2016年第1回定例会代表質問-ながいともこ
2016年2月24日 | ながいともこ
質問に先立ち、本日午前中の代表質問で、公明党議員団の大島実議員が議会ルールに違反する発言を行ったことに対し抗議いたします。
大島議員の発言は、本来、行政の姿勢をただすべき本会議質問の場で、答弁や反論ができない他党、他会派に対し、一方的な非難を浴びせ中傷を行うというものです。名指しこそしていませんが、発言は明らかに我が党に向けられたものであり、その内容は事実無根です。こうした発言は、明らかに議会のルールを逸脱するものです。
日本共産党北区議員団は、この不適切な発言の撤回を求め、直ちに幹事長会、議会運営委員会の開会を求めました。
このことを申し上げて、日本共産党北区議員団の代表質問に入ります。
私は、消費税増税、新年度予算、国民健康保険、地域の諸課題について、大きく4点、区長、教育長に質問いたします。
1、消費税率10%への増税、大企業への法人税引き下げ、外形標準課税の課税強化に反対するよう国にはたらきかけること
大きな第1の質問は、消費税10%の増税、大企業への法人税引き下げ、外形標準課税強化に反対するよう国に働きかけすることについてです。
自民・公明両党は、2016年度の税制改正大綱で、2017年4月から消費税率10%引き上げと同時に、食料品などは8%に据え置く軽減税率を導入するとしました。
ところが、消費税10%に軽減税率を実施したとしても、国民の負担増は年間で一世帯当たり約6万2000円、一人当たり約2万7000円となり、軽減税率が国民の消費税負担を和らげることにはなっていません。低所得者ほど負担が重くなる消費税の本質に目を向ける必要があります。消費税10%の増税は、貧困と格差の拡大に拍車をかけるだけです。
しかしその一方で、法人実効税率を30%台から20%台へと、3年連続で減税を行います。史上空前の利益を上げている大企業へ幾ら減税を行っても、アベノミクスの言う景気の好循環の気配もありません。
さらに大綱では、外形標準課税の拡大を打ち出していますが、これは大企業には減税し、その税収減を中小企業に押しつけるものです。
税制の原則は、負担能力に応じ、所得や資産が多い人や莫大な利益を上げている大企業ほど多く課税し、所得の低い者には軽くする応能負担の原則に立ち返らなければなりません。
そこでお尋ねいたします。
1、消費税税率10%への増税を中止すること。
2、大企業への法人税実効税率引き下げをやめ、応分の税負担を求めること。
3、外形標準課税の課税強化に反対すること。
以上、3点、国に働きかけることを求めます。
【区の答弁】
初めに、国の税制改正に関するご質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、消費税率10%への増税に反対することについてです。
平成29年4月からの消費税率の10%への引き上げについては、既に国会において関連法案等が審議され、可決・成立しています。
なお、低所得者への配慮として、平成29年4月からの軽減税率制度の導入については、現在開会中の国会において関連法案等の審議が進められているものと理解しています。
次に、法人税についてですが、法人税の実効税率の引き下げについては、デフレ脱却と経済再生のため、税制において企業の収益力を高めるとともに、収益力拡大に向けた前向きな国内投資や継続的・積極的な賃金引き上げに取り組む環境を整えるものと理解しています。
なお、法人税の実効税率引き下げの際は、地方財政に影響を及ぼすことのないよう、区としても代替財源の確保について、全国市長会を通じて要望しているところです。
今後も必要に応じ、全国市長会や特別区長会等を通じて対応してまいります。
次に、外形標準課税についてです。
平成28年度税制改正大綱において、地方法人課税における法人事業税の外形標準課税については、大企業への適用拡大を進める一方、地域で雇用を支える中堅企業への影響に十分配慮するとされています。
また、中小法人については、外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら、引き続き慎重に行うとされており、国において適切な検討がなされるものと考えています。
2、貧困と格差が拡がっているいまこそ、区民のくらし応援の新年度予算へ
大きな第2の質問は、広がる貧困と格差の是正へ、今こそ区民の暮らし応援の新年度予算を求め、子どもの貧困対策、保育施策、高齢者及び障がい者施策、住宅施策についてお伺いいたします。
昨年、区長は、区財政の現況について、今後は事業の縮減や廃止、公共施設についても廃止・複合化といった大胆な見直しを検討していかざるを得ないと財政の厳しさを強調しました。
しかし、本年の予算大綱では、資産の有効活用や特定目的基金の積み立てを行うなど、将来の行政需要を見据えた計画的な財政運営を行い、財政力を着実に高めてきたとし、主要5基金残高合計は既に530億円と、過去最高を更新しました。
さらに大綱は、厳しいとしてきた財政状況を一転させ、少子高齢化対応を初め、本格化するまちづくりへの一層の推進など、事業の優先順位を定め、区の重要課題に積極的に取り組みを進めるとしています。
区民の生活が一層厳しくなっている中、不要不急の道路事業や再開発より、貧困の連鎖を断ち切り、区民の暮らしを応援することにこそ積極的に取り組むべきです。
我が会派は、新年度予算に対する組み替え動議の提出を準備していますが、とりわけ貧困の影響を受けやすい子ども、高齢者、障がい者、子育て世帯や若年層への対策の必要があります。
そこで、新年度予算に関して、以下4点質問します。
(1)子どもの貧困対策の拡充について
まず初めに、子どもの貧困対策の拡充についてお伺いいたします。
その1つ目は、婚姻歴のないひとり親家庭への寡婦控除等のみなし適用の拡大とともに、税法上においても格差是正を求めることについてです。
子どもを扶養しているにもかかわらず、婚姻歴の有無で所得税法上の寡婦控除が受けられないのはおかしいと是正を求める声が広がっています。こういった声を受けとめ、経済的負担を軽減するために、婚姻歴のないひとり親にもみなし適用する自治体がふえています。
北区では、27年9月から保育料で既に実施され、28年4月からは区立幼稚園使用料や学童クラブ育成料が適用となります。先駆的な自治体では、適用の範囲をさらに拡大し、制度上の格差是正に努めています。
加えて、税法上において、婚姻歴のないひとり親家庭に寡婦(寡夫)が認められれば、根本的な解決になります。例えば寡婦控除が認められれば、住民税等の負担軽減になり、また住民税非課税世帯の寡婦に該当すれば、社会保障全般のメリットがあります。こうした恩恵を婚姻歴の有無で差別することがあってはなりません。
そこで、3点についてお伺いいたします。
1、私立幼稚園、同就園奨励費等、私立の制度にも拡大すること。
2、区営住宅家賃など、北区のあらゆる制度に拡大すること。
3、婚姻歴のないひとり親家庭が税法上の寡婦控除の対象となるよう国に働きかけてください。
以上、お答えください。
【区の答弁】
次に、貧困と格差が広がっている今こそ区民の暮らし応援の新年度予算へのご質問のうち、子どもの貧困対策の拡充について、順次お答えをさせていただきます。
まず、婚姻歴のないひとり親家庭への寡婦控除等のみなし適用の拡大のうち、私立幼稚園等への寡婦控除のみなし適用についてです。
私立幼稚園等の就園奨励費及び保護者負担軽減事業費について、公平性の確保、保護者の負担軽減を図るため、平成28年4月より、婚姻歴のないひとり親家庭等に対する寡婦控除のみなし適用を行う予定です。
このほか、母子生活支援施設の入所者徴収金については、4月より同様のみなし適用を行う予定です。
なお、詳細につきましては、本定例会の所管委員会においてご報告をさせていただきます。
次に、区営住宅家賃等への制度に拡大することについてです。
昨年10月に公営住宅法施行令の一部が改正され、寡婦控除のみなし適用が本年10月1日に施行される予定となっております。
北区の区営住宅条例における使用料算定の基礎となる収入については、公営住宅法施行令に規定する内容を引用しているため、同施行令の施行に伴い、実施することとなります。
次に、寡婦控除を婚姻歴のない方にも適用されるように国に働きかけることについてです。
現在、税法等において寡婦控除の該当となる方は、民法上における婚姻関係に限ることとされています。そのため、民法上の婚姻歴のないひとり親世帯の方については、適用されません。
区としましては、さまざまな区の制度にみなし寡婦等の適用を拡大している中で、国における税制改正の動向を注視してまいりたいと考えております。
子どもの貧困対策の拡充の2つ目は、直面する子ども施策についてです。
北区では、新年度予算において子どもの未来を応援するため、新たに担当副参事も配置をし、子どもの貧困対策に本格的に取り組もうと、実態把握調査や学習支援といった事業が予算化されました。今後の事業展開にも期待をし、積極的に取り組んでいただくことを強く要望いたします。
子どもの貧困については、2009年の貧困率は14.2%で、それが2012年には16.3%とさらに悪化しています。とりわけひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%と飛びぬけて高くなっています。
2013年に成立した子どもの貧困対策法では、教育の機会均等が強調されています。近隣の足立区では、新年度、一定の条件を満たせば貸付金の半額を免除する奨学金貸付制度がスタートする中、北区の奨学金制度の利用者が減っています。北区の奨学金制度がより使いやすくなるよう改善すべきです。
子どもの貧困対策の拡充を求め、5点、質問いたします。
1、経済的に苦しい家庭の子どもたちの学習支援、子ども食堂等、居場所づくりの早期実現を図ること。その際、対象を高校生まで広げるよう検討すること。
2、北区の奨学金制度の保証人や返済期間の改善や支度金を復活させること。また、足立区で実施予定の償還免除型奨学金制度等を取り入れるなど、さらに充実させ、北区みずからが経済的理由で子どもたちが進学を断念することがないよう制度を改善すること。
3、世田谷区では、区内の児童養護施設から進学する若者に対して、一般財源から拠出し基金を設置して給付型奨学金をスタートさせました。北区でも独自の給付型奨学金制度を検討すること。
4、就学援助の入学支度金の前倒し支給及び入学支度金の貸付制度の創設をすること。
5、子どもの医療費は高校生通院まで助成すること。
以上、お答えください。
【区の答弁】
次に、経済的に苦しい家庭の子どもたちへの学習支援や子ども食堂の居場所づくりの早期実現についてです。
初めに、子どもの学習支援では、平成28年度に生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業として、地域の中に学習支援団体を立ち上げてもらうためなどの支援事業を北区社会福祉協議会に委託して実施します。
平成28年度は、1ヵ所先行実施するほか、2ヵ所目の立ち上げを目指しますが、実施場所や対象学年、定員などは地域のニーズを把握した上で、今後、教育委員会とも連携して検討してまいります。
なお、子どもの学習支援事業の詳細につきましては、本定例会の所管委員会においてご報告をさせていただきます。
次に、子ども食堂についてです。
近年、さまざまな事情を抱える子どもたちを、食の面から地域で支えようと始まった取り組みと認識していますが、実施主体を含め、今後、研究してまいります。
奨学金制度に関するご質問です。
平成22年度から高校授業料の無償化が実施され、26年度からは所得制限を導入して、それにより生み出された財源を低所得世帯の生徒に対する支援の拡充に充てることで、公立高校と私立高校の制度の一本化を図り、新たな制度に移行しました。
それと同時に、授業料以外の教育に必要な経費負担を軽減する制度として、生活保護世帯及び生業扶助を受けていない非課税世帯の生徒を対象にした返済の必要のない奨学給付金制度が創設されるなど、国や東京都の制度が充実されました。これにより区の奨学金の新規利用者は年々減少している状況にありますが、当面は現行制度の維持を図ってまいります。
ご紹介いただきました足立区や世田谷区の事業につきましては、新たな試みと捉え、その活用状況等を注視してまいります。
次に、就学援助の入学支度金の前倒し支給及び入学支度金貸付制度の創設についてお答えいたします。
進学時の入学支度金である新入学学用品費を3月に前倒し支給する場合、支給の判定に係る所得の考え方や支給後の転出等で支給要件から外れたときの取り扱い及び転出先自治体での重複受給など課題が幾つかあります。
新たなご提案の入学支度金貸付制度も含め、引き続き研究を進めてまいります。
次に、子ども医療費の助成についてお答えいたします。
北区では平成23年7月から、高校生等の入院医療費の自己負担分まで助成を拡大しています。通院医療費につきましては、現時点において拡大する予定はありません。
(2)保育施策の拡充について
次に、2つ目は、保育施策の拡充についてお伺いいたします。
厳しい経済状況の中で、お子さんを保育園に預けてでも働きたい保護者の思いは切実です。この保護者のニーズに応えて、北区は都有地などを活用し、保育施設の整備を進め、待機児童を出さない努力を重ねてきました。しかし、昨年度に引き続き、待機児童は増加の見込みです。
そこで、2点、お伺いいたします。
1、新年度増大が予測される待機児童の見通しはどうか、お答えください。区立認可保育園などをふやし、待機児童解消に万全を期すべきだがいかがでしょうか。
2、保育園や学童クラブの育成料の第2子無料化、認証保育所の保育料助成の増額をすること。
以上、お答えください。
【区の答弁】
次に、保育施策の拡充に関するご質問について、順次お答えをさせていただきます。
まず、新年度の待機児童の見込みと今後の取り組みについてです。
平成27年4月の待機児童の急増を受け、平成28年4月は、認可保育所、小規模保育事業所の新設などにより定員を430名拡大しました。しかし、一定の効果は期待できるものの、就学前人口や入園申し込み者の増加もあり、解消までには至らないと思われます。
「子育てするなら北区が一番」をより確かなものとするため、平成28年度予算案では、北区子ども・子育て支援計画2015における計画数に上乗せし、410名の定員拡大を図っています。
引き続き人口動向や待機児童の状況、保育需要等を見据えながら、あらゆる方策を検討し、臨機応変かつ機を逸しないように取り組んでまいります。
次に、保育園の第2子無料化についてお答えをいたします。
区においては、平成27年4月より、子ども・子育て支援新制度開始に伴い、小学校就学前の子どもが2人以上いる場合は、利用者負担の上限額を減額することとなり、第2子は減額、第3子以降は無償となっています。
国の平成28年度保育対策関係予算案によれば、年収360万円未満の世帯について、多子計算に係る年齢制限を撤廃し、第2子の保育料を半額、第3子以降の保育料を無償化するとしています。
今後の国の予算審議の結果を踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、学童クラブ第2子の育成料についてです。
学童クラブの育成料については、生活保護受給世帯及び住民税非課税世帯は全額免除し、就学援助を受けている世帯や第2子は2分の1に減額するなど、負担軽減に努めています。
第2子の育成料については、現時点において全額免除にする予定はありません。
次に、認証保育所保育料助成額の増額についてであります。
区では、認証保育所を利用する児童の保護者に認可保育所を利用している保護者との負担の均衡を図り、経済的負担の軽減を図るため、保育料を助成しています。保育料については、区民間の負担公平化や財源の適正な配分の視点から、他都市や他区の状況を踏まえつつ検討することが必要であり、保育料の助成額もそれとあわせて検討は引き続き行ってまいります。
(3)高齢者および障がい者施策の拡充について
3つ目は、高齢者及び障がい者対策の拡充についてお伺いいたします。
年金が3年連続で削減される中、医療や介護の負担がふえています。食事や外出、さらには受診回数などを控える方もいるなど深刻です。高齢者や障がい者の方たちが健康で文化的な生活を送ることができる支援が必要です。
そこで、4点、お伺いいたします。
1、障害者福祉制度は65歳になると介護保険制度に移行され、利用料の負担がふえます。その負担軽減を図ってください。
2、15%のプレミアム付区内共通商品券を障がい者世帯向けにも実施すること。
3、区内コミュニティバスにも障がい者無料乗車券を使えるようにすること。
4、福祉タクシー券は枚数をふやし、精神障がい者も対象とすること。
以上、お答えください。
【区の答弁】
次に、障害者の介護保険制度移行に伴う負担増に対する利用料の負担軽減についてであります。
非課税世帯の障害者が障害福祉サービスを受給した場合には、応能負担の原則から自己負担は発生しませんが、介護保険制度に移行した場合には、社会全体で介護保険制度を支えるといった考え方から一律に負担が生じます。
ご提案の利用料の負担軽減につきましては、現在北区では実施の予定はありません。
次に、プレミアム商品券の発行についてであります。
プレミアム商品券につきましては、現在、一般及び高齢者向けに加え、平成26年度からは子育て世帯向けも含め3種類の発行を支援しているところであり、現時点では新たなプレミアム商品券につきましては考えておりません。
次に、区内コミュニティバスにも障害者無料券を使えるようにすることとのご質問にお答えをいたします。
Kバスでは、運行料金を一律100円に設定し、どなたでも利用しやすいようにしておりますので、障害者無料券の利用は考えておりません。
次に、福祉タクシー券の枚数をふやし、精神障害者も対象とすることについてですが、枚数をふやすことにつきましては、23区の中で低い水準とは言えないことから、予定しておりません。
また、心身障害者福祉タクシー事業は、歩行困難な在宅の障害者に対し、タクシー料金を助成することにより外出支援と生活圏の拡大を図る目的で実施しています。そのため、精神障害者への一律の対象拡大は考えておりません。
(4)住宅施策の拡充について
4つ目は、住宅施策の拡充についてお伺いいたします。
子育てや仕事をするにも住まいの安定が基本です。不安定雇用がふえ続けている中で、住居を維持することさえも難しくなっています。
こうした中、北区くらしとしごと相談センターの住居確保事業は、失業した方へ就労の支援と3ヵ月間の家賃を給付する事業です。既に多くの方の生活再建の励みとなっています。
そこで、住宅確保支援策の拡充を求め、2点、お伺いいたします。
1、ファミリー世帯、若年層向けの家賃補助制度を創設すること。
2、北区くらしとしごと相談センターの住居確保給付金事業は、相談者の就労状況等に寄り添い、給付期間の延長など柔軟な対応を求めます。
以上、新年度予算編成に関し、積立金、基金の積極的活用等で区民の暮らし応援の予算実現を求めます。
【区の答弁】
次に、住宅施策の拡充についてのご質問のうち、ファミリー世帯向けや若年層への家賃補助制度を創設することについてお答えをさせていただきます。
区では現在、ファミリー世帯の定住化のため、ファミリー世帯転居費用助成や親元近居助成、三世代住宅建設助成などの施策を実施しております。特に親元近居助成につきましては、今年度から18歳未満の子の扶養数を、従来の2人以上から1人以上に緩和しております。
区としては、新たな家賃助成制度を創設することは考えておりませんが、今後もファミリー世帯等の定住化の施策については研究してまいります。
次に、住居確保給付金についてであります。
住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づく事業であり、支給期間など給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令に定められております。なお、法令に定める要件を満たしていれば、2回の支援期間延長が可能となっております。
引き続き、北区くらしとしごと相談センターでの就労相談支援事業などを活用して、受給者の早期自立を目指していきます。
2、誰もが安心できる国民健康保険制度に
大きな第3の質問は、誰もが安心できる国民健康保険制度についてです。
国民健康保険料は、この10年間で142%増と、負担が大幅にふえています。
1月26日、日本共産党北区議員団は、4月からの国民健康保険料値上げストップ、国民健康保険の皆保険制度を守れと花川北区長に要望書を提出しました。しかし、北区国民健康保険運営協議会は、新年度、区民一人当たり平均保険料は10万5226円、今年度比5263円、5.26%増の大幅値上げ案が区長に答申されました。これは、東京都の平均をも大きく上回るものとなっています。
この国民健康保険料の連続した値上げの大きな要因の一つに、保険料の計算方法が住民税方式から所得方式に変更されたことが挙げられます。この変更により大きく影響を受けた障がい者、寡婦、多子などの世帯に4年間実施されていた激変緩和措置も廃止されたことは大きな負担になっています。
北区の国民健康保険の保険料の値上げに反対し、制度の改善を求め、以下、5点質問いたします。
初めに、保険料引き下げに関して2点質問します。
(1)国民健康保険料の値上げに反対し、国や東京都に対して、保険料抑制のための財政支援を求めること
保険料の値上げに反対し、国や都に対して低所得者対策の拡充と高過ぎる保険料の抑制のための最大限の財政支援を求めること。
(2)北区独自の保険料減免制度について
北区独自に障がい者、寡婦、多子世帯等に保険料減免制度を拡充すること。
以上、温かい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、誰もが安心できる国民健康保険制度について、順次お答えをさせていただきます。
初めに、国民健康保険料の値上げに反対し、国や東京都に対して保険料抑制のための財政支援を求めることについてです。
国民健康保険料は、相互扶助の制度である医療保険制度を維持し、医療費を賄う最も重要な財源です。
区としても多額の一般財源を投入し、保険料の抑制を図っておりますが、平成28年度の保険料につきましては、被保険者数の減少や一人当たりの医療費の増加が見込まれ、一人当たりの保険料は増額となります。
区では、全国市長会を通じ、国に対して国保の財政基盤の強化策を拡充し、保険者の財政基盤の強化と保険料負担の軽減を図ることを要望しているところであります。
次に、北区独自の保険料減免制度についてです。
国民健康保険では、被保険者の所得に応じ保険料の均等割額を減額する制度を行っています。制度の対象とならない方につきましては、個別の事情を伺いながら、丁寧な対応をいたします。
(3)生活保護基準未満および境界層の保険料等について
次に、保険料に関する3点目の質問は、世帯の収入が生活保護基準に満たない方や境界層、いわゆるボーダーライン層の方々の保険料について軽減を求める質問です。
ご承知のように、生活保護の方に支給されるお金は、最低生活を維持するためのもので、保険料も医療費もかかりません。ところが、北区の国民健康保険料は、生活保護を受けないで頑張っている保護基準程度の収入でも、高齢2人世帯で14万円、標準4人世帯で35万円、このように生保基準やボーダーラインの世帯にこれだけ高い保険料がかけられています。
この矛盾を解決するために、介護保険制度には境界層該当措置があります。この措置は、介護保険の保険料と利用料を負担しても生活保護基準以下にならないように介護保険料等の所得段階を下げていく措置です。国民健康保険制度も介護保険制度と同様に、生活保護基準以下になるような保険料負担や医療費負担をさせるべきではありません。生活保護基準を下回る方や境界層、ボーダーライン層の方に保険料や医療費負担を強いることは生存権の侵害にも当たります。
さらに問題なのは、この方たちは保険料を滞納したら病院窓口負担10割の資格証明書の発行や6ヵ月の短期証発行というペナルティがかけられています。
そこでお伺いいたします。
1、国民健康保険制度にも介護保険制度と同様に境界層の減免制度を国に求めること。
2、当面、こうした方々については区独自に境界層減免を検討すること。
3、また、既に条例化されている保険料減免制度の積極的な活用を図ること。
4、滞納を理由に短期証発行等のペナルティ措置はとらないこと。
以上、区長の温かい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、生活保護基準未満及び境界層の保険料等について、順次お答えをさせていただきます。
まず、国民健康保険制度における境界層の減免制度を国に求めること等についてであります。
国民健康保険制度における境界層措置については、国の動きを注視してまいります。
次に、国民健康保険法第77条の保険料減免制度についてですが、災害など特別な事情により一時的に生活が困難になる方を対象にした保険料の減免につきましては、これまでも被保険者の方の実情に応じて制度を適用してきましたが、今後も被保険者の方への周知を工夫するなど、丁寧な対応を行ってまいります。
次に、短期証の発行についてです。
短期証につきましては、保険料を納めていただけない方に対して、事情を伺い、相談などをさせていただくための接触の機会を確保するため発行するものです。
(4)病院窓口での医療費一部負担金減免制度の改善について
4点目は、病院窓口での医療費一部負担減免制度の改善を求め質問いたします。
昨年の年末に短期保険証の方の相談がありました。病院からは、とにかく受診をするよう促されましたが、お金が心配でご相談になりました。私はその方とともに国保年金課にご相談に行こうとしていた矢先に亡くなられてしまい、大変悲しい思いをしました。
もう一例、昨年の決算特別委員会で取り上げた事例です。ひとり暮らしの父親が病院に行きたがらなくて困っている。身内だと説得できないとの相談でした。その息子さんと一緒に父親に会い、説得し、緊急入院で事なきを得たケースです。病状が落ちついて、ご本人にお話を伺ったところ、行きたくなかったのではなく、お金がないので病院にはかかれなかったとのことでした。
本来、こうしたときに役に立つのが国民健康保険法にある医療費の一部負担減免制度の活用ですが、北区では10年以上にわたり実績ゼロが続いています。
しかし、厚生労働省は2010年9月、医療費の病院窓口の一部負担の減免制度の新たな基準を都道府県に通知しました。各自治体に対して、対象は生保基準にこだわらず、既にある基準を狭める必要はないことや、入院だけでなく外来医療でも減免が可能であること、保険料を滞納している世帯であっても、この制度適用が可能であることを明らかにしています。この新基準通知以降、他自治体では、この通知に基づき条例や要綱等を整えています。
今、医療現場では経済的理由から治療を中断してしまう患者さん、入院を断る患者さんなどがふえ続けています。こうした現状から、区内の民間医療機関が一定の条件で窓口負担を減額する無料低額診療事業を開始しました。昨年4月から開始されたこの取り組みは、わずか9ヵ月で8人の方が利用しております。民間の一医療機関が法に基づく自治体の病院窓口一部負担金減免制度の肩がわりをしていることが明らかになっています。
そこで、2つ質問します。
初めに、2010年の厚労省通知に基づき病院窓口負担減免制度の改善を図ること。あわせて、病院窓口の医療費負担減免制度の周知徹底に努め、活用促進を図ること。
2、無料低額診療所への支援についてです。既に薬局での一部負担金の薬代助成が高知市、旭川市、青森市等で実施されています。先進事例を参考に北区でも支援を開始することを求めます。
【区の答弁】
次に、病院窓口での医療費一部負担金減免制度の改善について、順次お答えいたします。
まず、窓口負担軽減制度の改善及び周知徹底、活用促進を図ることについてお答えをいたします。
窓口一部負担金の減免につきましては、特別区で共通基準を設けて運用しています。近年、利用実績はない状況ですが、一部負担金のお支払いが困難など、相談に来られる被保険者の方の実情を把握し、適切なご案内を行っています。
次に、無料低額診療所への支援についてであります。
無料低額診療事業の利用者への調剤費用の助成などについては、国民健康保険の加入者に限ったものではなく、低所得者対策全般にかかわる課題であると認識しています。
国民健康保険においては、現在の制度の中で対応してまいります。
(5)高額療養費の病院窓口限度額認定証の交付について
国民健康保険の最後、5点目の質問は、高額療養費の限度額認定証の交付についてです。
紹介した事例では、相談の際には窓口限度額の認定証が交付されませんでした。滞納があると、この認定証は交付しないという決まりがあるからです。しかし、命にかかわる重大な問題です。
そこでお伺いいたします。
滞納する方にはそれぞれの事情があります。保険料の滞納を理由に病院の窓口負担限度額認定証の交付を拒否しないよう、早急な改善を求めます。
【区の答弁】
次に、高額療養費の病院窓口限度額認定証の交付についてであります。
高額療養費の限度額適用認定は、国民健康保険法施行規則に基づき、保険料の滞納がないことを確認できた場合に限り行うものとされています。ただし、保険料の滞納があることについて、特別の事情があると認められる場合及び保険者が適当と認める場合は認定を行うものとされていることから、区でも個別の事情を伺った上で認定を行っています。
4、地域の諸課題について
大きな第4の質問は、地域の諸課題について、以下、3点お伺いいたします。
(1)国際興業バス「赤06系統」の運行継続について
地域の諸課題の1つ目は、地域の交通手段の確保について、まず2点お伺いいたします。
国際興業バスが運行する浮間舟渡駅から浮間地域を巡回し、赤羽東口間を結ぶバス路線赤06系統についてです。以下、赤06便とします。
新年度の予算では見直し事業の対象となり、このバス路線の運行も終了予定です。以前からこのバス路線の改善を求めてきた住民有志の皆さんは、地域に必要とされているバス路線はなくせないと、昨年12月、北区に対し国際興業バス赤06便の運行継続を要望する要請書を提出しました。
利用者さんからも次のようなお声をいただいております。90歳になる女性の方は、このバスがあるから買い物など出歩くことができます、このバスが頼りです。また、毎日福祉施設に通っている40代の男性は、心臓に障がいがあり施設に通うのにもこのバスは欠かせない。さらに障がいのある娘さんを抱える70代、パート勤務の女性の方は、交通費がカットされ困っていたところ、シルバーパスが使えたので助かったなど、地域にはこのバス便を頼りに生活をしている方たちがたくさんいらっしゃいます。
こうした切実な声や住民の願いにも耳を傾けることなく、不採算、期限つきだから終わりだとはあんまりです。
以前、このバス便が大幅減便になった際にも、地域では大変な衝撃が走りましたが、今度は終了です。このことは、この地域で暮らしている方や、特に高齢の方や障がいを持った方たちの日常生活にどれだけの影響を及ぼすのかはかり知れません。地域の声に耳を傾け、安定した地域の交通手段の確保に北区は力を注ぐべきです。
そこでお伺いいたします。
まず初めに、平成28年8月以降も国際興業バス赤06系統の継続運行を改めて求めます。お答えください。
【区の答弁】
次に、地域の諸課題について、順次お答えをさせていただきます。
まず、国際興業バス赤06系統の運行継続についてであります。
本路線については、平成26年8月より、2年間を限度として運行赤字の半額負担により東京北医療センターへの乗り入れを含む実証運行を実施し、利便性の向上を図ってまいりました。
この間、当該運行路線の営業収支及び乗降人数の調査を行ったところ、路線沿線の大型商業施設等の開発もありましたが、実証運行の1年5ヵ月を通して、利用者状況に改善は見られませんでした。そのため、平成28年7月末をもって実証運行は終了することといたしました。
なお、詳細は所管の委員会で報告をいたします。
(2)浮間地域や赤羽西地域への北区コミュニティバス運行について
次は、北区コミュニティバスの新規路線についてです。
そもそも民間バス運行支援は、高齢者や障がい者を初め、誰もが安心して移動できるまちづくりを進めるため、崖線による東西間の高低差の移動や公共交通機能向上地域等を中心に既存の民間事業者と連携しながら交通手段の確保に向けた取り組みとして開始されたのがこの事業との認識です。
もともと事業者からは、赤06便は不採算路線のため、2年間に限るとの意向が示されていたことを踏まえれば、財政支援等、何らかの継続的な手だてを打たなければ終了してしまうのは当然です。
高齢者や障がいを持った方の自立を助け、誰もが安心して自由に移動ができ、社会参加を保障するまちづくりには一定の公的な社会的投資が必要です。
そこで、次にお伺いするのは、浮間地域や高低差での移動が困難とされている赤羽西地域へ北区コミュニティバスの新規路線を検討し、区内交通手段の確保に積極的に取り組むことを求めます。お答えください。
【区の答弁】
また、コミュニティバスの新規路線の導入につきましては、事業採算性の確保や民間の既存バス路線との競合を避けることなど、慎重な検討が必要と考えております。
(3)浮間地域の高齢者あんしんセンターの整備について
地域課題の2つ目に、浮間さくら荘移転に伴う高齢者あんしんセンターの配置についてお伺いいたします。
高齢者あんしんセンターの再編の方針が出され、原則として地域振興室の担当区域と同一とするとし、再編に当たっては、新たに区有施設を使って3ヵ所新設されます。
現在、浮間地域の高齢者あんしんセンターは、特養ホーム浮間さくら荘の一階に併設されています。既に示されておりますが、浮間さくら荘は、平成29年4月には現在の場所から赤羽北3丁目へと移転することが決まっております。その移転に当たり、高齢者あんしんセンターについて平成25年の決算特別委員会では、今、浮間さくら荘を運営している事業者とも相談しまして、浮間地域にそのまま設置を存続することができないか、相談をしていきたい、とのお答えもいただいております。新設される3ヵ所の高齢者あんしんセンターは、区有施設内の場所を提供されております。
そこでお伺いいたします。
浮間地域の拠点となる高齢者あんしんセンターの場所については、区有施設確保に向けて積極的支援を求めます。
【区の答弁】
次に、浮間地域の高齢者あんしんセンターについてであります。
本年10月に予定しております高齢者あんしんセンターの再編においては、担当地域を地域振興室の管轄区域に合わせ、現在のあんしんセンターは原則として存置することを基本方針としています。
浮間地域のあんしんセンターは、引き続き浮間さくら荘を運営している東京都福祉事業協会に委託する予定であり、浮間さくら荘が旧北園小学校跡地に移転した後については、事業者がこの地域内に場所を確保する予定です。
区有施設での場所の確保につきましては、浮間地域の区有施設の状況を見ながら、今後、検討してまいります。
(4)土砂災害警戒区域指定の諸問題について
地域課題の3つ目に、土砂災害警戒区域指定についてお伺いいたします。
土砂災害防止法に基づく基礎調査結果が昨年9月に東京都より発表され、区内の自然崖における土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域が明らかになりました。
そのことを受け、昨年12月には東京都による住民説明会も開催されております。当日参加された住民の方からは、今回指定された以外にも危険と思われる崖地があり、指定の基準はどうなっているのか、警戒区域に指定されると不利益をこうむる、公が危険な崖地を指定するのであれば安全に住めるようハード面でも公的に対策をしてほしいなどのご意見が出されております。
土砂災害防止法に基づき、土砂災害への危険を回避するための区域指定ですが、今までその場所にお住まいの住民の皆さんにとっては突然のお話だったのではないかと推測されます。
今般、一定の予算措置がとられておりますが、このような区域指定による影響や対応策など、今後も十分な住民への説明や対策が必要です。
そこでお伺いいたします。
土砂災害特別警戒区域及び土砂災害警戒区域指定に向けて行われた説明会で出された住民意見を踏まえ、今後、関係住民の不安に応える対応を求めます。
以上、区長の温かい答弁を求め、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
次に、土砂災害警戒区域指定の諸問題についてお答えいたします。
東京都は、土砂災害の危険性がある自然崖の基礎調査結果を昨年9月に公表し、本年度中に土砂災害警戒区域等の指定を行う予定です。
区といたしましては、今後、土砂災害警戒区域等の指定がされた場合には、ハザードマップを作成するなど、警戒・避難体制の整備を行ってまいります。
また、ハード面の対策として、現在行っている擁壁工事の助成につきましては、土砂災害警戒区域の助成限度額を拡充するとともに、土砂災害対策としての住宅等改修助成の新設を予定しております。
区といたしましては、今後、土砂災害対策に関する課題を整理し、国や東京都に必要な支援策等を要望してまいります。