高齢者医療、年金別に政府試算/さらに増額も
しんぶん「赤旗」5月20日号より 来年四月から始まる七十五歳以上を対象とした後期高齢者医療制度で、年金収入が年百六十万円の人の保険料は年間一万六千六十円(月約千三百円)、三百万円なら十四万百円(月約一万一千七百円)になることが、厚生労働省の試算で明らかになりました。日本共産党の小池晃参院議員が要求したものです。
後期高齢者医療制度では、現在、子どもの扶養家族で保険料の負担のない人も含め、七十五歳以上のお年寄り全員が保険料を支払います。厚労省はこれまで、全国平均で月六千二百円になるという試算を示してきました。年金収入別の額を示したのは、初めてです。
新しい試算では、年金額が年百二十万円から三百万円までの七段階で、収入別に全国平均の保険料を推計しています。(表) 年金(年額)が百八十万円の人の場合、一カ月あたり十五万円の年金から、四千五十五円の保険料を引かれることになります。
参院厚生労働委員会での小池議員の質問(十日)では、試算よりもさらに高くなる危険があることがわかりました。
厚労省は、後期高齢者の医療給付費(約十・三兆円)をもとに保険料を試算しましたが、実際には、健康診断などの保健事業や事務費、葬祭料なども含まれることになります。
小池氏が「試算よりも一割程度は増大するのではないか」とただしたのにたいし、厚労省の水田邦雄保険局長は「全国平均の推計額とは異なった数値になることは十分考えられる」と答弁。試算より高くなることを否定しませんでした。
厚労省は、応能割(別項参照)の料率が、仮に厚労省の想定する約7%から8%に変わると、年金収入年三百万円の場合保険料は年一万四千七百円も引き上がると試算しています。
保険料の算定方法 後期高齢者医療制度は七十五歳以上の高齢者だけの独立した保険で、国民健康保険や組合健康保険などを脱退して新たに加入することになります。財源は、患者負担分をのぞいて、七十五歳以上の保険料(一割)、現役世代の保険料(約四割)、公費(約五割)でまかないます。
七十五歳以上の保険料は、本人の所得に一定の料率(厚労省は約7%と想定)をかける「応能割(所得割)」と、加入者で頭割りする「応益割(均等割)」を合計して、個人の負担額を算出するとしています。
■年金収入別の後期高齢者医療保険料(全国平均:年額)
年金額 |
120万円 |
160万円 |
180万円 |
200万円 |
220万円 |
240万円 |
300万円 |
保険料 |
所得割額(A) |
0 |
4,900~
5,600 |
18,900~
21,600 |
32,900~
37,600 |
46,900~
53,600 |
60,900~
69,600 |
102,900~
117,600 |
均等割額(B) |
11,160 |
11,160 |
29,760 |
29,760 |
37,200 |
37,200 |
37,200 |
保険料総額(A+B) |
11,160 |
16,060~
16,760円 |
48,660~
51,360円 |
62,660~
67,360円 |
84,100~
90,800円 |
98,100~
106,800円 |
140,100~
154,800円 |
※厚生労働省の試算から作成。所得割の料率は7~8%と仮定 |