日本共産党北区議員 山崎たい子
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3月26日北区議会本会議では賛成多数で「医療費3割負担の凍結を求める意見書」可決しました。反対したのは公明党議員団と、自民党、区民会議でした。

山崎たい子区議は日本共産党北区議員団を代表して、意見書の賛成討論を行いました。


私はただ今上程になりました議員提出議案第7号、「医療費3割負担の凍結を求める意見書」に賛成の立場から討論を行います。

本件に関し、北区議会は全国に先がけて意思を表明しています。すなわち、昨年の3月、医療費の本人負担の増加は行うべきではないとして、「医療制度改革に関する意見書」を賛成多数で可決したことです。
しかし、小泉内閣は医療費負担増は行うなとの、国民世論に全く耳をかさず、次々と改悪をすすめてきました。それは昨年4月からの診療報酬の引き下げであり、10月からの70歳以上の高齢者の医療費負担引き上げであります。
その結果、どういう事態が起きたでしょうか。恐れていたとうり、全国で患者さんが医療機関への受診を控え、治療が中断されるという痛ましい状況が生まれています。

一例をあげますと、在宅酸素療法を行っている患者さん、この方たちは、肺や心臓の働きが弱く、在宅で酸素を吸いながら暮らしておられる方ですが、それまで月1回850円ですんでいた支払いが、改悪後は12倍の月1万円前後にはねあがり、経済的負担に耐えかねて、まさに命綱である酸素を止めざるをえないという状況に追い込まれています。
ある在宅酸素の患者さんは、「食べ物を食べずに、飢え死にするより、酸素を止めて、窒息する方がいい。」とまで語っているのです。そして、言葉どうり呼吸不全、心不全が悪化し亡くなられた患者さんもいるのです。
こうした例をひいて日本共産党が国会で小泉首相に、その深刻な実態をつきつけると、小泉首相は「そんなバカなことするわけないでしょう。」と答えました。
患者さんや国民の命を縮めている現実を全く理解していない、本当にひどい話しです。


怒っているのは患者さんだけではありません。
北海道医師会では「われわれはもはや、小泉内閣を支持することはできないし、『痛みの先に希望がある』などというごまかしにも付き合うつもりもない。」と指弾し、定期代議員会で採択した決議に「小泉内閣の退陣を要求する」とさえもりこみました。

昨年のクリスマスの夜には、日本医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護師会の会長自らが「サラリーマンの医療費3割自己負担は凍結を」「高齢者の負担増は見直しを」と銀座で宣伝にでていることにも現れています。日本医師会会長はテレビ報道の中で、「医療と国民皆保険を壊すものだ」と訴えておられました。
医療の現場で、患者さんと共に病気とたたかい、心血を注いで働いている医療人は、国民の命と健康を守るという使命にてらして、本当に怒っているのです


では、なぜこんなひどいことをするのでしょうか。
小泉内閣は「医療費自己負担3割実施を凍結したら、医療保険財政が破たんする」と繰り返すばかりですが、それは以下4点の理由により成り立ちません。

それは1つに、自己負担を増やせば医療費が高くなってしまうということです。さきほども紹介しましたが、在宅酸素の患者さんの苦しみのように、医療費の値上げは、何よりも必要な受診を抑制して、治療を中断させ国民の健康悪化につながります。そして、それが医療費を増やす悪循環を生むのです。
1997年に健保本人の自己負担が2割に引き上げられたために、病気の自覚症状がある人のうちの13%、280万人が医療を受けず、我慢を余儀なくされたというデータもあります。これが3割負担になれば、さらに深刻な受診抑制が広がることは明らかです。
これは私たちだけの意見ではありません。今、与党として改悪を推進している公明党自身もかつて主張しておられたのです。1997年当事「お金が今までよりかかるからといって、病院にいくのを手控えるようになれば、早期治療、早期快癒が可能だったものが、重症になるまで放置されてしまうということにもなりかねず、かえって医療費の増大を招くことにもなりかねません」と負担増が重傷化と医療費の増大を招くことを認め、3割負担に反対していたのです。


2つ目に、今日の医療保険財政の赤字をつくっている原因とその責任についてです。
今国会、予算委員会での日本共産党の質問の中で、保険財政悪化の要因は「保険料収入の減少」であることを、政府も「そのように考えている」と認めました。
政府官掌保険の2002年度決算と、2003年度の見込みを比較すると、医療費の支出増は約200億円程であるのに対し、保険料収入が1000億円以上も減っています。政管健保の赤字は、医療費が増えているからではなく、小泉内閣が強行している「不良債権処理」方針のもとで、不況、リストラが加速し、保険財政を支える労働者の賃金が下がり、加入者が減っているからです。
それは、不況のもと北区でも保険料の収納率が低下していることにも現れています。
3割負担の実施は個人消費を更に後退させて、結局、保険財政を悪化させるものです。


3つ目に、保険財政の赤字のもう一つの原因は、医療保険への国庫補助を減らしてきたことです。1992年に政管健保の黒字を理由に、国庫補助率を16,4%から13%に引き下げました。その際、政府は赤字になったら、国庫負担率をもとにもどすと約束していました。
社会保障としての国の責任を果たすならば、まず約束どうり、国庫補助率をもとに戻すべきです。
さらに92年以来削減してきた国庫補助1兆6千億円を計画的に保険財政に組み入れれば、保険財政がダメになるということはないのです。
国自ら保険財政を深刻にしておいて、そのつけを命と健康を脅かす、耐え難い負担増で国民に押しつけるというのは、全く通用しないものです。


4つ目には真の医療制度改革が行われていない点です。
日本の高医療費の原因になっている薬剤費を欧米諸国並みに引き下げることで、1兆45百億円の節減が可能と経済産業省も試算しています。大手製薬メーカーに大もうけさせている高い薬価の構造を改めれば、国民への負担増を行わなくても済むのです。
ところが、小泉首相は製薬大企業から献金をうけとり、来年度は製薬業界20社だけでも、500億円を超える減税を行おうとしていることが明らかになりました。
国民には重い負担増、製薬業界には思いやり。これでは真の医療改革とは無縁のことではないでしょうか。

以上、3割負担を凍結することが保険財政を破たんさせるのではなく、小泉内閣が国民皆保険制度を守ために、国としての公的責任を果たすことが問われているのだということを強く指摘するものです。

今、7割もの国民が医療費3割の自己負担に反対しています。そして、この「実施」凍結を求める世論が巻き起こる中、小泉内閣に対し、全国の地方議会は「凍結」や「延期」を求める意見書を22の道府県議会で可決、政令市では横浜、川崎、京都、神戸の4市議会で意見書を可決しています。

しかし、残念なことに坂口厚生労働相を抱える公明党は長野や北海道では全会一致でしたが、沖縄、青森では退場、佐賀では欠席、その他はいずれも意見書に「反対」しています。

1997年、橋本内閣が健保本人2割負担を導入する医療改悪を実施したとき、公明は地方議会で「医療保険制度改悪反対」の立場でした。当時の公明新聞では、「サラリーマン本人3割負担、大病院では5割負担などと、またもや政府は国民への大幅な負担増を狙っています。政府が画策している改悪案は「抜本改革とは名ばかりで、単なる国民負担増が中心」で、速やかに同案を撤回し、国民の英知を集めた改革案を再検討するよう求めていくものです。」と報道しています。

更に、2001年7月の参院選でも、健保本人3割負担に「反対」しました。
公明党は今こそ、国民へ向けた公約に立ち返るべきではないでしょうか。

私は日本共産党北区議員団を代表して、北区議会が再び区民、国民の命と健康を守るために、地方議会としての良識を発揮し、政府に対し、「医療費3割負担凍結を求める意見書」を提出されるよう、議場の皆様のご賛同を心からお願い申し上げまして、私の討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。
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