2017年第2回定例会代表質問ー山崎たい子
2017年6月13日 | 山崎たい子
日本共産党北区議員団を代表して、大きく7点、区長・教育長に質問いたします。
1、憲法施行70年、平和と自由・人権を守る区政を
はじめに、憲法施行70年 平和と自由・人権を守る区政運営についてです。
憲法学者の9割が憲法違反と主張した安保法制に続き、内心を処罰する共謀罪法案の強行、「森友・加計学園」など、権力者による国政私物化疑惑の深まり、「今、日本の政治は、本当におかしなことになっているのではないか」、立憲主義、民主主義、法の支配が壊れつつあると感じているのは私だけではないと思います。
なかでも、憲法施行70年の憲法記念日、安倍首相は2020年までに、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を行うと表明しました。そのねらいは、安保法制により、海外での集団的自衛権行使など新たな活動を可能とした自衛隊を憲法に明記することで、二度と戦争はしない、武力は持たないとした憲法9条を無効化し、制限のない武力行使に道を開くことにあります。
一方、国民世論は、憲法を評価し、改定に反対が多数となっています。また、共謀罪についても、「今国会で成立する必要はない」64%、「政府の説明は十分でない」78%にも上り、国連からも「プライバシーや表現の自由を制約する恐れがある」と指摘され、「十分に公の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」と懸念されています。
戦後70年の歩みと努力の中で、平和と自由、人権尊重を求める、私たち一人ひとりの意識、生活に根ざしてきた憲法の重みははかりしれません。北区の歴史は、かつての軍都から、平和都市北区へと、区民と共に発展させてきた歴史でもあります。
区長はかねてより、憲法遵守を述べておられますが、平和と自由、人権を守り、憲法を区政運営にいかす決意を重ねて問うものです。お答えください。
【区の答弁】
北区では、日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念に基づき、昭和61年3月に平和都市であることを宣言するとともに、平成23年2月には、平和首長会議に加盟しました。
真の平和と安全を実現することは、私たちの願いであり、人類共通の悲願でもあります。
今後も憲法を遵守し、基本的人権を尊重するとともに、平和で自由な共同社会の実現に向けて、引き続き努力してまいります。
2、高すぎる国民健康保険料の軽減を
大きく2点目の質問は、高すぎる国民健康保険料の軽減についてです。
来年2018年度からは、都道府県が財政運営を担う広域化にむけ、一般会計からの繰り入れを削減する動きが強められ、国保料の大幅値上げがすすめられています。
23区では、高額療養費分を保険料算定に加えていくために、この4年間をかけて軽減措置を外してきました。その結果、今年度の保険料は、医療費総額の伸びとあいまって、一人あたりの平均保険料は11万2656円、値上げ幅は平均7430円と、過去5年間で最も高くなっています。モデル世帯で、この10年の保険料の変化を見ると、40代夫婦子ども2人、年間所得300万円の世帯では、2010年に約24万円だった保険料は、今年度、約52万円と2.2倍へ、なんと所得の2ヵ月分が国保料で消えてしまうという事態となっています。
誰もが安心して医療が受けられる皆保険制度を守り、払いたくても払えない、高すぎる国民健康保険料を軽減するためには、国、東京都の財政支援、区としての一般会計からの繰り入れはどうしても欠かせません。そこで保険料の軽減について以下、4点、お伺いいたします。
(1)高額療養費の保険料算定への影響について
高額療養費の保険料算定への影響について、一人あたりの保険料の値上げは、平均でいくらになるのか。
【区の答弁】
北区の国民健康保険の高額療養費は平成27年度決算で約30億3000万円となっています。国の政令は、高額療養費を含む保険給付費の2分の1を保険料賦課総額へ参入する規定ですので、約15億1500万円が高額療養費の保険料算定への参入額となります。
北区において政令通りに高額療養費を全額算入した場合の影響額は、一人あたりで約1万6000円と試算されます。
(2)国からの財政支援金活用について
2018年度は、国からの地方への財政支援が1700億円投入される見込みですが、保険料引き下げに活用すると、北区では一人あたりどれくらいの保険料軽減になるのか。
【区の答弁】
平成30年度に実施予定の医療保険制度改革は、持続可能な医療保険制度を構築するため、国保の財政基盤安定等を目的として、国による財政支援の拡充や、都道府県が財政運営の責任主体となるなどの改革が行われるものです。
国による財政支援につきましては、平成27年度から1700億円が低所得者対策の強化として財政支援が実施されており、北区には約1億9800万円が交付され、国費の効果としては保険料軽減額は一人当たり平均2126円でした。
平成30年度には、財政基盤の強化を目的として、国によりさらに1700億円の財政支援が上乗せ実施される予定ですが、特別区としては、実情を踏まえた交付額とするよう東京都を通じ国に強く要望しています。
(3)国・都の財政支援を求め、区の一般会計繰り入れも行い保険料引き下げを
国から地方への支援金の拡充、東京都の財政支援を求めると共に、区の一般会計からの繰り入れを行い、保険料の引き下げを求めます。
【区の答弁】
国、東京都に対する働きかけとしては、国には地域特性に十分配慮した財政支援の拡充を、東京都に対しては、財政運営の責任主体として、東京都独自の繰入金や特例基金を活用した財政支援を求めているところです。
一方、区の一般会計からの繰り入れについては、国から赤字補填などの法定外繰り入れを解消することが求められています。
従いまして、今後、区といたしましては、法定外繰り入れについて、計画的段階的な解消をめざしていくとともに、東京都に対しては特別区一体となって、被保険者の負担にも配慮した激変の緩和を強く求めてまいります。
(4)保険料減免制度を実効あるものにし、多子世帯の保険料軽減策も実施を
保険料の支払によって生活保護基準となるような困窮世帯への保険料減免や、多子世帯の保険料軽減策を実施するよう求めます。お答えください。
【区の答弁】
国民健康保険料を支払うと生活保護基準となる、いわゆる境界層の世帯に対する保険料減免の措置につきましては、他自治体の動向を把握するとともに、国の検討を注視してまいります。
多子世帯の国民健康保険料軽減策につきましては、全国市長会として子育て世帯の負担を軽減する支援制度の創設を要望しているところです。
また、昨年12月、特別区長会としても、子育て世帯への財政支援は、少子化対策としても実効性があることから、国に対する特別区緊急要望において子育て世帯への補助制度に対し、国の財政措置を要望したところです。
引き続き、国に対し、子育て世帯の負担を軽減する支援制度の創設を要望してまいります。
3、介護保険制度改悪の影響と第7期介護保険計画改定にむけて
大きく3点目の質問は、介護保険改悪の影響と第7期介護保険計画改定についてです。
先月26日、一定所得以上の人の介護利用料を、現在の2割から3割負担へ引き上げるなどを盛り込んだ「改悪介護保険関連法」が自民・公明・維新などの賛成多数で成立しました。
医療・介護政策に詳しい佛教大学の岡崎教授は、「今回の介護保険改革は、負担増や給付カットで住民を苦しめることをいとわない『人ごと改革』、包括的サービス保障を放棄する『地域丸投げ』改革と言わざるをえない」と厳しく批判しています。
(1)利用料など負担増について
例えば利用料負担については、2015年改悪で2割負担が導入されたばかりです。加えて、預貯金の額で、施設の食費や部屋代補助が制限され、全国では100を超える特養ホームで、「支払い困難」を理由にした施設退所が発生。「多少室へ移った」、「利用料支払いの滞納」など負担増の影響が出ており、その検証もないまま、利用料の3割負担を導入するなど、到底認めることはできません。そこで質問です。
利用料の引き上げ等、負担増による実態を十分把握し、必要な介護が継続して受けられるよう、区としての取り組みを求めます。
【区の答弁】
地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律では、介護保険制度の持続可能性を確保するために、2割負担者のうち、特に所得の高い層の利用者負担割合を3割に引き上げることとなりました。
しかし、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、3割負担とする高齢者の所得水準を医療保険の現役並み所得者と同等とすること、2割負担となる高齢者の所得額を決める政令を改正する場合、過大な負担とならないよう配慮し、あらかじめ影響を予測・評価すること、また、来年8月に3割負担を導入する前に、2割負担への引き上げの影響について調査・分析することを盛り込むこととされました。
区といたしましては、国の調査・分析結果を参考に、誰もが必要な介護や支援を継続して受けられるよう努めてまいります。
(2)自立支援・重度化予防について
2つに、自立支援・重度化予防について伺います。
「介護関連法」では、区市町村に介護度の改善目標などを義務付け、「成果」に対し財政優遇を行う、介護報酬改定では事業所への「成功報酬」も検討されています。
こうしたしくみにより、「自治体が介護認定を厳しくする恐れがある。事業者も改善する可能性のある利用者を選別することにつながる」と、厚生労働委員会の参考人質疑でも、厳しく批判されました。まさに、自立支援に名を借りた介護サービスとりあげにつながりかねません。
認知症の人と家族の会副代表理事の田部井さんは、「介護保険からの自立や要介護状態の改善を無理やり求める施策は、認知症の人にはなじまない。状態が改善しないが変わることなく過ごせているのは、病状が進行していないということ。介護サービスが適切に提供されている証でもある」と述べています。
北区では過去に、独自の認定基準による「認定ランク下げ」が実施され、施設を退所せざるをえない、必要な介護サービスが受けられないという事態となり、結果として介護給付費を大幅に余らせる結果となりました。給付費抑制のために、認定を厳しくしてはならないが教訓です。
そこで、財政的インセンティブによる介護サービスとりあげは行わないよう重ねて求めるものです。お答えください。
【区の答弁】
地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律では、全市町村が保険者機能を発揮して、自立支援・重度化防止へ取り組むために、インセンティブの付与を法律により制度化するとしています。
インセンティブの内容については、今後、国から示される第7期計画策定に関する基本指針(案)を注視してまいります。
(3)介護報酬の引き上げ、介護士の人材確保を
3つに、介護報酬引き上げ、介護士確保について伺います。
2015年の制度改悪では、介護報酬2.7%の大幅引き下げが実施されました。
昨年末、北区が実施した介護保険の事業者アンケートでも、「経営が赤字」と答えた居宅サービス事業所、及び施設は共に4割にのぼり、福祉施策への要望では、「介護報酬の見直し」が62.9%と最も高くなっています。また、運営上の課題では、「職員採用が難しい」が69.2%と、依然として介護士の確保が課題です。
区内特養ホームの関係者からは、「来年度の報酬改定で更なる引き下げとなれば経営が本当に立ちゆかない。」居宅サービス事業所からは、「身近なところでも、事業所をたたむところがでできている」との切実な声が出されています。そこで伺います。
介護報酬の引き上げ、介護士の待遇改善・人材確保を、国・東京都に強く求めてください。
【区の答弁】
地域包括システムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、平成29年度から実施している介護職員の処遇改善の効果を把握するとともに、雇用管理、勤務環境の改善を強力に進め、人材確保に必要な措置を講ずることとしています。
介護報酬の改善・見直しについては、平成27年度介護報酬改定の影響について適切な検証を行い、質の高い介護サービスを継続して確保するため、必要な措置を講ずるよう、全国市長会を通じて、国に要望しています。
また、介護人材の確保・定着及び育成に関する施策の実施については、特別区長会を通じて国及び東京都に要望書を提出してます。
今後も必要に応じて要望を行ってまいります。
(4)総合支援事業の取り組みについて
4つに、総合支援事業について伺います。
昨年度から、要支援の方のサービスを区の総合支援事業へときりかえ、1年間、介護事業所の専門ヘルパーによる「現行相当サービス」を実施してきました。新年度からは、認定の切り替えにあたる方から順次、身体介護が必要のない生活援助のみの場合、専門ヘルパーから、北区の講習を受けた「生活援助員」による「いきいき生活援助サービス」をスタートしています。この生活援助員は、4月時点で50名を超えシルバー人材センターや介護事業所へ就職し、専門ヘルパーの7割5分(170単位、1700円)の単価で働いておられると伺っています。
先日私も、認定の切り替えにあたった方から、「今までのヘルパーさんじゃない人に代わることになった。高齢の方があいさつに来たが、今まで通りできるのか」との心配の声を伺いました。高齢者あんしんセンターの職員が、利用者の方へ、丁寧に説明、サービスの調整をされている様子に頭が下がりましたが、安心センターの職員にとっても、利用者、事業者にとっても、負担が大きいと率直に感じたところです。
そこで、4月以降の「いきいき生活援助サービス」の取り組み状況や、現状の課題について、お答えください。
【区の答弁】
この事業の研修修了者は、現在84名で、そのうち68名が介護事業者やシルバー人材センターに登録しています。
また、対象の方が、安心してサービスをご利用いただけるように、区独自で実施しております「生活援助員研修」の充実に努めているところです。
今後もこの制度が適切に、そして安定的に活用されるよう、積極的に人材育成を進めるととともに、高齢者あんしんセンターなどの関係職員の理解を一層促していくことが必要であると認識しております。
(5)特別養護老人ホームの運営・整備について
5つに、特別養護老人ホームの運営、整備について伺います。
2015年の制度改悪では、認知症や虐待など一部特例を除き、特養ホームの入所は要介護3以上と制限されました。今年2月、毎日新聞が東京、大阪などの特養ホーム、計1000施設にアンケート調査を実施した結果、約2割が要介護3でさえ入所を見あわせている。要介護1、2については、特例入所を実施しなかった施設は7割を超える実態が明らかになりました。そこでうかがいます。
北区では、特養ホームへの入所を区が調整していますが、制度改定後、要介護1、2の申請状況や入所実績の変化はどうか。また、国に対し、要介護3以上とする施設体系の検証・見直しを要請するよう求めます。
また、先の第1回定例会で全室個室の区内特養ホームから要望があった、空きベッドの利用促進に向けた入所調整の改善について、その後の進捗状況をお示しください。
加えて、4月から開設となった赤羽北さくら荘でも、月8~9万円で利用できる多床室は大変喜ばれ、入所率が高いと聞いています。多床室を備えた特養ホーム整備を、引き続き計画化するよう求めます。お答えください。
【区の答弁】
制度改定後、特別養護老人ホームへの要介護1、2の方の申請は、改定前の4割程度へと大幅に減少いたしました。
しかし、改定後1年間の要介護2の方の入所実績は、制度改定前と変化しておりません。
また、施設体系の懸賞・見直しの要請については、第7期介護保険事業計画の改定も含め、地域包括ケアシステム構築の中で、在宅療養高齢者の住まい方の議論を深めたうえで検討してまいります。
4、第5期北区障害者福祉計画改定にむけて
大きく4つ目の質問は、北区障害福祉計画についてです。
(1)精神障がい者へのタクシー券や福祉手当の更なる拡充を
はじめに、精神障がい者施策の拡充についてうかがいます。
今定例会には、精神障がい者手帳1級の方へ、区が福祉手当を支給する条例が提案されました。会派としても心から歓迎いたします。この区の英断に続き、以前から要望の高い、タクシー券の支給や手帳2級の方にも手当を支給するなど、引き続き、他の障害との格差解消を検討するよう求めます。
【区の答弁】
この度の心身障害者福祉手当の条例改正では、精神障害の状態が重く、入院の割合が高い精神障害者保健福祉手帳1級の方を新たな対象に加えました。
ご提案の2級の方につきましては、一般就労を希望する方も多く、平成30年度からは法定雇用率に精神障害者を加える改正障害者雇用促進法の施行が予定され、精神障害者の一般就労の拡大が期待されています。
精神障害者保健福祉手当2級の方に対しましては、今年度から執行体制の強化を図る就労支援センター北の就労支援により経済的な自立を促進してまいります。
また、福祉タクシー券の支給につきましては、他区の状況も調査し、今後の検討課題とさせていただきます。
(2)高齢化・重度化に対応する通所施設の拡充を
2つ目に、高齢化・重度化に対応する通所施設の拡充についてです。
私は、昨年の第4回定例会本会議質問で、障害者の高齢化・重度化の現状をとりあげ、入所施設やグループホームの整備と共に、区立や民間のB型福祉作業所での運営や施設改善の対応を求めました。区としては、多機能型など生活介護も一定併用できる施設も含め検討していきたいとの答弁でしたが、その後の検討状況はいかがでしょうか。
北養護学校をはじめ、都内では子どもたちが増え、教室が足りない状況も生じている。区内の福祉園も定員の空きが少なくなっているとも側聞しています。そこで、地域バランスも考慮し、福祉園の増設も視野に入れ、検討するよう求めます。お答えください。
【区の答弁】
区立、民間を問わず、中程度の通所施設において利用者の高齢化に伴う障害の重度化が進んでいます。
自力通所や生産活動が困難になった場合には、これまでは、生活介護施設への移行が当たり前と考えられていましたが、施設移行を望まない利用者もいるため、多機能型施設等の検討を行ってきました。
これまでの検討の中では、就労継続支援B型施設の通所困難者への移動支援の実施が実現しました。
また、生産活動が困難になった場合には、民間の施設ではありますが、来年度、既存施設の一部を生活介護施設へ転換することが予定されています。
今後も施設の改善も含め、利用者に配慮した処遇について、検討を進めてまいります。
区内の生活介護の定員につきましては、中軽度通所施設からの移行の影響から定員の空きが少なくなっています。
今後、毎年増加する特別支援学校卒業者の受け皿を確保するためには、生活介護全体の受け入れ定数の拡大を図ることが喫緊の課題になっています。
既存の生活介護施設の定員増加を始め、民間施設を含む就労継続支援B型施設等の転換や民間法人による施設整備の誘致など地域バランスに配慮した施設整備について様々な角度から検討を進めてまいります。
(3)医療ケアが必要な子どもへの支援について
3つに、医療ケアが必要な子どもたちへの支援についてお聞きします。
児童福祉法の改正により、医療ケアが必要な子どもへの支援が義務づけられました。現状では、北療育医療センターや他区の施設で対応されているお子様がいると伺っています。今後、北区での支援を実施するにあたり、ニーズ把握や施設対応についても計画化する必要があると考えますが、区の取り組みをお示しください。
また、重度心身障害児の放課後デイサービスについても、需要があるとみこまれます。専門スタッフの確保や安定的な運営が課題であると認識しておりますが、現在、整備をすすめている滝野川3丁目の障害者グループホームでは、重度障害をもつ方の入所も検討されております。医療ケアとの連携の点からも、重度心身障児の放課後デイサービスも含めた検討は可能でしょうか。区の見解をお聞きします。
【区の答弁】
これまで、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援の整備は、着実に進んでいますが、医療的ニーズの高い医療的ケア児の受け入れは、全国的に大変厳しい状況になっています。
区においても、医療的ケア児を支援する事業所が必要ですが、こうした事業所は少なく、身近な地域で支援が受けられる状況にはなっていません。
ご提案の医療を必要とする障害児施設の必要量の見込みと整備につきましては、今年度新たに策定する障害児福祉計画の中で、ニーズ調査等を実施の上検討を進めてまいります。
次に、重症心身障害児の放課後等デイサービスの整備についてお答えします。
現在、重症心身障害児の放課後等デイサービスの提供は、嘱託医、看護師、保育士と機能訓練士等の専門職の確保が困難なため、区内での設置は1ヵ所だけとなっています。
今後、医療的ケア児も含めた重症心身障害児の増加が見込まれる中で、医療的なサービスを提供できる施設の重要性は高まっています。
滝野川3丁目に整備予定のグループホームは、年度内に運営事業者の公募を予定していますが、放課後等デイサービスについても、応募法人が併せて提案できるよう検討してまいります。
5、子どもの未来応援事業の具体化について
大きく5点目に、子どもの未来応援事業の具体化について質問します。
昨年度、子どもの貧困対策に関する実態調査をふまえ、「北区子どもの未来応援プラン」が策定されました。日本共産党が繰り返し求めてきた内容についても重点項目にかかげられ、今議会の補正予算には、ひとり親家庭への学習支援、就学援助の小中学生入学準備費用の前倒しや子ども食堂への支援などが計上されており、心から歓迎いたします。引き続きの充実を求め、以下、5点にわたり質問します。
(1)就学援助の拡充について
はじめに、就学援助についてです。
今年度から国は、生活保護世帯と同水準の要保護世帯の「入学準備金」を、小学生で4万600円、中学生で4万7400円に倍増し、支給は小学校入学前も可能とする通知を示しました。文科省の担当者は「自治体が独自支給をしている準要保護世帯に対しても、単価の引き上げや支給前倒しの動きが拡がることを期待する」としています。
今定例会の補正予算では、前倒し支給は実現するものの、残念ながら準要保護世帯への支給増額までには至っておりません。都内では小金井市、狛江市、府中市などで増額を決めたと側聞しています。是非、北区でも前倒し支給とあわせ、準要保護世帯への支給増額を行うよう求めます。更に、豊島区では修学旅行や移動教室費についても、事後支給を事前支給に改めました。北区でも改善を求めます。
【区の答弁】
子どもの入学時には、一時的に大きな負担がかかることから、新入学用品等購入費につきまして、前倒し支給実施に向けて、今議会に補正予算を計上いたしました。
ご提案のあった、支給額の増額につきましては、引き続き、国の動向や他区の状況を注視しつつ、研究してまいります。
(2)ひとり親家庭の相談・支援について
2つめに、ひとり親家庭の相談・支援についてです。
9月から相談コーナーの設置がスタートします。私自身の相談でも、非正規雇用、ダブルワーク、高校中退・中卒で就労をするにも条件が厳しい、精神的な負担も大きく、子どもに十分かかわることができない、生活の見通しをもつことが難しいなど、困難を抱えながらも、みなさんとてもがんばっておられます。
そうした方々の生活や就労支援にも対応できる総合的な窓口となるよう求めます。専門家の配置状況も含めてお答えください。
また、自分は一人じゃないと安心感や先の見通しが持てるセミナーや交流事業を進めて頂くよう求めます。他区では、「シングルマザーフェスタ」生き方120%応援。ママが元気になるセミナー、子ども達も楽しめる企画など、NPO法人や男女共同参画推進ネットワークとも共同して実施しています。是非、北区でも取り組んで頂くよう求めるものです。
【区の答弁】
ひとり親家庭相談コーナーでは、困難を抱えるひとり親家庭のニーズに応じたきめの細かな支援を展開するために、産業カウンセラーや心理カウンセラー等の専門家を配置し、相談内容に応じて、適切な助言・指導や関係機関、各種支援策の情報を提供いたします。
また、専門家による家計管理や教育資金の準備などの生活支援セミナーを実施することにより、ひとり親が生活の見通しを立てることを支援いたします。
あわせて、ひとり親がお互いの体験を語り合い情報交換のできる交流の場を提供することで、悩みを共有し、安心感を得ることができるだけでなく、生活設計にも役立つようにしてまいります。
(3)子どもの学習支援や就学のための経済的支援について
3つめに、こどもの学習支援や就学のための経済的支援について伺います。
小学5年生を対象にした子どもの実態調査の結果、ひとり親世帯や貧困線を下回る世帯では、子どもの授業の理解度や学習習慣の定着に課題がある傾向が示された中、今定例会補正予算では、児童館を活用し、ひとり親家庭の中学生への学習支援を、週1回実施する委託費が計上されました。
一方、北区では、社会福祉協議会へ委託した生活困窮者自立支援法による子どもの学習支援がすでにスタートしています。教員OBや大学生ボランティアなどのご協力を頂いておりますが、北区から直接の財政支援はありません。関係者の方からは、「協力者を拡げていく上でも、交通費や報酬があれば」との声が寄せられています。
そこで伺います。社協へ委託し実施しているこどもの学習支援事業についても、協力者への財政支援など行うよう求めます。
更に、ひとり親保護者の要望では、就学のための経済的支援が7割を超えるという非常に高い要望となっています。例えば、子どもが私立大学、専門学校に合格しても、入学前に入学金と前期分の授業料をあわせ約70万円近くを払わなければ入学手続きが進みません。その資金が用意できず、入学を断念せざるをえない状況も少なくありません。
現在、北区では授業料などで貸付が受けられる都の母子・父子福祉資金や社会福祉協議会の教育支援資金の活用を案内しておりますが、入学前の支給は可能でしょうか。積極的な周知も含め、是非、あたたかい対応をして頂くよう求めます。
更に、生活保護世帯の大学進学率を上げるために、「世帯分離」を廃止し、アルバイトに追われることなく、学業に専念できるよう給付型奨学金や授業料免除制度の拡充を国・都に求めてください。
【区の答弁】
はじめに、子どもの学習支援事業についての交通費等の支払いについてです。
この事業は、平成28年12月から1ヵ所目の教室を東十条に開設し、今年の8月からは2ヵ所目の教室を開設する予定となっております。
学習支援事業の協力者への交通費等の支払いについては、今後、その意向の把握や意見聴取に努めてまいります。
次に、東京都母子父子福祉資金等の貸付制度についてです。
私立大学等の入学時納付金を本制度により入学前に支給することは可能です。
なお、申請から審査、決定及び交付までに時間がかかるため、余裕をもって事前にご相談いただくよう東京都及び区のホームページ等でご案内しています。
次に、生活保護世帯の大学進学率を上げるための国や東京都への要望についてお答えします。
給付型奨学金制度については、昨年度、文部科学省の検討チームにおいて、その制度上の設計について検討が行われたところです。
平成29年度の特別区長会からの東京都への要望に対し、東京都においても独自の給付型奨学金を創設するとの回答がありましたので、今後の推移を注視してまいります。
なお、授業料免除制度の拡充などについては、国や東京都の今後の動向を注視するとともに、必要に応じて特別区長会を通じて国や東京都に要望してまいります。
(4)子ども食堂のネットワーク化など活動支援を
4つめに、子ども食堂についてうかがいます。
子ども食堂立ち上げや運営に対する補助が予算化されました。早速、期待の声が寄せられています。4月の男女共同参画ネットワークまつりで実施された「子ども食堂に関するシンポジウム」では、関係者の皆さんから、北区子ども食堂ネットワークをつくり、情報・食材の共有、活動交流を深め、こどもが通える身近な地域に、子ども食堂を拡げて行きたい。区内の子ども食堂マップもつくりたい。との要望をお聞きしました。区としても、そうした活動を支援するよう求めます。ご答弁下さい。
【区の答弁】
家庭の事情などにより、孤食にある子どもに対して、安心して過ごせる居場所づくりを展開するためには、地域やNPO、ボランティア団体などの活動を支援することが重要であると考えています。
現在、北区子ども食堂のネットワーク化は、少しずつ広がりを見せております。
区といたしましては、社会福祉協議会とも協力を図りながら、地域やNPO、ボランティア団体などによる子ども食堂に対する取り組みを促進し、連携を深める方策について検討をしてまいりたいと考えています。
なお、子どもの未来応援事業については、本定例会の所管委員会においてご報告をさせていただきます。
(5)保育園の待機児解消、保育士確保・処遇改善、保育料軽減について
5つめに、保育園待機児解消・保育士確保・処遇改善、保育料の軽減について伺います。
日本共産党は待機児解消について都有地、区有地も活用し、認可保育園を柱に整備するよう、繰り返し求めてきました。北区では、今年4月の待機児数が82名と、昨年の232名から大きく減少。昨年度1000名を超える定員拡大に向け、区の保育士も採用し、公立4園の増設をはじめ、積極的に取り組んできた結果と評価しています。
一方で、認可保育園への第1次入所希望に対する不承諾数は、500名にのぼりました。低年齢児を中心とした保育園では、3歳の壁、繰り返しの保活の心配があり、また、少しでも家から近い保育園を願うのは当然の要望です。そこで、引き続き、公私立の認可保育園を中心に、地域バランスも考慮し、更なる待機児解消をすすめるべく、北区の取り組み状況をお聞かせください。
次に、保育の質の確保、保育士の処遇改善、配置基準の拡充について伺います。
待機児解消のため、国は自治体独自の保育士配置基準を緩和するよう求めていますが、子どもの命、成長・発達を保障する「保育の質」確保が重要です。北区の私立保育園園長会からも、処遇改善を十分に見込んだ公定価格や保育士配置基準の改善、抜本的な処遇改善について、切実な要望が出されています。さらに、北区としての公私格差是正をはかる取り組みについて、他区で実施されている保育士応援手当や住宅支援の拡充、夏期休暇の代替職員加算を復活・増額など要望されていますが、区の取り組みについてお答えください。
次に、保育料についてです。今議会でも、第2子以降の保育料無償化へ更なる拡充がはかられたと共に、会派でも重ねて求めてきた認証保育所などの保育料補助が大幅に増額となり歓迎するものです。他区では、認可保育所との保育料の差額を全額補助している区もあり、今後の更なる改善を求めます。お答えください。
【区の答弁】
保育園の待機児童解消につきましては、当初掲げた目標には届かなかったものの、平成29年4月期には、対前年度比で898名の受け入れ数増となりました。
昨年度末に策定した中期計画では、今後も増加が見込まれる保育ニーズに対応できるよう今年度中に159名、平成30年度中に619名の受け入れ数増を進めることとしています。
さらに、平成29年4月期に待機児童数が多く生じた滝野川西地区等を中心に約300名の整備を進めたいと考えております。
なお、今後の保育施設整備については、平成29年第1回定例会の所管委員会での説明の通り、民間保育施設の誘致を基本としながらも、私立幼稚園における長時間預かり保育の拡充などあらゆる方策を検討し、スピード感をもって、待機児童の解消を進めてまいります。
また、現段階における取り組みの進捗状況については、今定例会の所管委員会でご報告いたします。
次に、保育の質の確保、保育士の処遇改善や配置基準の拡充についてです。
保育士の処遇改善につきましては、特別区長会から国に対して行った緊急要望の中で、公定価格でさらなる処遇改善加算を恒久的に実施するとともに、その処遇改善加算が保育士の給与に直接反映する仕組みとすることなどを要望しています。
また、保育士の配置につきましては、国が定める基準を踏まえ、実際の保育の状況も勘案して、適用するものと考えています。
なお、保育士応援手当など独自の加算をしている自治体もありますが、給与などの直接処遇については、国の仕組みとして、公定価格の中で改善が図られるべきと考えます。
一方、保育士宿舎借り上げ支援事業のような、事業者への運営費補助につきましては、採用年数の制限をなくすとともに、保育士以外の職員も対象とするなど、利用しやすい制度となるよう工夫をしています。
また代替職員に関する加算では、補助対象の条件はありますが、可能なものについては平成28年度に創設されました国の保育補助者雇上げ強化事業を活用していただいたところです。
今後も、私立保育園理事長園長会と情報交換を行っていく中で、必要な支援について検討してまいります。
次に、認証保育所等の保育料補助についてです。
平成29年4月期の保育園入所につきましては、緊急対策により、待機児童数は大きく減少しましたが、待機児童の解消にまでは至っておりません。
区民の保育ニーズに早急に対応していくためには、認証保育所等の認可外保育施設での保育サービスも活用していく必要があり、保育料補助の拡充を図ることといたしました。
補助額や補助対象の区分につきましては、北区が今後も認可保育園等を中心とした保育施設の整備を進めていくことを踏まえ、また、他の自治体の補助制度などを参考に設定をしたものです。
なお、詳細につきましては、本定例会の所管委員会でご報告させていただきます。
6、「民泊」に対する北区の対応について
大きく6つ目の質問は、「民泊」に対する北区の対応についてです。
最近、「民泊」と呼ばれる宿泊施設が増えてきています。施設の従業員がいない、普通の住宅などの建物に、観光客が出入りする様子を見かける機会が増えました。インターネットを使って、旅行者に宿泊場所を気軽に提供できるサービスが拡がったことで、参入する個人・企業が増えているようです。
そもそも、お金を受け取って宿泊場所を提供するには「旅館業法」に従って、許可を得る必要があります。しかし、最近、相次ぎ開業している「民泊」施設の中には、法律を守っていない無許可の施設が多く、問題になっています。
王子駅周辺でも区民から、「近所で、スーツケースを持った外国人の人達が出入りしているが、家主が不在。きちんと管理されているのか」「夜、外で話をしていてうるさい」「夜中にベルが鳴り、スマホを見せられて場所を聞かれるが、言葉も通じず困っている」「煙草の吸殻やごみだしも問題」「どこに相談すれば良いのか」などの苦情や心配の声が寄せられています。
現在、国会では、民泊にかかわる規制緩和の法律が検討されていると聞いていますが、北区では、「民泊」に関する区民の苦情や心配にどのように相談にのり、対応しているのでしょうか。区内の実態を把握し、近隣トラブルを回避し、生活環境を守るための対処についても検討すべきと考えますが、区の取り組みをお聞かせください。
【区の答弁】
まず、民泊に関する苦情や心配にどのように対応しているのかとのご質問です。
区では、住宅への見知らぬ人の出入りや生活騒音等の区民からの苦情や相談内容に応じて、現場を確認するなど対応しているところです。
また、消防法や建築基準法などによる建物用途の規制を受ける場合には、消防所と区が連携し、是正指導を行っております。
なお、旅館業営業に該当する場合には、旅館業法の申請を行うよう指導してまいります。
次に、実態を把握し、生活環境を守るための対処への区の取り組みについてです。
民泊と呼ばれる宿泊施設の所在地や営業実態の把握は、現状では困難でありますが、今国会で民泊サービス事業者の届け出制や仲介業者と管理業者の登録制を義務付けた住宅民泊事業法が成立し、併せて旅館業法の一部改正により、無許可営業者等に対する規制が強化されることになりますので、民泊の状況が明らかになってくるものと考えております。
区といたしましては、国の法整備の趣旨にのっとり、地域住民とのトラブル防止に留意し、適正な民泊サービスが実施されるよう、監督事務を実施してまいります。
7、十条地域のまちづくりについて
最後の質問は、十条地域のまちづくり問題についてお伺いします。
はじめに、道路事業による既存商店街への影響について伺います。
これまで会派では、特定整備路線補助73号線の整備、優先整備路線補助85号線の拡幅による地域商店街への影響が調査されていないことを問題とし「東京都北区商店街の活性化に関する条例」で区の責務としている、商店街の活性化を図る対応を求めてきました。
第1回定例会では、商店街に対しての影響調査をこれから行うと答弁があり、商店街の個別懇談も、近日中に行われる予定と聞いております。道路事業による地域商店街への影響は避けられないと考えますが、区として、既存商店街を維持するためにどのような対応を行うつもりか、お考えをお示しください。
2点目は、再開発・JR高架化による既存商店街への影響についてです。
先月5月26日、十条駅西口再開発事業組合の設立認可が行われました。また、埼京線十条駅付近の高架構造による連続立体交差化も、今年度中に事業認可申請を行う予定であると説明されています。
計画では、西口再開発ビルには、商業施設が入ることが予定されています。また、十条駅が高架となれば、駅中に商業施設が設けられることになります。
いずれも、既存商店街への甚大な影響が懸念されるのではないでしょうか。
そこで2つ目の質問です。
再開発ビルが建ち、十条駅の高架化事業により、既存商店に与える影響をどのように考えているか、区の見解をお示しください。
【区の答弁】
はじめに、道路事業による商店街への影響についてです。
区では、補助73号線整備で、十条富士見銀座商店街及び十条銀座商店街の一部に、補助85号線整備では、いちょう通り十条駅西口商店街に大きく影響があり、店舗などの用地を提供していただく必要があると考えております。
区といたしましては、地域に根差した商店街は、にぎわいを形成するうえでも貴重な地域資源であると認識しており、補助73号線及び補助85号線の事業者である東京都と連携を図り、道路整備により影響を受ける商店街や町会等のみなさまと意見交換を行ってまいります。
また、引き続き、商店街のさらなる活性化や、町の魅力の向上を目指し、既存の商店街のにぎわい創出や、個店の魅力発信、連携強化など、できる限りの支援に取り組んでまいります。
次に、再開発と十条駅の高架化事業による既存商店街への影響についてです。
十条駅西口再開発事業は、多くの地権者の賛同が得られ、都市再開発法に定める組合設立の申請要件を充足し、本年5月26日に東京都から組合の設立認可を受けております。
今後は、再開発組合が商業・業務などの権利変換計画を作成してまいります。
また、十条駅付近の連続立体交差化計画は、現座、東京都が都市計画案の意見に対する見解をまとめるなど、都市計画の手続きを進めております。
駅中を含む高架下利用については、都市計画決定後、事業の進捗に応じて、東京都、JR東日本と協議を行ってまいります。
区といたしましては、既存の商店街のさらなる活性化の支援に取り組むとともに、再開発事業や十条駅の高架化事業による影響は、商店街によって異なることから、地域のみなさまや利害関係者等との話し合いなどを通じて、個々の事情や意見を十分に把握し、相談に応じてまいります。