2018年第2回定例会個人質問ー本田正則
2018年6月20日 | 本田正則
私は、人口推計と区民の暮らし最優先での施策充実について、住民の合意過程を経ていない都市計画道路について、都市計画マスタープランの改定について、コミュニティバスの改善について大きく4点質問します。
1、人口推計と、区民の暮らし最優先の施策充実について
第1に、人口推計の乖離から、教育環境や区民生活に影響を与えていることについて区長・教育長の見解を問うものです。
(1)人口推計の乖離から、教育環境や区民生活に影響を与えないために
最初の大きな質問は、人口推計と、区民の暮らし最優先の施策の充実についてです。
学校適正配置計画では、予想を超える大規模開発が進んだために、桐ヶ丘郷小学校や王子小学校で教室不足となり増築が行われました。桐ヶ丘中サブファミリーでは、統合方針を審議中に、児童数の乖離が明らかになり協議を打ち切ることになりました。さらに、小中一貫校をめざす神谷地域でも開発による大幅な児童生徒数増が見込まれ校舎のキャパシティが心配になっています。また、滝野川紅葉中サブファミリーでは、学校統合後の跡地利活用検討委員会でPTA会長から「子どもが減ると言ったのに増えているではないか」「グランドや体育館が狭すぎて部活の場所確保ができず早朝からの朝練を振り分けるなどの影響が出ている」と怒りの声も出て、滝野川第六小は売却や貸し出しして大丈夫なのかの声も出ています。
共通しているのは予想以上の人口増です。人口推計からの乖離によって、施設が不足したり、計画変更を余儀なくされる心配がでているのです。
そこで5点質問します。
1、予想以上の人口増の要因を区としてどのようにとらえているか。
2.人口推計からの乖離と施設不足について、どのような見解を持っているか?
3、人口推計に大きな影響を与える大規模開発については、情報共有体制を整えるべきと考えます。とりわけマンション計画が相次ぐ神谷中サブファミリーでは小中一貫校に与える影響の正確な分析を行うこと。
4、大規模開発で人口増が予測できる十条富士見中サブファミリーでの適正配置協議は、開発の姿が見えるまで、適正配置協議をいったん中止すること。
5、学校跡地利活用検討中の滝野川第六、赤羽台東の両小学校や、売却が中止された清至中をはじめ、今後開発による人口増が見込まれる場合は、必要な施設用地として確保しておくこと。
以上5点ご答弁ください。
【区の答弁】
はじめに、予想以上の人口増の要因をどうとらえるかについてお答えします。
ここ数年の北区の人口増加の背景には、日本全体において、人口現象が進行するなかでも、人口の東京圏一極集中が続いていることがあります。
また、北区において、工場跡地の大規模開発や民間集合住宅の堅調な建設、あわせて子育て施策や教育の充実などに一定の評価をいただいたことも要因と受け止めています
さらに、国全体が外国人入国超過の状況にある中、北区においても例外ではなく、外国人人口の増加も要因の一つとなっています。
次に、人口推計からの乖離と施設不足についてです。
北区の児童・生徒数はここ数年増加に転じており、この傾向は当分の間継続するものと考えています。
教育委員会としては、毎年東京都が公表する教育人口推計の数値を踏まえ、学校および関係かと緊密な連携を図りながら多目的室を転用するなどの方策を講じることで必要な普通教室の確保に努めているところです。
昨年秋に公表された教育人口等推計によれば、直ちに教室数が不足する事態は生じないものと考えていますが、長期的な見通しについては、さらに詳細な調査・分析を行う必要があります。
北区関係部課の協力を得て、大規模開発の動向等を把握するとともに、今回北区が実施した将来人口推計について、学区域ごとの分析を行ったうえで、現在検討中の長寿命化・改築改修計画等において適切な対応策を検討してまいります。
なお、神谷中サブファミリーにおける小中一貫校の建設にあたっては、周辺のマンション計画など最新の動向を見ながら、当該学区域の児童・生徒数を分析したうえで、今後の設計作業を進めることにより、北区初の施設一体型小中一貫校にふさわしい教育環境の確保に努めてまいります。
次に、十条富士見中学校サブファンミリーブロックの学校適正配置についてです。
本ブロックでは、平成28年度に小学校適正配置検討協議会を設置し、協議を行っております。
平成30年5月のブロック内、5つの小学校の児童数は1065名で、適正規模の12学級は1校、他の4校は6学級から8学級で、大規模開発による児童数を見込んでも5校全てが長期的に適正規模を確保するのは難しい状況です。
引き続き児童数や都市計画事業の動向などを踏まえ、協議を進めてまいります。
次に、人口増の見込まれる地域の学校跡地は確保しておくべきとのご質問です。
学校跡地は、「北区学校施設跡地利活用指針」に示すように、都市部において貴重なまとまった空間であり、区民共通の資産と認識しており、基本計画の実現やそのための財源調達手段として、有効に活用すべきものと考えています。
こうした認識の下、北区全体の課題、地域の課題、人口動向等も含めた当該地域の現状なども考慮し、できる限り迅速に利活用計画の策定に取り組みんでいるものです。
また、計画策定後、本格活用に至るまでの間、行政需要も見極めながら、可能な範囲で暫定活用を図るなど有効な活用に努めていく考えです。
(2)公共施設再配置計画、経営改革プランなどの見直しを
次に、公共施設再配置計画、経営改革プランの見直しについて質問します。
様々な計画を立てる上で人口推計は大きな指標とされてきました。しかし、推計の乖離によって、思わぬ需要が発生し、施設不足の懸念がでました。施設計画は余裕をもって立てる必要があります。
重大なのは、そうした事態のおおもとに、北区のいわゆる「行革」方針があります。経営改革プラン2015では、北区の人口がピークを迎える時期を今から5年後の2023年、その数を33万6千人としています。今すでに人口は35万人を超え、区は今後10年は人口が増加するとしていますので、そもそも計画の前提が失われています。
さらに公共施設再配置方針にいたっては、最終提言で人口のピークを2012年、その数を約32万人と経営改革プランよりはるかに低く見積もっています。その中で、公共施設総量の15%削減目標を打ち出しているのですから、本来必要な施設や拡充こそ求められる施設が、逆に削減、統廃合されていく計画となっています。
現に人口が伸び、施設需要が増している時に、過去の人口推計にしばられて施設削減を進めることは、区民ニーズに著しく逆行します。
そこで3点質問します。
1、今年3月の予算特別委員会の答弁では、10年後まで人口は増え続け、その後は減少するとの答弁でしたが、ピークは10年後で変わりないのか、何人との推計か。大型開発の影響、子育て施策強化の影響など折り込んだのか、お聞きします。
2、経営改革プランは、2年後の見直しに向けて施設不足を招かないよう人口増を見込んで余裕を持った計画に改めることを求めます。
3、公共施設再配置方針の「15%削減目標」は非現実的です。10年間の人口増に見合う計画に見直すことを求めます。
以上3点お答え下さい。
【区の答弁】
はじめに、人口推計の結果とその根拠についてです。
今回の推計結果は、前回の推計調査よりも人口のピークとなる次点が5年後ろ倒しとなり、平成40年に総人口は36万2000人、日本人人口は33万6000人を超え、その後、減少する推計となっています。
過去の社会移動の状況等から純移動率を設定するとともに、区として把握している大型の集合住宅の開発なども、これまで同様繁栄し、推計をしています。
社会移動における転入超過や出生率の増に伴う人口の増加に、子育て施策の強化が影響していると考えておりますが、子育て施策の成果を数値化し、推計に直接反映するのは難しいと考えています。
なお、人口推計調査結果の詳細につきましては、本定例会の所管委員会で報告させていただきます。
次に、経営改革プランの2年後の見直しと、公共施設再配置方針の削減目標の見直しについてお答えします。
経営改革プランや公共施設再配置方針は、その時々の人口推計調査を基礎として策定しましたが、近年の人口増加によって、当時の推計とは乖離が生じています。
しかし、こうした計画は、将来人口の推計とともに、少子高齢化の進展や公共施設の更新需要など、区政の課題を踏まえて検討し、策定したものです。
区ではこれまで、年少人口の増加や保育ニーズの高まりに対応するため、保育園や学童クラブの施設整備に取り組む一方、役割を終えたと考えられる施設については、統廃合や廃止を行ってきました。
今後の施設の具体的な再配置については、新たに作成した人口推計調査を踏まえつつ、地域の実情や区民ニーズの変化、施設の老朽化などを見極めながら、新たな経営改革プランに位置づけてまいります。
なお、今回の人口推計調査では、平成40年まで北区の人口は増加すると見込んでいますが、中長期的には、人口減少は避けられない状況です。
また、少子高齢化が進展する状況を踏まえますと、区税収入の大きな伸びを期待することは難しく、老朽化した施設に係る多額の更新費用への対応が困難である状況は変わらないことから、現時点で施設総量の削減目標を見直すことは考えておりません。
(3)定住対策の強化について
人口推計に関わる質問の3点目は、さらに年齢構成の回復を進めるため、つまり年少人口、生産年齢人口の定住化にむけ、民間賃貸空き家対策に絞って質問します。
毎年の予算決算の特別委員会資料では、0~5歳、6~10歳、そして30~39歳の年齢階層が、転入より転出が多い状況です。二人目三人目を産んでから転出しているご夫妻が上回っている状況を思い浮かべます。
夫婦常勤非正規などの子育て世帯にとっては、転居先の確保が重要になります。公営賃貸住宅への入居の可能性も出てきていますがまだ数が少ない。そこで区内に1万戸近くある民間賃貸空き家の活用が大事です。神戸市の居住支援協議会は、移住住み替え支援機構立ち上げ、マイホームを子育て世帯などに転貸する仕組みを作ったり、子育て世帯の住まい探しや、転居の支援を行っています。この賃貸住宅への区内転居を促進する上で居住支援協議会が十分な機能を持つことが求められます。
北区は今年度立ち上げをめざしていますが、区長は、東京都の協議会で、不動産関係団体から、住宅確保要配慮者の入居に際し、入居後の家賃滞納など、借主とのトラブルを懸念する家主の声が寄せられ、理解・協力が進まない状況が続いているため、物件登録、物件確保が進まないという課題を紹介していました。
そこで、居住支援協議会設立にあたり、貸主側の懸念を払しょくし、物件確保・登録を進めるという課題解決をし、全庁体制で取り組むため4点質問します。
1点目、障害者や高齢者の生活支援に携わる実績豊かで信頼に足るNPO等と密接な関係を築き、居住支援法人となっていただくこと。
2点目、高齢者・障害者・低所得者と、貸し主を結びつける実績のある不動産屋さん、大家さんたちと結びつきを作り、連携して多くの大家さん、不動産屋さんに納得していただくこと。
3点目、関連業界との協議の到達点。
4点目、庁内福祉分野との連携の到達点。
以上4点、お答えください。
【区の答弁】
住宅確保要配慮者への支援を進めるためには、貸主側の懸念を払拭することが大変重要であり、居住支援を一層進めるためには、現在も大きな役割を果たしていただいている貸主や不動産関係団体の協力が欠かせません。
また、住宅確保要配慮者には高齢者や障がい者、ひとり親家庭が多く占めることから、生活支援に関わる事情をよく理解し、日頃から福祉分野で支援活動を行っているNPO法人など関係団体との連携強化も大変重要になってきます。
区といたしましては、居住支援を推進するため、今年度、居住支援協議会の設立に向け検討を進めていますが、これらの課題には、まちづくり部門や福祉部門をはじめとした町内横断体制により、協議会設立に向けた関係団体との協議や情報交換を通じて、より円滑な居住支援体制を構築していくことが必要と考え、取り組んでまいります。
2、住民の合意過程を経ていない都市計画の事業中止・見直し・計画廃止に向けて
大きな2つ目の質問は、住民の合意過程を経ていない都市計画の事業中止・見直し・計画廃止に向けて3点質問します。
(1)特定整備路線の行政不服審査の現状について
第1は、特定整備路線の行政不服審査の現状について問うものです。
ご存じの通り、区内2路線3区間で訴訟になり、81号線も大半は豊島区内ですが用地買収が進んでいません。今日質問するのは行政不服審査の現状です。
28区間中10区間で、4262件の行政不服審査請求が出されました。国交省への請求は例年150件~200件に対し、その20倍にもなります。第三次事業化計画で、必要性や優先度が低いとされた路線も含め、改めて住民の意向も問うことなく、いきなり2020年までに完成させるというのは異常です。しかも、申請から4年目に入ったのに回答が320件です。簡便で迅速な人権救済措置としての役割を果たしていないではありませんか。国に対し、早急な審査と、審査の終了までの執行停止を求めるべきです。お答えください。
【区の答弁】
国土交通省による特定整備路線の事業認可については、区内の都市計画道路補助73号線や86号線にかかわる住民の方々から、行政不服審査法に基づく不服申し立ての審査請求がなされていることは承知しています。
一方、審査庁による採決など処理状況について、区としましては、事業を取り巻く状況を踏まえ、審査庁において適切に対応されているものと考えております。
(2)補助92、85号線等は、住民合意のないまま事業認可申請を行わないよう都に働きかけを
第2に、第四次優先整備路線として事業化を待っている補助92号線と補助85号線について質問します。
補助92号線に関しては、第三次事業化計画で優先整備路線としての事業化が図られました。説明会では田端1丁目でも、荒川区西日暮里4丁目でも多数の質問、反対意見が積み残されたまま終了しました。事業予定区間全体の半分以上を占める荒川区側では、町会の8割の世帯から反対の声が上がり、西川区長が合意のない計画推進は容認できないという立場で一貫しており、事業認可申請に必要な境界測量は行われておりません。
北区でも、荒川区民とともに補助92号線を考える会に参加している方々がおられます。区界までの行き止まり道路をつくることはできないのですから、北区も、東京都に対し、合意を得られない限り事業化しないよう要請することを求めます。ご答弁ください。
補助85号線は、埼京線の高架化とセットで都市計画の変更を行いました。この計画は、商店街のほとんどすべての店舗が移転対象になります。商店街の合意も、権利者の合意も得られていないのに都市計画決定したものです。北区は、改めて東京都に、住民の合意ができないのに事業認可申請すべきでない旨要請すべきです。答弁ください。
【区の答弁】
東京都と特別区等では、道路が持つ機能の必要性を踏まえ、概ね10年間で優先的に整備すべき路線を定めた都市計画道路の第四次事業化計画を平成28年3月に策定しました。
区といたしましては、当該都市計画道路につきましては、必要性の検証がなされていることから、事業化および事業認可申請を行わないよう要請することは考えておりません。
(3)都市計画道路の見直しを住民参加で
第3に、都市計画道路の見直しを住民参加で行うことを質問します。
東京都の都市計画道路は、旧憲法下の1946年の戦災復興院の告示から72年目、1968年の新都市計画法以後からも40年を超えようとしています。ところが、国も都も、周辺住民や利害関係者に、一度も直接問うこともなく、権利を制限し、事業を認可し、予算や手続きを執行するという「国家高権の時代」のような行政を行っています。今、概成路線の見直しが都区間で進められていると聞いています。北区は、たとえば補助91号線や補助89号線のような未着手区間、概成区間のすべてについて、自ら周辺住民の意見を聞いた上で、東京都に意見を述べるよう求めますが、ご答弁ください。
【区の答弁】
現在、東京都および区市町は、平成28年に策定した東京における都市計画道路の整備方針に基づき、優先整備路線以外の未着手の都市計画道路を対象として、「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」の検討を行っております。
検討では、未着手で計画幅員までは完成していないが、現況幅員が一定の機能を満たす概成道路等についての検証を進めており、補助91号線および補助89号線も検討対象路線としております。
東京都及び区市町は、今回の基本方針の策定にあたって、「検討の中間のまとめ」や「基本方針(案)」に対するパブリックコメントを実施するとともに、学識経験者の意見を参考に検証を進めるとしており、パブリックコメントを通じて、広く区民の皆さまの意見をいただいてまいります。
3、北区都市計画マスタープランの改定にあたって
大きな3つ目に、現在進めている都市計画マスタープラン2010の改訂作業について3点質問します。
(1)自治事務にふさわしく、プラン策定過程での住民参加の充実を
第1は、策定の過程での住民参加の充実を求めるものです。
先日第1回の専門部会が開かれました。今年度末の素案策定まで今年度2回来年度2回のワークショップを、区民団体代表と、区民公募委員で行うことと、区民アンケートを行うことが報告されました。ワークショップでは、公募委員2割をもっと増やすことを求めます。また、昨年からの庁内検討で、改訂方針案と改訂骨子案がすでに出されています。区民誰もが説明を聞き、意見が述べられる公聴会、説明会を素案決定後だけでなく、現段階でも設定することを求めます。ワークショップの公募委員増と、早期の説明会開催の追加について、お答えください。
【区の答弁】
区では、都市計画マスタープラン改定にあたって、北区都市計画審議会に専門部会を設け、区民公募による臨時委員の増員を図るとともに、初めての取り組みとなるワークショップの開催や、中学生を対象としたアンケートの実施など、一層の住民参加の充実を図っております。
ワークっショップでは、区と区民等との協働の視点から、区民、PTA、町会・自治会、商店街、産業、障がい者団体、民生・児童委員、外国人など、幅広く参加者を募っており、それぞれの構成割合は適切と考えております。
また、現段階における北区都市計画マスタープランの説明会等の開催につきましては、今後の区民および中学生アンケートやワークショップを通じて、北区の魅力や改善すべき事項などの区民意向を踏まえ、課題や方針を検討し、都市計画審議会および専門部会での審議を経たうえで、地区別に説明会を開催してまいります。
(2)都市計画についての住民合意の仕組みづくりを
第2は、住民合意の仕組み作りについてです。現プランでは、第5章に区民全体のまちづくりの進め方が(例)として記述され、5つのステップの第3ステップとして、地区住民や関係者との合意形成、第四ステップでルール作り、第5ステップで実践と記述されています。まさに都市計画決定や事業化は、例えば沿道協議会のような合意ステップを踏んで取り組む仕組みとすることを、マスタープランに書き込むべきだと考えますがご答弁ください。
【区の答弁】
現北区都市計画マスタープランでは、区民によるまちづくりの発意に基づく自主的な活動について、基本的なまちづくりの進め方を例示しております。
区といたしましては、こうしたまちづくりや、都市計画決定および事業化は、その内容の違いにより、進め方もさまざまであると考えております。
同マスタープラン改定にあたっては、区民と区の協働によるまちづくりの推進について、たがいに知恵を出し合い、創意工夫を重ねていくことが大切であるとの観点から、議論を進めてまいります。
(3)バリアフリー計画の前進のために
マスタープランの第3は、バリアフリー計画を前進させることについてです。
現在バリアフリー基本構想策定協議会で、2016年に新法に基づく全体構想ができ、順次赤羽、滝野川と地区別構想ができて、今年は王子の地区別構想の策定に入っています。各地区別の特定事業計画も順次策定しています。しかし、2002年に作られた旧法下の基本構想、計画が完了していないので、バリアフリー化推進のために4点質問します。
まず田端駅の高台へのエレベータ設置です。元気な内にできるのかと切望されています。様々な困難があり試行錯誤を繰り返してきました。今年度、実施設計を完了し、契約、工事まで進めるのか? 難工事が予測されますが何年くらいで完成するのか? 今回の設計で困難となった場合はどうするのか? 現状と決意をお示しください。
2点目に、これも田端駅の旧構想で、東京都道部分の段差解消、点字ブロックの設置、舗装凹凸の解消が昨年2月未完了でした。遅くなっているのはなぜかお答えください。
3点目、舗装凸凹に関して、田端文士村の脇の歩行空間改善の要望が相次ぎました。現場は、歩道ではなく、民有地で、地区計画により壁面後退した歩道状空地です。そして、不同沈下でかなりな凸凹ができています。北区から、ビルの管理会社に改善を要望したとのことですがどのような対応がなされたのか? どのような課題があるのか? お答えください。同時に、マスタープランのなかに歩道状空地の管理などについてルール作りをしておく必要があると思いますがご答弁ください。
4点目、新しい地区別構想策定に当たって、バス事業者からは、バス停の数が多く、案内設備や低床バスと歩道の高さ調節など、すべてのバス停での改善が難しいとの発言がありました。こうした、事業者との調整の課題をどのようにとらえていますか?国や東京都の支援も必要と思いますが、要望しないのですか?お答えください。
【区の答弁】
はじめに、田端駅の高台へのエレベーター設置についてです。
田端駅高台地域におけるエレベーター設置事業は、平成24年度の東台橋付近の工事中止以降、あらためて設置場所および整備方法について再検討を進めてまいりました。
この度、取りまとめた基本設計は、周辺建築物への影響や管理上の問題、延長経路など総合的に検討した結果の最適案と考えております。
詳しくは、所管の委員会で報告いたしますが、区といたしましては、この基本設計に基づき、引き続き、関係機関との協議や関係者などとの調整をおこない、困難となる課題は解決し、着実な事業の進捗を図ってまいります。
今年度は、地元説明会後に試掘などの工事と実施設計を行い、来年度の東京都の無電柱化工事完了後、平成32年度から支障物の移設後、本体工事に着手し、工事期間3年で、平成34年度の完成をめざしております。
次に、田端駅の都道部分の段差解消等についてお答えします。
平成16年度に策定された田端駅周辺交通バリアフリー基本構想では、平成22年度を目標年次としてバリアフリー化を勧めましたが、田端駅前広場から不忍通りに至る都道区間では、平成31年度を完了予定とした東京都による電線共同溝整備事業が行われております。
工事施工中の段差解消や点字ブロックの仮復旧など、当該工事の進捗に併せて随時実施しており、歩行者の安全性確保に努めているとのことです。
次に、壁面後退部分に整備された歩道上空地の管理についてお答えします。
地区計画制度により整備された歩道上空地に管理者からは、早急な改善は難しく、原因の調査や補修方法などの対応が必要であり、今後検討していくとの回答でした。
民有地における歩道上空地の維持管理については、長期にわたり良好な歩行者空間が保たれるよう、完成後の維持・管理を視野に入れた計画的な取り組みが課題と考えております。
区といたしましては、歩道上空地の管理ルールについて、地区計画制度の趣旨や土地の所有権等を踏まえ、今後の研究課題とさせていただきます。
次に、新しい地区別構想策定にあたり、事業者との調整の課題および国や都の支援に関するご質問にお答えします。
バリアフリー地区別構想の策定に当たっては、北区バリアフリー基本構想策定協議会において、事業者間での課題の共有や調整を図り、事業計画を策定し、バリアフリーの推進を図っております。
ご指摘の案内設備をはじめ、短期的に改善できない施設設備もありますが、各事業者において、国や東京都の支援を受けながら、中・長期的な視点に立って、バリアフリー化に取り組んでおります。
国や東京都のさらなる支援につきましては、今後の協議会での議論を踏まえ、必要に応じて対応してまいります。
4、コミュニティバスの改善について
最後の質問はコミュニティバスの改善についてです。今年度、既存ルートの改善検討と、導入候補地の再分析を委託することになっています。2点質問します。
1点目は、既存ルートの乗客増大に事業者・北区がどのような取り組みを行っているかです。
現行ルートの検討段階では、年間3500万円の支出を見込んでいました。現在の支出は平均1000~1200万円程度です。利用者数年々増加しましたが、4年前の2014年をピークに55万人~60万人の間で安定しています。大変便利になった、車いす乗車などで乗務員が親切に対応しているなどおおむね好評です。坂道が楽だという高齢者も多いし、通勤通学にも活用されています。一方で、利用する定期券を購入する場所がなくなって不便だという声を聴きます。観光シーズンに古河庭園前や飛鳥山公園前で、乗り切れない状況を見たという方が少なからずおられます。また公共施設利用者から、夜間の時間延長の要望も聞かれます。利用者増で、安定黒字、経費削減めざして、事業者、北区はどのような新たな努力を行っているかご答弁ください。
【区の答弁】
これまで、事業者と区が沿道の観光施設等との連携や、バス停名称の変更や運転手教育など運行に関する課題を改善してきたことに加え、安定したバスの運行に努力してまいりました。
今後も、利用者増加と利便性向上に向け、必要な改善を図ってまいります。
2点目は、今年度行う既存ルートの改善検討、および、導入候補地の再分析の内容です。10年経過し、実績もふまえた、分析が可能なはずです。既存ルートについては、新たな迂回経路の追加などを含めた見直し・検討を行うという区長答弁もありました。切実な要望実現に向けて、現在の検討状況や、調査内容についてご答弁ください。
積極的な答弁を期待して終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
北区のコミュニティバスは、平成22年度より本格運行を開始しておりますが、バス事業者との運行に関する協定期間は、10年間の平成31年度までとなっております。
このため区では、本年度の展開方針策定調査において、既存路線については必要な改善策を検討し、時期に向けた運行形態等について検証を行います。
また併せて、新規路線については、これまでの導入候補地域を踏まえつつ、社会情勢等の変化をとらえ、新たな視点を取り入れるなど、コミュニティバスを含めたより効果的な方針を検討いたします。