2008年度予算について、日本共産党北区議員団の討論を行います。
参院選の大敗を受け、背水の陣で臨んだ福田内閣は、今や支持率が30%を割り込んでいます。その背景は、原油高騰による諸物価の値上がりで、くらしと営業が一層厳しくなっている中、大企業には空前の大もうけを続けさせている一方で、国民には社会保障費の自然増を毎年2200億円削減し、増税、負担増、貧困と格差を押しつける構造改革にしがみついていることです。更に道路特定財源への執着、加えてイージス艦の衝突事故では軍事優先の姿勢に、国民の批判が強まっています。
又、石原都政も新銀行東京に、あらたに400億円の追加出資をすすめようとする無責任さです。
こうした中、日本共産党は、区民のくらし最優先の区政実現を求めてきました。
新年度は、学力パワーアップ事業、妊婦健診の公費負担の拡充、赤羽仕事コーナーを移転拡充し、就労支援の強化、ワンルームマンション規制条例の制定などは評価するものです。しかし、以下に述べる4点の理由から一般会計に反対いたします。
第1は、貧困格差に苦しむ区民に具体的な施策が講じられていないことです。
北区の予算総額は1300億円を上回り、積立金も今年度末345億円と過去最高に迫り、区財政は安定しています。しかし昨年に続き、区長の施政方針には、最大の政治課題である貧困と格差の言葉もなく、その実態を見ようとしない姿勢は認められません。
障害者自立支援法では応益負担をなくす立場からの、区独自軽減策を打ち出さず、更にホームヘルプサービス経過措置費を廃止する事は認められません。
又、物価高騰に対する支援策や家賃の負担に苦しむ低所得者の家賃補助、及び公共住宅の増設にも背を向けています。
第2は、正規職員を削減し、指定管理者制度や民間委託により、株式会社の参入を拡げ、人件費削減、労働条件の低下を自ら助長し、官製ワーキングプアを生み出している経営改革プラン継続の姿勢です。
社会保障費の抑制政策とあいまって、こうした労働実態が、今や医療や福祉サービス等を、危機的状況に追い詰めています。少なくとも、委託先の賃金や労働実態を区として把握すべきです。
労働者派遣法改正に向けても推移を見守るだけの姿勢は認められません。
第3は、後期高齢者医療制度をはじめ、国の進める医療改革に対し、「避けて通れない」と肯定している姿勢は認められません。
この実施中止を国に求め、高額な保険料負担に対して、区としての軽減策を実施すべきです。
北区では、二次医療を担う病院の廃院、ベット数の大幅削減、救急医療体制の脆弱化、北社会保険病院や印刷局東京病院、都立駒込病院の医療機能の存続拡充が区政の大きな課題となっている中、ようやく検討委員会をたちあげたのですから、国や東京都に対し、区としての意見を早急に述べるべきです。
第4は、平成19年度に33億円、過去3年間では84億円も介護給付費を余らせた異常な介護保険運営に対し、抜本的な改善策が示されていない事です。
区民は必要な介護が保障されず、今や自費の介護が常態化しています。自腹をきれない区民は更に救われません。
保険者である花川区長の責任が問われる問題であることを、厳しく指摘するものです。
加えて新年度、介護福祉用具経過措置費を廃止することも認められません。
以上の理由から一般会計に反対します。
なお、以上に述べた区民のくらしに対する手だてが不十分な一方で、住民合意が前提でなければならない庁舎建設に向けて、区としての説明責任や議論が十分尽くされていない中、10億円の基金を先行して積み立てる姿勢は改めるべきと指摘しておきます。
国民健康保険会計については、低所得者直撃の均等割の値上げや賦課限度額が6万円引き上げとなったことから、介護保険会計については先に述べた介護保険事業計画と大きく乖離した異常な保険運営から、後期高齢者医療会計については、保険料負担増と医療内容の低下による差別医療制度の創設から、それぞれ反対致します。
老人保健会計と中退共と用地特別会計には賛成し、討論を終わります。 |