私は日本共産党北区議員団を代表し、花川区長に大きく5点の質問を致します。
民主党・野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を10%に増税する大増税法案を民主、自民、公明の3党で密室談合をかさね、消費税増税法案を会期の延長をにらみながら今国会で採決し、国民に押し付けることで合意しました。しかし、世論調査では国民の6割が増税に反対し、この法案に対する強い批判の声が広がっています。
今回の「社会保障と税の一体改革」が実行されると、消費税10%への引き上げで13、5兆円の大増税だけでなく、年金額の削減、医療などの保険料値上げによる負担増をあわせると年間20兆円もの大負担増になります。
これらの負担増を強行すれば、国民の暮らしにはかり知れない打撃を与え、財政破綻をいっそうひどくすることは明かです。日本共産党は、くらしも、経済も、財政も壊す、消費税大増税の計画に断固として反対します。
同時に、対案として社会保障の再生・充実と、国民所得を増やし、経済を立て直すことを提案しています。
北区政は今こそ、区民にとって一番身近な自治体として、憲法25条を生かす社会保障の再生と拡充に向け、福祉を守る自治体の役割を鮮明にすべきです。そこで、以下、5点質問します。
その一つは、「社会保障と税の一体改革」の名による消費税大増税に対し、花川区長が反対の姿勢を表明することです。区民の目線での答弁を求めます。 二つは、「孤立死」「貧困死」ゼロへ向けた対策です。
高齢者等が誰にも看取られずに亡くなる「孤立死」問題は、一昨年の猛暑による熱中症に続き、高齢の夫婦、親子、兄弟、また、障害のある子どもと母、姉妹の事件も報道されました。
その多くが、貧困、社会的孤立、医療・福祉制度に結びつかなかったなど、援助があればそこまでに至らないですんだはずと残念でなりません。
そうした中、北区ではタイムリーに昨年、満65歳以上の全高齢者77,903人を対象に実態把握調査を行いました。他自治体に先がけこの調査・分析に取り組んでいただいた関係各位のご努力を多とするとともに、区民の期待に応える今後の施策の発展を強く要望します。調査・分析の一例ですが、3月に公表された調査報告書では、「特に見守りが必要と思われる方」は、2,372人で全体の3、9%としています。
そこで、3点質問します。
1点目は、以上述べた区の高齢者実態把握調査の結果を最大限に生かし、区内の「孤立死」「貧困死」をゼロにする対策を求めます。
2点目は、電気・ガス・水道などのライフライン事業者と協定を結ぶなど連携を図り、支援が必要とされる方の早期発見と必要な対策を求めます。
3点目は、今年度も生活保護受給者に対するエアコン設置助成制度の継続を都と国に求めてください。以上3点の答弁を求めます。
次に、三つ目の質問は、介護、国保、後期高齢者医療などの負担軽減を求めるものです。 今年度は介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料が軒並み引き上げられました。国保では、今年度に年少扶養控除廃止の影響が出るため、北区の試算でも子ども2人の4人世帯、年収300万円〜400万円の場合、保険料が年間4〜5万円も引き上がり、甚大な影響となります。また、75才以上の世帯では、年金切り下げに加え、介護、後期高齢保険料の値上げの3重の負担増は年2万円以上になります。いずれも区民にとって耐え難い値上げ幅となり、払いたくても払えない保険料となっています。
そこで、1点目の質問は、国、東京都に3つの保険料の更なる負担軽減策を求めるとともに、北区として独自の保険料軽減策を実施するよう求めます。
2点目は、北区として、国民健康保険料の更なる値上げを抑えるためにも、来年度以降の経過措置継続を国と東京都に求めてください。
3点目は、介護保険制度での生活支援ヘルパーの改善を求めるものです。
4月から訪問介護の生活援助の時間が短縮され、60分の援助が一律45分に短縮されたため、利用者から「これでは満足なサービスが受けられない」「ヘルパーに話しかけても返事がない」などの苦情が広がりました。こうしたことから、厚生労働省も従前の時間は可能との通知を出し、各地の自治体も事業者にその内容を徹底する通知を出しています。
そこで、質問ですが、北区も事業者に対し、厚労省の通知の内容を徹底するとともに、介護報酬の改定の見直し・撤回を国に求めて下さい。
以上、3点、ご答弁下さい。
次ぎに、四つ目の質問は、子ども子育て新システムについてです。
新システムは、株式会社の参入を認め、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ「総合子ども園」を新設するなど、民間参入を拡大するものです。消費税増税分を年7000億円充てる計画です。新システムは児童福祉法24条の保育実施義務を削除し、市町村の責任を後退させるものです。保育の供給が需要に追いつかなければ、基準を下げて劣悪な環境で、子どもを詰め込むことになります。また、待機児童の8割を占める3歳未満児の受け入れを義務付けておらず、基準を自治体の条例に委ね、引き下げることは認められません。
そこで、質問です。公的責任を放棄する、子ども子育て新システムに反対し、国にその撤回を求めることです。答弁ください。
五つ目の質問は、障害者自立支援法を廃止し、真に障害者の望む新法をめざすことです。
国は2010年1月、障害者自立支援法違憲訴訟団と自立支援法廃止と新法制定を基本に和解しました。その基本合意は、自立支援法施行で障害者の尊厳を傷つけたことの反省を踏まえて施策を立案・実施するとし、政府は2011年8月新法の「骨格提言」をまとめました。ところが、民主党政権が今国会に出した総合支援法は自立支援法廃止を明文化せず、「応益負担」を残し、「骨格提言」も反映せず、全く「基本合意」を無視したものでした。障害に伴う支援を益≠ニみなし、1割の負担を強いる「応益負担」は廃止し、障害に伴う必要な支援は原則無償にすべきです。また、事業運営を困難にした報酬の「日払い」方式から安定した運営を可能にする「月払い」方式へ変更すべきです。
そこで質問です。障害者自立支援法を廃止し、真に障害者の望む新法制定を国に求めてください。お答え下さい。
【区の答弁】
1一(1)
まず最初に、消費税増税反対に関するご質問について、お答えいたします。
消費税の税率見直しにつきましては、現在、国会の場において 「社会保障と税の一体改革関連法案」の審議が行われております。 先週末に、与野党三党による修正協議が整ったのを受けて、今後、国会における審議が進むものと考えております。
1ー(2)ー@
次に、孤立死、貧困死(ひんこんし)ゼロへ向けた対策についてです。
まず、高齢者実態把握調査の結果を最大限に活かし、区内の孤立死、貧困死(ひんこんし)をゼロにする対策を求めるご質問にお答えします。
今年度、全高齢者実態把握調査による、個々の高齢者の情報に基づき、担当地域の高齢者あんしんセンターが、ひとり暮らしや地域とのつながりがないなど、優先順位が高い高齢者を順次訪問するフォローアップ事業を行います。
現在、ひとり暮らしまたは高齢者のみで暮らしており、かつ、要介護認定を受けていない、かつ、相談相手がないと回答した、
特に見守りが必要と思われる方を最優先に、訪問調査を開始しました。
今後、順次、具合が悪くても医療機関に行かない方や、健康について不安がある方、未回答の方などに訪問に伺い、必要なサービスや見守り等につなげていきます。
この取り組みにより、高齢者の生活状況を高齢者あんしんセンターが把握するとともに、困った時の身近な相談機関として、地域の高齢者の方に高齢者あんしんセンターを知ってもらうことで、孤立死等をできる限りなくしていきたいと考えています。
1ー(2)−A
次に、電気・ガス・水道などのライフライン事業者との協定により、支援が必要とされる方の早期発見と必要な対策を求めるご質問にお答えします。
北区では、平成十五年度から、高齢者あんしんセンターを中心に民生委員、協力員、警察・消防、町会・自治会、医療機関、介護事業所等の協力団体の連携による地域の支え合いで高齢者を見守る、おたがいさまネットワーク事業を行っています。
ライフライン事業者では、ガス事業者の関連会社に、協力団体として登録していただいており、今後、他の事業者にも、おたがいさまネットワーク協力団体へ登録していただき、異変があった時の連絡や、日ごろの声掛けなどの協力をお願いしてまいります。
今後とも、こ、ぅした取り組みを進め、地域の方々や事業者と連携し、支援が必要な方の早期発見や対策に努めてまいります。
1ー(2)ーB
次に、生活保護受給者に対するエアコン設置助成についてのご質問に、お答えします。
昨年度、生活保護世帯に対する冷房機器設置の緊急支援策として、東京都は四万円を上限に、冷房機器購入費及び設置費を助成してきました。
東京都は、エアコン設置費の助成は、昨年度限りとしておりますので、区といたしましては、機会を捉えて東京都に要望してまいります。
1ー(3)ー@ーア
次に、国保・後期高齢者医療保険料の負担軽減を国や東京都に求める件、についてお答えします。
国保制度については、特に低所得者層に対する負担軽減策を拡充・強化するよう、全国市長会を通じて国に要請しています。
後期高齢者医療制度についても、全国市長会や全国広域連合協議会を通じて、被保険者の負担軽減を国に求めているところです。
なお、北区としても多額の一般財源を投入し、負担軽減に努めています。
1−(3)ー@−イ
第五期の介護保険料の算定につきましては、介護給付費準備基金と東京都財政安定化基金の取り崩しによる交付金を活用し、現時点で取り得る軽減策を講じ、保険料の基準月額としてお示ししたものです。
また、合わせて段階区分の多段階化を図り、所得状況に応じた、よりきめ細かな設定といたしましたが、今後とも国に対して、低所得者に対する介護保険料や利用料の軽減策について、国の責任において、総合的かつ統一的な対策を講じるよう、抜本的な見直しを行うことを求めてまいります。
1ー(3)ーA
次に、算定方式変更に伴う国民健康保険料の特別区独自の経過措置につきましては、24年度まで2年間実施しています。
25年度以降、原則として本則適用となりますが、実施状況を踏まえたうえで検討される予定です。
1−(3)ーB
次に、生活援助の時間短縮についてのご質問ですが、ご指摘の国からの通知によれば、見直し後においても、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づけば、引き続き60分程度のサービスを実施できるものとされていますので、区では、事業者研修会や各種事業者が行う連絡会等の場において周知しております。
今後とも、介護報酬の改定の際には、必要に応じ国に対し全国市長会等を通じて要望してまいります。
1−(4)
次に子ども・子育て新システムについてお答えいたします。
新システム導入にあたっては、財源を確保しつつ、子ども子育て対策を、大幅に拡充することとしておりその方向性は賛同できるものと考えます。
一方で、現在、国会で審議中の、子ども子育て新システム関連三法案に対して、各政党、関係団体から、様々な意見が出されていることは承知しております。
区といたしましては、今後とも動向を十分に注視するとともに、必要に応じて、全国市長会・特別区長会を通じて要望を行ってまいります。
1−(5)
次に、障害者自立支援法を廃止し、真に障害者の望む新法制定を国に求めることについてお答えいたします。
新たな障害者総合支援法案が本年3月に閣議決定され、4月26日には衆議院で可決されております。
国に対しましては、全国市長会を通じて、新たな障害者制度の構築にあたり、関係者や都市自治体の意見を十分反映し、国民が理解しやすい安定した制度とすること、障害者が、個々のニーズに基づいた支援を受けられるよう、利用者負担に配慮することなどを求めています。
また、新たな障害者制度に移行するまでの間も、障害者の自立と社会参加に向けた施策の充実を図るため、十分な財政措置や制度の見直しを図ることや、利用者負担等について一層の軽減策を講じることなどを、求めています。
国の動向も見据えつつ、今度とも必要に応じ、他団体と連携して
対応しでまいります。
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