私は、日本共産党北区議員団を代表して、2013年度東京都北区一般会計予算、並びに国民健康保険事業会計の予算に反対の立場から討論を行います。
東日本大震災からまる2年、被災地では生活の再建も、生業の再建も遅れ、きびしい事態が続いています。3月11日の前日、ことしも「さよなら原発in飛鳥山」集会とパレードを区民のみなさんや、避難されている皆さんとともに開催し、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地と連帯して、引き続き原発企業と政府の責任を追求してゆく決意を固め合いました。
自公連立の安倍首相が政権復帰し、何の反省もないまま「原発再稼働」をねらっていますが、東京電力福島第1原発の過酷事故は、「収束」などしていません。先日の3月18日夜、福島第1原発の免震重要棟で一時的に停電が発生し、1,3,4号機の使用済み核燃料プールの冷却が停止しました。冷却が全面復旧したのは29時間後で、停電の原因は、ネズミのような小動物が電源盤の中に入り込み、感電してショートしたものではないかのこと。配電盤は仮設のまま、野外の荷台に2年間も置きっぱなしで隙間もふさがなかったとは、驚きです。
今回のできごとをみても、「収束」どころか、原発事故は今もなお続いているのです。「再稼働」など、もってのほかです。「再稼働反対」「原発ゼロ」は、広範な国民の声であり、区民の願いです。北区が、「原発ゼロ」の発信自治体となるよう、あらためて求めます。
安倍自公政権は集団的自衛権の見直し、米軍基地の辺野古岸部への移設、消費税増税、さらにTPP・環太平洋連携協定への交渉参加を表明しました。しかし、戦争反対、平和憲法守れ、増税反対、食料主権と国民皆保険制度を守れと、いのちと暮らしをかけて立ち上がる国民との矛盾は深まる一方です。
また、「アベノミクス」による株価の急上昇に、株式市場は浮き足立っていますが、「バブルの再来か」と危惧する声もあがっています。庶民の懐が豊かになり、消費購買力が高まらなければ、デフレ不況からの本当の脱却はできません。消費税増税どころではありません。日本共産党は大企業の抱えている260兆円もの内部留保を活用した賃金の引き上げと、安定雇用こそ「デフレ不況」打開のカギと、政府と財界に実施をせまっています。
都政は、オリンピック招致、圏央道建設推進、築地市場の豊洲移転など、石原都政の継承を公約した猪瀬新知事に代わりました。しかし、「待機児をださないよう、認可保育園を増設してほしい」という子育て世代の切実な願いや、特養ホームや都営住宅の増設など、都民のねがいに応える都政運営が強く求められています。
新年度予算審議に先立つ昨年11月27日、日本共産党北区議員団は花川区長に、予算編成に関する要望書を提出いたしました。区内で活動されている、さまざまな分野、団体からよせられた切実な声を、5つの柱からなる407項目にまとめた「新年度予算要望書」です。
新年度予算に盛り込まれた、多床室を含む特養ホームの新規開設、全高齢者実態把握調査にもとずく見守り支援施策の拡充、住まい改修支援事業の継続と拡充などは、切実な区民要望が反映されたものとして評価しますが、以下に述べる4つの理由から、「2013年度一般会計予算」に反対いたします。
第1の理由は、「社会保障と税の一体改革」、消費税を10%に引き上げる庶民大増税と、社会保障の後退、中でも生活保護削減などに対して、唯々諾々と政府方針に従う北区の姿勢です。
1977年4月、橋本内閣が実施した消費税3%から5%への大増税が、消費を冷え込ませ、賃下げと非正規雇用の拡大で景気を後退させてきました。その上、大企業への特権的減税が相まって、国と地方財政に深刻な影響を与えているのです。政府は、国債を乱発してその穴埋めをするというやり方を繰り返し、それが借金穴埋め型の財政となっています。こうした減収分の影響を社会保障関連経費にかぶせ、歴代政府は「持続可能な社会保障」を合い言葉に、社会保障制度を次々と後退させ、国民負担を増大させています。 また、自公政権が新年度から実施しようとしている生活保護費の基準引き下げは、3年間で総額740億円にのぼり、そのうち、生活扶助費を670億円削減するという内容となっており、社会保障の主軸をなす生活保護制度の基盤をゆるがすものであり、生保基準引き下げは直ちに撤回すべきです。 代表質問をはじめ、委員会や予算審査を通じて明らかになったことは、生活保護費の削減は、その受給者への打撃的な影響にとどまらないということです。生保基準切り下げで、最低賃金やさまざまな収入基準が押し下げられることで、非課税だった方が課税されたり、ボーダーライン層から中堅所得階層を含めた広範な区民への生活破壊につながります。 こうした問題の解決を政府にせまり、区民生活と福祉向上のために、全力を尽くすことが、住民に最も身近な自治体の役割であり、区長の役割ではないでしょうか。 日本共産党は、消費税増税の中止、生活保護基準の引き下げ撤回などを、政府に強く迫ることを求めました。しかし、区長は、「国が決めたことに従う」という姿勢を崩しませんでした。こうした姿勢は認められません。
第2の理由は、「財政危機」をことさら強調する財政運営の手法と、「経営改革5ヵ年プラン」路線を推し進める姿勢です。 今年度予算編成にあたり、北区は「財調基金ゼロになる」といって、「財政危機」を演出しましたが、この手法は区民に誤ったメッセージを発信することになりました。いま北区は、この「財政危機論」をバネにして、「経営改革プラン」を強引に推進し、保育園や児童館などの区立施設に、次々と指定管理者制度を導入しています。こうした中で、指定管理に移行した区立保育園で、職員の大量退職という問題が繰り返され、問題の解決をはかることができないまま、次期契約から撤退するという問題がおきました。 行き過ぎた「民間頼み」が区民サービスを低下させ、官製ワーキングプアを生み出しています。指定管理者制度は、抜本的に見直すべきです。
第3の理由は、「北区公共施設再配置方針(案)」についてです。 北区はこの方針について、3月〜4月にパブリックコメントを行い、7月にも方針を策定しようとしていますが、住民サービスがきりすてられるという重大な問題があります。 問題その1、方針案が、「現状のまま施設を維持し続けていくことは困難」として、「今後20年間で施設総量の15%程度の削減目標」を掲げ、それを大前提とした再配置を行おうとしていることです。 「今後20年間で15%削減ありき」ではなく、10年ごとの基本計画、3年ごとの中期計画でふさわしい施設の配置方法を定め、時々の財政状況を見定めながら着実に実施してゆくべきです。 問題その2、「削減目標」方針を先取りし、施設の整理、統廃合について、区民へのまともな説明も、理解や合意もないままにすすめることです。
区民保養所「はこね荘」は、区民に親しまれている施設で、ことしも年間」1万8千人近い利用者がありました。この「はこね荘」の利用を休止するだけでなく、今年度末のぎりぎりで廃止し、売却する方針を決定しようとしていますが、区民からは「なぜ、区民サービスを低下させるのか」との声が寄せられています。 また、児童館のあり方基本方針では、児童館数削減など、この公共施設再配置方針を先取りする形ですすめられようとしていることです。区民へのまともな説明も行わず、理解や合意もないまま、売却や削減の方針決定をおこなうべきではありません。 問題その3、「改正PFI法」によるPPP手法の導入で、公的責任を後退させ、さらなる民間まかせをすすめようとしていることです。
PPPとは、業務委託、管理委託、指定管理者制度、PFI、民営化、公有地活用、規制・誘導による民間企業呼び込みなど、「官民連携」または「公民連携」のあり方の総称を指す概念です。 この間、指定管理者制度の問題点を指摘してきましたが、このPPP手法というのは、さらに歯止めのかからない「公民連携」、「民間任せ」というべきものです。
第4の理由は、まちづくりの問題です。今議会では、まちづくりを大きく打ち出す予算案が示されましたが、まちづくりをすすめる際には、住民合意がなによりも大切にされなければなりません。
十条西口再開発の高層ビル建設には、いまだ根強い反対の声があります。この声を無視して、上から開発を押しつけることがあってはなりません。 また、3・11東日本大震災の被害や、巨大地震の発生が指摘されるなかで、災害に強いまちづくりをすすめることは当然です。しかし、「木蜜地域防災不燃化10年プロジェクト」では、補助86号線や73号線などの都市計画道路拡幅について、必ずしも住民の賛同を得られていません。このままでは、「防災対策」に名を借りた都市計画事業の推進が、住民の意思に反して、強行されかねない状況にあります。 さらに、東京都がまちづくり財源を明確にしていない中で、北区の財政負担が巨額になる心配もあります。 ところで、今予算委員会では王子駅周辺まちづくりの議論で、突然、区役所新庁舎の候補地について発言が飛び出しました。副区長は、個人的見解としていますが、この発言によって、庁舎の場所という大事な問題を既成事実化するようなことがあってはなりません。本来、区庁舎の建設用地については、区民によく意見を聞きながら、正式な手続きをふんで、丁寧にすすめなければならない問題です。厳しく指摘しておきます。 なお、今議会を通じて焦点となった、緊急に対応すべき課題について、以下7点、あらためて要望しておきます。
1.高額な国保料、介護保険料の軽減措置をこうずること。 2.公契約条例を制定すること。 3.保育園の待機児をなくすための、緊急対策については、認可保育園増設を基本にあらゆる手だてを講ずること。また、保育計画の早急な見直しを行うこと。 4.「児童館のあり方基本方針」については、年度内策定を見送ること。 5.ヘルシー入浴券の自己負担額については、これまで通りの50円に据え置くこと。
6.私道私下水改修費の1割負担導入は見送ること。
7.いじめ問題の解決にあたっては、なによりも子どものいのちを守ることを最優先にとりくむこと。子どもたちに強制を強いるような「条例」をつくらないこと。
最後に特別会計についてですが、「国民健康保険事業会計予算案」は、均等割の負担を増加させて、低所得者へのさらなる負担増をもたらしたこと。さらに、2年間の経過措置終了に伴う新たな軽減策では、その対象が2万人から5千人に大きく減らされ、低所得者、高齢者、多子世帯には一層の困難が生じたことから反対いたします。 介護保険会計を含む3つの特別会計案は、賛成することを申し上げて、討論を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。 |