私はこの 4 月の区議会議員選挙で日本共産党から立候補し当選した宇都宮章です。
昨年 2 月に民間の化学メーカーを定年退職し、再雇用で勤務していた昨年 10 月に立候補を決意しました。その後、選挙までの半年間、約 1200 人を超える方と対話することが出来ました。
この中で、区政に対する要望で最も大きかったのは「お年寄りが安心して長生き出来る北区」でした。
私自身、多くの方から「あなたは、まだ若い。高齢化社会のためにぜひ頑張って欲しい」と激励されました。
私は、大きく2点、高齢者の見守りの問題と、 UR 賃貸住宅における高齢化への対応の問題について花川区長に質問いたします。
1.孤独死ゼロをめざす、高齢者の見守りネットワークづくりについて
大きくひとつ目の質問は、孤独死ゼロをめざす、日常のあたたかい高齢者の見守りネットワークづくりについてです。
この質問の一点目は、町会・自治会の自主的な見守り活動の育成・支援ついてです。
以前、他の会派のみなさんも取り上げてきた王子三丁目町会の活動に対し、区長は、望ましい活動と評価し「今後のこの会の活動状況を見守りたい」と答弁されました。
この町会は、平成19年に法人認可を受けたのを契機に、町会会員の名簿を毎年、整備・更新を行っており、本年4月現在、会員が649人の中で75歳以上の独居世帯は58人と、会員の一割です。そして同時期に、町会では厚生文化部の他に、福祉部を立ち上げ、「命の記録」設置活動を始めました。「命の記録」設置活動は、本人の同意を前提に、その方の生命に関わる医療などの個人情報の入ったプラスティック容器を「命の記録」として冷蔵庫に保管・表示し、救急隊員や支援者が活用するものです。これに登録されている方はすでに、115人にのぼっています。
さらに、福祉部の活動の一環として、昨年7月から 「生活支援ネットワーク」 というボランティア組織を立ち上げました。それに先だち4月からアンケート調査を行い、支援活動に参加できる人、必要な時に利用したい人がいることを確かめました。本年3月まで半年で17件の支援の申し込みがあり、それに応えて、延べ41人の会員が支援活動に参加しました。要望の内容は照明器具の取付け、ゴミ出し、清掃、庭木の片付け、エアコンの調整、水周り関係などでした。
本年3月11日の大震災では、 発災直後の約30分後から町会役員二人で1時間半かけて70軒を訪問し、特に一人暮らしの高齢者から「身体が動かず二階から降りられなくなっていたところ助かった」「気づかってくれて安心した」と大変喜ばれたとのことです。
役員さんの一人は「この活動は単にお年寄りのためだけでなく、支援する側も自分の生きがいを見つめており、明日は我が身と考え、孤独死ゼロを目標にしています」と語っています。
しかし、この生活支援ネットワークは会員40人分のボランティア保険に加入しており、活発なほど保険料の負担が大きくなります。
そこで一つ目の質問です。こうした自主的見守り活動をする団体を、どのように、育成支援していくのか。合わせて、高齢者の見守り活動に取り組むグループに対して、ボランティア保険加入への助成をすべきではないでしょうか。
以上2点、区長の答弁を求めます。
ネットワークづくりの二つ目は、地域包括支援センターの抜本的拡充・強化です。
先日、地域包括支援センターの思いきった職員増を行った新宿区に調査に伺いました。
現在、北区の地域包括支援センターは直営2ヵ所、委託11ヵ所です。昨年までは制度上必要な、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーと事務でしたが、今年度、非常勤1人が増員され、5人体制がとられています。
新宿区では平成22年度から区内9ヵ所の地域包括支援センターについて、職員数を一ヵ所4、5人の体制から8〜10人へと、ほぼ倍加し、ケアマネジャーが3、4人、保健師・社会福祉士3、4人、管理者と事務が各1人とし、手狭になったところは移転して、体制を充実しています。
それまで要支援者の予防プラン作成に追われ、相談・ネットワーク構築などが十分に出来ない状態でしたが、この職員増で相談件数が54%増、訪問相談が57%増、申請件数が61%増、ネットワーク会議開催が96%増になるなど大幅な改善が見られました。その結果、民生委員の新年会にセンターの管理者が呼ばれるようになるなど、地域の認知度や評価が大幅に上がってきたとのことです。
そこで質問です。
地域包括支援センターの職員を北区でも思いきって増やすこと。そのために、新宿区では、地域包括支援センターの運営費、約5億 1 千万円のうち、 2 億4千万円は一般財源を投入しています。北区でもこうした財政措置の拡充を求めます。
以上2点区長の答弁を求めます。
孤独死ゼロをめざす質問の第三は、北区が公的な最低限の責任を果たすための緊急の手立てについてです。
北区では平成15年から、 「おたがいさまネットワーク」 の構築をすすめてきました。在宅の65歳以上の単身者、75歳以上の高齢者のみの世帯を対象に希望者を登録し、地域包括支援センターと民生委員が中心となり、町会・自治会などの協力団体・機関の連携で、月2回程度の訪問活動行ってきました。しかし、 7 万 8 千人の高齢者に対し、見守りの対象となる登録者は467人です。
一方、新宿区では孤独死が社会的に顕在化した平成18年に、庁内横断的な「孤独死対策検討会」を設置しました。それまで既に、配食サービス、緊急通報システムなど高齢者の見守りにつながる12種類の事業が行われていましたが、翌年の平成19年から 情報紙「ぬくもりだより」の訪問配布事業 を開始しました。この事業は新宿区が委託した配布員が高齢者のお宅を月2回訪問して、この情報紙を直接手渡しし、安否や状態を確認するというものです。この「ぬくもりだより」は A4 表裏一枚の比較的簡明な情報紙です。
対象は、一人暮らしで75歳以上の約13400世帯ですが、家族が近隣にいる方、元気で外出が多い人、入院・入所している方などを除外して、合計約4650世帯に配布しています。北区の見守りの登録者467人と比べると丁度10倍規模の見守り活動です。
次に、 見守る側については 、北区の、協力員は69人にとどまり、285 人の民生委員への依存、負担が懸念されます。一方新宿区の「ぬくもりだより」の配布員は社会福祉協議会の見守り協力員354人を含め、約500人が組織されています。訪問宅の不在が続いたり、新聞受けやポストが一杯になっていたり、本人に会えた場合でも心配な場合はセンターに連絡するというものです。担当者の説明では「おせっかいで浅い、やわらかい見守り」と表現されていました。配布員にはできるだけ精神的な負担を掛けないで、活動意欲を大切にする配慮が感じられました。また、北区とほぼ同数の275人の民生委員は年間2回のみ、この配布・訪問活動へ参加しています。
そこで孤独死ゼロを実現するために、 町会・自治会をはじめとする自主性を尊重した活動をじっくりと育成することとは別に、 北区が公的な見守り活動を急いで組織し、構築する必要があると思います。
区長の答弁を求めます。
孤独死ゼロの第四の質問は、この夏に備えた熱中症対策についてです。
東京都保健局によると昨年の猛暑のなか熱中症で亡くなった方は23区で210人に上りました。この内、高齢者、独居者が7割を占めています。
北区では昨年6月から9月にかけて147人が熱中症で救急搬送され、この内、10人の方が亡くなられています。
この夏は平年よりも暑いと予報が出されています。その上、福島原発事故の影響による節電が求められるなか、日中、高齢者が自宅にこもるより、図書館やふれあいコーナーなどの公共施設を利用しやすくすることもひとつの対策と考えます。
昨年の第3定例会で、会派の本田正則議員が熱中症対策を取りあげましたが、区は「地球温暖化等、来年以降のこともありますので、いろいろな点で、研究をしていく必要がある」と答弁しています。
そこで質問です。節電のなか、公共施設の積極的な活用も含め、北区としての熱中症対策を具体的にお答え下さい。
【区の答弁】
宇都宮章(うつのみや・あきら)議員から高齢者施策、及び、UR賃貸住宅に閲し、それぞれの課題をご質問いただきました。
私からは、高齢者の見守りに関するご質問のうち地域包括支援センターについて、お答えをさせていただきます。
1−(2)
地域包括支援センターは地域の高齢者の相談機関であり、地域のネットワークの核としてその役割はますます重要になると考えています。
今後も地域包括支援センターの整備を行うとともに、おたがいさまネットワーク事業や地域包括ケア連絡会、ふれあい交流サロンなどを通じて地域包括支援センターごとの地域のネットワークづくりをすすめてまいります。
また、全高齢者実態把握調査を活かして、支援が必要な高齢者を、サービスや見守りにつなげていけるよう、機能の充実を図るとともに、「長生きするなら北区が一番専門研究会」で、見守りや地域包括ケアを検討する中でも、地域包括支援センターの機能の強化を検討していきたいと考えています。
1ー(1)(3)(4)ア
はじめに、孤独死ゼロをめざす高齢者の見守りネットワークについてお答えします。
まず、町会・自治会の自主的な見守り活動の育成、支援についてです。
王子三丁目町会による取り組みは、地域の共助による支えあいの、町会独自の取り組みとして、注目しています。
ボランティア保険の補助については、子ども、環境、まちづくりなど様々な分野で活動する方が個人でボランティア保険に加入しており、ボランティア活動全体として考える必要があると考えます。
今後、会の活動状況を注視するとともに、元気高齢者の地域活動を促進する中で、研究をしてまいります。
次に、高齢者の見守りネットワークを広げるために、についてです。
区ではおたがいさまネットワーク事業や民生委員の定期訪問により、地域の見守りを行っています。
一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯、認知症の高齢者が増えており、地域における高齢者の見守りはますます大切になると認識しています。
今後、「長生きするなら北区が一番専門研究会」や東洋大学との提携によるモデル調査・研究事業の中で、さらなる地域の見守りの拡充について検討してまいります。
次に、夏季に備えた熱中症対策の強化についてです。
今年も、日本気象協会の予報では、七月は平均並みかやや高め、八月はおおむね平均並みの確率が高いと予想され、加えて過度の節電による影響も懸念されています。
高齢者の熱中症を防ぐためには注意喚起がもっとも重要であり、北区ニュースや、町会・自治会の回覧板、掲示板を活用しての周知に加えて、地域包括支援センターや介護サービス事業所、民生委員を通じての、わかりやすいチラシの配布や声かけを行い、高齢者の熱中症を防ぎたいと考えています。
また、熱中症予防のための冷却用スカーフを地域包括支倭センターに置き、緊急性の高い方に配布する予定です。
1ー(4)
次に公共施設の積極的な活用についてお答えします。
夏季における電力不足対策として、区でも十五パーセントの節電が目標です。
ふれあい舘におきましては、七月から九月にかけまして、曜日を指定して休館を予定しておりますが、隣接する施設で、同時に休館することのないよう、配慮しております。
高齢者ふれあいコーナーも開館日は通常通りの運営です。 |
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