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反対討論全文
賛成、反対の会派

 平成24年11月28日(水)
 北区議会第4回定例会最終本会議においてのやまき直人の「北区議会の議場に国旗の掲揚を求める陳情」に対する反対討論

私は日本共産党北区議員団を代表し、陳情24第18号の採択に反対する立場から、以下大きく三点の理由を述べて討論を行います。

第一点目は、区議会の本会議場は、区民の願いや要望を反映させるため、多様な価値観を持つ区民を代表する議員が、自由な議論を尽くす言論の府≠セからです。
 また、議員だけでなく、思想・信条・宗派の多様な区民が傍聴者として参加する民主主義の府≠ナもあります。しかも、北区には侵略戦争で多くの犠牲者を出したアジアの人々をはじめ、さまざまなルーツを持つ1万4千人を超える外国人の方々が住んでいます。
そこに、今でもさまざまな意見が分かれる「日の丸」を掲揚することは、区民に「国旗」(日の丸)掲揚の受容を強要することになりかねず、自由な言論の府に相応しくないものと言わざるをえません。そもそも、現在の議場は、区の旗である区旗も飾られておらず、かって掲示していた永年議員の肖像画も取り外し、自由な雰囲気で中立公正な議論が保障されるよう、シンプルな議場となっているのです。その議場にあえて日の丸を掲揚せよということは認められません。

第二点目は、「日の丸」が過去の侵略戦争のシンボルであったことです。
 
戦争中には「日の丸」は侵略の旗印として使われていました。軍歌でも「進む日の丸鉄かぶと」などとうたわれたように、日本軍はいつも「日の丸」を先頭に掲げてアジア各国に攻め込みました。この侵略戦争によって、約2000万人を超えるアジアの人たちと300万人を超える日本人の命を奪いました。また、日本が占領した地域には、占領のしるしとして、この旗が高々と掲げ掲げられ、若者は日の丸の小旗に送られて戦場へと赴いたのです。だから今でも、アジア各国の人々の間には「日の丸」と言えば日本の野蛮な侵略と軍国主義の押しつけを思い出すひとが、少なくない状況にあります。日本とともに、第二次世界大戦の主な侵略国だったドイツとイタリアは、戦後、国旗のデザインを変更しました。侵略戦争は間違っていたという反省の証です。第二次世界大戦で侵略と暴虐のシンボルとされた日の丸を、いまもそのままに事実上の国旗として扱ってきた国は、日本だけといっても過言ではありません。
だからこそ、日本政府は、また政権政党であった自民党は、日の丸、君が代を、それぞれ国旗、国歌とすることができなかったのです。

 当時の政党の中では、侵略戦争に正面から反対したのは私たち日本共産党だけでした。それ故、侵略戦争のシンボルであった「日の丸」を、国旗法が定まったからと言う理由だけで、各自治体の議場に掲揚すべきと、押しつけることに、いままで私たちは反対をしてきたのでした。

 1999年(平成11年)8月13日、国旗及び国歌に関する法律が、充分なる、国民的議論を踏まえることなく、しかも、自民党や公明党などの多数に頼んでの強行採決で決められました。こうした、国民共同の意志として決められるべき国旗を、また、国民が親しみを込めて、うたうべき国歌を、いきなり法案で出しておいて強行採決するなどという行為は、重大なる誤りであったと言うべきことでありました。

 国旗国歌法は本則2条、附則3項、別記2により構成される法律です。1条で日の丸を国旗と、2条で君が代を国歌と定めましたが、学校行事や国民生活においても、掲揚や斉唱の義務を課すことはできませんでした。その強制は、思想信条の自由を侵す行為であるからです。従って、国旗・国歌法が成立したことは事実ですが、この法律をもって国民にこれを強要する根拠は、どこにもないのであります。
 現に、法制定当時の首相であった小渕恵三氏は、1999年6月29日の衆議院本会議場において、日本共産党の志位和夫氏の質問に対し、次のように答弁しています。
 「国旗及び国歌の強制についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることにはならないと考えております。」 つまり、強要しない、強制しないことを明言していたのであります。
 また、当時東京都教育委員会の委員の一人であり、棋士でもあった米長邦雄氏は2004年秋の園遊会に招待された際、明仁天皇に対し「日本中の学校において国旗を掲げ国歌を斉唱させることが、私の仕事でございます」と発言しましたが、これに対して天皇は「やはり、強制になるということでないことが望ましいですね」と述べています。

 国旗、国歌については、強制や上からの指示ではなく、自らの思想信条、良心の自由に基づいて、国民一人一人が自ら考え、自由にその扱いを判断できることが、もっとも望ましい対応といえます。こうしてこそ、日本は、ほんとうの意味で、民主主義国家となったことを意味するものといえるのです。

第三点目は、議場に日の丸を掲揚することの是非が、議会内だけでなく、区民の声も聞かずに強引に採決されようとしている点です。
 
「日の丸」が侵略戦争のシンボルであったこと、区民の間に様々な意見や感情があることなど、審議すべき点が山積しているにもかかわらず、この陳情を採決することで議会としての結論を出すことは、この問題で取るべきではありません。北区議会ではこの間、議会に関することは議会改革検討会や幹事長会で時間をかけ検討してきた経過があり、意見の違いがあっても全会派の合意を得られる努力を重ねてきました。ましてや今回の陳情は、議会のあり方の根本に関わる本会議場における「日の丸」掲揚問題です。議会運営委員会のあり方としても、本来、このような問題については全会派の一致点を見いだすことが求められます。北区議会では、過去においてこの問題で本質的な議論がかわされたことは全くありませんでした。区民の意見もよく聞きながら、議会改革検討会や幹事長会で充分時間をかけて審議すべきことを重ねて申し上げます。

 衆議院選挙を前に、自民党の安倍総裁は、自衛隊を国防軍にすべきとの驚くべき発言を繰り返しています。憲法改悪が大前提であります。これに呼応するかのように、民主党前原氏は、党を超えて、この問題に対応するとして、早くも、選挙後の大連立を示唆しています。日本を、再び軍国主義国家にしてはならないことはもちろんですが、いわゆる「第三極勢力」もまた、日本の核武装や、核廃絶否定などの意見を述べるなど、その右傾化がはかられています。

 私は、国の進路を危うくすものとして、大変心配するものですが、国内外から、危惧の声が広がっていることに、私たちは、謙虚に耳を傾けなければならない時かとも思います。議員各位の賢明な判断を希望致します。

以上、大きく三点の理由を述べまして、本陳情の採択に反対する討論といたします。
ご静聴、ありがとうございました。


<賛成、反対の会派>
議場に国旗を掲揚することに賛成した会派は、自民(14名)、公明(10名)、民主あすか区民クラブ(6名)、みんなの党(2名)、みんなの党アジェンダ(1名)、反対したのは共産党北区議員団(9名)、新社会党(1名)です。尚、みんなの党は上記のように会派が分裂し、2対1の会派になりました。

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