.5堀船水害の被害者説明会に350人が参加
石神井川の豪雨被害
住民説明会で批判続出 首都高、改修実績なし |
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7月5日の集中豪雨による石神井川のはんらんによって、家屋浸水など大きな被害を受けた北区堀船地区で住民説明会が7月30日夜に開かれた。河川管理者の都と、現場部分の管理を委託されていた首都高速道路㈱の担当者が出席。河川はんらん時の状況と今後の対策を説明した。首都高は、大規模な河川改修の実績がないことなどが判明し、住民が激しく批判する場面も見られた。説明会は、3時間に及んだ。
堀船4丁目の新聞社印刷工場の会議室で行われた説明会には、約300人が参加。当初の予想を大幅に超える人が集まった。住民のほか、現場の隣に倉庫があるJT関係者や倉庫会社関係者などが参加。地元都議、区議の姿もみられた。 説明側は、北区と都の建設局、下水道居、被害現場の護岸管理を委託された首都高速道路㈱から合計20人の担当者が出席した。
最初に北区が被害の発生状況などを説明。堀船地区の家屋浸水は、床上221件、床下229件にのぼり、区は7月28日から被災世帯へ見舞金の支給を始めた。
都は、石神井川の管理体制を説明。時間降雨量50㍉を基準にした防災体制を敷くが、当日は石神井川上流の広い地域で降った50㍉以上の豪雨で、50分間程度、水があふれたと見られる。 現場付近の護岸の高さは、水理実験に基づき水面からの高さ5・6㍍を設定。高潮対策で0・2㍍のかさ上げ工事を近年に進めているが、現場の護岸整備は隣接地で首都高速中央環状線を建設している首都高に委託。かさ上げは未施工だった
が、水害後の首都高の工事状況や水防計画の検査について、「特に不備はない」(都担当者)とした。
首都高は、暫定的な緊急対策などを説明。現場の護岸(長さ約70㍍)に大型土のう、高さ0・4㍍分を積み増し、今後は鉄板などで本格補強する方針を伝えた。護岸の破損などはなく、原因はあくまで「想定外の大雨」と説明。施工中の石神井川の流れを変えるバイパスエ事と橋の架け替えなどは、予定どおり進行する意向を示した。
住民の質問では、河川管理と防災体制に厳しい批判が相次ぎ、特に首都高と都に対して怒りと不信感が爆発した。
05年9月、今回の水害発生地点がら数百㍍上流部分で首都高の工事ミスで護岸が崩壊し、約400世帯に被害が発生。原因は異なるが、「首都高の工事でまた水害が起きた」と不信感を強める。
質疑応答では、首都高がこれまで大規模な河川の改修工事で実績がないことが判明。また、住民が水理実験データの提示を求めた際に担当者が「所定の手続きによる情報公開請求の申請が必要」といった返答を繰り返すなど、住民感情を逆なでする場面も見られた。
住民による「7・5水害対策協議会」の代表者は、補償と責任の明確化を強く要請。説明会の継続的な開催を求めた。
都は中長期的に「降雨量50㍉」の基準を「75㍉」に見直す方針を伝えたが、住民の1人は「明日にも再び100㍉規模の雨が降るかもしれないのに、間に合うのか」と強い口調で批判した。 |
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