では、ご相談に対して、パンフレットにより、この制度の仕組みを丁寧にご説明し、周知をはかっています。 また、住宅確保要配慮者に対する居住支援策につきましては、他自治体における先進事例や課題などの情報収集に努めております。 具体的な支援策につきましては、今後とも研究調査してまいります。
北区の居住支援策の拡充について2つ目の質問は、区営住宅やシルバーピアなどの公的住宅の戸数増をはかることについてです。
北区が民間住宅を借り上げ高齢者専用住宅として提供している、シルバーピアは平成29年度に4棟75戸分が契約満了を迎え、その受け皿として、旧北園小学校跡地に北区初の区営シルバーピアが建設されることになりました。今後も計画的な、シルバーピアの建設が求められます。また、住宅マスタープランでは、区営住宅も建て替えが方針化されています。区営住宅やシルバーピアの過去5年間の定期募集累計は、募集戸数のべ25戸に対して1075世帯の応募者、北区募集のシルバーピアは、のべ141人の登録者数に対し519人の応募者です。過去5年間の累計をみても、公共住宅の需要に対し供給不足はあきらかです。そこでお伺いいたします。
(1) 区営シルバーピアについては、新たな建設計画を早期に策定すること。その際、北区の高齢者借り上げ住宅の受け皿にとどまらず潜在需要を見込んだ計画にすること。
(2) 区営住宅については、建て替えの機をとらえて、可能な限り戸数増をはかること。
(3) 学校跡地活用などを検討する際には、シルバーピアや区営住宅などの公共住宅の供給を計画的に組み入れること。以上3点についてお答えください。
【区の答弁】
次に、区営住宅やシルバーピアの公的住宅の戸数増をはかることについてお答えします。
現在、民間住宅を借り上げて提供している高齢者住宅、いわゆるシルバーピアは、平成29年から平成39年まで、順次、借上げ契約期間の満了を迎えます。また、区営住宅につきましても、適性修繕による活用を行う一方で、計画的な建て替えが必要となってまいります。区といたしましては、現在の住戸数を確保していくことが、今後の課題であると考えており、公共住宅の建て替え等に必要な用地につきましては、国公有地跡地をはじめ、区有地につきましても、検討対象として考えております。
2、空き家の対策と活用について
大きな2つ目の質問は、空き家の対策と活用についてです。
今年の5月26日空き家対策の特別措置法が全面施行されました。特措法では、老朽化で倒壊する危険があったり、景観や衛生をそこなったりしている空き家を「特定空き家」に認定できるとしています。特定空き家になった場合、所有者に修繕や撤去などの勧告、命令を行えるほか、最終的に行政執行による撤去もできると定められました。 日本共産党は、法案の成立に当たり、認定は厳格で、抑制的ではなければならないと指摘しました。また、認定にあたっては、周辺住民や有識者の客観的意見を聞く協議会をもうけるよう提案したことを、まずご紹介しておきます。
1つ目の質問は、空き家活用について相談窓口の設置や情報提供についてです。
北区は、今年度、2010年に実施した「空き家実態調査」の結果を基に、利活用が可能な空き家についての支援策を検討することとしました。その具体化にあたり、次の2点を求めます。
(1) 空き家活用に関する、空き家の所有者や、空き家の心配や活用したいと考えている町会、自治会、まちづくり活動団体等への相談窓口の設置をすること。
(2) 空き家の有効活用促進に関する情報提供をすること。
以上、お答えください。
2つ目の質問は、住宅としての空き家活用についてです。
市場に流通している住宅は、足りているといわれていますが、低所得の方や高齢者、障がい者、子育て世帯、若年層などは、低廉で良質な住宅を確保するのがとても困難です。2011年3月に見直された国の「住生活基本計画」では、こうした方々のため、「良質な住宅・住宅地ストックの流通や空き家の有効利用を促進する」こととしています。
北区が実施した「空き家実態調査」報告書の、空き家所有者に対するアンケートには、「公的な機関による借り上げ制度」という項目もありました。空き家や空き室を区が借り上げ、住宅確保が困難な方たちに供給する制度などを積極的に検討すべきではないでしょうか。そこで以下のべるような対策を求めます。
(1)公的な機関による借り上げ制度実施に向け、関係機関に強く働きかけること。あわせて北区自らが積極的に実施を検討すること。お答えください。
【区の答弁】
次に、空き家の対策と活用についてお答えします。
はじめに、住宅としての空き家活用についてです。区では、居住可能な空き家対策を、計画事業としております。空き家活用にかんする相談窓口の設置や、有効活用促進にかんする情報提供、公的な機関による借り上げ制度なども含め、他自治体の取り組み事例などを参考 にして、本事業の中で研究してまいります。
空き家の対策と活用について3つ目の質問は、地域活動拠点としての活用についてです。
区内には、社会福祉協議会などに登録しボランティア活動をされている方たちや、自治会や町会では、地域見守り・支えあい活動が行われています。王子3丁目町会では、町会会館を借り、「ぶらっとサロン」と名付け、高齢者の見守りとして、ゲームや映画会など行っています。現在、月2回の開催ですが、好評につき、このサロンを常設で運営したいとの要望もあり、近隣にある空き家を活用できないかというお話を伺っております。現在、北区では、空き店舗を活用したコミュニティ創出の支援制度はありますが、商店街が身近にない地域もあります。そこで、お伺いいたします。
(1) 空き家の持ち主や社会福祉協議会とも連携しボランティア団体や見守り・支え合い活動を行っている団体などへ情報提供やリフォーム助成など活用できる支援システムをつくってはいかがでしょうか。
(2) 地域に必要な場づくりであれば、区が借り上げるなどの策を検討してはいかがでしょうか。
以上2点についてお答えください。
【区の答弁】
次に、地域活動拠点としての活用についてです。
居住可能な空き家の活用策は住まいとしての活用だけではなく、地域活動の場としての活用など、様々な方法があると考えています。今後、居住可能な空き家の所有者の意向や、地域における利活用の需要調査、さらには、関係機関との連携を含め研究してまいります。
3、特定整備路線補助86号線と都市計画見直しについて
大きな3つ目の質問は、特定整備路線補助86号線と都市計画の見直しについてです。
赤羽西地域の特性整備路線補助86号線計画については、事業の中止・撤回を求めこれまでも議会で取り上げてきました。事業計画の説明会から今に至るまで。多くの住民の皆さんから反対や疑問の声が出されています。中止・廃止を求め東京都や区に提出された署名は2740筆にのぼっています。また地元で親しまれ、古くからある静勝寺のご住職自らが、この道路計画に反対する住民の会「くらし・環境・文化遺産をまもる都道86号線の会」の代表幹事になるなど、この地域の住民や赤羽自然観察公園を利用している方たちも、この道路計画には、全く納得していません。納得するどころか、中止や撤回を求める声が広がっています。こうした状況にもかかわらず、東京都は住民の声を聞かないまま事業申請し、国は2月24日に事業認可をおろしました。区は、こういった住民の声に真摯に耳を傾け、今からでも国や東京都に事業の認可取り消し、計画の撤回を求めるべきです。以下その理由を述べます。
理由の1つ目は、この道路計画にまったくの道理がなく、多くの住民が納得していないからです。
赤羽西補助86号線計画の事業認可に対して、1279件もの不服審査請求が出されています。この申し立て文の中には、道路計画がいかに不当なものかが書かれています。その要旨を紹介します。
1、補助86号線は、昭和21年4月25日に戦災復興告示15号で決定されたとしているが、内閣決定もされていません。都市計画自体が無効であること。これは、昨日の代表質問で指摘した点です。
2、多くの住民が立ち退きをせまられ、住宅の一部買収によって生活の安定が脅かされていること。
3、北区の環境形成に寄与している、赤羽自然観察公園とスポーツの森公園の間に86号線を建設することは適切でないこと。
4、赤羽駅前に位置する道灌山は、太田道灌が築いた稲付城趾として東京都の史跡文化財に指定されており、その城趾付近にトンネルを掘削することは文化遺産としての価値を大きく損なうこと。
5、延焼遮断帯として機能しないことです。
以上不服審査請求の要旨の一部ですが、この道路計画に道理がなく、住民は 納得できません。
理由の2つ目は、東京都は住民に、防災のためと説明しながら、国への申請では、交通の円滑化を第一の事業目的にしていることです。
東京都は特定整備路線を「木密不燃化10年プロジェクト」と位置づけ、延焼遮断帯を形成する防災目的の道路計画であると住民に説明してきました。
しかし、事業認可申請書には、第1の事業目的が「交通の円滑化」、第2の理由が「安全で快適な歩行空間の確保」、そして最後が「延焼遮断帯による防災性の向上」となっています。これまで、交通の円滑化に関する十分な説明は無く、ひたすら防災のためと言ってきました。住民に「防災のため」といいながら、国には「交通の円滑化」という住民を欺くようなやり方は認められません。
理由の3つ目は、防災対策というのなら木造住宅の耐震化や不燃か対策を最優先することが、国の基本方針だからです。
今年の3月31日に閣議決定された「首都直下地震緊急対策推進基本計画」では、延焼遮断対策としての道路整備はかかげられていません。想定死者数を半減させるためには、住宅の耐震化や不燃化などの整備率の達成が不可欠としています。家屋が倒壊する数に比例して、火が出る危険性が高まることから、出火防止の面からも耐震化目標の達成が問われています。今回、閣議決定された基本計画では、建物の耐震化率を100%にすれば、全壊する建物と死者数を9割減少させることができるとしています。また、耐震ブレーカー設置による出火防止対策や初期消火成功率をあげることにより、焼失する建物と死者数が9割以上減少させることができると試算されています。 耐震化や不燃化対策の強化で、その被害は大きく減少させることができるとしています。
北区の耐震促進計画では、今年度までに、90%の耐震化をめざすとしていますが、昨年度末で78%と遅れています。赤羽西補助86号線計画の総事業費は213億円です。これだけの財源を防災効果に疑わしい道路計画につぎ込むより、耐震化・不燃化対策の促進に投じる方が、はるかに有効なことはあきらかです。
理由の4つ目は、この道路計画を進めることによって、赤羽西地域のまちの様相が大きく変わってしまうことです。
赤羽西補助86号線ができれば、現在一日あたり、およそ3000台前後の交通量が、6000台から1万台になると、計画説明会で伺っています。この地域の住環境や自然環境に与える影響は測り知れません。さらに、この道路計画に付随し、今回出された沿道用途地域見直しの素案は、容積率・建ぺい率などを緩和し、最低高さ制限を設け、いままでの町並みを、ビルが建ち並ぶ光景に変えようというものです。こうしたまちづくりが、住民の皆さんが望んでいるまちづくりでしょうか。
赤羽西地域沿道まちづくり都市計画素案の住民説明会でも「住みにくくなっては意味がない、決まったからやりなさいと言われているようだ」「道路だけがまちづくりではない」などの意見が出されています。ビル壁の街並みに加え、交通量増加にともなう排気ガスや交通事故、環境の悪化などをもたらすことが、この地域にふさわしいまちづくりでしょうか。
以下、お伺いいたします。
(1)2000人を超える反対の署名、1000人を超える不服審査請求、事業の撤回を求めているこの重みを、区はどう受け止めているのか。
これだけの人たちの声を聞かず、粛々と事業を進めることに協力するつもりでしょうか。
(2)特定整備路線補助86号線計画赤羽西地域の事業認可の取り消しと計画撤回を国と東京都に求めてください。そのこととあわせて、この道路計画を前提とするような沿道の用地変更は、行うべきでないがいかがでしょうか。
以上2点についてお答えください。
以上で私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
次に、特定整備路線補助86号線と都市計画見直しについてのご質問にお答えします。
まず、行政不服審査請求等についてです。
区といたししましては、引き続き、東京都に対し、地域の皆さまへの丁寧な説明を申し入れてまいります。行政不服審査請求につきましては、国において、適切に対応されるものと考えております。
次に、事業認可の取り消し等についてです。
首都直下地震の切迫性などを踏まえると、特定整備路線の整備は、延焼遮断帯の形成のほか、災害時の緊急避難路や救援活動のための空間確保など、木造密集地域の防災性を向上させるうえで極めて重要な取り組みと認識しております。区と致しましては、今後とも、特定整備路線の整備に協力することととし、事業認可の取り消し等を求めることは考えておりません。
次に、沿道の用途地域変更についてです。
補助86号線は、東京都が策定した防災都市づくり推進計画や北区都市計画マスタープランにおいて、延焼遮断帯に位置づけられています。道路整備に併せて、用途地域の見直しを行うことは、燃えにくい建物への建て替えと幹線道路沿道にふさわしい土地利用を促進するため、必要かつ適切なものと考えており、今後、都市計画等の手続きを勧めてまいります。