2018年第2回定例会代表質問ー福島宏紀
2018年6月19日 | 福島宏紀
質問に先立ち、昨日発生した震度6弱の大阪北部地震でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りし、怪我を負われた方々、被災に遭われたすべての皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。あわせて、通学路、ブロック塀の総点検を緊急に行っていただくことをお願いいたします。
それでは質問に入ります。私は日本共産党北区議員団を代表し、以下大きく5点の質問をいたします。
1、「健康で文化的な生活」を保障する区の生活保護制度を
大きく第一の質問は「健康で文化的な生活」を保障する区の生活保護制度についてです。
(1)生活保護制度は区民生活に深く関わる問題、基準引き下げ等の改悪に反対すること
最初の質問は、生活保護制度は区民の生活全般に関わる問題であり保護基準引き下げ等に反対することです。
本年10月から実施される削減は給付費総額210億円。これで安倍自公政権のもと合計1480億円の削減で、ひとり暮らし高齢者の生活費は約9万円から7万円に。この月2万円もの削減は生存権の保障すら脅かすもので「違憲」と訴訟に。1000人の原告団の代表等が6月7日、国会内で「生保基準引き下げは国民生活全体を引き下げるもの」と会合をひらきました。
また、自公政権提出の生活保護改正等の関連4法案に対し、「子どもの生活底上げ法案」を立憲民主、当時の希望、無所属の会、自由、社民、共産の5党1会派が共闘し、3月共同で対案を提出しました。そこで以下質問します。
1、「健康で文化的な生活水準」を守るため、区は生活保護基準改悪に反対を表明すること。
2、基準の切り下げは最低賃金制度や年金等区民の暮らしに関わる47事業に深くかかわっています。他制度への影響を遮断する対策を講ずること。
3、ジェネリック薬品を「原則使用」としたことは、後発薬を生活保護者だけに強いる「人権侵害」ではの声もあります。後発医薬品の使用について。
以上3点にお答えください。
【区の答弁】
生活保護基準は全国消費実態調査にあわせ5年に一度見直すこととされ、専門的・科学的見地から検証したものです。
また、減額幅は世帯への影響に十分配慮し、5%以内にとどめ、今年10月から3年間の段階実施とするなど激変緩和措置を講じるとしています。保護基準見直しのほかにも、大学進学にあたって一時金を支給する制度の創設などシステム改修が多岐にわたるため、遺漏ないよう進めてまいります。
次に、生活保護基準の引き下げを他制度へ影響させないことについてです。
生活保護基準の見直しに伴う他制度への影響については、政府の対応方針として、その影響ができる限り及ばないようにすることとしており、今後、厚生労働省から示される通知の趣旨に従って対応してまいります。
次に、ジェネリック薬品の使用についてです。
今回の法改正により医師が医学的見地から使用を可能と認めている場合には、原則としてジェネリック薬品を使用することとなりました。区としては医療扶助適正化の観点からもジェネリック薬品の使用が原則であると考えますが、使用できない特別の理由等がある方は、福祉事務所や医師または薬剤師に相談していただくことにより適切に対応しており、必ずしも使用を強制するものではありません。
(2)必要な方がだれでも安心して利用できる生活保護のために
生活保護の2点目は、必要な人がだれでも安心して利用できる生活保護制度についてです。
厚生労働省は5月29日、生活保護基準以下の世帯が平成28年で705万世帯で生活保護利用者は161万世帯としました。生保基準内で実際に生活保護を受けている割合、捕捉率は23%です。これはイギリス87%、ドイツ85%に比べても極めて低く、低所得者の多くが国が決めた「健康で文化的な最低限度」以下の水準で暮らしていることになります。
そこで質問です。
区自らが捕捉率の向上に積極的に取り組むことを求め、
1、国のお世話になるのは恥という「風潮」の克服に区が取り組むこと。
2、憲法25条の意義や生活保護の利用は国民の権利等を区の「生活保護のしおり」とホームページを分かりやすく改善すること。特に「しおり」は福祉事務所だけでなく各種相談窓口に常備すること。
以上、2点お答えください。
【区の答弁】
生活困窮の相談窓口に来られる方に生活保護への強い拒否感を示す方もおりますが、区は相談者の困りごとや望まれる支援などを個々に聞き取り、適切な支援を行っています。
今後とも庁内ネットワークの連携をさらに推進し、必要な方はもれなく生活保護の相談につなげられるよう取り組んでまいります。
また、「生活保護のしおり」については新たに保護を受ける方向けの内容となっており、ホームページへの掲載や窓口への常備は行っておりません。
なお、生活保護制度の適切な周知については、他の自治体の例を参考に研究してまいります。
(3)無料低額宿泊所の現況について
生活保護の3点目は、困窮者自立支援法の改正にともなう無料低額宿泊所利用者の影響についてです。
生活保護法30条は、保護は申請者の居宅で行うことを原則とし、宿泊所は居宅生活が困難な場合に生活指導を兼ねた一時的な場所としています。今回の改訂によりアパート設定までの期間が長期とならないようにすべきです。お答えください。
【区の答弁】
無料低額宿泊所は居宅生活へ移行するための一時的な場所と考えており、利用が長期化しないよう、金銭管理能力、生活維持能力なども考慮した上、アパート等への転居を原則として、今後とも、適切な利用に努めてまいります。
(4)北区の生活保護費横領事件の原因を明らかにして再発防止と信頼回復に全力をつくすこと
生活保護の4点目は、北区の生活保護費横領事件の原因を明らかにして再発防止と信頼回復に全力を尽くすことについてです。
今回の事件は生活保護行政のみならず区民の北区行政全般に対する信頼を根底からくつがえす深刻な事件であります。徹底した原因究明と再発防止に向けた真摯な取り組みが強くもとめられています。
社会的困難をかかえている相談者への憲法25条に基づく人権保障とその業務に直接携わる公務員の倫理観を確立すること。あわせて研修の充実や職場環境の必要な改善にも取り組み、重ねて再発防止への決意についてお答えください。
【区の答弁】
このたびの生活保護費を区から不正に支出させて横領するという、あってはならない事件が発覚したことについて、事件を起こした職員の任命権者であり区の最高責任者である区長として、責任を重く受け止めており、区民の皆さまに対し、深くお詫び申し上げます。
誠に申し訳ありませんでした。
全容解明に向けて、引き続き、徹底した内部調査を行うとともに、再発防止策にも確実に取り組んで、区民の皆さまの信頼回復に向けて、全力を尽くしてまいります。
2、高すぎる保険料、国民健康保険制度の根本的な改善をはかれ
大きく2つ目の質問は、高すぎる保険料等の国民健康保険制度の根本的な改善をはかることについてです。
本年は6月以降、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の3保険料のトリプル値上通知が加入者に届きます。各保険料減免制度の積極的な活用を求め質問に入ります。
(1)都道府県化を機に国保制度のもつ構造的な問題の解決をはかれ
第1の質問は、本年スタートの都道府県化を機に国保制度のもつ構造的な問題の解決についてです。
国民健康保険制度の構造的な問題の第1は、加入世帯の貧困化と高齢化です。第2は、国の予算削減で加入者の保険料が協会けんぽや組合健保にくらべて異常に高すぎることです。協会けんぽと国保の保険料を比較すると次のようになります。
年収400万円4人家族の場合、協会けんぽでは20万2200円、国保では41万円7700円と2倍以上に。
年収180万円単身者の場合、協会けんぽでは8万9200円、国保では12万200円と1.35倍になります。
この国保の構造的問題の解決に全国知事会は、公費負担1兆円増で保険料を協会けんぽ並にする等の要求を国に行いました。
更に全国知事会は昨年7月にも、(1)定率国庫負担の引き上げ、(2)子ども医療費無料化は国制度に、(3)子どもの均等割の軽減、(4)障がい者・児、ひとり親等の自治体が行う医療費無料化のペナルティーの全面中止等を提案・要望しています。
そこで質問します。
1、国保の構造問題の解決に向け、区もあらゆる機会を捉えて全国知事会要望等の実現を国・都に積極的にはたらきかけること。
2、東京都の激変緩和策は6年間に留まりました。「公費繰り入れは自治体でご判断いただく」が政府公式答弁ですので東京都に公費繰り入れに積極的に取り組むことを求めること。
以上、2点答弁ください。
【区の答弁】
国民健康保険制度においては、被保険者の年齢構成の高さと所得水準が低いこと、医療費水準の高さなど構造的課題があることはご指摘の通りです。
北区といたしましては、国保制度改革にあたり、特別区長会として、国に対し、国庫負担割合の充実や低所得層への保険料負担軽減を図るために必要な財政措置などを要望しています。
また、東京都に対しても、国保制度改革を踏まえ、財政運営の責任主体として中心的役割を担うよう求めてまいりました。
今後におきましても、国に対しては、全国市長会を通じ、定率国庫負担割合の増などを要望するとともに、制度改革により、区市町村とともに保険者となった東京都に対し、東京都と区市町村の協議の場である連携会議などにおいて激変緩和措置の拡充や東京都の責任における財政支援などの実施を求めてまいります。
(2)国民健康保険料の値上げで支払いが困難となる方には減免制度の積極的な活用をはかれ
次に国民健康保険の保険料の値上げで支払いが困難なる方への積極的な減免制度の活用についてです。
まずはじめに重すぎる国保料について述べます。
高齢二人世帯に年額15万6803円、母子三人世帯に32万3384円、四人世帯に33万4385円。以上の例は生活保護基準程度の方にかかる保険料なのです。北区の条例減免を病気、事業の休廃止等の「特別な事情のある方」に積極的に活用することを求めて質問します。
減免制度の実績および積極的活用で実効性を高めることについて答弁ください。
【区の答弁】
国保年金課発行の「北区の国保」で公表している平成28年度、国民健康保険料の減免制度の実績は36世帯です。
減免制度の運用につきましては、国保年金課の窓口のみならずワンストップ納付相談において相談に来られた被保険者の方の実情に応じ、適切なご案内と丁寧な対応に努めてまいります。
(3)子どもの均等割減額、多子世帯減額等の実施を
次に軽減策の2つ目は、都道府県化を機に新たな国保料軽減策の動きが始まっています。 そこで北区も積極的に取り組むことを求め、
1、子どもの均等割減額や多子減額等の実施を国、都にはたらきかけること。
2、合わせて北区独自の減額にふみきること。以上、決意ある区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
子どもの均等割減額および多子世帯の負担軽減については北区といたしましては特別区長会として、国に対し財政措置を、東京都に対しては保険料負担軽減策を要望しております。
また、全国市長会を通じ、国に対し子育て世帯の負担を軽減する支援制度創設の要望を行っています。
現在、北区独自に子どもの均等割の減額および多子世帯の負担を軽減することは考えておりません。
3、誰もが安心の介護保険のために
大きく第3の質問は、誰もが安心の介護保険についてです。
(1)介護保険料の減免制度の改善について
第7期の介護保険料が月額675円の値上げで6115円となりました。最初に介護保険料の減免制度の改善について伺います。
区には「低所得者への配慮」とする区独自の減額制度と災害、失業等の特別な事情のある方の条例減免と2つの制度があります。
1つ目の区独自減免には、親族等から扶養を受けていると対象外となりますのでこの条件緩和を行ってください。
2つ目の条例減免についてです。現在保険料滞納者約4000人、サービス利用の際にペナルティーを受ける恐れがある方たちです。減免制度の周知徹底と積極的活用について答弁ください。
【区の答弁】
介護保険料の減額制度には、震災や風水害、生計維持者の死亡や失業など、条例で定める要件に該当する場合の減免と、所得、試算、扶養など、生活困窮として認められる規則に定める要件を満たす場合の減額があります。
保険料の減額制度や、保険料を滞納した場合の給付制限については、これまでも、「みんなのあんしん介護保険」というパンフレット、介護保険料の納付書を送付する際に同封する案内通知、北区ニュースやホームページなど、様々な手段を用いて、広く区民に周知しています。
なお、介護保険制度は、40歳以上の方が、負担能力に応じて保険料を負担しあい、皆で制度を支える仕組みであるため、保険料の減額によって軽減された保険料は、他の被保険者の保険料で賄うことになることから区独自減額制度の条件緩和は、考えておりません。
(2)特別養護老人ホームの整備充実と改善について
次に特別養護老人ホームの整備の充実と改善について伺います。
6月4日行われた介護保険運営協議会では「赤羽北さくら荘」「浮間こひつじ苑」が人材不足で満床になっていないことが議論されました。3年前に北区でこの2施設を含む特養ホーム3施設の整備計画がありましたが、1ヵ所は撤退しました。施設系の介護報酬が大きく削減されたことが理由であることは容易に想像できます。しかし、この報酬削減があったにもかかわらず、区の計画通り開設に漕ぎ着けた2つの施設なだけに胸が痛む思いです。
以下質問します。
1、人材不足・人材確保に対する区の対策・方針について。
2、区内特養の人員不足等の理由で空きがある施設の現況について
3、人材確保に密接に結びつく介護報酬の削減は施設経営にどのような影響があるのか。
4、(仮称)王子みずほの整備の進捗と利用料の社会福祉法人減免を実施について。
以上4点、お答えください。
【区の答弁】
はじめに、介護の人材不足、人員確保対策に対する区の方針についてです。
介護従事者の人材確保につきましては、これまでも福祉の仕事総合フェアや福祉資格取得支援事業を実施してまいりましたが、昨年度は、新たに女性の再就職・介護職就職支援事業を実施し、年間に11人の介護職の雇用が実現しました。
さらに、区が包括協定を締結している帝京大学と福祉施設との橋渡しを行い、学生の特別養護老人ホームへの訪問や実習等の機会を提供し、将来のの福祉人材の確保につなげる取り組みを進めています。
引き続き、あらゆる機会をとらえ、介護人材の確保に努めてまいります。
次に、区内特別養護老人ホームのうち、人材不足による空きがある施設の現況です。
29年4月に開設した赤羽北さくら荘は2ユニット24床が未利用となっています。
また、29年10月に開所した浮間こひつじ園は4ユニット40床が介護職員の人員不足により稼働していない状況です。
次に、介護報酬の削減が施設経営に与える影響についてのご質問にお答えします。
「赤羽北さくら荘」と「浮間こひつじ園」が計画された平成27年度の報酬改定では、当時、介護老人福祉施設の収支差が引き続き高い水準を維持していることや、社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえ、介護報酬全体で、2.27%引き下げが行われました。
その結果、平成29年度に、厚生労働省が実施した介護事業経営実態調査では、平成26年度の介護老人福祉施設の収支差率が8.7%であったのに対し、平成27年度は2.5%に減少したことが報告されています。
介護サービス事業においては、事業費に占める職員給与費が大きく、介護報酬の引き下げが人材確保に与える影響は少なからずあると認識しています。
介護報酬の改定は3年ごとに行われ、平成30年度の介護報酬改定では、0.54%の引き上げが実施されましたので、新たな介護報酬での経営状況を注視してまいります。
次に特別養護老人ホームの(仮称)王子みずほの整備の進捗と利用料の社会福祉法人減免の実施についてです。
(仮称)王子みずほは、当初、平成31年度中の開設を予定しておりましたが、建設予定地の土壌汚染改良工事に遅延が生じているため、開設が遅れる見込みとなっております。
今後、変更後の予定が明らかになりましたら、改めてご報告させていただきます。
また、利用料の社会福祉法人減免については、(仮称)王子みずほにおいても国と東京都の制度を活用して事業を実施するよう事業者に働きかけてまいります。
(3)障がい者の介護保険優先原則問題の改善について
第3の質問は、障がい者の介護保険優先原則問題について重ねて伺います。
障がい者総合支援法の見直しで、高齢障害者の介護保険サービスの利用者負担の軽減措置が実施されることになりました。
「65歳になった障がい者が、使い慣れた障がい者サービス利用がどうなるのか。利用料の負担が増えるのが心配といういわゆる「65歳問題」がどこまで改善されたのか、2つ質問します。
1、この「65歳問題」の対応について区として独自に努力をいただいていることは承知していますが利用者数等サービスの現況についてお答えください。
2、介護保険優先の原則の中、サービスの専門性の確保と利用料負担の改善について、法改定に即した区の対応を答弁ください。
【区の答弁】
区では、障がいが重く、サービスの時間数が多い障がい者が介護保険制度に移行する際には、介護保険サービスに加え、障害福祉サービスの上乗せを行っています。
現在、65歳以上で障害福祉サービスを利用している方は、居宅介護、重度訪問介護、短期入所、生活介護で合計109人います。
今後も引き続き、障がい者に寄りそう丁寧な対応に努めてまいります。
次に、高齢障がい者の介護保険サービスの専門性確保と利用料負担の改善についてお答えします。
平成30年4月に障害者総合支援法が改正され、65歳到達前の5年間にわたって障害福祉サービスを利用していた一定の障がい者に対し、介護保険サービスにかかる利用者負担を軽減する制度が創設されました。
また、障害福祉サービス事業者が介護保険事業所になりやすくする見直しもあり、専門性を確保しながら、介護保険サービスの円滑な利用を促進するとしています。
区では法改正の趣旨にのっとり、適切に対応してまいります。
(4)AIを活用した実証実験の結果と今後の対応について
介護保険第4の質問は、AIを活用した実証実験の結果と今後の動向についてです。
わが党はこの実証実験について、(1)区民のデータ提供、(2)AI導入は北区の行政課題か、(3)給付制限にならないか、の「懸念」を表明しました。こうした北区等が行っている自治体のAI導入の現状について、「法整備」や「職員研修」等の課題も多いと、自治体法務研究誌夏号は、豊橋市の「介護保険利用者へのケアプラン作成」等を紹介しています。豊橋市は、要介護者の自立支援、ケアマネージャーの業務負担軽減、そしてサービスの適正化による介護給付費の抑制を目的としてAIケアプランについての実証実験を行ったそうです。厚生労働省は実証実験の導入結果を検証し、AIプランの実用化を検討する段階に入ったとしています。
そこで質問です。
1、3月まで行われた実証実験の結果および今後の対応について。
2、富士通が実証実験の成果を受け企業が商品化する等、実利がともなう場合も考えられるが、区が締結した協定書等ではどのようになっているのか。
以上2点、お答えください。
【区の答弁】
この実証実験は、近年の要介護認定者や介護サービス事業者の増加により、介護給付費支給に伴う請求内容の分析・指導の業務が増大し、職員の業務負担が増えていることを踏まえ、介護給付費支給に関連する指導業務の効率化を目的に、富士通株式会社が開発した「統計的機械学習(AI)」の分析処理能力の有効性を検証するというものであり、区が同社と協定を締結した上で、研究を委託したものであります。
実証実験の結果について、同社からは、「介護サービス事業者に対する指導監督業務において、業務の効率化や確認観点の強化に貢献できることを確認した」との報告を受けておりますが、この結果を踏まえた同社の対応や、国や東京都などの支援の動向など、今後の動きを注視する必要があることから、直ちに区がこのAIを活用することについては、現時点では考えておりません。
また、今後の商品化等における取り扱いについては、公定書に特段の定めがないため、協議により定めることになると考えております。
なお、今回の実証実験の経過等の詳細については、本定例会の所管委員会で報告させていただきます。
4、直面する課題、「予算組み替え提案」の実現に向けて
大きく4点目の質問は、平成30年度予算編成にあたり新社会党議員団とともに提案した26項目の予算組み替えの中、直面する課題5項目の実現についてです。
第1回定例会では「予算組み替えの財源」について、財政調整基金10億円程度を活用するとしました。出納閉鎖後の積立金は5基金合計で548億円。財政調整基金も156億6000万円と平成29年度末見込みをいずれも14億円上回ることが明らかとなりました。
(1)みなし寡婦世帯に対する非課税制度の適用を
組み替えの1点目は、みなし寡婦世帯に対する非課税制度の適用についてです。
北区は就学援助を最後に行政サービスの全制度に未婚のひとり親世帯の「みなし寡婦・寡夫」控除を適用しました。しかしながら住民税の寡婦世帯に対する非課税制度の適用については国政課題で区で対応することは困難と答弁しています。
住民税は所得125万円、収入で204万3399円までが非課税ゼロですが、「未婚」のシングルマザー場合、子どもひとり扶養で6万1000円。ふたりで3万1000円。3人扶養の場合でも5000円の税負担となり、これに所得税分を含めると約11万円にもなります。
日本弁護士連合会は、(1)母子世帯の平均年収は子どものいる世帯の3割であること、(2)母子の中でも更に困難な経済状況にある非婚の母子家庭にこそ寡婦控除を適用すべき、(3)国連機関からも婚外子のあらゆる差別をなくすよう再三求められていること、の3点を指摘し改善を求めています。
北区は約4000人の寡婦・夫の方が非課税ですが、非婚のシングルマザーは約300人としています。質問に非課税制度は「担税力」のは弱い方への配慮とも答弁しています。
1、そこで、「子育てするなら北区が一番」の北区が、最も経済的に苦しい非婚のシングルマザーの非課税制度適用を国等にはたらきかけること。
2、当面の間、区が独自に支援を行うこと。
以上、熱意あるあたたかい答弁を求めます。
【区の答弁】
「寡婦・寡夫」控除は税法上、法律婚の後、離婚した場合に、言っての条件の下で認められます。
また、「寡婦・寡夫」控除を受け、かつ一定所得以下の納税義務者に認められる個人住民税の非課税制度は、未婚のひとり親に対しては、認められておりません。
未婚のひとり親に対する「寡婦・寡夫」控除の適用については、引き続き、国における税制改正の動向を注視してまいりたいと考えております。
また、個人住民税の計算をする際に、未婚のひとり親に対し、区独自の非課税措置を行うことは、税法上できないものと考えており、他の自治体でも例はありません。
(2)就学援助の小・中学校入学準備金の増額を
組み替えの2点目は、就学援助の小・中学校入学準備金の増額を求めてです。
就学援助の入学準備金の前倒し支給が中学校に続き、小学校も本年度から実施の運びとなりました。この入学準備金は現在小学生で2万3890円、中学校で2万6860円の支給ですが実際にかかる入学の経費とは乖離があります。当事者のお話では入学準備だけで約6万円。すぐに部活の初期費用約2万円。追っかけて夏服の購入と一学期だけでも10万円弱かかるとのこと。そのために組み替え提案では、前倒しと合わせてその増額を繰り返し求めてきたところであります。
この件に関し、昨年度、国の基準が改善。一年遅れとなりましたが今年度、東京都においても財調単価の改善がなされています。
そこで最新の他区の動向もお知らせいただき、北区も小学校・中学校の入学準備金の増額、拡充を今年度中に実施するよう重ねて求めるものであります。
【区の答弁】
まず、他区の動向についてですが、平成30年度都区財政調整の就学援助費「新入学学用費等」単価が改定されたことに伴い、各区とも金額や改定時期について検討中で、具体的な対応は、第3回議会定例会以降になると聞いております。
北区におきましても、現在検討を進めております。
(3)学童クラブ待機児の現状と解消に向けた増設と人員配置を
組み替え提案の第3は、学童クラブ待機児童の現状と解消に向けた増設と人員配置についてです。
保育所待機児の解消と共に学童クラブ待機児解消も焦眉の課題となっています。本年4月、浮間小学校で1クラブ定員40名増、なでしこ小学校1クラブ定員20名増、合計60名の定員を増やし、さらに来年31年4月に向けても浮間、赤羽、袋の3小学校で定員100名増を目指しご努力をいただいています。
しかしながら学童クラブのニーズの高まりの中で新たな事態も生じ、区民相談も増えています。前第1定例会には学童クラブの待機児の解消を求める住民陳情が全会一致で採択されたことはご承知の通りです。
そこで、
1、直近の待機児童の現状とその改善策。
2、1年生から3年生の特例対応および4年生から6年生で実施されている特例対応の昨年度の実績と現状。
3、保育時間、職員体制等の改善策についての3点をお答えください。
【区の答弁】
はじめに、5月末日現在の、学童クラブの待機児童数は120名です。また、改善策につきましては、平成31年度4月の実施に向けて、ご指摘の3小学校で、別棟建設による定員拡大を進めるとともに、その他の学童クラブにおいても引き続き、学童クラブ質の確保等の課題解決に取り組んでまいります。
次に、待機児童特例利用等の状況についてです。
平成29年4月1日現在の、1年生から3年生の待機児童特例利用は105名、4年生から6年生の特例利用は359名でした。
また、平成30年4月1日現在の待機児童特例利用は114名、特例利用は409名です。
次に、待機児童に対する改善策については、第1回定例区議会の所管委員会でご報告しました通り、学童クラブの待機児童の特例利用として受け入れている放課後子ども教室の一般登録において、午後6時までの利用時間の延長を実施するとともに活動場所の確保と従事職員の配置による緊急対策を実施しています。
引き続き、子どもたちの「生活の場」である学童クラブの定員拡大に取り組み、待機児童の解消に努めてまいります。
(4)42名となった保育所待機児の解消に向けた推進策について
組み替え提案の第4は、42名となった保育所待機児童の解消に向けた推進策について伺います。
平成27年度からの3年間の定員拡大は1724名。特に29年度1057名は23区中1位の認可保育所整備率となる積極的取り組みは、4月1日時点で待機児童は滝野川2地区のみ42名と公表し、平成30年度792名、31年度も323名の定員拡大をめざし、待機児ゼロに全力をあげています。
質問は待機児童ゼロに向けての
1、見通しと進捗状況。
2、区有施設、区有地の積極活用提案していますが、具体的には滝野川地域での提案として、旧滝六小学校や旧滝野川北児童館があるが、答弁ください。
【区の答弁】
区では、待機児童の解消に向けて取り組みを進め、待機児童数は大きく減少しましたが、滝野川地区では依然として待機児童が発生しており、受け入れ児童数の確保にと止めております。
現在、滝野川西地区および周辺地区については、私立認可保育所などの募集を行っており、今定例会の所管委員会でご報告いたしますが、新たに2ヵ所の保育施設が開設される予定です。
今後も、滝野川西地区および周辺地区におけるほく施設の誘致などを積極的に進める必要があると認識しております。
次に、区有施設、区有地の利活用についてですが、旧滝野川第六小学校につきましては、学校施設跡地の利活用策を検討している状況です。
また、閉館予定である滝野川北児童館につきましては、施設の有効活用を図るための検討を進め、保育施設の受け入れ児童数の確保に努めてまいります。
(5)小学校、中学校の教育現場の改善とスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門職の増員と正規職員化について
組み替え提案第5は、小学校、中学校の教育現場の改善およびスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門職の増員と正規職員化についてです。
本年第1回定例会は多くの会派が教育現場の改善問題を取り上げました。わが会派も、野々山研区議が労働実態調査、タイムカードの導入、副校長のサポート体制の確立など具体的提案を行い、もっと児童・生徒のために授業に専念する時間がほしいとの現場教師の声も紹介しました。
これらに答えて北区教育委員会は「保護者・地域の皆様へ 学校における働き方改革へのご協力のお願い」の文書を学校経由で保護者等に送付しました。 文書は、学校における働き方改革の推進に向け、現在50を超える様々な課題の検討を重ねている。課題には北区だけでは解決が困難なもの。予算措置が必要なもの等、様々ありますと続け、関係者へ支援と協力を訴えています。
そこで、以下質問します。
1、教育委員会が立ち上げた「働き方検討会」の精力的な検討に敬意を表しながら、新たな決意での取り組みを。
2、タイムカード導入等、具体的な改善に着手を。
3、50を超える課題とありますがどのようなものでしょうか。
ご答弁ください。
【区の答弁】
教員の働き方に関しましては、長時間勤務の解消に向けた取り組みを進め、教員が子どもと向き合う時間を確保して、確かな学力を育成する授業を保証し、子どもたちの健やかな成長を実現する上で、重要な課題と受け止めています。
このため、教職員定数の見直しや教員の加配につきましては、特別区教育長会等を通じて国および東京都へ要望しています。
学校における働き方改革につきましては、国は、平成29年8月に「緊急提言」をまとめ、同年12月には「緊急対策」を策定しました。
また、東京都は本年2月に「推進プラン」を策定し、区市町村に「実施計画」の策定等を求めています。
これを受け、北区教育委員会では現在、教員も参画した検討組織を立ち上げ、学校における働き方改革の検討を進めており、今年度中にその方向性や進め方についての計画策定を目指しています。
課題につきましては、各学校から様々な事項があげられましたが、主なものとして、タイムカードなど出退勤システムの導入、国および東京都、区などからの調査依頼への対応、給食費等の公会計化、学校施設貸し出し業務の見直しなど、多岐にわたっています。
今後、国の方針に照らし合わせて、区のやるべきことを整理し、具体的な対応策を検討してまいります。
次に各種専門職員の正規職員化についてです。
教育委員会は今年度、専任スクールカウンセラーを配置するなどで不登校相談と教育相談体制の充実をはかりました。具体的には「教育総合相談センター」に総合相談窓口を設置し不登校相談専任のスクールカウンセラーを配置し、スクールソーシャルワーカー等の支援や学校および関係機関と連携するなど充実したものとなりました。
名古屋市における正規職員の採用という先進事例も参考に、今後のさらなる相談事業の充実に向けて、また専門職員の人材確保の点からも増員と正規化は必要と思いますがおこたえください。
【区の答弁】
今年度、教育総合相談センターを新設し、不登校相談担当のスクールカウンセラーの配置や総合相談窓口の設置など教育相談体制を充実しました。
また、ご紹介いただいた名古屋市の取り組みにつきましては、常勤の専門職を学校現場に配置することで、家庭・地域・関係機関との連携の強化など、学校を支援する体制づくりを推進しているとのことです。
今年度、教育相談体制をさらに充実するために、スクールソーシャルワーカーを中心として、2つのサブファミリーを活用した不登校児童・生徒支援のモデル事業を行う予定です。
専門職員の活用や配置のあり方などにつきましては、モデル事業の研究・検証を行う中で、検討を進めてまいります。
5、安全、安心に向けた豊島五丁目団地の諸問題について
大きく第5の質問は安全、安心に向けた豊島五丁目団地の諸問題についてです。
(1)家賃減免制度の創設を都市再生機構にはたらきかけること
最初に、家賃減免制度の創設を都市再生家機構にはたらきかけることについてです。
今、区内には1万2555戸のUR賃貸住宅(公団住宅)があります。毎年10月、公団住宅自治会協議会は居住者に「くらしと住まいのアンケート」調査に取り組み、区内でも豊島五丁目、王子五丁目、赤羽台団地等で実施されました。
1592世帯分、回収率32%の豊島五丁目団地のアンケート調査の結果は、「家賃」問題と居宅内の「修繕」問題に収れんされました。
回答は73%の方が「住み続けたい」と願う一方で、家賃が重い84%、今後払えなく不安が69%と深刻で、年収も150万円未満が22.1%、収入が年金のみ15%との実態を明らかにしました。
公団居住者のこうした実態に、5月、日本共産党の宮本たけし衆議院議員が、都市再生機構法25条4項は「特別の事由が生じた場合においては家賃を減免することができる」の規定があることを示し、家賃減免制度の実施を国土交通大臣に迫りました。また畑野君枝衆議院議員は昨年の民法改正をふまえて居宅内の修繕の負担問題を衆院消費者問題特別委員会で取り上げました。
そこで質問します。
安心・安全で住み続けられる公団住宅をめざし、
1、家賃減免制度の創設。
2、家賃の値上げ分を据え置く現行の家賃減額制度の拡充。
3、室内の修繕負担の見直しについての3点、都市再生機構に積極的に働きかけてください。
【区の答弁】
UR都市機構の賃貸住宅全般の家賃については、近傍同種の家賃を基準として、また、家賃の額を変更しようとする場合においては、変更前の家賃や経済事情の変動等を総合的に勘案し、定められています。
一方、UR都市機構は、住宅セーフティネット法等に基づき、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保するため、特別な事由が生じた場合の家賃の減免措置として、家賃改定に伴う家賃減免や高齢者向け優良賃貸住宅における家賃減額等、低所得高齢者等を対象としたさまざまな措置を講じています。
また、修繕負担の見直しについては、平成32年4月に施行予定の民法改正法や平成30年3月に改訂された「賃貸住宅標準契約書」などを踏まえ、負担区分の見直しについて検討しているとUR都市機構から聞いております。
このような状況から、区といたしましては、家賃減免制度の創設、家賃減額制度の拡充、修繕負担の見直しについて、今後のUR都市機構の取り組みや国における審議の動向を注視してまいりたいと考えています。
(2)豊島四丁目開発による新交差点整備の影響と改善について
豊島五丁目団地の2つ目は、豊島4丁目開発による新交差点整備の改善についてです。
平成29年1月豊島4丁目地区都市計画の変更が告示され開発工事が始まりました。
概略は、(1)ダイオキシン対策工事、(2)区道等の拡幅工事、(3)ホームセンター等の商業施設と222戸のマンションの建築工事です。
質問は、この開発にともなって新設された団地入り口の十字路交差点と団地内バスターミナル改修工事についてです。改修工事全体は7月末に完了ですが、十字路交差点は、4月末に一部が供用開始されました。ところがその新交差点と新たなバスターミナルが歩行者、自転車、車両の動線が錯綜し大変危険な状況を起こしてしまっています。
5月17日にはこの問題の改善のために自治会役員、都市機構、北区、そして団地居住の議員も参加し、従来の横断歩道が新交差点の設置で遠回りになったため、人も自転車も歩行路のないところを渡ってしまうという危険な実態を目の当たりにし参加者一同から改善の声があがりました。
そこで以下4点の要望について区のお考えをお示しください。
1、住民、自転車、車、さらに朝の時間帯は特別支援学校、障がい者通所、幼稚園、民間病院の送迎車両等の安全第一の動線に改善すること。
2、少なくとも安全確保のため、新たな歩行路が必要なこと。
3、タクシー乗り場の位置の改善。
4、北区の地区計画の変更にともなうまちづくりでもあり、関係機関が一致協力して積極的、精力的に事態改善に取り組むこと。
以上、4点の改善についてお答えください。
【区の答弁】
豊島4丁目地区の開発に伴う団地前交差点の十字路化と団地内バスターミナルの改修工事は、交通管理者である警視庁の交通安全上の指導に基づき計画し、団地自治体等のご理解のもと進めてきたところです。
しかしながら、本年7月までの工事の進捗の過程で、特にバスターミナル周辺では、これまでの動線を大きく変更したことに伴い、歩行者の動線が迂回することになり、結果として、都バス等多くの車両が奏功する車道を歩行者が縦横断するなどの課題が生じていると認識しています。
区といたしましては、UR都市機構と今回の状況を早い段階で確認し、団地自治会役員の方々との現場確認を行うとともに、応急措置として、交通サインの追加の掲出などの対応をUR都市機構に求めてきたところです。
UR都市機構からは、限られた団地構内のスペースの中で、警視庁の始動を前提として改善策の検討には限界がある、と聞いていますが、一方で、当初の計画の周知徹底だけでは十分な解決には至らないという点で共通認識を持っています。
そのため、ご要望につきましては、UR都市機構に現状を踏まえた歩行者等の安全性・利便性を一層重視した新たな動線の確保等がされるよう検討を求めていきます。
(3)介護送迎車等の駐停車場の改善について
最後の質問は、通所サービス等の介護利用者や家族の負担軽減のために、各号棟に設置されている駐車場へのアクセス道路を柔軟に活用して、介護送迎車等の駐停車場の改善をはかるようはたらきかけることを求め、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
【区の答弁】
団地内の通路は交通規制の対象外であり、UR都市機構からは、居住者等の安全管理の必要から、団地官憲者以外の車両の進入は、原則禁止をしているとうかがっています。
区といたしましては、居住者の安全管理が確保できる範囲で、ご提案の趣旨の実現について、UR都市機構に申し伝えます。