石神井川のゲリラ豪雨被害
都・首都高は補償、緊急対策を
共産党区議団、曽根前都議が申し入れ
「東京民報」2010.8.1付より
 東京を襲った7月5日夜のゲリラ豪雨(集中豪雨)で石神井川が増水し、あふれ出た水が北区堀船・豊島地域を中心に大きな被害をもたらした問題で、日本共産党北区議団と曽根はじめ前都議は7月23日、河川を管理する東京都と都の委託で川の水があふれ出た個所の護岸工事をしていた首都高速道路株式会社(新宿区)を訪ね、原因究明や責任の所在、安全対策、被災した住民や商店、中小企業の補償や生活・営業再建への支援などを要望しました。
 この時の集中豪雨による被害は、床上浸水230棟、床下浸水223棟にのぼり、商店や中小企業の営業も多大な影響を受けました。
降雨量は1時間に100㍉を超え、都や首都高は、対応能力(1時間50㍉)を超えるもので、自然災害だという考えを示しています。

5年前は首都高の違法工事が原因

 しかし問題は、5年前にも同地域で大きな水害を出していることです。
 その時は、首都高が施工した仮設護岸が崩落したことが原因で水があふれ、約400世帯が被災したのです。
 首都高は当初、「50㍉を超える豪雨による天災」としていましたが、都の調査と指導でコスト削減のために現場の余材を使った違法な護岸かさ上げ工事や、ボルト腐食などの施工不良を認め、被災住民に被害補償をしました。さらに都の指導で、護岸整備計画の修正や防災計画の見直しなどを実施。日本共産党は護岸修理の際、防災のために護岸のかさ上げの延伸を申し入れましたが、対策は取られていませんでし
た。
 こうした経緯があるため、今回再び被災した住民からは「5年前の教訓が生かされていない」「自然災害というが、納得できない」「対応が不十分だ」などの声があがっています。
 実際、今回水があふれたのは、下流より護岸高が20㌢低い個所(約70㍍)。水が引いた後、首都高によって土のうが積まれ、応急措置がされています(写真)。
 都への申し入れで曽根氏は、「安全上最も危険な地点であったことは認識されていたはずなのに、対策は取られてこなかった」と指摘。「河川管理責任者としての都の責任とともに、管理を委託した首都高への監督責任も問われる」とのべました。
 都建設局河川部の佐々木健防災課長は、原因について調査している段階だとした上で「20㌢低い所でも1時間50㍉の雨量には耐えられるようになっているが、結果的にあふれた所は弱かったということだ。(住民が)何とかしてほしいという所は、区と首都高と話し合っていきたい」と答えました。
 山崎たい子区議は「50㍉対応ができているからといって、安全上の危険をそのままにしていいということではない。3回目の被害が出たら大変なことになる。少なくとも溢水(いっすい)した個所については、緊急に対策を講じてほしい」と強く要望しました。
 また首都高には、安全対策にかかわる質問書を手渡すとともに、護岸工事の安全対策の不十分さを認めて被害補償することや、水があふれた個所の護岸かさ上げや補強などの緊急対策を求めました。首都高側は、水があふれた個所について「都の指導を受け、さらなる対策を考えていきたい」と答えました。
 申し入れには、山崎区議のほか、福島宏紀、中川大一、さがらとしこ、野々山研の各区議が参加しました。

自然的要因に社会的要因重なる
      気象学者h増田善信氏の話

 災害は、自然的要因と社会的要因が重なった時に起ります。今回の水害は、上流で1時間に113ミリという集中豪雨が降ったという自然的要因に、東京都と首都高が堤防のかさ上げを怠っていたという社会的要因が重なって起ったもので、明らかに都と首都高が河川管理を怠ったことによる人災だと思います。



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