私は日本共産党北区議員団を代表して、大きく3点、北本区長並びに高橋教育長に質問いたします。
先の11月17日に行われた、兵庫県尼崎市長選挙では、日本共産党と「民主市政をつくる尼崎市民の会」が支持する「フレッシュ尼崎の会」の女性候補が自民、公明、民主、保守推薦の現職を破って初当選し、全国最年少の女性市長が誕生しました。
当選した市長は、駅前などの大型開発を見直し、市民と対話しながらの財政再建や、国保、介護保険の改善、少人数学級の実現、公害を克服し環境都市づくり、そして市長退職金80%の削減などを訴えました。
また、田中知事再選の長野県でも、脱ダムで中止した大型公共事業費を福祉、医療、教育、環境分野へ傾注投資し、特養ホームの建設補助や30人学級の実施、地場産業の振興に税金の使い方を大きくかえています。
国の相次ぐ社会保障の後退や、リストラ、失業、倒産による生活難で、住民のくらしの不安が大きく拡がっている時、「開発会社化」や「営利企業化」した行政の姿を改め、くらしや社会の閉塞感を打ち破ろうという新しい風が、今、地方政治からふいているのではないでしょうか。
私は北区政も自治体本来の役割である住民の福祉と利益を守って、今こそ区民の皆様のくらしをしっかり支える時ではないかと思います。
そこで、私の大きな第一の質問は、区民のくらしを応援する区政を求めてです。
北区はこの間、「財政難」を理由に、老人福祉手当や入浴券など、毎年、福祉制度の廃止、縮小を続け、この4年間で累計180億円もの住民サービスを後退させました。
しかし、その一方で目的も額も示さぬまま予定をはるかに超える積み立てを行い、その額は13年度末で162億円となっています。
先の、9月の決算委員会で、北区は緊急財政対策、区政改革プランと厳しい査定を行い、プラス面の見込み違いをしたことを認めました。私は、今こそ自治体独自の仕事を切り捨ててきた北区の姿勢を改めるべきであると強く思います。
まず第一に生活保護、要保護世帯の入浴券の廃止、障害者の紙オムツ支給枚数の削減、小、中学校アルバム代の補助廃止など、重箱の隅をつつくように、あまりにも行き過ぎた廃止、縮小事業は復活をするよう求めるものです。ご答弁ください。
区民のくらしを応援する質問の第2は積立金の一部を活用する等して、住民サービスを充実することについて以下7点提案いたします。
その1点目は来年度、介護保険料の値上げは行わず、減額制度の拡充をはかることです。「年金は下がるのに、天引きされる介護保険料が上がるのは本当に辛い。」という高齢者の方々の切実な声に是非、耳を傾けていただき介護保険基金などの活用も含めて検討してはいかがでしょうか。お答えください。
2点目はホームヘルプサービスの利用料3%を継続することです。
ホームヘルプサービスは在宅生活の一番の支えであり、この点での自己負担増は、住み慣れた家で暮らしたいと願っている方々のくらしを困難にすることはまちがいありません。
利用料減額の継続を強く求めるものです。
3点目は、国民健康保険料の値上げは行わないことです。
先日も、私のところへ、夫の収入が不況で減少し、国民健康保険料が納められずにいた方が、「短期保険証の期限がきれて、病院にかかれない」と困って相談にお見えになりました。
ご自分の月数万円のパート代からなんとか5千円を捻出し、それを持って国保の窓口へ相談に行き、保険証を更新してもらいましたが、更なる国民健康保険料の値上げはこうした生活の困難を抱えた区民の方々に、一層追い討ちをかけることになります。来年度、国保料の値上げは行わないよう求めるものです。
4点目にかねてから要望の強い福祉施設や、教育施設等の有料ごみの減免制度を実施するよう求めます。
5点目は区民健診についてです。不況の中で、高卒の就職内定率は33%ととなり、パートやアルバイト、若者のフリーター等の雇用形態が急増している今こそ集団区民健診の対象者を元の20歳以上へともどすこと。あわせて医療機関でも受診できるよう強く求めるものです。
6点目は障害者ショートステイの充実です。来年度、障害者の皆さんの福祉制度が支援費制度へと移行するにあたり、サービスを選択する大前提の基盤整備が大きく立ち遅れていることは重大です。
過日、重度の肢体障害者ご本人様より、区長宛の手紙でみずべの苑の障害者ショートステイや障害者福祉センターの緊急一時保護室について、もっと利用しやすくしてほしいと充実を求めたメールを私ども会派も頂きました。9月の決算委員会の折も要望させていただきましたが、重ねて、障害者ショートステイの拡充を求めます。
中でも障害者センターの緊急一時保護室は、その利用が毎年低下し、昨年はわずか1件と行政としての取り組みの姿勢が問われます。民間団体への委託等新たな方法で活用し、レスパイトケア等のサービスを拡充するよう求めるものです。
7点目に高齢化社会に対応し、通院や区民施設の利用にこまわりのきくコミュニティバスを導入することを求めます。
以上7点は、積立金の一部を活用するなどで実現できるものです。区長の積極的な答弁を求めます。
区民のくらしを応援する質問の第三は医療改定に伴う患者さんの負担を最小限にとどめる点について4点伺います。
その1つ目は低所得者の方への対応です。高齢者の方が1ヶ月入院した場合、1割負担と食事代で約6万4千円かかりますが、世帯全員が非課税の低所得者Ⅱの方は減額制度の活用で自己負担が約4万円と負担を減らすことができます。
9月末から入院していた奥様が先日退院したばかりというご主人が、「減額認定証の手続きをとっていたので、助かった。」とほっと胸をなでおろしておられました。
そこで、全ての対象者に減額認定書の申請書を送付して頂くよう求めます。ご答弁下さい。
次に外来での窓口負担が限度額を超えた時の対応について2点伺います。9月議会でも私どもは、高額医療費の払い戻し制度、いわゆる償還払いの簡素化を強く求めました。
北区は「1回目の申請を生かして、2回目以降は申請を省略したい。」としましたが、10月1日以降70歳以上となった方々や、東京都の医療費助成を受けている方など、老人保険以外の対象者にも同様の対応を実施するよう求めます。
更に医療機関との連携をはかり、限度額を超えた医療費を窓口でその都度、支払わなくてすむ「委任払い」制度の活用を積極的にすすめるよう以上2点、ご答弁下さい。
医療改定に伴う最後の質問は、窓口体制等の確保についてです。
10月1日以降、2階の医療費助成係にお伺いした時、発行された医療証の内容や医療費の相談など、職員の方々が、窓口や電話対応で、本当お忙しくされておりました。償還払いなどの実務については、いよいよ、12月から本格化します。
区民や医療機関などからの相談窓口対応や事務取り扱い等、必要な職員体制を確保していただくよう求めます。お答えください。
区民のくらしを応援する質問の第四は高齢者の生活支援、介護予防事業の充実について3点伺います。
介護保険がはじまって、民間のケアマネージャーが活動し、多くの民間事業者が介護サービスを提供するようになる中で、次のような声を聞くことが多くなりました。
「生活の問題を抱える人、痴呆症の方の対応等、ケアマネージャーだけでは解決が難しい」「利用料の負担や支給限度額等、制度上の問題で必要なサービスが利用できない実情に悩んでいる」「今まで、自治体が責任を持って対応していたことが、民間まかせになっているのではないか。」「民間が困っているときは、行政が積極的に現場に足を運び、対応してほしい」等などです。
私はこうした民間の皆さんの苦労や期待に応えて、北区が一層の高齢者介護に対する公的責任を果たし、イニシアチブを発揮すべきと考えます。そこで、お尋ねします。
基幹型の在宅介護支援センターを強化、拡充し、ケアマネージャーの相談や民間事業者では解決が困難なケースに区が責任を持って対応するよう求めます。お答えください。
二つ目は要介護度調査の結果、「自立」とされた方への対応についてです。昨年の10月に福祉サービス課が「実態調査報告書」をまとめられました。介護保険課と連携し、自立と判定された方を保健士と看護士が訪問して、生活状況を把握した結果、転倒の危険が多いこと。一人での食事内容に問題があること。すぐにでも人的対応が必要等、援助の必要性を明らかにしており、今年度の事業展開に生かされています。私はとてもすばらしい取り組みだと思います。そこで、お尋ねします。この取り組みを生かし、自立となった方々への支援計画をつくり、介護予防サービス提供のシステム化をはかるよう求めるものです。お答えください。
三つ目は高齢者実態調査についてです。
9月の補正予算で民生委員さんの協力を経て、今年度は一人暮らし高齢者の訪問調査を行うことになりました。今、一人暮らしをされている方々は、ご自分が病気になった時や緊急の時の対応など、とても不安に感じておられます。そこで、私は民生委員さんの訪問時、病気や緊急時の相談窓口の周知をはかっていただくこと、そしていざという時はヘルパーの派遣など、福祉的対応の一層の充実を求めるものです。区長のあたたかい答弁を求めるものです。
私の大きな第二の質問はこどもたちを主役に、こどもの声が生きる北区をめざしてお尋ね致します。
その第一は開かれた学校づくりに、こどもたちの参画をすすめることについてです。
今、子どもの豊かな育ちや教育を支えてゆくために、従来にも増して、学校と保護者や地域住民の共同が求められています。
北区でも学校評議委員会の運営や、総合学習の取り組み等で、様々な試みが行われているところですが、私は改めて、主人公である子ども自身の成長や市民としての子どもの権利、学校構成員の民主主義等を保障する点から、学校運営への子どもたちの参画が求められていると思います。
全国的に見ますと、例えば川崎市で「川崎市子どもの権利条例」が制定され、その中で子ども、教師、保護者、住民が参加し協議する「学校協議会」の設置が定められ、注目されています。
又、高知県では「土佐の教育改革を考える会」の発足により、県の「要綱」により全ての小、中学校、高校に保護者や地域住民に子どもを含めた、すなわち四者協議会での「開かれた学校推進委員会」が設置され動き出しています。
私は先日、個別の学校単位で「四者会議」を行っている長野県上田市の第六中学校を訪問し、その実践の様子を伺ってまいりました。
同校では、いじめや金銭トラブル、そして、「荒れ」の問題などに悩んでいた時、学校のありのままの姿を地域や保護者にみてもらおう、そして地域の子どもと学校を育てるため共に考え、話し合い、協力してもらえるチャンスを作りたいという思いで「いつでも、だれでも、どこでも参観できる学校自由参観」を行い、その取り組みの発展の中で学校の主役である生徒たちも話し合いに参加する「四者会議」が発足したとのことでした。
まさに、情報公開、住民参加と協議を通じて、子どもたちの自律性が認められている姿ではないでしょうか。
北区はまもなく、学校適正規模等審議会の第二次答申を受けるにわけですが、主役である子どもたちの学校運営への参画が太く貫かれるべきであると私は考えます。
そこで、お尋ね致します。北区でも「四者会議」など子どもの参画を保障する場をつくるよう求めるものです。お答えください。
こどもの質問の第二は学校五日制と新学習指導要領実施にかかわって、2点お尋ねします。
今年の4月から完全学校五日制が実施されました。私の周りでも、子どもたちからは、「休みが増えてうれしいけれど、平日、友達と遊ぶ時間が少なくなった。」とか、学童クラブで2年生の宿題をみた1年生が「こんなに宿題があるなら、2年生になりたくないよう。」と嘆いた話等が聞かれます。保護者や先生からは「子どもが疲れていらいらしている。」「1年生でも週に3日、5時間授業があり、給食も食べて集中力も落ち、金曜日の5講目は勉強にならない。」とか「土曜日は疲れで朝も遅く、生活リズムにも影響しているのでは」等の声が聞かれます。
この程、東京都教職員組合が1学期末に実施した学校五日制と新学習指導要領にかかわるアンケート結果を発表しました。
その結果を多い順に紹介しますと、まず1位は72%の教職員が「子どもの学校生活が慌しくなった。」2位58%が「一日あたりの授業時間数が増え、かえって子どもが授業に集中できない。」3位31%が「学力の低下」そして4位20%が「子どもの休日の過ごし方が心配」としています。
同じアンケートで学校五日制と同時に実施された新学習指導要領についての結果は、52%が「総合的な学習の時間や選択教科より、教科の授業時間数を増やした方がよい」とし「授業が慌しくなった」「教科の授業時間数が大幅に減って基礎学力の低下が心配」と不安を語っています。アンケートのまとめでは子どもと教育にゆとりをつくり、人間らしく成長する契機となるべき完全五日制が、新学習指導要領と同時にスタートしたことで実態は逆になっているのではと指摘しています。
そこで2点お尋ねいたします。ひとつに北区でも子どもや教師等の声を聞き、実態を把握すること。ふたつに子どもたちへの丁寧な教育条件整備のために、小学1年生からでも三十人学級を実施するよう求めます。ご答弁ください。
子どもに関する第三の質問は児童館事業にかかわる問題です。
学校五日制による週末の子どもの遊びを豊かに保障し、子どもたちの居場所等、子どもを受けいれる地域環境を整備してゆくために児童館の果たす役割はますます重要です。
今年度は桐ヶ丘児童館における日曜開館モデル事業が試行されていますが、現状では鉛筆画教室や郷っこ劇場等、メニューを限定しどの子どもも自由に遊べる開放された事業となっていないのはとても残念です。
又、9月の決算委員会でも質疑をさせて頂きましたが、桐ヶ丘児童館の日曜開館事業は育ち愛ほっと館の一部事業の委託を受けた子ども感動コミュニティ機構が667万円で受託していることが明らかになりました。
児童館に働く職員の方々からは、年々、児童館の運営に関わる予算が削減され、例えば地域の親子に対する文化事業も以前は一館づつ、ついていたが今年度は、北区の児童館全体で年間10万円となり、三地区で3万3千円づつ分けて、地区でまとめて取り組む等、財政的に苦労している中で桐ヶ丘児童館の委託事業には1ヶ月の講演会、講座等の開催経費で40万の予算がついていることに驚きの声が聞かれています。児童館事業そのものに十分な予算をつけるべきです。
そこでお尋ねします。桐ヶ丘児童館の委託費のあり方や日曜開館等の北区としての基本的な考えを改めて見直す必要があると思いますが、明快にお答えください。
子どもに関わる最後の質問は、育ち愛ほっと館の運営についてです。
乳幼児と親を中心にした子育て支援の拠点施設として期待された育ち愛ほっと館が開設されて、ようやく1年がたちました。
この間、施設や事業の立ち上げに携わってこられた職員の皆さん、住民団体の皆さんの昼夜を分かたぬ活躍に心からの敬意を申し上げます。9月の決算委員会では、ほっと館運営の改善を求め、子ども感動コミュニティ機構への委託費の内容について質疑をさせていただきました。
まず、群馬県甘楽町にある車椅子を送る会の農地を、来年度も借用することについては乳幼児と親を支援する活動として適当であるかどうかも含めて検討していただくことを重ねて指摘をいたします。
この度は来年度、本施設が更に発展することを願って、体制の改善を図っていただく点についてお尋ねいたします。
ご承知のとおり、育ち愛ほっと館は東京都の補助事業である子ども家庭支援センターを位置づけております。
現在、育ち愛ほっと館の館長は子育て支援課長が兼務しておられますが、区の直営としての子ども家庭支援センター事業やファミリーサポート事業のほっと館運営にあたっておられるのは、すべて非常勤職員の方々です。
ところが、東京都の補助要綱の中では「従事する職員は専門の資格をもち、原則常勤」としておりますので、北区の人員配置は問題があるといわなければなりません。
私は、事業の本格実施、充実に向けて、この点での北区の責任を明確にし、専門の常勤職員を配置して改善をはかって頂くよう求めるものです。区長の前向きな答弁をお願いいたします。
私の大きな第三の質問は東京大気汚染裁判の判決を生かし、北区として積極的対策を行うことについてです。
10月29日、ぬけるような秋晴れの下、東京地方裁判所前には、青いたすきをかけ、中には酸素ボンベをもちながら、また、亡くなった家族の遺影を胸に原告の公害患者さんたちが、緊張した面持ちで集まりました。
その周りは、反対側の歩道まで約1500名の支援の方々の人垣で埋め尽くされ、日本共産党北区議員団もそこに参加をいたしました。
10時9分、地裁玄関から走り出してきた原告、弁護士の手には「国、公団、東京都に勝訴」「五たび道路公害を断罪」の白い垂れ幕が、かかげられました。
判決は、自動車排ガス汚染公害に苦しめられてきた原告患者、とりわけ公害未認定患者さんの深刻な被害を救済する必要を認め、これに対する国、首都高速道路公団、東京都らの加害責任を断罪し、損害賠償を命じる判決が下されました。
「大気汚染は終わった」として新規の公害病の認定を打ち切ってきた国の対応がいかに不当なものであったかは明らかです。
また、東京大気汚染裁判では、被告に自動車メーカーを加えています。判決では自動車からの排ガスと喘息発病の因果関係を認め、約30年前から、健康被害の予見可能性があったとして、メーカーの責任を排ガス低減の社会的責任があるとしました。
原告の皆さんは支援者と共に寒さの中、喘息発作で次々と体調が悪くなるにもかかわらず、判決直後からメーカー7社と深夜未明まで交渉を行い、トヨタをはじめ、全てのメーカーと首都高速道路公団から確認書をとり、新たな救済制度の財源負担について検討を約束させました。
北区に住む原告の66歳の女性の方は、10月29日の判決日行動に参加して、私に次のように話されました。「私の今までの人生で嬉しいこと、悲しいこと、色々あったけれど
本当にたくさんの人たちに応援していただき、人生で一番、感動した日でした。それまでの私は喘息をかかえながら、背中をまるめて生きてきましたが、あの日以来、顔が変わった
と言われます。気持ちが本当に明るくなりました。」と。
私は、この原告の公害患者さんたちの思いを、判決とともに、行政は正面から本当に重く受けとめるべきと思います。
そこで、お尋ねします。東京大気汚染裁判の判決とその後のメーカー交渉の取り組みをふまえ、未認定の公害患者救済制度の一日も早い確立を国にはたらきかけるよう区長の積極的な答弁を求めます。
質問の2点目は排ガス対策について、北区の公用車、雇上車のディーゼル車については、低公害車への切り替えを前倒しで実施すると共に、民間のDPF装着に区も補助を行うよう求めます。ご答弁ください。
大気汚染裁判に関わる最後の質問は、年内にも供用が開始される高速道路王子線のさらなる環境対策に万全を期して頂くために滝野川地域及び、堀船地域など関連地域での供用前からの環境調査の測定と公表を速やかに行うよう、公団に求めていただくことです。以上3点、区長の積極的な答弁を求めて私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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