日本共産党北区議員 山崎たい子
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         最終更新日2012.2.24
◆平成24年第1定例会における山崎たい子区議の代表質問と区の答弁
2012年2月22日, 北区議会第1定例会本会議で日本共産党の山崎たい子議員が行った代表質問の全文及び区の答弁を紹介します。
  1. 消費税増税と社会保障の一体改悪を許すな
    (1)税と社会保障の一体改革の撤回を国に求めて下さい。
    (2)国保料・後期高齢医療保険料・介護保険料の引き上げを抑えよ
    (3)介護現場の人材確保対策と生活援助への支援を
    (4)「障害者総合福祉法」の早期制定を国に求めよ
    【区の答弁】

  2. 公平な税制改革と雇用の改善で「99%」に富の再配分を
    (1) 国に対し、大企業へのゆきすぎた減税を元に戻し、新たな減税は中止し、富裕層と大企業に応分の税負担を求めて下さい。
    (2) 労働者の賃金引き上げ、正規雇用への改善の視点から、北区経営改革プラン、新5か年プランの外部化路線は見直しを求めます。
    (3)北区でも公契約条例を制定し、労働者の適切な賃金と労働条件を確保すること。
    (4) 雇用・就労支援課をつくり、若者、ひとり親、障害者、高齢者等、雇用対策を強化するよう求めます。
    【区の答弁】

  3. 原発ゼロ、自然エネルギーの初期投資ゼロで抜本拡充を
    (1)自然エネルギーの抜本的拡充、原発事故・放射線対策を中期計画の中で、重点施策に位置づけ推進すべき。
    (2) 自然エネルギー導入「初期費用ゼロ」等、北区独自のしくみづくりや助成の抜本的拡充を求めます。
    (3) 電力買い取りの多様化の拡充を
    • 現在までの実績と効果額について
    • 東京電力は新年度、電気料金の値上げを予定しておりますが、北区の影響額についてもお聞かせ下さい。
    • 北区も電力買い取りの多様化を拡充すべきと考えますが、今後の取り組みをお尋ね致します。
    【区の答弁】

  4. 原子力災害、放射線被害から子どもたち・区民を守るために
    (1)放射性物質事故対策指針を策定し、北区地域防災計画に原子力災害編として位置づけるよう求める
    (2) 保育園、学校給食の放射線測定は北区独自の取り組みで充実を 。
    (3)区民に対し、放射線に関する基礎知識の普及、放射性物質を除去する食品調理の工夫や、免疫機能を高める生活習慣等、広報に努めるよう求めます。
    (4)医師会と連携し、低線量被曝の健康管理や健康相談の取り組みを
    (5)建築資材の放射線測定義務づけを国に求めること。
    【区の答弁】

  5. 倒れない、燃えない、水害にあわないまちづくりを
    (1)木造住宅耐震補強工事の区民への勧奨を積極的に行い、助成額と件数は更に拡充すること。
    (2)新年度のすまい改修支援事業(住宅リフォーム)は、通年受付に改善し、書類申請の簡素化や住居と店舗が一体となっている物件への適応等の拡充を求めます。
    (3)木造住宅密集地域の解消について、避難道路周辺整備の促進だけでなく、面的な不燃化促進、密集地域の解消をすすめるよう求めます。
    (4)石神井川水害被害の原因究明と被害住民への補償、水害対策の推進を
    【区の答弁】

  6. 一人ひとりの子どもに、学力を保障する教育環境を
    (1)都・区独自に35人学級を急ぐよう求めます。
    (2)学校適正配置計画(案)については、
    • 先にのべた教育環境改善の課題を優先すること
    • 小規模校が「犠牲」となるようなすすめ方は行わないこと
    • 学校関係者や地域住民の合意形成をつらぬくことを求めます。
    【区の答弁】

 私は日本共産党北区議員団を代表し大きく6点、区長、並びに教育長に質問致します。
 昨年春、9名全員を議会に送って頂いた区議団は、この1年間、区民と力を合わせ、被災地へ毎月のボランティア派遣や、原発事故から子どもを守る取り組み、災害に強い北区の実現に向け、全力で取り組んできました。
 放射線対策では若い保護者の方々と自主測定運動にいち早く取り組み、北区の放射線量測定、迅速な除染対策が実施され、震災に強いまちづくりでは、住宅耐震化助成額の抜本拡充を求め、新年度予算では100万円と倍増される事になりました。
 日本共産党は今年も引き続き、被災地に連帯し、区民に一番身近な北区が、区民のくらしの守り手となるよう奮闘してまいります。

【1】消費税増税と社会保障の一体改悪を許すな

 大きな質問の第一は「社会保障と税の一体改革について」区の姿勢を問います。 野田内閣は、医療、年金、介護、子育てなど、社会保障の改悪を行いながら、消費税率を10%に引き上げる大増税計画を閣議決定しました。
 区民からは「大震災の復興も生活のたてなおしもままならないのに、ひどいことを考えますねえ」「年金や収入が減っているのに、これ以上の負担が増えたら生活していけない」と批判の声があがっています。先日、区内2カ所の商店街で実施された消費税増税に反対する署名活動では、寒い中、次々と署名に応じて頂き「今でさえ、やりくりが大変なのに、増税されたら商売は続けられない。もうやめるしかない」と、商店主も怒りの声をあげていました。  この10年間でも、所得税・住民税の配偶者特別控除廃止、定率減税の廃止、年金保険料の引き上げ等で、税と保険料の負担が増大しています。
 その結果、例えば年収400万円子ども2人の子育て世帯では、保険料や税の負担総額は18万5千円にものぼりますが、それに加えて、消費税増税と復興増税、すでに決定されている年金保険料の引き上げ等、年間の負担は14万7千円も増えると試算されており、合計すると33万2千円の負担。何と1か月分の給料がなくなる計算です。 同様に年収600万円のサラリーマン4人世帯では、年間に53万円もの負担となります。これでどうやって、子どもを生み育てろというのでしょうか。「負担を若い世代へおしつけない」とは全くの詭弁です。
 他方、高齢者の場合でも、75歳の後期高齢者2人世帯、年金の収入が月18万円の場合では、今年、年金受給額が0.3%下がり、今後更に2.5%も減らされた上、医療保険料等の引き上げと消費税増税によって、実質17万5千円もの負担増となります。 このように、どの世代にとっても、社会保障と税の負担額は、収入の1か月分に匹敵する重さです。 その他、医療では窓口負担の引き上げや病院からの追い出し、介護ではヘルパーの生活援助時間の短縮や要支援の利用料引きあげ、保育では直接契約により、国や自治体の保育実施義務をなくす公的責任の放棄等、次々と改悪を迫るものであり「長生きするなら北区が一番」「子育てするなら北区」の施策遂行にも大きな障害となるものです。 そこでお尋ね致します。

(1)税と社会保障の一体改革の撤回を国に求めて下さい。

(2)国保料・後期高齢医療保険料・介護保険料の引き上げを抑えよ 2つ目は、新年度の国保、後期高齢医療、介護保険の各種保険料のきなみ値上げについて伺います。 国民健康保険料は一人平均年4000円余、2年間の経過措置で798円の値上げ案となりました。とりわけ子どものいる世帯では、新年度に年少扶養控除廃止の影響が出るため、北区の試算でも子ども2人の4人世帯、年収300万円~400万円の場合、保険料が年間4~5万円も引き上がり、甚大な影響となります。 後期高齢者医療保険料では、東京都広域連合が一人平均8731円の値上げ案を決定しました。 更に介護保険では、年額で約15000円の値上げ案が提案されています。そのため、75才以上の世帯では、後期高齢保険料の値上げとあわせて、年2万円以上の負担増となり、年金の切り下げと共に3重の負担増となるものです。そこでお尋ねいたします。国、東京都に各種保険料の更なる負担軽減を求めると共に、北区として保険料軽減の支援を行うよう求めます。お答え下さい。

(3)介護現場の人材確保対策と生活援助への支援を 3つめは、介護サービスを担う人材確保についてです。先日開催された「介護保険運営協議会」では、委員から「ヘルパーなど介護現場の処遇改善は大変厳しく、事業所がいくら募集をかけても人材が集まらない。区内でも高齢化がどんどんすすむ中、現場は強い危機感を感じている。」との意見が出されました。 新年度、国の介護報酬が実質マイナス改定となり、生活援助45分への時間削減とあいまって「これでは介護崩壊が加速する」との指摘が全国保険医団体連合会からも示されています。北区として、事業者への人材確保対策、並びに生活援助支援を行うよう求めます。お答え下さい。

(4)「障害者総合福祉法」の早期制定を国に求めよ 4つ目は、障害者総合福祉法制定についてです。  政府は障害者団体や国民の反対を受け、2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し、新法を制定することを閣議決定し、昨年8月には「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」をまとめました。この骨格提言は、国際基準となっている障害者権利条約や国との間で取り交わされた障害者自立支援法違憲訴訟裁判での基本合意に基づくものであり、障害のない市民との平等と公平、全ての障害者を対象とした施策の充実をめざし、その具体化として、障害者本人の意向を最大限尊重して支援内容を決める、必要な支援は原則無償とする等10項目を求めています。  ところが今月8日に、厚生労働省から示された法案概要は、利用者負担については、原則無料を見送り、対象範囲も一部の難病患者に広げる程度にとどまり、「障害程度区分」も廃止されず、関係者から「自立支援法の手直し」との批判の声があがっています。  そこでお尋ね致します。先に述べた骨格提言にもとづく「障害者総合福祉法」の早期制定を国に求めるよう、区長の積極的な答弁を求めます。
【区の答弁】
1ー(1)
  まず、社会保障と税の一体改革に閲する質問についてお答え申し上げます。
  社会保障と税の1体改革につきましては、先日、その大綱(たいこう) が閣議決定され、関係する法案が国会に提出される予定ですので、今後、国会の場において、充分な議論が尽くされるものと考えております。

1-(2)ーア
  次に、国保料、後期高齢者医療保険料、介護保険料についてのご質問にお答えします。
  国民健康保険め平成24年度 保険料算定では、国保加入者の医療費は増加しましたが、高齢化率の高い保険者に交付される前期高齢者交付金が増加したことにより、国保分としてかかる保険料は減少しました。
一方、高齢者の医療費の伸びにより、後期高潮者支援金分の保険料が、大幅に増加いたしましたが、国保分が減少したことにより、平成20年度に後期高齢者医療制度が導入されて以降、23区の国民健康保険料としては、最も低い0.84パーセントの増加率となっています。
  なお、北区における介護二号被保険者の保険料については、1・04パーセント増加しています。
 次に、後期高齢者の保険料については、医療給付費の大幅な増加をはじめ、保険料の増額要因が多い中、審査手数料や葬祭費など、引き続き、特別対策を行い、区市町村として保険料の増加抑制に努めてまいりました。
  また、国や東京都とも抑制に向けた協議を重ね、財政安定化基金の活用を図るなど、最大限の努力をしたものと、認識しております。
  なお、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の負担軽減については、今後も引き続き、全国市長会及び全国後期高齢者医療広域連合協議会を通じて、国に求めていきます。
1-(2) イ
  第五期の介護保険料の算定につきましては、介護給付費準備基金と東京都財政安定化基金の取り崩し交付金を活用し、現時点で取り得る軽減策を講じ、保険料の基準月額としてお示しいたしました。
  財政安定化基金の取り崩しに際しましては、東京都に対し最大限の取り崩し額となるよう求めたものです。
  また、合わせて段階区分の多段階化を図り、所得状況に応じた、よりきめ細かな設定といたしましたが、今後とも国に対して、低所得者に対する介護保険料や利用料の軽減策について、国の責任において、総合的かつ統一的な対策を講じるよう、抜本的な見直しを行うことを求めてまいります。

1-(3)
  次に、介護現場の人材確保策につきましては、北区では、区内事業者の人材確保を図るため「福祉のしごと総合フェア」を開催し、福祉のしごとの紹介、相談、面接会などを実施しております。
  今後も引き続き、これの充実に努めると共に、介護従事者が資格を取得する際の費用補助等、更なる人材確保策を展開してまいります。
  また、専門知識や技術などのレベルアップを図るため、介護従事者に対する研修会の開催を積極的に支援し、事業者と協力しながら人材の定着・育成を推進してまいります。
  今後とも、国に対して、積極的な介護人材確保・育成のため、都市部の実情に合った報酬額の設定と、利用者への直接的な影響を抑制するための方策を講ずることを求めてまいります。

1-(4)
  次に、障害者総合福祉法の早期制定を国に求めることについて、お答えします。
  現在、国の障害者制度改革推進本部と、障害者や学識経験者などから構成される推進会議におきまして、障害者制度の法改正について、議論が行われています。
  国に対しましては、全国市長会を通じて、新たな障害者制度の構築に当たり、関係者や都市自治体の意見を十分反映し、国民が理解しやすい安定した制度とすること。障害者が、個々のニーズに基づいた支援を受けられるよう、利用者負担に配慮することなどを求めています。                  
  また、新たな障害者制度に移行するまでの間も、障害者の自立と社会参加に向けた施策の充実を図るため、十分な財政措置や制度の見直しを図ることや利用者負担等について一層の軽減策を講じることなどを求めています。
  今後とも必要に応じ、他団体と連携して対応してまいります。                 

【2】公平な税制改革と雇用の改善で「99%」に富の再配分を
 
 大きく二つ目の質問は、公平な税制改革と雇用の改善についてです。

 日本共産党はかねてから、現在の税制は富裕層や財界・大企業に甘く、国民には大変厳しい内容であることを指摘してまいりました。例えば、株取引や配当に対する証券優遇税制も、欧米では30%の水準に対し、日本では10%にまで減税されています。 更に新年度には、大企業等の法人税で1兆4千億円も減税しようというのです。国民に消費税増税を求めておきながら、到底認められるものではありません。
 現在、北区でも歳入の確保が課題となっておりますが、真っ先に実施すべきは、利益をあげている財界・大企業や富裕層に、応分の税負担を求めることではないでしょうか。 更に世界では「1%の金持ちが支配する社会でいいのか」「私達は99%だ」をスローガンに、貧困と格差に反対する運動が拡がっています。この日本でも、上位1%への富の集中がおき、トヨタ、キャノン、三菱UFJファイナンシャルグループ等、資本金10億円以上の大企業が持っている内部留保は260兆円。前年度比で9兆円の増加、この10年間で90兆円も増やしています。

 一方、民間企業に働く労働者の年間平均賃金は2000年の461万円から、2010年には412万円と約50万円も減少しているのです。
 年収200万円以下の民間労働者は、4人に1人、若者では3人に1人となっています。 こうした貧困と格差の拡大、いわゆる1%への富の集中は、労働法制の規制緩和による正社員から非正規社員へのおきかえ、労働者の賃金引き下げといった働く者の「犠牲」の上にあるものです。 北区においても、北区経営改革プラン、新5か年プランにより、人件費・コスト削減による外部化路線が推し進められています。
 こうした事態を改善し、大企業や富裕層に過剰に蓄積された富を「99%」の国民・労働者のくらしや社会保障に還元すべきです。加えて、現在、北区が取り組んでいる緊急雇用対策の取り組みを本腰をいれて拡充すべきと考えます。そこで以下4点、お聞きします。

(1)国に対し、大企業へのゆきすぎた減税を元に戻し、新たな減税は中止し、富裕層と大企業に応分の税負担を求めて下さい。
(2)労働者の賃金引き上げ、正規雇用への改善の視点から、北区経営改革プラン、新5か年プランの外部化路線は見直しを求めます。
(3)北区でも公契約条例を制定し、労働者の適切な賃金と労働条件を確保すること。
(4)雇用・就労支援課をつくり、若者、ひとり親、障害者、高齢者等、雇用対策を強化するよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
2-(1)
  次に、公平な税制改革と雇用の改善について、お答えいたします。
  大企業を含む法人への課税につきましては、社会保障と税の一体改革大綱(たいこう)の中で、「雇用と国内投資拡大の観点から、今般の税率引き下げの効果や主要国との競争上の諸条件等を検証しつつ、新成長戦略も踏まえ、法人課税のあり方について検討する。」とされています。
  また、いわゆる富裕層の税負担につきましても、同じく大綱(たいこう)の中で、「特に高い所得階層に絞って、格差の是正及び所得再分配機能の回復を図る観点から、一定の負担増を求める。」とされているところから、今後の税制改革をめぐる議論の行方を注視してまいります。

2ー(2)
  次に、北区経営改革プラン、新五か年プランの外部化路線の見直しを求めるとのお尋ねについてです。
  これまで、外部化につきましては、サービスの質の向上、民間ノウハウの活用、サービス供給方法の効率化などの視点から導入の是非を総合的に検計してまいりました。
  今後も引き続き、官民の役割分担の見直しを踏まえ、サービス水準の維持向上や区民満足度の最大化を目指し、その事業目的を達成できる最も優れた事業主体を選んでいくという考えに基づき取り組んでまいります。

2ー(3)
  続きまして、雇用対策の強化についてお答えいたします。
  区では、多くの求職者の方を対象に、就職相談事業や、資格取得講座を行う一方、都の補助金を活用し、高校-大学等を卒業した若い方の就職支援を積極的に取り組んでいます。
  また、来年度から大学生を対象に、早い段階で中小企業の内定を得るための 心掛けや就職活動のポイント等をテーマにした セミナーを、大学と連携し実施する予定です。
 今後も、就職支援の専門機関であるハローワークとの連携を強化しながら、就労支援に取り組んでまいります。

2ー(4)

 次に、公契約条例制定についてお答えします。
 区は、現時点では従来からご答弁させていただいているとおり、 関係法令と条例制定権との関係などから国の法整備が優先すべきものと考えております。
  今後とも、国や他団体の動向を注視してまいります。
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【3】 原発ゼロ、自然エネルギーの初期投資ゼロで抜本拡充を  

 大きく三つめの質問は、原発・エネルギー政策についてです。
 日本共産党区議団は、東電の原発事故を受け、毎議会ごとに原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を北区からも強力に推進するよう求め、自然エネルギー推進条例の制定も提案してきました。
 現在見直し中の北区中期計画(案)では、区としてのエネルギーのあり方研究会の設置や新設保育園をモデルに北区のエコモデル仕様の検討が提案され、大変、期待する所であります。
  そこで(1)、自然エネルギーの抜本的拡充、原発事故・放射線対策を中期計画の中で、重点施策に位置づけ推進すべきと考えます。はじめに、区の見解を伺います。 二つ目に、自然エネルギー推進の具体策について伺います。
  今年度、北区でも太陽光発電など自然エネルギー機器導入助成を実施してきましたが、その実績は緒についたばかりです。原発事故以来、自然エネルギー活用への区民の関心は高まっているものの、その導入には初期費用がかかる事や身近に浸透していない等、現段階では誰でも気軽に導入できる状況になっていないのが現状ではないでしょうか。 そこで私は、太陽光発電の先進都市、長野県飯田市を視察してまいりました。 飯田市では8年前に市内の保育園に寄付型の太陽光発電を設置しています。その際、子ども達への普及活動のため「さんぽちゃん」というキャラクターで発電を表示し、おひさまの力で電気が出ている「見える化」や「さんぽちゃん」が着ぐるみでお話しにくる等の工夫を行い、子どもから家族へ、地域へと町中の話題にできたそうです。
 その後、市民から「おひさまファンド」として市民出資を募り、保育園や公民館など、160カ所を超える公共施設や事業所の屋根を活用し、地域のエネルギー会社が太陽光発電による電気を供給する「太陽光市民共同発電事業」を展開しました。
 更に3年前からは「飯田のすべての屋根に太陽光発電を」と称し飯田市、地元の信用金庫と協働で「おひさまゼロ円システム」という太陽パネル設置費用ゼロ円の事業に取り組んでいます。こうした中で、2010年までに導入された太陽光発電は210カ所。全発電量は1440㌔㍗、年間で約750㌧のCO2削減効果を得ています。
 私は小さな太陽光発電でも、自然エネルギーの効果が見える普及活動の手段として、非常に重要な役割が果たせることや、その市民理解をもとに、コスト的にも手軽に取り組めるしくみをつくる事が普及の大きな鍵となると感じました。
 そこでお尋ね致します。区民への普及啓発活動とあわせ、区と区民との協働で(2)自然エネルギー導入「初期費用ゼロ」等、北区独自のしくみづくりや助成の抜本的拡充を求めます。区の見解をお聞かせ下さい。
(3)電力買い取りの多様化の拡充を 3つめに、電力買い取りの多様化について伺います。原発事故を受け改めて、電力供給の独占体制を改善し、電力の安定供給の確保と公共性が課題となっています。 北区ではすでに本庁舎における電力の多様化を実施していますが、はじめに、①現在までの実績と効果額についてお示し下さい。 2つ目に東京電力は新年度、電気料金の値上げを予定しておりますが、②北区の影響額についてもお聞かせ下さい。3つ目に、世田谷区をはじめ他区でも東電からではなく別の電気事業者から競争入札の動きが拡がっておりますが、③北区も電力買い取りの多様化を拡充すべきと考えますが、今後の取り組みをお尋ね致します。
【区の答弁】
3-(1)
  次に、原発・エネルギー政策のご質問について、順次、お答えいたします。
  まず、自然エネルギーの拡充や、原発事故・放射線対策を、中期計画の重点施策に、位置付けることについてです。
  新たな中期計画では、環境大学事業や、新エネ・省エネ機器の導入助成などに加えて、区有施設のエコモデルや、調査研究会の設置などを、新規事業として計画化いたしました。
新エネ・省エネに、北区が率先して取り組むとともに、北区にふさわしいエネルギー施策について、調査・研究してまいります。
  たお、放射線対策につきましては、速やかな対応が求められることもあり、計画事業には位置付けておりませんが、今後とも、必要に応じて、適切に対応してまいります。

3-(2)
  次に、自然エネルギー導入に関する仕組みづくり、助成等について、お答えします。
  区では、太陽光発電システムや太陽熱温水器などの新エネ・省エネ機器を設置する区民、中小企業等の皆きまに、その設置費用の1部を助成しています。
  この助成は大変好評で、年々利用者が増加していますが、太陽熱温水器の助成は伸び悩んでいる状況です。
  区としては、軽くてエネルギー変換効率の高い太陽熱温水器の導入を促進させるため、豊島保育園で家庭用機器のモデル設置を行っています。
  今後、太陽熱温水器の利点を区民の皆さまへお知らせし、利用促進を図ってまいります。
  また、来年度には、エネルギーに関する専門家を交えた研究会を開催し、北区にふさわしい新エネ・省エネの考え方を検討してまいります。

3ー(3) ア、イ、ウ
  次に、多様な電気事業者から、電力の供給を受けるべき、とのお尋ねに、順次お答えいたします。
  北区役所本庁舎においては、毎年、見積もり合わせによつて、事業者を決定していることから、年度によって、電力供給事業者は、異なっておりますが、東京電力の電気料金と比較すると、計算上では一年目が約390万円、二年目は約93万円の節減効果があったといえます。
  また、東京電力が電力料金の値上げを実施した場合、北区の影響額については、約5千2百万円に及ぶと試算しております。
  こうしたことかち、庁舎以外の施設についても、特定規模電気事業者、いわゆるPPS(ピーピー・エス)の導入について、検討会を設け、調査・倹討を行っておりますが、PPSの電力供潜能力は、上昇傾向にあるものの、需要に、追い付いていない現状にあります。
  長期的安定的な供給能力等を、十分に見極めつつ、可能な限り、多様な電気事業者の導入を図ってまいりたいと、考えています。
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【4】 原子力災害、放射線被害から子どもたち・区民を守るために

大きく四つ目の質問は、原子力災害の対応についてです。
 北区で今年度行われた「災害対策あり方検討会」の中でも、検討委員から「区民の大きな関心事になっている原発事故の対応についても検討すべきだ」との意見が出されており、先日まとめられた提言では今後の課題とされております。
 私もこうした意見はとても重要と考え、今年度パブリックコメントを行い「放射性物質事故対策指針」を策定した松本市にお話しを伺ってまいりました。

 松本市が対策指針を策定した背景には、原発立地の自治体ではないが、市から 300 ㌔圏内に3カ所の原発があり、放射能が松本市に及ぶ最悪の事態を想定したためとの事です。
 具体的には「災害時の広報、情報伝達」や「避難措置の明確化」「安定ヨウ素剤の備蓄及び予防服用」「原子力災害対策本部の設置等の実施体制」が決められておりました。
本指針は来年度、改定が予定されている市の地域防災計画に「原子力災害編」として位置づける方向です。
 私は市民の命を守るため、原発事故の対応について、市としての考えを持ち、スピード感をもって、独自に取り組んでいる姿勢が素晴らしいと感じました

 我が北区も、福島原発や浜岡原発から300㌔圏内にあり、現在進行形の危機管理として、考えていかなければならない課題ではないかと考えます。そこでお尋ねします。

(1)放射性物質事故対策指針を策定し、北区地域防災計画に原子力災害編として位置づけるよう区長の答弁を求めます。

(2)保育園、学校給食の放射線測定は北区独自の取り組みで充実を

次に、保育園や学校などの給食の放射線測定について伺います。

 2月3日の防災対策特別委員会では、東京都と連携して給食測定の実施を行うとの方針が示されました。この間二度にわたり、合計1万にものぼる署名を集めて、区議会に陳情された区民の願いが実を結び、私も本当に嬉しいです。
 しかしながら、具体的内容については「東京都が検討中」との報告にとどまり、北区は現在も給食測定については未実施の状況です。お隣の足立、板橋、豊島区等ではすでに、事業者に測定を委託する等して、年度内の給食測定を実施し、HP等でも公表しています。東京都まちではなく、区として給食の安心を提供するため、ただちに放射線測定にふみだすよう求めます。
 更に都の測定機器は5台を都内全体で活用するというものであり、決して十分な体制とはいえません。福島原発からの放射能もれによる海洋汚染が広がっており、食物連鎖による濃縮も心配されます。食品の危機管理は今後30年以上の長期スパンでとらえなければならない課題であり、北区独自の取り組みで食品の危機管理体制を充実するよう、重ねて求めます。お答え下さい。
 3つめに(3)区民に対し、放射線に関する基礎知識の普及、放射性物質を除去する食品調理の工夫や、免疫機能を高める生活習慣等、広報に努めるよう求めます。

(4)医師会と連携し、低線量被曝の健康管理や健康相談の取り組みを

 4点目に、放射線の影響による健康被害の対応について伺います。

 25 年前に「レベル7」のチェルノブイリ原発事故が発生したベラルーシの汚染地域では、現在までに様々な疾患が表面化しています。IAEA(国際原子力機関)はチェルノブイリ事故による健康障害として、小児の甲状腺がんを認めていますが、その他にも「風邪をひきやすい」「疲れやすい」「体調が悪い」等、血液検査で免疫機能の低下を疑う所見や貧血の子ども達の増加がみられ、周産期医療でも、ここ 10 年余りで早産や未熟児の増加が認められています。長い時を経ても、事故の影響は消え去っていないのです。

 放射線セシウムの半減期は 30 年。体内に取り込むことで様々な健康障害の影響を招く可能性は否定できません。

 北区でも昨年、放射線の影響を心配する健康相談会が民間組織で行われ、約80人もの参加者がありました。自主的に検査を行った大人や子どもから、尿中セシウムや爪からストロンチゥムが検出されています。
 今後、数十年という長期的視野で低線量被曝の影響を念頭に置き、子どもの健康被害を抑える、予防的な取り組みを進める事が必要と考えます。そこでお尋ね致します。

医師会と連携し、乳児健診、保育園・学校健診等もいかした健康管理、健康相談の取り組みを求めます。区長のあたたかい答弁を求めます。

(5)建築資材の放射線測定義務づけを国に求めること。

 放射線対策に関する5点目は、建築資材の放射線測定についてです。
 放射線に汚染された石をつかった建築資材により、あらたに建築されたマンションや学校で高濃度の放射線量が測定され、区民からも、不安の声があがっています。
国に対し、建築資材の放射線測定義務づけなど、安全性の確保を要請するよう求めます。お答え下さい。

【区の答弁】
4ー(1)
  次に、原子力災害、放射線被害から子どもたち・区民を守るためのご質問のうち、地域防災計画に原子力災害編を位置づけることについてお答えいたします。
  放射性物質による影響への対策や、原子力災害の地域防災計画への反映につきましては、現在行っている様々な対応や」今後の国や東京都の動向を踏まえ、検討してまいります。

4-(2)
  次に、保育園、学校給食の放射線量測定についてお答えします。
  国は、食品の安全・安心をよリー層確保するため、大人よりも感受性の高い子どもへの配慮の点も含め、食品中の放射性物質の新たな基準値を設定し、本年4月から施行する予定で手続きを進めています。
  また、東京都は、国の補助制度を活用した、給食用食材の放射線量測定を、平成24年度から実施する準備を進めており、東京都全体で統一的に測定が行われる見込みです。
  北区としては、現在、市場に流通している食品は、産地と消費地における、二重の検査によって、その安全性は確保されているものと考えていますが、食品の新たな基準値が設定されることなども勘案し、東京都と連携して、給食の検査に取り組み、保護者の安心を高めてまいりたいと考えています。

4-(3)
  次に、放射線に関する基礎知識などの普及や広報に関するご質問です。
  お示しのことにつきましては、この間題の発生直後から北区のホームページに適宜情報を掲載して、専門機関へのリンクなどを表示するとともに、昨年9月30日の放射線対策の北区ニュース臨時号にも掲載してまいりました。
  今後も、区民の皆様の不安を解消するために必要と考えられる情報は、北区ニュースや北区のホームページなどを活用して、お知らせしてまいります。

4ー(4)
  子どもの健康被害を抑える、予防的な健康管理、健康相談の取り組みを、というご質問にお答えします。
  長期的な低線量被ばくの、健康に及ぼす影響については、現在明確な知見はありません。
  そのために、放射線に感受性の高い子どもの健康について、心配な方もいらっしやると思います。
  予防的な健康調査としては、現在、放射性物質の影響が大きい福島県では、全県民の健康調査が行なわれています。
  現在の北区の状況で同様の健康調査を行う必要は、ないと考えておりますが、今後も福島県の調査の状況や、国、東京都など他自治体の動向に注視して、情報収集を行ってまいります。
  なお、子どもたちの健康診断などの、健康管理や健康相談についてはこれまでと同様に医師会と連携して実施し、その結果を確認しながら、対応が必要と判断した場合は、迅速に取り組んでまいります。

4ー(5)
  次に、建築資材の放射線測定義務づけを、国に求めることについてお答えします。
  現在、経済産業省では、福島県の計画避難区域等の採石場から出荷された砕石(さいせき)等の調査結果を契機として、砕石(さいせき)及び砂利(じゃり)の出荷基準に関する専門検討会を設置しています。
  出荷時における放射線量の低減対策や濃度基準の考え方、出荷基準の対象範囲など、本年度中に取りまとめる予定と聞いておりますので、区としましては、この検討会の結果を注視してまいりたいと考えております。
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【5】倒れない、燃えない、水害にあわないまちづくりを

大きな5つ目の質問は震災、水害対策についてです。
 一例ですが、今年に入り、東大地震研究所が、今後4年間のうちに、首都直下型地震が起きる可能性は70%との見解を発表しました。改めて、減災のための手だてを確実に講じて行く必要性を感じています。災害対策あり方検討会でも「倒れない、燃えないまちづくり」が最も重要と指摘されており、そのためには住宅の耐震補強、木造住宅密集地域の解消など、北区が公的責任でハード事業を推進することが重要と考え、以下3点質問します。

(1)木造住宅耐震補強工事の区民への勧奨を積極的に行い、助成額と件数は更に拡充すること。

(2)新年度のすまい改修支援事業(住宅リフォーム)は、通年受付に改善し、書類申請の簡素化や住居と店舗が一体となっている物件への適応等の拡充を求めます。

(3)木造住宅密集地域の解消について、避難道路周辺整備の促進だけでなく、面的な不燃化促進、密集地域の解消をすすめるよう求めます。お答え下さい。

( 4 ) 石神井川水害被害の原因究明と被害住民への補償、水害対策の推進を

 4点目に、水害にあわないまちづくりについて、石神井川水害対策について伺います。

 新年度の東京都予算の中で、集中豪雨による都市型水害に対する重点対策として、石神井川につなげる巨大な地下貯留施設の建設に 100 億円が計上されました。この地下施設は、 2015 年までに大泉の白子川調整池の縦坑から、直径 10 メートルの大型シールドマシンで、約 3 キロ離れた石神井川まで、目白通りの下にトンネルを堀るものです。これにより、集中豪雨の時には石神井川の濁流が北区に流れる前に、かなりの水量を貯留させることができ、短時間の豪雨には大きな効果が期待できます。

 更に今年の 7 月までには「 100 ㎜を超える局所的集中豪雨にも対応可能な中小河川整備を推進する」ための方針が出される見通しです。

一昨年の水害以来、私はそねはじめ前都議と共に白子川調整池の調査を行い、昨年の予算議会でも先ほどの内容を求めてきたので、被害にあわれた沿線住民の声が、ようやく都にも届いてきたと受けとめています。
こうした東京都の施策と連携して、北区としての水害対策を更に推進する時と考えます。そこで以下、3点お尋ね致します。

(1)  今年度計画した区内地下調整池設置は、未だ具体化されておりませんが、新年度はどのように促進されるのかお答え下さい。

(2) 既存の民間事業者に対しても地下調整池の誘致をはたらきかけるよう求めます。

(3)石神井川水害被害の原因究明と責任の所在は未だに明らかにされておらず、住民への補償についても進展がありません。区は首都髙と東京都に、説明責任を果たすよう求めていくとのことでしたが、現状について区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
5-(1)
  次に、木造住宅耐震補強助成制度の積極的奨励と助成枠の拡充について、お答えいたします。
  東日本大震災を受けて、区民の皆さまの、建物の耐震化に対する関心は極めて高くなり、木造住宅 耐震化促進事業の実績も急増しております。
  本事業は、これまでも北区二ユース等の各種広報、区民まつり等のイベント時の相談会、各種団体との情報交換の機会を利用し、区民の皆さまへの周知を図っております。
  今後は、木造住宅密集地域に、リーフレットを配布するなど、PRに努めてまいります。
  耐震改修工事費につきましては、新年度、助成金の増額と助成対象件数の拡大に、取り組んでまいります。

5ー(2)                                                    
  次に、住まい改修支援事業の拡充について、お答えします。
  この事業は、今年度実施した居住あんしん修繕支援事業の制度を引き継ぎ、住宅の長寿命化・定住化の促進と地域経済の活性化を目的とし、個人住宅の改修工事について、費用の一部を助成するものです。
  多くの皆さまにご利用いただけるよう、通年受付や申請書類の簡素化等(とう)を検討してまいります。

5-(3)
  次に、不燃化促進事業の推進についてお答えします。
  現在、区では、十条地区、西ヶ原地区、志茂地区の3地区に、住宅市街地 整備促進事業を導入しており、防災性の向上及び居住環境の改善をはかるため、木造住宅密集地域の整備を進めております。
  本年1月、東京都では、木密地域の整備、改善に向け、整備促進策を講じるため、「木密地域不燃化10年プロジェクト」実施方針を示しました。
 区といたしましても、積極的に取り組んでまいります。

5ー(4)ー(ア)                             
  次に、石神井川水害被害の原因究明と被害住民への補償、水害対策の推進について順次お答えします。
  まず、区内の地下調節池の設置についてです。
  来年度は、水害発生箇所に近接する、学校、公園、道路などにおいて、一時的な貯留場所について検討を行い、整備可能な、箇所に設置してまいります。

5ー(4)ー(イ)                             
 次に、民間事業者に対する地下調節池(ちょうせついけ)の誘致についてです。
 区では、敷地面積500平方メートル以上の大規模民間施設等に対し、雨水流出抑制施設設置に関する指導要綱.に基づき、敷地面積千平方メートル当り60立方メートル以上の雨水流出抑制施設の設置を指導しております。
 今後とも、河川の増水を抑制するため、民間事業者の協力を求めてまいります。

5-(4)ーウ
  次に、石神井川水害被害の原因究明と被害住民への補償についてです。
  区では、七・五(ななてんご)堀船地区水害対策協議会の要請を受け、昨年10月に首都高速道路株式会社による溝田橋架け替え工事等の現状について協議会代表の皆さまへ説明会を開催いたしました。
  協議会の皆さまからは、東京都に対し、石神井川の水害の原因について説明を求めるとの声がありましたので、丁寧な説明を行うよう東京都に申し入れております。
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【6】一人ひとりの子どもに、学力を保障する教育環境を

 最後の質問は、教育環境の改善についてです。
 私は1月に特別区協議会が主催した区議会議員向けの講演会「子どもの危機をどう見るか」に参加しました。その講演会では、ユニセフやOECDの調査で日本の教育が競争教育や習熟度別教育の弊害、子どもに接する教師・家族の関係性の希薄化、貧困化から、一人ひとりの子どもの学力保障が充分行われていないこと、日本の子どもは自己肯定感が低く、孤独を感じている子どもが多い、展望のない重圧感の中にいると勧告されていることが紹介されました。

 更に、世界の教育は①近代的な個の確立、②教えるから、学ぶ主体性の確立、③児童権利条約に定められた子どもの社会参加が重要であり、一人ひとりの子どもに本気で学力を保障する教育改革が必要だと指摘されておりました。

 昨年度、文部科学省においてはようやく、35人学級から30人学級への移行が方針化され、北区教育委員会も学習指導と生徒指導を一体的、効果的に行うためにも、30人程度の学級確保が適当であるとしました。
 しかしながら国の方針では、小学校で35人学級が完成するのは6年後、小学校1、2年生の30人学級完成は、更に8年後まで先送りとなっています。
 私は教職員配置を充実させ、早急に一人ひとりの子どもにゆきとどいた教育環境を整えることこそ、北区において最も優先されるべき課題であると考えます。

 そこでお尋ね致します。
(1)都・区独自に35人学級を急ぐよう求めます。

(2)学校適正配置計画(案)については、

①先にのべた教育環境改善の課題を優先すること

②小規模校が「犠牲」となるようなすすめ方は行わないこと

③学校関係者や地域住民の合意形成をつらぬくことを求めます。

 以上、区長のあたたかい答弁を求めて私の質問を終わります。

 ご静聴ありがとございました。
【教育長答弁】
6-(1)
  私からは、一人ひとりの子どもに学力を保障する教育環境についてのご質問にお答えいたします。
  最初に、35人学級の拡大についてです。
  教育委員会では、特別区教育長会を通じ、東京都に対し、小学校第3学年以降及び、中学校における東京都学級編制基準を35人学級へ段階的に改正するとともに、学級編制標準の早期改正を国へ要望するよう、求めてまいりました。
  平成24年度の学級編制標準にかかる、法改正はありませんでしたが、文部科学省の予算案には、小学校第2学年への35人学級導入が盛り込まれたところです。
  なお東京都では、「公立小学校数職員定数配当一般方針」 において、平成24年度は、小学校第2学年について、35人学級編制に対応するための教員の加配措置を行うとしたほか、平成22年度から実施している中1ギャップの予防・解決のための対策として、中学校第一学年について、37人学級を基準に、教員を加配措置する予定です。
  区として独自に教職員を採用することは考えておりませんが、35人学級の早期実現に向け、今後も引き続き、国・東京都へ働きかけを行ってまいります。

6-(2) ーア、イ、ウ
  また、学校適正配置計画(案)について、教育環境の改善を優先すべきとのご質問についてです。
  教育委員会は、これまでも東京都の加配教員や北区独自の学力パワーアップ非常勤講師を活用した少人数教育の充実など教育環境の向上に取り組んで参りました。
  今後もこうした取り組みを継続しながら、小学校の適正配置についても推進して参ります。
  次に、適正配置の進め方についてのご質問です。
  具体的な適正配置の協議につきましては、ブロック全体の中でよりよい学校配置について考える場として、ブロック別に協議会を設置し協議を進めていくこととしております。
  また、学校の統合にあたっては、学校施設の規模や児童数にかかわらず対等統合とする「統合のルール」について、十分にご理解をいただきながら進めて参ります。
  最後に、関係者との合意形成につきましては、今後のブロック別協議会において、的確な情報提供など丁寧な対応を心がけるともに保護者や地域の皆様と十分に協議を尽くし合意形成を目指して参ります。
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